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地域経済の相互関係と公共投資 : 北海道地域間産業連関表を用いた域内循環の検討

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地域経済の相互関係と公共投資 : 北海道地域間産

業連関表を用いた域内循環の検討

著者

下山 朗

雑誌名

経済学論究

65

1

ページ

95-115

発行年

2011-06-25

URL

http://hdl.handle.net/10236/8422

(2)

地域経済の相互関係と公共投資

北海道地域間産業連関表を用いた域内循環の検討

Public Investment and Inter-Regional

Economy: Analysis using Hokkaido

Inter-Regional I-O Tables

下 山   朗  

In Japan, the regional distribution of public investments has been utilized for promotion of regional revitalization. However, regional areas are still steadily declining. In order to analyze trade between these regions, it is useful to use inter-regional Input-Output Tables.In previous studies, even if public investment made in regional areas, the economic impact would spill out across the administrative area.

This paper analyzes the economic effects to regional economy caused by activating “regional circulation”. The following three points are mentioned as features of this paper. First, we analyzed Hokkaido, because Hokkaido is a good example of “Doshu-sei” (special zones for regional government). Second, inter-regional Input-Output Tables are from 1985 in Hokkaido are compared over time. Thirdly, as a result, by increasing “regional circulation”, regional economic impact will increase.

Akira Shimoyama   JEL:H30, R15 Key words: 公共投資、地域間産業連関表、生産波及効果、域内循環

1 はじめに

2010年国勢調査の速報集計によると、2005年調査に比べて人口が増加した のは東京や大阪などわずか9都府県にとどまり、減少した38道府県のうち30 道県で減少率が拡大し、地方圏における人口減少がより一層進展してきてい る。人口が増加しつつ経済が発展する時代にあっては、国や地方自治体の財政

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も豊かに推移し、社会資本の整備などをはじめとする様々な政策をある程度積 極的に行うことができた。しかし、経済の大幅な成長が望めず人口も減少局面 を迎えると、政府の財政も逼迫し、限りある財源をどこに充てていくかという 問題を議論することがますます重要であり、客観的な分析に基づく検討が必要 であろう。従来的な公共事業を軸とした地方圏への再分配構造は、必ずしも地 域活性化へ寄与したとは言い切れず、多くの地域では衰退の一途をたどってい る。その理由として、行政圏を超えた経済取引が活発になり、地方圏に対して 公共投資を行っても、その影響が都市部へスピルオーバー(漏出)していると 考えられる。 地域間の取引を分析するためには、地域間産業連関表を用いることが有用で ある。各地域は財・サービス、人、資金の移動を通じて相互に関連し合ってい るが、地域間産業連関表ではこれらのうち交易関係を通じた地域間の関連性を 把握することができる。例えば、ある地域Aで発生した最終需要の原材料が 地域Bで生産されている場合、通常の地域内産業連関表では、単に地域外へ の漏出となって地域Aだけの生産誘発効果が計測されるだけであるが、場合 によっては地域Bで生産された原材料のそのまた原材料が地域Aに発注され た場合、「経済波及効果のはね返り」分が計測から除外され、分析結果が過少 評価になることが考えられる。 先行研究の多くは、既存の地域間産業連関表を用いて特定の分野における波 及効果額を推定することに主眼を置いているものがほとんどである(伊藤・黒 柳・出村(1993)、高林・下山(2002)、吉田(1999)、武者(2009)等)1)。こ れらの研究では地域間の波及効果額の差について逆行列係数の値などから類推 するにとどまっており、そこからなぜその地域でその産業の波及効果が大きく なるかという点については、結論付けることは困難である。そこで本稿では、 「域内循環」の観点から各年の域内の産業構造(経済構造)の変化が波及効果 に与える影響を考察する。上述したように、従来から行われてきた再分配型の 1) 一方、独自の産業連関表を作成することによって、地域間の交易関係を明らかにする研究もある (石川・宮城(2004)、小池・西尾(2005)、鈴木(2006)、浅利・土居(2008)、山田(2010) 等)。

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公共投資は必ずしも地域活性化に大きく寄与しているとはいえず、その理由は 都市部への流出があると考えられ、当該地域での循環(=域内循環)の変化が どの程度経済波及効果に与えているか検討する。 本稿では北海道地域間産業連関表を用いて、北海道を対象に地方公共サービ スや公共投資などが地域間の取引構造を通じてどのように漏出するか、またそ の理由について考察を加えていく2)。北海道を取り上げた理由として、以下の 3点が挙げられる。第1に、北海道経済は、地方経済が抱える諸問題の典型例 として考えることができることが挙げられる。多くの地方圏と同様に、北海道 は愛知県における自動車産業に代表される基幹となる企業が少なく、また自治 体財政の悪化にともなった公共投資の減少により建設業が疲弊するという脆弱 な経済構造となっている。さらに、道庁所在地である札幌市に一極集中が進ん でおり、人口移動の観点からも多くの県が抱える問題の典型例と考えることが できる。第2に、今後の道州制を考える上での先行事例として取り扱うことが できることが挙げられる。従来の先行研究では、道州制を念頭に置いた都道府 県の地域統合によって各地域の経済波及効果等を通じた地域経済や競争力がど のように変化するかを試算し検証するものがほとんどであった。そのため各道 州内の府県間の経済・社会的変化については、一定の仮定を置く必要があり、 道州制導入直後の効果については検討できるものの、安定的に道州制を迎えた 後における影響を考察することはできないと考える。一方本稿で取り上げる北 海道は、道州制の議論においても地域区分は固定的であることが多く新たな地 域間の枠組みによる影響を受けないため、今日北海道で生じている人口移動や 札幌市への経済一極集中などは、道州制によって生じる一つの参考例として捉 えることができる。 また、北海道は昭和23年『北海道支庁設置条例』が制定されて以降14支庁 を設置して以降3)、事務事業の実施だけでなく支庁ごとにある程度の文化圏が 2) 現在北海道では、域内循環の重視、観光におけるインバウンド効果の計測など様々な内発的発展 の重要性が指摘されており、本稿の分析結果はそれらの政策の評価に対する一つの基準も示唆で きると考える。 3) 2010 年 4 月 1 日よりそれまでの支庁を総合振興局・振興局に再編し、地域主権の取組が強化 されている。

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築かれている。第3次北海道長期総合計画においても、「道南圏、道央圏、道 北圏、オホーツク圏、十勝圏、釧路・根室圏の6つの「地域生活経済圏」の発 展をめざし、さまざまな施策を展開」することが取り組まれてきている4)。そ のため、複数の文化圏、経済圏がまとまって道州制が取り組まれた場合の地域 間の諸問題の先駆的事例として考えることが可能だろう。第3に、北海道は昭 和60年より北海道内の地域間産業連関表を作成しており、統計上の比較が可 能であることが挙げられる。北海道では、昭和60年、平成2年については、 道央、道南、道北、道東の4地域、平成5年表からは道央、道南、道北、オ ホーツク、十勝、釧路・根室の6地域に分割した「北海道地域間産業連関表」 が作成されており、北海道内の地域構造がより精緻に分析可能である5) 分析の特徴は以下のとおりである。第1に予備的考察として平成10年、15 年の2時点間の地域間産業連関表を用いて、公共投資の生産波及効果を算出し、 その地域的差異を求める。2カ年分のデータを取り扱うことによって、その変 化を明確にすることが目的である。第2に、生産波及効果の違いがなぜ生じる のかについて、要因分析を行う。具体的な方法として、藤川(2005)などにお いて、国際産業連関表を用いた分析をする際に用いられている「地域分業率」 の概念を使って、地域ごとにそれぞれの産業がどの程度域内から調達し循環が 行われているのか、その変化がどのような理由によって変わってきたのか、変 化によって生産波及効果に影響を与えているのかについて検討する。特に、札 幌を含む道央地域以外の地域において、域内循環が与える影響について考察し ていく。第3に、公共投資が「地域分業率」のウェイトが高い産業に重点的に 投資された場合の影響について試算し、現在の公共投資との違いを検討する。 構成は以下のとおりである。2節では北海道経済の特徴について、立地係数 を用いて他都府県との比較を行った後に、北海道内各地の地域経済構造をみ る。3節では地域間産業連関表を用いた地域間の交易構造に関する先行研究の 整理を行い、その後に分析モデルを作成する。4節では3節で作成した分析モ デルをもとにシミュレーションを行っていく。その際に、公共投資の経済効果 4) 北海道庁「第 3 次北海道長期総合計画」より引用。 5) そのほかに各地域ごとに推計したものとして、北海道、三重県、福岡県などが存在する。

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として生産誘発効果額を求め、その後に地域分業率を用いて、地域別生産誘発 効果の違いと域内循環の関係について考察する。最後に5節では本稿のまとめ と今後の課題を言及する。

2 北海道経済の概要と北海道地域間産業連関表の基本構造

2. 1. 北海道経済の概要 北海道経済の概要について、産業立地係数から他地域との比較を行った後 に、域内の自給率をみていく。まず、産業立地係数についてあらわしたものが 表1である。 表 1  立地係数でみた産業構造と地域特性(2001 年) 農林漁業 鉱業 建設業 製造業(うち食料品)(うち輸送用機器)電気・ガス・熱供給・ 水道業 運輸・ 通信 卸売・ 小売業・ 飲食店 金融・ 保険業 不動産業 サービス業 東京都 0.06 0.43 0.75 0.77 ─ ─ 0.82 1.10 1.08 1.73 20.27 1.20 北海道 3.44 2.60 1.34 0.52 0.80 0.11 1.08 1.13 1.00 1.00 1.02 1.07 ※ 立地係数=地域の産業構成比/全国の産業構成比(産業別就業者数で算出)   立地係数 > 1 の場合、全国と比べて 構成比が大きい 出所:『事業所統計』より作成。 北海道は、東京都や全国と比べ、農林漁業が3.44とかなり第1次産業がか なり大きなウェイトを占めていることがわかる。また地方都市は、公共投資に より建設業が主要産業であることがよく言われるが、依然北海道でも建設業の ウェイトは1.54と全国平均よりも高い。 一方、製造業は0.52と全国平均と比較して半分程度であり、非常に小さい。 製造業の中で、愛知県を中心とした自動車等の輸送用機器については特に小さ く、わずか0.11であるが、食料品加工業は、他の製造業と比較して高い割合 である。しかしながら、農林漁業の立地係数と比べるとその値は小さなもので あり、北海道で収穫された一次産品が、北海道で食品加工されずに東京や大阪 といった都市に直接流通している可能性が高い。 次に、産業別自給率を表わしたものが表2である。

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表 2  産業別自給率 区  分 S45 S55 H2 H7 H12 H15 産業全体 0.59 0.51 0.46 0.44 0.4 0.39 農  業 0.8 0.78 0.73 0.76 0.72 0.76 林  業 0.84 0.82 0.72 0.77 0.74 0.67 水 産 業 0.85 0.77 0.83 0.81 0.82 0.81 鉱  業 0.44 0.23 0.24 0.39 0.27 0.22 製 造 業 0.54 0.48 0.41 0.38 0.35 0.34   出所:北海道産業連関表 各年版より作成。 自給率とは、生産や消費等の経済活動に必要な財・サービスがその地域で生 産される財・サービスでどの程度賄うことができるかを表す指標である。平成 15年における北海道の自給率は、移輸出入をゼロと見なしている建設業及び 移輸出入の構成比の低い第三次産業を除く産業全体では0.39であり、自給率 は全般的に低下傾向にあることがわかる。特に、製造業の自給率はその低下の 大きさが顕著といえる。 2. 2. 北海道地域間産業連関表の基本構造 地域間産業連関表は、同時に複数の地域を対象とした地域産業連関表であ る。地域間産業連関表の記述方法として、地域内品と輸・移入を完全に区別 し(地域内品と輸・移入を別の財と考え)、輸・移入品を輸・移入先別・商品 別のマトリックスで記述する「アイサード型(Isard type)」と、移・輸出お よび移・輸入の列ベクトルを地域別に分割するだけの「チェネリー・モーゼス (Chenery-Moses type)型」の2種類がある。「アイサード型(Isard type)」

は、自地域品の取引と他地域品の取引を完全に区別して記述しているので、表 を見るだけで財・サービスの取引を通じた地域間の相互依存関係(各地域の産 業が、その生産活動のためにどの地域のどの産業の製品をどれだけ使用し、そ の生産品をどの地域のどのような需要向けにどれだけ販売したのか)が明示的 になっているのが特徴である。北海道地域間産業連関表は、北海道開発局が 「北海道産業連関表」の応用表として、昭和60年以降「アイサード型」の北海 道地域間産業連関表を作成している。昭和60年、平成2年については、道央、

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道南、道北、道東の4地域、平成5年表からは道央、道南、道北、オホーツク、 十勝、釧路・根室の6地域に分割した「北海道地域間産業連関表」を作成して いる。そこで、平成15年の北海道地域間産業連関表を用い、その概念図を表 わしたものが図1である。 図 1  平成 15 年北海道内地域間産業連関表(概念図) 㸣 䋩 ౉ ᛩ 䋨 ㆏ᄩ ㆏ධ 䊶 䊶 ㊖〝䊶ᩮቶ ㆏ᄩ ㆏ධ 䊶䊶 ㊖〝䊶ᩮቶ ᄩ ㆏ ㆏േᄩ䈮↪䈱↢䈇䉌↥䉏ᵴ ╬ ຠ ⵾ ᄩ ㆏ 䈢 ⒖ 䈱 䉌 䈎 ᄩ ㆏ ౉ 䋨䉝䋩 䋨䉟䋩 ಴ ⒖ 䈱 䈻 ධ ㆏ 䊶 䊶 ㆏ᦨ⚳ 䊶䊶 ධ ㆏ 䊶 䊶 䊶䊶 䊶 䊶 ቶ ᩮ 䊶 〝 ㊖ 䊶 䊶 䊶䊶 䈮 ↥ ↢ 䈱 ᄩ ㆏ 䈘 ಴ 䉂 ↢ 䈩 䈦 䉋 ଔ ട ઃ ☻ 䈢 䉏 ⠪ ↪ 㓹 䋨 㗵 ୯ 䋩 ╬ ㈽ ႎ 䊶 䊶 㗵 ↥ ↢ 䈱 ᄩ ㆏ 䊶 䊶 ⷐ 㔛 ⚳ ᦨ ౝ ၞ ャ಴෸䈶㆏ ಴ ⒖ ᄖ ャ౉ᄖ෸⒖䈶౉㆏ၞౝ↢↥㗵 ⷐ 㔛 㑆 ਛ 㸢 䋩 ಴ ↥ 䋨 ਛ 㑆 ᛩ ౉ ☻ ઃ ട ଔ ୯ ၞ ౝ ↢ ↥ 㗵 出所:北海道開発局「平成 15 年北海道内地域間産業連関表について」より引用。 道南の中間需要をタテにみた場合、各地域の各産業から様々な財・サービス を購入し、生産を行っていることがわかるが、アの部分では、道央が道南から 購入(移入)した財・サービスを示している。最終需要についても同様で、イ の部分は最終需要を満たすために、道央から供給(移入)された財・サービス を示している6) そこで、産業連関表の地域区分に応じて、北海道内の各地域経済の特性を見 ていく7)。地域別の経済規模を生産額で比較すると、「道央」が 19兆9,968億 円と最も大きく、北海道全体の生産額33兆4,975億円のうち59.7%を占めて いる(表3)。 6) なお、投入と産出で同じ地域で囲まれた部分については、自地域生産物の自地域供給分である が、この部分にはその地域で消費された輸入品及び道外移入品も含まれており、分析には注意が 必要である。 7) 地域区分については、付表 1 の通り。

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表 3  地域別生産額の推移 生産額(億円) 構成比(%) 生産額の伸び率(%) 平成 10 年 平成 15 年 平成 10 年 平成 15 年 10 ∼ 15 年 道  央 204,945 199,968 58.4% 59.7% 2.4% 道  南 28,462 28,382  8.1% 8.5% 0.3% 道  北 42,330 37,457 12.1% 11.2% 11.5% オホーツク 23,525 22,031  6.7% 6.6% 6.4% 十  勝 25,308 23,361  7.2% 7.0% 7.7% 釧路・根室 26,133 23,777  7.5% 7.1% 9.0% 北海道計 350,703 334,976 100.0% 100.0% 4.5% 次いで「道北」が3兆7,457億円(シェア11.2%)、以下、「道南」2兆8,382 億円(同8.5%)、「釧路・根室」2兆3,777億円(同7.1%)、「十勝」2兆3,361 億円(同7.0%)、「オホーツク」2兆2,031億円(同6.6%)の順となっている。 平成10年の生産額と比較すると、いずれの地域も減少している。また割合を 比較すると、「道央」及び「道南」のシェアが上昇している。地域別の産業構 造の構成比をみたものが表4である。 表 4  地域別産業構造(5 産業別) 第 1 次産業 第 2 次産業 第 3 次産業 鉱業 製造業 建設業 道  央 2.2 0.2 17.7  9.0 70.9 道  南 1.2 0.5 20.5 113.0 63.5 道  北 6.6 0.5 12.3 14.0 66.6 オホーツク 13.4 0.3 19.4 11.2 56.0 十  勝 14.4 0.6 14.5 12.3 58.2 釧路・根室 11.2 0.7 24.2 10.0 54.0 北海道平均 5.1 0.3 17.7 10.2 66.7 「道央」は全道と比較して第3次産業の割合が高く、第1次産業の割合が 低い。「道南」は、全道と比較して製造業を中心とした第2次産業の割合が高 く、第3次産業の割合が低い。「オホーツク」、「十勝」及び「釧路・根室」の3 地域は、全道と比較して第1次産業の割合が高く、第3次産業の割合が低い。  次に、道内各地域間の交易金額の総額に占める各地域間の交易金額の割合を みたものが表5である。 「道央」とその他5地域との交易は、「道央−道北」間の22.4%をはじめ、

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表 5  各地域間の交易の割合 道南 道北 オホーツク 十勝 釧路・根室 道央 17.9 22.4 13.3 13.7 12 道南 1.5 0.8 1.5 1.1 道北 2.1 1.8 1.8 オホーツク  2 4.5 十勝 3.6 いずれも10%を超えており、その合計は79.2%と北海道の経済において「道 央」が中心となっていることがわかる。一方、「道南−釧路・根室」間及び「道 南−オホーツク」間の交易は、それぞれ1.1%、0.8%と道内各地域間の中で特 に小さい。

3 先行研究の整理と分析モデル

3. 1. 先行研究の整理 地域間産業連関表に関する先行研究について、用いた産業連関表の種類およ び波及効果の対象に分けてあらわしたものが表6である。 表 6  先行研究の整理 波及効果の対象 表 関 連 業 産 た い 用 全国 特定の地域 既存の産業連関表 伊藤・黒柳・出村(1993)、高林・下山(2002)、吉田(1999)、経済産業省、等 武者(2009)、三重県、愛媛県、北海道 等 独自の産業連関表 浅利・土居(2008)、小池・西尾(2005)、鈴木(2006)、石川・宮城(2004) 等 山田(2010) 等 本稿(2011) 出所:筆者作成。 既存の産業連関表を用いた分析は、都道府県や経済産業省といった政府部 門だけでなく、さまざまな先行研究が存在する。特に、全国の地域間取引構造 に着目したものとして、伊藤・黒柳・出村(1993)、高林・下山(2002)、吉田 (1999)、経済産業省等がある。伊藤・黒柳・出村(1993)では、市場開放によ る地域間の影響を全国の産業連関表を用いて分析している。特に、道路投資、

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河川投資、農林水産投資に分けて分析していることが特徴である。吉田(1999) では、農業生産が与える地域への下支え効果を計量的に確認するために、全国 の地域間産業連関表を用いて分析を行っている。また、その結果を都道府県別 への影響に展開している点が特徴であり、農業生産は関連産業も含めて地域へ の下支え効果が大きいことを明らかにした。また、特定に地域を対象とした研 究として、武者(2009)、三重県、愛媛県、北海道等が存在する。武者(2009) では、関西地域間産業連関表を利用し、関西地域における大規模な公共投資お よび民間設備投資のシミュレーションを行い、結果を府県別に考察している。 一方、独自の産業連関表を用いた研究は、石川・宮城(2004)以降、小池・ 西尾(2005)、鈴木(2006)、浅利・土居(2008)、山田(2010)等さまざまな 研究がなされている。石川・宮城(2004)では、地域間産業連関表の作成の意 義と、東海地域の波及効果、道州制の区分の違いによる波及効果の違いを明ら かにしている。産業構造が都道府県間で大きく異なっていることから、地域区 分により波及効果の歩留率が異なり、望ましい道州制の区分わけも異なること を主張している。小池・西尾(2005)では、公共投資のスピルオーバーやそれ による受益の地域別帰着について空間的応用一般均衡モデル(SCGE)を用い て分析を行っている。その際に、独自に作成した47都道府県地域間産業連関 表を作成し検討をしている。鈴木(2006)では、地域間の最終需要と生産誘発 額の関係、すなわち、相互依存関係の分析ツールを開発することを目的とし、 ①地域最終需要の全地域生産への影響力、②全地域最終需要への地域生産の感 応度を定式化、③2地域間の最終需要の影響力、感応度の定式化等を行ってい る。浅利・土居(2008)では、独自の地域間産業連関表を用いて、輸出が増え た場合の地域間の連関構造から生じる格差を分析している。以上の4つの研究 については、全国の地域間の構造を明らかにするものであるが、山田(2010) では2000年の愛知県・岐阜県・三重県の東海三県を対象とした地域間産業連 関表の作成についてまとめ、その波及効果についての推計を行っている。特に 独自に作成するための論点整理が特徴である。 先行研究の多くは、地域間の交易構造を考慮したうえで、様々な分野の波及 効果額を推定することに主眼を置いているため、地域間の波及効果額の差がな

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ぜ生じているかについては、逆行列係数の値などから類推するにとどまってい る。逆行列係数の値をみることによって当該産業が与える波及効果額の大きさ については検証可能であるが、なぜその地域でその産業の波及効果が大きくな るかという点について結論付けることは困難である。そこで本稿では、地域間 の波及効果額の差について、「域内循環」の観点から接近を試みる。2カ年分 の地域間産業連関表を用いることにより、各年の域内の産業構造(経済構造) の変化が波及効果に与える影響を考察することができる。 3. 2. 分析モデル 北海道地域間産業連関表の基本構造は、道内各地域の産業は異なった財を 生産すると考え、産業連関表の取引区分を行っている。そのため道内各地から の移入は当該地域産業への需要として取り扱われる。また道外への移出入、国 外への輸出入については一括して計上されている。本稿では生産波及効果に関 するモデルについては高林・下山(2002)に基づいて作成を行った。変数の内 容は次の通りである。地域をj(1· · · J)、産業部門をn(1· · · N)と考え る。地域jの産出高ベクトル(列ベクトル)をXjとし、それらをあわせた全 体の産出高ベクトルをXとする。また、1地域が2地域より生産物を購入し たケースをA12というように表し、それらを統合した投入係数行列をAとす る8)。地域 jの生産物に対する最終需要ベクトル(列ベクトル)をFjと表し、 それらを統合した最終需要ベクトルをFとする。同様に統合した道外への移 出及び国外への輸出を表す移輸出ベクトル(列ベクトル)をEとし、道外か らの移入及び国外からの輸入を示す移輸入ベクトル(列ベクトル)をMとす る。これらの変数の表記の元で、一般化した産出均衡式は次の通りである。 Xnj = Xn1j1+ X j1 n2+ A + X j1 nn+ Xn1j2+ AX j2 nn+ AXnnjj + Fnj+ Enj− Mnj (1)  行列表示に置き換えると産出均衡式は次のようになる。 X = AX + F + E− M (2) 8) ただし、投入係数 a1111= X11 11 X1 1 となる。

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Xについて整理すると次の式になる。 X = (I− A)−1(F + E− M) (3) I:単位行列 この式では、最終需要ベクトルF、輸出ベクトルE、輸入ベクトルMを外生 変数として取り扱っている。次に、輸入Mを競争輸入型で、地域jの第n財 の輸入Mj nが、地域jの第n財に対する域内需要の合計に比例する形で輸入 係数をmj nと定義する。さらに各財の輸入係数を対角にならべた輸入係数行 列をMˆ とする。輸入係数行列を用いて、(3)式を整理すると(4)式のように なる。 X =hI−I− ˆMAi−1h“I− ˆMF + Ei (4)  この式が、公共投資の経済効果を測定する基本式となる。すなわち、公共投 資を∆F だけ追加したケースの産出高への影響は次の式で表される。 ∆X =hI−I− ˆMAi−1I− ˆM∆F (5)

4 シミュレーション

本稿の目的は、北海道を対象に地域間の経済波及効果について、域内循環の 影響がどのように影響を与えているのかについて考察することである。そのた め、予備的考察として2カ年分の地域間産業連関表を用いて、公共投資の生産 波及効果を算出し、その地域的差異を分析する。その際に、基本的なモデルと して、3節で述べた公共投資の経済効果の推計式である(5)式を用いる。2カ 年分のデータを取り扱うことによって、その変化を明確にすることが可能であ る。その後に2カ年分の生産波及効果の違いがなぜ生じるのかについて、要因 分析を行う。具体的な方法として、藤川(2005)などにおいて、国際産業連関 表を用いた分析をする際に用いられている「地域分業率」の概念を使って、地 域ごとにそれぞれの産業がどの程度自立性があるのか、その変化がどのような 理由によって変わってきたのか、変化によって生産波及効果に影響を与えてい るのかについて検討する。特に、札幌を含む道央地域以外の地域において、域 内循環が与える影響について考察していく。

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4. 1. 公共投資の経済効果 前節で述べたように、道央、道南、道北、オホーツク、十勝、釧路・根室の 6地域に100億円公共投資を行った場合の経済波及効果を計算し、それぞれの 生産誘発効果の地域別内訳について表したものが表7、表8である。 表 7  平成 10 年 生産誘発効果の地域別内訳 道央 道南 道北 オホーツク 十勝 釧路・根室 道央 (95.6%)21,324 (19.2%)4,349 (19.5%)4,416 (17.1%)3,950 (14.7%)3,341 3,431 単位:百万円 (15.1%) 道南 (0.9%)197 (79.3%)18,003 (0.7%)154 (0.8%)185 (0.9%)197 (0.5%)115 道北 (1.7%)369 (0.6%)132 (78.3%)17,753 (1.8%)411 (0.7%)149 (0.6%)129 オホーツク (0.4%)88 (0.1%)33 (0.8%)172 (77.3%)17,897 (1.8%)399 (1.6%)354 十勝 (0.7%)160 (0.6%)125 (0.4%)88 (0.7%)165 (79.9%)18,176 (1.9%)423 釧路・根室 (0.7%)166 (0.3%)57 (0.4%)92 (2.3%)538 (2.1%)477 (80.4%)18,309 合計 22,304 22,699 22,674 23,145 22,739 22,761 表7より平成10年の生産誘発効果について見ていくと、もっとも効果が大 きいのはオホーツク地域で約231億円、最も小さいのは道央地域で223億円 である。経済的にもっとも規模が大きい道央地域の生産誘発額は、その他5地 域と比較して最も低い金額となっているのが特徴である。その理由として、公 共投資の主たる投入先である建設業等の中間需要を満たすための財サービスを その他5地域よりも高い割合で輸・移入しており、その結果生産誘発額が低く なったと考える。次に、ある地域の公共投資によってどの地域の生産が誘発さ れたのかについて見てみる。括弧内の数字は、当該地域への波及効果割合を示 しており、左上の「道央−道央」の95.6%は、当該地域への歩留率を表してお り、その下にある「道央−道南」の0.9%は、道央地域で行われた投資によっ て誘発された道南地域の生産波及効果の割合を意味する。各地域の結果を見る と、道央地域のみ、95.6%とかなり高い値を示している一方で、その他の地域 はおおむね80%前後であり、歩留率はあまり大きなものになっていない。ま た、他地域への波及がどの程度行われているかについて表を横向きに見ていく

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と、どの地域同士を行っても、道央地域への波及効果が14%∼20%となり、こ れらの地域における公共投資は、当該地域の生産を誘発するばかりではなく道 央の生産を誘発することがわかる。 表 8  平成 15 年 生産誘発効果 道央 道南 道北 オホーツク 十勝 釧路・根室 道央 (94.9%)23,555 (16.8%)4,249 (16.8%)4,263 (17.7%)4,540 (17.3%)4,407 (15.3%)3,846 道南 (1.3%)334 (80.4%)20,399 (1.0%)256 (1.1%)274 (1.5%)376 (1.5%)368 道北 (1.3%)331 (0.8%)214 (78.8%)20,011 (1.6%)411 (0.9%)235 (0.7%)170 オホーツク (0.9%)215 (0.5%)125 (1.0%)262 (74.9%)19,265 (1.5%)389 (2.9%)735 十勝 (0.8%)209 (0.7%)175 (1.3%)337 (1.9%)496 (76.3%)19,401 (2.6%)648 釧路・根室 (0.7%)186 (0.8%)204 (1.0%)253 (2.8%)728 (2.5%)629 (77.1%)19,370 合計 24,830 25,365 25,382 25,715 25,437 25,138 表8より平成15年の生産誘発効果について見ていくと、もっとも効果が大 きいのは平成10年度と同様にオホーツク地域が最大で257億円、最も小さい のは道央地域で248億円となっている。歩留率についてみてみると、こちら も同様に、道央地域が94.9%と非常に大きく他の地域は80%前後と傾向は変 わらない。しかしながら、地域ごとの歩留率はかなり変化が見られる。十勝地 域では、平成10年では歩留率が79.9%であったが、平成15年では76.3%に、 釧路・根室地域では、平成10年では80.4%と8割を超えていたにもかかわら ず、平成15年では77.1%となり両地域とも3%ポイント以上の下落が見られ る。逆に、道南地域は平成10年では79.3%であったが80.4%となり歩留率が 高まっている。 4. 2. 地域分業率を用いた検討 前節でみてきたように、地域別生産誘発効果の歩留率は地域ごとによりその 変化は大きく異なる。そこで本節では、その理由について考察するために、地 域別分業率について推計を行う。地域別分業率とは、生産物の中間投入とその

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付加価値がどの地域にどのように帰着するかを表したものである9)。生産物を 生産する上で、ある地域に付加価値としてとどまる割合を自地域品比率とし、 他地域に漏出する割合を移入品比率とするものである。すなわち、この自地域 品比率や移入品比率を求めることによって、域内産の変化(域内循環の変化) が生産誘発効果に与える影響について考察できる。そこで公共投資の主要8産 業と全産業の平均値を各年ごとに求めたものが表9である。 表9において、各地域ごとの第1行目にある当該地域の部分が「当該地域 産」の比率をあらわす。いずれの指標においても、「当該地域産」の比率が最 も高い。地域間の比較を行うと、道央地域が平成10年度の平均で91.6%と最 も高く、十勝地域は、59.3%と低い値となっている。産業別に見ていくと、道 央地域においては、製材・家具が81.5%とやや低いもののその他の産業は全て 90%を超えており、ほとんどの産業の調達は域内で行われており、かなり高く 循環が行われていると考えられる10)。道南地域では、機械が70.3%、繊維が 70.0%である一方で、金属製品54.6%、建築53.0%と半分近くが他地域、特に 道央地域が4割を超えており、これらの産業は域外からの投入が大きく、道央 地域に対する依存的な産業といえる。道北地域、オホーツク地域、十勝地域で も道南地域と同様に、機械、繊維産業は比較的域内で調達されている一方で、 建築、金属製品といった産業は道央地域からの投入であり、生産波及効果が漏 出すると考えられるだろう。釧路・根室地域では、他地域で漏出が大きかった 製材・家具においても比較的高い域内循環である一方で、建築、金属製品は他 地域と同様に道央地域からの投入が高く大きく依存しているといえる。 次に、平成10年と15年の比較を行うために、2カ年のデータの差分をとっ たものが表10である。地域別に見ていくと、道南地域、道北地域は、当該地 域の割合がそれぞれ2.6%ポイント、1.2%ポイント増加する一方で、道央地域 へのウェイトがそれぞれ5.8%ポイント、5.1%ポイント減少し、域内循環が活 性化してきていることがわかる。一方、オホーツク、十勝、釧路・根室地域で 9) 詳細については、藤川(2005)p.212 を参照。 10) 本分析においては、輸・移出は考慮していないため、道外との取引関係において自立的というこ とを表してはいない。

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表 9  地域分業率 09 10 19 20 21 22 24 28 繊維 平成10年 平成15年 製材・ 家具 金属製品 機械 その他の製造品 建築 土木 運輸・通信・放送 AVG 央 道 当該地域 93.4% 81.5%道央 95.1% 95.7% 91.0% 91.3% 92.1% 93.1% 91.6% その他 6.6% 18.5% 4.9% 4.3% 9.0% 8.7% 7.9% 6.9% 8.4% 南 道 当該地域 70.0% 57.2%道央 28.0% 37.4% 54.6%43.6% 70.3%28.0% 34.7%62.4% 53.0% 58.3%43.7% 39.3% 66.8%31.5% 35.8%61.2% その他 2.0% 5.4% 1.8% 1.7% 2.9% 3.3% 2.3% 1.7% 3.1% 北 道 当該地域 69.6% 59.6%道央 26.5% 32.6% 50.8%46.9% 64.4%31.6% 56.2%36.5% 53.7% 59.6%42.1% 37.2% 30.7%66.4% 60.9%34.6% その他 3.9% 7.8% 2.3% 4.1% 7.3% 4.2% 3.2% 2.9% 4.4% 当該地域 67.5% 59.8% 50.8% 69.6% 56.2% 49.5% 55.9% 62.4% 60.1% 道央 24.5% 24.2% 43.0% 24.1% 31.1% 37.7% 34.8% 28.1% 29.8% その他 8.0% 16.1% 6.2% 6.3% 12.7% 12.7% 9.3% 9.5% 10.1% 勝 十 当該地域 64.1% 59.1%道央 28.1% 24.7% 50.3%44.0% 62.8%28.8% 58.4%33.5% 56.5% 60.4%32.6% 30.6% 64.4%27.3% 59.3%31.8% その他 7.8% 16.2% 5.7% 8.3% 8.2% 10.9% 9.0% 8.2% 8.9% 室 根 ・ 路 釧 当該地域 70.6% 66.8% 56.1% 63.7% 63.8% 59.9% 61.6% 69.1% 66.4% 道央 23.2% 20.7% 39.4% 30.8% 29.3% 32.6% 31.0% 24.5% 26.4% その他 6.3% 12.4% 4.5% 5.5% 6.9% 7.4% 7.4% 6.3% 7.2% 09 10 19 20 21 22 24 28 繊維 製材・家具 金属製品 機械 その他の製造品 建築 土木 運輸・通信・放送 AVG 央 道 当該地域 86.6% 81.0%道央 94.7% 94.3% 92.6% 91.7% 91.4% 90.1% 90.1% その他 13.4% 19.0% 5.3% 5.7% 7.4% 8.3% 8.6% 9.9% 9.9% 南 道 当該地域 64.5% 57.8%道央 29.2% 31.9% 60.0%36.9% 70.2%26.2% 59.9%34.3% 62.9% 64.6%31.0% 30.4% 63.9%30.3% 63.8%30.0% その他 6.3% 10.3% 3.2% 3.6% 5.8% 6.1% 5.0% 5.8% 6.2% 北 道 当該地域 67.2% 59.5%道央 21.6% 25.3% 38.5%57.4% 64.0%31.0% 58.7%33.7% 62.3% 62.5%29.9% 30.2% 30.7%61.9% 62.1%29.5% その他 11.2% 15.2% 4.2% 5.0% 7.6% 7.7% 7.3% 7.4% 8.4% 当該地域 67.3% 59.6% 52.7% 60.7% 51.3% 56.0% 54.4% 53.3% 57.8% 道央 19.0% 22.5% 39.7% 29.6% 33.8% 32.4% 32.6% 33.4% 29.4% その他 13.7% 17.9% 7.7% 9.7% 14.9% 11.6% 13.0% 13.3% 12.9% 勝 十 当該地域 69.6% 62.0%道央 20.8% 24.5% 52.8%39.5% 60.6%32.0% 50.2%36.9% 31.2% 31.5%57.6% 57.5% 32.6%53.4% 59.1%29.5% その他 9.6% 13.5% 7.7% 7.4% 12.9% 11.2% 11.1% 14.0% 11.4% 室 根 ・ 路 釧 当該地域 69.3% 54.2% 55.0% 61.0% 58.0% 61.1% 58.9% 57.9% 63.0% 道央 18.2% 22.7% 37.7% 28.6% 29.6% 26.8% 28.0% 26.6% 25.1% その他 12.5% 23.1% 7.3% 10.5% 12.4% 12.1% 13.1% 15.4% 11.9%

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表 10   2 カ年の地域分業率の差分 09 10 19 20 21 22 24 28 繊維 製材・家具 金属製品 機械 その他の製造品 建築 土木 運輸・通信・放送 AVG 央 道 当該地域 6.7% 0.5%道央 0.4% 1.4% 1.6%  0.5% 0.8% 3.0% 1.5% その他 6.7%  0.5% 0.4% 1.4% 1.6% 0.5% 0.8%  3.0% 1.5% 南 道 当該地域 5.6%  0.6%道央 1.2% 5.5%  5.4%6.7% 0.1%1.9% 2.5%0.5%  9.9% 6.3%12.7% 9.0% 2.9% 1.2%  2.6%5.8% その他 4.3%  4.9% 1.3% 1.9% 2.9%  2.8% 2.7%  4.1% 3.2% 北 道 当該地域 2.4% 0.2%道央 5.0% 7.3%  6.6%8.5% 0.4%0.6% 2.5%2.8%  8.7% 2.9%12.2% 7.0% 4.5% 0.0% 1.2%5.1% その他 7.3%  7.4% 1.9% 0.9% 0.3%  3.5% 4.1%  4.5% 3.9% 当該地域 0.3% 0.2% 1.9% 8.9% 4.9%  6.5% 1.5% 9.1% 2.4% 道央 5.5% 1.7% 3.4% 5.5% 2.7% 5.4% 2.2%  5.3% 0.4% その他 5.7%  1.9% 1.5% 3.4% 2.2% 1.1% 3.7%  3.8% 2.8% 勝 十 当該地域 5.5%  3.0%道央 7.3% 0.2% 2.5%4.5% 2.2% 3.1% 3.4%8.1%  1.1% 3.0% 1.4% 0.9% 11.0% 5.3% 0.2%2.4% その他 1.8% 2.7% 2.0% 0.9% 4.7%  0.4% 2.1%  5.7% 2.5% 室 根 ・ 路 釧 当該地域 1.3% 12.6% 1.1% 2.8% 5.9%  1.2% 2.7% 11.2% 3.4% 道央 4.9%  2.0% 1.7% 2.2% 0.3% 5.8% 3.0%  2.1% 1.3% その他 6.2% 10.6% 2.8% 5.0% 5.6%  4.7% 5.7%  9.1% 4.7% は、当該地域へのウェイトが減少し、その他地域への割合が増加している事が わかる。次に産業別に見ていくと、建築業において、道南、道北、オホーツク の3地域の当該地域の割合が大幅に増加していることがわかる。これは公共 投資を行う際に域内企業を優先的に選択していること等が考えられる。運輸・ 通信・放送については、オホーツク、十勝、釧路・根室の3地域で当該地域の ウェイトが大きく低下している。これは運輸部門において、当該地域の企業の 競争力が低下し他地域の企業を利用していることが考えられる。 このことからも明らかなように、各地域の道央地域への漏出率は約30%前 後と極めて大きな比率になっており、それだけ北海道内において札幌を中心と した道央地域に波及効果が集まる構造になっているといえよう。 4. 3. 域内生産重視型公共投資の生産波及効果 前節で域内循環の変化が生産波及効果を高める可能性が示唆されたが、本 節ではその影響を考察するために、平成15年の公共投資のウェイトのうち、

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表 11  ウェイト変化後の生産波及効果額(平成 15 年) 道央 道南 道北 オホーツク 十勝 釧路・根室 道央 (231)23,786 (21)4,270 (9)4,272 (9)4,531 (32)4,376 (25)3,822 道南 (138)472 (206)20,605 (18)274 (44)318 (44)419 (24)393 道北 (6)337 (156)369 (165)20,176 (5)416 (8)243 (9)179 オホーツク (3)217 (2)123 (145)408 (434)19,699 (29)360 (21)714 十勝 (6)215 (0)175 (4)333 (2)498 (263)19,664 (16)631 釧路・根室 (6)192 (8)212 (11)264 (59)787 (56)685 (360)19,730 合計 (773)25,603 (770)26,135 (677)26,059 (1,012)26,726 (564)26,001 (301)25,439 注) 括弧内は、従来の公共投資配分額との差額 8割を従来の配分通りとし、2割が地域分業率のウェイトに応じて配分される ケースについてシミュレーションを行った(表11)。具体的な按分方法として、 表9であげた8業種について、産業別に分業率の平均値からの比率を算出し, 当初金額の8割の値から加減算して算出した。その結果、道央地域では土木が 7,464から6,273へと減少し、逆に金属製品が2から287に運輸通信が21か ら289へと増加し、これらの値を用いて生産波及効果を算出する。これは、地 域分業率が高い地域に高い公共投資を行うことであり、政策的に域内循環を誘 導する政策と考えられる11) 各地域の生産波及効果総額を見ると、全ての地域で金額が増加しており、域 内循環の増加は生産波及効果にプラスに寄与することが考えられる。また、当 該地域への影響を見ると、通常の公共投資と比べてオホーツクでは434(百万 円)大きくなり、最も小さい道北地域でも154(百万円)大きくなることがわ かった。このことから、域内循環を活性化させることによって全体の経済を活 性化させることが見て取れる。 11) 実際に、供給制約等から該当する金額全てが行えるとは限らないが、比較検討のために試算して いる。

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5 おわりに

本稿では、北海道地域間産業連関表を用いて、域内循環の影響がどのように 影響を与えているのかについて検討してきた。その中で明らかになった点は以 下の通りである。   ① 公共投資の生産波及効果は、経済の中心地である道央地域は低いもの の、他地域で公共投資が行われた場合の流入は非常に大きく、道内の 各地域は道央地域への経済依存構造が強いこと   ② 地域分業率を用いた検討により、域内企業の自立性を高めることに よって、生産波及効果をより高める可能性が示唆されたこと これらの結果は、現在の北海道が進めている域内循環を高めるための政策を 支持するものであるだけでなく、今後の道州制を考えた上でも州都以外の地域 でもそれぞれ特徴のある自立性の高い産業を育成することの重要性が示唆され たといえよう。まさに本稿の貢献は、道州制への移行によって中心地域だけ開 発投資が行われ、地方圏の衰退あるいは地方圏との格差が生じることが懸念さ れるが、地域特性に応じた域内循環を活性化させるような産業育成、支援を行 うことによって、全体の経済活性化が達成されることを実証的に明らかにした ことといえる。 本稿の残された課題は次のとおりである。第1に、域内循環を高めるための 企業の自立性に関するより実態に即した調査が必要であることが挙げられる。 本稿では、自立性を高めることが生産波及効果を高めることは示唆されたが、 企業の取引構造が実際にどのように行われているのか、アンケート調査等を用 いた調査を行う必要がある。たとえば、帝国データバンク等では主要取引先を 調査しており、それらのデータを援用することも考えられるだろう。第2に、 本分析では6地域間でのインバウンドのみを考慮したが、より細部に分類する ことによって市町村の政策運営、連携の在り方に関する情報を提供することが 可能となるだろう。そのためには、市町村ごとの地域産業連関表の作成が必要 と考える。

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(8) 宮城俊彦・石川良文・由利昌平(2002)「地域内産業連関表を用いた都道府県間 産業連関表の作成とその利用」第 26 回土木計画学研究 (9) 武者加苗(2009)「関西地域における投資の影響─ 関西地域間産業連関表によ る計測 ─」『関西学院経済学研究』第 39 号、pp.123-147. (10) 山田光男(2010)「2000 年東海 3 県地域間産業連関表の作成」『中京大学経済学 論叢』第 21 号、pp.59-82. (11) 吉田あつし・井田知也(2002)「比較優位,集積の経済と地域間交易パターン」 『応用地域学研究』第 7 号 (12) 吉田泰治(1999)「地域間産業連関モデルと県別モデルによる農業生産の波及効 果の測定」『農業総合研究』第 53 巻 2 号、pp.99-122. 統計資料 北海道開発局『地域間産業連関表』平成 10 年版、15 年版 総務省『市町村税課税状況等の調』各年版 農林水産省『生産農業所得統計』各年版 経済産業省『工業統計表 市区町村編』各年版 経済産業省『商業統計表 産業編』各年版

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付表 1  地域区分と主要都市 区分 支庁名( )内は主要都市 道央 石狩(札幌市) 後志(小樽市) 空知(夕張市) 胆振(室蘭市) 日高(日高町) 道南 渡島(函館市) 檜山(江差町) 道北 上川(旭川市) 留萌(留萌市) 宗谷(稚内市) オホーツク 網走(網走市) 十勝 十勝(帯広市) 釧路根室 釧路(釧路市) 根室(根室市) 付表 2  産業分類と按分基準 産業分 類基準指 標統計資料 耕種農業 農業産出額 生産農業所得統計 畜産 農業産出額生産 農業所得統計 林業 農業産出額生産 農業所得統計 漁業 農業産出額生産 農業所得統計 鉱業 製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 と畜・肉・酪農品 製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 水産食料品 製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 その他の食料品 製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 繊維 製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 製材・家具 製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 パルプ・紙 製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 出版・印刷 製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 化学製品製 造品出荷額等 工業統計表市区町村編 石油・石炭 製品製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 皮革・ゴム 製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 窯業・土石 製品製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 鉄鋼製品製 造品出荷額等 工業統計表市区町村編 非鉄金属一次製品 製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 金属製品 製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 機械 製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 その他の製造製品 製造品出荷額等 工業統計表市区町村編 建築 事業所数事業所 企業統計 建設補修 事業所数事業所 企業統計 土木 事業所数事業所 企業統計 電力・ガス・水道 事業所数事業所 企業統計 商業 年間商品販売額(小売) 商業統計表産業編 金融・保険・不動産 事業所数事業所 企業統計 運輸・通信・放送 事業所数事業所 企業統計 公務 課税対象所得 市町村税課税状況等の調 公共サービス業 課税対象所得 市町村税課税状況等の調 サービス業 年間商品販売額(小売) 商業統計表産業編 事務用品 課税対象所得 市町村税課税状況等の調 分類不明 課税対象所得 市町村税課税状況等の調

表 2  産業別自給率 区  分 S45 S55 H2 H7 H12 H15 産業全体 0.59 0.51 0.46 0.44 0.4 0.39 農  業 0.8 0.78 0.73 0.76 0.72 0.76 林  業 0.84 0.82 0.72 0.77 0.74 0.67 水 産 業 0.85 0.77 0.83 0.81 0.82 0.81 鉱  業 0.44 0.23 0.24 0.39 0.27 0.22 製 造 業 0.54 0.48 0.41 0.38 0.35 0.34   出所:北海
表 5  各地域間の交易の割合 道南 道北 オホーツク 十勝 釧路・根室 道央 17.9 22.4 13.3 13.7 12  道南   1.5   0.8   1.5 1.1 道北   2.1   1.8 1.8 オホーツク  2 4.5 十勝 3.6 いずれも 10% を超えており、その合計は 79.2% と北海道の経済において「道 央」が中心となっていることがわかる。一方、 「道南−釧路・根室」間及び「道 南−オホーツク」間の交易は、それぞれ 1.1% 、 0.8% と道内各地域間の中で特 に小さい。
表 9  地域分業率 09 10 19 20 21 22 24 28 繊維平成10年 平成15年 製材・家具 金属製品 機械 その他の製造品 建築 土木 運輸・通信・放送 AVG央道当該地域 93.4% 81.5%95.1%95.7%91.0%91.3% 92.1%93.1% 91.6%道央─────────その他6.6%18.5%  4.9%  4.3%  9.0%  8.7%   7.9%  6.9%  8.4%南道当該地域 70.0% 57.2%54.6%70.3%62.4%53.0% 58.3%66
表 10   2 カ年の地域分業率の差分 09 10 19 20 21 22 24 28 繊維 製材・ 家具 金属製品 機械 その他の製造品 建築 土木 運輸・通信・放送 AVG 央道 当該地域 6.7%   0.5% 0.4% 1.4%   1.6%  0.5% 0.8%   3.0% 1.5%道央───────── その他   6.7%  0.5%   0.4%   1.4%  1.6%    0.5%   0.8%  3.0%   1.5% 南道 当該地域 5.6%  0.6%   5.4% 0.1%
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