五
井
蘭
洲
﹃
萬葉集詰﹄中︵翻刻︶
北
谷
幸
冊
萬葉集詰 四 五 六 と有。いはひは ︵ 内扉題︶ ︵一オ︶ 草 木穀菜 なといふ草の冬は赤くて春は青くなる類か。 以 いつもの花仙云、いつはほむる詞。藻の花也。見 いはとかしは 石と柏と也。諸説分明ならす。石の 一 安 云、出藻。 異名といふ説まされり。 87いつしは 市柴又櫟柴又五柴とも書。いつかと云に は はる 春ははりつ﹀秋はちり来ると有。木の葉也。 一 かけたり。いちひの柴なり。 はりは木の芽のはり出る也。此寄木の葉をいは いうつきあふ 草木の露霜にそむるなり。 すしてかく詠り。 い は小すけ 岩根に生する菅也。 はき 秋はきとも、さのはきとも。榛の字用ひたる いちしの花 契云、蓬菓也と。いちこの事也。これ ははりの木なり。ものを染る物也。芽子の字用 仙説也。季云、八雲抄羊蹄といへり。和名しふ ひたるは常のはき也。これも衣にすりつくる也。 草 又 し也。愚案に、今俗其根をしのねといふ。 又紫草と書たる有。これ又染草也。又今俗よめ いはつな 石綱と書。諸注分明ならす。愚案一種の のはきといふも寄に詠るとみえたり。甚混して ものx名なるへし。下のつ﹀きは又わかえつ㌔ 分明ならす。 五 井 蘭洲﹁萬葉集詰﹂中︵翻刻︶
五井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶ はなちらふ 花のちりかふなり。 はまひさき 濱にある椴也。又古木をいふとも。 ︵ 一 ウ︶ はまな 礒菜と同し。 はたす・き 穂に出てなひくか旗のこときなり。 はまつxら はき原榛原と書。はりの木也。東国にてはんの木 はなつま 花の間也。 といふ。 はれる柳 芽のはる柳也。 はまゆふ みくまの﹀浦の濱ゆふも﹀えなる。 はなえみ 花のひらく也。 はまおき 神風のいせの濱荻とつ﹀<。 ホ にのをなす 凡種の出る時、すこし赤き故いふと也。 はねす 色のうつろひやすきとつx︿。はねすは未 につ﹀し 赤きつ﹀しなり。
詳。朱花といへり。朱花は蓮也。紅蓮は白にう ︵ニウ︶ 一 つりやすき故にいふか。采要云、木芙蓉と有。 にこくさ いつれにも柔なる草也。花とも詠り。十 88 はなかつみ 菰也。愚案、菰には花なし。花菖蒲な 六巻に詠るは萩ならんと契云。 一 らん。 にほひ 秋の葉のにほへる時と有。秋の木の葉の色 はなつま 萩の花也。鹿によせていふ也。鹿のため つく也。いにしへは色あるをにほひと云。又春 に 萩 はつまのことし。 花の匂ひさかへて、又秋のはのにほひにてれる はつもみち 初紅葉也。 とも。 ︵ ニオ︶ 保 ほむけ 穂のむかふ也。秋田のほむけのよすると はなす﹀き 契云、おほくはたすxきと詠り。はな つx<。 す﹀きとはた﹀一首あり。 ほたち 秋の田のほたちと有。稲穂の立也。 はなくはし 草木の花をほむることは也。 ほたて ふるからとつ﹀く。蓼の古きからより生す
る也。 いふは神仙の境を云言にて其実事は上国をさ ほよ 山のこぬれのほよとると有。季云、寄生とい す。只唐也。 へり。葛なとのやとりたる也。かつらの類也。 ︵三ウ︶ かさしにすると有。 ち ちりのまかひ 花のちりまかふ也。 ほ﹀かしは 厚朴也。 ち﹀の実 ち﹀といふ木あるよし也。仙云、楊梅に ︵三オ︶ 似てくるみの実のことき実ありといへり。父を と ときしくのかくのこのみ ときしくは非時と書。時 いはん奥のことなり。 わかぬこ﹀ろ也。かくは香はしき也。橘也。 於 をみの木 もみの木なり。
とかの木のいやつきく とかはとこと同し。とか をにのしこ草鬼の醜はかさね詞也。こxは忘草を 一 といふ木にかけてかはらぬことをいふ。 しかる言なり。わすれ草にはあらておにのしこ 89
ときわ 契云、常盤なれはときは也。橘をほむるな 草なるかえ忘れぬと也。しこほとxきす、しこ 一 れは、とこは成へし。は﹀葉也。常に葉あるゆ のますら男、皆同し。 へなり。 をはき 春野のをはきつみてにらしもと有。うはき とこはな 橘はとこはなと有。常に花さけかしと願 ともよめははき也。 ふ 也。 おふくさふし さを鹿のおふくさふしと有。 とをのたち花 たち花の数多き也。季云、遠方の橘 おもひ草契云、此草たしかならす。先は竜臓とい 故 也
と。 ふに
とふさたて あしから山とつ﹀く。 ︵四オ︶ とこよものこの橘 とこよの物也。すへてとこよと よると。 五井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶五 井蘭洲﹁萬葉集詰﹂中︵翻刻︶ おほゐ草 大藺草といふ心か、しからは蒲のことか ても同し。仙云、かきつはたといへり。 と契説也。愚案、今つくもと云草あり。是なる かしのみのひとり かしの木の実は、からにひとつ へ し。 のもの也。故にひとりといはんとていふなり。 おとこをみなの花 ものxふのをとこをみなの花と かけくさ 山かけくさ、又岩、又水かけくさの類也。 有。仙云、おほとちと云草也。是を男女郎花と もの﹀陰なる草なり。 云 とあり。袖中云、おほとちは、花をみなへし かへ草 壁に生する草也。季云、諸説かきにすへき に似て白し。されはおとこへしともいへり。 草と也、外に正義ありと。 お ﹀り 花さきお﹀りと有。花のさきおほひかさな ︵五オ︶ るなり。 かり菰苅也。契云、菰をむしろとするより直に名 和 わ かたち 萩のわかたちと有。末のわかき葉也。萩 つく。 90
に て い へり。 かたかこの花 不詳。かたかしといへるは誤りと契 一 わさ田かりかね 早田をかるころ雁の来れはなり。 云り。季云、つ﹀しに似たりといふ。 わさほのかつら 早稲の穂のなかくてかつらのこと かたらひ草 態藝門。 き也。 かりそけ 同右。 ︵四 ウ︶ かふご 轟部。 加 か
るかやのつかの間時候門に出す。 田たま藻江海の藻をほむる詞也。
か つら わかxつらきと有。楓の字をかつらとよむ。 たまかつま か らあゐの花 たむけ草草にあらす。松にても神に手向るをいふ。 か ほはな 野邊の容花と有。一名ならす。いつれに 凡草といへは木をこむるなり。たえの穂 契云、たえは白き也。穂はあらはれ出た つまxの木 まつといふより、妻をまつと解り。一 るを云。白く 種の木の名にあらす。 ︵五 ウ︶ つみ さ枝とつx<。契云、桑也と。 ハマこ みゆる也。こ﹀は霜をいふり。愚案、白き穂也。 つまx 不詳何木。 す xきならん。 つき草 うつろひやすきと有。物にすりいれてさて た まもなす なすは如也。玉藻のことくなり。 外の物へうつすにうつりやすし。又かりなる命 た まかつら みならぬとつ﹀︿。玉かつらは実のな とつ﹀︿。契云、月草は朝に咲て晩にしほる﹀ らぬ物とみえたり。又影ともつ﹀く。かつらを 故かりなるといへり。愚案、月草はあゐ花也。 置たる姿のうつくしき也。又たゆることなくと 紙にうつし置て外へうつす故、かりに染て置也。 も。 早くしほむをかりとは云へからす。季云、此花 田
たまxつかえ 松を賞していふ。 月影にさけは月草といふと有。朝露をさきすさ 一 津 つらくつはき こせ山のつらくつはきつらく ひたる月草のひたくるともにけぬへくおもほゆ は、連る也。つはきの花は、おほくつらなる故 ︵六ウ︶ なり。 はやくしほむ故かりといふも可也ともいはむ つきの木槻の字なり。 か。 つちはり 草也。物を染る草也。和名に王孫也と。 奈 なゆたけ 柔竹也。女竹也。とをよるとつx<。た つほすみれ はむ故なり。 ︵六オ︶ なき うえこなきと有。又なきのあつものとも。延 つ はなぬく 浅茅かはらとつ﹀く。 喜式には供御にそなふと有。今の水あふひの事 五井蘭洲﹁萬葉集詰﹂中︵翻刻︶
五井蘭洲﹁萬葉集詰﹂中︵翻刻︶ といふなり。 むくらふ むくらのしけりたる也。 なてしこ 石竹と書り。 宇 うえ木 こまとつ﹀<。前に植る木也。こまは木の な﹀ふ菅 七相菅と書。見安云、姿斜なる菅也。又 間也。 天 によそへていふ。 うつ麻苧 麻を打てほそくするなり。服食門。 なのりそ 又ひつき野邊なるなのりその花とも有。 うはき 草の名なり。契云、これはよめかはき也。 契云、花は春さくか、必しも海底に生するもの 季云、義なり。をはきともよむ。 にあらさるか。 ︵七ウ︶ なはのり 縄海苔と有。 うれわ﹀らはに 末のわか葉也。わx誤り也。わく なつそひく うなかみかたとつ﹀く。うは苧也。夏 らは也と契云。 に成て く くさむさす 草の生せぬなり。むすは生也。 92
︵七オ︶ ︿xめり 梅もく﹀めりと也。又ふくめりとも、又 一 麻 を引ぬくなり。 ふ﹀めりとも、つほみの事なり。 なからへちるは 花のちるを水のなかる﹀心にいへ く﹀たち 蔓蕎の茎のたちたる也。かみつけのさ り。 のx<xたちおもはやしと有。 む むらさき あかねさす紫とつ﹀く。紫も赤き類なる や 山すけのみならぬ 山菅の実ならす也。 故 かくつつけたり。又花ともつxく。但これは 山たちはな 平地木の類也。俗にやふかうしと云。 別 也。萩をいふなりと。 やなきの眉 柳のわか葉をいふ。 むすひまつ 有馬皇子賜死時の故事也。 やまちさ 仙云、田舎人はつさの木といふといへり。 む すき杉の名なり。 季云、いほたに似たる木也と見安にいへりと。
︵八オ︶ こ こつみ 木屑と書。ちえの浦わのこつみなすと有。 ま まつか枝のさかへ 松柏の栄へ也。 又糞の字を用ゆれと尿にはあらす。木のきりく まきのつまて つまては木のうつくしきなり。 すこけら也。浪にゆらる﹀もの也。 まきさく 木をさくなり。 こちくの枝 つきの木のこちくの枝とつ﹀<。 まきたてる 大木のみことにしけり立る也。木の名 こちくは、をちこちの枝なり。季云、ことく にあらす。 くの枝也。 まゆみ あた﹀らまゆみと有。陸奥の名所。 こたるまて 木の枝のふりてたる﹀なり。 まこ枝木の小枝なり。 こむら 木の茂りたる也。草むらに同し。 ふ ふ﹀りたりとも 花のつほみたりとも也。 こい草態藝門に出。 一 ふ せ 木 をしふみと有。山中の倒たる木ををしなへ ︵九オ︶ 93
て 行也。又ふせに禁の字を用ゆ。しかれは人を こぬれか下 樹木のおほき下也。木末の下也、季説。 一 通 さぬ防禁の木のあるをかまはすとをりゆくと こすけ おき中のとをちの小菅と有。 もいふへし。 こぬれ花さき 木のうれ花咲也。うれは上也。木末 ふ か みる 海底のみるなり。 と書。 ︵八ウ︶ こぬれかくれ こぬれは木村也と季云。 ふちなみの思ひまとふ 藤つるの木にまとふより云 このまたちくき ほと﹀きすの木の間をとひく﹀る 詞 也。 なり。 ふゆ木上にふる雪と有。冬葉の落たる木なり。又 このてかしは 児手のこときかしは也。又やひらて 冬木の梅ともあり、葉の落る木なれはなり。 ともいふ。西行の寄に、このてかしはの花咲に 五井蘭洲﹁萬葉集詰﹄中︵翻刻︶
五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹂中︵翻刻︶ けりと詠るは別物なりと季説也。愚案に、かし あえたちはな 契云、今の花柚のことをいふかと、 はは裾也。やひらて同し。葉の形手のひらに似 袖中抄に云 たり。神の供物をのするもの也。延喜式に乾裾 ︵一〇オ︶ 青裾と有。このてかしはx葉の小なる也。すへ 食経云、榿和名安倍太知波奈似柚而小者也。又 て裏表のもやう同しき葉也。今聲家物産家側柏 格物論を引て榿橘属樹高枝葉不類別橘又有刺大 といふも誤り也。柏は 者如杯苞黄皮厚香氣複郁可以薫衣可以漬密真佳 ︵九 ウ︶ 果也。又あゆるみとも有。是橘の実を云。仙云、 皆 檜の類なり。 たへたる実なり。たちはなは次の年花さくまて 江
えたもとを、に 枝のたはむ也。こxは萩にて云。 堪てあるこのみといへり。あゆるは交る也。実 一 えく 菜の名。契云、芹也。新六帖えくに半夏と書。 のおほくて交るなり。 94
えの実 わか門のえの実と有。榎樹の実なり。 あきの穂 稲穂なり。 一 安 あし引の木の間 あし引を直に山とせり。 あきかしは ぬるや川邊と有。秋柏とあるを契沖は あはをによりて 玉の緒をあはをによりて、水の泡 あさかしはと詠り。ぬるといふは、葉のしほみ はむすふゆへあはをと云。契云、あはをといふ いることか。朝いまた葉のひらかぬなり。 一名かと云。季云、あはせたる緒也。 あしに 大舟にあし荷かりつみと有。芦を苅て舟に あしひ なすさかへし君かと有。仙云、あしひとい つみ ふ木あり、能さかへる木也といへり。又あしひ ︵一〇ウ︶ の花とも有。あせみなりといへり。第七巻にあ たるなり。 しひとあるは別か。 ありますけ
あをやなき 翠柳也。 と。 あさ菜朝に菜をとる也。 さくら麻桜さくころ種まく麻也。をうとつΣ<。 あをな 蔓蓄と書り。 麻と苧との縁なり。 あしつき 注に水松也といへり。 さす竹 契云、さ﹀竹のことか。季説同意十五巻寄 あから橘 たち花の実の赤き也。あかる橘也。うす に大宮人とつ﹀<。此季注に此集の秘訣なりと。 にさしつxとあり。 さすやかん さすは小竹也。さxをたき物にするは さ さねかつら 後もあはんとつ﹀く。かつらは色く 貧家なれはこや にはひゆきて後には又一所にもなるものなり。 ︵=ウ︶ さき草 中にを寝んと有。三枝也。其中にいぬると と受たり。 なり。又 さきをせる 花のさかりとなる也。 弱
︵=オ︶ さにつらうもみち さには赤土也。朱也。つらふは 一 春まつさき草と有。季云、桧木也。さい草とも 助語也。赤き紅葉といふ事なり。 いふ。 さき竹 そかひにねしそとつ﹀く、そかひはそむく さしすき くるすとつxく。直に立たる杉也。指進 なり。さき竹は、竹をわれはうしろあはせにな とかけり。杉にはあらすともいへり。季云、さ るとや。うしろむきて男女のいねたる也と季説。 しつくとす。栗の縁也。 さきをせる 花さきをせる也。季云、さく事をする さね木 契沖云、真木と云心、又さね木の花と有。 也。愚案、さきからむらせる也。 諸木の花也と、季云、さね木の花はねむの木也 さ わか草をとれると有。さは草也。 と。又ちいさき枝ともするなり、又季云、柳也 さすやなき 根はると受たり。柳の枝をさせはよく 五井蘭洲﹃萬葉集詰﹂中︵翻刻︶
五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶ つきて くさ花とも有。 二 ニ オ︶ みつ枝さし 木は左右へ枝さし中に身木ありて三枝 根 のはるゆへなり。さし柳とも。 也。さいくさとは是なり。季云、わかき枝と云。 起 きはむ木の葉 秋山にきはむ木の葉。 みつくり 栗の実は多く三つありて中なるか大な 由 ゆう花 木綿花と有。見安云、木綿花といふ木あり、 り、故に中といふ枕ことはに用ゆ。 花如芙蓉如朱杯子、童蒙抄云、同上。 みつかけ草 水邊の草なり。 ゆうかけ草 暮ころかけろひたる所の草なり。 みつ蓼 穂つみとつ﹀<。 ゆたねまき あらきの小田と有。種ものをぬる湯に みかさにぬへる菅
漬 まけは生しやすき也。季云、ゆは五百也。種々 ︵一三オ︶ 一 のたなものなり。又ゆたけき種とも。 みしますけ 96
ゆきあひのわせ 凡両方より出合ふ事を行合とい みよし野﹀みくまか菅 一 ふ。両人して植たる稲田か。 みる 海松菜也。又ふかみるとも、又またみるとも ゆさ﹀ ゆは、い・をの合せたる也。五百也。おほ 有。ふかはふときなり、または岐のおほき也。 き詞也。さは小竹也。 之 しのを﹀しなみ しのは繁き也。しけく押並て也。 ︵=︸ウ︶ しのにといふへきにをといふは古語の例也。又 米 めさまし草 目に見てよろこふ草也。暁の目覚くさ しのは小竹也。小竹を押ふせしきものとすとも と有。一草の名にあらす。 みるへし。 みくさ 真草也。草を賞していふ。みくさかる信濃 しらゆう花 器財門に出す。 ともあり。又諸草とも、すxきともいふ、又み しのすxき くめのわかことつxく。
しらつ﹀し 白螂燭也。 君にごひしなへうらふれなとxあり。 しつ菅 河の静菅と有。川水の深き所に生したる也。 しの 夏山の梢のしのとあり。繁の字を用ゆ。梢の ︵ =ニウ︶ 茂み也。 しの﹀め 築の上なり。 しきみか花 おく山のしきみか花と有。しくくと したり柳 云を受たり。 したひ 秋山のしたひか下とつ﹀<。紅葉にてひか 比 ひとよ 花の一重なり。 る也。 ひさき 木の名。去年さきしと有。一説に、古く久 しり草 契云、藺なるへし。仙云、鷺の尻刺といふ しき木なりと。 草なり。藺の一名なり。 ひえ 稗也。稲にましりて生するも長するま﹀にえ した草軒の下くさと有。契云、しのふ草也。愚案 らひぬかる﹀なり。 97
今正月に用る山草をしたといふ、形大小の違ひ ひる 蒜なり。 一 に てよく似たり。こ㌔のしたは下の字の心にあ も もと葉 萩のもと葉は色つきにけりと有。もと葉の らす、しだなり。かれは山にあるした草なり。 紅葉とも有。 是 は人家の軒にあるしたくさなり。 ︵一四ウ︶ しなひ 萩のしなひと有。枝たはみたる也。藤のし もかり舟藻を苅とる舟也。 なひ、柳のしなひと同し。こ﹀は女子の姿の島 もゆる 春の柳は萌にけるかもと有。 梛 たるにたとふ もみつる楓 もみちする楓なり。かへるてともよめ ︵ 一 四オ︶ り。蛙の手に葉の似たれは也。もみてるとも有。 又萎をしなひとよむ、しなびしほたれたるなり。 もみたす 紅葉する也。もみたひにけりとも、又も 五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶
五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶ み つとも。 すけの実 是は山菅也。饗門冬なり。 もすの草くき 奥義抄の説用ゆへし。はやにえとは すゑつむ花くれなゐのすゑつむ花と有。紅花なり。 別也。 ︵一五ウ︶ もxさ㌔ 小竹のおほきなり。 鳥獣轟魚 もいつく 殖の字也。多くふゆる也。 以 いさな とり海邊とつ﹀<、又あふみとも。いさは もくさく 岩つxしもくさくと有。もくは茂く也。 勇なり、なは魚也、海中湖中の大魚也。鯨にか 契沖云、もくは木工と書り。季云、もくは仙覚 きらす、勇魚とも書り。季説に礒菜取と義をと 点也。古点にこくさくと有、色の濃くさく也と る所有。 云。又夫木集後九条 いるし﹀の 心をいたみとつ﹀く。人に射られたる ﹁ ︵ ↓ 五 オ︶ 鹿也。 98
殿 寄に、 いそ貝 あはひ貝也。からの片ζある故に片恋とい 一 秋 の日のいその浦わの海士人はきくさく道に塩 ふに詠り。 やくむらん いかるか 鳩の類なり。 となり。是は木工をきくと讃故也。かたくう いをつとりたて 朝猟にいをつとりたて暮狩にちと たかはしきなり。文選の中に茂の字をしけくと りふみたて はよますして必もくとよめり、片山のもむ楡と いとらかこゑ 季云、うつらの声なりと。 有。このもむも茂のこ﹀ろ也といへり。 ︵一六オ︶ マこ もxよくさ 月草也。百夜花さくゆへなり。 半 はふれにちらす 鳥に羽にふれて花のちる也。 須 すかの根のねもころ はなちとり はなち飼いにかふ鳥なり。
はねきる 鴨そはねきると有。羽たxきをする也。 とあみ 鳥をとるあみなり。 は いま 早馬也。はいま路とつ﹀<。駅馬なり。 ぬ ぬえことり こは助字也。怪鳥也。かたこひのつま はふり 鳴鴨を詠り。羽をふるひなく也。 又のとよひをるともつx<。 はつこゑ ほと﹀きすのはつ音なり。 ︵一七オ︶ はつかりの使 人倫門。 を をちもかやすき 鷹の鳥をうつことのやすきなり。 はつとかり 態藝門。 をまにふつまに 牝馬肥馬也。ふつはふとなり。 保
ほつたか心に得たきと欲する鷹也。 をしとたかへ
と とひく﹀ 鳥の飛く﹀るなり。 わ わかゆ わかき糸魚也。わかゆつるとつ﹀<。とりか鳴 あつまとつ﹀<。袖中云、東南の天難初 わすれ貝 三津の濱なるわすれかひと有。 一 て 加 かりしもの 隔也。折木四芙之と書。契沖の説也。 99
二 六ウ︶ かまめ 鴎鳥也。かもめなり。 一 なくに、天下の鶏みな鳴といへは、東国をかく かもしもの しものは助語也。只晃といふことは也。 つ ﹀けたり。 かもの羽かひ かいは羽の上を云。今もかいかたと とかり 態藝門。 いふ也。 とりへなす 鳥の飛ふことく也。 かほとり まなくしは鳴とつ﹀<。何の鳥ともしり とくらたて 凡鳥のすむ所也。又ゆひともつx<。 かたし。見安云、むしはみと云り。てらつxき とりをしも 契云、を﹀しものと讃へし。鳥は馬の なり。 誤 りなり。をのこしきものにて婦人のことく小 ︵一七ウ︶ 児をいたくなり。 かけのたれを 庭つ鳥かけのたれをのしたりをと 五井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶
五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶ つ x<。 愚案、寄人の家に偉受といふなれは何の鳥とも か こ 海中にかこそ鳴なると有。鹿子と書。舟中に しらぬとてすむ事也。契沖、長流ともに何の鳥 て 鹿 を聞なり。一説かこは鳥の名、鴨とも、又 ともいはぬは尤さあるへき事也。それはそれに 舟子の寄なりとも有。 して此鳥は鳩なり。春に定むるは泥みなり。 かこしもの 鹿弼也。しもは助字也。かことはかり 大伴郎女吾に、 も。 よのつねにきくはくるしき呼子鳥声なつかしき か た山きxす 山側推也。 時にはなりぬ か ㌔なく鷲 わしのなく声也。季云、わひ鳴也、又 とあり。しかれは季をもたぬ鳥なり。 こxら鳴也。 よこゑ 杜鵠の夜鳴声なり。
か も おきつ鳥かもといふ舟と有。水に淀もの故舟 ︵一八ウ︶ ⋮⋮
の 異名とす。 よからす 夜鴉也。 一 か ふ ご 桑子也、誓なり。 よこもり 態藝門。 かけろふ ゆふへとつ﹀<。蜻蛉は夕をまたぬゆへ 太 たかへ 鴛鳶とたかへと有。小売也。 也。又一説天象門に出。 たつのま 竜馬なり。 ︵ 一 八オ︶ たつかねの 鶴の鳴声也。今朝なくなへにとつ﹀<。 与 よふことり 契云、この鳥万葉にあまた出たり。古 たちこも さはきとつ﹀く。起党也。 今集は春部に入て只一首あり。寄人傳受するこ つ つなし とる比美の江と有。魚名。 と也とそしりて扱何の鳥ともいはす。長流云、 つるむら 鶴群也。あまのつるむらと有。 こは付字也。人をよふことく鳴鳥也といへり。 南 なつらす 魚つるなり。
なくとひとつく ほとxきすなくとひとつくと有。 ︵一九ウ︶ む むさ﹀ひ こもり声になくなり。 ︵一九オ︶ く くそふな 鮒の一種也。 むなわけ さほ鹿のむなわけと有。草を分る鹿をい や やかたをのおほくろ 白ぬりの鈴とりつけてと有。 ふ。 鷹をいふ也。季云、矢に似たる尾のあるをいへ う うまそつまつく 人にごひらるれは乗たる馬のつま り。一説八の字の形のふのある尾の鷹なるへき つくなり。 か。大黒はたかの名なり。 うまたきゆき たきはたくる也。馬のたつなをたく ま まとり すむうなてと有。まとりはしまつ鳥也。鵡 り行なり。 也。麦は海とつxく。
うち羽ふり難の羽たxきなり。 不 ふつ馬 ふとむまなり。肥る也。 皿
うらへすへ亀もなやきそ ト部をまうけて亀トをす ふた 夫駄と有。荷馬也。是は音を用ゆ。いかxと 一 るに及はぬとなり。 おもへとかxるものには和訓なくて漢語を用る うまつからしに 往来に馬のみつかれてせんなきな 例おほし。 り。 ふもたし 器財門。 うくひすのをと 鶯の声なり。 ︵二〇オ︶ うけ 器財門に有。 己 こふるとり いにしへにごふる鳥と有。時鳥をいへ うえをふせ置 同右。 り。 の のとよひ ぬえ鳥ののとよひと有。鶴の声はのと声 こまをり 器財門。
とて ことひ牛雄牛也。
五 井蘭洲﹁萬葉集詰﹄中︵翻刻︶五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶ こふこのまゆこもり 篁繭にこもる也。 こ﹀うか、契云、敵を見たるなり。 こまのつめいつくきはみ 馬蹄のあとつくかきりな あひき 漁人の網引なり。 り。 あちむら 小売也。今もあち鴨と云。千万群をなす このまたちくき 杜鵠の木の間をとひくxるなり。 もの也。又いさとつ﹀<、友をさそふ也、又さ 安
あみとり網にてとりたる鳥なり。 はきともつx<。
あさふますらん 朝に馬をあゆませ行なり。 ︵二一オ︶ あはひの貝 片おもひとつ﹀く。鰻は軍殻なり。 あゆこさはしり 小鮎也。さは助字。 あしかに 葦間にすむ蟹なり。 あきつ 見安云、村鳥の名也。 あかく 吾こまのあかくとあり。足にてかく也。こ あらくま 猛熊なり。 まのあゆむ事 あさからす 夜あけからすなり。 皿︵二〇ウ︶ さ さかとり 坂をとひごゆる鳥也。 一 なり。又青こまのあかきのはやみとも。 さはへなす さはくとつ﹀く。五月蝿のことくなり。 あやしき亀 文負る神亀と書。洛書の事也。 さのつとり 野の鳥なり。 ありかよふ 蟻の同し道を行通ふ也。それを人の往 み みなわた みなと云貝は腸の黒き故髪にいひかけた 還 茂 きに比していふ也。又とりはなすあり通ひ り。此説契沖とらす、しかれとも又分明ならす。 つ xとも。 みすみのつほ 鹿の耳は御墨の増といへり。 あし すむすさの入江と有。八雲云、鰺といふ魚也、 みかさのはやし 鹿の角を用ることくみえたり。は 又一説に鳥の名。 やし あたみたるとら ほゆると有。あたみたるはにらむ ︵二一ウ︶
は用ゆること也。つみはやしみはやすのこ﹀ろ ことはとする也。季云、此時はみなかとりと古 賞するなり。季云、林の字の注分明ならす。 点の通りによむと云。新点はしなかにて、仙説 み ゆ み の ゆはす 爪を弓の頚に用ゆるか。 は猟者の名なるへしといへり。 み は このかは 鹿の皮を御筥にきせるとみへたり。 し﹀くしろ よみといふにつ﹀きたり。肉奇也。に み ふ て の 林 鹿毛を御筆の毛に用る也。 くの味のよきなり。 みなまの林 鹿肉は御謄に用る也。肝をも用ゆとい しこほと︾きす うれたきやしこほとxきすと有。 へ
り。 橘を
みしほの林 ︵二ニウ︶ みなとのすとり ほとxきすのちらすをにくむ寄也。きのとくなみ かもなす ふたりとつx︿。水晃のことくふたつ る事成にくきほと﹀きすか花をちらすと也。し 皿
ならふとなり。 こは、醜の字を用ゆ。 一 之 しひつる 鮪釣也。又しひつくとも。 も もふしつかふな 藻にふしかくるx也。つかは手一 ︵ 二 ニ オ︶ 束はかりのたけなる鮒なり。 しxみ 蜆也。すみのえのこはまのし、みあけもみ もちとり 又ほつ枝にもちひきかけとも有。もちは す と有。 粘也。鳥は、もちにか﹀るものなり。 しめ 鳥の名なり。 もxちとり 榎の実もりはむも﹀ちとりと有。 した﹀み 小さき螺に似たる貝也。 もりはむ 榎のみもりはむと有。群がり食ふ也。 しなかとり 安房とつ﹂く枕詞也。水中鳥と書。水 寸 すたち 鳥のたまこのかへりてはしめて巣を出るな 中の鳥は水の泡のことくなる故、あはのまくら り。 五 井蘭洲﹁萬葉集詰﹂中︵翻刻︶
五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹂中︵翻刻︶ すかる こしほそのすかると有。蜂のことなり。 はまつと 海邊よりのみやけなり。 ︵二 三 オ︶ はり目 わかせこかきせる衣のはりめおちすと有。 すとり州に居る鳥也。又みさごをいふとも。 針の縫 すxかけぬはいま 駅路鈴なき早馬也。しかれはわ ︵二四オ︶ たくしのはや馬なり。 目ことに吾おもひを入ておとさぬとなり。 すたく 集るなり。野もさはに鳥すたけりと。 はねかつら 花かつら也。童女の髪のかさりなり。 すなとれる 態藝門に出たり。 はいさす 紫ははいさすと有。灰をさし入て染る也。 ︵ 二 三 ウ︶ 灰はつはきの灰也。故につはいちとつ﹀けり。
服 食 器 財
つは市は大和の地名なり。 一 以 いは舟 さくめかいは舟とつ﹀<。 はな縄 牛の鼻をさす縄也。はな縄はくれと有。< 四
い か
りをうしとつー・碇なり・ れはあたゆるなり・ 一
い なむしろ 稲のわらむしろ也。藻の名と別也。 はりふくろ 衣ぬふ針也。旅立人にをくるなり。 い くし串に幣をはさみたる也。いは五也。おほき はしむかふ ふせのみこと﹀つ﹀<。兄弟二人なり。 心。 箸はふたつあるゆへなり、箸向と書。 いはひへ いはひほりすへと有。見安云、酒いるx 二 にきたまの衣 季云、にきたへの衣と同し心也。や か め也といふ。しかれは神に捧る酒とみえたり。 はらかにほそく 此 説いか﹀あらん。斎戸とあれはものいみする ︵二四ウ︶ 室 なるへし。 玉の衣といふなり。見安云、和魂也ときこえた 羽 はしゆみ はしの木の弓なり。 れとも衣とつ﹀けは通しかたし。保 ほかもはれる帆をはれるか也。はるは今いふかく ぬのかた衣貧者の服なり。わたもなき布かた衣と るに同し。 もあり。 へ にもともにも 大舟のへにもともにもと有。舟の 乎 おほみけ 天子の御膳也。 前後也。 おほ舟の思ひたのみて 又たのみし君とも。大舟に へ む かる舟 舟の膳の向ふ也。 乗れは安堵する故也。又たゆたふとも有。た﹀ 戸 とも矢たはさみ 諸矢也。袖中云、小指にはさむ矢 よふ也。大舟は急にゆかぬ也。 をいふと。 をつの 吹なせるをつのと有。小角也。軍中の吹も ときころも みたれてとつ﹀<。ときはなしたる衣 の也。契云、小角和名くたのふえと讃。 なり。又ときあらひ衣とも。 おほきみのしほやく 天子御膳に用る塩をやくな 一 とあみ 鳥をとる網なり。 り。 05
ともし火をつく夜になぞへ 燈を月夜の光になそら をけ 麻笥と書。 一 へて也。 ︵二五ウ︶ ママ ち ちから車七くるま ちから車は牛馬を用ひす人力に をけかたのふたあやうらくつ て おきつもの 海中の物のこ﹀うかと川子説。 ︵二五オ︶ 和 わさみの 季云、よき管にてつくれる蓑也。それを をす車也。それを七なり、おもきをいふ。季云、 遠江のわさみ野によせたり。 只 重 荷をつむ車といへり。 わさいゐ 早稲の飯なり。 奴 ぬきす竹のすなり。盟に置事あり、人に水のか﹀ わかめ今の和布藻也。和名集にきめと云。 らぬため也。 わさほのかつら 早稲の穂の長くてかつらのことき 五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶
五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹂中︵翻刻︶ 也。 か﹀い 舟こくかい也。かxいの音とあり。 可 かち 防人の寄に、まかいしxぬきと、かちひき折 かしふりたて 舟を水中につなく也。今はかせとい と二を一首によめり。しからは、かちは舵なる ふ。 事明也。かいは揖、嵩・櫓の類とわかつへし。 かたのまよひ 麻衣かたのまよひは誰かとりみんと 畢 寛むかしはかち・かいの差別なかりしとみえ 詠り。衣の肩のやふれたる也。衣の古くてやふ たり。かち引 れんとするをまよひと云。又是をよるともいへ ︵ 二 六オ︶ り。旅客の衣服にことたらぬをいふなり。 引折、契云、此集かちと云も櫓の事也。櫓を引 かふら 響矢と書り。鳴鏑也。 たをりて舟に横にやる也。又ほり江漕なるかち かけはきのをたち 懸侃之小剣と書。太刀は帯取の
の 音とあり。 緒にかけてはく故なり。 瑚
か ちま 舟の梶とる間なり。 かつらかち 桂漿也。今も東国かつらの木といふは 一 か たみ 人の死して後にのこれるもの也。 水にくさらぬ木とて用るなり。 か み しまち酒 醸しまち酒とあり。 ︵二七オ︶ かたもい 食物をもる椀なり。 かさのかりて 笠のいた﹀きのわにひもをつくる所 か す ゆ酒 貧者の酒也。糟を湯にてときたる也。 なり、よりてわさみのとつ﹀<。 か にはまきつくる舟 桜皮と書て、かにはと讃。い かはの衣 蛾羽の衣と書。蛾の羽に似たる吊なり。 まのかばのことなり。 かとり 鎌の字を用ゆ。六花集にかとりはす﹀しと か せ うみ苧かくといふとあり。今のかせのこと也。 いふ、しからは蚊をとると云こ﹀うか。 ︵ 二 六 ウ︶ から帯 韓帯とあり。
かるはす 諸説分明ならす。季云、かる矢をいふと、 とくにてすこしそり しからは今いふからはす也。但からうすの転せ ︵二八オ︶ るか。 たるものなり。 か らうす 碓子と書り。 かちから 梶柄と書。かちの手ににきる所なり。 か ま﹀ろ 鎌のこと也。まろは付字の例也。 かたいと かたこ糸也。あはさぬいと也。 か も おきつ鳥かもといふ舟と有。水にうくものゆ かさし 髪にさすなり。 へに 与 ようつ﹀き 萬の貢物也。 ︵ 二 七 ウ︶ 太 たまたすき かけてといはん枕ことは也。竹取の寄
舟の異名とす。 に母にいたかれたまたすきと有。是は権横の字 一 かはの衣きて角つきなから をかけり、よりて仙云、児を負ふ衣といへり。 ㎜ か りて 人に物をかりたる債也。こ﹀ははたこやと 又たまたすきうねひの山とつ﹀<。玉はほむる 一 ちんのことなり。路費をもたすしてなかき冥途 詞、田をすくこと也。ゆへに畝とつxくと也。 をゆくとなり。 愚案、うはをに通すれは苧とつ﹀くるか、たす かたしほ 盛なり。潮とまきる﹀故乾きしほといふ。 きは苧にてつくる故に。 か らしほとあるも同し、辛きにてはなし。 ︵二八ウ︶ かな 弓削の河原とつ㌔<。ゆみをむらする刀なり。 たなxし小舟 無欄小舟と書。欄は今のかきたつの 木をけつるかんな也。まかなと有。まはほむる 事ならん。かきたつなけれはたつもなし。しか ことは。かなは、かたな也。今のかんなは後人 らは扁舟の事か。 の 作 也。むかしはやりかんなとて平刃やりのこ たまくしけ を﹀うとつxく、又見んとも、又おく 五 井蘭洲﹁萬葉集詰﹂中︵翻刻︶
五 井蘭洲﹁萬葉集詰﹂中︵翻刻︶ ともつ﹀<。おくはそこ也と季云。 りたることをかみさふるといふ。 たまも玉裳也。ほむることは也。 たかつ杖手に握る杖也。 たまたれのこす たすき 白たへのたすきと有。手の助也。 たまとこ 玉床なり。 たとへのあしろ 宇治人のたとへのとつx<。 たくなは 長きとつ﹀<。海上のたくる縄也。古今 たふて つふて也。飛礫をいへり。 集に、あまのなはたきとも有。童蒙抄云、あみ ︵二九ウ︶ の手縄也と。 たまき 玉釧也。たまたまきは玉指環也。くしろと たまかつら 草木部に出す。 もいふ。 たひ 今のてうちん也。古はたいまつならん、又茶 たまゆら 玉響と書。玉のなる音なり。
毘にて た﹀みこも へたてあむとも、又かさねあむとも 朋
三九オ︶ っー・ 一
火 葬の火ともみゆ。 たxり うみをのた﹀りと有。契云、和名集絡探を たくひれ たくは白き也。白巾也。又一説見事なる た﹀りとよめり、是なりといふ。 也。 たま﹀きのをかい 玉纒之小撒と有。 たかたま し﹀にぬきたれとつ﹀く。[①] たふさき 檀鼻揮也。 た まころも さひくしとつxく。さひくは衣の たかつき 高杯也。した・みといふ貝をあへ物にし圏
鳴る音也。 てたかつきにもるといへり。 たまくしけなるたまくし めつらしけんもと有。契 たつかゆみ 手に握る所ある故にいふ。 云、かみさひけんもとよむへしと有。すへてふ たまつさのこと ふみの言なり。︵三〇オ︶ おろすなり。 たかび 太刀の柄也。やき太刀のたかひと有。 そや をひそやと有。背におふ征矢也。そよと受た たかたま 竹を管にきりていくつもつらぬき神に奉 り。 るものといへり。 そてつき衣 宮人の袖つき衣と有。袖と身とに文彩 そ 袖かへし 袖をたかひにさしかゆる也。 のかはりたる也。又童子にも詠り。これもつき 袖つくはかり ひろせ河袖つくはかりあさしと有。 くの衣の類か、又はいまた袖を長くせぬか。 水 底にそてのつくほとなり。 つ つけまくら 黄楊木の枕なり。 袖つく 袖をつく也。七夕に詠り。男女の袖をつら つかふるいろ 名つけくる紫とつ﹀けたり。凡官人 ぬる也。 の服色なり。
そぎいた もてふけるいたまのあはされはと有。季 つるきたち みとつ㌔<、又名ともつ㌔<。契云、 珊
云、へき板にやといへり、又一説をあけて杉板 かちの名 一 かとあり。 三=オ︶ そつ彦まゆみ 葛城のそつ彦まゆみと有。季云、葛 をほる故といへり。愚案、なは刃也。やいはを 城 襲 津 彦 は仁徳帝の后の父なり、しかれは弓を 云。又ときし心ともつ﹀<。男子の心をいさき つ よくもつなり。 ︵三〇ウ︶ つけのをくし 髪硫之小櫛と書、又黄楊之小杭とも くる人にあらす。弓を能射たる人ゆへかくいふ 書。又つけくし、又日の本のつけの小くしとも かと。 つ﹀けたり。 ぞうさし 櫃にそうさしと有。そうは鎖也。さすは つくえ 今の食机也。只ぜん。 五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶
五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶ つまよるをと 梓弓つまよるをと﹀つx<。つまよ む むすふかた衣ひつりにぬひて るは、矢をこxろむること也。梓弓にはいか﹀ むかはき 行縢なり。 あつさゆみといひて、扱矢をつまよるといふ事 ︵三ニオ︶ か、つまよるといへは直に矢のことなりと心得 宇 うつ麻苧麻を打てほそくする也。仙云、うつはほ へし。 むることは。 つと みやけなり。こxに山つとxあり。 うはに おもき馬荷にうはにうつ。 つら、にうけり舟の連りて淀ひたるなり うきくさ ぬくことくとつ﹀<。展なり。 ︵三一ウ︶ うみをなす 長柄とつ﹀く。苧をうめは長きゆへな つ ら 弓の弦なり。 り。 つえたらす つえは杖也。杖は一丈也。故に八尺と うけ すみのえの津守あひきのうけの緒とあり。う 抽
つ﹀けたり。 かひゆかんとつ﹀けたり。網を海へ入てしるし 一 南 なには管かさ きふるしとつ﹀<。著すにをいてふ に上にうけて置ものなり。 るくなりたる也。 うえをふせおき 山川にうえをふせ置と有。筍也。 なくるさ 投る矢也。射はなつ矢也。一本になけく ふせて置也。魚とる篭なり。 さと詠り。又なくやとも有。季云、投る稜とい うす染衣 くれなゐのうすそめ衣と有。 へ り。 うす 冠のかさり也。日本紀に釦花と書。季云、か なれ衣 褻衣也。いもかきせてしなれ衣とあり。 むさしの な﹀くさのたから 七宝也。 ︵三ニウ︶ なる矢 響矢とあり。鳴鏑也。 ことxいふ。
うつくつ 長流云、うつくしき沓也と。契沖是を信 つ有。延喜式にあり、米をつく多少なり。 せ す、みやけとつ﹀くにわけあらんとのみいへ や やまたつ こ﹀に山多都祢とあり、本注に山多都者 り。季云、うつくしき沓也。みやけにはつxか 今造木者也。季云、山たつねとは山たつの也。 す、下の句のあとをつらねてにつxくといへり。 ね・の通し用ゆとなり。鐘和名たつき廣刃斧な うつたへ へてをる布とつ﹀︿。うつくしくたへな り。こ﹀はき文字を略して山たつといふ也。又 る布也。 やまたつのむかへまいらんと詠り、 久 くるへき 長流云、糸をかくる器也。糸をよりあは ︵三三ウ︶ するもの也。契沖云、詩経弄之瓦の瓦にくるへ 分明に人の事ならん。本注造木者とあるも斧斤
きとつけたり、又枕草紙を引てくるへきは今の の類ひにあらし。山守なとの材木をこるものに 一
すりうす也と、されはくるくとまはるものと や。 m
見えたり。季云、わくといふ物に似て大きなり やきたち かとうちはなつとつ﹀く。契説分明なら 一 と。 す。たちはやきてうつ故にいふ。 ︵三 三オ︶ やふねたき 八舩たき也。たきは引也。おほく舟を くしろ 季云、袖中抄に内典云在指日鎧在腎日釧と ひくなり。 あり。只釧なり。契云、肱まきなり。 やしほの衣 くれなゐの八塩と有。やしほはいくた くほ舟 木をほりくほめて舟とする也。今のうつほ ひも染たる也。このくれなゐに呉藍の二字を用 ふ ねなり。 ひたり。 くろくつ ぬひしくろくつとつ﹀く。くろ履とあり。 やそかxけ 八十乃揖をかけてなり。 くろきしろき 黒神酒白神酒也。大嘗會にこのふた やそかぬき 八十の梶ぬきなり。これら皆櫓揖の類 五井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶
五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹂中︵翻刻︶ 也。舵にあらす。 つ﹀けたり。 満 まとかた ゐるまとかたとつ﹀<。的形也。 まちさけ 人をまちまうけたる酒なり。 ︵三 四オ︶ まい 幣の字を用ゆ。月に幣をさxけてこよひをな まくらつく 宮室部に出。 かくしてたへとねかふ也、又道の神たちまいは まかち しけぬきとも、又しxぬきともつ﹀<。お せんとも。旅中の幸をいのるなり。賄の字あた もかち、とりかち両方なり。凡ふたつそろへた れり。この字邪曲にかきらす凡人にものを贈る るをまといふ。両方に櫓を立たるなり。まかひ をいふ。 も同し、舵にはあらす、又まかひかけとも。 まゆみ あた﹀らまゆみと有。陸奥の名所なり。又 まそゆう 真苧にてつくるゆふは短きゆへ、みちか かつらきのそつ彦まゆみとも。 一
ゆふと云。 まそころも 是は旋頭寄なれは此一句七字によむへ m
まそかxみ 磨しとつx<、又、はふりらかいはふ し。季云、真苧衣也。馬乗衣と書たれは馬上の 一 み むろのまそかxみと有。みむろは神祠也。か﹀ 衣か。 み をかくる故也。又まそみかxみとも。 ︵三五オ︶ まくらかたさり 長流云、こ﹀はかたさらすならん まそて まは左右也。両袖なり。 といふ。かたさらすは、まくらを離れぬなり、 まさけ もちとつ﹀<。まさけは鈴の事なり。 又 枕からさすとも。 またらふすま 斑会なり。 ︵三 四ウ︶ まかこ矢神代紀。 またまつく 玉をつ﹀くる也。玉をつxくるは緒に まくらたち 枕太刀也。寝文のことし。 て つら貫、よりてをと受るなり。季云、こしと まくらうこく いねすしてまくらのいろくとなる
也。 ふなたな 舟のはたに用ゆる板也。今もいふことは け けころも 裏也。季云、見安にけはけはれのけなり、 なり。 こ﹀は春をいはんまくらことはなり。 ふなかさり 舟をかさるなり。 けにもる 飯とあり。けは笥也。 己 ころもにきなし 契云、是はあやまり也。きぬにつ けのころも褻衣也。いさや河けの衣とつ﹀く。契 くなすと 云、川の音のたつといふごxうにて思ひのせつ ︵三六オ︶ なるをいふと。 よむへし。なすは如也。きぬにつき如也。 三孟ウ︶ こまつるき 高麗剣也。わさみか原とつxく。 ふ ふくし 草をほるもの也。こてのことし。 こまくら 木の枕なり。 ふたさや 刃物をふたついる﹀家也。下に只家と ころもてのわくこよひ わくは別る﹀也。男女わか 田
つ ﹀く。 れさるなり。 一 ふなはり 舟の梁也。是に坐して揖をつかふ故にゐ こまをり 駒牢也。馬柵と書。柵のことくに木をた か い の まくらことはなり。 てx馬を入置なり。こまをりのしめゆひしと有。 ふなよそひ 舟をこしらへかさる心也。 こしき 飯をむす甑也。いにしへは飯を皆むしたり、 ふ み 木 はたもの・ふみ木と出り。機をxる時足に 唐もしかり。 ふ む木なり。 ことのしたひ 箏の腹の穴のある所なり。 ふる衣 旧くてすてたる衣なり。 こまにしき 高麗錦なり。 ふもたし 馬にこそふもたしかくもと有。ほたしを こそめの衣 くれなゐのこそめの衣と有。こそめは かくる也。 濃く染たる也。 五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶
五 井蘭洲﹃萬葉集詰﹄中︵翻刻︶ ︵三六ウ︶ あさふすま なごやか下にふすとつ﹀<。厚套也。 くれなゐのうす染衣ともあり。 あつきふすまはやはらかなれはなり。 亭 てたまあしたま 女子の手足にかくる環也。 あはをによりて たまのを﹀あはをによりてと有。 安 あらたへ あらき布也。藤原とつx<、又衣とも有。 水の泡はむすふゆへあはをと云也。契云、あは 藤 布あるゆへなり。 をと云一名かと云。季云、あはせたるをといへ あつまとののさきのはこのにのを 坂東より新嘗の り。 米を箱に入て馬にのせ来る也。其荷の緒也。荷 あさふすま 貧者のふすま也。 前の使は諸社へ初穂の米をつかはさるxなり。 ︵三七ウ︶ あつさゆめつるをとりはけ 梓弓弦をとりはけ也。 あゆひ 足袋の類也。足をまくもの也。又きやはん 一