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乱流の拡散現象について 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)

乱流の擴散現象について

1.緒  言

 乱流の拡散現象についてはG.1.Taylor(1)[;・2)以來 多くの人(3)(4)によつて研究されていて、此の拡散現 象の測定により乱流の乱れの強さ及びscaleを知るこ とが出來る。乱流は白金線を用いた熱線風速計により 精密に測定することが出來るが、この方法は増幅装置 等相当複雑な装置となるので、上述のような拡散現象 を利用して測定すれば精度の点では劣るかも知れない が極く簡軍に測定出來る利点がある。流体が水の場合 には水と同一の密度をもつ水に不溶性の液体を細滴状 にして注入しとの拡散現象を調べ、若し空気の場合に はニクロム線を一本気流中に張り、これに電流を流し てその後流中の温度分布を測定して熱の拡:散現象を調 べるのが普通のようである。

2.実験装置及び方法

第1図  実験装置

 本実験では第1図のような短形断面の風洞吹出口 (180mm×615mm)に=.クロム線を気流方向に直角に 張り渡し、気流にさらされている時に微かに赤熱され る程度の電流を通し、その後流中の温度分布を銅コソ スタソタソの熱電対にて測定した。漁淀箇所はニクロ ム線の位置から23cm離れた断面より始めてユ24cm後 方まで10cm間隔毎とした。ニクロム線にもつと近い 所まで測りたいわけであるが、こYではニクロム線自 身の乱れの影響が入る上に,熱電対に輻射線の影響が 入つて來るために測定結果が信用出來ないと思われた からである。乱流理論によれば気流の風速は乱れの強 さの割合やscaleに無関係となるので、なるべく風速 を下げて実瞼を行う方が好都合で本実験では約10m/s 位で行つた。気流中の渚渡分布は主流の温度との差で 73 測るのでこの温度差は数度以ドの程度で、熱電対の起 電力をガルパノメータで読むとき振れて値を定めにく い欠点がある。この振れの原因として考えられるもの は、主流の温度が場所によつて異ることや、ニクロム 線や熱電対の振動などで、零接点は必ず主流内に置き 而もなるべく後流に近い処に置く必要がある。本装置 ではニクロム線の位置を中心として熱電対支持レバー を回鱒させて園孤上の断面の値を読んだものである が、熱後流の巾はレバーの回鱒牛径に対して極く小さ いのでこれをそのまふ主流に無直な断面内の温度分布 と見倣した。

 風洞吹出口の入口は第1図のようにlm×1mの正

方形断面でこれを絞つて前記の寸法としたもので、正 方形の部分に30メツシの金網を入れた場合(A)と更に

この金網の直前に40cm巾の木をピッチ80cmに並べ

た格子を入れて乱れを増加させゾこ場合(B)について測 定したムニクロム線は矩形の短辺の方向に強り、これ と直角方向の熱拡散を測定したが、ニクロム線を長辺 の方向に張つた場合も測定した、後者の場合は前者の     場合と殆んど差異がなく、乱れはほぼ等方性になつて いることを確認した。爾後者の場合は測定精度が不充 分であつたのでこxでは述べないこと1・.する。

3.実騎結果とその考察

Yπnm

第2図 温度分布(A)

 (A),(B)の場合について溜度分布の代表的のもの を夫々第2図、第3図に示してある。ニクロム線から 測定断面までの距離をXとし、主流方向およびニクロ ム線に直角の方向をYとした。温度分布6°Cに理論 的にガウスの誤差曲線になつているものであるが、測

(2)

昭和29年7月

山梨大学工学部研究報告

第  5 号 30   20    ’0    0    ’0    20    30

       Ymm

第3図 温度分布(B)

定結果をみてもこのことが認められる。しかしこの分 布曲線と誤差曲線との差異を論ずるにはまだ測定精度 :b:充分でない。これが誤差曲線でおらわされるものと すれば    θ・=θ.・,. exLP(−Y2/2γ2)  ・…・…<1) となる。θW,。はθの最大値を示す。乱流の拡散理論に よれば分子の熱運動に基く拡散と同様に、流体の小塊 が最初Y=0に集積されていたものが或時間の後に到 達する距離を「とし、沢山の小塊の移動距離の自乗の 卒均をY2で示している。各測定曲線の1/2 eenantのと きのYの値をYI 2とすれば、レ/i丙=0.85 Y,2として 求めたものを第4図、第5図に示してある。 m B 掃6 邪m

 4

第4図 Y2及ゾ戸の値(A)

80  亨 60bm・       20      60    80    ’00    /20    ’40        X crn  主流の速度をσ,Y方向の乱れの速度をVとし、流 体の小塊がγ=0を通過して時ll担後の速度Vt,t+ξ 後の速度をVt+S.とすればLagrange相関係数1∼ξは     Rξノ:;+ξ 一…・(2) であらわされる。V2は乱れの速度の自莱干均で、この 場合はXに無関係に一定と見倣した。凱ち乱流格子か ら十分離}τているので時間的に変化しないと考えた。 74 η舵 tO 6 4 第5図  酉及ゾ吾iの値(B) 0    20    40    60    80    ∫00    ’20        x (m 予 而㎡ (2)式よりただちに次の関係が求められる。

    躍2一み∫IRξ碇 ………(3)

ξ=0なるときはRξ=1で、ξを増せばRξは減少し十 分に大きいξに対して’t* Rξ・・0と見倣せるから、t= X/σなることを舗して・∫1曜針分大き・・te: 対しては韻となるから∫,°° Rξd4 ・= x・/σとおける・ Xoは長さの軍位をもつ定数で乱れのscaleをあらわ している。この関係を(3)に入れて

    芸一2芸X・ ………(4)

部ち十分大きいままたわXに対してはY2はXに比例 する。  これに対して若しt’またわXが小さいときは1∼ξは 1に近いから(3)式より

    躍一2謀  …一(5)

從つてゾ戸はXに比例する。第4図、第5図にこの

ことがよく認められるが、Xの更に大きいときの実験 値があれば借一層明瞭になつたことX思われる。Xの 小さいときの測定は温度分布が急激に変化していて測 定しにくい△  (3)式より

    Rξ芸霊 ………(6)

部ちRξは冶y2/dX2に比例する。第4図、第5図の 曲線より図式的にd2Y2/dX2を求め、 X=0のとき Rξ=1とすれば〃2/σ2の値が未知でもRξを求めるこ とが出來る。第6図にこの値を示しているが、X=O

(3)

乱流の拡散現象について

06 R} 04 第6図  Rξの値 60  80

Xanm

r20ノ の附近のy2の値が正確に定められぬので多少の誤差 は免れ得ない。(A)の場合に比して(B)の場合は乱れ のscaleが少し大きくなつていることが認められる。  (6)式より

    シ豆一/轟爵 ………(7)

(7)式より乱れの張さゾア/σが求められる。(A)の 場合は1・3%,(B)の場合は2・6%位の値が得られた。  ニクロム線の方向に軍位長さの厚みをもつ断面を通 して軍位時間に運ばれる熱量をQ,室気の密度をρ, 比熱をCpとすれば

    Q−2∫:・Cμ4γ ………(8)

であるから、ρおよびCvを一定と見倣せばσは一定

であるからQは∫:・alYに比例する・試嗣Qは一

定に保たれるから∫:・dYも一一・」Eとなり第2図・第3 図の面積を求めてみた結果もこれとほX“一致してい る。創ちこの温度分布がガウス分布になつていれば、 θmαeとゾ亨とは反比例しているわけである。第7図、 第8図はゾ亨の代りに1/輪脳を縦軸にとつたもので あるが、Xの小さい間はユ/θ撒。はXに比例し、 Xの

tx6

4 長3 %2

第咽蕊及志の値(A)

60  80 xcm 30θha  た 20 云κ’60

第8図

蕊及▲。の値(B)

i20 θ』 loo 必 80 16弓 ∫4L /z /G ⊥θPt,t 81’ 6 4 2

   020aoOO X ,§Ol°°i2°

十分大きい処では1/θ2徽オがXをこ比例していることが 認められる。

 4.結  語

 本実験は装置があまりよくなかつたことふ、熱電対 で気流中の温度分布を測定することのむつかしさのた めに十分精度のよい実験値を得ることが出來なかつた. が、装置を改善すれば更に信頼出來る測定が可能と思 われる。債吹出口が短形であることが等方性乱れの仮 定にどの程度影響するかが十分つかめなかつた。また 乱れの強さがXに無関係になつていたかどうかは更に 検討する必要があるものと思われる。  i熱拡散は乱流によるものの他に分子運動によるもの も含めて測定しているわけであるが、後者は無硯して もさしつかえのない程度のものである。  本実験は東大岡崎助教授の御指導の下に筆者と商船 大学の土居助教授と共同で行つた実験の一一一99)であるこ とを附記して深甚の感謝を表します。 言じ(1) Taylor I) iffusion by continuous move−         ments. Proc. London Math.         Soc. A20,1921  (2) Taylor Statistical thory of turbulence・         Parts I−IV. Proc. Roy. Soc.         Aユ51,1935  (3) Kal inske and Fien Eddy diffusion・     Industrial and Engineering Chemistry     Vol.36, No。3,1944  (4) D.C. Co田s The dif知sion process in     turbulent flow.1〕ivision of Aeronaut−     ics. Report A.55

75

参照

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