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結果の要旨/金沢大学大学院自然科学研究科

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Academic year: 2022

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全文

(1)

拡散係数の異なる構造が共存する結晶表面の形態不 安定性 : 吸着原子の流れによる効果

著者 井川 健太

著者別名 Igawa, Kenta

雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査

結果の要旨/金沢大学大学院自然科学研究科

巻 平成21年6月

ページ 137‑143

発行年 2009‑06‑01

URL http://hdl.handle.net/2297/26924

(2)

井川健太 博士(理学)

博甲第1069号 平成21年3月23日

課程博士(学位規則第4条第1項)

拡散係数の異なる構造が共存する結晶表面の形態不安定性=吸着原子の折 れによる効果=

佐藤正英(総合メディア基盤センター・准教授)

長尾秀実(理工研究域・教授),斎藤峯雄(理工研究域・教授),

小田竜樹(理工研究域・准教授),高須昌子(理工研究域・准教授)

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

論文審査委員(主査)

論文審査委員(副査)

OnaSi(111)Surface,whichiscoveredwiththel×lstructureathightemper‐

ature,the7×7structureappearswhentemperatureislowerthantllestructural transitiontemperature(860°C)Onthevicinalface,the7×7structurespreads fromuppersideofthestepedge・ThediHhlsioncoefficientonthel×1structureis largerthanthatonthe7×7structureBearingtheSi(111)vicinalfacenearthe transitiontemperatureinmind,westudydrift-inducedstepinstabilities

lnaconservedsystemwiththedriftperpendiculartothestep1stepbunching occursThen,separationandcoalescenceofstepSOCcurrepeatedly,andbunches growgradually・Themotionofbuncheschangeswhentheimpingelnentorevap- orationispresent,Withtheimpingement,theseparationofstepsissuppressed andthebunchesgrowviacoalescenceofsmalloneswithstep-downdrift,while theseparationismoreirequentthanthatinconserve(lsystelnwithstep-uI)(lrift・

Withtheevaporation,therelationisopposite

Duringgrowth,stepwanderingoccursandgroovesperpendiculartothestepare fbrmedWiththecurrentparalleltothestep,thegroovesaretiltedWestudy thepossibilityoftiltingofthegroove

1はじめに

結晶表面は,成長時や通電加熱によってステップ束形成・蛇行などの表面不安定 化を起こすことがあるBi(111)表面は,高温領域で1×1構造と呼ばれる構造をし ているが温度を下げていくと構造転移温度と呼ばれる約860℃で7×7構造に相 転移し構造転移温度付近ではステップの下段側に1×1構造,ステップの上段側 に7×7構造が共存している両構造の間には表面を拡散する吸着原子の拡散係数 と平衡密度の積に差があり1×1構造上のものの方が7×7構造上のものよりも10

倍以上大きい['1本研究では両構造の平衡密度の違いを無視し,拡散係数の違い のみに単純化したモデルを考え拡散係数の異なる構造が共存する系における吸 着原子の流れによる形態不安定化について理論的に調べる

2モデル

ステップ下段側の1×1構造にあたる拡散係数の大きい構造をD1構造,ステップ 上段側の7×7椛造にあたる拡散係数の小さい椛造をD2構造とし,文献[']をもと にD,>D2とする

-137-

(3)

2.1相境界について

構造転移温度付近のSi(111)微斜面上には,1×1構造と7×7構造を仕切るもの

としてステップ以外に相境界が存在する.Yangらの実験[21によると,1×1構造

上の吸着原子は7×7表面構成原子よりも6%多いと見積もられているとのため 7×7→1×1相転移の際には,密度差を補うために原子の取り込みが起こっている.

つまりステップと同様に相境界でも前進.後退に伴う吸着原子の吸収.放出がある と考えられるそこで本研究では,相境界をステップと同等なものとして考える

こととする.

22連続体モデル

図l:異なる2つの構造が微斜面に共存している様子.図のような座標軸をとる

吸着原子密度c(γ,t)の従う拡散方程式や吸着原子の流量jは,入射(入射率の や蒸発(平均滞在時間γ)を考慮し,通電による吸着原子の流れがステップ下段方 向にあるとすると,

DC(7,t)

曰=_ワルt)+f-21z1-11

at (21)

jM-D付)(▽嘆け}烏嘆M量り(22)

となる.ここで,FHはドリフト流を引き起こす力であるステップ・相境界で局 所平衡(23)式を仮定する

莵駒畠('+器庁仙十急

半)

(23)

(23)式の第2項はステップが湾曲したことによる復元力,第3項はステップ間相 互作用であるステップ・相境界での法線方向の前進速度は,

’:IL(兆化1-ハ(n+)ハ化)

(24)

と表わされるここで冗冨(b)はステップ(相境界)の法線ベクトルを意味するま た(23),(24)式のs(b)は,ステップ(相境界)を表わす.

拡散方程式(21)式を(23)式の境界条件のもと解くことで吸着原子密度を求め ることができるその吸着原子密度から(24)式の速度を計算し,不安定化の条件

を調べる.

-138-

(4)

2.3格子モデル

線形解析によって導き出された結果について,その傾向を二次元正方格子モデ ルによるモンテカルロシミュレーションによって確かめるそのアルゴリズムは

斉藤らの論文[3]にあるものとほとんど同じになっている拡散係数の違いは,拡 散係数の小さい構造上の原子を選んで試行を行なう際には,もう1度乱数を振り 拡散確率を下げることによって霧をつけるまた,拡散方向に異方性を持たせる

ことで吸着原子の通電方向への流れを組み込む.

3結果

3.1ステップ垂直方向のドリフト流による表面形態の変化

図2から分かるようにステップ垂直方向にドリフト流があるとぎ,ドリフト流 がステップ上下段方向どちらの場合でもステップ束が形成される.その形成過程

(a)し_ドリフト流

(b)

ljiILliitl;11=Hh=oooo

it…。

蓬蕊。

一ドリフト流

100000

t5oooo

256 512 256 512

図2:保存された系でのステップの平均位置の時間変化(a)ドリフト流がステッ プ下段方向の時,(b)ステップ上段方向の時.

は,初期では小さな束同士が衝突して大きな束が作られ,広がったテラス上にス テップは単独では存在しないステップ束が大きくなると,束から単独ステップ の分離が繰り返し起こるドリフト流がステップ下段方向のときの方が,分離し たステップの移動速度が速く,分離頻度も多いこのステップの分離に関する挙 動については,テラス上を拡散する吸着原子密度分布と関連付けることで説明で

きる.

ドリフト流がステップ下段方向のとぎは拡散係数の大きいD,構造がテラス上を 覆うため,吸着原子はドリフト流の影響を受けやすい(図3(a)).そのためステッ プ束内部と広がったテラス上における吸着原子密度の差が大きくなり広がった テラス上では原子の数が不足する.その結果,広がったテラス上の吸着原子密度 を増加させるためにステップが束から分離しステップは原子を放出しながら後 退する.成長条件下では,吸着原子密度が増加するため,ステップの分離頻度が 少なくなるのに対し,昇華条件下では,吸着原子密度が減少するため,ステップ

の分離頻度が増す.

-139-

(5)

(a) (b)

t=2.Ox1OP t=2.lx106

840 師Ⅲ川州騨趣〉0

256

512 256 512

図3:保存された系でのステップ位置と吸着原子密度の関係Ⅱa)ドリフト流がス テップ下段方向の時,(b)ステップ上段方向の時.

ドリフト流がステップ上段方向のときは拡散係数の小さいD2構造がテラス上を 覆うため,吸着原子はドリフト流の影響をあまり受けない(図3(b)).そのため ステップ束内部と広がったテラス上における吸着原子密度の差はあまり大きくな らないが,わずかながら広がったテラス上では原子の数が平衡密度よりも大きく なるその結果,広がったテラス上の吸着原子密度を減少させるためにステップ が束から分離し,ステップは原子を吸収しながら前進するしかし,ステップ下 段方向のとぎと比べて吸着原子密度差がほとんどないため,分離頻度はあまり多 くない成長条件下では,吸着原子密度が増加するため,ステップの分離頻度が 増すのに対し昇華条件下では,吸着原子密度が減少するため,ステップの分離

頻度が少なくなる.

3.2ステップ平行方向のドリフト流による表面形態の変化

構造転移温度付近のsi(,,,)微斜面では成長時にステップが同位相の蛇行を起こ し,ステップに対し垂直の溝が実験的に観察されている[4,さらにそのときス テップ平行方向に通電を行なうとその溝が通電方向と反対方向に傾くことも観察 されている(4)本研究では,成長条件下で,通電によって起こる吸着原子の流れ

(ドリフト流)が原因と考えられる溝の傾きについて議論する.

線形解析では,ステップ.相境界に蛇行成分

〈h化't)=鍋(t)+JG7化,t)=PEPt+“iA…(M2

("$(z't)=(見(t)+岻化,t)=,/,Pt+(me旅…(Mf (35)

を与えて,蛇行成長率uノを求めたここでHP,噂はそれぞれ直線的なステップ,

相境界の前進速度で,,/1;P=,/(P=〃である

隣り合うステップと相境界の間で,位相が。ずれているとし,cnm=(ei2mdZ,

烏ルーピej(2m+Mとすると,

鵲姜士mw

AA

U±=- (IVh2△Dssin“)2+/Z(ノIcl②) (36)

となる.ここで,

/,(A,()b)=(2m2Dscos(i6J+j加in(16I)2(37)

であり,Ak=V7Fz-T7雨,ただし,/a=Fh/片BT,r=nc9qMcBT,△D`=

D1-,2,,s=(D,+、2)/2である

ステップの振幅を表わす〈と相境界の振幅を表わす(は,uノー四十のとぎ(=α(,

-140-

(6)
(7)
(8)

参照

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