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数学的態度について(1)

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Academic year: 2021

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(1)Title. 数学的態度について(1). Author(s). 中川, 正; 中村, 紘司. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 22(2): 227-237. Issue Date. 1972-01. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4633. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 日蘇ロ 47年1月. 数 学 的 態 度 に つ い て (1). 中. 川. 正. 中. 北海道教育大学函館分校数学教室. 村. 紘. 司. 北海道教育大学函館分校数学教室. , Tadashi NAKAGAWA K0zi NAKAMURA : on the Student s , tudes toward N[athematics atti. s l,. は じ めに. 196 4年 (昭和39年) に実施 され た国際数学教育調査において, 我 が国の生徒は学力テストにおい て優秀な成績 であったが, 同時に行なわれた 「態度調査」 の結果は必ずしも望まL ′い傾向を示 して い る とは 言 え な か っ た.. 196 8 , 69 , 70年にそれぞれ 告示された小学校, 中学校, 高校の指導要領 (数学) の目標の第1に 「数学的考え方の育成」 がある。 「数学的考え方の育成」 のためには, 望ま しい 「数学的態度」 の 1 ) 育成も必要と思われる.. フルーナーは 「教師はただ伝達者であるばかりでなく 模範でもある。 数学というものにある美 し さ, 力強さをなん ら見ることのできないひ とは, その数学の教 科に伴う固有の興 奮をも って他のひ と の 心 に 点火できそうにも思え ない.」 といっている之) 我 が国の生徒に望ま しい数学的態度を養う. ためには, 先ず教員養成大学に おいて, その学生に望ましい数学的態度を養うべ きであろう 。 以上のような観点から本学函館分校の学生に行なった国際調査と大略同じ態度調査の結果と 望 , ま しい態度を育成するために若干留意 して講義 した影響とを述べ, 望ましい態度育成のための対策 を考えて見たい. S 2, 方. 法. (1) 対 象 調査の対象になった学生は, 1年目学生129人 ( 45年度前期小学校専門科目小学算数受講者114人 と, 解析幾何学演習を受講している数学専攻生15人) 16人 (算数教材研究の受講者2 , 2年日学生1 ク ラ ス で, 数 学専 攻 の 学 生22人 が 含 ま れて い る.) 3 0 4年目学生2 1人 (数学科教育 法受講者です べて数学専攻 の学生) である. 尚2年目学生は, 数学専攻の学生を除 いて, 前年度に本年度と同じ 2クラスに分れて小学算数を受講 している。 (2) 方. 法. 1 年 目 の 学 生 に は, 第 1 回 の 講 義 の 最 初 に, 2, 3 0 4年目の学生に は前期の最終の講義に下の )に記入 させた ア ンケ ー ト3 。. -22 7-.

(3) . ion (Sec ion IC) i t l。 f 日。『ka ido Uni ty of Educat Journa ver s. Vo l .22 No .2. january ,1972. 高校時代の最も好きな教科は (. ①. 最も嫌いな教科は ( 最も得意な教科は ( 最も不得意な教科は ( 一般教養の数学を修得するか (叉は修得 したか). ②. す る (叉 は した). (. ). しな い. (. ). 次 の ③ ~ ⑮ は, ハ イ な ら○, イ イ エ な ら×, どち ら とも い え な い な ら△ を ( ) の 中 に 入 れ な さ い.. ) 数学の問題は あるきま ったやり方に従いさ えすればきっと解けるものだ. ( す ぐれた才能をも った人たち が も っ とたくさん数学者や数学の先生になるようにす. ③. ④. す め な け れ ば な らな い. (. ). ) 数学は, や ろうと思えばだれでも学べるものだ. ( 自然科学と工学以外 のたいていの職業では, 代数や幾何などの数学はあまり必要で. ⑥ ⑥. な い. (. ). ) 国の発展にとって, 数学は非常に大切だ. ( 自分の財産つくりや 金かんじょぅがよくできるようになることが, 算数や数学を勉. ⑦ ⑧. 強 す る 第 一 の 目 的 で す. (. ). ) 数学はごく少数の限られた人にL か 学 べ な い. ( 数学を勉強すると, げんみつな規則に従 って考えることが で き る よ う に な る.. ⑨ ⑲ (. ). ⑪ (代数や幾何などの) 数学は日常生活の諸問題にあまり役に立たない. (. 現代の数学の内容は, ほとんど全部100年以上も前か ら人 類 に わ か っ て い た。. ⑫ (. ). 数学の知識は, 20世紀の世界を理解するか ぎである. (. ⑬. ). ⑭. よ い 職 に つ く た め に は 数 学 を 知 っ て お く こ と が た い せ つ で あ る. (. ⑮. や る 気 さ え あ れ ば 数 学 は た い て い の 人 が 学 べ る も の だ. ( 学 問 で あ る. (. ). 数学者や科学者になるのでなければ, 高等な数学の勉強はそ れ ほ ど 重 要 で な い.. ⑰ (. ). ふつうの知能 があれば, かなり高度の数学も勉強できる。 (. ⑱. ). むずか しい数学でも, 勉強の しかたによ っ ては, 高校生な らだれでも理解し活用で. ⑲. き る よ う に な る. (. ). 近いうち にたいていの仕事は高等数学の知識を必要とす る よ う に な る だ ろ う.. ⑳ (. ). うまく教えさえすれば, むずか しい数学でもたいていの生徒に学べるようになるも の だ. (. ⑫. ). ). 数 学 は, 自 分 で 新 しい こ と を 考 え だ して ゆ こ う と す る 人 に と っ て, た い へ ん適 した. ⑯. ⑱. ). ). も う 数 学 に は 新 しい 考 え の は い る 余 地 は ほ と ん どな い。 ( -2 28-. ).

(4) . 第 22 巻 第 2 号 ⑳. ⑳ ⑮ (. 北海道教育大学紀要(第一部C). 数 学 を 学 ぶ こ と の で き る の は, 特 に 才 能 の あ る 人 に 限 られ て い る。 (. 昭和4 7年1月 ). 数学の内容は, 近く急速に変化することだろう。 ( ) 数学の勉強は途中20 3章わか らなくなると, あとは追いつくことはむずか しい ). 1年目の学生に第1回目の講義の時ア ンケートに記入させたのは, 大学における数学に関係 した 講義の影響の全然ない時点における数学的態度を知るためである。 アンケートに記入 した2年 目の 学生は, 数学専攻と2年目で一般教養の数学を受講 している学生 (数学専攻を除く と94人中9人と. 極めて少ない) を除く と, これから卒業まで, 数学算数に関係ある講義を受講することはない。 従 ってこれら2年目の学生の大部分は, ア ンケートを記入 した時が大学における算数数学に関する教. 育を受ける最終の時期に当り, この時期の彼等の数学的態度は卒業 して教壇に立ったときも持続 さ れ る と 思 わ れ る.. ) (3) 質問内容4. 国際数学教育 調査の数学に対する興味領域の質問は, 希望する職業 (科学的か否か) , 数学学習 の継続性, 好き, 嫌い, 得意, 不得意の教科目である。 本学の学生の大部分は教師志望であるの. で, 希望する職業は省略した。 数学学習の継続性は, 前記の事情か ら一般教養の数学を修得す る意 志があるかどうかによ って判定 した。 (但し数学専攻の学生はすべて数学学習は継続するものとし. た。 ) 以上の事からアンケートの①, ②は数学に対する興味の質問である。 (今後①, ②を一括⑩と 呼ぶ。) 国際数学教育調査の意見態度の質問は次の領域に分類されている。 数学科の指導に関する意見 学校についての意見 数学を発展的に見る態度 数学学習のむずかしさに対する態度 数学の社会における役割についての態度 学校生活についての態度 人間とその環境に対する態度 ア ンケ ー トの ③ ~ ⑮ は 上 記 の 3, 4, 5 項 の 質 問 で あ る。 (今後 3, 4, 5項 を そ れ ぞ れ 囚, 旧) , ◎ と 呼 ぶ。) ◎, 鰹) , ◎ の 各 々 に 属 す る 質 問 は ア ンケ ー ト の 番 号 で 次 の よ う に な っ て い る。. 囚. ③ (×) , ⑧ (×) , ⑲ (×) , ⑫ (×) , ⑯ (○) , ⑳ (×) , ⑳ (○) , ⑳ (×) 。 ( ⑨ × ( ○ 侶 ) ⑤ (0) ) ⑮ ) ⑬ ( 0 ⑩ ( 0 ( 〇 ) ⑭ ) ⑳ ( ) × ) , , , , , , 。 ◎ ④ (○) (○) , ⑥ (×) , ⑦ (○) , ⑪ (×) , ⑬ (○) , ⑭ (○) , ⑰ (×) , ⑳ (○) ,(×) 。(. に つ い て は, 雑 で 説 明 す る.). (4) 得. 点. 記 入 さ れ た ア ンケ ー ト の 得 点 は, ① に つ い て は. 最も好きな教科が数学ならば. 十1. その他は. 0. 最 も 嫌 い な 教 科 が 数 学 な らば. -1. その他は. 0. 最も得意な教科が数学ならば. 十1. その他は. 0 -2 29-.

(5) . . januarv l972. ion IC) i ido Uni i lOE H0kka t t on (Sect Journa ver s y of Educa. vo l .2 .22 No. 最も不得意な教科が数学な らば. -1. その他は. 0. ②は, 一般教養の数学を受講する (叉はした) ならば+1, しないな らば-1。 、る てし 国際数学教育調査では, 希望する職業 が数学に関係あるものは十1, それ以外は0となっ’ て え 十 5 を 加 に い た め が, 小中高の教師を希望すると得点は十1になっている. 叉得 点を 負 に しな いる. そこで上記①②の合計点に6点を加えて, 数学に対する興味の程度とした. (○) ) ③から⑳までは, 上記囚, 旧 , ◎の分類中の (×) のついている 質問は (×) なら2点, ( なら1点 △ ) 両方とも ( な ら0点 × ) ( なら2点 なら0点, (○) のついている質問は ○) , , と した. (国際数学教育調査と同 じ方法である.) S3 , 調査結果とその考察 (1) 第1表 が調査結果をまとめたものである. 2年目の⑦のク ラスは, ◎ に比べて1年目の小 第 1 表 教育大生の 仰 ◎( の 回 反応一覧. 1 1. 年. 数. X. S. S. X. 回. . S. X. S. 1.4. 11,1. 2,1. 8.3. 2,2. 6.6. 1,O. 数 学 以 外 (11 4人). 8 ,3. 2.3. 10 ,O. 3 ,O. 7,1. 3 ,1. 5,O. 1.7. 体 全 (129人). 8 .3. 2.3. 10.1. 2.9. 7.4. 3,1. 5.2. 1.7. 8 .9. 1,4. 10.7. 2 ,7. 10 .3. 2 .4. 7,8. 1,6. 10 ,2. 1.6. 11 .2. 3,3. 7,8. 2,5. 5 ,7. 1.5. 8 .8. 2,2. 10,O. 3,2. 7.4. 3,6. 5.O. 1.6. 9 .5. 1,8. 10 .5. 3.1. 7,6. 2,8. 5,3. 1,6. ( 15人). (22人). 学. 数 ④ 学以( 外 46人) ⑩. ( 48人) 年. X. ( C ). 8 ,9. 数 2. 学. ⑥. ◎. ⑦. + ◎ (9 4人). (116人) 3・4年 (数学) ( 21人). 9,4 10 .1. 1. 1.3. 11 .8. 5,8. 8 .1. 10 ,6 2.O. 9 .O. 2,5. 7,8. 1,O. ま2つのクラスに分れて受講しているので 融 ま標準偏差である , それ) ‐ 叉2年自学生む (蓄電 灘 糟 唇 学算数では, 講義内容をやや広く, 浅く講義 して居り, 2年目の算数教材では, 望ましい数学的態 度 が養成されるような雑談を若干まぜな が ら講義 した. ) 叉第3表は, 5 第2表は, 国際数学教育調査のわが国の生徒の値と国際的平均値の一部である. 6 ) 国際数学教育調査の平均の最大値, 最小値とその国名である. )◎( 功に関 して次のような考察 国際数学教育調査IEA日本国内委員会報告書には, 第2表の囚旧 がなされている. ④ 即ち数学を発展的に見る態度 については, 「数学をでき上った動きのとれない. 知識, 技能のよせ集めとして学習 しているか, 発展の過程にあり, 多様な見方や解法 が可能な, お -23 0-.

(6) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 昭和4 7年1月. 第 2 表 わが国の段階別生徒質問用紙反応一覧 ( ) 内は国際値. 仰. 初. 中. 級. 級. 上 級 A. 上 級 B. ) @. ⑩. ( C ). X. S. X. S. X. S. X. S. 6 ,2. 1.8. 8 ,9. 1.5. 9 ,5. 2.O. 6,1. 1,6. ( 7 .6). ( 2 ,1). (9 ,6). ( 1 ) .8. (9 .1). ( 2 ,3). ( 5 ,8). ( 1 .7). 6,2. 1,9. 8.4. 1,4. 8,8. 2,2. 5,7. 1.8. ( 7 ,4). ( 2 ,2). ( 8 ,8). ( 1 .8). ( 8 ,0). (2 ) ,5. ( 5 ,6). ( 1 ,7). 5 ,8. 1,8. 1,5. 9 ,6. 2,O. 6,3. 2.2. ( 6 ,6). ( 2 ,4). ( 8 .2). ( 2 ,0). ( 8 ,1). ( 2 ,5). ( 6 .4). ( 2 .1). 6 ,2. 1,8. 8,6. 1.5. 9.6. 2,2. 5,2. 2,O. ( 7 ,3). ( 2 ,2). ( 8 ,2). 〔 1 ,9). ( 8 ,5). ( 2 ,6). 8 ,5. ( 4 1 ) ,9) 1 〔 ,9. む滋養暴露 驚ず中学3年 ,上級Aは全日制高校3年で数m燃応用数学5単位履習中の者 ’ 善薫字留潜 ( ) を )の 第3 表 仰 @ )⑩ の平均点の最大最小とその国名 ◎. 初. 中. 級. 級. 上 級 A. 上. 級 B. ◎. 最 大. 最 小. 8 ,1. 6.2. フ ラ ンス. 日. 8 ,I ス コッ ト ラ ンド. 本. 最 大. 最 小. 最 大. 最 小. 最 大. 最 小. 9 ,5. 8 ,3. 10 ,1. 8.1. 6,8. 5.2. オ ース ト ラリヤ. オ ラ ンダ. フラ ンス. オ ース ト ラリヤ. 9 .O. 8,3. 9 .5. 7.7. 6,2. 日. 本. アメ リ カ. イ ス ラエ ノレ. 7,4. 5,2. ス コッ ト ラ ンド. 西ドイツ. スウェー o・ ン デ. や オ ラ ンダ. 8 2 , ,. 6.2. 8.6. 6,9. イ ギリ ス. 日. 本. ⑩. C ( ). 8 ,6 .. 日. 本. イ スラエ ノレ. 7,3. 9 ,6 イ ス ラエ ノレ. や 日 オ ラ ンダ. 9 ,6. 本. アメ リ カ 7.1 アメ リ カ. イ ス ラエ ノレ 6.3 イ スラエ ノレ 7,4 イ スラエ ノレ. ス コット ラ ンド 5,5 イ ギリス 5.8 スコット ランド. 7.2. 5,8. 4,4. アメ リ カ. スウェー や・ ソ テ. スコット ランド. お らかな学問として学習 しているかを見るもので, 中間の点は8, 満点は16である 参加国全体の 。 生徒も, 日本の生徒も, この点では, やや固定的な見方を, 初級から上級までもちつづけて居り,. とくに日本では, 参加国全体の平均値よ りも低くなっている。」 旧 )即ち数学学習に対するむずか し さに対する態度については, 「数学を, 特別な能力をもつものだけが学べるものと考えるか, だれ でもやれるものと考えるかを見たもので, 中間値は7, 満 点 は14で あ る。 こ れに つ い て は, 日 本 の. 生徒は, 全体としては, 中間よりやや正の方向に位置 し, 上級では, 参加国平均よりよく, 初級, 中級では参加国より下であるJ ◎ 即ち数学の社会における役割についての態度については, 「数学. をひま人のやる無用のものと考えるか, 社会, 個人の発展のための不可欠なものと考えるかを見た も の で, 中 間 値 は8, 満点は1 6である。 日本の生徒は, 中間値および参加国平均の どれよりも正の. 方向に位置している。 国際値が, 中, 上級では, ほとんど中間値に等 しい点も注目されてよいであ -23 1.

(7) . Vo l .2 .22 No. i ion (Sec do Uni i i t lof Hokka t t on I C) Journa s ver y of Educa. ly,1972 . Janua. ろう。 こう した大勢にく らべると日本の生徒は, この点では, 一般に数学の価値を高く考えている 動即ち数学に対する興味については, 「日本の生徒の数学科に対する興味のもち方 といえよう.」 叉( は, 参加国全体の傾向 とほ ぼ等 しく, 初級, 中級, 上級Bとなるにつれて低くな っているJ )について, 第1表と第2表を比較すると, 第1表は第2表より平均点が全般的に高 (2) 回, 旧 くな って居り, 叉第1表と第3表の最大値とを比較 しても, 第1表 が高い。 これは本分校の学生 は, 数学を発展的に見る態度 と数学学習のむずかしさに対する態度が, 国際数学教育調査の際のわ が国の どの級の生徒よりも, 叉参加国全体のどの級の生徒よりも, 望ま しい傾向を持 っていること を示 している. 叉 囚の中間点8に比べて, 本分校の学生は中間よりやや正 の方向に位置 している. 特に2年数学以外 ④と30 4年 (数学専攻生) は平均点が10点以上になっている。 ◎ の中間点7に. 比べて, 本分校の学生は中間よりかなり正の方向に位置し, 特に1年数学, 2年④, 304年は平 均 が11点 以 上 に な っ て い る. 2年④は, 前述のように1年の時の小学算数では, 浅いが, 集合, プ ール代数, 群, 環, 体, 行列, 行列式, 統計等相当広範囲にわたって学んでいる。 3・4年の学生 も大学専門の数学を学んでいる。 こう したことが数学を発展的に見る態度 がよくなっている原因と 思われる. それにく らべて, 1年数学, 2年数学 が若干下回 っているのは, 数学専攻 の1年生は, 解析幾何学演習の第1回目にア ンケートに記入 しているので, 高校までの数学より知ら な い こ と. と, その数学の学習の目的もその大半が大学受験のためであること, 数学専攻の2年生は, 理科系 )即ち数学学習のむずかしさに対する態 一般教養の数学よ り受講 していない ことのためであろう。 旧 度で, 1年数学がよいのは, 数学を専攻に選んだだけに高校時代の数学の成績 がよか った学生であ ろう. 2年⑦ がよいのは, 1年の時の小学算数を浅く広い範囲で学んでいるため, 難か しさを余り 感 じな か っ た と 思 わ れ る 3・4年目学生は, 大学の数学にある程度の展望を持 てたことがよい 点 。. 数にな った原因と思われる。 数学専攻の2年生が上記の3 グルー プにく らべて点数が低いのは, 理 科系一般教養という狭い範囲を学び, 演習等で難か しさを感じたためと思われる。 2年◎も, 小学 算数を④に比べて狭く深く学んだために, 数学を④よりむ ずか しく感じていると思う。 第1表と第2表の ◎欄を比較すると, 2年数学を除く と全般的に国際数学教育調査のときのわが. )欄と第3表の最小を比べると, 最小のうちで最も低い上級 国の生徒 の平均 点より低く, 第1表の@ の1年数学以外と同じ値である A7 . 叉中間値8 よ り 正 の 方 向 に あ る の は, .1(アメリカ) と第1表 数学専攻の学生だけである. これ らのことは, 極めて憂慮すべ き状態である. この原因の一端は函 館市及 びその近郊は産業 の停滞地域であるため, 数学が科学技術の進歩に及ぼす影響を実感として 感 じ と れ な い こ と に あ る と 思 わ れ る.. を比較すると, 数学専攻の学生を除く と, 概ね第1表は第2表に比べて平均点が低く, 第2 表上級Bと略々同じである。 上級Bは前述のように, 全日制高校3年で, 数m叉は応用数学5単位 履習 していない者 である. 本学の入試では数mが試験科目に入っていないので, 数学専攻の学生を 除くと, 本学の学生と上級Bが大体対応 している。 この点を考える と平均点が略々同じであること は興味深い. (3) 第4表は第 1表をもとに して, 1年全体と2年 ①, ◎, ④+◎を比較して, 危険率5%で ◎. 有意差 があるかどうかを見た表である。 第1表 の1年全体の数値は, 前 述のように大学での数学に関係した講義の影響の全然ない時の数. 学的態度を示 したものであり, 2年目の④, ◎は大学での数学に関する教育を受ける最終の時期の ) 数学的態度を示す数値である。 1年全体と2年 ④, ◎, ④+◎の囚, 旧 , ◎の平均値を見ると, 2 年の◎の◎の値が1年全体と等 しくなっているが, それ以外はすべて2年の値の方が大きくなって いる。 毎年入学してくる学生の入学時における数学的態度は略々同 じと仮定すると, このことは, -232-.

(8) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 望 ま しい数 学 的 態度 の 育 成 を 意 識 しな い 大 学 で の 講 義 に ょ. 昭和4 7年1月 第4衷 1年と2年との比較. 占 も 均 像だ 値 よ り 平 が け で な く若 干 の 意 図 し 度 た 程 講 義では有意差 がある程望ましい方向には育成されない。. (4) 第3表によると, 望ま しい方向に数学的態度を育 成することを意図 して講義すると, 回, 旧 )については効果. の. ◎. ④+◎. 囚. 有. 無. 有. ( B ). 有. 無. 無. C ( ). 無. 無. 無. 毒 雷 誓 害 鍵 夢 書 雲 饗〕 (. が出てく ることがわか ったが, 第1表の⑦, ⑩の◎欄を見ると, ④の平均値は◎の平均値より幾 ら か 大 で あ る。 こ の こ と が 上 記 の こ と に 影 響 して い る か どう か を 調 べ る た め に, (功と 回, 旧) , ◎ との. 間の相関係数を計算 した結果が第5表である。 この表を見ると, 3・4年の回だけが確かな相関関 係 が あ る が, 他 は す べ て. ⑩と④@ ) c )との相関係数 (. 第5衰. ほとんど相関 関 係 が な. 仰. ⑩ ◎. ( C ⑥ ). 1年. 0 .17. 0 ,14. 0 ,3 .. な い も の と 思 わ れ る。. 2年 2年. 0.10. 0.21. 0,15. (5) 第 6 表 は, 数 学 に 対 す る興 味 に つ い て の. 3年. -0 0 -0 o o o .56 - .16 - ,03. い。 従 っ て 興 味 の 点 数 の 差 は, 態度 の 育 成 に 関 係. 第6蔑. 数学に対する興味の男女値 女. 男 叉 X. S s. 叉 X. S. 級. O 6,0. 1.7. 5,7. 1,6. 上級A. 6 ,7. 1 ,9. 6 .3. 1 .9 ・. 上級B. 5 ,2. 1 .7. 4 .8. 1 .7. 初. 国際数学教育調査の参加. ) 叉国際数学教育調査 I EA 国内委員会報告書には 7 国全体の平均値を男女別にしたものである。 , 国別の男女差を表 に したものもある。 それは興味の尺度の平均点の男女差を参加国全体の標準偏差 で 割 っ て, 100 倍 したも の で, 日 本 の 場 合 は, 初 級 は23, 上 級 A は45, 上 級 B が30で, い ず れ も 男. の平均点が高く, 有意差があるとなっている。 第7表は, 各学年の男女別の回, 旧 ) , ◎, ⑩各項の 平均値と標準偏差である。 この表を見ると, 男女の平均点の大小はまちまちで, 第4表と同じ方法 で検定すると, 各学年, 各項目いずれも危険率5%で有意差 がない。 これらのことか ら, 教育大生 の男女の数学的態度は余り差がないと思われる。 (6) 国際数学教育調査では, 学力テストと, S2 , 圏 で述べたように, 種々の意見態度の調査 第 7 表 ④ ◎ ⑰ ⑩ の男女値. \\. ひ崩 \. 仰. ⑩. X. S. X. ⑩. ( C ) S. X. S. X. S. 男. (9 2). 8,6. 2.3. 10 ,O. 2,9. 7.1. 3,1. 5.9. 0 .4. 女. (37). 8,7. 1,6. 10,4. 2,5. 8.O. 2,9. 5,5. 1,7. 男. (69). 8 ,8. 2,2. 10 ,9. 2,9. 8,O. 3,2. 6,O. 1,8. 女. (4 7). 8,9. 1,3. 10 ,5. 3,4. 8.3. 1,9. 5,4. 1.8. 男. (1 5). 10,O. 1.5. 11,5. 1,7. 10,1. 2 ,7. 7,5. 1 .1. 女. (6). 10,5. 1.5. 11,5. 2,1. 8 .2. 1,6. 8.O. 0,8. -233-.

(9) . i i i ido Uni lo f Hokka t journa ty of Bducat r on (Sec on IC) ve s. VO I .2 .22 No. janua ry ,1972. を 行 な っ て い る の で, こ れ らの 資 料 を も と に して 多く の こ と が 研 究 さ れ て い る. ア ンケ ー ト で は,. 数学的興味と態度のみを調べているので同じように多く の事を研究することは不可能である. 併 し 国内委員会報告書には述べ られていない, 各項の各々の質問に対する答の傾向は調べることができ )◎⑩の各々の質問に対 して答えた人数 の百分率である. る. 第8表は回偏 第 8 表 (その1) 仰の各質問に対する答の分布 (%). 饗聾. ≧. 2. (×). ふる. 2. 1. ⑫. ⑲. ⑨. ③. O. 2. 1. O. 2. 1. O. (×) (△) (○) (×) (△) (○〕 (x) 〔△) (○). 19. 38. 43. 85. 10. 6. 22. 35. 43. 32. 31. 37. 数以外. 22. 23. 50. 92. 5. 3. 36. 38. 26. 38. 32. 30. 数. 9. 41. 50. 73. 9. 18. 32. 41. 27. 36. 23. 41. 3・4. 5. 72. 23. 100. O. O. 10. 67. 23. 67. 14. 19. 1. 2. 2. 1 馨聾. ⑮. ⑭. ⑳. ⑯. \ 点数 \. 2. 1. O. 2. 1. 34. 39. 27. 78. 14. 8. 16. 40. 44. 12. 25. 63. 以外数. 35. 43. 22. 75. 20. 5. 12. 46. 42. 19. 21. 60. 数. 41. 46. 13. 91. 9. O. 23. 50. 27. 13. 27. 60. 3 ・4. 43. 52. 5. 81. 19. O. 33. 57. 43. 43. 43. 14. 1. O. 2. 1. O. 2. 1. O. 学年\\ (○) (△) (×) (×) (△) (○) (○) (△) (×) (×) (△) (○) 2. 2. (6)の(i) 第1表の回欄によると, 平均値は, 3・4年, 2年数学以外, 2年数学, 1年の順 に少なくな っている。 第8表 (その1) でこの順序と著 しくち がっ ており, 正方向の割合の少ない ③と⑬について考えて見る. ③は 「数学の問題は, あるきまったやり方に従いさえすればきっと解 け る.」 であるが, 正方向に答えた 人数は各学年を通 じて少なく, 特に数学専攻の2年, 3・4年. が極めて少ない. 併 し懐疑的な 人数の割合は数学専攻の学生に多い. これは, 数学専攻生は高校時 代数学の成績 の良い者が多く, 高校時代の数学の目的の大部分は受験にあり, 解法の型を覚えさせ るのが受験数学の技術である. このことと, 大学の数学が混在していることが表のような数値とし てあらわれてきたも のと思われる. ⑲は 「数学を勉強すると, げんみつな規則に従 って考えること が で き る よ う に な る 」 であるが, 3・4年 の正方向の割合が, 最も少ない. 2年以上の学生に対 .. しては, 算数教材研究で, 1900年の小学校 令施行規則第 1章第4条の 「算術は日常の計算に習 熟せ , 1935年から使用 しめ生活 上必須なる知識を与え兼ね て思考を精確な らしむるを以って要旨とす」 」 の教師用の凡 例の 「尋常小学算術は, 児童の数理思想を開発 し日 されはじめた緑表紙 「小学算術. 常生活を数理的に正 しくするよ うに指導するこ とに主意を置いて編纂 してある.」 と, 大正時代の. 数学教育の形式陶冶につい ての論争等を講 義しているが, 余り効果 がなかったようである. 特に3 .4年 の数学専攻生に正方向が少なく, 併 し懐疑的な者 が多いために負方向も少ないのは, 彼等が 現在学んでいる抽象的, 演輝論理的数学の方法と, 上記算数教材研究の講義内容とで混乱 し, こ の質問の内容に対 し, はっ きりした考 え方 がまだ確立していないものが多いことがその理由であろ う.. i) 第1表の鰹 )欄によると, 平均値は, 3・4年, 2年数学, 2年数学以外, 1年の順 (6)の(i -23 4-.

(10) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要 (第一部C). 昭和4 7年1月. 1 順序と異なり, 正方向の割合少ない⑤について考え に少なくな っている。 第8表 (その2) でこのi 第 8 表 (その2) ⑩の各質問に対する答の分布 (%) 問 題 番 号. ⑨. ⑥. \ 点数. 2. 1. O. 2. 1. 1. 61. 19. 20. 85. 11. 数以外. 68. 13. 19. 94. 数. 86. 5. 9. 3 ・4. 33. 52. 14. ⑩. ⑮ 1. 4. 84. 12. 4. 55. 31. 14. 5. 1. 74. 15. 11. 57. 22. 21. 91. 9. 10. 86. 5. 9. 55. 23. 22. 81. 14. 5. 81. 19. O. 81. 19. O. O. 2. 1. 2. O. O. 学年 \ (○) (△) (×) (×) (△) (○) (○) (△) (×) (○) (△) (×) 2. 2. 饗聾. 実数(○) 2. ⑩ 1. ⑳. ⑭ O. 2. 1. O. 2. 1. O. (△) (×) (○) (△) (×) (x) (△) (○). 33. 32. 35. 40. 30. 30. 75. 20. 5. 数以外. 48. 31. 21. 55. 23. 22. 86. 8. 6. 数. 41. 32. 27. 59. 23. 18. 82. 18. O. 3 ・4. 57. 29. 14. 72. 14. 14. 86. 14. O. 1 2. 2. C )の各質問に対する答の分布 〔%) 第 8 表 (その3) (. 際聾. 涙数(○) 2. ④ 1. O. 2. 1. ⑪. ⑦. ⑪ O. 2. 1. O. 2. 1. O. (△) (×) (x) (△) (○) (○) (△) (×) (×) (△) (○). 8. 23. 69. 42. 23. 36. 50. 31. 19. 26. 25. 49. 数以外. 14. 19. 77. 83. 11. 6. 53. 34. 13. 63. 30. 7. 数. 27. 32. 41. 50. 45. 5. 55. 41. 5. 41. 32. 27. 3 ・4. 33. 57. 10. 52. 33. 14. 72. 23. 5. 19. 29. 52. 1 2. 2. 饗聾. ※. ⑬ 2. 1. O. (○) (△) (x). ⑳. ⑰. ⑭. る ふk も. 2. 1. O. 2. 1. O. (×) (△) (○) (○) (○) (×). 31. 38. 31. 18. 40. 42. 34. 19. 47. 39. 41. 20. 数以外. 15. 42. 43. 17. 33. 50. 38. 20. 42. 42. 32. 26. 数. 46. 45. 9. 41. 27. 32. 50. 32. 18. 68. 32. O. 3 04. 14. 62. 23. 10. 67. 23. 43. 38. 19. 38. 57. 5. 1. 2. 2. て見る. ⑤は, 「数学は, やろうと思えば誰でも学べ るものだ.」 であるが, 3・4年の正方向の最 も少ない割合が⑤で, 1年の⑲と共に回の正方向で最低の割合を示している。 3 ・ 4 年 が こ の よ う な数値にな っているのは, 数学とは自分達の学んでいる大学専門の数学であるという こと, これを 誰でもやろうという意志さえあれば学べるものかという疑問からくるのではないだろうか, 併し, -23 5-.

(11) . VOI .22 No .2. lof Hokka ido Uni i ion IC) i journa t t s ver on (Sec y of Educat. ‐ u j an a ly,1972. 殆んど同じような質問である⑨ 「数学はごく少数の限られた人にしか 数学はごく少数の限られた人にしか学べない」 ⑮ 「やる気さえあ があれば, かなり高度の数学も勉 れば, 数学はたいていの人が学べるものだ」 ⑬ 「ふ 「ふつうの知能 つうの知能があ ・こ とを 考 える と, ⑤に対する考察も問題が残 ことを考えると し ・ 強できる」 の正方向の割合が, 3 0 4 年 は か な り多し る.. i i i (6)の( ) ◎即ち数学の社会における役割についての態度は, 本分校の学生にとっては, も っ とも問題のある態度である. 3・4年の正方向の少ない質問である⑪⑬⑭について考えて見よう. ⑪は, 「(代数や幾何などの) 数学は日常生活の諸問題にはあまり役に立たない」 であるが, 正方向 は3 0 4年がもっ とも少なく, 次いで1年 が少ない。 3・4年が少ないのは, 大学専門の幾何でも. 代数でも極めて抽象的な対象を扱 っているので, これらの数学と常識的な日常問題は結びつかない ためであると考えられる. 叉1年は高校の数学のみより知 らないし, それが大学入試の問題が多い. こ とが, こ の よ う な 数 字 に な っ た も の と 思 わ れ る。 2年数学以外が上の2つの グループにく らべて. 相当高い数値を示 しているのは, 小学算数で各数学的概念について講義するとき, できるだけ身近 な例で説明した影響と思う. ⑱ は 「数学の知識は, 20世紀の世界を理解するかぎである」 である. が, 3 0 4年の正方向の割合は, 2年数学以外と共に大変少ない. この質問は④の 「す ぐれた才能 をも った人たちがも っ と沢山数学者や数学の先生になるようにすすめなければならない」 と共に数 学をや っている者の手前みその感があり, 正方向の割合が全般的に少ない質問のうちの一つになっ て い る の が 領 け る が, こ の よ う な 感 じ方 は ヨ ー ロ ッ パ と 日 本 の 数 学 に対 す る 考 え 方 の ち が い か らく. るものと思われる. 即ち日本の数学の歴史は明治で断絶 し, 現在行なわれている数学は明治以後の ものであり, 西洋ででき上 った数学を受け入れたので数学は 「単に数学」 であり, ヨーロ ッパにお けるように 「数学は学問の根底」 だという伝統的な観念が ない. ヨーロ ッパ ではある時代において. ) このようなちがいは, 当然数学教育 8 は, 「世界認識としての数学」 としてさえ数学を考えていた. においてもあらわれる し, その結果が表のような数値になったと考えられる。 (併し, 資料がない. ので 国際数学教育調査の際のわが国生徒全般に対 してもこのようなことを言えるか どうかは疑問で ある。) ⑭は, 「よい職につくためには数学を知っておく ことが大切である。」 であるが,2年数学の. 41%を除くと正方向は10%台と大変少ない。 近年, 科学技術の進歩が極め て著 しく, それにともな って数学の重要性は多くの人々によ って認 められている. 数学教育の現代化が叫ばれているのも, その原因の一つに, 科学技術革新に見合う数学を教えなければならないことにある。 かつては大学 の数学科の卒業生はその専門を生かそうとすると, 研究室に残るか, 高校の先生になるよりほかな か っ た と い わ れ て い る が, 現 在 は 多 く の 分 野 に 進 出 して い る。 叉 文 科 系 で も コ ン ピ ュ ー タ ー の 講 義. があり, 文科系と理科系で数学の軽重をつけるのは無意味になってきているとさえ言われている. 従 ってこの質問の正方向の割合は相当多いと予想された が, 上記のようになっている. これは, 本 学が教員養成大学で, 卒業生の大部分 が教員になるので数学を特別に勉強しても就職に有利になる ことは殆ん どあり得ないことが その原因と思われる。 S 4.. おわり に. S3での考察を要約すると, 次のようになる. 1 ( ) 本分校の学生は, 数学的態度のうちの 「数学を発展的に見る態度」 と 「数学学習のむずか し さに対する態度」 は極めて良い傾向である。 (「数学を発展的に見る態度」 は, 国際数学教育調査で わが国の生徒は他の参加国にく らべて, その平均点が最小になっている級が多いにもかかわらず.. 第3表参照.) 2 ) 本分校の学生は, 数学的態度のうちの 「数学の社 会 における役割についての態度」 は望まし ‘ -2 36一.

(12) . 北海道教育大学紀要(第一部C). 第 22 巻 第 2 号. 昭和4 7年1月. くない傾向を示している。 (国際数学教育調査でわが国の生徒は他の参加国に比べて比較的よい傾 向を示しているにもかかわらず. 第2表, 第3表参照。) ( 3 ) 本分校の学生の数学の興味と態度の間には, 殆んど相関関係がない。. ) 本分校の学生は, 数学的態度で男 女差は殆んどない。 (国際数学教育調査でわが国の生徒は 牲 男の平均点が高く, 有意差がある。) 5 ) 広い展望を与えるような 数学の講義と望ま しい数学的態度の育成を意図した講義によ って, ( 全般的な 「数学を発展的に見る態度」 と 「数学学習のむずかしさに対する態度」 は大幅に望ま しい. 方向に育成される。. ’ 限られた狭い内容で, 技巧的な演習問題の多い数学の講義では, 「数学を発展的 に見る態度」 ( 6 と 「数学学習のむずかしさに対する態度」 は大幅に望ま しい方向には育成されない. ) 「数学の社会における役割についての態度」 は, 居住地域の産業構造と, 職業選択の自由度 ( 7. により影響される。 ) 数学専攻学生は, 一般学生より数学教育が形式陶冶であることを否定する割合が少ない。 { 8 )に関しては, 以上の事から望ま しい数学的態度を育成するための対策として, 回, 侶. 1 ) 数学の講義においては, できるだけ数学の広い展望を与えるように講義する。 ( ’ 算数数学教育の講義においては, 常に望ましい態度育成を意識 し, 態度育成に関連ある教材 2 (. のときは, できるだけ強調する。 ◎ に 関 して は,. 3 ) 教授者 が, 数学の応用部面をできるだけ勉強し, 講義の導入時等にできるだけ紹介する。 ( 等が考え られる。 残された問題として, は各項目の質問の答の割合分布を見ると, 平均点, 標準偏差等から考察さ. れたことが, 妥当と思われる場合と, 疑問になる場合がある。 そこで各質問の答の理由を書かせる こと によ り, 上 記 の 事 が 解 決 さ れ る の で は ない か と 予 想 さ れ る し, 今 ま で 考え られな か っ た 種 々 の. 問題がでてくると思われる。 文. 献. 1) 井上義夫 数学な的考え方の育成はなぜ必要か。 19 1 69 ) 教育科学, 数学教育, No .63 .10 .54‐p ,p . 明治図書. ( -p 19 66) 16 7 2 ) J .1 .11 , 岩波書店。 ( . ブルーナー, 鈴木祥蔵, 佐藤三郎訳 教育の過程 p .S 13- 2 67) 3) 国際数学教育調書, IEA日本国内委員会報告書 P p .2 .22 , 国立教育研究所。 (19 上 p 4 ) 同 .39-P .40, 5) 同 6) 同 7) 同. 上 上 上. p .101, p .255-p .274, p .172,. l 8 ) 下村寅太郎, 伊藤俊太郎, 数学史ょ興れ (座談会) 数学セミナー Vo .9, 日 本 評 論 社, .9 .10.p 。2-p , No ( 19 70 ). -23 7-.

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