幼児の日常的な自然体験尺度の作成:保育士による評定に基づく検討
2
0
0
全文
(2) る保育士計243名から回答を得た。. な自然体験の因子である。それらの因子から成る. 『I.典型的体験活動』『II.季節感』『皿.協. 評価尺度を作成することが可能だろう。しかし今. 働心』『1V.身体感覚』『V.収穫・飼育体験』『Vl.. 回行ったのは保育所であったため、幼児全般の日. 好奇心』『W.五感』の7因子を抽出した。. 常的な自然体験とは言えない。そこで、今後の課. 『I.典型的体験活動』は、1O項目で、どの保. 題5点を以下に挙げる。. 育園でも行えるような活動が集まっている。他の. まず、第一に幼児の日常的な自然体験尺度につ. 6つの因子とは違い、手にとれる自然物を使った. いて妥当性を高めることである。幼稚園で53項. 遊びや出会いがある項目群になった。『皿.季節. 目の重要度について調査し、再度因子分析を行う。. 感』は8項目で、季節による情景や事象の変化に. 幼稚園と保育所の結果を比較検討し、幼児の日常. 関する体験である。これらの体験を通して様々な. 的な自然体験を構成する因子構造を確証してい. 感情や認識を示す項目群となった。『皿、協働心』. きたい。. は6項目から成り、飼育・栽培活動を中心として. 第二に、自然体験尺度をもとに、その効果を調. いるが、背景には「みんなで」行うことを重視し. べることである。先行研究を参考に自然体験の効. た項目群となっている。一つのめあてや目標を持. 果について仮説を立て検証する。詳細は尺度作成. って、思考や感情を共有するような意味合いを持. 後に検討する。. っている。『lV.身体感覚』は4項目が挙がった。. 第三に原体験項目との比較である。今回、先行. 内容は、飛んだり走ったり、はい上がったりする. 研究から幼児の日常的な自然体験を捉えた尺度が. ような大まかな項目であるが、複雑な地形を有す. 見あたらず、独自の尺度開発を試みることとなっ. る体験として、思考や身体感覚が養われる項目群. た。現時点では自然体験を原体験で捉える研究が. である。『V.収穫・飼育体験』は6項目から成. 多い。そこで、今回作成した尺度が原体験項目と. り、『皿.協働心』と同様に飼育・栽培活動を中. の違いについて、吟味する必要があるだろう。. 心としている。違うのは個人が能動的に関わり、. 第四に日常と非日常の自然体験について考察を. その中で思考や道徳性、感情を育む機会になって. 深めることである。心的過程に着目し体験を考慮. いる点である。『Vl.好奇心』は4つの項目から. すると、非目常的な体験と日常的な体験に共通す. 成っている。『I、典型的体験活動』の項目より. る要素が見られる。日常生活とつなげるかたちで、. も、個人的な興味や関心を持って、積極的に関わ. 非目常的な体験を位置づけることで幼児にとって. るというように一歩踏み込んだ体験内容になっ. より有意義な自然体験を提供できるものと考える。. た。『V皿.五感』は五感のうち嗅覚、聴覚、触覚. 第五に削除した項目についての再考察である。. に特化した体験内容が挙がってきた。視覚につい. 今後の保育の質の向上や改善のために課題とし. ては改めて視覚を重視する項目は挙がってこな. て取り組んでいく必要性があるであろう。. かったが、人間は視覚的動物であることから、多. 以上が本研究を通して見えてきた課題である。. くの行為が視覚によって先導されていると考え. これらを踏まえて、今後の研究につなげたい。. る。さらに、これらの感覚は外界の情報を知る窓. 主任指導教員 足立 正 教授. 口となり、認識に影響を与えうるものであろう。. 指導教員 石野 秀明 准教授. 以上が本研究で明らかになった。幼児の日常的. 一43一.
(3)
関連したドキュメント
これまでに、装置構成は複雑ではあるが立体視の要因をほぼ満足し、自然な立体視が可能な奥
かであろう。まさに UMIZ の活動がそれを担ってい るのである(幼児保育教育の “UMIZ for KIDS” による 3
はある程度個人差はあっても、その対象l笑いの発生源にはそれ
8月上旬から下旬へのより大きな二つの山を見 るととが出來たが,大体1日直心気温癬氏2一度
目的 青年期の学生が日常生活で抱える疲労自覚症状を評価する適切な尺度がなく,かなり以前
「教育とは,発達しつつある個人のなかに 主観的な文化を展開させようとする文化活動
婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける 環境をつくる」、「多様化する子育て家庭の
これは基礎論的研究に端を発しつつ、計算機科学寄りの論理学の中で発展してきたもので ある。広義の構成主義者は、哲学思想や基礎論的な立場に縛られず、それどころかいわゆ