佐賀大学医学部附属病院
検査部
本田 美穂
症例 6
症例
60歳代 男性
主訴
倦怠感
現病歴
糖尿病と気管支喘息にて他院通院中。1か月前に
肺炎疑いで入院した際にPLT低値(6.6万)を指摘され
ていた。抗菌薬投与による肺炎治療後もPLT低値は
持続し、20XX年8月、白血球の増加とPLT低値(3.1万)、
末梢血に芽球様異常細胞が認められたため、当院血液
腫瘍内科を紹介受診。
既往歴
小児喘息
好酸球性食道炎(3ヵ月前)
入院時検査所見
WBC 17300 /μL RBC 2.24 万/μL Hb 8.1 g/dL Hct 23.8 % MCV 106.3 fL MCH 36.2 pg MCHC 34.0 % RDW % PLT 17 ×103/μL Ret 1.0 % Blast 43.5 % Promyelo 0.0 % Myelo 0.5 % Meta 1.0 % Stab 0.0 % Seg 10.5 % Lymph 14.0 % Mono 27.5 % Eosino 2.0 % Baso 0.0 % NRBC /100WBC CRP 0.52 mg/dL Na 144 mEq/dL K 3.5 mEq/dL Cl 111 mEq/dL IP 2.9 mg/dL Ca 8.7 mg/dL UN 9.9 mg/dL CRE 0.55 mg/dL UA 5.3 mg/dL AMY 60 IU/L TP 6.3 g/dL ALB 3.7 g/dL TB 0.9 mg/dL DB 0.1 mg/dL IDB 0.8 mg/dL GLU 147 mg/dL TC 120 mg/dL AST 13 IU/L ALT 10 IU/L ALP 154 IU/L CHE 209 IU/L LD 357 IU/L CK 20 IU/L GGT 38 IU/L LAP IU/L TG 123 mg/dL Fe 178 µg/dL TIBC 199 µg/dL UIBC 21 µg/dL フェリチン 1316 ng/mL IgG 1097 mg/dL IgA 181 mg/dL IgM 78 mg/dL PT(%) 58.6 % PT(INR) 1.28 APTT(秒) 34.7 sec Fib 355.3 mg/dL AT3 89.9 % FDP 4.3 μg/mL Dダイマー µg/mL〔血液検査〕
〔生化学・その他検査〕
〔凝固検査〕
入院時検査所見
WBC 17300 /μL RBC 2.24 万/μL Hb 8.1 g/dL Hct 23.8 % MCV 106.3 fL MCH 36.2 pg MCHC 34.0 % RDW % PLT 17 ×103/μL Ret 1.0 % Blast 43.5 % Promyelo 0.0 % Myelo 0.5 % Meta 1.0 % Stab 0.0 % Seg 10.5 % Lymph 14.0 % Mono 27.5 % Eosino 2.0 % Baso 0.0 % NRBC /100WBC CRP 0.52 mg/dL Na 144 mEq/dL K 3.5 mEq/dL Cl 111 mEq/dL IP 2.9 mg/dL Ca 8.7 mg/dL UN 9.9 mg/dL CRE 0.55 mg/dL UA 5.3 mg/dL AMY 60 IU/L TP 6.3 g/dL ALB 3.7 g/dL TB 0.9 mg/dL DB 0.1 mg/dL IDB 0.8 mg/dL GLU 147 mg/dL TC 120 mg/dL AST 13 IU/L ALT 10 IU/L ALP 154 IU/L CHE 209 IU/L LD 357 IU/L CK 20 IU/L GGT 38 IU/L LAP IU/L TG 123 mg/dL Fe 178 µg/dL TIBC 199 µg/dL UIBC 21 µg/dL フェリチン 1316 ng/mL IgG 1097 mg/dL IgA 181 mg/dL IgM 78 mg/dL PT(%) 58.6 % PT(INR) 1.28 APTT(秒) 34.7 sec Fib 355.3 mg/dL AT3 89.9 % FDP 4.3 μg/mL Dダイマー µg/mL〔血液検査〕
〔生化学・その他検査〕
〔凝固検査〕
〔血液検査〕 WBC増加、貧血、PLT減少、Blast増加 → 急性白血病
〔生化学・その他検査〕
・TP・ALB、CHE、TC軽度低下 → 肝障害など
・TIBC、UIBC低下 → ネフローゼ症候群、AA、MA、HA、肝疾患、
慢性炎症性疾患、肝疾患、悪性腫瘍など
・CRP、LD軽度上昇 → 感染症、炎症、造血器疾患
(悪性リンパ腫、白血病)
・フェリチン高値 → 肝疾患、感染症、膠原病、造血器腫瘍、固形癌
(肝臓・脾臓など)
〔凝固検査〕 PT軽度延長 → 肝障害、ビタミンK欠乏、抗生剤、ワーファリン
末梢血液像(MG染色)
末梢血液像(MG染色)
×750
Blast
43.5
%
Pro-my
0.0 %
Myelo
0.5 %
Meta
1.0 %
Stab
0.0 %
Seg
10.5 %
Lymph
14.0 %
Mono
27.5
%
Eosino
2.0 %
Baso
0.0 %
末梢血液像(MPO染色)
末梢血液像(EST 2重染色)
末梢血 所見シート
〔赤血球形態〕
正常
〔白血球形態〕
単球系の形態異常
〔血小板形態〕
正常
〔その他の所見〕
芽球の増加、単球の増加
芽球・・中型~大型(好中球を中とする)
N/C比 中~大、核小体 明瞭~不明瞭
核クロマチン 繊細網状
核形 類円形
MPO(+) α-NB(-) ASD(-)
〔推測される疾患〕
急性白血病(M4やM5)
〔さらに必要な検査〕
骨髄穿刺、特殊染色(EST、PAS)、細胞表面マー
カー、染色体・遺伝子検査
骨髄像(MG染色)
×200
×500
骨髄像(MG染色)
×750
〈細胞密度〉 軽度過形成 Ery-Po 1.6% Ery-Or 1.6% M-Bla 4.0% Pro-My 4.4% Mye 2.8% Met-My 2.4% Stab 1.2% Seg 1.2% Eo-Pro 7.2% Eo-My 11.2% Eo-Met 16.4% Eo-Sta 17.2% Eo-Seg 12.4% Baso 0.0% Mo-Bl 6.4% Pro-Mo 4.4% Mono 2.4% Ly 3.2% M/E比 25.13骨髄像(MG染色)
骨髄像(MG染色)
骨髄像(特殊染色)
骨髄
所見
シート
1. 標本の評価 良好 不良 (理由: ) 2. 細 胞 密 度 無形成 低形成 正形成 過形成 3. 脂 肪 滴 減少 正常 増加 4. 骨 髄 巨 核 球 著減 減少 正常 増加 5. M / E 比 低 正 高 6. 各細胞系統について 1)顆粒球系 (1) 分布密度 減少 正常 増加 (2) 成熟分化 正常 異常 (3) 芽球細胞 正常 増加 (4) 形態異常 ( あり ・ なし ) (6)その他・特記事項 2)赤芽球系 (1)分布密度 減少 正常 増加 (2)形態異常 ( あり ・ なし ) 巨赤芽球(様)変化 ( - + ) (4)その他・特記事項 3)巨核球・血小板系 (1)巨核球形態 ( あり ・ なし ) (2)血小板産生像 減少 正常 増加 (3)異形成の合計 1+ 10%未満 2+ 10~50%未満 3+ 50%以上 (4)その他・特記事項 7. 異常細胞の出現あり① 芽球様細胞 1)形態的特徴 (1)細胞の大きさ 小 中 大 (正常小リンパ球を小、好中球を中とする) (2)N/C比 <60% 60~80% >80% (3)核の形状(不整、切れ込みなどの有無を記載する) 類円形 (4)クロマチンの性状 網状繊細 顆粒状 粗剛 塊状 (5)核小体 不明瞭 明瞭 (明瞭の場合、特記すべき事あれば記載する) (6)細胞質 1)好塩基性 強い 弱い 2)顆粒(顆粒の大きさ、色調、大体の個数を記載) 3)細胞質辺縁 不整 不明瞭 偽足様突起 4)その他の構造 (7)その他(集簇性の有無など) MPO(+) α-NB(-) ASD(-)骨髄
所見
シート
7. 異常細胞の出現あり② 異常好酸球 1)形態的特徴 (1)細胞の大きさ 小 中 大 (正常小リンパ球を小、好中球を中とする) (2)N/C比 <60% 60~80% >80% (3)核の形状(不整、切れ込みなどの有無を記載する) (4)クロマチンの性状 網状繊細 顆粒状 粗剛 塊状 (5)核小体 不明瞭 明瞭 (明瞭の場合、特記すべき事あれば記載する) (6)細胞質 1)好塩基性 強い 弱い 2)顆粒(顆粒の大きさ、色調、大体の個数を記載) 粗大 青紫~紫黒色 3)細胞質辺縁 不整 不明瞭 偽足様突起 4)その他の構造 (7)その他(集簇性の有無など)〔所見まとめ〕
芽球様細胞と異常好酸球の増加による軽度過形成像を呈する。
背景にはわずかながら血球3系統各成熟段階の細胞を認め、それ
らに形態異常は認めない。異常細胞として、中型から大型でN/C比
が大きい骨髄芽球様、大型でN/C比が比較的小さい単芽球様細胞
を合わせた芽球を10.8%と、各成熟段階の好酸球を64.4%認める。
また幼若好酸球には青紫~紫黒色の粗大顆粒を認める。
好酸球の異常な増加からは好酸球増多を伴うMPNや、骨髄系と単
球系芽球の混在に加えて異常好酸球を認めることからM4Eoが考
えられるが、末梢血所見を加味するとM4Eoを最も疑う。
骨髄
FCM
82.6%
71.2%
61.4%
63.5%
24.6%
○陽性マーカー:MPO,CD11c(一部),CD13,CD33,CD34,
CD117,HLA-DR,
○陰性マーカー:CD3,CD14,CD19,CD41a,CD56,CD79a
骨髄
染色体・遺伝子検査①
〔白血病マルチキメラスクリーニング〕
CBFβ-MYH11
キメラmRNA定量
特定の遺伝子異常を有する
急性骨髄性白血病
・AML : t(8;21)(q22,q22) ; RUNX1-RUNX1T1
・
AML : inv(16)(p13.1q22)
あるいは t(16;16)(p13.1;q22) ; CBFB-MYH11
・APL : t(15;17)(q22;q21) ; PML-RARA
・AML : t(9;11)(p22;q23) ; MLLT3-MLL
・AML : t(6;9)(p23;q34) ; DEK-NUP214
・AML : inv(3)(q21q26.2)
または t(3;3)(q21;q26.2) ; RPN1-EVI1
・AML(megakaryoblastic) : t(1;22)(p13;q13)
; RBM15-MKL1
※染色体異常の存在のみでAMLの診断がなされ、芽球割合は考慮されない。
(WHO第4版による)
AML : inv(16)(p13.1q22)
あるいは
t(16;16)(p13.1;q22) ; CBFB-MYH11
16番染色体短腕(16p13)に座位するMYH11遺伝子と16番染色体長腕(16q22)に座位するCBFB遺伝子 の逆位(あるいは相互転座により)CBFB-MYH11キメラ遺伝子が形成される。 CBFB-MYH11キメラ遺伝子が、CBFBの転写因子としての機能を障害することが発症の原因と考えられ ている。inv(16)(p13.1q22)を示す症例が圧倒的に多い。AML : inv(16)(p13.1q22)
あるいは
t(16;16)(p13.1;q22) ; CBFB-MYH11
FAB分類の、異常好酸球を伴う急性骨髄単球性白血病(M4Eo)に相当。
AMLの5~8%に認められ、予後良好。
形態的特徴は通常の骨髄単球性白血病(M4)
の所見に加えて、
全ての分化段階にある好酸
球の増加
が骨髄中に認められる。特徴的な
異常は、
未熟な好酸性顆粒を前骨髄球、骨髄
球の段階で認める
こと。その顆粒は正常の
幼若好酸球よりも
大きく、青紫~紫黒色
を
呈する。末梢血液像は通常のM4と同様で
あり、異常好酸球は通常認めない。
CD34,CD117発現芽球や、CD13,CD33,CD15,
CD56,MPOなどの顆粒球系マーカー発現芽球、
CD14,CD4,CD11b,CD11c,CD64,CD36などの
単球系マーカー発現芽球が混在する。
(WHO第4版より引用)
Atlas Genet Cytogenet Oncol Haematol. 1999; 3(3)