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地及び附属施設 区分所有者 は, 区分所有法において, マンションの 専有部分 を持つ所有者のことをいい, 一般にはマンション住民のことを指します. さらに専有部分以外の建物部分, 例えば住民で共用している玄関, 廊下等をこの法律では 共用部分 といいます. 区分所有法 ( 建物の区分所有 ) 第一

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Academic year: 2021

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マンション管理適正化法違反の有無と課題

宗村 浩至

建政部 計画・建設産業課 (〒950-8801 新潟市中央区美咲町1-1-1) 平成13年から「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正 化法」といいます.)」が施行されましたが,マンションの住民から寄せられるマンション管 理に関する相談は後を絶ちません.本稿では実際にあった事例を研究し,マンション管理適正 化法違反の有無とその課題について考察を行いました. キーワード マンション,マンション管理適正化法,管理業者

1. はじめに

「マンション」,六本木ヒルズやリゾート地などに憧 れて購入する人は多くいると思います.そういうマンシ ョンでさえ,様々な問題が存在しています.マンション の問題は,マンションの「購入」よりも,むしろ「管 理」に関することが多いと感じます.「管理」は大切な 事項であって,冒頭に列記した憧れの住生活は,適切な 「管理」無しには実現しません.マンション住民は,マ ンションの「管理」に問題が発生すれば,その問題を解 決するため,地方整備局等に相談を持ちかけます. 今回,マンション住民から寄せられた相談事例を研究 しました.マンション管理の問題点を整理することによ り,今後の相談対応に役立て,より良い解決方法を模索 できると考え研究に取り組みました. (1) マンション管理に関する法律 マンション管理に関する法律は,具体的には次の法律 が考えられます. ●「建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有 法」といいます.)」 ●「マンション管理適正化法」 最初に区分所有法について簡潔に説明します.区分所 有法は,区分所有者であれば,当然,マンションの管理 組合の一員となることが定められています.その外に区 分所有法は,区分所有者は管理組合から脱退はできない こと,管理組合の総会のことや管理規約のことについて 法律に定められています. マンション管理適正化法は,「マンション管理業者 (以下「管理業者」といいます.)」,「マンション管 理士」,管理業者の責任者である「管理業務主任者」の ことが定められています.国土交通省で所掌している法 律は,マンション管理適正化法です. 少なくとも,これらの2つの法律を知っていなければ, マンション管理に関する相談対応は適切に行えないと思 われます. (2) マンション管理の目的と定義 マンション管理の適正化を推進するために制定された マンション管理適正化法.その目的は次のとおりです. マンション管理適正化法による「マンション」の定義 とは,次のとおりです. マンション管理適正化法 (目的) 第一条 この法律は,土地利用の高度化の進展その 他国民の住生活を取り巻く環境の変化に伴い,多数 の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大 していることにかんがみ,マンション管理士の資格 を定め,マンション管理業者の登録制度を実施する 等マンションの管理の適正化を推進するための措置 を講ずることにより,マンションにおける良好な居 住環境の確保を図り,もって国民生活の安定向上と 国民経済の健全な発展に寄与することを目的とす る. マンション管理適正化法 (定義) 第二条 この法律において,次の各号に掲げる用語 の意義は,それぞれ当該各号の定めるところによ る. 一 マンション 次に掲げるものをいう. イ 二以上の区分所有者が存する建物で人の居住 の用に供する専有部分のあるもの並びにその敷

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「区分所有者」は,区分所有法において,マンション の「専有部分」を持つ所有者のことをいい,一般にはマ ンション住民のことを指します.さらに専有部分以外の 建物部分,例えば住民で共用している玄関,廊下等をこ の法律では「共用部分」といいます. その外に「管理組合」,「管理者等」及び「管理業 者」の定義については,次のとおりです. マンション管理において,最も基本的な事項である 「管理するのは誰か?」を整理してみます.一般にマン ション管理と言えば「共用部分の管理」のことを指しま すが,それではその共用部分を管理をするのは誰でしょ うか?答えはマンションに住む区分所有者一人一人です. このことを誤ると管理責任の所在が不明確になります. 実際,マンションに住む区分所有者一人一人がそれぞれ 勝手な管理をすると上手くいきません.そのため管理組 合を結成することになります.管理組合は区分所有者の 代理人であり,管理事務を行います.また管理業者は, 管理組合と契約を結び,管理事務についてサポートをし ています.これがマンションの実態です.一見,管理業 者が管理しているように見えますが,マンションを管理 することは,マンションの区分所有者一人一人であるこ とを再認識する必要があります.これらのことは,マン ション管理適正化法に基づく指針で定められています. 区分所有法 (建物の区分所有) 第一条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分 で独立して住居,店舗,事務所又は倉庫その他建物 としての用途に供することができるものがあるとき は,その各部分は,この法律の定めるところによ り,それぞれ所有権の目的とすることができる. (定義) 第二条 この法律において「区分所有権」とは,前 条に規定する建物の部分(共用部分とされたものを 除く.)を目的とする所有権をいう. 2 この法律において「区分所有者」とは,区分所有 権を有する者をいう. 3 この法律において「専有部分」とは,区分所有権 の目的たる建物の部分をいう. 4 この法律において「共用部分」とは,専有部分以 外の建物の部分,専有部分に属しない建物の附属物 ~中略~ をいう. マンション管理適正化法 (定義) 第二条 この法律において,次の各号に掲げる用語 の意義は,それぞれ当該各号の定めるところによ る. 一,二 省略 三 管理組合 マンションの管理を行う区分所有法 第三条 ~中略~ に規定する法人をいう. 四 管理者等 区分所有法第二十五条第一項の規定 により選任された管理者 ~中略~ をいう. 五,六 省略 七 マンション管理業 管理組合から委託を受けて 管理事務を行う行為で業として行うもの(マンシ ョンの区分所有者等が当該マンションについて行 うものを除く.)をいう. 八 マンション管理業者 第四十四条の登録を受け てマンション管理業を営む者をいう. 九 省略 (登録) 第四十四条 マンション管理業を営もうとする者 は,国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿 に登録を受けなければならない. 2~5 省略 区分所有法 (区分所有者の団体) 第三条 区分所有者は,全員で,建物並びにその敷 地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し, この法律の定めるところにより,集会を開き,規約 を定め,及び管理者を置くことができる.一部の区 分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな 共用部分をそれらの区分所有者が管理するときも, 同様とする. (選任及び解任) 第二十五条 区分所有者は,規約に別段の定めがな い限り集会の決議によつて,管理者を選任し,又は 解任することができる. 地及び附属施設 ~以下省略~ マンションの管理の適正化に関する指針 一マンションの管理の適正化の基本的方向 1 マンションの管理の主体は,マンションの区分所 有者等で構成される管理組合であり,管理組合は, マンションの区分所有者等の意見が十分に反映され るよう,また,長期的な見通しを持って,適正な運 営を行うことが重要である.特に,その経理は,健 全な会計を確保するよう,十分な配慮がなされる必 要がある.また,第三者に管理事務を委託する場合 は,その内容を十分に検討して契約を締結する必要 がある. 2 管理組合を構成するマンションの区分所有者等 は,管理組合の一員としての役割を十分認識して,

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(3) マンション管理業について マンションストック数は,図-1のとおり年々増加して いますが,管理業者数は,図-2のとおり減少傾向にあり ます.その理由を分析すると,新しく建築されるマンシ ョンは,グループ企業内の各会社がそれぞれマンション を企画,発注,販売,管理も行う形態をとっているため, マンション管理だけを行う管理業者は参入しにくい状況 にあります.また,規模の小さい管理業者は,管理棟数 が少ないと利潤を確保することが難しく,結果的に管理 を手放します.このようにして大手の管理業者にマンシ ョン管理が集中しているのではないかと分析できます.

2. 実例に基づくマンション管理の相談

マンションのトラブルに関する国土交通省で行った調 査結果を紹介します.図-3は「トラブルの発生状況」を 示しています.もっとも多いトラブルは「居住者間のマ ナー」でした.ただし,地方整備局等の所掌は,管理業 者の登録及び監督などに限られているため,直接このト ラブルの相談に関与することはありません.地方整備局 等で対応するトラブルとしては,「管理業者等」に関す る こ と で あ り , 平 成20 年 度 の 調 査 結 果 に よ れ ば 「3.8%」に過ぎません.ただマンション管理の問題は, いろいろな原因が複雑に絡み合っていることが多く,例 えば「建物の不具合」について初期段階で管理業者が管 理組合に報告していれば修繕費用が低く抑えられていた 事例もあります. 図-4は,「トラブルの処理方法」です.もっとも多い 処理方法は「管理組合内で話し合った」となっています. トラブル解決に向けて「国に相談した」と回答した管理 組合は,平成20年度で「0.4%」に過ぎません.北陸地方 整備局(以下「整備局」といいます.)に,マンション のトラブルに関する相談があった件数は,平成20年度に おいて8件です.整備局への相談内容は,「管理組合の 運営」,「管理規約」や「管理業者」に関する相談が大 半でした.トラブルが発生した場合,区分所有者は,最 初,身近なところに相談をしますが,それでも解決でき ないときは地方整備局等に相談をすると推測されます. (1) 問題のあるマンションの概要とポイント それでは,実際にどのような問題があるのか,実例を 紹介します. 管 理 業 者 数 % 2) 新 規 供 給 戸 数 ス ト ッ ク 戸 数 1) % 2) 管理組合の運営に関心を持ち,積極的に参加する 等,その役割を適切に果たすよう努める必要があ る. 3.8% 0.4%

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この事例について,マンション管理適正化法のポイン トを整理すると, ● 「重要事項の説明等」は,法令に基づき適切に処理 されているか? ● 「会計の収入及び支出の状況に関する書面」を毎月 作成し,管理者等に交付しているか? の2点でした. 整備局で調査できることは,「重要事項の説明等」と 「会計の収入及び支出の状況に関する書面」に限られて います.相談者の最大の関心事である「水漏れ」は,マ ンション管理適正化法の適用外となります.「水漏れ」 の問題については,区分所有者と管理組合で話し合って 解決することになります.区分所有者から管理組合に 「水漏れ」の内容を伝え,管理組合から管理業者に, 「水漏れ」の相談をすることが最良と思います.ただ, この事例のような場合,管理業者から管理組合に対し, 何らかの情報提供があっても良いと思われますが,それ は管理業者の資質の問題であり,情報提供をしなかった としてもマンション管理適正化法に違反するわけではあ りません. 整備局では,「重要事項の説明等」と「会計の収入及 び支出の状況に関する書面」の2点について事実を確認 するため,管理業者に対しマンション管理適正化法第86 条に基づく立入検査を実施しました. このような相談については,決して一人で行うことな く,不動産業ラインで,問題点をあらゆる角度から考察 することが必要だと思います.法令による厳密な解釈が 必要とされているので,一人で結論を出さないように注 意をしています. (2) 重要事項の説明等及び契約書に関する検査 「重要事項の説明等」は,契約を締結する前にマンシ ョン管理適正化法によって定められた項目を,契約の相 手方に説明すること及びその関係書類を交付することで す.「重要事項の説明等」と「契約の成立時の書面の交 付(以下「契約書」という.)」は,一対なので重要事 項の説明等に不備があれば,契約書にも不備がある可能 性があります.重要な項目が記載されているので相談内 容にかかわらず,必ず両方を確認するようにしています. 重要事項の説明等の検査を行ったところ,次のような点 が判明しました. ①重要事項の説明会未開催 マンション管理適正化法では,管理業者は,従前の契 約と同一内容でない場合,全ての区分所有者に対して説 明会を開催して,資格を有する管理業務主任者が重要事 項について説明しなければならないと定められています が,説明されていないことが判明しました. マンション管理適正化法 (立入検査) 第八十六条 国土交通大臣は,マンション管理業の 適正な運営を確保するため必要があると認めるとき マンション管理適正化法 (重要事項の説明等) 第七十二条 マンション管理業者は,管理組合から 管理事務の委託を受けることを内容とする契約(以 下「管理受託契約」という.)を締結しようとする ときは,あらかじめ,国土交通省令で定めるところ により説明会を開催し,当該管理組合を構成するマ ンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者 等に対し,管理業務主任者をして,管理受託契約の 内容及びその履行に関する事項であって国土交通省 令で定めるもの(以下「重要事項」という.)につ いて説明をさせなければならない.この場合におい て,マンション管理業者は,当該説明会の日の一週 間前までに,当該管理組合を構成するマンションの 区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に 対し,重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載 した書面を交付しなければならない. ~以下省略~ 【相談内容の概略】 事の発端は,一区分所有者の部屋から水漏れが発生 したことから始まります.管理業者は,相談者が水漏 れの調査を依頼しても何もしない様子だったので,相 談者の管理業者に対する不信感は徐々につのり,相談 者はマンション管理に関する調査を実施しました.調 査の結果,重要事項の説明会を実施しなかったこと や,管理組合の会計収支が合わないことなど疑義が判 明し,さらに相談者が,管理組合の総会でこの件を発 言すると管理業者から発言への妨害を受けたと,整備 局に相談がありました. 相談者は,整備局に次のような4項目について要望 しています. ・管理業者に対し,重要事項の説明会を実施するよう 指導してほしい. ・管理業者に対し,水漏れについて,責任をとるよう 指導してほしい. ・管理業者に対し,会計の収支について,区分所有者 に報告するよう指導してほしい. ・管理業者に対し,総会において当方の発言を妨害し ないよう指導してほしい. は,その必要な限度で,その職員に,マンション管 理業を営む者の事務所その他その業務を行う場所に 立ち入り,帳簿,書類その他必要な物件を検査さ せ,又は関係者に質問させることができる. ~以下省略~

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次に契約書の検査を行ったところ,次のような点が判 明しました. ②「管理事務に要する費用」すなわち委託料の未記載 マンション管理適正化法では,委託費用について記載 されていなければならないと定められていますが,委託 費用が記載されていないことが判明しました. (3) 「会計の収支及び支出の状況に関する書面」の検査 マンション管理適正化法では,管理業者は,その管理 組合に関する「会計の収入及び支出の状況に関する書 面」を毎月作成し,管理組合に交付しなければならない と定められており,管理業者は,そのとおり毎月書面を 作成し交付していました.ただし,書面を見ると会計収 支を確認することはできるものの,会計上の不正を掴む ことは難しいと考えられます.その理由は,マンション 管理適正化法では捜査権が与えられていないので,帳簿 に計上されている各項目の収支についての妥当性は,当 事者でない限りわからないからです. 今回,管理業者に対し,ヒアリングや書面検査を実施 したところ,書類については整備されており,不正行為 は確認できませんでした. 管理業者に対して,前述した(2)の①,②について, マンション管理適正化法72条違反及び73条違反があった ことを指摘して,指導を行いました. (4) マンション管理適正化法における信義誠実の原則 マンション管理適正化法では,管理業者は,誠実にそ の業務を行わなければならないと定められています. 相談者から,「管理業者に対して,総会において,当 方の発言を妨害しないよう指導してほしい.」と相談が あったことについて,考察します. 実際,マンション管理の相談で,この条文に関する相 談は多くあります.例えば管理組合の理事に対し,管理 業者が暴力的な言動を行った事例,「管理業者が管理組 合を乗っ取るつもりだ.」と発言した事例,管理業者が 何もしない事例相談など,管理業者の資質を問う相談が 多く寄せられています.しかしながら,このような相談 は,整備局が管理業者に指導できない内容です.なぜな らばマンション管理適正化法にある「信義誠実」の定義 が不明確であり,管理業者の資質を問うような問題には, 確証(証拠)がないことが多いためです.またマンショ ン管理適正化法第70条は,訓示的な規定であると解釈さ れています. これらの問題は管理業者だけでなく,管理組合にも問 題があることが多いと思われます.なぜならば管理の主 役は,管理組合であって,管理業者は,サポート的な立 場にあるからです.つまり管理組合がしっかり機能しな ければ,管理業者は適切なサポートをすることができま せん.またサービス精神が強い管理業者は,機能してい ない管理組合に代わり,広い範囲で活動することもあり ます.このようなことが一部の区分所有者には,管理業 者がマンションを支配しているように感じられる要因と なっています.それでは管理組合が機能するためにはど うしたらよいのでしょうか?答えは,マンションに住む 区分所有者一人一人が自らのマンションに対して強く関 心を持ち,積極的に管理組合に参加することです. しかし,相談内容の対応結果について,相談者に伝え ることだけでは,マンション管理適正化法の制定された 行政目的を考えても不十分であり,整備局では管理業者 に対し必要な助言や指導を行うようにしています.「信 義誠実」に関することを管理業者に話す場合,法的根拠 が曖昧で,越権行為と捉えられる場合もあるので,相談 者からの相談内容について,単に伝えるだけにしていま す. 本件事例では,相談者は「管理業者に対し,当方の発 言について,妨害しないでほしい」と相談がありました. マンション管理適正化法 (契約の成立時の書面の交付) 第七十三条 マンション管理業者は,管理組合から 管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締 結したときは,当該管理組合の管理者等に対し,遅 滞なく,次に掲げる事項を記載した書面を交付しな ければならない. 一 管理事務の対象となるマンションの部分 二 管理事務の内容及び実施方法 三 管理事務に要する費用並びにその支払の時期及 び方法 四 管理事務の一部の再委託に関する定めがあると きは,その内容 五 契約期間に関する事項 六 契約の更新に関する定めがあるときは,その内 容 七 契約の解除に関する定めがあるときは,その内 容 八 その他国土交通省令で定める事項 ~以下省略~ マンション管理適正化法施行規則 (財産の分別管理) 第八十七条 1~4 省略 5 マンション管理業者は,毎月,管理事務の委託を 受けた管理組合のその月における会計の収入及び支 出の状況に関する書面を作成し,翌月末日までに, 当該書面を当該管理組合の管理者等に交付しなけれ ばならない. ~以下省略~ マンション管理適正化法 (業務処理の原則) 第七十条 マンション管理業者は,信義を旨とし, 誠実にその業務を行わなければならない.

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この内容を管理業者に伝えたところ,「当社は,助言す るだけで,発言を妨害をするようなことはしていな い.」と回答がありました.これ以上法的に踏み込むこ とはできませんが,相談者からの相談内容を管理業者に 伝えたことにより,管理業者のマンション管理に対する 意識が変わっていくことを期待したいと思います.

3. マンション管理適正化法の課題

ここから「マンション管理適正化法」に関する3つの 課題を考察します. ●基幹事務の課題 ●自主管理の課題 ●立入検査の課題 マンション管理適正化法では,管理業者の定義として, 基幹事務(①管理組合の会計の収入及び支出の調定②出 納③マンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の 調整)を全て行っていること,また,管理業者が区分所 有者であるマンションは除くことが規定されていること により,整備局の指導対象となる管理業者の範囲が狭く なっています. (1) 基幹事務の課題 3項目ある基幹事務のうち,全ての項目を委託されて いなければマンション管理適正化法の適用除外となりま す.管理組合も委託項目が少ないほうが契約金額が少な いため,メリットだと感じてしまいます.このような課 題にも取り組む必要があります. (2) 自主管理の課題 マンション管理を委託されていた管理業者が,そのマ ンションの一室を取得し,区分所有者となった場合,そ のマンションは管理組合による自主管理マンションにな る可能性があります.管理業者が,意図的にマンション の区分所有者になることにより,マンション管理適正化 法の適用除外になり,独占してマンションを運営するこ とも可能となります.このような事例はリゾートマンシ ョンで散見されます. (3) 立入検査の課題 マンション管理業の適正な運営を確保するため,管理 業者に対し定期的に立入検査を実施しています.立入検 査は,管理業者の本社で実施していることが一般的です が,本社だけでなく,支店でもマンション管理業を営ん でいたり,支店だけでマンション管理業を行っている管 理業者も少なくありません.マンション管理業の適正な 運営を確保するためには,支店についても立入検査を実 施する必要があると考えています.支店の立入検査を行 う場合,支店のある地域の地方整備局等が実施すること がもっとも効率的であり今後会議等で提案していく予定 です.

4. あとがき

相談者は,マンション管理について,法律に詳しくな い人が多く,整備局に相談をするときには「切羽詰まっ た」,「悔しい」思いで話をされます.相談内容のほと んどは,マンション管理適正化法の範囲外であり,整備 局が対応できることはあまり多くありません.それでも 管理業者に相談者の相談内容を伝えることは必要である と考えています.また本稿でマンション管理に関するト ラブルの事例を紹介しましたが,相談者も,全て管理業 者任せにするのではなく,自らのマンションについては, 自分たちで管理に参加しなければ状況が改善しないので はないかと認識したと思っています. 本稿が,マンション管理適正化法の目的である「マン ションにおける良好な居住環境の確保を図り,もって国 民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与するこ と」になれば幸いです. 参考文献 1) 国土交通省住宅局:分譲マンションストック数 2) 国土交通省住宅局:平成 20 年度マンション総合調査結果か らみたマンション居住と管理の現状 マンション管理適正化法 (定義) 第二条 この法律において,次の各号に掲げる用語 の意義は,それぞれ当該各号の定めるところによ る. 一~五 省略 六 管理事務 マンションの管理に関する事務であ って,基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の 調定及び出納並びにマンション(専有部分を除 く.)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整 をいう.以下同じ.)を含むものをいう. 七 マンション管理業 管理組合から委託を受けて 管理事務を行う行為で業として行うもの(マンショ ンの区分所有者等が当該マンションについて行うも のを除く.)をいう. 八~九 省略

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