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遠距離トラック輸送がモモの生果および缶詰製品の肉質に及ぼす影響-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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(1)

香川大学農学部学術報告 第29巻第61号71∼75,1977 71

遠距離トラック輸送がモモの生来および

缶詰製品の肉質に及ぼす影響*

真部正敏,野田啓良**,上川尚義,樽谷隆之

EFFECT OF LONG−DISTANCE TRANSPORT BY A TRUCK ON THE

PULP QUALITIES OF FRESH WHITEMPEACH

ANDITS CANNED PRODUCT

MasatoshiMANABE,HiroyoshiNoDA,HisayoshiKAMIKAWA

and

TakayukiTARUTANI

White−pulp peaches(6kubo cv.)at marketingripeness were tranSpOrtedbyatruckfrom

Yamagata prefecture to Xagawa prefecture,a distance of one thousand,One hundred and

eighty−Onekilometers.The effectsoftransporting conditionsonthe pulp qualitiesoffresh

fruitsand canned pr・Oducts wer・e Studied.

Abnormalfruitsdue to physiologlCaldamageanddecayafterthe transportwereobservedin

every expeIimentalgroup,but sucha fruit was fewerin a plastic casein which covered the

botombyspongesheetthanin thatofnon−rSheet・The diffeIenCeSOffirmnessofpulptis−

SueS,however,Were nOtalmost fo11ndat any experimentallotinboththefreshfruitand the

pr’OCeSSed fruits.

Inthecaseofthetr・anSpOItOfpeachfr・uitsbyatruck,WereCOmmendtouseplasticsponge

toreduceaphysicalshock,anditshouldbeavoidaspossibleasthetransportinthedaytime

under the hot weather.

自肉種のモモ(大久保)を20Kg入りキャリー紅詰め,山形から香川まで大型トラックで遠距離輸送を行い熟度,輸送 方法が生果および缶詰製品の肉質に及ばす影替について調べた. トラック積載キャリ・一内の輸送中の温度は380Cまで上昇した.その結果,高温障害果の発生が懸念された. キャリ−・の底部にプラスチックスボン汐を1枚数いた区はそうでない区に比べて傷害果,腐敗果の発生率は低かっ た・プラスチックスポンジなしの区については,午前に収穫して輸送したモモは午後に収穫したものに比べてそれらの 異常果の発生率がかなり高かった. 健全果を使用した缶詰製品はいずれの試験区に.おいても果肉が崩壊することなく良好であった. モモ果実をキャリ一にそのまま詰めトラックで遠距離輸送サーるにほ,出荷熟度の健全果を用い,底部にプラスチック スポンジを敷いたキャリ一に・詰め,外気温のあまり上らない時間帯を選んで輸送することが望ましい. * 果実・そ菜の肉質に.関する研究(第6報) ** 現在 香川県農業試験場(香川県高松市仏生山町)勤務

(2)

島部正敏,野田啓良,上川尚義,樽谷隆之 香川大学農学部学術報億 72 緒 ロ モモ果実の輸送試験についでほ松本(1)が京都から札幌まで鉄道に.よる遠距離輸送を行ったのがある.試験区の申で は終始果実を低温に保った予冷・冷蔵貨車輸送区が熟度の進行を抑え,腐敗果の発生が少ないなど良い結果を得てい る.しかしながら,近年,果実輸送の多くが鉄道からトラックに切り替えられ,それに伴って輸送形態が大きく変って きた.したがって,それ紅対応する輸送技術の改尊が計られなければならない∴現在,加工用モモほプラスチック製キ ャリ」一にそのまま詰められ遠隔地に運ばれているが,モモの熟度や輸送条件が適切でないと到着後に傷害巣や腐敗果が 多発し,大きな損害を受けることがある.そこで,本実験は遠距離トラック輸送がモモ果実の生来お声びその加工製 品,特に肉真紅及ばす影響を調べ,加工用モモ輸送の改着に.資する目的で行った. 実験材料および方法 1.実 験 材 料 モモは山形県天童市上荻野戸田丁の栽培鹿家の園で収穫(1974年8月18,19日の両日)した大久保種の有袋果を用い た.収穫は午前7時頃と午後4時頃の2回紅分けて実施した.早朝収穫した果実は木箱に収め納屋の涼しい場所に夕方 まで放置した.果実熟度は収穫後約3日で加工用に供せられるいわゆる出荷熟度のものであったぃ これらの熟度のモモ と比較するために.,・一一・部はやや未熟な果実を使用した. 2.輸 送 モモ果実は表−・1に示す実験区に.したがって20Kg入りプラスチック製キャリ−(33×48×30cm)に詰めた.キャリーー 表−1 モモ果実の輸送試験区 験分 実 区 プラスチック ス ボ ン ジ 収 穫 熟 度 1974年8月18日午前 出荷熟度 〝 〝 午後 〝 〝 8月19日午前 やや未熟 〝 〝 〝 出荷熟度 〝 〝 〝 〝 〝 〝 午後 〝 〝 〝 ノγ 〝 無 〃 〃 〃 有麺∵有 A B C D E F G の底に厚さ10mmのプラスチックスポンジを敷いた区を設けたがこれは輸送中の振動軋よる衝撃を菜らげるためである. キャリ−・ほ大型トラック(10トン串,積載部は巾3。5m,長さ9.5m)に.5段に積荷し,試験用キャリーほ上から2段目 紅置いた.走行中直接外気が触れないようにキャリ・−・をレ一卜で完全にカバ−し山形から香川まで輸送した.トラックほ 8月19日21時に天童市を出発し仙台,磐城,水戸,東京,静岡,西宮,岡山,宇野のコ−スを経て20日18時に.高松に到 着した.高松市内の缶詰工場紅入れ荷を解き・そのまま置き,翌朝,供試材料のみ小型津で香川大学農学部に搬入した. 走行距離は.宇野一高松間をフェリーーポ−トで運搬した18Kmを含め1,181Ⅹmであったへ 3.缶詰加エおよび品質検査 モ・モ果実を本学の実験室に入れ,実験台上に一列に並.べておいたものを8月22日およぴ24日をこ缶詰加工を行ったい缶 詰の製造ほ常法に.したがって実施し4号缶紅肉詰めした.製品ほ常温に保存し,製造12カ月後に,一部は17カ月後に開 伍し,品質検査は常法に.したがって実施した小 果肉硬度およびシラップの粘度は既報(2)で述べたと同じ方法で実施 した.

(3)

発29巻第61号(1977) 遠距離トラック輸送がモモ果実の肉質に及ぼす影響 73 実験結果および考察 1.モモ果実の輸送中の温度変化 輸送中のキャリ一内の温度変化を図−1に.示す.輸送開始時の8月19日21暗から翌朝富士市で測定した6時30分まで の温度変化は軽微であった.しかし,8月20日の日中は晴天のため外気温が上昇し,それにつれて魔荷内の温度上昇も はげしく12時の西宮においてほ320C,16時の宇野では380Cまで高まった・このよう紅高い温度下に・モモを畢時間置く ことはこれまでの実験から肉質に悪い影額を与.え(3)また果肉のアントシアン含意が増大して紅赤色を増すことからし て加工適性を失なうおそれが多分にあるため,輸送中の異常昇温をいかにして抑えるかは今後重要な課題となる・ 2.傷害果および腐敗果の発生情況 モモ果実の輸送後における傷害果および腐敗果の発生情況を表−2に示す・傷害果は果実内部が主として暗褐色に変 義一2 輸送後における傷害果,腐敗果の発生状況 その2.8月24日調査 その1.8月22日調査 雷警供試異数傷害果数腐敗異数 萱警供試異数傷害異数腐敗異数

面頂(%)

7 8 9 0 5 6 4 3 4 4 3 3 7 1 1 1 6 4 4 9 3 5 1 l 1 4 4 2 2 0 30 26.3 13 9.5 2 1.6 17 13.5 6 4.8 9 7‖8 7 5.9 A B C D E F G 4 8 ▲=0 6 00 6 7 A▲ ■4 1 9 6 6 1 l ■4− 1 1 1 3 3 1 1 9 9 1 6 5 6 4 1 4 7 3 6 6 5 ︵1.〇 1 3 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 A B C D E F G 色したもので,輸送中の物理的振動の影響庭より起きたものである.また,腐敗果ほ直径が2cm以⊥の腐敗を生じたも のをいい,菌糸がわずかに附著している程度のものほ除外した。輸送開始から4巳目の8月22日の調査ではC区のやや

(4)

真部正敏,野田啓良,上川尚義,樽谷隆之 香川大学農学部学術報告 74 未熟果輸送を除いてスポンジを使わなかったA,B,DおよびF区がスポンジを使用したE,G区に比べて傷害果,腐 敗果の発生が多く,スポンジ使用の効果が明らかに認められた.しかし,スポンジをキャリー・の中位と底部の2カ所に 救いた区と底部の魂に.使用した区とを比較した結果でほ両者の差ははとんど認められなかった.また,同じ日に収穫し たモモ果実紅ついてそれらの発生割合を比べると,午前に収穫したモモ(A,D区)が午後に収穫したモモ(B,F区) に比べて高くなる傾向が認められた.しかし,スポンジを使用すると午前収穫果(E区)と午後収穫果(G区)の間で 差異は認められなかった.C区のようにか庵り未熟果のモモではスポンジを使わなくても異常果の発生は極端檻少なか ったが,実用的にはやほりスポンジの使用を考える必要がある. 3・生具申果肉の性状 モモ果実の輸送前後における果肉硬度め測定結果を表−・3に示す.測定は傷害果,腐敗巣を除いた果実の中からラン ダム紅選んで供試した.8月22日の調査では未熟果,出荷熟度果を問わず果肉硬度は著しく低下した.試験区間で硬度 表・−3 モモ果実の輸送前後における果肉硬度の変化 実 験

収 穫 日

調 査 日

区 分 8月18日 8月19日 8月22日 8月24日 g O1 l g g 3 1 7 2 9 9 1 l l l l l l l

1080g

lO80 一 A B C D E F G 69999 ︻ 36 鋸04鮎 04 1 1 1 1 1 の大きな差異はなく,肉質はいずれもしっかりしていて.崩れはみられなかった・2日後の8月24日の調査では果肉硬度 はさらに低下したが,やはり容易に崩れることほなかった.やや未熟な果実のC区が多少高い果肉硬度を示したが他の 区と比べ大きな違いとはいえない.輸送中の振動や重力荷重に.よる変形果もみられたが,果肉硬度の上では大きな影替 はみられなかった. 4.缶詰果肉およびシラップの性状 8月22日および8月24日に缶詰を製造し,1年後に開缶して品質検査を行った.そのうち,8月24日製造の缶詰果肉 およびシラップの性状について調べた結果を表−4にべ示す・果肉硬度はいずれの試験区に・おいてもあまり差異は認めら 表−・4 輸送モモ缶詰果実の果肉およびシラップの性状 (8月24日製造,1年後閑缶) 肉 シ ラ ッ プ 質 内 皮 硬 透明度 相対粘度

91.4g

97.7 71.8

143mm

184 163 9 3 3 6 2 3 0 4 5 5 5 5 5 6 A B C D E F G 78.4 〝 169 70.3 〝 154 68.8 〝 161 79.2 〝 189 れなかった.8月22日製造の缶詰に.ついても調べたが,8月24日製造のものと比べて,はば同様の特異であった・崩壊

(5)

算29巻第61号(1977) 遠距離トラック輸送がモモ果実の肉質に及ぼす影響 75 した果肉はみられずいずれも果肉は健全であった.シラップの透明度は143∼189mmの範囲に.あり,いずれも強い混密ほ 認められなかった.このことは果肉が健全であり崩壊が起きていないことを示している.シラップの相対粘度は4.9∼ 6.0の閤で試験区間の速いは特に.認められなかった.これらの缶詰内容物がいずれも良好なのは,過熱申に.生じた傷害 果や腐敗果を除外し,健全と思われるモモを用いて加エしたことに.よっている. 今回の輸送実験では頗傷の健全なモモを使ったので,傷審果や腐敗果の発生は比較的少なかったが,−・般には加工用 原料の取扱いは生食用に.比べてかなり手荒いようである.特に東北地方の原料を四国で加工している現状からして,そ のような遠距離輸送の場合には着荷後の原料の大半が使用不可能となることもあり大きな損害を受ける事例も決して少 なくはない.このように.,輸送ほ遥要な問題である紅もかかわらず,それ紅ついて試験があまり行われていないが,そ れは,輸送条件の設定や結果の評価,:再現性などに難点があるためと.監われる.しかしながら,製造工場に.おける加工 操作がいかに.問題なく行われようとも,原料輸送が適切でなけれは製品の品質やコストに直接悪影響を及ばすことにな るので,輸送実験はさら紅横極的に行う必要があると考え.る. 実験材料の人事ならび庭トラック輸送に.ど協力をいただいた香川県缶詰協会,山形市大字滋江.丸東商店ならびに山形 県天童市上荻野戸町今野善男氏紅感謝いたします. 引 用 文 献 (1)松本熊市:園学姓,7,317(1936)・ (3)奥部正敏,樽谷隆之:園芸学会昭和51年皮秋季大 (2)真部正敏,穴吹善夫,野田啓良,樽谷隆之:食品 会研究発表要旨,384(1976),食品工誌投稿中. 工誌,23,356(1976). (4)真部正敏:未発表. (1977年5月31郎音受理)

参照

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