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(1)

クエン酸回路・

電子伝達系(3)

平成30年5月10日

生化学2

(病態生化学分野)教授

山縣 和也

(2)

本日の学習の目標

ミトコンドリアにNADHを輸送するシャトルにつ

いて理解する

ATPの産生量について理解する

(3)

水素、電子を失う=酸化

水素、電子を受け取る=還元

Fe

2+

Fe

3+

+ e-

酸化

NAD

+

+ 2e- + 2H

+

NADH + H

+

還元

FAD+ 2e- + 2H

+

FADH

2

還元

酸化と還元は同時におきる。グルコースや脂肪酸の中間体が酸化される際には、 NADなどが還元され、NADHができる。

(4)

酸化的リン酸化 Oxidative phosphorylation

ミトコンドリア電子伝達系(呼吸鎖) ATP 合成系 酸化的リン酸化 ク エ ン 酸 回 路 NAD, FAD

NADH,

FADH2

e- e-O2 H2O ATP NADH, FADH2 再酸化 (NAD, FAD再生) ミトコンドリア電子伝達系 (呼吸鎖、酸化的リン酸化) ATP 産生 酸素消費

ミトコンドリアでおきる反応

(5)

電子の流れ

複合体I

複合体II

複合体III

複合体IV

複合体V

(ATP合成酵素)

内膜

(6)

構成成分 サブユニット数 分子量 補因子 Cofactors Complex I NADH-ユビキノン還元酵素 NADH-ubiquinone reductase NADH-CoQ reductase Complex II コハク酸ーユビキノン還元酵素 Succinate-ubiquinone reductase Succinate-CoQ reductase Complex III ユビキノンーシトクロムc還元酵素 Ubiquinone-cytochrome c reductase CoQ-cytochrome c reductase シトクロムc Cytochrome c Complex IV シトクロムc酸化酵素 Cytochrome c oxidase Cytochrome oxidase 850,000 16 – 25 4 8 1 6 – 13 FMN Fe-S clusters FAD Fe-S clusters ヘム b 560 Fe-S clusters ヘム b 562 ヘム b 566 ヘム c1 ヘム c ヘム a ヘム a3 2 Cu2+ (Cu A, CuB) 125,000 250,000 13,000 200,000

(7)

金属のイオン化傾向

K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>H>Cu>Hg>Ag>Pt>Au

イオンになり、

電子をだしやすい

イオンになりにくく、

電子をだしにくい

銅は亜鉛よりイオン化傾向が低い。イオン化しにくい=電子を出しにくい。 銅と亜鉛の電極をつなぐと、電子を出しやすい亜鉛から電子をひきとりやすい 銅へと電子が流れる。

(8)

O2は電子に対する親和性が高い

(酸化還元電位が高い)

NADH/NADは電子に対する

親和性が低い(酸化還元電位

が低い)

酸化還元電位の低いNADHから高い酸素に電子がながれる

電子の流れ(電子を引き受けやすい分子へと移動)

(9)

酸化還元電位の低いNADHから高い酸素に電子が流れる。両者の間に中間

の酸化還元電位が並んでいるのが電子伝達系

∆G o’ = -nFΔEo’ ギブスエネルギーと酸 化還元電位の間には 比例関係がある。 酸化還元電位の低い NADHから高い酸素に 電子が流れる 自由エネルギーが 減少・遊離する

プロトンをくみ上げる

参考

(10)

Complex I Complex III Complex IV NADH NAD+ 2e -CoQ cyt c 2e -2e -1/2 O2 + 2H+ H2O ADP + Pi ATP nH+ nH+ n'H+ n'H+ n''H+ n''H+ mH+ mH+ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ + + + + + + + + + + + + + +

[H

+

]

[H

+

]

マトリックス Matrix

膜間空間 Intermembrane space

内膜 Inner membrane

(11)

Fig14-09

(12)

フラビンモノヌクレオチド

複合体1

は多数のサブユニットからなる巨大タンパク

質であり、NADHからの電子をユビキノンへ伝達する。

その際最初に電子を受け取るのが

FMN

(13)

電子はFMNから

鉄ー硫黄タンパク質

(Fe-S)にうつされ、

最終的にユビキノン(補酵素Q、コエンザイムQ)へ伝達さ

れる。

(14)

フリードライヒ運動失調症(FRDA)

神経変性、肥大型心筋症と糖尿病を特徴とす るミトコンドリア性疾患であり、死亡原因として 最も多いのは心不全である。 FRDAは、鉄−硫黄(Fe-S)クラスターの生合 成に必須のミトコンドリアタンパク質であるフラ タキシン(FXN)のレベル低下が原因である。 FRDA患者の心筋では、Fe-Sクラスター酵素 の活性低下のためミトコンドリアでの酸化的リ ン酸化の障害がおきる。

(15)

ユビキノン(補酵素Q、コエンザイムQ)

は長いイソプレン鎖を

もつ。哺乳類では10個のイソプレン単位をもつことが一般的。

ユビキノンは電子を2個うけとって還元型ユビキノンになり、膜

(16)

コハク酸デヒドロゲナーゼ

Succinate dehydrogenase

・脱水素反応,FADH2 生成

・ミトコンドリア内膜に結合

・クエン酸回路酵素で唯一膜結合酵素

(他は,ミトコンドリアマトリックス中,可溶性)

・ミトコンドリア電子伝達系(呼吸鎖)酵素の一つ

CH

2

COO-CH

2

COO-コハク酸 Succinate

+ E•FAD

CH

COO-HC

COO-+ E•FADH

2 フマル酸 Fumarate

TCA回路におけるコハク酸からフマル酸への変換にともない生じたFADH2

からの電子が複合体IIを介してユビキノンに伝達される。

(17)

複合体I、III、IVを電子が移動するとプロトンが内膜の内側(マトリック

ス側)から外側へ移動する。マトリックスのプロトン濃度が低下し、膜

電位(内側がマイナス、外側がプラス)が生じる。

複合体IIは

プロトンポン

プでない

(18)

電子を受け取ると3価の鉄原子が2価にかわる。

QH2 Fe-S c1 c 複合体III

シトクロムC

(還元型) (酸化型)

(19)

シトクロムオキシダーゼ

シトクロムc

から電子を受け取った

複合体IV

は内部で銅、ヘム鉄と電子が

移動し、

最後に酸素

にわたされる。

酸素がうまく電子をうけとることができないと活性酸素(ROS)ができて細胞

に障害をあたえる。ROSは老化やがんに関連している可能性がある。

一つの酸素に4つの電子が集まり、 2分子の水ができる

(20)

複合体I、III、IVを電子が移動するとプロトンが内膜の内側(マトリック

ス側)から外側へ移動する。マトリックスのプロトン濃度が低下し、膜

電位(内側がマイナス、外側がプラス)が生じる。

(21)

化学浸透説

Chemiosmotic hypothesis

電子伝達(電気エネルギー)からATP産生のエネルギーへの変換

Peter Dennis Mitchell (英)1961年

電子伝達と共に、プロトン

(H

+

)がミトコンドリア内か

ら外にくみだされ,それに

よって生ずる電気化学的プロ

トン(H

+

)勾配が膜内外にで

きる.この電気化学的エネル

ギーがATP合成のための化学

エネルギーに変換される.

1978年

Nobel 化学賞

(22)

H

+

輸送ATPシンターゼ(F

o

-F

1

ATPアーゼ)

H

+

-Translocating ATP synthase (F

o

-F

1

ATPase)

+

-

--

-- -- --

-+ -+

+ +

+ +

+ + + +

-- --

-+ -+ -+ -+ -+

+ +

+ +

+

+

膜間空間 Intermembrane space マトリックス Matrix ADP + Pi ATP

-H

+

H

+

F

o

F

1

(23)

H

+

輸送ATPシンターゼ(F

o

-F

1

ATPアーゼ)

H

+

-Translocating ATP synthase (F

o

-F

1

ATPase)

  

 

膜間空間 Intermemberance space マトリックス Matrix 90 Å 50 Å 50 ÅStalk Fo F1

H

+

H

+ プロトンが通過することが駆動力になっ て、ATP合成酵素が回転する。回転する 力を使ってATPを合成する。

(24)

NADH NAD+ Complex I FADH2 Complex II コハク酸 フマル酸 CoQ 2e Complex III Cyt c 2 H+ + 1/2 O 2 H2O Complex IV) 2e

NADHから3ATP

コハク酸から2ATP

複合体1、3、4で各々プロトン

が4、4、2個くみ出されると考え

られる。

ATP1分子を産生するためには

およそ3個のプロトンが必要

4H+

4H+

2H+

(25)

ミトコンドリアのタンパク質の多くは 核のDNAにコードされるが、ミトコ ンドリア自身もDNAをもつ。 ヒトミトコンドリアDNAは環状DNA で電子伝達系の複合体などをコー ドしている。ミトコンドリア遺伝子異 常によって種々の病気がおこるこ とが知られている。

ミトコンドリア遺伝子

(26)

MELAS(mitochondrial encephalopathy, lactic acdosis, and stroke)

脳卒中様発作と乳酸アシドーシスを伴う ミトコンドリア脳症 ロイシンtRNAをコードする遺伝子の異 常(3243A→G変異)によりほぼすべて の電子伝達系の機能が損なわれるため 発症する。 全く同じ遺伝子変異(3243A→G)でイ ンスリン分泌低下により糖尿病を発症す る場合もある。 ミトコンドリア3243変異

MERRF:mtDNAのリシンをコードするtRNAの遺伝子変異。

ミオクローヌス発作、てんかん、小脳失調などの症状を呈する。

電子伝達系の異常による疾患

(27)

グルコース1mol当り何mol

のATPが合成されるか?

(28)

オキサロ酢酸再生

クエン酸回路

フ マ ル 酸 リ ン ゴ 酸 FAD FADH2 NADH NAD+ C2 → 2 CO2 イ ソ ク エ ン 酸 2 -オ キ ソ グ ル タ ル 酸 NADH NAD+ CO2 A T P G T P ス ク シ ニ ル C o A コ ハ ク 酸 NADH CO2 CoA-SH CoA-SH NAD+ C3 → C2 + CO2

2xNADH

2xNADH

2xNADH

2xNADH

2xFADH2

2ATP

オキサロ酢酸 ク エン 酸 ピ ルビ ン 酸 NA DH アセチルCo A NA D+ CoA -SH CO2 Co A-SH

6ATP

6ATP

4ATP

6ATP

6ATP

合計30ATPの産生

(29)

解糖 Glycolysis

エムデン・マイヤーホフ経路 Embden-Meyerhof pathway

グルコース グルコース 6-リン酸 フルクトース6-リン酸 1,6-ビスリン酸フルクトース ジヒドロキシ アセトンリン酸 グリセルアルデヒド 3-リン酸 1,3-ビスホスホ グリセリン酸 3-ホスホ グリセリン酸 2-ホスホ グリセリン酸 ホスホエノール ピルビン酸 ピルビン酸 NAD NADH

ATP ADP ATP ADP

ATP ADP ATP ADP

細胞質

ミトコンドリア(クエン酸回路,酸化的リン酸化)

解糖系:2ATPの産生

NADHはミトコンドリア内膜を通

過できない。細胞質でつくられ

たNADHはどうなるのか?

(30)

NADHシャトル

NADHのミトコンドリアへの移入

リンゴ酸アスパラギン酸シャトル

グリセロールリン酸シャトル

筋肉や膵

β細胞で発達

肝臓や心臓で発達

(31)

クエン酸回路とアミノ酸

リンゴ酸

(32)

オキザロ酢酸

グルタミン酸

αーKG

アスパラギン酸

COO-NH3+-C-H CH2 COO-NH3+-C-H CH2 COO-CH2 COO-C=O CH2 COO-C=O CH2 COO-CH2

+

+

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ

(AST)

(33)

アスパラギン酸アミノ基転移酵素 (ミトコンドリア)

リンゴ酸アスパラギン酸

シャトル

リンゴ酸/2-オキソ グルタル酸キャリアー グルタミン酸/アスパラ ギン酸キャリヤー リンゴ酸 N A D H リンゴ酸 オキサロ 酢酸 NAD+ A アスパラ ギン酸 グルタ ミン酸 B オキサロ 酢酸 NAD+ N A D H C αーケト グルタル酸 αーケト グルタル酸 アスパラ ギン酸 グルタ ミン酸 D 膜間空間 細胞質 マトリックス ミトコンドリア内膜 A リンゴ酸デヒドロゲナーゼ (細胞質) B アスパラギン酸アミノ基転移酵素 (細胞質) C D リンゴ酸デヒドロゲナーゼ (ミトコンドリア) O 2 3 A D P 3 A T P 電子伝達系

(34)

NADHが

リンゴ酸ーアスパラギン酸シャトル

でミトコンドリア

の中に入ったとすると2分子のNADHが解糖系で産生され

ているので2x3=

6分子のATP

が産生されることになる。

30ATP + 2ATP(解糖系) + 6ATP =

合計38ATP

(35)

・リンゴ酸アスパラギン酸シャトル

グリセロールリン酸シャトル

(36)

グリセロールリン酸シャトル

細胞質 膜間空間 マトリックス ミトコンドリア内膜 2 ADP 2 ATP

e

-O

2 電子伝達系 FADH2 FAD N A D H グリセロール 3-リン酸 ジヒドロキシ アセトンリン酸 NAD+ A B B グリセロール3-リン酸 デヒドロゲナーゼ(内膜) A グリセロール3-リン酸 デヒドロゲナーゼ(細胞質)

(37)

NADH NAD+ Complex I FADH2 Complex II コハク酸 フマル酸 CoQ 2e Complex III Cyt c 2 H+ + 1/2 O 2 H2O Complex IV) 2e

コハク酸からだと6分子のHがくみだされる

ため、2ATPしかできない

複合体1、3、4で各々プロトン

が4、4、2個くみ出されると考え

られる。

ATP1分子を産生するためには

およそ3個のプロトンが必要

4H+

4H+

2H+

(38)

1. 電子の獲得は還元である 「 」 2. 水素を付加は還元である 「 」 3. 電子伝達系はミトコンドリアの外膜でおこなわれる 「 」 4. 複合体I においてNADHからの電子はシトクロムcに伝達される 「 」 5. ユビキノンは複合体Iから複合体IIへ電子を伝達する 「 」 6. 複合体II はNADHからの電子をうけとる 「 」 7. 酸素は複合体IIIを介して水に還元される 「 」 8. 複合体I、III、IVはプロトンポンプとしてはたらく 「 」 9. NADH1分子から2分子のATPが産生される 「 」 10. 酸化還元電位の高いNADHから低い酸素に電子が移動する 「 」 11. グリセロールリン酸シャトルは細胞質でできたNADHをFADH2として ミトコンドリアに運ぶ 「 」 12. リンゴ酸はミトコンドリア内膜を通過できる 「 」 13. リンゴ酸アスパラギン酸シャトルは解糖系でつくられたFADH2の移動に重要である 「 」 理解の確認のために

参照

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