広がる粉体塗料の用途

広がる粉体塗料の用途

国際工業塗装高度化推進会議 環境分科会副部会長 高橋大

内 容

１．粉体塗料とは

２．世界粉体塗料製造統計 ３．日本粉体塗料製造統計 ４．環境問題

５．粉体塗装方法 ６．造膜工程の違い

７．粉体塗装されている製品 ８．用途が広がる粉体塗料 ９．粉体塗料製造方法

１０．粉体塗料の進化

１１．粉体版 カップガン １２．粉体塗装 プラスワン

１３．自社商品のカラーバリエーションを粉体塗装で １４．粉体塗装ワークショップ

粉体塗料とは．．．

名前のとおり

粉状 の塗料です。

有機溶剤 を含みません。

粉状 ですから

世界粉体塗料製造統計

世界 全生産量

1,918,000t

世界粉体塗料製造統計

日中韓の生産量推移（t）

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

中国 495,000 523,000 820,000 658,000 820,000 750,000 818,000 韓国 33,000 34,000 25,000 22,000 36,000 39,000 41,000 日本 28,000 29,000 27,000 24,000 36,500 30,000 29,000

2013 PCIデーターより

2012年粉体塗料生産量国別TOP10

1 中国 818,000

2 USA 131,000

3 イタリア 92,000

4 ドイツ 66,000

5 ブラジル 65,000

6 ロシア 54,000

7 インド 50,000

8 韓国 41,000

9 トルコ 33,000

10 フランス 30,000

[ t ]

2013 PCIデーターより

11 日本 29,000

世界粉体塗料製造統計

年度 合成樹脂塗料

生産量(t) 粉体塗料 生産量(t)

割合

H7 1,374,013 29,125 2.1%

H8 1,443,224 33,189 2.3%

H9 1,386,978 29,295 2.1%

H10 1,269,528 26,243 2.1%

H11 1,276,381 25,992 2.0%

H12 1,284,497 27,336 2.1%

H13 1,216,286 24,706 2.0%

H14 1,211,809 25,808 2.1%

H15 1,213,233 27,775 2.3%

H16 1,242,043 29,812 2.4%

日本粉体塗料製造統計

年度 合成樹脂塗料

生産量(t) 粉体塗料 生産量(t)

割合

H17 1,270,013 30,556 2.2%

H18 1,292,960 33,939 2.6%

H19 1,280,918 34,766 2.7%

H20 1,125,036 31,529 2.8%

H21 1,020,552 27,557 2.7%

H22 1,036,654 30,378 2.9%

H23 1,058,790 30,595 2.9%

H24 1,045,279 32,698 3.1%

H25 1,087,388 35,801 3.3%

H26 1,070,514 35,231 3.3%

H26年度は速報値です。日本塗料工業会HPより

環境問題

シックハウス症候群

新築・リフォームした住居において壁・床などの接着剤や塗 料などから放出される化学物質が原因で起こる健康障害。

住宅の気密性が高まったことなどから症状を訴える人が急増。

2002 年、厚生労働省は下記 13 種類の揮発性有機化合物に ついて、濃度指針値を示している。また、総揮発性有機化合 物 (TVOC) 濃度についても、暫定目標値が定められている。

2003 年、建材に含まれる化学物質の規制と換気設備の設置 が建築基準法により義務付けられた。

ホルムアルデヒド アセトアルデヒド トルエン キシレン

エチルベンゼン スチレン パラジクロロベンゼン クロルピリホス テトラデカン フタル酸ジ-n-ブチル フタル酸ジ-2-エチルヘキシル ダイアジノン フェノブカルブ

Wikipediaより

環境問題

グリーン調達

環境への影響が少ない製品を優先的に購入すること。

2001 年 4 月「国等による環境物品等の推進等に関す る法律」（グリーン購入法）の施行により、官公庁での グリーン調達が実施されるようになった。それに伴い民 間企業でも積極的に取り組むようになった。

Weblio辞書より

環境問題

ＲｏＨＳ指令

電子・電気機器における特定有害物質（下記6品目）

の使用制限についての欧州連合(EU)による指令。

2003年2月13日に公布、2006年7月1日に施行された。

１．鉛 ：1,000ppm以下 ２．水銀 ：1,000ppm以下

３．カドミウム ：100ppm以下 ４．六価クロム ：1,000ppm以下

５．ポリ臭化ビフェニル (PBB) ：1,000ppm以下

６．ポリ臭化ジフェニルエーテル (PBDE) ：1,000ppm以下

Wikipediaより

環境問題

ＲＥＡＣＨ

2007 年 6 月 1 日に発効された化学物質の『登録評価 認可制限に関わる規則』。

欧州域内で年間 1t 以上製造・輸入される全ての化学 物質について、安全性や用途に関する情報を登録 することが義務付けられた。有害性が非常に懸念さ れる高懸念物質については、認可・規制の対象とな る。

Wikipediaより

環境問題

ＶＯＣ規制

2004年5月、大気汚染防止法が改正、2006年4月1日 施行、揮発性有機化合物(VOC)の排出規制が実施さ れた。効果的に VOC排出を削減するため「法規制」と

「自主的取組」の双方を適切に組み合わせ、2000年度 の大気排出量を基準に2010年度までに VOC排出量を 3割削減することが目標。

経済産業省HPより

環境問題

ＶＯＣ規制 シックハウス症候群

グリーン調達

ＲｏＨＳ指令 ＲＥＡＣＨ

粉体塗料は有機溶剤を含まないため、

環境規制による影響をあまり受けません！

粉体塗装方法．．．

 流動浸漬法

被塗物を予備加熱し、圧縮空気で流動させている 粉体塗料の入ったタンクに浸漬する。数分間浸漬 した後乾燥炉内で後加熱し塗膜となる。

日本パウダーコーティング協同組合HPより

粉体塗装方法．．．

静電塗装法

圧縮空気を用い、塗装機から搬出し、同時に静電気をか け、被塗物

(

)

これを乾燥炉内で加熱し、

(

)

日本パウダーコーティング協同組合HPより

粉体塗装方法．．．

 実際の静電塗装は

造膜過程の違い

粉体塗装

吹付け 溶融・硬化 成膜

溶剤塗装

吹付け ｾｯﾃｲﾝｸﾞ 硬化 成膜

溶剤 溶剤

粉体塗装されている製品

日本パウダーコーティング協同組合HPより

粉体塗装されている製品

日本パウダーコーティング協同組合HPより

粉体塗料製造方法

調色

粉砕・分級

混合

(

)

粉体塗料製造工程は４つに大別されます。

粉体塗料の進化

比較的高温の焼付が必要 （焼付型塗料である）

肌が悪い

製造ロットが大きい （

1

300kg

納期がかかる

（

1

3

耐候性の優れたものがない

設備投資が大きい

 低温化へ 以前は

…

…

粉体塗料の進化 低温化

粉体塗料 焼付温度

今までの焼付温度 低温粉体塗料の焼付温度

１８０℃ × ２０分 １６０℃ ～１４０℃ × ２０分 さらに低温化

溶剤系塗料焼付温度 ▶ ・メラミン焼付

120

140 ℃× 20

・アクリル焼付

140

180 ℃× 20

粉体塗料の進化

比較的高温の焼付が必要 （焼付型塗料である）

肌が悪い

製造ロットが大きい （

1

300kg

納期がかかる

（

1

3

耐候性の優れたものがない

設備投資が大きい

 低温化へ

 微粒化、造膜スピード コントロールにより改善 以前は

…

…

粉体塗料の進化 微粒化

平均粒子径

一般的な粉体塗料 微粒粉体塗料

４０ μm 以内 ３０ μm 前後

さらに微粒化 膜厚 50〜80μ m 膜厚 30〜50μ m

◎平滑性 ・ 薄膜化 → 溶剤塗膜へ近づく

◎使用量削減 → コスト低減

粉体塗料の進化 粉体ならではの意匠性

名

称 テクスチャー ハンマートン スリックスエード

模 様

凹凸模様 凹凸模様 プラス メタリック 多色模様

名

称 サテン リンクル 石目調

模 様

砂地状の細かい凹凸模様 縮み模様 石目模様

粉体塗料の進化

比較的高温の焼付が必要 （焼付型塗料である）

肌が悪い

製造ロットが大きい （

1

300kg

納期がかかる

（

1

3

耐候性の優れたものがない

設備投資が大きい



5kg

常備色であれば

660g

 低温化へ

 納期は

2

1

 微粒化、造膜スピード コントロールにより改善 以前は

…

…

粉体塗料の進化 小ロット常備色

粉体塗料の進化

比較的高温の焼付が必要 （焼付型塗料である）

肌が悪い

製造ロットが大きい （

1

300kg

納期がかかる

（

1

3

耐候性の優れたものがない

設備投資が大きい



5kg

常備色であれば

660g

 低温化へ

 納期は

2

1

 微粒化、造膜スピード コントロールにより改善

 超高耐候性塗料 以前は

…

…

粉体塗料の進化 超高耐候性粉体塗料

Fineshine Technology社 HPより

フッ素樹脂系粉体塗料が開発され海外ではすでに採用されている。

日本でも東京オリンピックに向け各社検討中。

粉体塗料の進化

比較的高温の焼付が必要 （焼付型塗料である）

肌が悪い

製造ロットが大きい （

1

300kg

納期がかかる

（

1

3

耐候性の優れたものがない

設備投資が大きい



5kg

常備色であれば

660g

 低温化へ

 納期は

2

1

 微粒化、造膜スピード コントロールにより改善

 粉体塗料のカップガン

 超高耐候性塗料 以前は

…

…

粉体版 カップガン

KADOWAKI COLORWORKS HPより

Aging Effect Lether Effect

Glossy Effect Patina Effect

粉体塗装 プラスワン

ひと手間加えたパウダーコーティング技法

粉体塗装 プラスワン

グラフィカルなフィルムを挟んで

KADOWAKI COLORWORKS HPより

粉体塗装 プラスワン

パウダーコーティングで模様つけ

粉体塗装 プラスワン

パウダーコーティングで模様つけ

自社商品のカラーバリエーションを 粉体塗装で

画像提供：COCCI PEDALE

粉体塗装ワークショップ

粉体塗装ワークショップ

粉体塗装ワークショップ

ご清聴ありがとうございました