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花 健

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(1)

一︑はじめに IIIllIIIIl111119199991 

1111111111

1111111

ー ト

h

一一研究ノ一

-111111111111111111111J.

IIIIIIIIIIIIIII

11111

﹁ 虚 偽 申 告 ﹂

加算税は︑申告納税制度等の定着と発展を図るために︑申告

義務等が適正に履行されない場合に課される附帯税である︵国

税通則法六五条以下︶︒なかでも︑重加算税は︑納税者が﹁隠

ぺい・仮装﹂という不正な手段を用いた場合に︑これに特に重

い負担を課すことによって︑申告納税制度等の基盤が失われる

(1 ) 

ことを防止することを目的とするものである︒

加算税については多くの論点が存在するが︑その中に︑納税

者本人以外の者︵特に今回取り上げるのは︑この者が税理士で

ある︒︶が隠ぺい仮装行為を行い︑それにもとづいて過少申告

一 四 五

がなされた場合に納税者本人に対して重加算税を賦課しうるか

という問題がある︒

最近︑若干特殊ではあるが︑税務申告を依頼された税理士が

﹁虚偽申告﹂を行った場合︑課税庁はこの申告に係る納税者本

人に対して重加算税を賦課しうるかどうかを争った事件があ

り︑この度︑当該税理士に係る﹁虚偽申告﹂事件につきいくつ

かの判決が出された︒そこで︑これらのうち三事件の判決につ

いて︑加算税の賦課要件を中心に︑これらの判決で示された裁

(2

判所の判断について若干の検討を試みる︒

重 加 算 税 賦 課 要 件 等 の 検 討

税 理 士 に よ る

(2)

二︑判例の検討

ー︑東京高裁平成一八年一月一八日判決︵差戻し審二平成一七

年︵行コ︶第二五号過少申告加算税賦課処分取消等請求控

訴事件

事実の概要

控訴人

x

︵納

税者

︶は

︑平

成一

一年

九月

︑昭

和六

二年

に六

0

0 0万余円で買い受けた土地︵以下﹁本件土地﹂という︒︶を

一億余円で売却し譲渡所得を得たことから︑平成三年三月三日

に平成二年分の所得税に係る確定申告および納税手続の税務代

理を乙税理士に委任した︒

乙税理士は︑丙税務署員と共謀して控訴人の課税資料を廃棄

させ︑控訴人

X

の平成二年分所得として事業所得のみを申告

し︑本件土地についての譲渡所得税を申告することなく︑控訴

X

から預かった納税資金一︑八

0 0万円を領得した︒上記事

実が発覚した後の平成九年︱二月︱二日︑控訴人

X

は︑平成二

年分所得税につき︑本件土地の譲渡に係る所得を加えた修正申

告をし︑納付すべき税額を納付し︑これを受けて︑被控訴人

Y

︵課税庁︶は︑平成九年︱二月一九日︑控訴人

X

の平成二年分

の所得税について︑事業所得に係る税額の過少分につき過少申 告加算税賦課決定︵税額一万一︑

0 0 0円︒以下﹁本件過少申

告加算税賦課決定処分﹂という︒︶をし︑譲渡所得に係る税額

につき重加算税賦課決定︵税額八八0万九︑五

0

0円

︒以

下﹁

件重加算税賦課決定処分﹂という︒︶をした︒

本件は︑本件過少申告加算税賦課決定処分及び本件重加算税

賦課決定処分に対し︑控訴人

X

が︑(‑)平成一一年分の所得税

についての賦課決定は国税通則法︵以下﹁通則法﹂という︒︶

七0条四項の期間制限以後に行った点で違法であり︑また︑

︵二︶控訴人が隠ぺい仮装の行為を行った事実もなく重加算税

の課税要件も具備していない︑︵三︶控訴人には︑過少申告に

つき通則法六五条四項に規定する正当な理由があると主張し

て︑各賦課決定︵以下﹁本件各賦課決定処分﹂という︒︶の取

消しを求めた事案である︒

原審︵第二番︶は︑原告

X

の請求をいずれも棄却したので︑

原告

X

が控訴した︒控訴審︵差戻し前︶は︑控訴人

X

が通則法

六八条一項に規定する隠ぺい又は仮装の行為をしたこと及び同

法七

0条五項に規定する偽りその他不正の行為により税額を免

れた行為をしたことのいずれも認められないから︑本件各賦課

決定処分は同条四項の期間経過後にされた違法なものであると

判断して︑原判決を取り消して︑本件各賦課決定処分を取り消

したので︑当該被控訴人

Y

が上告した︒上告審は︑控訴審︵差

一 四 六

26‑1

2‑146

(香法

2 0 0 6 )

(3)

税理士による

「虚偽申告」

と重加算税賦課要件等の検討(浪花)

の適用の有無について

﹁通

則法

0

条五項は︑納税者本人が偽りその他不正の行為 を行った場合に限らず︑納税者から委任を受けた者が偽りその 他不正の行為を行い︑これにより納税者が税額の全部又は一部 を免れた場合にも適用されるものと解すべきであるところ︵本

件上告審判決参照︶︑本件において︑控訴人が平成一一年分の所

得税の申告手続を乙税理士に委任し︑同税理士が偽りその他不 正の行為を行い︑これにより納税者である控訴人が平成二年分 の所得税に係る税額の一部を免れたことについては争いがない

から︑同条五項二号の期間内にされた本件各賦課決定処分に︑

同条四項に規定する除斥期間経過後であることの違法は認めら

れない︒﹂とし︑﹁したがって︑納税者︑その補助者又は代理人

によるものであっても︑納税者の納税義務の確定手続において 客観的に﹃偽りその他不正の行為により全部又は一部の税額を

①  ( 2 )  

賦課決定の除斥期間の例外を定める通則法七

0条五項 判

偽申告

N o

1

とい

う︒

︶︒

戻し

前︶

の判決を破棄し︑被上告人

X

と乙税理士との間に前記 意思の連絡があったと認められるかどうか等について審理を尽 くさせるため︑本件を差戻した︵以下︑この事件を﹁税理士虚

一 四 七

一般的に正確な申

免れ﹄たとの事実がある場合には︑納税者自身が具体的な偽り その他不正の行為を意図し︑又は指示したか否かを問うことな く︑同条五項が適用されるものと解すべきであり︑本件上告審 判決の上記説示も同趣旨を説くものと解すべきである︒﹄と判

示し

た︒

過少申告加算税および重加算税について 過少申告加算税は︑﹁過少申告に対して経済的不利益を与え ることにより︑より正確な申告を一般的に奨励し︑申告納税方 式による税の税額の確定を円滑ならしめることを目的とするも のであり︑過少申告となったことの原因や︑納税者の認識や過

失の有無を問うものではない︒﹂と判示した︒また︑﹁重加算税

の制度は︑税務行政を混乱させて余分な徴税コストを負担させ

たという国家的損失を補填させるとともに︑

告を奨励するに止まらず︑悪質な納税義務違反に対するより大 きな経済的制裁を課することにより悪質な納税義務違反行為へ の誘因を減殺し︑申告納税制度による適正な徴税の実現を確保 しようとするものである︒そして︑この制度目的及び法の文理 に従えば︑重加算税の賦課要件としては︑過少申告の計算の基 礎となるべき事実につき客観的に隠ぺい又は仮装の行為があ り︑この隠ぺい︑仮装の行為に合わせた申告がされるというだ けでは足りず︑その隠ぺい︑仮装の行為が納税者の行為と評価

② 

(4)

し得る︵納税者に帰責すべき︶事由が必要である︒﹂とし︑﹁そ

して︑重加算税が過少申告加算税の加重形態であることからす

れば︑その要件は︑課税庁において立証すべきものと解すべき

であ

る︒

﹂と

判示

した

また︑﹁通則法六五条の規定による過少申告加算税と同法六

八条一項の規定による重加算税とは︑相互に無関係な別個独立

の処分ではなく︑上記のとおり重加算税は過少申告加算税の加

重形態として理解されるから︑重加算税賦課決定は︑過少申告

加算税において賦課されるべき一定の税額に加重額に当たる一

定の金額を加えた額の税を賦課する処分として︑過少申告加算

税の賦課に相当する部分をその中に含んでいるものと解される

︵最一小判昭五八

・I

O・

ニ七民集三七巻八号一︱九六頁参

照︶︒したがって︑同法六八条一項による重加算税の賦課決定

に対する取消訴訟において︑同項所定の加重事由は認められな

いが︑同法六五条所定の過少申告加算税の賦課要件の存在が認

められる場合には︑上記賦課決定のうち過少申告加算税額に相

当する額を超える部分のみを取り消すことができるものと解す

るのが相当である︒﹂との判断を示した︒

③当該事件に係る重加算税の賦課要件たる通則法六八条

一項の事由の有無について

裁判所は事実を詳細に検証し︑﹁以上によれば︑控訴人が乙 税理士による隠ぺい又は仮装の行為による過少申告を容認し︑乙税理士との間に意思の連絡があったということはできず︑また︑その余の事情も︑乙税理士による隠ぺい行為による譲渡所得の過少申告につき︑控訴人の帰責事由を認めるには足りないから︑控訴人に対して本件重加算税賦課決定処分をすることはできないものというべきである︒﹂と判示した︒

﹁本件事実関係の下において︑控訴人の過少申告は︑乙税理

士による事業所得の申告もれあるいは乙税理士による譲渡所得

の隠ぺいという違法行為に基づくものであり︑それが被控訴人

の行政処理の盲点を利用したものであったとしても︑違法行為

に基づく過少申告について正当な理由があることにはならず︑

他に被控訴人の指導上の落ち度によるものということはできな

い︑他に本件証拠によっては正当な理由があるとは認められな

い︒

﹂等

判示

した

︒ 固

若 干 の 検 討

争点は︑①賦課決定の除斥期間の例外を定める通則法七0条

五項の適用の有無︑②重加算税の賦課要件たる通則法六八条一

項の事由の有無︑③過少申告についての正当な理由︵通則法六 について ④過少申告についての正当な理由︵通則法六五条四項︶

一 四 八

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2‑148

(香法

2 0 0 6 )

(5)

税理士による 「虚偽申告」 と重加算税賦課要件等の検討(浪花)

五条

四項

の有無の三点である︒ここでは﹁重加算税の賦課要

件﹂を中心に簡単な検討を行う︒

本件の東京地裁は︑上記①︑②の争点について︑﹁納税者は︑

税理士に平成二年分の所得税の申告を委任する際︑同税の納付

すべき税額の一部を免れるよう脱税工作を行うことを依頼し︑

その結果︑税理士が税務職員に協力を依頼して︑脱税工作を敢

行したものであると認められ︑そうであるとすれば︑納税者の

このような行為は︑同人の平成二年度の所得税について︑国税

通則法六八条一項所定の課税標準等又は税額等の計算の基礎と

なるべき事実の隠ぺい又は仮装に当たるというべきであり︑本

件重加算税賦課決定処分が課された限度においては重加算税の

課税要件が具備しているというべきであり︑かつ︑かかる行為

は︑国税通則法七0条五項に規定する偽りその他不正の行為に

より税額を免れた行為にも当たるというべきであるから︑本件

各賦課決定処分が処分の期間制限に違反してされたものともい

えない﹂と判示︑すなわち︑納税者が税理士に脱税を依頼した

との事実認定を行った︒控訴審︵差戻し前︶は︑﹁重加算税

を賦課するためには︑過少申告行為そのものが隠ぺい︑仮装に

当たるというだけでは足りず︑過少申告行為そのものとは別に︑

隠ぺい︑仮装と評価すべき行為があり︑これに合わせた申告が

されることを要する︒しかしながら︑納税者が︑資料の隠匿等

一 四 九

の積極的な行為をすることまでは必要でなく︑当初から所得を

過少に申告することを意図し︑その意図を外部からも窺いうる

特段の行動をした上︑その意図に基づく過少申告をしたような

場合︑重加算税の賦課要件が満たされる︒﹂との重加算税賦課

要件を判示し︑﹁本件においては︑確定申告書の作成を受託し

た税理士が譲渡所得のすべてを除外した過少な確定申告書を作

成し︑かつ︑報酬名目の五万円のみならず納付税金名目で預託

された金員一︑八

0 0万円を不正に領得していることが認めら

れる︒納税者本人においては︑⁝⁝︑脱税を意図し︑その意図

に基づいて行動したと認めるには足りない︒⁝⁝納税者は︑⁝

⁝︑国税通則法六八条一項に規定する課税標準等を隠ぺいし︑

又は仮装し︑これに基づき納税申告書を提出した場合には当た

らない︒また︑同法七0条五項にいう偽りその他不正の行為に

より税額を免れた場合にも当たらない︒﹂との判断を示し︑課

税庁の賦課処分を全部取り消した︒

この控訴審判決に対し最高裁は︑﹁国税通則法七0条五項の

文理及び立法趣旨にかんがみれば︑同項は︑納税者本人が偽り

その他不正の行為を行った場合に限らず︑納税者から申告の委

任を受けた者が偽りその他不正の行為を行い︑これにより納税

者が税額の全部又は一部を免れた場合にも適用されるものとい

うべきである︒﹂と判示し︑本件各賦課決定はその除斥期間内

(6)

より税額を減少させようと企図していることを了知していたと す

れば

また︑重加算税の賦課処分については︑﹁本件事実関係から

X

は︑乙税理士が架空経費の計上などの違法な手段に

みることができるから︑特段の事情のない限り︑

X

は同税理士

が本件土地の譲渡所得につき架空経費を計上するなど事実を隠

ぺいし︑又は仮装することを容認していたと推認するのが相当

である。…•••そして、本件において、Xと乙税理士との間に本

件土地の譲渡所得につき事実を隠ぺいし︑又は仮装することに

ついて意思の連絡があったと認められるのであれば︑本件は︑

国税通則法六八条一項所定の重加算税の賦課の要件を充足する

ものというべきであるところ︑記録によれば︑乙税理士におい

ても︑同税理士が本件土地の譲渡所得につき事実を隠ぺいし︑

又は仮装することについて︑

X

がこれを容認しているとの認識

を有していたことがうかがわれる︒そうすると︑原審の上記の

経験則違反の違法は判決に影響を及ぽすことが明らかである﹂

(4 ) 

として︑破棄羞戻しを行ったのである︒

納税申告の手続きは︑税理士等の代理人によっても行うこと

ができ︵国通︱二四条︑税理士法二条︶︑納税者本人から当該

手続きの委任を受けた第三者が︑当該申告を行うに当たり︑隠 にされたものとの判断を示した︒ぺい・仮装行為を行い︑これに基づき過少申告を行う場合がある︒この場合︑国税通則法六八条一項により︑当該納税者本人に重加算税を賦課しうるかという問題が存する︒

このような事例に対する判決の動向は︑﹁重加算税の制度の

主眼は︑隠ぺい又は仮装したところに基づく過少申告又は無申

告による納税義務違反の発生を防止し︑もって申告納税制度の

信用を維持し︑その基礎を擁護するところにあるから︑納税義

務者本人の行為に問題を限定すべき合理的理由はなく︑広くそ

の関係者の行為を問題としても違法ではなく︑かえって︑納税

義務者本人の行為に問題を限定しなければならないとすると︑

家族使用人等の従業者が経済活動又は所得申告等に関与するこ

との決してまれではない実状に鑑みて重加算税の制度はその機

能を十分に発揮しえない結果に陥ることはあきらかであって︑

従業者の行為によるとき納税義務者の故意を立証することは容

易でなく︑発覚したときも従業者自身は重加算税の賦課を受け

ることはないから︑納税義務者が従業者の行為に隠れて不当な

(5

利得をはかることともなるのである︒﹂に代表される﹁重加算

税制度の趣旨や目的﹂に依拠する判断が中心であった︒

その中で新しいタイプの事件が現れる︒納税申告を委任され

た第三者が︑預かった納税資金等を横領するなど︑受任者が自

己の利益のためにエ作するという今回の事件に類似するもので

一 五

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2‑150

(香法

2 0 0 6 )

(7)

税理士による 「虚偽申告」と重加算税賦課要件等の検討(浪花)

ある︒このような事案に係る裁判所の判決としては︑納税者が

利得する目的で工作し︑所得金額を0円として申告し納税者か

ら預かった一︑八

0 0万円全部を着服した事例で︑﹁所得税は

自己の所得を正しく計算し︑自己の判断と責任で自主的に申告

納税するという申告納税制度が採用されているが︑この制度の

下においても納税者の判断と責任において申告手続を第三者に

依頼し︑同人が納税者の代理人補助者として申告した場合には︑

その申告はそのまま申告名義人である納税者の申告として取り

(6

扱っべきものである﹂との判断を示したものがある︒

しかし︑この事件に係る控訴審では︑﹁隠ぺい︑又は仮装行

為が︑申告者本人ないし申告法人の代表者が知らない間に︑そ

の家族︑従業員等によって行われた場合であっても︑特段の事

情のないかぎり︑原則として︑右重加算税を課することができ

るものと解すべきである﹂と判示しつつも︑﹁本件においては︑

⁝⁝受任者︵筆者挿入︶が前記認定のような架空の経費を計上

して脱税を計り︑さらに︑自分から︑税金名下に一︑八

0

0万

円を詐取しようと企画しているとは全く思いもしないで︑受任

者に︵筆者挿入︶本件土地の譲渡所得税の申告手続を依頼した

ところ︑⁝⁝そうとすれば︑納税者は︵筆者挿入︶︑本件土地

の譲渡所得税として一︑八

0

0万円を支払う意思で︑右一︑八 土地の譲渡に関連した申告を一任した受任者が納税資金を自ら

一 五

0 0万円を受任者に︵筆者挿入︶交付したのに︑受任者が︵筆

者挿入︶不法に右一︑八

0 0万円を税務署に納めなかったので

あるから︑このような場合には︑納税者︵筆者挿入︶としては︑

本件土地の譲渡所得について︑故意に︑その全部又は一部を隠

ぺいし︑又は仮装をしたものではなく︑したがって︑法六八条

により︑重加算税を賦課することはできないと解するのが相当

(7

である﹂との判断を示した︒

ただし︑同種の事例でも重加算税の賦課が維持された判決も

出ている︒土地の譲渡に際し︑納税者の手取金額が一定の金額

になることだけを条件に︑申告の内容︑方法一切の委任を受け

た第三者が︑架空の譲渡経費を控除して過少申告をした事例

で︑裁判所は︑﹁納税者が他人にその納税申告を一任した場合

には︑その受任者又はその者の受任者が租税を逍脱する目的を

もつて︑故意に基礎事実を隠ぺい又は仮装したときは︑特段の

事情がない限り︑納税者が﹃隠ぺいし︑又は仮装した﹄に該当

するというべきである︒納税者が申告を第三者に委任したから

といつて︑納税者自身の申告義務は免れず︑その第三者がなし

た申告の効果︑態様はそのまま納税者の申告として取り扱われ

るのであって︑納税者は︑誠実に受任者を選任し︑受任者の作

成した申告書を点検し︑自ら署名押印する等して適法に申告す

るように監督して︑自己の申告義務に遺憾のないようにすべき

(8)

ものであり︑これを怠つて︑受任者により不正な申告がなされ

た場合は︑特段の事情がない限り︑納税者自身の不正な申告と

( 8

)  

して制裁を受ける﹂と判示した︒さらに︑同種の事例について

﹁自己の公法上の義務である納税申告義務を履行補助者に代行

させたことの一事によって︑納税者自身申告義務を免れる訳で

はなく︑納税者が自らの責任において納税義務者たる身分のな

い者に申告を一任し︑これを納税申告の道具ないし補助者とし

て使用した以上︑その者の申告行為は納税者がしたものと取り

扱うべきであって︑この場合納税者は申告義務を果たすため︑

信頼できる者を選任し申告書提出前にこれを点検し︑自ら署名

押印するなどして︑適法に申告するように監視︑監督して︑自

己の申告義務に遺憾のないようにすべきであり︑これを怠つて

補助者が不正な申告をした場合には︑納税者自身の不正申告と

して重加算税の賦課を受け︑履行補助者が税額等の計算の基礎

となるべき事実を隠ぺいし︑又は仮装しこれに基づいて過少な

申告を行った場合︑納税者自身が隠ぺい︑仮装について認識を

欠いていたとしても︑履行補助者の申告の有無態様は︑そのま

ま納税者が行ったものとなり︑その責任を負うこととなる︒﹂

(9

と同様の判断を示したものが存在する︒

集約すると︑納税申告を依頼した第三者の隠ぺい・仮装行為

に基づく申告に対して︑納税者がどこまで責任を負うべきかに ついては︑納税者と依頼者との関係︑当該行為に対する納税者の認識の可能性︑納税者の黙認の有無︑納税者が払った注意の

( 1 0 )  

程度に照らして︑具体的事案ごとに判断すべきことになろう︒

したがって︑上記裁判所の判断等から︑このような事例にお

ける納税者本人への重加算税賦課要件として考え得る具体的な

判断基準としては︑①納税者が受任者の隠ぺい・仮装行為の事

実を知らなかったことが客観的に確認できるかどうか︒②納税

者は︑誠実に受任者を選任し︑受任者の作成した申告書を点検

し︑自ら署名押印する等して適法に申告するように監督して︑

自己の申告義務に遺憾のないようにしたかどうか︑であるとい

( 1 1 )  

えよ

う︒

ただし︑今回の事例のように受任者が税理士等の国家資格を

有している場合は︑上記②の判断基準は除外してよいと考え

る︒その理由は次の点に依拠する︒

税理士は︑税務に関する専門家として︑独立した公正な立場

において︑申告納税制度の理念にそって︑納税義務者の信頼に

こたえ︑租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現

を図ることを使命とし︵税理士法一条︶︑税理士となるには︑

一定の資格を必要とする︵同法三条︑四条︶︒また︑脱税の相

談に応ずることを禁止され︵同法三六条︶︑委任者が不正に国

税を免れている事実等を知ったときは︑その是正をするよう助

一 五

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2‑152

(香法

2 0 0 6 )

(9)

税理士による「虚偽申告」 と重加算税賦課要件等の検討(浪花)

税務職員の協力の結果︑本件の脱税行為が実現されたものであ 言する義務を負い真正の事実に反して税務書類の作成をしたときは業務停止等の懲戒を受ける︵同法四五条︶︒このような我が国の税理士制度の下では︑納税者は︑税理士に対し︑税務申告手続の煩わしさから解放されると共に︑法律に違反しない方法と範囲で必要最小限の税負担となるように専門的知識と経験を発揮していわゆる節税をすることをも期待して委任するのである︒したがって︑このような税理士等に納税申告を委任した納税者は︑あえて当該受任者を監督︑点検等をする必要はないと考える︒

なお︑今回の控訴審︵差戻し審︶と同様の判断を示したもの

として︑﹁納税者以外の者が国税通則法六八条一項に規定する

隠ぺい又は仮装の行為を行った場合であっても︑その行為が納

抱くこともなく︑ 税者本人の行為と同視できる場合には︑納税者に対して重加算税を課することができるものと解するのが相当である︒しかしながら︑本件においては︑

x

︵納税者︶は︑税理士

B

︵申

告委

任を受けた税理士︶の不正行為を認識せず︑そのような疑いを

B

が適正な確定申告手続を行うものと信頼し て︑本件確定申告手続を委任したものであり︑

B

X

の意思に

反して内容虚偽の確定申告書を提出するなどの不正行為を行っ

て ︑

X

の納税資金を詐取したものであり︑

B

から贈賄を受けた ︵同法四一条の三︶︑故意又は過失によって

七年︵行ヒ︶第九号

( 1 4 )

 

事件

る︑などの極めて特殊な事情があることによれば︑

B

が行った 隠ぺい又は仮装の行為を︑納税者である

X

の行為と同視するこ

とは相当でないというべきである︒﹂︵︵

( 1 2 )

 

判示した事例などがある︒

ただ︑同種の事例について︑﹁公認会計士の勧めに応じて米

国の療養院の運営を目的としたリミテッド・パートナーシップ

に投資をしたところ︑その契約書等が公認会計士の偽造したも

のであって︑その投資が架空のものであったという事案におい

て︑納税者には︑課税要件事実の把握ないし管理を委任した公

認会計士について︑その選任︑監督上の注意義務を尽くさなかっ

た違法があるから︑公認会計士による隠ぺい・仮装行為につい

て︑納税者の行為と同視し得るものとして︑納税者に対し︑重

加算税を賦課したことは適法である︒﹂との判断を示した裁判

( 1 3 )

 

例もあることに留意する必要がある︒

2

︑最高裁判所第一小法廷平成一八年四月二

0

日判決︵平成︳

所得税更正処分等取消︑国家賠償請求

事実の概要

被上告人

x

︵大正九年生まれ︶は︑平成八年に

10

年を超え

一 五 三

︶は筆者挿入︶と

(10)

て所有していた居住用財産である練馬区所在の土地建物を九︑

0 0万円で譲渡するとともに︑大田区所在のマンション及び その敷地共有部分を五︑七八0万円で購入して転居した︒

X

は ︑ 本件物件の譲渡に係る所得税の確定申告手続を夫の

A

に依頼し

たと

ころ

A

は︑確定申告時期が近づいた同九年二月ころ︑雪

谷税務署に相談に行き︑税務署職員から上記譲渡に係る税額が

国税と地方税とを合わせて八

0 万円程度であると言われた︒0

A

は︑納税額について長男に相談したところ︑同人からも同

旨の説明を受けたが︑計算方法や申告書の記載方法が分からな

かったため︑長男の妻の母親が確定申告を依頼している

B

税理

士に相談することとなり︑同月一八日︑長男の妻と共に関係書

類を持参して同税理士の事務所を訪れた︒

B

税理

士は

A

持参した書類等を見ながら自ら計算した上︑納税のために預か

る金員を全額だまし取ろうと考えていたが︑そのような意図を

隠したまま︑長男作成のメモに記載された税額である八0

四万

円について﹁大体︑そんなものでしょう︒﹂と述べた上︑自ら

メモを作成しながら︑﹁五五0万円で税金はあがるでしょう︒

その

他に

0万円を手数料として事務員に渡してくれ︑全部で

五六0

万円

︒﹂

と言

った

A

は︑どうしてそんなに安くなるの

かと聞いたところ︑

B

税理士は︑﹁私は︑長いこと税務署に勤

めていたから︑素人と計算が違う︒ちゃんと計算ができるから

知ら

なか

った

間違いありませんよ︒﹂と答えたため︑更に質問をすることは

なか

った

A

らは︑確定申告手続を

B

税理士に委任することとし︑その

旨を

X

に伝え︑翌日︑同税理士の事務所を訪れて五六0万円を

同税理士に交付した︒

B

税理士への確定申告手続の委任に当た

り ︑

X

A

らに脱税の意図は認められず︑

X

らは︑専門家で

x

は︑

ある同税理士を信頼して適正な申告をするよう依頼したもので

あっ

た︒

また

B

税理士が長年脱税をしていた事実を

B

理士

は︑

X

が住所を練馬東税務署管内に移した旨の虚偽

の通知をした上︑同年三月五日︑練馬東税務署の資産課税部門

統括国税調査官に対し︑他の二件の確定申告書と共に︑被上告

人の平成八年分の所得税について︑被上告人を代理して︑税理

士名欄を空欄とし︑被上告人の住所欄に練馬区内の虚偽の住所

を記載し︑虚偽の必要経費等を記載した上︑課税譲渡所得金額

及び納付すべき税額をいずれも0円とする確定申告書︵以下﹁本

件確定申告書﹂という︒︶を提出した︒統括官は︑本件確定申

告書に受理印を押捺し︑表面の検算欄及び裏面の分離長期譲渡

所得記載欄外の二か所に自己の印を押捺した上︑控えを

B

税理

士に交付した︒なお︑統括官が賄賂を受け取ったとか︑

B

税理

士の依頼により故意に脱税に加担したという事実は認められな

一 五 四

26-l•2-154

(香法

2 0 0 6 )

(11)

税理士による

「虚偽申告」

と重加算税賦課要件等の検討(浪花)

B

税理士は︑本件確定申告書等につき︑

A

らにその内容を説

明し

たり

X

の署名押印を求めたりすることもなく︑上記のよ

うな申告手続をし︑

X

から預かった五五

0万円を納付せずに取

得した︒他方︑

X

及び

A

らは︑確定申告手続を

B

税理士に依頼

した後︑平成九年一0

月に東京国税局査察部による調査がある まで︑同税理士に対し︑確定申告書の控えや納税に係る領収書 等の交付を要求したり︑申告について税務署に問い合わせたり

はしなかった︒

東京国税局査察部は︑同九年一0

月ニ

一日

X

に対する臨場

調査に着手した︒

X

は ︑

Y

の指導に基づき修正申告をすること

とし︑同年︱一月一四日︑上告人に対し︑租税特別措置法︵平

成 一

0年法律第二三号による改正前のもの︶三一条の三︑三五

条一項所定の各特例︵以下︑﹁特例﹂という︒︶の適用を前提と

する修正申告書を提出し︑併せて︑上記各特例の適用を受けよ うとする旨を記載した書面を提出し︑関係書類を添付書類とし

て提出した︵以下︑この修正申告を﹁本件修正申告﹂という︒︶︒

Y

は︑

同一

0年二月三日︑本件修正申告により被上告人が新 たに納付すべきこととなった税額分︵五四八万四︑六

0

0円 ︶

に対する重加算税を賦課する第一賦課決定処分を行い︑さら に︑同月四日︑上記各特例の適用を否認した額での増額更正及

び本件更正処分により被上告人が新たに納付すべきこととなっ

た税額分に対する重加算税を賦課する第二賦課決定処分を行っ

た︵以下︑この事件を﹁税理士虚偽申告

NQ

2﹂

とい

う︒

︶︒

①  2 

一 五 五

重加算税の賦課要件について

﹁納税者が税理士に納税申告の手続を委任した場合について

いえば︑納税者において当該税理士が隠ぺい仮装行為を行うこ

と若しくは行ったことを認識し︑又は容易に認識することがで き︑法定申告期限までにその是正や過少申告防止の措置を講ず ることができたにもかかわらず︑納税者においてこれを防止せ ずに隠ぺい仮装行為が行われ︑それに基づいて過少申告がされ たときには︑当該隠ぺい仮装行為を納税者本人の行為と同視す ることができ︑重加算税を賦課することができると解するのが 相当である︒他方︑当該税理士の選任又は監督につき納税者に 何らかの落ち度があるというだけで︑当然に当該税理士による 隠ぺい仮装行為を納税者本人の行為と同視することができると はいえない︒﹂と判示し︑当該納税者につき国税通則法六八条

一項所定の重加算税賦課の要件を満たすものということはでき

ないとの判断を示した︒ 旨

(12)

③ 

﹁特例﹂適用上の申告書記載要件とやむを得ない事情

判示

した

②過少申告加算税の賦課要件について

過少申告加算税の賦課に係る﹁正当な理由があると認められ

る﹂場合とは︑﹁真に納税者の責めに帰することのできない客

観的な事情があり︑上記のような過少申告加算税の趣旨に照ら

しても︑なお︑納税者に過少申告加算税を賦課することが不当

又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である︒﹂と述

べ︑これを本件についてみると︑﹁被上告人は︑⁝⁝同税理士

の言葉を信じて︑それ以上の調査︑確認をすることなく︑本件

確定申告書の内容をあらかじめ確認せず︑確定申告書の控えや

納税に係る領収書等の交付を同税理士に要求したり︑申告につ

いて税務署に問い合わせたりはしなかったというのであって︑

これらの点で被上告人には落ち度が見受けられ﹂と指摘し︑さ

らに︑﹁本件確定申告書を受理した税務署の職員が同税理士に

よる脱税行為に加担した事実は認められないというのである︒

このような事実関係の下においては︑⁝⁝国税通則法六五条四

項にいう﹁正当な理由﹂があると認めることはできない︒﹂と

の存否について

﹁本件更正処分及び第二賦課決定処分の取消請求に関する上

告については︑上告受理申立て理由が上告受理決定において排

れる

当たるとまでは認められないというべきである︒﹂と述べ︑当 仮装行為を被上告人本人の行為と同視することができる事情に 除されたので︑棄却することとする︒﹂と判示し︑当該納税者にたいして︑措置法の﹁居住用財産譲渡に係る特例﹂の適用を

若干の検討

( 1 5 )  

この事件は︑﹁税理士虚偽申告

N o

l

﹂事件の関連事案である︒

その争点の︱つである﹁重加算税の賦課要件﹂について︑最

高裁

は︑

﹁被

上告

人は

B

税理士に確定申告手続を委任した際︑

脱税の意図はなく︑専門家である同税理士を信頼して適正な申

告を依頼したものであり︑同税理士が脱税を行っていた事実を

知っていたとうかがうこともできないというのである︒⁝⁝本

件確定申告書の内容をあらかじめ確認せず︑申告書の控えや納

付済みの領収証等の確認すらしなかった点など︑被上告人にも

落ち度はあるものの︑これをもって同税理士による前記隠ぺい

該納税者につき重加算税の賦課要件を満たすものということは

できないとの判断を示した︒この判決は︑﹁税理士虚偽申告

N O

1

﹂における東京高裁と同趣旨のものであるが︑最高裁として

﹁重加算税が課されない要件﹂を明確にした判例として注目さ

(3) 

認め

た︒

一 五 六

26‑1

2‑156

(香法

2 0 0 6 )

(13)

税理士による 「虚偽申告」 と重加算税賦課要件等の検討(浪花)

( 1 6 )  

過少申告加算税の賦課に係る争点について︑第一審の東京地

裁は︑﹁過少申告加算税も︑前記の重加算税と同様︑申告とい

う公法上の義務が十分に履行されなかったこと︑すなわち公法

上の義務違反を理由として︑当該納税者に課される特別の負担

なのであるから︑この﹃正当な理由﹄の有無は︑当該公法上の

義務違反について納税者に責任を問うのが正当か否かという観

点から検討されるべきである︒そして︑税理士制度は︑﹃納税

義務の適正な実現を使命とする﹄︵税理士法一条︶税理士とい

う資格を国家の資格として公認し︑法の定める者にのみその資

格を与えるとともに︵同法三条︶︑これに税理士事務を独占さ

せる一方︵同法五二条︶︑財務大臣がその懲戒権を有すること

によりこれを監督することとしているのであるから︑このよう

な国家の制度とその制度の下に資格を付与された税理士を信頼

して︑特定の税理士に申告手続を委任した納税者については︑

当該税理士のした申告が過少なものであったとしても︑そのこ

とが納税者の指示に基づくものである場合や受任に当たっての

当該税理士の言動等から不当な申告を行うことが明らかにうか

がわれた場合などの特段の事情がない限り︑当該納税者は︑そ

の公法上の義務を十分に履行したものと評価すべきであり︑上

記﹃正当な理由﹄が認められるというべきである︒﹄と述べ︑﹁本

件をみるに︑⁝⁝原告は︑正規の国家資格を有する

B

税理士を

一 五 七

全面的に信頼して適正な申告手続をするよう依頼したのであ

り︑上記のような特段の事情は認められない︒被告は︑原告が

委任以降何ら報告を求めず︑申告書の控えの交付を受けていな

いことなどを指摘し︑税理士の監督に過失があったと主張する

が︑原告や

A

らに何ら税務上の素養がなく︑原告及び

A

ともに

高齢であることにかんがみると︑国家資格を有する専門家たる

税理士に委任した以上︑その事務のすべてをまかせ︑先方から

連絡がない以上は︑催促がましく連絡をとらないことこそがエ

チケットにかなうと考えることにも無理からぬ面があり︑少な

くとも︑原告及び

A

については︑このような態度をとったこと

をとらえて公法上の義務違反に対する負担の賦課を正当化する

ことは困難である︒そうすると︑本件各賦課決定処分は過少申

告加算税の部分を含めてすべて違法であり︑取り消されるべき

である︒﹂と判示した︒東京高裁も同争点について地裁と同様

の判

断を

示し

た︒

この﹁正当な理由﹂につき最高裁は︑﹁真に納税者の責めに

帰することのできない客観的な事情﹂ある場合と判示し︑本件

の場合は︑①﹁税理士の言葉を信じて︑それ以上の調査︑確認

をすることなく︑本件確定申告書の内容をあらかじめ確認せ

ず︑確定申告書の控えや納税に係る領収書等の交付を同税理士

に要求したり︑申告について税務署に問い合わせたりはしな

(14)

しかし︑東京高裁が︑﹁税理士の制度は︑申告納税制度の下

において︑複雑で︑専門的な知識と経験を要する税額の算定等

の作業を税理士に分担させ︑これにより︑納税者による納税を

円滑にして納税者の利益を図るとともに︑課税業務の円滑に資

することとしたものと認められ︑課税実務に永年携わった者に

税理士資格の取得が認められるのも︑これを裏付ける︒このよ

うな法制の下においては︑税理士は︑事務を行うについて納税

者の単なる履行補助者の立場にとどまるものということはでき わゆる﹁自己責任﹂の自覚を促す内容であろうか︒ かったというのであって︑これらの点で被上告人には落ち度が見受けられ﹂︑そして︑②﹁本件確定申告書を受理した税務署の職員が同税理士による脱税行為に加担した事実は認められない﹂と判示し︑﹁このような事実関係の下においては︑真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり︑過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になるものとまでは認めることはできず﹂当該﹁正当な理由﹂が存する場合に該当しないとの判断を

示し

た︒

すなわち︑税理士に依頼した場合でも︑税理士独自の脱税行

為を見逃せば本人に加算税の支払いが降りかかることを示した

判断である︒税理士に任せっぱなしになりがちな納税者に︑い ない︒我が国民は︑納税の必要性及び重要性について的確な理解を有し︑高度の専門知識を要する税務事務の専門家として︑税理士に信頼を置いており︑税理士が課税を柾げることを公務員に働きかけることはもとより︑税理士の働きかけによって公務員が課税を柾げることがあるなどとは︑通常︑想定しないと言って誤りはない﹂と判示している点が注目される︒

なお︑過少申告加算税の賦課に関し︑﹁税理士虚偽申告

N o

1

事件と当該事件とでは︑税理士と税務職員との共謀が存在した

かどうかという点で相違があることに留意する必要がある︒

﹁特例﹂適用上の申告書記載要件とやむを得ない事情の存否

について第一審の東京地裁は︑﹁自ら確定申告せずに税理士等

の他人にこれを委任した者は︑たとえその受任者が委任の趣旨

に反した申告を行うことにより︑本件特例の適用を受けられな

くなったとしても︑委任者の適切な選任監督にかかわらず︑受

任者において巧妙に委任者の目を逃れて悪意を働いたといった

特段の事情がない限り︑自ら努力をしなかった点において︑そ

の結果に甘んずるほかなく︑上記﹁やむを得ない事情﹂があっ

たとは認められないのである︒﹂と判示し︑当該納税者に対し

﹁特例﹂の適用は認められないとの判断を示した︒これに対し

控訴審の東京高裁は︑﹁本件確定申告に際し︑本件各特例の適

一 五 八

26‑1

2‑158

(香法

2 0 0 6 )

(15)

税理土による 「虚偽申告」 と重加算税賦課要件等の検討(浪花)

なお︑同高裁は︑﹁被告署長は︑税理士に対する委任も︑そ

の他の者に対する委任も区別することなく︑原告側に生じた事

情により︑本件各特例の適用を求める旨の申告がされなかった

にとどまり︑これについてやむを得ない事情があると認めるこ

とができないと主張するが︑資格のある税理士の前記の法律上

の使命を無視するもので︑採用の限りではない︒﹂と判示して

いる︒この点において︑職業専門家たる税理士は︑税理士法一条

の﹁税理士の使命﹂の重要さを再確認する必要があるといえる︒ る ︒ 用を受けるのに最も適切な方法と信じてした税理士への委任によって︑かえって︑これを妨げられたというべきで︑本件確定申告に際し︑本人の責めに婦することのできない事情によって本件各特例の適用を受けるのに必要な行動を採ることができなかったと認められる︒このような事情の下においては︑原告の譲渡所得につき︑本件確定申告書に本件各特例の適用を受けようとする旨が記載されず︑所定の資料が添付されなかったことについてやむを得ない事情があったと認めるのが相当である︒﹂と判示し︑当該納税者に対し﹁特例﹂の適用を認めた︒

今回︑最高裁は︑上記高裁と同様の判断を示したものといえ

一 五 九

前提となる事実はつぎの通りである︒

X

は︑平成六年に︑10年を超えて所有していた居住用財産 ︵第一審被告︶から︑平成一0 三︑最高裁判所第三小法廷平成一八年四月二五日判決︵平成一

( 1 7 )

所得税更正処分等取消請求事件

事実の概要

納税者

x

︵第二番原告︶は平成六年分の所得税の申告を

理士に委任した︒ところが︑

A

税理士は税務署職員と共謀して

架空経費を計上した内容虚偽の納税申告書を作成︑提出して過

少申告を行った︒この事実が東京国税局の同九年一0月一四日

の査察調査により発覚し︑

X

が平

成一

0年一月六日に修正申告

をしたところ︑税務署長

Y

受け

たた

め︑

月三

0日付けで過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定︵以

下﹁第一次決定処分﹂という︒︶を受け︑さらに︑同月三一日

付け

で︑

X

が上記修正申告に際して適用があるものとした買換

特例の適用を否認する更正︵以下﹁本件更正処分﹂という︒︶

及び重加算税賦課決定︵以下﹁第二次決定処分﹂という︒︶を

X

がこれらの処分の取消しを求めた事案である︒

である土地建物を代金一億四︑四

0 0万円で譲渡するとともに︑

別の

X

所有地上に存した借地権付き建物を代金六︑二0六万円

で購入して居住の用に供した︒

X

は︑本件譲渡資産の譲渡につ 六年︵行ヒ︶第八六号

(16)

いて租税特別措置法︵平成七年法律第五五号による改正前のも

の︒以下﹁措置法﹂という︒︶三六条の六第一項二号所定の買

換特例を適用することができることを知り︑平成七年二月一三

日ころ︑本件譲渡資産の譲渡に係る所得税の確定申告手続の相

談のため︑雪谷税務署に赴き︑担当係官から平成六年分の納税

額が六九八万八

0 円であると教えられた︒0

X

は︑同日︑上記相談の帰りに立ち寄った喫茶店で税務署に

行って来たことを話していたところ︑客として来店していた

A

税理士が名刺を差し出すなどしたことから︑近くの

A

税理士の

事務所を見せてもらいに行き︑﹁私は国税局の

O B

︒﹂

︑﹁

税務

署長は私の部下のようなもんだ︒﹂などと言う

A

税理士を信用

し︑雪谷税務署で相談した確定申告書の下書き等の書類を同税

理士に見せた︒

A

は︑﹁私に任せなさい︒もう少し安くなるか

ら︒

﹂と

言っ

たた

め︑

X

は ︑

A

税理士に平成六年分の所得税の

確定申告手続︵以下﹁本件確定申告手続﹂という︒︶を依頼す

る決心をした︒翌一四日︑

X

が本件譲渡資産の譲渡に係る関係

書類等を持参して

A

税理士に税額と手数料について尋ねたとこ ろ ︑

A

税理士は︑﹁手数料込みで五二0万円でよい︒﹂と答えた

が︑どのような方法で税金が安くなるかなどについて説明せ

ず ︑

X

もその点を尋ねたりはしなかった︒

X

は︑同日︑委任状

に署名して︑正式に本件確定申告手続を

A

税理士に委任し︑同

X

は ︑

A

税理士に本件確定申告手続を委任した際︑

A

税理士 己の用途に費消した︒ か

った

月一

七日

五二

0万

円を

支払

った

A

税理士は︑同年三月一四日︑

X

の住所欄に虚偽の住所を記

載し︑長期譲渡に係る一般所得分の必要経費欄に﹁一億四︑三

三六万六︑七ニ︱円﹂と虚偽の数額を記載するなどして︑長期

譲渡所得金額︑総所得金額及び納付すべき税額をいずれも0円

とする確定申告書︵以下﹁本件確定申告書﹂という︒︶を作成

し︑緑税務署に提出した︒本件確定申告書には︑本件買換特例

の適用を受ける旨の記載はなく︑関係書類も添付されていな

緑税務署の

B

統括国税調査官は︑

A

税理士から

X

ほか三名の

平成六年分の譲渡所得に係る所得税の各確定申告につき架空経

費等の計上により過少申告した事実を黙認するなどしてその発

覚を未然に防止してもらいたい旨の請託を受け︑その謝礼とし

て現金五

0 0万円の供与を受けて賄賂を収受し︑

X

らの過少申

告の事実を黙認した

( A

税理士と

B

統括国税調査官とが共謀の

上行った

X

に係る上記不正な過少申告行為を︑以下﹁本件不正

行為

﹂と

いう

︒︶

A

理士

は︑

X

から受領した五二0万円を自

が上記のような不正行為を行うことを認識せず︑そのような疑

いを抱くこともなく︑

A

税理士が適法に確定申告手続を行うも

一 六

26‑1

2‑160

(香法

2 0 0 6 )

(17)

税理士による「虚偽申告」 と重加算税賦課要件等の検討(浪花)

2 ①重加算税の賦課決定について

重加算税の賦課要件について判決は︑﹁納税者が税理士に納

税申告の手続を委任した場合についていえば︑納税者において

当該税理士が隠ぺい仮装行為を行うこと若しくは行ったことを

認識し︑又は容易に認識することができ︑法定申告期限までに

その是正や過少申告防止の措置を講ずることができたにもかか

わらず︑納税者においてこれを防止せずに隠ぺい仮装行為が行

われ︑それに基づいて過少申告がされたときには︑当該隠ぺい

仮装行為を納税者本人の行為と同視することができ︑重加算税

を賦課することができると解するのが相当である︒他方︑当該

税理士の選任又は監督につき納税者に何らかの落ち度があると

いうだけで︑当然に当該税理士による隠ぺい仮装行為を納税者

本人の行為と同視することができるとはいえない﹂と述べ︑こ

のと信頼して︑本件確定申告手続を委任したものである︒

X

は ︑

同月一六日︑確定申告はすべて終了したとの報告を受け︑その

後︑預けていた書類一切の入ったファイルを

A

税理士から受け

取ったが︑ファイルの中身を点検したり確認したりはせず︑本

件確定申告書の控えが入っているかどうかを確認することもし

なかった︵以下︑﹁税理士虚偽申告蜘

3

﹂と

いう

︒︶

した

一 六

れを本件についてみると︑﹁⁝⁝税理士は︑適正な納税申告の

実現につき公共的使命を負っており︵税理士法一条参照︶︑そ

れに即した公法的規律を受けているのであるから︑一審原告に

おいて︑⁝⁝同税理士がそのような専門技能を駆使することを

超えて自ら隠ぺい仮装行為を行うことまでを容易に予測し得た

ということはできない︒⁝⁝本件確定申告書の控えの確認すら

一審原告にも落ち度はあるものの︑これを

しなかった点など︑

もって同税理士の本件不正行為を一審原告本人の行為と同視す

ることができる事情に当たるとまでは認められないというべき

である︒⁝⁝一審原告につき国税通則法六八条一項所定の重加

算税賦課の要件を満たすものということはできない︒﹂と判示

②国税通則法七0条五項の適用について

﹁同項の文理及び立法趣旨にかんがみれば︑同項は︑納税者

本人が偽りその他不正の行為を行った場合に限られず︑納税者

から申告の委任を受けた者が偽りその他不正の行為を行い︑こ

れにより納税者が税額の全部又は一部を免れた場合にも適用さ

れるものというべきである︵最裔裁平成一四年︵行ヒ︶第一0

三号同一七年一月一七日第二小法廷判決・民集五九巻一号二八

頁参

照︶

︒﹂

と判

ホ゜

また︑同項の適用範囲について︑﹁偽りその他不正の行為に

(18)

く︑同項により本来の期間を超えて七年に延長された除斥期間

において更正をする場合︑偽りその他不正の行為により全部又

は一部の税額を免れた当該国税の全郎が更正の対象となるもの

であると解するのが相当である︵最高裁昭和四九年︵行ツ︶第

︱︱一号同五一年︱一月三0日第三小法廷判決・裁判集民事一

一九号二八三頁参照︶︒﹂と述べ︑﹁偽りその他不正の行為によ

り免れた税額に相当する部分について修正申告がされたとして

も︑当該年分の当該国税に更正すべき税額があるときは︑延長

された除斥期間内であれば︑なお更正をすることができるもの

である︒﹂との判断を示した︒

③﹁本件買換特例﹂の適用等について

X

がした修正申告における﹁本件買換特例﹂の適用︑および

それに係る過少申告加算税について最高裁は︑﹁本件更正処分

中修正申告額を超える部分及び第二次決定処分中過少申告加算

税額相当分までを取り消すべきものとした原審の判断には︑判

決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある︒論旨はこ

の趣旨をいう限度において理由があり︑原判決のうち上記判断

に係る部分は破棄を免れない︒そして︑本件更正処分及びこれ

に伴う過少申告加算税賦課の適否︑具体的には︑本件買換特例

の適用に関する措置法三六条の二第五項にいう﹁やむを得ない よって免れた税額に相当する部分のみに限られるものではな

事情﹂の有無等につき更に審理を尽くさせるため︑上記部分に

ついて本件を原審に差し戻すこととする︒﹂と判示した︒

④ 

過少申告加算税の賦課︵﹁正当な理由﹂があると認め

られる場合︶について

国税通則法六五条四項にいう﹁正当な理由があると認められ

る﹂場合について最高裁は︑﹁真に納税者の責めに帰すること

のできない客観的な事情があり︑⁝⁝過少申告加算税の趣旨に

照らしても︑なお︑納税者に過少申告加算税を賦課することが

不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である︒﹂

の判示︒これを本件についてみると︑﹁⁝⁝近く低い税額を示

されながら︑その根拠等について確認をすることなく︑本件確

定申告書の控え等の確認をすることなどもしていないといった

落ち度が見受けられ︑同税理士が本件不正行為に及ぶことを予

測し得なかったからといって︑それだけで︑国税通則法六五条

四項にいう﹁正当な理由﹂があるということはできない︒﹂と

の判断を示した︒しかしながら︑﹁本件においては︑税理士が

本件不正行為のような態様の隠ぺい仮装行為をして脱税をする

などとは通常想定し難く︑⁝⁝それらに加えて︑本件確定申告

書を受理した税務署の職員が︑収賄の上︑本件不正行為に積極

的に共謀加担した事実が認められ︑租税債権者である国の︑し

かも課税庁の職員のこのような積極的な関与がなければ本件不

一 六

26‑1

2‑162

(香法

2 0 0 6 )

(19)

税理士による

「虚偽申告」と重加算税賦課要件等の検討(浪花)

正行為は不可能であったともいえるのであって︑過少申告加算

税の賦課を不当とすべき極めて特殊な事情が認められる︒﹂と

の確認の上︑﹁このような事実関係及び事情の下においては︑

真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があ

り︑過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告

加算税を賦課することが不当又は酷になる場合に当たるという

ことができ︑本件修正申告によりその納付すべき税額の計算の

基礎となった事実が本件確定申告において税額の計算の基礎と

されていなかったことについて︑国税通則法六五条四項にいう

﹁正当な理由﹂があると認められるものというべきである︒﹂

と判ホし︑第一次決定処分のうち過少申告加算税賦課決定及び

重加算税賦課決定中の過少申告加算税額相当分を取り消した︒

① 若 干 の 検 討

重加算税の賦課につき︑この事件は︑﹁税理士虚偽申告

No

1﹂

および︑同税理士に係る﹁税理士虚偽申告

No

2﹂事件の関連事

案で

ある

﹁税理士虚偽申告

No

l﹂で最高裁は︑﹁納税者と

A

税理士と

X

の間に⁝⁝事実を隠ぺいし︑又は仮装することについて意思の

連絡があったと認められるのであれば︑⁝⁝重加算税の賦課の

要件を充足するものというべきである⁝⁝︑同税理士が⁝⁝事 実を隠ぺいし︑又は仮装することについて︑

一 六 X

がこれを容認し

ているとの認識を有していたことがうかがわれる︒﹂として︑

東京高裁に破棄羞戻しをした︒

同判差戻し審は事実を詳細に検証し︑﹁過少申告を容認し︑

A

税理士との間に意思の連絡があったということはできず︑⁝

⁝控訴人の帰責事由を認めるには足りない﹂とし︑﹁

A

税理士

に対して⁝⁝税務代理の委任者としては不注意であったという

ことができるが︑⁝⁝不合理ということはできない︒﹂と判示

し︑﹁控訴人に対して本件重加算税賦課決定処分をすることは

できないものというべきである︒﹂との判断を示している︒

﹁税理士虚偽申告

NQ

﹂の最高裁も上記東京高裁と同様の判2

断を示し︑さらに︑今回の最高裁が同様の判断を示したことで︑

﹁特殊な事例﹂ではあるものの︑税理士等がした申告について︑

最高裁が﹁重加算税が課されない︱つの要件﹂を明確に示した

ものといえよう︒

国税通則法七0条五項の適用について︑本件東京高裁は︑﹁課

税庁は︑更正する前に修正申告がされたときは︑もはや確定申

告を前提としてこれに対する更正をすることは許されず︑修正

申告を前提としてこれに対して更正をすることができるにすぎ

ないから︑本件更正処分は︑本件修正申告を前提としてこれに

(20)

対してされたものと解さざるを得ない︒ところが︑本件修正申

告には︑﹁偽りその他不正の行為﹂は存在しないから︑﹁偽りそ

の他不正の行為﹂により免れた税額も存在しないことが明らか

である︒それにもかかわらず︑本件更正処分は︑当該税額を免

れた国税が存在することを前提としてされたものであるから︑

国税通則法七0条五項の適用はないというべきである︒﹂と判

示し︑当該結論は﹁更正の期間制限が︑修正申告のときから起

算されないことに根ざす問題であると解されるが︑更正の期間

は︑中断の観念のない除斥期間に服させるのが適正であるとす

る立法政策に由来するものであるから︑致し方のないところで

ある︒﹂との判断を示していた︒

しかしこれに対し最高裁は︑最高裁三小判昭和五一年︱一月

︱ ︱

10日の判決を踏襲︑すなわち︑﹁﹃偽りその他不正の行為﹄に

より免れた税額に相当する部分のみにその適用範囲が限られる

ものではなく︑﹃偽りその他の不正﹄により脱税した納税者に

対して適正な課税を行なうことができるように⁝⁝しているも

( 1 8 )

 

のと解するのを相当とする︒﹂との考え方に依拠し︑﹁偽りその

他不正の行為﹂により脱税をはかった納税者には不正行為に

よって課税を免れた所得だけが更正処分の対象となるのではな

く︑当該納税者の所得の全部が更正処分の対象となるとの判断

を示したものである︒

A

税理士を信頼して本件確定申告手続を委任してしまった原告 と

いえ

よう

﹁本件買換特例﹂の適用等について︑本件高裁は︑﹁本件更正

処分には︑国税通則法七0条五項の適用要件はなく︑同条一項

の三年の期間制限を超えてされたものであるから︑違法という

べきである︒そうすると︑その余の点について判断するまでも

なく︑本件更正処分は取り消されるべきであり︑また︑本件更

正処分を前提としてされた第二次決定処分も違法であることが

明らかである︒﹂と判示した︒

これに対し最高裁は︑上記︑国税通則法七0条五項の適用に

関する判断を示した上︑﹁本件買換特例の適用に関する措置法

三六条の二第五項にいう﹁やむを得ない事情﹂の有無等につき

更に審理を尽くさせる﹂ために本件を原審に差戻したものであ

る︒なお︑本件関連事案である﹁税理士虚偽申告No2﹂で当該

最高裁は︑当該納税者に対して︑措置法の﹁居住用財産譲渡に

係る特例﹂の適用を認める判断を示していることから︑本件に

おいても今後の裁判で措置法の適用が認められる可能性はある

過少申告加算税の賦課︵﹁正当な理由﹂があると認められる

場合︶について︑本件地裁および高裁は︑﹁原告は︑⁝

・ :

A

理士に全く任せきりにしていたことが認められる︒⁝⁝安易に

一 六 四

26‑1

2‑164

(香法

2 0 0 6 )

参照

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