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234 バイオメカニズム 23 6 スに着目し, 著者の従来の実験 ) を改良した圧縮試験によってマットレスの変形特性を調べるとともに, 圧縮性の超弾性モデルを用いて段差部に押し付けられるマットレスの変形挙動を記述し, 変形特性と圧力分配特性との関係を調べた. 2. 方法 2.1 研究対象のウレタン

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力学試験と超弾性モデルの適用によるウレタンフォーム

マットレスの骨突起部圧分散メカニズムの解明

井上仁瑛

1

,山田宏

1 1

九州工業大学大学院生命体工学研究科

要旨 低反発ウレタンフォームマットレスは仙骨など突起部の体表面圧を低減する.ウレタンフ ォームには圧力分配の性質があるが,低反発マットレスの体圧分散能がどの材料力学特性に起因 するのか把握する必要がある.本研究では,低反発と普通のウレタンマットレスを選び,圧縮試 験,応力緩和試験,段差試験を行うとともに,超弾性モデルを用いた理論的予測を行って,突起 部でのマットレスの圧力分配の特徴を調べた.その結果,一定圧縮ひずみでの応力緩和後に着目 した応力-ひずみ曲線において,ウレタンフォームの伸展性が大きい区間が存在し,その応力が 低いことで,低い圧での圧力分配特性が向上していた.また,圧力が高まると普通のマットレス との差異が消失した. キーワード:低反発マットレス,体圧分散,骨突出,応力─ひずみ関係,超弾性

1 .はじめに

褥瘡の予防には,仙骨などの骨突起部に集中する 圧力の分散や接触部位を変えることが効果的であり, マットレスの変形能を利用して体表面との接触面積 を増加させて圧力の再分配を行う 1).体圧分散を目 的とした用具としてはエアマットレスとウレタンフ ォームマットレスが代表的であり,前者は能動的機 能を持たせるなどして高機能化されている.また, 後者は低反発や高反発のマットレスが開発されてお り, その使い分け方は十分明らかにされていな い 1~4) マットレスの体圧分散効果は仰臥した人の体圧分 布で示されている 2).そのため,実際の圧力分布が 分かる一方で,種々のマットレスを同一条件で比較 して評価することが難しい.そのため,同一試験条 件で得られたマットレスの力学特性や,その力学特 性を再現する構成式(応力─ひずみ関係式)を求め ることが重要である.汎用性のある構成式があれば マットレスに仰臥した人の体圧分布を予測できる. JIS K 6400-2 では連続気泡の軟質ポリウレタン フォームの硬さの測定方法が定められ,そのうち D 法では,一辺 380 mm の正方形底面,50±2 mm 厚 のブロック状試験片に対し,直径 200 mm の円盤で 予備圧縮後に試験片厚の 25 %だけ圧縮して 20 秒間 保持し,そのときの力(単位 N)を硬さとする 5) 製品に表示された硬さはマットレスの変形特性を定 量的に示すものの,非線形な変形特性は表せない. そこで本研究では,ウレタンフォームのマットレ

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スに着目し,著者の従来の実験 6)を改良した圧縮試 験によってマットレスの変形特性を調べるとともに, 圧縮性の超弾性モデルを用いて段差部に押し付けら れるマットレスの変形挙動を記述し,変形特性と圧 力分配特性との関係を調べた.

2 .方法

2.1 研究対象のウレタンフォームマットレス 硬さがふつうに分類される二種類のウレタンフォ ームマットレスを用いた.硬さの分類は家庭用品品 質表示法でウレタンフォームマットレスに対して定 められている.二種類のマットレスのうち一つは低 反発マットレス(品名:低反発マット,関西ファッ ション連合)で,もう一つは敷布団の下に敷く用途 のマットレス(型番:#23,ウエルトン クラシキ) である.以下では,前者を低反発マットレス,後者 を普通のマットレスと呼んで区別する. 硬さと厚さの表示値は順に低反発マットレスで 68 N,60 mm,普通のマットレスで 75 N,4 cm で あった.また,二つのマットレスから切り出したブ ロックの寸法と重さから見積もった密度はそれぞれ 46 kg/m3と 15 kg/m3であった. 2.2 圧縮試験と応力緩和試験 ウレタンフォームは粘弾性材料であり,一定の負 荷に対して力学的状態が時間とともに変化する.そ こで,万能試験機(AGS-J,島津製作所)に一対の 円盤状の圧盤を取り付けて,次のような圧縮負荷試 験と応力緩和試験を行った(図 1 参照).その際, 一定変位速度あるいは変位保持の試験条件をコンピ ュータから与えて試験機を操作した. 圧縮試験では,底面の一辺が 50 mm の直方体形 状の試験片を切り出して,ひずみ速度 0.01/sec, ひずみ範囲 0.8 の条件で,圧縮負荷と除荷を行った. ロードセルには容量 50 N のものを用いた.なお, 本圧縮試験での試験片の寸法と負荷条件は JIS K 6400-2 によるものではない.JIS では試験片の圧縮 面の長さと厚さの比を 4:1 と定めているが,本研 究では 0.88:1 から 1.27:1 の範囲とした.また, JIS では変位速度 5±1 mm/min での繰返し負荷と しているが,今回の試験では,応力─ひずみ関係へ のひずみ速度の影響をなるべく小さくするため, 0.01/s の一定ひずみ速度とした. 応力緩和試験では,ひずみ速度 0.1/sec でひずみ 0.1,0.2,0.3,…,0.8 の 8 種類のひずみまで圧 縮した後,変位を 10 分間保持して応力を緩和させ た.そして,ひずみ 0.1,0.2,0.3,…,0.7 に対 応する応力緩和後の応力を用いて,マットレスの応 力─ひずみ関係を得た.なお,応力緩和試験での圧 縮負荷時のひずみ速度は圧縮試験でのひずみ速度の 10 倍であり,応力がその分だけ大きく生じるので, ロードセルは容量 500 N のものを用いた.なお,応 力緩和試験の方法は JIS K 6400-2 になく,本研究 では独自に試験条件を定めた. 二つの試験では,荷重と変位の時系列データをサ ンプリング時間 50 ms でコンピュータに取り込ん だ.さらに,荷重を試験片の初期横断面積で除して 公称応力を算出し,変位を試験片の初期厚さで除し て公称ひずみを算出した. 2.3 段差試験 骨突起部とその周辺部がマットレスに押し付けら れる時,マットレスの表面にどのような圧力が生じ るのか,その特徴を調べるため,ジャッキと卓上ス ケールを用いて段差を作り,段差試験を行った(図 2 参照). 段差部での荷重の分配を調べるため,ジャッキを 図 1 平行な一対の圧盤で試験片を圧縮する圧縮試験システ

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挟んで卓上スケール(KD-200,タニタ)を 2 台並 べた.卓上スケールには着脱可能な計量皿がつき, ジャッキの上にも同じ計量皿を置いた.卓上スケー ルは最大計量 500 gf(4.90 N),最小目盛と精度は 0 ~2500 gf(0~24.5 N) の 範 囲 で 5 gf(0.049 N), ±10 gf(0.098 N), 2500~5000 gf(24.5~49.0 N) の範囲で 10 gf(0.098 N),±20 gf(0.196 N)である. また, 計量皿の一辺は 182 mm で, 端部に半径 1.5 mm 程度の丸みがある. マットレスは幅 560 mm,奥行 100 mm の帯状に 切り出して試験に用いた.高さは低反発マットレス で 58 mm,普通のマットレスで 40 mm であった. ジャッキと左右の卓上スケールの計量皿の段差 (高さの差)は固定し,卓上スケールとジャッキの 幅に合わせてマットレスを置いた.段差は 4 mm, 8 mm,12 mm,16 mm の 4 通りとした.マットレ ス の 上 面 に は 重 さ 370 gf(3.63 N) の 薄 板 (幅 570 mm,奥行 110 mm)を置いて,マットレス上 面全体に渡って荷重を一様に負荷できるようにした. 荷 重 は 分 銅 を 薄 板 に 左 右 対 称 に 乗 せ て 1 kgf (9.8 N)から 13 kgf(127 N)まで負荷した.分銅を 乗せるとマットレスが変形するので,安定するまで の 1 ~ 3 分間は手で支え,手を離した後も不安定に ならないように必要に応じて分銅の位置を調節した. また,マットレスの自重は卓上スケールでの計量値 から除いた.さらに,分銅と薄板の荷重の和から卓 上スケールに作用する荷重を差し引いて,ジャッキ に作用する荷重を算出した. 2.4 超弾性モデルによるマットレスの変形挙 動の記述 (1)応力─ひずみ関係式の導出 ウレタンフォームを圧縮性で等方の超弾性体とみ なし,次のひずみエネルギー密度関数 W で変形を 記述した 7) W= 2μ α2

(λ1α+λ2α+λ3α-3)+ 1β(J-αβ)-1

(1) ここで,λ1,λ2,λ3は主伸びで,右 Cauchy-Green 変形テンソルの主値の平方根に相当し,変形前の配 置で主伸びの生じる方向を向く微小線素が変形後に 何倍の長さの微小線素になったのかを表す.主伸び は主ひずみ(工学ひずみ) ε1,ε2,ε3との間に次 の関係が成り立つ. λ1=1+ε1, λ2=1+ε2, λ3=1+ε3 (2) また,J は変形前後の体積比に相当し,主伸びを用 いて次式で表される. J=λ1λ2λ3 (3) さらに,α,β,μは材料定数であり,微小変形に おいて縦ひずみと横ひずみの比の絶対値として定義 されるポアソン比νとの間に次の関係が成り立つ. β= ν 1-2ν (4) 荷重成分を変形前の断面積で除して得られる公称 応力を用いると,主応力 τ1,τ2,τ3は主伸びλ1, λ2,λ3を用いて次式で表される 8). τ1=∂W∂λ 1, τ2=∂W∂λ2, τ3=∂W∂λ3 (5) 上式に式(1)を代入すると次式を得る. τ1= 2μα(λ1α-1-λ1-1J-αβ) τ2= 2μα(λ2α-1-λ2-1J-αβ) (6) τ3= 2μα (λ3α- 1-λ3- 1J- αβ) 添字 1 で表される軸方向に単軸圧縮を行うものと すると,圧縮方向に垂直な添字 2 と 3 で表される軸 方向の応力成分 τ2と τ3について次式で表される境 図 2 段差部をマットレス下面に押し付ける段差試験システ

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界条件が成り立つ. τ2=τ3=0 (7) この境界条件を式(6)の第 2 式と第 3 式に代入し, 式(4)を考慮して整理すると,次式を得る. λ2=λ3=λ1-ν (8) ひずみが微小であれば,上式は微小変形理論におけ るポアソン比の定義式に一致する.次に,上式を式 (6)の第 1 式に代入すると次式を得る. τ1= 2μα(λ1α-1-λ1-αν-1) (9) 上式中のポアソン比の決定には圧縮負荷試験で撮 影したビデオも参考にし,応力緩和試験から求めた 応力─ひずみ関係に合うように 3 つの材料定数を決 定した. (2)段差部での圧力分配の理論的予測 段差部にマットレスを一定荷重で押し付ける時に 中央のジャッキと左右の卓上スケールの計量皿に分 配される圧力を次の方法で見積もった.マットレス はジャッキと卓上スケールの境界で分離しているも のと仮定した.したがって,マットレスを押し付け ると,まずジャッキの計量皿に中央のマットレスが 接触し,さらに段差に等しい変位が生じたら左右の マットレスが卓上スケールの計量皿に接触する.ま た,それぞれのマットレスは押し付けによって単軸 圧縮負荷条件で圧縮されるものと仮定した.以上の 仮定の下で,それぞれのマットレスに生じる応力を 式(9)から計算した.

3 .結果と考察

3.1 圧縮試験 低反発マットレスと普通のマットレスの直方体試 験片に一定ひずみ速度 0.01/sec で圧縮負荷と除荷 を与え,公称応力と公称ひずみの関係を得た.図 3 にその一例を示す.低反発マットレス(初期厚さ 57 mm)と普通のマットレス(初期厚さ 39.5 mm) の変位速度は,同じひずみ速度 0.01/sec となるよ うにそれぞれ 34 mm/min,24 mm/min とした. 図 3 から分かるように,負荷経路では,最初に応 力が急激に増加し,続いて緩い傾きでひずみが大き く増加し,さらにひずみが増加すると応力が急激に 増加した.除荷経路では負荷経路よりも明らかに応 力が低下していた.また,低反発マットレスのほう が普通のマットレスよりも応力が低く,特に負荷経 路や高ひずみ区間で顕著だった. 3.2 応力緩和試験 低反発マットレスと普通のマットレスの試験片を 一定ひずみ速度 0.1/sec で所定のひずみまで圧縮し て 10 分間保持したときの応力緩和曲線を図 4 に示 す.ひずみ 0.1 から 0.8 まで間隔 0.1 で 8 ケースで ある.低反発マットレス(初期厚さ 57 mm)と普 通のマットレス(初期厚さ 39.5 mm)の変位速度は, 同じひずみ速度 0.1/sec となるように初期厚さに合 わせてそれぞれ 342 mm/min,237 mm/min とした. 図 4 の応力緩和後の応力値を使って得た,二種類 のマットレスの公称応力と公称ひずみの関係を図 5 に示す.低反発マットレスの応力は普通のマットレ スの応力に比べて小さな値をとる.また,どちらの マットレスもひずみ 0.6 以上で応力の増加が目立ち, ひずみの増加とともに応力が著しく増加した. 図 5 のひずみ 0.8 未満の範囲の応力─ひずみ関係 と式(9)を用いてそれに合わせた応力─ひずみ曲 線を比較した.低反発マットレスと普通のマットレ スに対する結果を順に図 6 の(a)と(b)に示す. 図 3 二種類のマットレスの公称応力-公称ひずみ関係の一 例 粘弾性の試験片に負荷した時に蓄えられる力学的エネルギー は時間とともに散逸し 9),除荷経路の応力は負荷経路の同じ ひずみでの応力より低下する.

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(a)ひずみ 0.114(低反発),0.111(普通) (e)ひずみ 0.515(低反発,普通) (c)ひずみ 0.304(低反発),0.314(普通) (g)ひずみ 0.710(低反発),0.718(普通) (b)ひずみ 0.199(低反発),0.209(普通) (f)ひずみ 0.614(普通),0.606(低反発) (d)ひずみ 0.410(低反発),0.414(普通) (h)ひずみ 0.815(低反発,普通) 図 4 二種類のマットレスの 600 秒間の応力緩和挙動 図中の矢印は低反発マットレス(図 a, e, g)または普通のマットレス(図 h)の初期応力を示す.

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低反発マットレスの材料定数は,まず,マットレ スの変形画像からポアソン比を次式のように定めた. ν=0 (10) 次に,図 6 (a)の範囲の応力─ひずみ関係に合う ように残りの材料定数を次式のように定めた. α=182, μ=64.7(kPa) (11) また,普通のマットレスの材料定数は図 6 (b) の範囲の応力─ひずみ関係に合うように材料定数を 次式のように定めた. α=91.1, μ=115(kPa), ν=-0.00260 (12) なお,普通のマットレスの変形画像からはポアソン 比は零と見なせたが,ポアソン比を零とすると図 6 (b)のような応力─ひずみ曲線は得られず,ひず み零付近での急激な応力の増加を記述できなかった. そのため,ここではポアソン比を零に固定せずに 3 つの材料定数を同時に決定した.式(12)で定めた ポアソン比は負の値であるが,これは十分零に近い 値であり,また,ポアソン比が負となる発泡材料の 報告例もある 10) 3.3 段差試験 段差 4 mm を設けた段差試験において,高段部 (ジャッキの計量皿)ではマットレスが最初から全 面で接触していたのに対して,低段部(卓上スケー ルの計量皿)では最初は段差部付近では接触してい なかったが,荷重が増加すると接触面積が増加して いった. マットレスの上に分銅を乗せてからマットレスの 変形が落ち着いて静止するまでに要する時間は,分 銅 1 kgf(9.8 N)分を乗せた場合,低反発マットレ スでは約 50 秒,普通のマットレスでは約 40 秒で, 分銅 13 kgf(127 N)分を乗せた場合,低反発マット レスでは約 120 秒,普通のマットレスでは約 100 秒 だった.また,低反発マットレスと普通のマットレ スの厚さは変形前にそれぞれ 58 mm,40 mm であ ったのに対し,変形後の高段部での厚さの減少量 (圧縮ひずみ)は,分銅 1 kgf(9.8 N)を乗せた場合, それぞれ 4 mm(7 %)と 2 mm(4 %),分銅 13 kgf 図 6 応力緩和後の応力―ひずみ関係に対して超弾性モデル(式(9))を用いてカーブフィッティングした結果 (a)低反発マットレス (b)普通のマットレス 図 5 応力緩和 10 分後の応力を用いた,二種類のマットレス の公称応力─公称ひずみ関係

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(127 N)を乗せた場合,それぞれ 41 mm(70 %)と 11 mm(28 %)であった. 図 7 にマットレスを 4 mm の段差に押し付けたと きの高段部(ジャッキ部)と低段部(卓上スケール 部)の間での圧力分配を示す.圧力にはマットレス の重さは含まれない.また,図中の直線上では高段 部と低段部の圧力が等しい状態にある. 図 7 から分かるように,低反発マットレスでは, 低段部での圧力が 1 kPa 程度まで上昇すると,段差 の影響が一旦ほとんどなくなって高段部と低段部の 圧力がほぼ等しくなり,さらに圧力が増加すると, あまり差がないものの高段部のほうが若干高めの圧 が生じるようになった.一方,普通のマットレスで は,低段部の圧力が 2 kPa 近くまで増加して初めて 低段部と高段部の圧力差が同程度となり,さらに低 段部の圧力が増加して 2.5 kPa 程度になると,段差 による圧力の違いが見られなくなった. 道繁と森によれば,体圧分散用のウレタンフォー ムマットレス(マキシフロート,パラマウント)に 高齢者が仰臥して測定した仙骨部のピーク圧は 40.2±20.9 mmHg(5.35±2.78 kPa)(平 均± 標 準 偏差,n=18)であった 11).図 7 の高段部の圧力は 道繁と森の実験結果の平均から標準偏差を引いた値 を最大とする範囲にあたる.今回の実験では広い平 らな段差面を作って実験を行ったが,仙骨部の曲面 形状を模擬して測定を行えば,突起最高部では低段 部の圧力に対して顕著なピーク圧が明瞭に生じると 予想される. 図 8 では,図 7 の結果を等荷重直線と重ねて比較 した.二種類のマットレスに乗せた分銅が等しけれ ば同じ直線(図中の点線)上にデータ点がある.図 より,低反発マットレスは普通のマットレスに比べ て低い荷重域から圧力がよく分配され,高荷重域で は差が小さくなることが分かる. 実験条件の最大荷重(分銅 13 kgf(127 N))で段 差を 4 mm から 16 mm まで増加させた場合につい て,低反発マットレスと普通のマットレスの圧力分 配特性を図 9 に示す.高段部と低段部との圧力差は 段差が増すとともに増え,特に低反発マットレスで 著しく増えた. 分銅 13 kgf(127 N)での低反発マットレスの変形 量は,前述のように段差 4 mm でも普通のマットレ スに比べて著しく大きく,段差を大きくするとマッ トレスの底付きによって圧力分配効果が急減したと 思われる.高い圧力レベルで圧力を等分配するには, 応力-ひずみ関係に見られる緩やかな応力勾配が, その高い応力レベルで得られるウレタンフォームを 採用すればよいことが推測される.圧力の等分配は 図 7 マットレスを 4 mm の段差に押し付けたときの高段部 (ジャッキ部)と低段部(卓上スケール部)の間での圧 力分配 図 8 低反発マットレスと普通のマットレスの間での圧力分 配特性(図 7)を等荷重直線(図中の点線)上で比較し た結果

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低反発ウレタンフォームであれば常に有効なわけで はなく,高反発マットレスのほうが有効な場合の報 告 4)があるのはそのためと考えられる. 3.4 段差部での圧力分配の理論的予測 段差 4 mm で高段部と低段部にマットレスを押し 付けて生じる圧力について式(9)から算出した理 論的予測を実験と比較した結果を図 10 に示す.ま た,段差を 4 mm から 16 mm まで増加させた場合 の圧力分配の理論的予測と実験結果との比較を図 11 に示す.低反発マットレスでは,低段部での低 圧領域において高段部の圧力が低く抑えられる特徴 があり,また,低段部の低めの圧力で図の曲線の傾 きが急になる傾向にある. 図 10 から分かるように,式(1)の圧縮性で等方 な超弾性モデルは,段差部での圧力の分配挙動につ いて,低反発マットレスの場合は概ね良好に予測し た.一方,普通のマットレスの場合は低段部の低め の圧力区間で高段部の圧力を過小に見積もり,低段 部の高めの圧力区間で過大に見積もった.これは, 単軸圧縮下での応力─ひずみ関係の実験結果と理論 値のずれ(図 6 (b)参照)を反映しているものと 推察される. 西田らは開発したクッションを力学的観点から評 価している 12).適切な体圧分散用具の開発と選択は 褥瘡予防における重要な課題であり,力学的観点か らの研究を遂行することによって,マットレスの圧 力分散効果を適切に評価する指標を提示することが 期待できる.

4 .まとめ

本研究では,ウレタンフォーム製の低反発マット レスと普通のマットレスを用いて圧縮試験,応力緩 図 9 一定荷重(分銅 13 kgf(127 N))で段差を 4 mm から 16 mm まで増加させたときの低反発マットレスと普通 のマットレスの圧力分配特性 図 10 段差 4 mm でのマットレス押し付けにおける高段部・低段部間の圧力分配の理論的予測と実験結果との比較 (a)低反発マットレス (b)普通のマットレス

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和試験,段差試験を行うとともに,圧縮性で等方の 超弾性モデルを用いて段差部での圧力分配を理論的 に予測した.その結果,階段状の突起部に対して生 じた圧力分配がウレタンフォームのどのような応力 ─ひずみ関係の結果なのか,理論的に理解すること ができた. ウレタンフォームの圧縮負荷下の応力─ひずみ曲 線では,圧縮され始めると,ある応力レベルまで応 力が急に増加し,続いて,非常に緩やかな傾きでひ ずみが数十%増加し,その後は傾きが徐々に急にな る.そのため,マットレスに生じるひずみが曲線の 傾きの非常に緩やかな区間にあれば,骨突起部に生 じる圧力はひずみ量の違いの影響を受けにくく,小 さな値に抑えることができる. 参考文献 1) 日本褥瘡学会(編):褥瘡ガイドブック,照林社,150-183, (2012). 2) 大浦武彦:わかりやすい褥瘡予防・治療ガイド,照林社, 50-52, (2001). 3) 須釜淳子,西澤知江,松尾淳子:高齢者・障害者のため の寝具の周辺機能,バイオメカニズム学会誌,37(3), 159-164, (2013). 4) 熊谷あゆ美,平内美雪,松井優子,紺屋千津子,島田賢 一,川上重彦,須釜淳子:特殊体位手術用高反発ウレタ ンフォームマットレスの褥瘡予防の評価,日本褥瘡学会 誌,17(1), 1-9, (2015). 5) JIS K 6400-2:2012, 軟質発泡材料─物理特性─第 2 部:硬さ及び圧縮応力─ひずみ特性の求め方,日本規格 協会,(2012). 6) 井上仁瑛,山田宏:体圧分散マットレスの変形特性の測 定とその効果に関する検討,日本機械学会第 27 回バイ オエンジニアリング講演会講演論文集, No. 14-67, 581-582,(2015).

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Investigation of Pressure Redistribution for Bony

Protrusions in Polyurethane Foam Mattresses by Mechanical

Tests and Hyperelastic Modeling

Yoshiaki INOUE

1

, Hiroshi YAMADA

1

1

Department of Biological Functions Engineering, Graduate School of Life Science and

Systems Engineering, Kyushu Institute of Technology

Abstract Low-repulsion urethane mattresses can reduce the surface pressure of skin over bony

protru-sions. It is important to identify the mechanical characteristics of polyurethane foam that contribute to the redistribution of surface pressure over a protrusion and its surroundings. We studied two commercially available urethane mattresses: a low-repulsion urethane foam mattress and a standard polyurethane mat-tress. Compression and stress relaxation tests were carried out on column specimens on a flat surface, and compression tests were performed on beam specimens on a stepped structure with a high central step and lower tiers on the left and right sides. After relaxation, the stress at a constant compressive strain was used to obtain the stress-strain relationship of the urethane foams. We predicted the redistribution of pressure of a mattress under compression on a stepped surface using a hyperelastic model. The experimental results revealed the presence of a region in the stress-strain curve with large extensibility. Comparison of the theo-retical and experimental results revealed that the extensible behavior at low stress levels enhanced the pres-sure redistribution in the low-repulsion urethane mattress. However, the superiority of the prespres-sure redistri-bution behavior of the low-repulsion mattress became negligible as the pressure increased.

Key Words:Low repulsion mattress, Pressure redistribution, Bone prominence, Stress-strain relationship,

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