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南米産薬用植物Licaria puchury-major種子のアルカロイド成分と薬剤耐性がん細胞に対する殺細胞活性

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Academic year: 2021

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(1)

─ ─295 ( )1 Licaria puchury-major(Mart.)Kosterm. の種子は,ク スノキ科 (Lauraceae)に属する高木であり,アマゾン森 林地域に自生するブラジルの特産品である。その種子は 茶褐色でニクズクやサッサフラス様の強い芳香を持つ (Figure 1)。現地ではPhcurim(プクリ)と呼ばれ広く 市販されている。煎剤として興奮,強壮の作用があり, また,リウマチ,赤痢,下痢,腸内寄生虫等に用いられ る。1) これまでにL. puchury-major に含まれる化学成分と生 物活性の報告は,safrole, eugenolなどのモノテルペンの 抗菌活性や,2)phenylpropanoid, neolignan 類に対するア ポトーシス誘導3)に関する報告があるがアルカロイド成 分については本研究が初めての報告となる。 1.緒 言 ブラジル産薬用植物は,ブラジルに自生したものある いはブラジルに帰化し,民間療法として実際に現地にて 使用されているものをいう。ブラジル産の薬用植物種の 数は5000 種を超えるといわれ,薬用資源の宝庫であり, その植物種の数と多様性は世界中の地域と比較しても圧 倒するものがある。しかしながら,その多くの化学的検 討はなされておらず,有用な化合物は,未だ自然の中に 眠ったままであると考えられる。 大崎らは南米産の薬用植物に含有される二次代謝産物 の化学構造の骨格の多様性と新規性さらに,それらが持 つ生物活性に興味を持ち,生物活性成分の探索研究を継 続している。

大崎愛弓

・宝谷尚徳

**

・小沢正晃

**

・岸田晶夫

**

小宮山寛機

***

・久保伊佐夫

****

We studied the bioactivity of constituents extracted from the Brazilian medicinal plant, the seeds of Licaria puchury-major. Ten known alkaloid compounds were obtained from this plant and identified as reticuline (1), orientaline (2),

coclaurine (3), N-methylcoclaurine (4), norjuziphine (5),norisoboldine (6), isoboldine (7),glaziovine (8),and reticuline N-oxide [9; NMe (S), 10; NMe (R)]. The cytotoxicity of the obtained compounds was evaluated against vincristine-sensitive

and -resistant P388 cells in the presence (P388/VCR(+)) or absence (P388/VCR(-)) of low levels of vincristine. Norjuziphine (5), norisoboldine (6), and isoboldine (7) exhibited potent cytotoxic activity in the presence of vincristine P388/VCR(+). Keywords : Licaria puchury-major, benzylisoquinoline alkaloids, vincristine resistant P388 cells

南米産薬用植物

Licaria puchury - major 種子のアルカロイド成分と

薬剤耐性がん細胞に対する殺細胞活性

Cytotoxicity of the Alkaloid Constituents from the Seeds of Licaria puchury-major,

Brazilian Medicinal Plant, in Vincristine-Resistant P388 Cells

Ayumi OHSAKI

, Takanori HOYA

**

, Masaaki OZAWA

**

, Akio KISHIDA

**

,

Kanki KOMIYAMA

***

and Isao KUBO

****

(Accepted November 17, 2014)

  * Department of Chemistry, College of Humanities and Sciences, Nihon

University, 3-25-40 Sakurajousui, Setagaya-ku, Tokyo 156-8550

** Institute of Biomaterials and Bioengineering, Tokyo Medical and

Dental University, Chiyoda-ku, Tokyo 101-0062

*** Kitasato Research Center for Environmental Science, Sagamihara

252-0329

**** Departments of Environmental Science, Policy and Management,

University of Calfornia, Berkely, CA 94720

日本大学文理学部化学科: 〒156−8550 東京都世田谷区桜上水3−25−40 ** 東京医科歯科大学生体材料工学研究所: 〒101-0062  東京都千代田区神田駿河台2-3-10 *** 北里環境科学センター: 〒252-0329  神奈川県相模原市南区北里2-25-1

**** Departments of Environmental Science, Policy and Management, University of Calfornia, Berkely, CA 94720

日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要 No.50 (2015) pp.295−298

(2)

大崎愛弓・宝谷尚徳・小沢正晃・岸田晶夫・小宮山寛機・久保伊佐夫 ─ ─296 ( )2 本論文においてはL. puchury-major の種子に含有さ れ る7 種 の benzylisoquinoline 型 (1-5,9-10) や 2 種 の aporphine型 (6-7)および 1 種の proaporphine 型 (8)の アルカロイド成分の単離および化学構造の同定と抗がん 剤として臨床現場において広く使用されているvincristine (オンコビン ,VCR)に対する薬剤耐性マウス白血病細 胞(P388/VCR)を用いた殺細胞活性試験の結果につい ての報告を行う。 2.結 果 2-1 成分の単離と同定 Licaria puchury-major の種子を粉砕後,メタノールに 冷浸し,得られたメタノールを濃縮した。得られたメタ ノール可溶抽出物に対し,アルカロイド抽出操作を行う ことにより,アルカロイド含有画分(クロロホルム画分, 酢酸エチル画分,ブタノール画分)を得た。この操作で 得られた各々のアルカロイド可溶画分をアミノシリカゲ ルクロマトグラフィー,シリカゲルクロマトグラフィー, および逆相HPLC を用いてアルカロイド成分の単離を 行った。単離された10 種のアルカロイド成分は,各々 1HNMRおよび13CNMR,DEPTおよび 2 次元NMR(1H-1H COSY,HMQC,HMBC,NOESY)および高分解能マス スペクトル(HR-EI,HR-FAB)を測定することによって構 造を推定した。その結果,得られた化合物は既知化合物 で あ るreticuline (1)4)orientaline (2)5)coclaurine (3)6) N -methylcoclaurine (4 )7 ),norjuziphine (5 )8 )

norisoboldine (6)9),isoboldine (7)10),glaziovine (8)11)

reticuline N-oxide[9: NMe(S),10:NMe(R)]12)であ

ることが文献記載のスペクトルデータと比較検討するこ とにより同定を行った。(Figure 2) 2-2 生物活性試験13) L. puchury-major の MeOH 可溶抽出物より得られた 10 種のアルカロイド成分 (1-10)の薬剤耐性細胞に対する 殺細胞試験をおこなった。細胞株としてマウス白血病 細 胞 薬 剤 感 受 性 株(P388/S), マ ウ ス 白 血 病 細 胞 vincristine 耐 性 株(P388/VCR)の vincristine 非 存 在 P388/VCR(-),vincristineの極微量(12 ng)存在P388/ VCR(+)に対して各々殺細胞活性試験を行った。その結 果をTable 1に示した。P388/Sに対しては,全ての化合 物に対して10.0 μg/mL において活性は認められなかっ た。薬剤耐性株に対して活性試験を行ったところ,P388/ VCR(-)に対して glaziovine (8)が比較的強いIC50 値 5.40 μg/mL の活性が認められた。一方,P388/VCR(+)にお

いては,coclaurine (3)およびreticuline N(R)-oxide (10)

については10.0 μg/mL において殺細胞活性は認められ

なかった。しかしながら,reticuline (1),orientaline (2), N-methylcoclaurine (4),glaziovine (8),reticuline N(S) -oxide (9)について 各々 IC50値 5.39,8.10,9.13,3.16,

6.36 μg/mL の 比 較 的 強 い 活 性 が 認 め ら れ た が, norjuziphine (5),norisoboldine (6),isoboldine (7)につ いては各々IC50 値1.55,0.36,1.69 μg/mLと強い活性が

認められた。本結果は,得られたbenzylisoquinoline 類

Figure 1 Seeds of L. puchury-major

(3)
(4)

大崎愛弓・宝谷尚徳・小沢正晃・岸田晶夫・小宮山寛機・久保伊佐夫 ─ ─298 ( )4 104 cells/well)播種した。37 ℃,5 % CO 2存在下で24時 間培養した後,各種濃度に調整した10 μL の試験溶液を それぞれのwell に添加し,さらに 48 時間培養した。Cell Counting Kit-8(CCK-8,同仁堂)10 μL は,培養終了 4 時間前にwellに添加した。マイクロプレートリーダーを 用いて450 nmの励起波長と590 nmの発光波長を測定し, 殺細胞活性についてIC50値として表記した。 4)生物活性試験 P388 細胞に対する殺細胞活性試験 P388/S,P388/VCR(-)および P388/VCR(-)株細胞 は,10 % FBS,100 U/mLのペニシリン,100 μg/mLの ストレプトマイシン,25 mMの 2 −メルカプトエタノー ルが添加されたRPMI-1640培地で継代培養を行ったもの を用いた。各種細胞株は96 well プレートに 90 μL(5× 1) 橋本梧郎,ブラジル産薬用植物事典,p 598,アボック社, Japan (1996).

2) M. Himejima, I. Kubo J. Nat. Prod., 55, 620-625 (1992).

3) T. Uchiyama, K. Tabata, S. Nomura, Y. Kaneko, Y. Fujimoto, T. Suzuki, Biol. Pharm. Bull., 32, 1749-1753

(2009).

4) M. Ichimaru, M. Moriyasu, Y. Nishiyama, A. Kato, F. D. Juma, J. N. Naganda, J. O. Ogeto, Nat. Med., 51, 272-274

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11) H. D. Wet, F. R. Heerden, B-E. Wyk, Biochem. Syst. Ecol.,

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12) S-S. Lee, Y-C. Lai, C-K. Chen, L-H. Tseng, C-Y. Wang, J. Nat. Prod., 70, 637-642 (2007).

13) A. Ohsaki, M. Ozawa, K.Komiyama, A. Kishida, T. Isobe, Nat. Prod. Commun., 7, 977-978 (2012).

Figure 2 Structures of isolated compounds 1-10

参照

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