• 検索結果がありません。

情報処理教育における情報リテラシーの検討

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "情報処理教育における情報リテラシーの検討"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)2C-1. 情報処理学会第66回全国大会. 情報処理教育における情報リテラシーの検討 小林仁 鎌倉女子大学短期大学部 1 はじめに 1990年代になって,「情報リテラシー」という 言葉が使われることが多くなってきた。用いる人 により表現したいことが異なるのであろうか,各 報告のタイトルに用いられる場合の英訳では 「Computer Literacy」又は「Information Literacy」と分かれている。この言葉は,情報処 理学会のみならず各領域においても用いられて おり,そこで表明されている意味を含めると多様 である。 一方,コンピュータリテラシーの用い方は限定 的となり,明らかにコンピュータリテラシーより も広い概念として「情報リテラシー」は受け入れ られつつある。情報処理教育においても「情報リ テラシー」を用いる場合,コンピュータリテラシ ーベースより広い概念であろう。 本稿では,進展のみられる「情報リテラシー」 概念について検討し,情報処理教育における情報 リテラシーの考え方や観点を明らかにしようと 試みる。 なお,今回検討対象としたのは,1999年度(平 成12年度)以降の10大会論集(情報処理学会4大 会,電子情報通信学会2大会,情報処理教育研究 集会4大会)である。 2 「情報リテラシー」が意味するもの 情報処理学会は,文部省の委託研究を受け,平 成3年に情報処理教育について報告書を取りま とめている。ここでは,コンピュータサイエンス (Computer Science:CS と略す)を中心とする情 報処理教育についての取り組みであり,コンピュ ータリテラシーとはCSを基盤とする事項であ った。 平成5年に取りまとめた報告書では,『コン The Examination of Information Literacy in the Information Processing Education KOBAYASHI Hitoshi KAMAKURA WOMEN'S JUNIOR COLLEGE. ピュータリテラシーまたは情報リテラシーと呼 ばれるコンピュータを用いた情報処理能力は,従 来の「読み,書き,そろばん」を包含する形で, 学問全体のインフラストラクチャーとしての地 位を占めつつある。』という記述が表れるに至り, コンピュータリテラシー(CLと略す)の他に情 報リテラシー(ILと略す)という概念が存在す ることを認めている。 現在では,「情報リテラシー」と表現しながら も,英訳では「Computer Literacy」 と 「Information Literacy」の二通りに分かれる状 況にある。以後,「Computer Literacy」 と表現 する情報リテラシーをIL1,「Information Literacy」と表現する情報リテラシーをIL2と 表現し,この2つの意味するところを検討してい くことにする。なお,検討対象の中には,タイト ルの英訳情報の無いものがあり,これらはIL2 として扱うことにした。 検討の結果,IL1はCL主体という予想どお りの傾向を示し,報告者自身がCLベースの内容 であると意識している特徴があった。 IL2は主に3つに分けられた。 一つ目はCL主体で,「コンピュータリテラシ ー」と標記したほうが適切なものである。 二つ目は報告者自身が情報活用能力を意識し ているものである。ただし,意識するレベルの強 弱の差は大きく,内容を見る限り,CL主体は変 わらない。 三つ目は総合名称として用いるもので,「情報 リテラシー」を総合力と報告者が強く意識してい るものである。内容からは,CL主体は変わらな いが,さらに工夫を加える(題材の専門性を高め る:より高度な知識を以て題材に取り組ませる取 り組み)報告も見受けられる。 以上のことから,「情報リテラシー」には,C Lに加えて,情報活用能力と題材への工夫,そし て何より認識の切り換えが加わっている,といえ る。ここで言う認識の切り換えとは,CLそのも. 4−353.

(2) のを習得目標とすることから,CLを基礎素養と しつつ問題解決に向けた情報活用能力習熟を主 たる目標とするものである。 3 今後の「情報リテラシー」 大学審議会答申「グローバル化時代に求められ る高等教育の在り方について」(2000年)の中で, 情報リテラシーの向上に向けて,「大学教育にお いては,学生に,グローバルな広がりで,主体的 に情報を収集し,分析し,判断し,創作し,発信 する能力を養うことが不可欠である。その際,情 報モラルや,情報機器及び情報通信ネットワーク の機能にかかわる基本的知識や能力の習得を重 視することが必要である。」と述べている。「そ の際」以降の部分については,高等学校の教科「情 報」実施もあって,主たる課題とはなりにくい。 また,他の領域における「情報リテラシー」概 念,特に古くから情報活用を図ってきた図書館の 領域においては,日本図書館協会図書館利用教育 委員会が1999年に「情報探索法・整理法・表現法 などを含む総合的な情報活用能力。コンピュータ 利用能力だけでなく,情報の評価および情報倫理 の理解も含めて,あらゆる情報の活用が可能な能 力をいう。」と定義しており,大学審議会答申の 前部分と重複する概念である。 上記のことは,既述したように「情報リテラシ ー」概念がCL概念を含む広い概念であることを 示しており,このことを踏まえて,情報処理教育 を含めた情報教育における情報リテラシー向上 策を検討することが必要である。前章において述 べたIL2の三つ目の立場は,この流れに合致す るものと考える。 大学審議会答申の前部分を主目的としたとき, 最終的に個々人に高度な情報活用能力が備われ ばよいのであって,CLにこだわる必要性は低下 してくる。情報活用能力を向上させる一つの選択 肢としてCLがあると考え,向上策の必要に応じ てCLを活用する,そのような情報処理教育の展 開も選択肢としてある。IL2の三つ目の立場で 述べたCLを基礎素養とする考え方には,教授内 容を取捨選択する考え方も内包する,と理解して いる。. 以上述べていることは,「情報リテラシー」だ けを目的とした場合のものである。実際には,入 学者に対するキャンパスネットワーク入門教育, レベル合わせのための補習まで行った上で,情報 リテラシーを包含する広義の情報学を体系的に 教授するほか,各専門領域のための準備教育であ る情報処理教育が加わるものと考えている。 4 まとめ コンピュータによって成り立っている現在の 情報社会においては,コンピュータの特質を踏ま えた世界観は不可欠である。これこそが新たに身 に付けなければならないリテラシーであり,情報 処理教育を含む情報教育全体が一貫して学習者 に対して提示し続けている事項である。ところが, 新たに開けてきたサイバー空間はサイバー社会 へと変貌しつつあり,社会教育を1つの柱として 情報処理教育を構成し直すことが急務となりつ つある。おそらくキャンパスネットワークにもネ ットコミュニティが導入され,入村対策も含めた 取り組みが必要となってくると思われる。 近年の情報処理学会,電子情報通信学会におけ る情報リテラシー概念への言及は,きわめて少な い。常にディジタルベースで情報リテラシーの具 体化に向けての取り組みが主となっているため であろうが,一方で,他の各領域での取り組みの 方が活発であり,利用者側からみれば,むしろこ ちらのほうが受け入れやすい内容であった。今後 は,ディジタル化前の情報の世界も含めた情報処 理教育へと展開する必要を痛感している。 参考文献 (1)情報処理学会(1991):大学等における情 報処理教育のための調査研究報告書,平成 3年3月 (2)情報処理学会(1993):大学等における一 般情報処理教育の在り方に関する調査研究, 平成5年3月 (3)大学審議会答申(2000)「グローバル化時 代に求められる高等教育の在り方について」. 4−354.

(3)

参照

関連したドキュメント

断面が変化する個所には伸縮継目を設けるとともに、斜面部においては、継目部受け台とすべり止め

テキストマイニング は,大量の構 造化されていないテキスト情報を様々な観点から

絡み目を平面に射影し,線が交差しているところに上下 の情報をつけたものを絡み目の 図式 という..

2.シニア層に対する活躍支援 (3) 目標と課題認識 ○ 戦力として期待する一方で、さまざまな課題も・・・

当社は、お客様が本サイトを通じて取得された個人情報(個人情報とは、個人に関する情報

目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例

生活のしづらさを抱えている方に対し、 それ らを解決するために活用する各種の 制度・施 設・機関・設備・資金・物質・

Google マップ上で誰もがその情報を閲覧することが可能となる。Google マイマップは、Google マップの情報を基に作成されるため、Google