Title
Indoleamine 2,3-dioxygenase in tumor tissue indicates prognosis
in patients with diffuse large B-cell lymphoma treated with
R-CHOP( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
二宮, 空暢
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学) 甲第876号
Issue Date
2012-03-25
Type
博士論文
Version
none
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/43043
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与要件 学位論文題目 審 査 委 員 二 宮 空 暢(岐阜県) 博 士(医学) 甲第 876 号 平成 24 年 3 月 25 日 学位規則第4条第1項該当
Indoleamine 2,3-dioxygenase in tumor tissue indicates prognosis in patients with diffuse large B-cell lymphoma treated with R-CHOP (主査)教授 長 岡 仁 (副査)教授 伊 藤 善 規 教授 大 沢 匡 毅 論 文 内 容 の 要 旨 【背景・目的】 分子標的治療薬である Rituximab の臨床導入後,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)の治 療成績は著しく改善した。しかし,難治例は存在し,それらの患者の予後を改善するためには,適 切な予後因子や治療法の選択が必要である。インドールアミン酸素添加酵素(IDO)は,必須アミノ酸 であるトリプトファンをキヌレニンに分解する経路の最初の過程で関与する細胞質内酵素である。 近年,IDO は各種の腫瘍細胞や抗原提示細胞で発現していることがわかり,腫瘍免疫に関与してい るといわれている。IDO の作用により,腫瘍局所におけるトリプトファンの枯渇やキヌレニン等の 代謝産物の蓄積が,細胞傷害性 T 細胞や NK 細胞の浸潤や活性化を抑制し,宿主免疫機構からの回避 に関与している。そのため,IDO 活性が高いと細胞性免疫が低下し腫瘍の増殖に有利に働くと考え られている。そこで今回我々は,悪性リンパ腫における IDO の臨床的意義を検討した。 【対象・方法】 2003 年 12 月から 2008 年 6 月までに当院および関連施設に入院し,WHO 分類にて診断された未治 療初発 DLBCL 患者 119 名を対象とした。全例文書にて研究への参加同意を得た。診断目的で行った リンパ節生検のホルマリン固定保存標本を用いて,IDO の免疫組織染色を行った。IDO 陽性細胞に対 して,IDO と CD20,F4/80 を用いて蛍光二重染色を行った。初回治療は,全例 Rituximab 併用 CHOP(cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine, predonisolone)療法あるいは Rituximab 併用 THP-COP(cyclophosphamide, tetrahydropyranyl-adriamycin, vincristine, prednisolone)療法を 施行した。Bulky 病変を有する症例に対しては化学療法後に 30-40Gy の放射線治療を追加した。再 発 難 治 例 に 対 し て は , R-P-IMV-16/CBDCA(rituximab, methylpredonisolone, ifosfamide, methotrexate, etoposide, carboplatin)療法を施行し,感受性例に対しては自己末梢血幹細胞移植 併用大量化学療法を施行した。治療効果判定は Cheson の基準に従い,生存率は Kaplan-Meier 法に て解析し,log-rank 法を用いて検定した。 【結果】 対象患者背景は,男性 67 例,女性 52 例。年齢 60 歳未満 33 例,60 歳以上 86 例。Performance status 0 または 1 90 例,2 以上 29 例。LDH 正常 59 例,上昇 60 例。節外病変数 0 または 1 67 例, 2 以上 52 例。臨床病期ⅠまたはⅡ 42 例,ⅢまたはⅣ 77 例。B 症状無 67 例,有 52 例。International Prognostic Index (IPI)の Low または Low Intermediate 74 例,High Intermediate または High 45 例。Revised IPI の Very good 11 例,Good 63 例,Poor 45 例であった。IDO マウスモノクローナル 抗体を用いて,リンパ腫組織中の IDO の発現を見ると,びまん性に陽性細胞を認める症例(A),陽性 細胞が散在する症例(B),陰性の症例(C)があることがわかった。119 例中 A,B,C はそれぞれ 38 例
(32%),16 例(13.4%),65 例(54.6%)であった。A と B では IDO 陽性細胞の形態が異なっており,蛍 光二重染色を行い検討した。A のびまん性に陽性の細胞は,IDO と CD20 が陽性でありリンパ腫細胞 と考えられた。一方,B の IDO 陽性細胞は CD20 陰性であり形態からもリンパ腫細胞ではないと考え られ,抗原提示細胞のマーカーである F4/80 で染色すると陽性であった。したがって,形態的にも, 樹状細胞と考えられた。つまり,リンパ腫の腫瘍組織中にはリンパ腫細胞自身が IDO を発現してい る症例,樹状細胞が IDO を発現している症例,IDO を発現していない症例があることがわかった。 今回,リンパ腫細胞自身の IDO 発現の有無でグループ分けを行ったところ,IDO 陰性 DLBCL が 81 例 (68%),IDO 陽性 DLBCL が 38 例(32%)であった。IDO 陽性症例は,年齢 60 歳以上,節外病変数 2 以上, IPI が High Intermediate または High の症例で有意に多く認めた。IDO 陽性 DLBCL の寛解率は 55.5%, IDO 陰性 DLBCL は 79.0%であり,IDO 陽性 DLBCL は有意に寛解率が低く,IDO 陽性 DLBCL の 3 年生存 率は 49.8%,IDO 陰性 DLBCL は 78.8%と有意に IDO 陽性 DLBCL は予後不良であった。IPI に含まれて いる項目と IDO 発現とを含めた多変量解析では IDO 発現のみが独立した予後因子として抽出された。 【考察】 DLBCL 腫瘍組織中において,リンパ腫細胞自身が IDO を発現している症例,樹状細胞が IDO を発 現している症例があることがわかった。IDO を発現している腫瘍細胞や樹状細胞は,細胞障害性 T 細胞や NK 細胞の機能を抑制し,さらには制御性 T 細胞を増加させ,局所の細胞性免疫を負の状態に 傾け、腫瘍の増殖に有利に働くといわれている。DLBCL 腫瘍組織中においても,IDO を発現している 細胞は腫瘍免疫において重要な働きをしていると考えられる。今回我々は,R-CHOP 療法あるいは R-THP-COP 療法施行 DLBCL 症例においてリンパ腫細胞が IDO を発現している症例は予後不良である ことを示した。以前我々は,トリプトファンの代謝産物であるキヌレニンが DLBCL の予後因子とな り得ることを報告しているが,腫瘍細胞の IDO 発現の有無はより腫瘍局所の IDO 活性を反映してい ると考えられる。Rituximab の臨床導入後 DLBCL の治療成績は向上したが難治例も存在し,新たな 治療戦略とともに有用な予後予測因子が必要である。腫瘍免疫に直接関与する IDO は予後因子とし てだけではなく,治療標的としても有用である可能性が考えられた。 【結論】 腫瘍細胞の IDO 発現は DLBCL 症例における有意な予後因子であり,適切な治療法選択のための患 者層別化に有用である。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 申請者 二宮空暢はびまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫(DLBCL)細胞でのインドールアミン酸素 添加酵素(IDO)の発現の有無が,治療反応性と予後に関する有用な予測因子である事を証明した。 本研究結果は難治性DLBCL 治療の改善に寄与するのみならず,新たな治療戦略の開発に繋がる事 が期待される。これらの知見は臨床腫瘍学の発展に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌]
Soranobu Ninomiya, Takeshi Hara, Hisashi Tsurumi, Masato Hoshi, Nobuhiro Kanemura, Naoe Goto, Senji Kasahara, Masahito Shimizu, Hiroyasu Ito, Kuniaki Saito, Yoshinobu Hirose, Tetsuya Yamada, Takeshi Takahashi, Mitsuru Seishima, Tsuyoshi Takami, Hisataka Moriwaki : Indoleamine 2,3-dioxygenase in tumor tissue indicates prognosis in patients with diffuse large B-cell lymphoma treated with R-CHOP