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アコヤガ4の一般形態学的並びに外套膜の
組織学的研究*
林
一
正
Detection of Calcium in Molluscan Mantles : IV Pinctada martensi (DUNKER) General Morphology and Histological studies of Pinctada martensi In皿y studies concerning the detection of calcium in the soft parts of Pinctada martensi, with special reference to the calcium detection in the epithelia and connective t;ssues, 1 have used the method of the fixation of Ammonium oxalate −neutral formol solution and the treatment of DELAFiELD’s haematoxylin, HEiDENHAiN’s haernatoxylin, MALoRy’s solution or AgNO, solution, and 1 reviewed the essentjal histological structures of the mantle tissues, but in so doing I have succeeded in the detection of calcium in the tissues and in the confirmation of the existence of calcareous glands in the epithelja. 1 have itemized the particularies in the summary of this report. 緒論
真珠の成因については古来幾多の説があり殊に最近 には閉殻筋内に生ずる多くの天然ケシ珠と,貝体の異 常状態による異常分泌等の事実による磯和の未発表の 研究等もあって,この問題は簡単には片ずけられぬよ うに思える。又真珠の成因と密な関係にある真珠袋, 真珠咳の問題等も大変興味あるものであるが,我々は これらの問題を解く前にアコヤガイの軟体部,特に真 珠形成に欠くべからざる外套膜の石灰分泌組織を明確 (1) にする必要がある。尤もこの問題については田中友三 (3) (2) の発表,続いて川村の該論文の紹介と所感,蓑内・ (4) 林,の反駁がそれぞれ発表されたQ然し林は何れも淡 (5) 水二救:貝によるものであってアコヤガイについてはま (6) だ充分研究しつくされていないで,ただ小島の研究に よって外套膜の腺細胞が明らかにされただけである○ 林は腺細胞,結締組織内に存在すると思われる石灰分 を検出ぜんとして本研究に着手した。材料及び研究方法
材料Pinctada martensi(DUNKER)は1930年8月 和歌山県白浜町京大臨海実験所附近と,1937年,1933 年8月三重県志摩郡的矢村磯和真珠養殖場附近で採集 した。研究方法ば蔭酸安門α1%溶液と中性ホルマリ ン1%溶液の等量混合液で固定し,パラフィン切片と し次の諸法で染めた。 1) DELAFエELD氏ヘマ1・キシリン 2)HEIDENHAIN氏ヘマトキシリソ 3)硝駿銀法 観 ラ がい∼42
刻9
体E面
壁︵
と殻外
殻介
介 ︶
コ ユA︵
14)MALORY氏染色法
察 2枚の介殻はほほ同大,四角形。左 殻は右殻に比べると梢ふくれていて,殻頂は前方によ * (1) (2) (3) (4) (5) (6) 滋賀県産業開発研究費の補助を受く。 田中友三:真珠分泌学説につ)・て。水講報告26巻2号,1931. 川村多実二:田中友三氏真珠分泌学説について。動物学雑誌43巻515号,1931. 蓑内収,林一正:二枚貝及び巻貝の石灰分泌。動物学雑誌44巻519号,1932. K. HAyAsHi : Detection of Calcium in Molluscan Mantles: 1 Anodonta and Cristaria. Annotationes Zoologicae Jal anenses, Vol. 19,・No. 2, 1938.一一一一
F On the so−called bottle−shaped glands of Pinclada martensi, with sp2clal reference t’o TtNNAKA’s theory of Pearl formation. Annot’ationes Zoologicae Japanenses, Vol. 17, No. 2, 1938. 小島吉雄:アaヤカ“lt外套膜の組織学的研究(特に腺細胞 (関する観察)。生物4巻5∼6号1949.32 滋 大 紀 要 第 3 一号 1 9 5 4 つている。右殻には砂毛の下前方に「く」の字型の切 れこみ(T)があって,ここから操糸をだし他物に固着 する。殻は相重なる鱗片様の薄片からなり,表面には 殻頂を中心にしてほぼ同心円的に並列する曲線(Gl)h: 多数に見られる。殻表の色は暗紫褐色乃至帯褐暗紫色 である。 (2)内 面 殻の内面は銀白色で,いわゆる美し い真珠光沢を放ち,比較的稚い貝ではピンク,緑色の 部分が多く且つ明瞭に見られるが,成貝ではピンクは 少なく白つぼくなっている。蝶鮫(H)は広く長くほ ぼその中央に三角形の靱帯(L)があるが,歯はない。 閉殻筋痕(Ami)は1個の後閉殻筋痕のみで,比較 的大きいインゲン豆形をしている。そのすぐ背方に隣 接して小さなソラマメ形の収足筋痕(Rm{)があり, 更に閉殻筋痕の前後両端から藍鼠に小楕円形の挙足筋 (Pmi)痕と小鮮町筋痕(Srmi)とが列をなして並ぶ。 紫隅色の殻縁にそって外套筋痕(Mi)が走っている。 B.内肉(Figs,2∼5,7∼8.)介殻を片一方だけは ずしてまず眼につくのは閉殻筋(Am),華足筋(Rmノ, 外套膜ぐM)及び無(G)である。次に外套膜上から 透視できる主な器官について説明するD蝶鍛直下に長 楕円形の多くはオリーブ色の器官がある。これが肝臓 (Li,で,その腹部ほぼ全面にわたって淡貰色の部分が 見られる。これが生殖巣(Go)で,雌雄ともにその色 彩はほとんど同じである。 足(F)は概ね円錐形で小さい。その先端から黒緑色 の十数本の一糸(B)を出す,そしてその基部は溝状 で網糸腺からの分泌液は海水にふれ擬固して足糸とな るものである。足はどちらかといえば発達の悪い方 で,従ってその内部には消化器官もあまり入りこんで はいない。唇鱒(P1)は足の前背面におこりほぼ三角形 の舌状で,、左右両側に各2枚ある。この唇辮の前中央 即ち足の前背側に口(Mo)がある。肛門(An)は閉 殻筋の後方に直腸(R)の末端となって開口する。鰐 (G)は唇辮の後方に始まり内臓塊の腹側を後方に, 閉殻筋の腹側後部に終る半円状の器官であるQ色は淡 褐色,両側に各2枚あり,外側を外鮒,内側を内惚と いい,外魚区は更に内外2葉よりなる。 C、内臓(Fig.6.)最も顕著に眼をひくのは生殖 巣(Go)であるっ未熟な時は卵巣と精巣は何れも淡黄 色で識別しにくいが成熟期になると卵巣は多少赤面色 昧をおびてくる。肝臓(Li)は「ピサゴ」形で暗緑色, 両側から胃(S)をかこんでいる,そして胃の前後両鰯 に愉胆管(Hd)がある。消化管は口(Mo)より直ち に食道(Oe)に移り,肝臓の前背側にそって胃の始部 と相つづく。その内側に正条の横しわがある。胃は肝 臓の問にはさまれ不規則な形の袋であって,内面に大 小のしわがある。腸(1)は胃の腹側に始まり閉殻筋の 背方まで進み(図では直降し), しかるのち前方に屈 曲して足部に入り,更に後方に逆転して体の左側に進 み,閉殻筋の背部に戻り,それより更に見方に進み (図では上昇し)体の後方にゆるく屈曲して逆転し, 体の背側正中線に平行して後,心臓を貫通し閉殻筋の 後方に於て直腸より肛門に移行して開口する。 その他の内臓諸器官については.一一一般rt.枚貝のそれと あまり相違がないので,それらの一部をFigs.4∼6に 示す。 E 外套膜の一般組織と石灰検出
A.外套膜縁
(1)概説膜縁は淡水二枚貝同様,外摺(Fo), 中腎(Fm),内摺(Fi)の3部からできている(Figs. 9,23,顕微鏡写真A)。外摺は表皮も低く褐色色素粒 を含み核は細胞基部近くに位するQ中野の終筆は表皮 も低くなっているが,急に高くなる部分がある,この 部分を外套瘤(Ms)という(Fig.17.),これも淡水 二枚貝にあって,この高い表皮も響町の方に移るに従 って低くなり,色素顯粒の量もへる,かくて先端部か ら外面表皮に移行するわけである。そのはじめは高い 表皮で次第に低くなり,色素李下もなくなる,又この 部分の表皮は腺性ではあるが皮下性や杯下めものはな い。中期は更に小さい内外2つの小摺にわかれている。 この内方の小摺にはMALORY氏染色で澄黄色に染ま る皮下腺が密にこの小戸の約3分の2を占めている。 表皮にはやはり色素がある。なお又これは淡水二枚貝 では見られなかったのではあるが炉端の表皮には繊毛 が見られる(Fig.14, Cem)。内学は低い表皮よりな り細胞の反基部に褐色顯粒がある。核は基部に存す る。表皮には細かいしわがよっているQ招の遊離部に は繊毛はない(Fig.10.)が他の部分には繊毛も生え 表皮も高くなっていて顕著な基底膜をもつている (Fig. 1?一 )o 最後に筋肉については内面表皮下に表皮に平行に, 膜端の方向に走る筋肉(MI),この筋肉層下に膜緑に 平行に走る筋肉束(Mt),何れも内面表皮に近く著し い層をなしている (Fig.9.)Q又介殻との外套膜の附 着部(Msa)には,これら両筋肉層が相交錯して複雑 な相を呈している。なお外面表皮特に摺の部分には著 しい筋肉ほない。 なお醜聞の組織(N?)がある,これはDELAFIELD, MALORYの両染色法でも染まらぬ実質の比較的緻密な 組織で,地色は灰色で餐摺のつけ根の処に膜縁にそっ て走る太いものが1本と,それより分枝したものが各プコヤガイの一般形態学的並びに外套膜の組織学的研究 〔林) 33 所に見られる。恐らく神経であろう (Figs. 9∼10, 16ゆ。
(2)表面と摺
a.内面と内払(Figs・9,10,12.)。内気の表皮は 薄いクチクラで被われ比較的低く,中に黄隅色品粒を 含み,あまり腺性でほない。結締組織は糟の先端は M△LORY染色で淡青色に染まるが,その他の部分は儂 青色に染まるQそして細い横走,縦走の繊維がある。 この部分にはイシガイ科のものとちがって繊毛も皮下 腺もない。又色素顎粒の内面は黒褐色,外面は黄隅色 を呈しほとんど細胞全体にみつ。 基底膜と思われるもの(Emf)は’MALORY染色で は美青色に染まり,しかも赤褐色の核様のものがその 基部に存する。この青い部分はその一端が繊維状とな り結締紅職内に表皮に対して垂直の方向に走っている ので或は又筋肉繊維ではないかとも思われる,そして 二様のものはそれらの繊維の横断面が現われているの かも知れぬ。こ5いうもの(Em丘)はイシガイ科のも のでは観察されなかった。なおこのEmfは;摺端には ない。この糟の二方(Fig.12。)には繊毛のある高い 表皮細胞がずっと続く,この繊毛表皮(Cei)は腺性で 黄,黒,褐色頴粒(Gr)を多量に含む。なお処々に回 状細胞(Cc)が見られるが皮下腺はない。 b.中摺(Figs.9,13∼15.)下摺ほ更に2小摺に 分れこの内の内面に近い小裕には表皮腺の他に結締組 織に深く入りこんで皮下腺(Ag, Gg)がある,色ば MALORY染色では赤紫色に染まる。又青く染まる基底 膜と思われるもの(Emf P)も,あまり顕著ではない が存存する。皮下腺にはMALORY染色で赤紫色の二 三を含むもの(Gg)と泡沫状のもの(Ag)と2つが ある,而して前者は非常に細長く結締組織中に奥戸く 入っており後者は徳利状であまり長くない。 外面に近い方の小摺には多くの著しい皮下腺がある (Fig.15.)○これにはMALORY染色で青く染まるもの (G,)と,燈心色に染まるもの (G2)の2型がある。 後者の方が結締組織旧くにまで伸びて入っておる。な おこの小摺に特異なことはこの部分の表皮に繊毛のあ ることである(Figs.9,14, Cem)。 外摺への移行部では繊毛もなくなり表皮も低くなっ ているが,著しく腺性となり上記2型の腺が沢山混在 する(Fig.15.)。 Fig.16は内外中の3摺のつけ根の 部分にある疑問の一組織(或は器宮)である。即ち実 質は染まらぬ灰色で細かく繊維伏のものが無数にあり その外面に遊雛細胞康のものが見られる(A)。なおそ の実質をよく見ると輪奪の不鮮明な無数の細胞?より なり,その一々に更に細い繊維吠のものが見られる。 このものはFig.9にも示す通り各摺の末端部に分枝 している点等から考えて神経ではないかと思われる。 c.三宿(Figs.17∼19,)前述の如く中摺と外摺 との移行部は表皮も低く腺性となり証状細胞も多い。 而して二二に移ると表皮は急に高く組織も密に且つ盛 んに細胞分裂をやっている,この部分を外套瘤(Ms) という。この部分にはMALORY染色法で青く染まる 皮下腺が結締二二内奥潔く陥入している。叉赤色穎粒 を含むものがこの表皮の処々に散在していて,この表 皮は腺性の様である。表皮細胞には燈色に染まる核が 黄褐色に染まる細胞質中に存在する。とに角この部分 は表皮も多層且つ密で,しかも腺を多数にもち活動的 に見られる(Grp)○而してこの外套瘤の全面より膜端 に向って殻皮(Per)の分泌されているのがわかる。 然しこの外套瘤の一端(Mse)は更に多細胞層とな り殻皮との境界ははっきりしていない,叉殻皮は薄膜 状をなさないで幾つかの薄膜の集った束状をなしてい る。この外套瘤には色素摺(Pf)と称してやはり密な 高い表皮が続いている,この表皮も外套瘤に近い部分 では色素はさ程多くなぐ核はMALORy染色で赤紫色 の美しい色に染まる頴粒を沢山含んでいる。この核を もつ表皮細胞は腺匪である○かくして端部に進むに従 って手編色穎粒を含む表皮に移る。この色素摺には処 々貿手細胞があって多少腺性を呈している,且つ30乃 至50個位の表皮細胞が一塊となって,1っの波状の襲 を作り,端部になるとMALORY染色で青或は赤に染 まる皮下腺も処々に見られ,表皮も低くなるQ 次に外面への移行部になると表皮はずっと高く円柱 状となり黄三色顎粒も多く含まれ,処々に杯状細胞が 存在する。なお表皮直下には筋肉繊維が表皮に平行に 走り,それより各表皮細胞に即ち筋肉面に垂直に小さ い筋肉繊維が出ごいる。核は長楕円形で黄褐色に染ま り,色素顎粒中に混在して見分けにくい。 この都営は一般に稜柱層を分泌する部分と考えられ ている。 d.外面(Figs.2ユ,22,28 a.b,c.)この部分の表 皮は円柱伏,1細胞層,処々に杯状細胞と皮下腺とが ある。皮下腺ぽ好エオシン性のものが多い。又HEト DENHA・N氏ヘマトキシリンでも黒く染まり巾に多くの 黒色粒がある。外套膜の外面が炉心に附着する部分か ら背方に進むに従って表皮は低くなり杯状細胞と皮下 腺の集塊が異様に見られる,これを廓大すると Fig. 28bに見る通りHEIDENHA王N氏ヘマトキシリソで黒 く染まる顎粒と灰色に染まる二二とが混在しているの が観察される。 〈3) 結斎帝二一縞毫と月泉34 滋 大 紀 要 第 3 号 1 9 5 4 a.結締組織(Fig.26.) 繊維陸詰合組織であっ て透明な基質と結締冷血細胞及び繊維からなる。 b.遊走細胞或ぽ血L球(Fig.24)図示する如く次 の5型がある○ (a) 細胞質透明,核に顎粒がある。 (b) エオシンでよく染まる緻密な実質の細胞質を もつ。 (C)多少エオシンで染まる細胞質をもつ紡錘形の もの。空隙(La)内にあるものも見ら聞した。 (d) 細胞質はエオシンで染まるが,その中心より 放射線状に法官が存在しているようで該は細胞 質の一端に位置し細胞質の容量に比べると小さ い。 (e) 細胞質は透明,核は歪形でくねつ(いる。 なおこれは1血球ではなく HEIDENHAIN氏ヘマトキ シリンで明瞭に染まる血忌(Gr)のある遊走細胞(Gc) が外套膜縁の筋肉繊維間によく観察される(Figs.23, 25a∼e)。 F{g.25 a, b, cは明らかにその実体内に三 春以外に核と思われるものがある。ただその形が球 状,楕円体,紡錘形等種々であったoFig. 25のCは 図示するようにHEIDENHAIN氏ヘマトキシリソでは っきり染まる瓢粒(Gr)が数十個,そして核はその細 胞休の一端におしやられた形に見られた。Fig・25のd は恐らくFfg.25のbが筋繊維間に長く伸びたもの ではあるまいか。Fig.25のeは説明にもある通り心 耳内の血液中にたまたま見られたもので,核はなく細 胞質とおぼしいものほ透明,しかも明瞭な薄膜に包ま れていた。 これら願粒細胞が何ものなのか今のところ検出され ていないが,淡水二枚貝であればグリコーゲンを含む LEYDIa氏細胞ではないかとも思われる。然しその染 色状態からこれらの頴粒が所謂石灰穎粒に非ずやとの 疑いもいだかれる。 c.石灰腺(Figs.27,28c,顕微鏡写真D∼E) 石灰腺は外套膜縁の外面表皮及び表皮に陥没してい る。図並びに顕微鏡写真は蔭駿安門処理法により細 胞,組織内に含まれる石灰分を沈着さし更にHEmEN− HAIN氏ヘマトキシリソ染色を施したものである。偏 光顕微鏡で観察するとその腺伽D基面(図では黒色) に蔭酸石灰の結晶がtH 一(くる。なお同図の右則に示さ れた粘液(Cm)はおそらく該外套膜表皮より分泌され たものと思われるが,HEmENHAIN氏ヘマ1・キシリソ で著しく染まる部分(Cm)が見られる,これは石灰分 を含む粘液と考えられる。 Fig.28 cは外套膜外面の介設密着部(Msa)から 少し介殻縁によった部分で・表皮細胞並びに石灰腺ぽ Fig,27より低くなっているが,後者は密に存在ずる。 図に示すようにその含石灰粘液と思われるもの(Mu) も見受けられた。 Msaより背方(介殻縁から遠ざかる方向)には結締 組織内深く極端に多くの皮下腺が存在し異観を呈する (Fig.28a, b,両班鏡写真C)Q国払安民法によっては この石灰腺と思われる部分の石灰の検出は不成功に終 った。更にこの腺を詳しくしらべてみると一種類では なく2種類の腺が見られる,即ちヘマトキシリンで染 まるものとあまり染まらぬものとであった。然し両者 とも顎粒を含む腺で恐らく前者は石灰腺(Cg1),後者 は蛋白腺(Alg)Pではあるまいかと考えられる。なお 又Fig.28aに見るようにこれらの顯粒は表皮内にも 現われる。この特異な腺が外套膜のどの部分まで存在 するかをきめるため蝶番下をしらべたところ,この部 分には.この腺は既になく別の型の腺があるだけであっ た (Figs。29∼31)o B。蝶番下の外套膜組織(Figs.29∼32) 左右両殻片の合している部分にも外套膜は伸び進み (Pp)その上に薄膜(Mu)をかぶっている○更にFigs・ 30,31でもわかるように夫々の表皮上にも薄膜がかぶ さっている。Fig.31では表皮も高円柱状でしかも中 央部と思われる部分が最も高い。この部分でば僅かに 款状細胞が散在し皮下の結締組織も繊維i生でなく実質 細胞が密在する。表皮はこのPpをすぎると次第に低 くなると共に皮下にヘマ1・キシリソーエオシソに染 まらぬ単胞状の腺(Sag)があり,腺の核は腺体の末 端部近くに局在する。 Ffg.32は蝶番直下部から幾分外套膜縁によった皮 下は内臓の諸器官が存在する部分で表皮は低く,皮下 組織には前記Sagの他にヘマトキシリソで均一に染 まる粘液腺がSagの聞に介在する。二三安記法でこ れら諸点フ)石灰検出をやつ(みたができなかった。 結 論 1.材料ば1930,1937,1933年の8月,和歌山県白 浜附近と三重県志摩郡的矢村三ケ所附近で採取し,1滲. 酸安門一一訓生ホルマリン処理でDELAFIEしD氏ヘマ トキシリン,HEIDENH氏IN氏ヘマトキシリン染色の他 に硝酸銀処理とMALORY染色を試みた。 2.介殻及び軟依部の一般内外部形態につい(その大 要をしらべたっ 3,外套膜の内面は膜縁端乃一・部を震い⊂繊毛で被わ れているが外面は被われて、■ない0 4外套.膜縁は内吋い外の3摺からなろ。 5.内摺の表皮ぼクチクラで被われ黄色.丁丁を中に含
アづヤガイの一般.形態学的並びに外套膜の組織学的研究 (林) 35 み腺.性でない。 ・ 6.中裾ば更に内.・外⑱小摺に分れ,その一部は繊毛 で被われている。小摺’のうち外部のものには顕著な腺 の集塊がある MALORY染色で青く染まるもの.と燈 黄色に染まるものとが混在する。 7.外招の基部には外套瘤がありここから殻皮が分泌 される。.外套膜の外表面側の留分には黄褐色岬町を多 く含む色素表皮がある。 8.繊毛のない外表面には杯状佃胞及び各種の腺があ る,それらの中に石灰を含む腺も混在する。 9.介殻附着部近くの外套膜(但し附着部よりは背方) には顕著な皮下腺の異様な集塊がある。この腺塊は石 灰終刊,蛋白穎粒を含むものと推定される。 10,遊走佃胞或は加球と思われるものに5型がある0 11.特に塩基性色素によく染まる穎粒を細胞質中に含 む四四細胞もある。 12.蔭駿州門処理により結締組織中,並びに外套膜外 表面に存する腺内に石灰分を検出することがで.きた。 13.蝶番下の外套膜及び内臓を包.押する外套膜の組織 をしらべたD
SUMMARY
1. The materials (Pinctada n1aitensj) used in this study were obtained from Shirahama−ch6, Waka− yama Pref, and Sangasho, Matoya−Bay, Shimagun, Mie Pref. in August 1933, 1937 and 193R. Tissues were fixed in Ammonium oxalate−Neut− ral Formol solution and and their parafine sec− tions were stained in DELAFiELD’s haematoxylin, HEiDENHAiN’s haematoxylin, MALoRy’s solution or treated一 in AgNO3 solution. 2. General morphology of shelis and soft parts have been studied. 3. The inner surface of mantle, exc’ept one part of mantle end, is ciiiated, while the outer surface of it is non−ciliated. 4. The mantle edge consists of three folds−inner, middle and outer folds. 5. The epithelium of inner fold is covered with cuticle, containing granules and non−glandular. 6. The middle fold, moreover, consists of two small folds−inner and outer, and is partially ciliated The outer one of small folds has remark− able masses of glands, which are dyed blue or orange−yellow by MALoRy’s solution and these two kinds of glands mix up with in the folds. 7. Periostracum is secreted from a mantle− swelling, which Iies in出e basal part of the outer fold. Outer part of this fold has many pigment epithelia containing many yellowish brown gran− ules. 8. We can detect calcareous glands among c.up− ce]ls and various kinds of glands in the mon− ciliated out3r surface. 9. We can observe remarkable, grotesque masses of subepithelial glands in the tis3ues near mantle line (but in the dorsal part of mantle line), which are presumed to be of calcareous or albuminous ones. 10. Five types of wandering cells or blood corpus− cles (supposed to be) have been observed. 11. Granule−cells, containing granules very stain− able by basic dyes in cytoplasm, have been found. 12. We can detect calcium in connective tissues and in glands of outer surface of mantle by Am− monium oxalate method. 13. We have studied the mantle und3r hinge and the one covering internal organs. 挿 図 r 本論文末にまとめ.てのせる。なお川中の省略記号は 次1こ言興す’o . ナA心耳;Aa前大掴脈;Ag胞状、腺;Alg蛋自穎
粒腺;Algr蛋白穎粒;Am閉殼筋;Ami閉殻筋痕;An肛門;Ao大動脈;Avp通孔;B回内;Bg足綜
腺;Bg1腺束;Bp3殻皮束;Bv血管;C連鎖;Cc杯 状細胞;Cei内面繊毛表皮;Cem中摺.繊毛表皮;Cg 脳神経球;Cg1石灰腺;Cgr石灰頼粒;Ci繊毛;Cm 石灰粘液;Co蔭酸石灰結晶;Ct結締組織;Ctf締結 組織繊維;Cuクチクラ;Cug田上腔;Cvc脳内臓神 経連鎖;Cy細胞質;Ebw体壁表皮;Eis内面表皮;Emf筋繊維端;Eo外面表皮;F足;Fi内摺;Fm
中国;Fo外.摺;G鮭1;G,マロリー染色法デ青翠サ シル穎粒;G2マロリー染色法デ燈黄色二染マフレ穎粒; Gc穎粒細胞;Gg穎粒腺;G1生長.腺;Glg大剛粒 ヲ含ム腺;Go生殖稟;Gr穎粒;Grpマロリー染色 法デ赤紫色二染マ」レ穎粒;H蝶番;Hd斡胆管;1腸;Is内面;K腎臓;L靱帯;La空隙;Li肝臓;M
外套膜;Mf筋肉繊維;Mgデ.氏ヘマ1・キシリンデ1青ク染マル粘液腺;Mi外套線;M1縦走筋;Mm外套
膜筋;Mo口;Ms外套膜瘤;Msa筋肉附着部;Mse
外套膜瘤端;Mt横走筋;Mu粘液;N神.径;Nu核; ’36 滋 大 紀 要 第 3 号
Oe食道;P色素;Pc色素細胞;Pe色素表皮;Per
殼皮;Pf色素摺;Pl唇弁;Pmi伸筋痕;Pp蝶番:下ノ外套膜隆起部;R直腸;Rm収足癖;Rmi収足
筋痕;S胃;Sag単一胞状腺;Seg皮下腺;Segbマ ロIJ一染色法デ青染サレ」V皮下腺;Segrマロリー染 Fig.1. A 1 9 5 4 Fig L), H Dorsai 色法デ赤ク染R’・]レ皮下腺;Soc食道上神経連鑛;Srm 小収足筋;Srmi小収足筋痕;Tくノ字型キレコミ; V心室;Vc大静脈;Vg内臓神経球;Wc遊走細胞; Ybg黄褐色配慮. L. B H L Srm珈
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♂ Anter ioi = B rvf i Fig,1介殻, Aは 右殻片,Bは左殻片。 1/4大。 Fig.2 右殻片をと Anteri or りはずしたところ0 1/4大。T Fig.3右段片と外
套嘆の一部を切り収 り,足縣(B),鰐(G) Pmi 等を示す。 l/1大。 Fig.4 及びFig.5 更に心臓の部分を切 り開き,心耳(A), 心室(V)を示す。 1!4大。 Ventrat Arn Rm一一一 G’ ,ig.、.隔 1 P一 .} 「、灘
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…150倍。 Fig.29 介殻蝶番直下の外套膜隆起蟹(Pp), 20倍。 Fig.30 Fig.29 a部の廓大。約80倍。 Fig.31 Fig.29 b部の廓大。約80倍。 Fig.32 体壁表皮。約80倍。42 滋 大 紀 要 第 3 ・号 1 9 5 4