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DEIM Forum 2018 P7-1

背景色とフォントの組み合わせ方による印象の変化

吉田 紫世理

§

熊本 忠彦

§,¶

千葉工業大学情報科学部情報ネットワーク学科 〒275-0016 千葉県習志野市津田沼 2-17-1

E-mail:

§

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[email protected]

あらまし 本論文では,色を背景色に限定し,フォントの種類や太さを変えて組み合わせることで,読み手が感じる印象 がどのように変わるのかをアンケート調査により調べ,明らかにする.このとき,背景色には光の3原色である赤色,緑色,青 色に,色の3原色であるシアン,マゼンタ,黄色を加えた計6色を採用し,さらに明度と彩度をそれぞれ3段階に分けることで, 各色につき9種類の刺激画像を用意する.一方,フォントにはマイクロソフト社の MS ゴシック体と MS 明朝体の2種類を用い ることとし,それぞれ太字と太字でない文字(本論文では「普通字」と呼ぶ)を用いる.さらに,評価する際の印象項目としては, 従来から用いられている「視認性」と「可読性」に加え,それぞれの原色が持つイメージ語から「破壊,情熱的,自然,平和,冷静, 誠実,爽やかさ,涼しさ,セクシー,愛,好奇心,幸福」を採用する. キーワード RGB カラーモデル,CMY カラーモデル,視認性,可読性,カラーイメージ,背景色,フォント

1. はじめに

ホームページや ポスター,チラシ,ゲームソフトなどデザイ ン性 のあるものを 制 作 する 際 に欠 かせないの が 色 とフォント の 組 み 合 わせ 方 を 決 めるこ と であ る. 色 と フ ォン ト の 組 み 合 わせ方 によって見 る人 の印 象 が変 わってしまうため,制 作 物 に対 する評 価 が 良 くなる 場 合 もあれば ,悪 くなる場 合 もある. 加 えて ,ハートフルな内 容 の 制 作 物 であるにもかかわらず , 冷 淡 な 感 じ を 与 え るな ど 意 図 せ ぬ 印 象 を 与 え て しま う 可 能 性 もある.しかしながら,どのような組 み合 わせ方 をしたら,ど のように印 象 が変 わるのかという点 については明 確 でなく,ま たそのようなことを調 べた研 究 もほとんど見 当 たらない. そこで 本 研 究 では, 色 とフォントの組 み合 わせ方 によって 見 る人 の印 象 がどのように変 化 するかを調 査 ・分 析 し,明 ら かにする. 具 体 的 には, 色 を 背 景 色 に 限 定 し,フォント の 種 類 や 太 さを変 えて組 み合 わせることで読 み手 の印 象 がどのように変 わるか をアン ケー ト 調 査 に 基 づいて 調 べ , 明 らか にす る. ま た, こ のと き, 評 価 す る 際 の 印 象 項 目 と し て 従 来 か らの 「 視 認 性 」 や「 可 読 性 」 に 加 え, カラ ー イメ ージ で あ る「 破 壊 , 情 熱 的 ,自 然 ,平 和 ,冷 静 ,誠 実 ,爽 やかさ,涼 しさ,セクシー, 愛 , 好 奇 心 , 幸 福 」 [1][2][3] も 対 象 と す ることで , 様 々 な 印 象 どうしの関 係 も明 らかにする.

2. 関連 研 究

フォントに関 する研 究 [4][5]がいくつか ある.例 えば,李 ら [4]は,フォントの種 類 や 太 さによって 文 字 の 視 認 性 や可 読 性 がどう変 わるか調 査 し,明 らかにしている.また,木 村 ら[5] は,デザインの異 なる書 体 が印 刷 文 書 の印 象 (「読 みやすさ」 に加 え,「男 性 的 」や「女 性 的 」,「暖 か い」,「冷 たい」,「柔 らかい」といったデザインイメージを対 象 としている)に与 える 影 響 を調 査 し,明 らかにしている. 一 方 , 色 に 関 す る研 究 [6][7]もいくつかあ る. 例 えば, 槙 ら[6]は,フォントを変 えずに背 景 色 だけを変 え,読 みやすい 色 はどのような色 か といったことを調 査 し, 明 らかにしている. また,木 下 ら[7]は,有 彩 色 と無 彩 色 の組 み合 わせ方 によっ て生 じる グレア 効 果 が 色 の 境 界 の 見 やすさや 見 た 目 の 快 ・ 不 快 に どのような 影 響 を 与 え るのかを 調 査 し, 明 らかにし て いる. しかしながら,いずれの研 究 もフォントのみあるいは色 のみ を 対 象 と した 研 究 で あり, 色 とフォン トの 組 み 合 わせ 方 を 対 象 にした研 究 はほとんど見 当 たらない.飯 場 ら[8]が,テキス トを 入 力 す ると , そのテキス ト に 適 した フォント や 色 を 提 案 し てくれるシステム を提 案 しているが,本 研 究 のように色 とフォ ント の 組 み 合 わせ 方 が「 読 み やすさ」や「 見 や すさ」, そし て カラーイメージに及 ぼす影 響 を分 析 したものではなかった. な お , Wikipedia[9] に は , 「 グ レ ア ( glare , 眩 輝 , 眩 惑 ) と は,不 快 感 や物 の見 えづらさを生 じさせるような「まぶしさ」の こと」と記 されている.

3. 背景 色が視 認 性に及ぼす影響の調 査・分 析

本 研 究 で は , 背 景 色 と し て , 光 の 3 原 色 で あ る 赤 色 , 緑 色 , 青 色 に , 色 の 3 原 色 で あ るシア ン,マ ゼ ンタ , 黄 色 を 加 え た 計 6 色 を 採 用 す る. し か しな が ら, 原 色 を そ の ま ま 背 景 色 に し て は, 文 字 が 見 え づ ら く な る 可 能 性 が あ る. そ こで ま ず,3.1 節 では,各 原 色 の色 相 はそのままで,彩 度 と明 度 の みを変 え,それぞれの色 が文 字 の見 やすさにどのような影 響 を与 えるかを調 べるためのアンケート調 査 (調 査 1)を実 施 す る. 次 に,3.2節 で は,その 調 査 結 果 を 分 析 し,それぞれの 色 相 に お いて 最 も 見 やす い彩 度 と 明 度 の 組 み 合 わせ 方 を 明 らかにする. 3.1. アンケート調 査 1の実 施 まず,アンケート調 査 で用 いる刺 激 画 像 を作 成 する.すな わち, 背 景 色 と して 採 用 した 赤 色 , 緑 色 , 青 色 ,シアン , マ ゼ ンタ , 黄 色 の そ れ ぞ れ の 色 相 に お いて , 彩 度 と 明 度 を そ れぞれ3段 階 に分 け,全 部 で9種 類 の刺 激 画 像 を用 意 する. 具 体 的 には,原 色 の彩 度 (255)と明 度 (128)を基 準 にして,

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彩 度 は 60 ずつ小 さくし,明 度 は 42 ずつ大 きくした.原 色 の 彩 度 は 255 であり,これは取 りうる最 大 値 となっている.そこ で最 小 値 である 0 と 255 の範 囲 を4つに分 割 し,60 ずつ変 化 させることにした.一 方 ,原 色 の明 度 は 128 であり,ちょう ど中 間 値 となっている.そこで,その値 から最 大 値 である 255 (白 色 に相 当 )までの範 囲 を3つに分 割 し,42 ずつ変 化 させ ること に し た . 実 際 に 作 成 し ,ア ン ケ ー ト 調 査 で 使 用 し た 刺 激 画 像 を図 1に,各 セルにおける彩 度 と明 度 を表 1に示 す. なお,この刺 激 画 像 はマイクロソフト社 の Excel を用 いて作 成 した. 図 1 アンケート調 査 1 で用 いた刺 激 画 像 表 1 各 セルに設 定 した彩 度 と明 度 セル 彩 度 明 度 A 255 128 B 255 170 C 255 212 D 195 128 E 195 170 F 195 212 G 135 128 H 135 170 I 135 212 表 2 アンケート調 査 1における回 答 者 の性 別 ・年 齢 構 成 総 計 男 性 女 性 20 代 30 代 40 代 50 代 220 111 109 56 55 56 53 アンケート調 査 では,各 回 答 者 に対 し,シアン,マゼンタ, 黄 色 , 青 色 , 赤 色 , 緑 色 の 順 に それぞれの 刺 激 画 像 ( 図 1 参 照 )を提 示 し,各 セルに表 示 された記 号 (A~I)の中 で文 字 が 見 や す い も の を 見 や す い順 に 回 答 し て も ら っ た. 実 際 には,「一 番 見 やすい」,「二 番 目 に見 やすい」,「三 番 目 に 見 やすい」という選 択 肢 の中 から 1 つを選 んでもらった.また, 回 答 の際 の注 意 事 項 として同 じ記 号 を選 ばない旨 を記 載 し た. なお,アンケート調 査 に参 加 した回 答 者 は,20 代 から 50 代 の男 女 220 名 であり,その性 別 ・年 齢 構 成 は表 2のとおり である. 3.2. 調 査 結 果 のクリーニングと分 析 アンケート調 査 では,不 適 切 な回 答 が紛 れ込 む可 能 性 が あるた め, 何 らか のデータ クリ ーニング が 必 要 とな る.そこ で 本 論 文 では,注 意 事 項 として記 載 したにもかかわらず,同 じ 刺 激 画 像 に対 し同 じ記 号 (A~I)が選 ばれているデータをノ イズデータと考 え,除 去 することにした.その結 果 ,それぞれ の刺 激 画 像 において 10%近 いデータが除 去 された. 次 に ,デ ータ クリ ー ニン グ 後 のデ ータ に 対 し ,「 一 番 見 や すい」を 3 点 ,「二 番 目 に見 やすい」を 2 点 ,「三 番 目 に見 やすい」を 1 点 として,集 計 を行 った.その結 果 を表 3にまと める.なお,表 3中 の黄 色 いセルは,それぞれの色 において 最 も評 価 が高 かった値 を示 している. 表 3 アンケート調 査 結 果 1の集 計 結 果 表 3によれば,シアンと黄 色 はA,赤 色 と緑 色 はC,マゼン タと青 色 はFが最 も高 い評 価 となっており,マゼンタと赤 色 以 外 の 4 色 では二 番 目 に高 い評 価 を得 たセルとの差 が大 きい が,マゼンタはわずか 2 点 差 でCが続 いており,赤 色 も 3 点 差 でFが続 いている.そこで,男 女 別 ・年 齢 別 で得 点 傾 向 が 変 わるか調 べてみたところ,男 女 別 では 1 位 の結 果 は変 わ らなかったが,年 齢 別 では年 齢 によって若 干 ではあるが異 な る傾 向 が見 られた.すなわち,マゼンタに対 しては 20 代 ,40 代 ,50 代 がCを,30 代 がFを最 も高 く評 価 していた.一 方 , 赤 色 に対 しては,20 代 ,30 代 ,50 代 がCを,40 代 が F を最 も高 く評 価 していた.そこで,他 の色 に対 しても年 齢 によって 異 なる傾 向 が生 じていないかチェックしてみたところ,青 色 に 対 して,異 なる傾 向 が見 られた.すなわち,20 代 はCを,30 セル シアン マゼ ンタ 黄 色 青 色 赤 色 緑 色 A 357 126 371 32 100 250 B 269 129 257 60 89 202 C 219 323 229 352 361 275 D 50 63 48 21 29 52 E 82 79 67 47 61 57 F 168 325 192 404 358 247 G 24 22 13 11 13 19 H 16 19 24 41 31 25 I 81 216 95 328 266 174

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代 と 40 代 はFを,50 代 はIを最 も高 く評 価 していた.このC, F,Iは明 度 が 212 と共 通 であり,彩 度 のみが 255,195,135 と異 なっている.青 色 に対 しては,若 い人 ほど原 色 に近 い派 手 な 色 を 好 み, 年 を 取 るほ ど 地 味 な 色 を 好 む 傾 向 にあ るこ とがわかる.一 般 に年 齢 が上 がるにつれて 高 級 感 や知 性 を 感 じる色 が 好 まれる傾 向 に あ る[10]と言 われており ,その影 響 が出 たものと考 えられる.

4. 背 景 色 と フ ォン トの 組 み合 わ せ 方 が 視 認 性 ・ 可

読 性 ・カラーイメージに及 ぼす影 響 の調 査 ・分 析

3.2 節 において,それぞれの色 相 において最 も見 やすい 彩 度 と明 度 の組 み合 わせ方 を明 らかに した.すなわち,シア ン(色 相 127)と黄 色 (色 相 42)に対 しては,彩 度 255,明 度 128 の組 み合 わせが選 ばれ,マゼンタ(色 相 212)と青 色 (色 相 170)に対 しては,彩 度 195,明 度 212 の組 み合 わせが選 ばれた.赤 色 (色 相 0)と緑 色 (色 相 85)に対 しては,彩 度 255,明 度 212 の組 み合 わせが選 ばれた. そこで,4.1 節 では,背 景 色 を以 上 の組 み合 わせに限 定 し,フォントの種 類 や太 さを変 えて組 み合 わせることで ,読 み 手 の印 象 がどのように変 わるか調 べるためのアンケート調 査 を実 施 する.次 に,4.2 節 では,その調 査 結 果 を分 析 し,背 景 色 とフォントの種 類 および 太 さによって,文 字 の 見 やす さ や読 みやすさ,刺 激 画 像 のイ メージがどのように変 わるのか を分 析 する. 評 価 する際 の印 象 項 目 として従 来 からの「視 認 性 」や「可 読 性 」に加 え,カラーイメージ である「 破 壊 ,情 熱 的 ,自 然 , 平 和 ,冷 静 ,誠 実 ,爽 やかさ,涼 しさ,セクシー,愛 ,好 奇 心 , 幸 福 」 [1][2][3] も 対 象 と す る こ と で , 様 々 な 印 象 ど う し の 関 係 も明 らかにする. 図 2 アンケート調 査 2で用 いた刺 激 画 像 4.1. アンケート調 査 2の実 施 まず,アンケート調 査 で用 いる刺 激 画 像 を作 成 する.すな わち, 背 景 色 と し て 選 ば れ た それ ぞ れ の 色 ( 各 色 相 に お い て最 も評 価 が高 かった彩 度 と明 度 を持 つ色 ) において,フォ ント の 種 類 や 太 さ を 変 え, 刺 激 画 像 を 用 意 し た . 具 体 的 に は,使 用 するフォントとして日 本 人 になじみの深 い「MS 明 朝 体 」と「MS ゴシック体 」を採 用 し,それぞれのフォントにおいて 「太 字 」と太 字 でない文 字 (本 研 究 では「普 通 字 」と呼 ぶ)の 2 種 類 を用 意 した.一 方 ,画 像 内 に表 示 する文 字 としては, ひらがな,カタカナ,漢 字 からなる「パンダが誕 生 した」という 簡 易 な文 章 を作 成 した.以 上 の結 果 ,図 2に示 すように,全 部 で 24 個 の刺 激 画 像 を作 成 した.なお,この刺 激 画 像 は, アンケート調 査 1で用 いた刺 激 画 像 と同 様 ,マイクロソフト社 の Excel を用 いて作 成 した. 表 4 色 のイメージ 赤 色 シ ア ン 生 命 ,活 動 的 , 情 熱 的 ,衝 動 的 , 破 壊 ,暴 力 爽 やかさ,開 放 感 , 不 安 ,爽 快 感 ,冷 静 , 涼 しさ,優 柔 不 断 緑 色 マ ゼ ン タ 穏 やかさ,調 和 , 自 然 ,平 和 ,バランス, 協 調 気 配 り,個 性 的 ,過 激 , 感 性 豊 か,セクシー, 愛 ,価 値 青 色 黄 色 平 和 ,安 全 ,冷 静 , 誠 実 ,清 潔 ,若 い, 爽 やかさ 好 奇 心 ,向 上 心 , 知 識 ,幸 福 ,軽 快 , カジュアル 表 5 アンケート調 査 2における回 答 者 の性 別 ・年 齢 構 成 MS ゴシック体 ・普 通 字 合 計 男 性 女 性 20 代 30 代 40 代 50 代 132 65 67 33 35 32 32 MS 明 朝 体 ・普 通 字 合 計 男 性 女 性 20 代 30 代 40 代 50 代 123 62 61 35 34 34 20 MS ゴシック体 ・太 字 合 計 男 性 女 性 20 代 30 代 40 代 50 代 127 59 68 35 35 28 29 MS 明 朝 体 ・太 字 合 計 男 性 女 性 20 代 30 代 40 代 50 代 130 65 65 34 34 31 31 今 回 のアン ケート 調 査 では, 文 字 の 見 やすさと読 み やす さに 加 え , 画 像 の イ メ ー ジ も 評 価 し て も らう . そこで , それ ぞ れの原 色 がどのようなイメージを持 っているのか を各 種 文 献 [1][2][3]で調 べてみたところ,表 4に示 したような結 果 が得 ら れた. この 中 か ら, 評 価 が し やすい語 を 2 語 ずつ 選 択 し , 「破 壊 , 情 熱 的 , 自 然 , 平 和 ,冷 静 , 誠 実 , 爽 やかさ,涼 し さ,セクシー,愛 ,好 奇 心 ,幸 福 」の 12 語 を評 価 すべき印 象 項 目 として採 用 した.なお,この 12 語 のうち「爽 やかさ」と「冷 静 」は青 色 とシアンに共 通 なイメージとなっている. このア ンケ ー ト 調 査 は, フ ォン ト の 種 類 と 太 さの 組 み 合 わ せ方 を変 えて,計 4 回 実 施 した.なお,それぞれの回 におい パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した パンダが 誕生した

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て, 回 答 者 は 異 な って お り, アン ケ ート 調 査 1 も 含 め 重 複 し ているものはいない. 各 回 答 者 が評 価 するのは,種 類 と太 さは同 じフォントで, 色 のみが異 なる 6 個 の画 像 であり,それぞれの画 像 を順 に みながら文 字 の見 やすさと読 みやすさ,画 像 のイメージを回 答 してもらった.画 像 の提 示 順 は,アンケート調 査 1 のときと 同 様 ,シアン,マゼンタ,黄 色 ,青 色 ,赤 色 ,緑 色 の順 (図 2 参 照 ) で あり , 文 字 の 見 や す さ・ 読 み やすさ に つ いては, 見 やすい・読 みやすいを 5 点 ,見 にくい・読 みにくいを 1 点 と し,画 像 のイメージ関 しては, それぞれの印 象 項 目 をランダ ムな順 番 で提 示 するとともに,そのイメージを感 じるなら 5 点 , 全 く感 じないなら 1 点 とした. なお,アンケート調 査 に参 加 した回 答 者 は,20 代 から 50 代 の男 女 512 名 であり,各 回 における回 答 者 の性 別 ・年 齢 構 成 は表 5のとおりである. 4.2. 調 査 結 果 のクリーニングと分 析 アンケー ト 調 査 1のと きと 同 様 ,まず デ ータクリ ーニ ングを 行 った.今 回 は,全 評 価 項 目 14 個 (見 やすさ,読 みやすさ, 12 個 の印 象 項 目 )のうち 12 個 以 上 に対 して同 じ点 数 を入 力 した人 ,本 来 それほど差 が出 ないであろう見 やすさと読 み やすさに対 し,3 点 以 上 の差 をつけた人 ,全 評 価 項 目 14 個 のうち 11 個 以 上 に対 して 5 点 を入 力 した人 のデータをノイ ズデータとして 除 去 した.その結 果 ,それぞれの回 で, 20% 前 後 のデータが除 去 された. 次 に,デー タクリー ニング 後 のデータ に 対 し,それ ぞれの 評 価 項 目 に お いて 平 均 値 を 求 め た . 結 果 の 一 部 を 表 6 に 示 す. 表 6 文 字 の見 やすさ・読 みやすさに関 する平 均 値 見 やすさ 普 通 字 太 字 ゴシック 体 明 朝 体 ゴシック 体 明 朝 体 シアン 3.23 3.12 3.35 3.08 マゼンタ 3.44 3.30 3.51 3.38 黄 色 3.64 3.38 3.88 3.24 青 色 2.94 3.15 3.02 3.15 赤 色 3.64 3.30 3.31 3.27 緑 色 3.75 3.44 3.38 3.40 読 みやすさ 普 通 字 太 字 ゴシック 体 明 朝 体 ゴシック 体 明 朝 体 シアン 3.39 3.25 3.48 3.27 マゼンタ 3.47 3.43 3.50 3.54 黄 色 3.66 3.33 3.75 3.36 青 色 2.96 3.05 3.03 3.25 赤 色 3.65 3.39 3.31 3.33 緑 色 3.76 3.47 3.34 3.42 表 6において, 全 体 的 に評 価 が高 かったのは 黄 色 で,逆 に評 価 が 低 かった のは青 色 であることがわかる.また,背 景 色 とフォントの種 類 ・太 さの組 み合 わせの中 で,最 も 見 やす い・読 みやすいと評 価 されたのは「ゴシック体 ,太 字 ,黄 色 」 で,逆 に 最 も 評 価 が 低 かった のは 「 ゴシック体 , 普 通 字 , 青 色 」であった. 4.3. t検 定 による分 析 次 に,同 じ色 どうしであってもフォントの種 類 や太 さが異 な れば, 印 象 が異 なるのかどうかを調 べるために,それぞれの 組 み合 わせに対 し,マイクロソフト社 の Excel のデータ分 析 機 能 の一 つを用 いて t 検 定 を行 った(有 意 水 準 は 5%とし た).その結 果 ,見 やすさと読 みやすさに関 しては,シアンや マゼンタ,青 色 で統 計 的 に有 意 な差 があると判 定 されたもの が少 なく,黄 色 や赤 色 ,緑 色 で多 いという結 果 になった.特 に,黄 色 の「ゴシック体 ,太 字 」と「明 朝 体 ,太 字 / 普 通 字 」 の間 と緑 色 の「ゴシック体 ,太 字 」と 「ゴシック体 ,普 通 字 」の 間 では有 意 水 準 1%でも統 計 的 に有 意 な差 があると判 定 さ れた.一 方 ,色 のイメージに関 しては,赤 色 と緑 色 とシアンで のみ 統 計 的 に 有 意 な 差 が あ ると 判 定 さ れた . 赤 色 では 「 情 熱 的 」において「ゴシック体 ,普 通 字 」と「 明 朝 体 ,太 字 /普 通 字 」の間 でのみ有 意 差 があった(有 意 水 準 1%).緑 色 で は「自 然 」に関 し「ゴシック体 ,普 通 字 」と「明 朝 体 ,普 通 字 」 の間 で有 意 差 (有 意 水 準 1%)があり,「ゴシック体 ,太 字 」と 「明 朝 体 ,普 通 字 」の間 で有 意 差 (有 意 水 準 5%)があった. 「平 和 」に関 しては,「ゴシック体 ,普 通 字 」と「 明 朝 体 ,普 通 字 」の間 で有 意 差 (有 意 水 準 5%)があった.シアンでは「冷 静 」 に お いて「ゴシ ック 体 , 太 字 」 と「ゴシ ック 体 , 普 通 字 」 の 間 と 「 ゴ シ ッ ク 体 , 太 字 」 と 「 明 朝 体 , 太 字 」 の 間 で 有 意 差 (有 意 水 準 5%)があった. 4.4. 相 関 分 析 最 後 に,それぞれの 色 にお ける印 象 ど うしの 相 関 関 係 を 調 べるために,マイクロソフト社 の Excel に備 わっているデー タ分 析 機 能 の一 つを用 いて相 関 分 析 を行 った.その結 果 の 一 部 (黄 色 を例 に)を表 7に示 す. 相 関 分 析 の結 果 ,6 色 すべてにおいて「破 壊 」と「見 やす さ/読 みやすさ」 の相 関 係 数 がマイナスの値 になっている こ と が わ か っ た が , そ の 絶 対 値 は 最 も 大 き い も の で も -0.135 (シアンのとき)であった.「見 やすさ」と「読 みやすさ」の相 関 係 数 は,いずれの色 においても高 かったが,特 に 黄 色 の 相 関 係 数 が 最 も 高 か っ た ( 表 7 参 照 ) . ま た, そ れ ぞれ の 色 に 対 し,2 つ以 上 のイメージ語 を用 意 したが,イメージ語 どうし の相 関 係 数 が 0.5 以 上 であったのは,シアンの「涼 しさ」と 「冷 静 」(0.502),黄 色 の「好 奇 心 」と「幸 福 」( 0.521),緑 色 の「自 然 」と「平 和 」(0.639)とわずかであった.

5. まとめ

今 回 使 用 した 6 色 では文 字 色 を黒 と限 定 したことにより, 視 認 性 と可 読 性 を重 視 すると原 色 から離 れた彩 度 と明 度 の

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色 が良 い評 価 になり,本 来 の原 色 そのものがもつイメージか ら離 れてしまった.そのため,フォントの種 類 と太 さの各 組 み 合 わせにおける平 均 値 は,3.0 を超 えるものもあったが,多 く は 2.0~3.0 の範 囲 であった.また,「見 やすさ」と「読 みやす さ」に 関 し て は, そ の 平 均 値 を 表 6 に 示 し た が, 「 見 や すさ 」 における最 大 値 は「ゴシック体 ,太 字 ,黄 色 」の 3.88,「読 み やすさ」に関 しては,「ゴシック体 ,普 通 字 ,緑 色 」の 3.76 と なっており,いずれも 4 点 未 満 であった.このことから,色 だ けで見 やすさと読 みやすさの関 係 を調 べることよりもフォント やフォントの太 さを予 め考 慮 した段 階 で調 査 する必 要 がある. また今 回 は 6 色 全 てにおいて彩 度 と明 度 を変 えたバランス を統 一 したが色 によっては変 化 が感 じられないなどもあった ため,この 2 つのバランスが重 要 になってくる.また全 体 的 に 明 朝 体 の 太 さ な し と あ り を 比 較 し た 際 で 有 意 差 が 起 こ る 割 合 は低 く,色 ごとで 割 合 は変 わるが異 なるフォントどうしを比 較 した際 に有 意 差 が起 こることがわかった.このことからフ ォ ントが 異 な ると 誤 差 が 生 じ る 割 合 が 高 く なり, 見 る人 へ の 影 響 も大 きく変 わることが明 らかになった. 今 後 の 課 題 と し て, 今 回 の ア ンケ ー ト 調 査 に 使 用 し た 刺 激 画 像 は色 が 6 色 ,フォントの種 類 が 2 種 類 ,フォントの太 さが 2 種 類 と少 なく,また複 数 の色 による配 色 を考 慮 してい なかった 点 が 挙 げら れる. 色 の 数 を 増 や した り, あるいは 配 色 を 考 慮 したり,フォントの種 類 や太 さを 変 えたりすることで, さらに興 味 深 い結 果 が得 られるものと考 えられる.今 後 の課 題 としたい.一 方 ,色 のイメージを表 す語 も 1 色 につき 2~3 語 と 少 な か った と いう 問 題 も あ る. より 多 く の イメ ージ 語 を 採 用 することで,色 についての理 解 がもっと深 まるものと考 えら れ る. 今 後 の 課 題 と し た い. また , 今 回 の ア ン ケー ト 調 査 で はフォントの色 を黒 に統 一 し た.フォントの色 が変 わると, 文 字 の「 見 やすさ」や「読 みや すさ」は当 然 のことな がら,刺 激 画 像 に対 するイメージも変 わる可 能 性 がある.今 後 検 討 して いきたい.さらに,回 答 者 を年 齢 や性 別 で分 け,年 齢 別 ・男 女 別 でどう いった 違 いがあ るのかといった 点 も 調 べていきた い.今 後 の課 題 とする.

謝 辞

本 研 究 の一 部 は,福 田 将 治 奨 学 寄 附 金 により実 施 された. ここに記 し,感 謝 の意 を表 する.

参 考 文 献

[1] 1 2 色 の 意 味 と 心 理 に 与 え る イ メ ー ジ ま と め ! 配 色 の コ ツ も 教 え ま す | Handy Web Design, http://handywebdesign.net/2012/07/12colors -give-you-the-impression/,( 2018 年 1 月 10 日 確 認 ) [2] 赤 紫 色 ( マ ゼ ン タ ) | カ ラ ー セ ラ ピ ー .com , https://www.aftschool.com/irojitenn/ 赤 紫 色 %EF%BC%88 マ ゼ ン タ %EF%BC%89/,( 2018 年 1 月 10 日 確 認 ) [3] 3 日 で わ か る ! デ ザ イ ン 学 校 解 体 新 書 , http://design-school.jp.net/color/cyan/ , ( 2018 年 1 月 10 日 確 認 ) [4] 李 志 炯 ,崔 庭 瑞 ,小 山 慎 一 ,日 比 野 治 雄 ,文 字 の 太 さ に よ る 印 象 の 変 化 ,日 本 デ ザ イ ン 学 会 デ ザ イ ン 学 研 究 , Vol.63, No.5, 2017. [5] 木 村 昌 司 , 田 口 友 康 , 印 刷 文 書 に お け る 仮 名 書 体 の 印 象 ,情 報 処 理 学 会 論 文 誌 ,Vol.38,No.11, pp. 2209-2216, 1997. [6] 槙 究 ,田 中 奈 苗 ,留 目 真 由 香 ,読 み や す さ と 配 色 の 良 さ の 両 立 - 文 字 色 と 背 景 色 の 組 み 合 わ せ の 評 価 - ,日 本 色 彩 学 会 誌 ,vol. 29,No.1,2005. [7] 木 下 武 志 ,河 南 翔 太 ,三 浦 ま ゆ ,長 田 和 美 ,西 本 奈 央 , 有 彩 色 と 無 彩 色 の 配 色 に お け る グ レ ア 効 果 - 色 相 と 明 度 の 差 の 影 響 に つ い て - , 日 本 デ ザ イ ン 学 会 第 63 回 研 究 発 表 大 会 , pp.428-429, 2016. [8] 飯 場 咲 紀 ,宮 林 卓 郎 ,坂 本 真 樹 ,テ キ ス ト の イ メ ー ジ に 適 し た 色 彩 ・ 感 性 情 報 ・ フ ォ ン ト の 提 案 シ ス テ ム ,情 報 処 理 学 会 研 究 報 告 ,Vol.2012-EC, No.14, 2012. [9] Wikipedia 「 グ レ ア 」, https://ja.wikipedia. org/wiki/グ レ ア ( 2018 年 1 月 11 日 確 認 ). [10] プ ロ が 教 え る コ ン テ ン ツ 制 作 ガ イ ド | パ ン フ レ ッ ト 制 作 ウ ラ ラ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ URALA TOOL NAVI , https://urala-design.jp/ editors-note/デ ザ イ ン・色 の 好 み は 年 齢 で 変 わ る /,( 2018 年 1 月 10 日 確 認 ) 見やすさ 読みやすさ 破壊 情熱的 セクシー 愛 好奇心 幸福 自然 平和 爽やかさ 涼しさ 冷静 誠実 見やすさ 1.00 読みやすさ 0.86 1.00 破壊 -0.06 -0.03 1.00 情熱的 0.15 0.17 0.33 1.00 セクシー 0.02 -0.02 0.49 0.42 1.00 愛 0.15 0.14 0.21 0.52 0.44 1.00 好奇心 0.27 0.28 0.20 0.52 0.23 0.44 1.00 幸福 0.24 0.25 0.06 0.48 0.27 0.58 0.52 1.00 自然 0.20 0.16 0.19 0.40 0.45 0.59 0.36 0.50 1.00 平和 0.30 0.27 0.09 0.40 0.34 0.58 0.48 0.61 0.60 1.00 爽やかさ 0.17 0.14 0.23 0.39 0.51 0.52 0.34 0.46 0.53 0.54 1.00 涼しさ 0.10 0.07 0.34 0.36 0.58 0.44 0.24 0.26 0.50 0.36 0.54 1.00 冷静 0.14 0.12 0.27 0.36 0.54 0.48 0.24 0.32 0.59 0.45 0.55 0.58 1.00 誠実 0.25 0.26 0.19 0.52 0.36 0.61 0.38 0.55 0.58 0.61 0.52 0.46 0.49 1.00 表7 相関分析の結果(黄色の場合)

参照

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