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小児の除脂肪量指数と体脂肪量指数に関する研究 [ PDF

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(1)小児の除脂肪量指数と体脂肪量指数に関する研究 キーワード: 小児,身体組成,除脂肪量指数,体脂肪量指数 所属 行動システム専攻健康科学コース 中尾 武平 1. 緒 言. 異なることがあるため方法論上に限界がある.また,成人の. 近年,先進諸国ばかりではなく多くの国々では,科学技術. ボディサイズの変化は体重のみで説明できるが,小児のボ. の急速な進歩や社会経済の高度発展によって,人々を取り. ディサイズやプロポーションは大きく変化するため,単に身. まく環境の利便性が高まり益々省力化の傾向を強めている.. 体組成を体重の相対値で表す体脂肪率(%FM)や除脂肪. 一方,これらの傾向を誘因とした肥満に関連する糖代謝異. 率(%FFM)のような指標でも正確には表現できない.これら. 常や脂質代謝異常などが多発し,大きな健康問題ともなっ. の問題点を解決するために,小児の身体組成の評価では表. ている.2000 年の世界肥満人口は,慢性的な空腹や栄養障. 現法にも工夫が必要である.. 害などに苦しむ飢餓人口に匹敵する11 億人に達したと言わ. 最近,BMIや%FMに関する様々な問題点を解決するため. れている.わが国では,ここ 20 年間における成人肥満者の. に,身長の異なる被験者のFFM や FM に関する臨床学的な. 出現推移が,男性ではやや上昇傾向にあるものの,女性で. 解釈に有効な除脂肪量指数( FFMI)と体脂肪量指数( FMI). は横ばいあるいは低下傾向を示している.近年,生活習慣. という概念が提案されている2).FFMI および FMI という指数. 病の低年齢化に関連する小児の肥満研究は,医療の面ば. は,ボディサイズで調整した身体組成を評価することができ. かりでなく,健康科学から遺伝子レベルの研究まで幅広く行. るため,発育期にある小児の身体組成評価にとって最適で. われている.一方,社会環境の多様化,ストレスフルな環境. あり,特に栄養学的な要因による肥満や痩せの評価には有. は,小児の痩せという健康問題も引き起こしている.. 効な指標となり得るものと考える.. 日本人小児における平均身長や平均体重などからみたボ. 本研究は,小児の身体組成評価に関する上述の社会的背. ディサイズは年々大きくなる傾向にある.しかし,小児をとり. 景と評価上の問題点を考慮して以下の課題について検討し. まく生活環境( 遊び時間・空間・仲間・ 方法)の変化は,小児. た.. の身体組成にも重大な影響を与えている.このことは特に,. 課 題1. 食生活の欧米化など,豊富な食物による摂取エネルギーの. 日本人小児( 3-11 歳) の FFMI とFMI の標準値を作成し,. 増加と都市型生活の普及やオートメーション化による身体活. これらの標準値に基づいて日本人標準小児を選別し,それ. 動量の低下による消費エネルギーの減少とがインバランスと. らの身体組成を明らかにする.. なり,余剰エネルギーが体内に脂肪として過剰に蓄積した結 果である肥満の問題が深刻である.これらの社会的状況は,. 課 題2 %FM による痩せと肥満の判別に対して FMI-%ile のカット. 今後も続くものと考えられるため,小児の身体組成に関する. オフ・ポイントによる判別がどの程度の判別能力を示すのか. 詳しい情報を得ることは非常に重要であり,小児に限定され. 感度と特異度で検討する.また,これらの判別基準で痩せ傾. ず,小児肥満から成人肥満への連続性を考えると成人の健. 向・ 肥満に判別された集団の身体組成も明らかにし,小児を. 1). 康を考える上でも非常に重要である . 現在,肥満や痩せの判断基準としてボディマス・ インデック. 対象とした痩せ傾向・ 肥満傾向を判別するためのノモグラム を作成する.. ス( BMI) が多く用いられている.BMI の判別基準による肥満 は,高血圧や糖尿病といった疾病リスクと高い相関があると. 2.方 法. されている.しかし,BMI は身長と体重といった測定値のみ. 被験者. で構成されているため,単にボディサイズの大小を評価して. 福岡身体組成研究に参加した福岡市内と延岡市内の 4. いるに過ぎず,身体組成を反映した健康状態や栄養状態を. 幼稚園,太宰府市の 1 小学校に在籍している3 歳から11 歳. 評価しているものではない.BMI は発育期にある小児の身. までの健康な男子小児と女子小児である.測定は,1998 年. 体組成を正確に評価する場合においても重大な欠点をもっ. から2003 年までの 6 年間で毎年 10 月に実施した.被験者. ている.つまり,小児の身体組成は,評価が容易でないこと. 数は,男子 3 歳 38 名,4 歳 86 名,5 歳 109 名,6 歳 91 名,7. に加えて,身体組成測定の基本となる特定原理が成人とは. 歳 35 名,8 歳 61 名,9 歳 87 名,10 歳 62 名,11 歳 30 名の.

(2) 合計 599 名,また女子は,3 歳 32 名,4 歳 93 名,5 歳 128 名,. FFM の水和式(=76.9-0.25*年齢)を加えて開発されたもので. 6 歳 91 名,7 歳 59 名,8 歳 72 名,9 歳 124 名,10 歳 92 名,. ある.この式の妥当性は,H218O 希釈法によって確認されて. 11 歳 56 名の合計 747 名である.測定は,小児の在籍する各. いる4).. 幼稚園と小学校で実施した.測定前に各被験者の保護者に 対して各所属機関の先生に詳細な研究目的と測定内容の 説明を依頼し,その結果,保護者から同意の得られた小児. FFM(kg)=【 (身長 2/インピーダンスの抵抗値)*0.59+(体重 *0.065)+0.04】 /【 0.769-(0.0025*年齢)-(0.019*性)】 (1) ここで FFM は kg,身長は cm,体重は kg,性は男子=1, 女子=0 である.. を被験者とした.. 人体計測. 3) 皮下脂肪量( Subcutaneous fat mass: SF) の算出. 被験者に各幼稚園と小学校指定のランニングシャツのみ. SF は,Skerjl ら7)とDavies ら8)によって開発された式に,14. を着用させ,一般的な方法によって実施した.身長は 0.1cm. 部位の皮下脂肪厚の平均値を 2 で除し,皮膚重量を加えて. 単位,体重は 0.02kg 単位( エー・ アンド・ ディ社製 AD-6205) ,. 2) によって算出した. 修正した Komiya ら3)の式(. 胸囲,腰囲 (最上寛上囲),腹囲,臀囲,上腕囲,前腕囲, 大腿囲,下腿囲,はスチール製メジャーを用いて0.1cm単位 2. 2. SF = 14 部位の皮下脂肪厚の平均値(cm) / 2 *体表面積 *0.9 -皮膚重量 (2). kg/m ) から算出した.皮 で測定した.BMI は,体重/身長 (. ここで SF の単位は g であり,体表面積(cm2)は藤本ら 9)の. 下脂肪厚の測定は,キャリパーの接点に 10g/mm2 の一定圧. 推定式から,皮膚重量(g)は Satake と Ozaki10)の推定式から. がかかるようにキャリブレーションされたHarpenden 皮下脂肪. 算出し,脂肪比重は 0.900g/cm3 とした.SF 推定式の精度は,. 厚計を用いて,0.2mm 単位で身体 14 部位( 頬骨下縁,舌骨. CT( Computed Tomography) を用いた小宮ら11)によって確認. 部,胸部,側胸部,腰部,腹部,上腕背側部,肩甲骨下部,. されている.. 背中上部,背中下部,膝蓋部,前大腿部,後大腿部,下腿 3). 部) を Komiya ら の方法で測定した.これら全ての測定は, 各年とも熟練した同一験者が,朝食の 2-3 時間後に実施し. 4) 総体脂肪量(FM)と体内深部脂肪量( Internal fat mass: IF) の算出 FM(kg)は体重と FFM の差( FM=体重-FFM)とし,IF(kg) は FM とSF の差( IF=FM-SF) として算出した.. た.. 身体組成測定. 5) 除脂肪量指数と体脂肪量指数の算出. 1) インピーダンスの測定. FFMI とFMI は,BMI と同様の概念であるため以下の式か. 身 体 組 成 の測 定 は ,インピー ダンス法 (Bioelectrical. ら算出した.. Impedance Analysis: BIA) によって実施した.インピーダンス. FFMI = FFM (kg) / 身長 2 (m2). の測定は,10Vp-p,50kHz,500 μA の定電流を発するよう. FMI = FM (kg) / 身長 2 (m2). に設計されているトーヨーフィジカル社製 TP-95Kを用い,朝. 標準値の決定. 食の 2-3 時間後に行った.インピーダンス(Ω)は,通電しな. FFMI と FMI は,男女別に各パーセンタイル値を求め,. いベッド上に上肢を体幹から離し,素足で両足首の内果を. 25%ile 以下を低群,25-75%ile 群を標準群,75%ile 以上を. 20cm 以上離した状態で仰臥した被験者の右手背と右足背. 高群とした.次に,FFMI とFMI のそれぞれについて 25%ile. の第 1・ 第 2 の中手骨及び中足骨間の 2 カ所に検出電極を. 値と75%ile 値の範囲内にある小児の各平均値を標準値とし. 貼付し,室温 23±1℃で測定した.本測定器は,測定前に. た.従って,日本人標準小児とは,FFMI と FMI が共に. 400 Ωの標準抵抗によってキャリブレーションされた.電極部. 25-75%ile の範囲内にある小児である.. 分の抵抗値をできるだけ小さくするために,電極は貼付部位. 痩せ傾向小児と肥満小児の判別基準. を 76.9-81.4%のアルコールで拭き,自然乾燥させた後貼付. %FM による痩せ傾向の判別基準は男子<15%,女子. TM. した.電極は 3M 社の Red Dot -2330 を使用し,検出電極と. <20%で,肥満の判別基準は男子>25%,女子>30%とした.. 印加電極の距離は少なくとも5cm 以上離した.. BMI-%ile,FMI-%ile による痩せ傾向の判別は,男女共に. 2) 除脂肪量( FFM) の算出. BMI<25%ile,肥満の判別は男女ともBMI>90%ile とした.. FFM は,本測定器と同様に,50kHz,500μA の定電流の 4). 統計. 測定器を用いて作成されたGoran ら の推定式(1)より算出し. 結果は,全て Microsoft Excel vol.X for mac 及び統計分. た.この推定式は,体水分量( Total body water:TBW)を単. 析プログラム Statview version J 4.5 を用いて処理した.その. 2. 独で予測する因子とされている身長 /インピーダンスを基に 5). Kushuner ら 2. が 開 発 した 総 体 水 分 量 推 定 式 6). に,Fomon ら が開発した ( TBW=0.59ht /R+0.065wt+0.04). 結果は,平均値と標準偏差で示した.各項目における年齢 変化の有意性検定には Fisher の PLSD による分散分析 (ANOVA)を用いた.また,性差の有意差検定には Student の.

(3) 対応のない t 検定を用いた.有意水準はいずれも 5%未満. 表2 . FFMI ・ FMI が共に 25-75%ile に属する標準小児 (referece children)     の FFMI と FMI の平均値と標準偏差 Boys FFMI FMI n n Mean ± S.D Mean ± S.D 3yr 13 12.9 ± 0.6 3.1 ± 0.4 12. ( p<0.05) とした. 3.結 果 と 考 察. 2.8 ± 0.3 2.7 ± 0.4 2.6 ± 0.3. 27. 30. 12.6 ± 0.6 12.6 ± 0.6 12.7 ± 0.9. 10. 13.2 ± 0.7. 3.0 ± 0.3. 8yr. 20. 9yr. 25. 3.3 ± 0.7 3.6 ± 0.7 3.6 ± 0.7 4.0 ± 0.6. 4yr. 27. 5yr. 37. 第一の課題は,日本人小児の FFMI とFMI の標準値を作. 6yr. 成した.本研究では,性別・ 年齢別に FFMI とFMI のパーセ. 7yr. 課 題1. 10yr. 19. 13.0 ± 0.7 13.1 ± 0.8 13.7 ± 0.7. ある小児の平均値をFFMI とFMI の日本人標準値とした.そ. 11yr. 9. 14.8 ± 1.2. の 結 果 ,FFMI の 3-11 歳 まで の 標 準 値 は ,男 子 が. 課 題2. ンタイル値を求め,それぞれの 25%ile と75%ile の範囲内に. 2. 2. 12.6-14.8kg/m ,女子が 11.5-13.6kg/m の範囲にあった.一 2. 方,FMI の標準値の範囲は,男子 2.6-4.0kg/m ,女子が 2. Girls FFMI FMI Mean ± S.D Mean ± S.D 12.2 ± 0.9 3.5 ± 0.4. 28. 12.2 ± 1.0 11.8 ± 0.8 11.5 ± 1.1. 3.3 ± 0.4 3.1 ± 0.4 3.2 ± 0.4. 21. 11.8 ± 1.0. 3.4 ± 0.4. 21 31. 12.2 ± 1.0 12.4 ± 1.0 12.6 ± 1.1. 3.6 ± 0.5 3.8 ± 0.6 3.8 ± 0.4. 16. 13.6 ± 1.0. 4.4 ± 0.7. 46. 44. 第二の課題は,インピーダンス法により算出した%FM によ る肥 満 ・痩 せ 傾 向 の 判 別 に 対 す る BMI-%ile または. 3.1-4.4kg/m であった.これらの標準値と比較することによっ. FMI-%ile の検出能力を検討した.%FM を用いた痩せ傾向. て,個々の小児の栄養状態が評価でき,身体組成の臨床学. のカットオフ・ポイントは,男子%FM<15,女子%FM<20,肥. 的な解釈に有効な情報を提供する.また,年齢別標準値の. 満のカットオフ・ ポイントを男子%FM>25,女子%FM>30 とし. 性差をみると,FFMIの平均値は全年齢で男子が高値を示し,. た.一方,BMI とFMI は,男女とも25%ile を痩せ傾向のカッ. 統計的に有意な性差が認められた.一方,FMI の平均値は. トオフ・ポイント,90%ile を肥満のカットオフ・ポイントとし. 全年齢で女子が高値を示し,有意な性差が認められた.こ. て,%FM 基準の判別に対するBMI-%ile とFMI-%ile による. のことは,FFM の絶対量が男子に多く,FM の絶対量が女子. 判別基準の感度と特異度を検討している.. に多いという一般的な傾向がボディサイズを調整してもいえ ることが示唆された. 表 1. 性別・年齢別にみた BMI, 除脂肪量指数 (FFMI) , 体脂肪量指数 (FMI) の平均値 Boys n BMI, kg/m 2 FFMI, kg/m FMI, kg/m 2 Girls n BMI, kg/m 2 FFMI, kg/m FMI, kg/m 2. 3yr. 4yr. 5yr. 6yr. 7yr. 8yr. 9yr. 10yr. 11yr. Mean ± S.D. Mean ± S.D. Mean ± S.D. Mean ± S.D. Mean ± S.D. Mean ± S.D. Mean ± S.D. Mean ± S.D. Mean ± S.D. 38 86 109 91 35 61 87 62 30 15.8 ± 1.3 15.7 ± 1.3 15.5 ± 1.5 15.6 ± 1.5 16.1 ± 1.6 16.9 ± 2.3 17.2 ± 2.3 17.6 ± 2.4 18.4 ± 2.9 2. 2. ANOVA. 12.6 ± 1.1 12.8 ± 1.0 12.6 ± 1.0 12.7 ± 1.1 13.2 ± 1.3 13.3 ± 1.1 13.1 ± 1.2 13.7 ± 1.5 14.4 ± 1.7 3.2 ± 1.0 3.0 ± 1.0 2.9 ± 1.0 2.8 ± 0.9 3.1 ± 1.0 3.7 ± 1.6 4.0 ± 1.7 3.9 ± 1.6 4.0 ± 1.9. 599 p<0.0001 p<0.0001 p<0.0001. 32 93 128 91 59 72 124 92 56 15.7 ± 1.1 15.5 ± 1.3 15.1 ± 1.2 15.2 ± 1.7 15.7 ± 1.8 16.5 ± 2.6 16.8 ± 2.4 17.2 ± 2.6 18.2 ± 2.2 12.0 ± 1.0 12.2 ± 0.9 11.9 ± 0.9 11.8 ± 1.1 12.0 ± 1.1 12.4 ± 1.1 12.6 ± 1.2 13.0 ± 1.4 13.7 ± 1.2 3.7 ± 1.1 3.3 ± 1.0 3.2 ± 1.0 3.4 ± 1.2 3.6 ± 1.2 4.1 ± 1.9 4.2 ± 1.7 4.2 ± 1.8 4.5 ± 1.5. 747 p<0.0001 p<0.0001 p<0.0001. 本研究では,FFMI とFMI が共に 25%ile から75%ile の範 囲内にある小児を日本人標準小児と判定した.その結果, 3-11 歳の標準小児の FFMI と FMI は,男子の FFMI が 12.5-14.8kg/m2,FMI が 2.6-4.0kg/m2 の範囲にあり,女性は それぞれ,11.6-13.7kg/m2 と3.1-4.4kg/m2 の範囲にあった.こ れらの値を標準成人のデータと比較すると,FFM の加齢変 化はボディサイズを調整してもかなり大きく,FM の加齢変化 はボディサイズを調整すると小さいことが示唆された.3-11. 歳までの日本人小児を対象とした FFMI とFMI に関する 標準値は,現在まで検討されていない.以上のように, FFMI や FMI に関する日本人小児の標準値を明らかにした ことによって,小児の栄養状態が評価でき,臨床学的な解. 釈に有効な情報を提供できるであろうと考えられる.. 3-11 歳の日本人小児を対象にして,%FM の肥満判別に 表 3. %FM による痩せ傾向と肥満の判別に対する FMI-%ile の感度と特異度 Lean Obese Sensitivity(%) Specificity(%) Sensitivity(%) Specificity(%) Boys 3yr 90 100 50 100 4yr 70 97 70 99 5yr 71 96 71 100 6yr 69 100 80 99 7yr 100 93 100 97 8yr 100 90 42 98 9yr 92 87 29 100 10yr 100 89 26 100 11yr 100 100 33 100 Girls 3yr 70 100 60 100 4yr 54 100 100 97 5yr 55 100 100 95 6yr 65 100 86 98 7yr 71 100 100 96 8yr 77 98 47 100 9yr 76 96 57 100 10yr 88 97 53 100 11yr 73 95 56 98. 対する BMI-%ile の肥満判別能力を検討した結果,男子の 感度は 25-67%,女子が 22-75%の範囲にあり,BMI-%ile の 肥満判別能力は,それほど優れたものでないことが示唆さ れた.同様に,痩せの判別能力に関する BMI の感度も,男 子が 21-58%,女子が 26-60%であり,さらに低い感度を示し た.%FM の判別に対する FMI-%ile による肥満判別の感度 は,男 子 が 26-100% ,女 子 が 47-100% の範 囲 にあり, FMI-%ile による痩せの判別能力は,男子の感度が 69-100%, 女子が 54-88%とBMI-%ile の感度より高い範囲を示した.ま た,FMI はボディサイズで体脂肪組織量を調整した指数で あり,肥満や痩せ傾向の判別ではボディサイズで体重を調 整した BMI よりも優れているはずである.しかし,肥満の判 別では,3 歳から7 歳までは FMI が BMI より高い感度を示 すものの,8 歳以降の感度は BMI もFMI もほとんど同じ結果.

(4) となった.. 3)Komiya S, Muraoka Y, Zhang F-S, Masuda T: Age-related. 本研究では,FFMI と FMI の標準値に基づいて日本人標. changes in body fat distribution in middle-aged and. 準小児を判別し,さらに,痩せ傾向と肥満に判別された小児. elderly Japanese. J Anthrop Soc Nippon 100, 161-169,. 集団の身体組成も明らかにした.一方,日本人小児を対象. 1992.. とした痩せ傾向・ 肥満傾向を視覚的に判別するためのノモグ. 4)Goran MI, Kaskoun MC, Carpenter WH, Poehlman ET,. ラムを作成した.そこで,FFMI とFMI を組み合わせた4 つの. Ravussin. 典型; 1) 特異的な肥満タイプである低 FFMI と高 FMI 群,2). composition of young children by using bioelectrical. 慢性的なエネルギー不足タイプである低 FFMI と低 FMI 群,. resistance. J Appl Physiol 75, 1776-1780, 1993.. E,. Fontvieikke. A-M:. Estimating. body. 3) 筋肥大-過体重タイプである高 FFMI と低 FMI 群,4) 力士. 5)Kushner RF, Schoeller DA, Fjeld CR, Danford L: Is the. のような肥満タイプである高 FFMI と高 FMI 群の他に 12 の. impedance index(ht2/R) significant in predicting total. 特徴ある身体組成タイプ群に分類し,小児の正確な身体組. body water? Am I Clin Nutr 56, 835-839, 1992.. 成スクリーニングを可能としている. 25%ile. 10.5 10.0. FAT MASS INDEX. 9.5 9.0 8.5. 75%ile. 6)Fomon SJ, Haschke F, Ziegler EE, Nelson SE: Body 90%ile. composition of reference children from birth to age 10 years. Am I Clin Nutr 35, 1169-1175, 1982.. 超高FM低FFM型. 8.0 7.5 7.0. 超高FM正常FFM型. 超高FM高FFM型. 肥満. 7)Skerji B, Brozek J, Hunt EE: Subcutaneous fat and age change in body build and body form in women. Am J. 6.5 6.0 5.5 5.0 4.5 4.0. 高FM-低FFM型. 高FM正常FFM型. 過体重. 高FM超高FFM型. 正常. 正常FM高FFM型. 正常FM超高FFM型. 低FM正常FFM型. 低FM高FFM型. 低FM超高FFM型. 90%ile. 75%ile. 正常FM低FFM型. 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0. 痩せ 9.5. 25%ile. 10.0 10.5 11.0 11.5 12.0 12.5 13.0 13.5 14.0 14.5 15.0 15.5 16.0 16.5 17.0 17.5 18.0. FAT-FREE MASS INDEX 図1. FMIとFFMIによる小児の痩せ傾向児・肥満児の判別ノモグラム(男子).. Phys Anthropol 11, 577-580, 1953. 8)Davies PSW, Jones PRM, Norgan NG: The distribution of subcutaneous and internal fat in man. Ann Hum Biol 13, 189-192, 1986. 9)藤本薫喜,渡辺 孟,坂本 淳,湯川幸一,森本和枝:日 本人の体表面積に関する研究 第 18編 三期まとめた算 出式.日衛誌 23,443-450,1968.. ボディサイズで身体の構成成分を調整した FMI や FFMI. 10)Satake T, Ozaki T: Skin and subcutaneous adipose tissue. は,特に小児に関する身体組成学,疫学,栄養学,体力科. weights in older Japanese determined by cadaver. 学,保健学などといった多くの研究分野において有効な指. dissection. Am J Hum Biol 9, 371-376, 1991.. 数となるであろう.従って,本研究で開発した FFMI・FMI ノ モグラムは,小児期における健康リスクとの関係やその後の 生活習慣病との関係などを明らかにするうえで有効な情報 を提供するものと考えられる.今後は FMI が痩せの判別に 特に有効な指標であるのか,また,もう一つの FFMI を用い た評価法が栄養学や体力科学の分野でどのような評価に有 効であるのかを研究する必要がある.しかし,これらの指数 は,原理的に身長と無相関でなければならないため,FFMI や FMI という指数はある年齢に限定して用いられるべきかも しれない. 《 参考文献》 1)Sokol RJ: The chronic disease of childfood obesity; the sleeping giant has awakened. J Pediatr, 136, 711-713, 2000. 2)Nakao T, Komiya S: Reference Norms for a Fat-free Mass Index and Fat Mass index in the Japanese child population. J Physiol Anthropol Appl Human Sci, 22(6), 293-298, 2003.. 11)小宮秀一,藤野武彦:日本人高年齢者の体脂肪分布, 日本生理人類誌 92,295-302,1984..

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表 1.  性別・年齢別にみた BMI,  除脂肪量指数  (FFMI) ,  体脂肪量指数  (FMI)  の平均値

参照

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