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幌延地域の新第三紀~第四紀堆積岩の水理特性

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Academic year: 2022

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キーワード 水理特性,原位置水理試験,室内透水試験,深度依存性,割れ目帯

連絡先

098-3207

北海道天塩郡幌延町宮園町

1-8

幌延深地層研究センター

TEL01632-5-2022

幌延地域の新第三紀~第四紀堆積岩の水理特性

核燃料サイクル開発機構 正会員 ○操上 広志 核燃料サイクル開発機構 正会員 竹内 竜史 核燃料サイクル開発機構 正会員 瀬尾 昭治

1.はじめに

核燃料サイクル開発機構が進めている幌延深地層研究計画 では,幌延の新第三紀~第四紀堆積岩の水理特性の理解のため に,複数のボーリング孔を利用したフローメータ検層や水理試 験等を実施してきている.幌延の堆積岩は地質的に均質であり,

当初,水理的特性も比較的ばらつきの小さい多孔質媒体であろ うと考えられていたが,一連の水理試験から,10-11から 10-5m/s オーダーと大きく値に幅を持つ透水係数が得られた.本報告は,透 水係数の値の幅を透水係数と深度の関係および堆積岩中の割れ目帯 の関係から検討するものである.

2.調査の概要

表-1に調査地域における新第三紀堆積岩の主な層序1)を示す.

ボーリング調査は,主な研究対象地域である研究所設置地区およ びその周辺に,平成 15 年度までに 8 箇所で実施している(HDB-1~8 孔,うち HDB-2 孔は研究所設置地区の南南東約 6km)(図-1).研究所 設置地区周辺では,ほぼ南西に傾斜した地質構造となっており,地 層 お よ び そ の 深 度 は 孔 に よ っ て そ れ ぞ れ 異 な っ て い る . HDB-1,3,4,5,6,8 孔では声問層・稚内層が見られ,HDB-7 孔では主に 声問層より上位の勇知層が見られる.また,研究所設置地区の中央 付近にほぼ南北走向,東傾斜の逆断層とされる大曲断層が図のよう な形状で存在すると考えられており,HDB-4 孔の深度約 400m 以深で 大曲断層のダメージゾーンが確認されている2)

ボーリング孔を利用した水理試験は,勇知層 6 点,声問 層 5 点,稚内層 24 点,大曲断層のダメージゾーン(稚内層)2 点の計 37 区間で実施している.また,ボーリング孔から得 られたコアを用いた室内透水試験を実施している3). 3.透水係数の深度依存性

原位置水理試験で得られた透水係数を深度毎にプロット した結果を,健岩部のコアを用いた室内透水試験結果とと もに図-2 に示す.図から,透水係数は勇知層で 10-10から 10-9m/s オーダー,声問層で 10-9から 10-8m/s オーダーと,

これらの地層では比較的透水係数のばらつきが小さいのに 対し,稚内層では 10-11から 10-5m/s オーダーと大きな幅があ

図-2 透水係数の分布(白抜き記号は原位置水理試 験結果,黒塗り記号は室内試験結果)

研究所設置地区の おおよその範囲

稚内層 声問層

勇知層 更別層

大曲断層 稚内層

勇知層

図-1 研究所設置地区およびその周辺の 地質とボーリング孔の位置 表-1 調査地域の地質層序(参考文献1)より) 層 序 岩 相

更別層 礫岩,砂岩,泥岩,亜炭 勇知層 砂岩を主体

声問層 珪藻質な泥岩を主体 稚内層 硬質頁岩を主体

増幌層 上部は泥岩を主体,下部は砂岩,

礫岩を主体

国土地理院発行5万分の1地形図

「豊富」「雄信内」を使用

900 800 700 600 500 400 300 200 100 0

1E-13 1E-12 1E-11 1E-10 1E-9 1E-8 1E-7 1E-6 1E-5 1E-4 透水係数 (m/s)

深度 (m)

勇知層 (log10k=-0.0034z-8.3665) 声問層 (log10k=-0.0032z-7.5549) 稚内層 (log10k=-0.0105z-3.9118) 大曲断層ダメージゾーン(稚内層)

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-609- 3-305

(2)

ることがわかった.同図には各層の透水係数の対数の,深度に対する比例関係を仮定したときの最小二乗近似 線も示した.声問層ではやや相関が低いものの,全ての層で深度依存性が認められ,稚内層の深度依存性が最 も顕著であることがわかった.また,稚内層の透水係数の深度に対する変化率は,勇知層,声問層のそれらに 比べてかなり大きいことがわかった.さらに,同一深度では稚内層より声問層,声問層より勇知層と上位の層 準の方が透水係数は小さい結果となった.一方,室内試験から得られた透水係数は,孔毎に深度依存性が確認 されている 3)が,原位置での水理試験に比べ,その傾向は小さ

いものであった.

4.割れ目帯と透水係数の関係

フローメータ検層によって抽出された水みちやボーリング孔 掘削中の掘削水逸水が確認された区間と,割れ目帯には相関が あることが示唆されている 2)ことから,稚内層の透水係数の深 度依存性や値のばらつきをより詳細に検討するため,透水係数 と割れ目帯との関係を調べた.割れ目帯とは,小断層とそれに 付随して分布する割れ目とが雁行配列をなす割れ目の密集帯の ことであり,割れ目帯の抽出を実施していない HDB-2,7 孔を除 く 6 孔の計 27 箇所で確認されている2).なお,割れ目帯の規模 は幅数 m~数十 m である.

図-3 に,水理試験区間に割れ目帯を含む箇所と含まない箇所に分けたときの稚内層の透水係数の深度分布 を,割れ目帯を含む箇所のみを対象とした最小二乗近似線とともに示す.同図は,割れ目帯を含む箇所での透 水係数のばらつきや深度依存性が,稚内層全体の特性に大きな影響を及ぼしていることを示している.

一方,声問層にも割れ目帯は存在するが,割れ目帯の有無による透水係数の有意な差は現状では確認されて いない.これは声問層中の割れ目が稚内層中の割れ目に比べて閉鎖していることや,軟質であるために割れ目 の発達度が低いことが原因として想定される.勇知層に対しては割れ目帯の抽出が行われていないが,この地 層の透水係数のばらつきが小さいことも同様の原因と考えられる.

図-2 に見られるように,健岩部のコアを用いた室内透水試験から得られた透水係数と原位置水理試験で得 られた透水係数の相違は,下位の層準ほど顕著になっていることや,原位置水理試験では,同一深度では下位 の地層ほど透水係数が高くなっていることは,下位の層準ほど内在する割れ目や割れ目帯の透水性の影響を強 く受けた透水係数となっているためと考えることができる.さらに,割れ目帯を含む箇所での透水係数に顕著 な深度依存性があることは,割れ目帯を構成する割れ目の開口幅が土かぶり圧の増加に伴って小さくなってい る可能性を示唆している.

5.おわりに

一連の調査により,稚内層の透水係数は上位の地層である声問層,勇知層よりも顕著な深度依存性があるこ とがわかった.また,透水係数のばらつきや深度依存性には割れ目帯の存在が大きく寄与している可能性が示 唆された.割れ目帯は一様に分布しているものでなく,透水係数の空間的なばらつきにも影響を及ぼす可能性 があることから,割れ目帯の水理特性だけでなく,分布,規模に対するより詳細な調査が今後の課題である.

参考文献

1) 舟木泰智・石井英一・安江健一・高橋一晴:文献調査に基づく幌延地域の地質・地質構造に関する検討,

サイクル機構技術資料,JNC TN5400 2004-006,2005

2) 山崎眞一・松井裕哉・濱克宏・盛岡宏之・畑中耕一郎・福島龍朗・瀬谷正巳:深地層の研究施設計画に関 する国際会議 幌延国際ワークショップ記録,サイクル機構技術資料,JNC TN5400 2004-005,2004

3) 核燃料サイクル開発機構:幌延深地層研究計画 平成15年度調査研究成果報告,サイクル機構技術資料,

JNC TN5400 2004-001,2004

図-3 稚内層の透水係数と割れ目帯の有無との関係

700 600 500 400 300 200 100 0

1E-12 1E-11 1E-10 1E-9 1E-8 1E-7 1E-6 1E-5 1E-4 透水係数 (m/s)

深度 (m)

  稚内層

割れ目帯を含まない箇所 (log10k=-0.0121z-2.9848)

割れ目帯を含む箇所 (対数平均:1.0×10-9m/s)

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-610- 3-305

参照

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