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メタ認知理論における入眠困難の理解 Understanding sleep-onset insomnia in metacognitive theory

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Academic year: 2022

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人間科学研究 Vol. 26,Supplement(2013)

修士論文要旨

問題と目的

 入眠困難の維持における中核的側面は,身体的覚醒より も認知的覚醒であり(Storms & Nisbett,1970),Borkovec

(1982)は,就寝直前に生起する思考や感情を含む認知的覚醒 を,入眠時認知活動として概念化した。そこでWain et al.(2009)は,メタ認知を取り入れた認知行動モデルであ る,自己調整実行機能(S-REF)モデル(Wells, 2000 ; Wells & Matthews,1994)で入眠時認知活動を説明するこ とを提案している。S-REFモデルは,メタ認知療法(Wells, 2005)の理論的基盤であり,メタ・システム,認知スタイル,

下位レベルの情報処理の3つの認知レベルの働きを仮定し ていること(Wells, 2009)や,注意制御機能を多角的側面か ら扱っていること(今井・今井,2011)が特徴である。

 本研究においては,入眠困難の維持をメタ認知理論から理解 することを目的とした。特に,入眠困難維持の中核的要因であ る入眠時認知活動に対する入眠時のメタ認知の影響および,入 眠時認知活動に対する注意制御機能の影響に関して検討した。

研究1

目 的:入眠時におけるメタ認知を測定するための,入眠 時メタ認知尺度(Pre-Sleep Metacognitions Scale:

PSMS)を作成し,その信頼性と妥当性を検討する。

方 法:首都圏内の大学生204名(男性:97名,女性:107 名,平均年齢:19.74歳,

SD

=1.38)を対象とし,質問紙 調査を実施した。調査材料は,PSMSの原項目,ピッツバー グ睡眠質問票日本語版(PSQI;土井ら,1998),入眠時認 知活動尺度(PCAS;宗澤ら,2007),日本語版MCQ(山 田・辻,2007),CES-D(島ら,1985)を用いた。

結果と考察:PSMS20項目に関して,確証的因子分析を行 なった。その結果採用した最終項目に関して,Cronbach のα係数の算出し(α=.64 ~ .87),許容範囲の信頼性が 確認された。また,CES-D得点を統制変数とした偏相関分 析により,PSMSとPCAS(

r

=.41,

p

<.001),PSMSとMCQ

r

=.35,

p

<.001)の各得点間に,有意な正の相関が示され,

さらに共分散構造分析により,メタ認知が入眠時認知活動 を介して入眠困難に有意な正の影響を及ぼすことが示され,

妥当性が確認された。以上のことから,「メタ認知的知識」,

「メタ認知的モニタリング」,「メタ認知的コントロール」の 3因子14項目で構成されるPSMSが作成された。

研究2

目 的:入眠時におけるメタ認知,入眠時認知活動,入眠困難 の関連と,入眠時認知活動に対する注意制御機能の影響を検 討し,入眠困難の維持を説明するメタ認知モデルを構築する。

方 法:首都圏内の大学生367名(男性:175名,女性:192 名,平均年齢:20.32歳,

SD

=1.42)を対象とし,質問紙調 査を実施した。調査材料は,PSMS(研究1で作成),PSQI,

PCAS,注意制御尺度(ACS;今井ら,2008)を用いた。

結果と考察:まず,モデル検討のための予備的検討を行なっ た。相関分析の結果,PSMS全体および各下位因子得点は,

PCAS得 点 と の 間 に 有 意 な 中 程 度 の 正 の 相 関 を 示 し た

r

=.45~56,

p

<.001)。また,PCAS得点は入眠困難得点と の間に有意な中程度の正の相関を示した(

r

=.48,

p

<.001)。

さらに,ACSの各下位因子である「選択的注意」,「注意の 転換」,「注意の分配」を独立変数,PCASを従属変数として ステップワイズ法による重回帰分析を行なった結果,「注意 の転換」および「注意の分割」は除外され,「選択的注意」

のみが有意な負の標準偏回帰係数を示した(β=-.21,

p

<.001)。このことから,メタ認知モデルの検証では,注意 制御機能の下位概念のうち,選択的注意のみを扱うこととし た。Figureに示したモデルを共分散構造分析によって検証 した結果,入眠時におけるメタ認知知識が,直接,入眠時認 知活動を活性化させる,あるいは,メタ認知的知識が,メタ 認知的モニタリングとコントロールを合わせた概念である メタ認知的活動を介して,入眠時認知活動を活性化させると いう関係,そして入眠時認知活動が入眠困難を強めるという 関係が示された。また,能動的な選択的注意が機能している 場合,入眠時認知活動を減弱させる可能性が示された。

Figure 入眠困難維持におけるメタ認知モデル

メタ認知理論における入眠困難の理解

Understanding sleep-onset insomnia in metacognitive theory

山田 香南子(Kanako Yamada)  指導:根建 金男

メタ認知的 知識 .70

.67

メタ認知的 活動

入眠困難 入眠時 認知活動 選択的

注意 pcas

F3得点

psqi C7得点

psqi C1得点

psqi C2得点 .51

.57 .30 .64

pcas F1得点

pcas F2得点

.83

.53 .85

.91

.15

-.16

.75 R2=.44

R2=.57 GFI=.937, AGFI=.892,

CFI=.918, RMSEA=.089

※パス係数は,すべて有意であった。

psms

M得点 psms

C得点

R2=.50

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