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学位論文題名 Role of h/Iacrophage Migration Inhibitory Factorin Bleomycin-Induced Lung工njury and Fibrosis in Mice

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 谷 野 功 典

     学位論文題名

    Role of h/Iacrophage Migration Inhibitory Factor in Bleomycin‑Induced Lung 工njury and Fibrosis in Mice

(マウスのブレオマイシン肺傷害・線維症モデルにおける      マ ク ロ フ ァ ー ジ 遊 走 阻 止 因 子 の 役 割 )

学位論文内容の要旨

【背 景】

  Macrophage migration inhibitory factor (MIF)は1960年代に活性化T細胞が産生し、マク口ファ ー ジ の遊 走を 抑制 する サ イト カイ ン活 性と し て報 告さ れた 。 しか し、1989年にMIF cDNAがク 口 ー ニン グさ れて 以後 と くに90年 代後半からは 、種々の体細胞内に広範に存 在する炎症性サイ 卜 カ イン とし ての 作用 が 注目 され るようになっ た。肺疾患における役割に関 しては、急性呼吸 促 迫 症 候 群 患 者 の気 管支 肺胞 洗 浄液(BAL液) 中 でMIF濃度 が 上昇 する こと 、 肺胞 マク 口フ ァ ー ジ から のTNF‑a,IL・8の放 出をrMIFがin vitroで増 強し 抗MIF抗体が抑制 すること、マウス のlipopolysaccharide (LPS)によるショックモデ ルにおいてMIFが血液中に放 出され炎症増悪因 子 に なっ ていること などが報告されている。さら に、我々はラッ卜LPS肺傷害 モデルにおいて、

MIFが 気 道 上 皮 や 肺 胞 マ ク 口 フ ァ ー ジ 中 に存 在 する こと 、LPS投 与後 肺組 織 由来 のMIF mRNA が 増 加 す る こ と 、 抗MIF抗 体 投 与 が 肺 へ の 好 中 球 遊 走 を 抑 制 し 、 そ の 作 用 の 一 部 はCXC chemokineであるmaaophage inflammatory protein‑2 (MIP‑2)の分泌抑制を介していることを報告 した 。

【目 的】

  マ ウスbleomycin (13LM)肺 傷害 ・線 維症 モ デル にお いて 、MIFが急性期肺 傷害とそれに引き 続い て起こる肺線維化に果たし ている役割を明らかにする。

【方 法】

  雄C57BL/6Jマウス(8週齢)を 使用し以下の実験を行った 。

1.高 用量 のBLM (2.5 mg/kg)を気管内1回投与。 投与前と投与後1,3,5,7,10日における肺組 織、BAL液中におけるMIF濃度をELISA法で測定した。

2. BLM気 管内1回 投与 。 その2時 間前 に抗MIF抗体(MIF抗体 群 )又 は非 特異 的ウ サ ギIgG (IgG 群 ) を腹 腔内 投与 し、 さ らに2〜3週間(3回/週 )投与を継続した。2群間の 致死率、体重減少 と あ る一 定時 期に おけ る 肺湿 重量 、BAL液 所見 、組 織 学的 肺傷害スコアーと 肺組織cytokine濃 度を 比較検討した。

3.低 用量 のBLM (1.0 mg/kg)を気 管内1回 投与 。投 与21日 後の組織学的肺線 維化スコアーと肺 組織hydroxyproline量を2群間で 比較検討した。

【結 果】

  1. MIF濃 度 はBLM投 与5‑10日 後 、 前 値 と 比 較 し てBAL液 、 肺 組 織 中 と も に 上 昇 し た 。 2. 抗MIF抗 体 は 、BLM投 与14日後 まで の 致死 率、10日 後ま で の体 重減 少を 有 意に 改善 した 。 ま た 、7日 後の 肺 湿重 量、3,7日 後のBAL液 中 総細 胞数 と好 中 球数 、10日後 の病 理 組織学的肺 傷 害 スコ アーで評価 した肺の急性炎症を有意に改 善し、7日後の肺組織tumor necrosisfactorIQ くTNF・Q)濃度上昇 を有意に抑制した。しかし、7,10日後のBAL液中蛋白濃 度、7目後の肺組織

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monocyte chemotactlcproteln‐1(MCP―1)濃度とMIPー2濃度には2群間で差がみられなかった。

3.BLM投与21日 後 にお ける 組織 学的 肺線維化スコアー、肺 組織hy(めxyproline量は2群間で差 がみられなか った。

【考察】

  BLM投 与 後 の マ ウ ス 肺 組 織 とBAL液 中 に お い てMIF濃 度 がBLM投 与5−10曰 後 に 上 昇 し 、 抗MIF抗 体 の 投 与 に よ りBLMに よ る 致 死 率 と 肺 の 急 性 炎 症 が 抑 制 さ れ たこ とよ り 、BLM肺 傷 害 の 急 性 炎 症 期 に お け るMIFの 関 与 が 示 さ れ た 。 さ ら に 、 抗MIF抗 体 の投 与は 、BLM投 与 後 の 肺胞 への 炎症 細 胞の 集積 と肺 組織TNF‐a濃度を抑制した が、組織学的肺線維化スコ アーと肺 組 織hydroxyproline量で評価し た肺の線維化への影響は認 めなかった。以上の結果から 、MIFは こ のモ デル にお い て肺 の急 性炎 症へ の関与はあるが、それ に引き続いて起こる線維化 への関与 はないと考え られる。

  これ までBLMによ る肺 の線 維 化に おい てTNF‐Qに よる 急性 炎症は重要な役割を果た すと考え ら れて きた 。実 際 、抗TNF―a抗 体や 可 溶性TNF‐aレ セプ タ ーの投与がBLMによる肺の 線維化を 抑 制し 、ま たTNFreceptor欠 損 マウ スへ のBLM投 与で は肺 の 炎症 や線 維化 が 軽微 であ ることか ら 、肺 の急 性炎 症 期に おけ るTNF‐Qの抑制は、肺の急性炎 症とその後の線維化を抑制 すると考 え ら れ て き た 。 今 回 の 実 験 で 、 抗MIF抗 体 に よりBLM高用 量投 与モ デル の 肺組 織中n岬 ‐aが 抑 制さ れた のに も 関わ らず 、BLM低 用量 モデ ル では 肺の 線維 化が抑制されなかった真 の原因は 不 明で ある 。し か し、 肺の 急性 炎症 の抑制が必ずしもその 後の線維化を抑制しないと いう仮説 が 近年 提唱 され て いる 。臨 床的 には 、特発性肺線維症患者 にステロイド治療をして肺 の炎症を 抑 えて も、 線維 化 の抑 制は でき ず予 後も改善しない。また 、動物実験においても、好 中球を消 失 させ て肺 の炎 症 を軽 減さ せた 動物 で もBLM投 与に よる 肺の 線維化は抑制されない。 肺の線維 化に重要な役 割を果たす増殖因子transfonninggrowthfado薑l・一p卩GF・ゆの活性調節因子である av閏integnnの 欠損 マウ スに お いて も、BLMを投 与す ると 肺 の炎 症は 惹起 さ れる が線 維化は起 こ らな い。 これ ら の成 績は 抗MIF抗 体に よっ て 急性 炎症 は抑 えられてもその後の線維 化には影 響しなかった 今回の実験結果と合致するも のである。

  抗MIF抗 体 は 、BLMに よ る & 乢 液 中 の 炎 症 細 胞 、 特 に 好 中 球 の 集 積 を抑 制し た が、B乢 液 中蛋白濃度は 抑制しなかった。肺胞への過 剰な蛋白の漏出が、肺の線 維化に結びっくことから、

こ れが 抗MIF抗 体がBLMによ る線 維化 を 抑制 しな かっ た原 因 のひ とつ であ る 可能 性も ある。抗 MIF抗体 が &乢 液中 炎症 細胞 の 集積 を抑 制し た 機序 につ いて 、今 回 の実 験で はLPS肺 傷害モデ ル とは 違っ てMIP‐2の 関与 を証 明で き なか った 。今 後、MIFの肺における急性炎症抑 制機序を さ らに 明ら かに し て線 維化 にお ける 役割と比較検討するこ とは、肺の急性炎症と線維 化との関 連や病態の解 明に有用であると考えられる 。

【結語】

  MIFは マ ウスBLM肺傷 害・ 線維 症モ デ ルに おい て、 肺の 急 性炎 症に は関 与 して いる が、その 後に起こる線 維化には関与していない。

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学位 論文審査の要旨 主 査    教 授    上 出 利 光 副 査    教 授    丸 藤    哲 副 査    教 授    西 村 正 治

     学位論文題名

    Role of Macrophage IVIigration Inhibitory Factor in Bleomycin‑Induced Lung InJuryandFibroSiSinMiCe

(マウスのブレオマイシン肺傷害・線維症モデルにおける      マ ク ロ フ ァ ー ジ 遊 走 阻 止 因 子 の 役 割 )

  Macrophage migration inhibitory factor (MIF)は1960年代に活性化T細胞が産生し、マク口ファ ー ジ の 遊 走を 抑制 する サ イ卜 カイ ン活 性と し て報 告さ れた 。 しか し、1989年にMIF cDNAが ク ロ一 二ン グ され て以 後と くに90年代 後半 から は、 種 々の体細胞内に広範に存在 する炎症性サイ トカ イン と して の作 用が 注目 さ れる よう にな った 。 肺疾患における役割に関し ては、急性呼吸 促 迫 症 候 群 患 者 の 気 管 支 肺 胞 洗 浄 液(BAL液) 中でMIF濃度 が 上昇 する こと 、肺 胞 マク ロフ ァ ー ジ か ら のTNF‑a,IL‑8の 放出 をrMIFがin vitroで 増 強し 抗MIF抗 体が 抑制 する こ と、 マウ ス のlipopolysaccharide (LPS)によるショックモデル においてMIFが血液中に放出 され炎症増悪因 子に なっ て いる こと など が報 告されている。さらに 、我々はラットLPS肺傷害モ デルにおいて、

MIFが 気 道 上皮 や 肺胞 マク 口フ ァ ージ 中に 存在 する こ と、 抗MIF抗 体投 与が 肺へ の 好中 球遊 走 を抑 制す る こと を報 告し た。 今 回は マウ スbleomycin (BLM)肺傷害・線維症モ デルを用いてMIF の 急 性 期 肺 傷 害 と そ れ に 引 き 続 い て 起 こ る 肺 線 維 化 へ の 関 与 に つ い て 検 討 し た 。   8週 齢 の 雄C57BL/6Jマ ウ ス(n=180)を 用 い 、 高 用 量 のBLM (2.5 mg/kg)を気 管内1回 投与 。 投与 前と 投 与後1,3,5,7,10日に おけ る肺 組織 、BAL液 中 にお けるMIF濃度 をELISA法で測定 し た 。 次 に 、 急 性 期 肺 傷 害 へ のMIFの 関 与 を 検 討 す る た め に 、BLM気 管 内 投 与2時 間 前に 抗 MIF抗 体(MIF抗 体 群 ) 又 は 非 特 異 的 ウ サ ギIgG (IgG群 ) を 腹 腔 内 投 与 し 、BLM投 与 後 さ ら に2〜3週 間 (3回 /週 ) 投与 を継 続、2群 間の 致死 率 、体重減少とある一定時期 における肺湿重 量、BAL液所 見、 組織 学 的肺 傷害 スコ ア ーと 肺組 織サ イ卜 カ イン 量を 比較 検討 した。さらに、

肺線維化へのMIFの関与 を検討するために、低用量 のBLM (1.0 mg/kg)を気管内1回投与(n〓34)。

投与21日 後 の組 織学 的肺 線維 化 スコ アー と肺 組織 ヒ ド口 キシ プ口 リ ン量 を2群 間で比較検討し た。

  MIF濃 度 はBLM投 与5‑10日 後 、 前 値 と 比 較 し てBAL液 、 肺 組 織 中 と も に 上 昇 し 、 抗MIF抗 体 は 、BLM投与14目後 まで の致 死 率、10日 後ま での 体 重減 少を 有意 に改 善 した 。ま た、7日 後 の肺 湿重 量 、3,7日 後のBAL液中 総細 胞 数と 好中 球数 、10日 後の 病理 組織 学的 肺傷害スコアー で評価した肺の急性炎 症を有意に改善し、7日後の肺組織tumor necrosis factor‑a (TNF‑a)量上昇 を有 意に 抑 制し た。 しか し、BLM投与21日後 にお ける 組織 学 的肺 線維 化ス コア ー、肺組織ヒド 口キシプ口リン量は2群 間で差がみられなかった。

  今 回 の 検討 より 、MIFは マウ スBLM肺 傷害 ・ 線維 症モ デル に おい て、 肺の 急性 炎 症に は関 与 して いるが、その後に起 こる線維化には関与してし ゝないと考えられた。これま で、肺線維化は

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肺の急性炎症に引き続く一連の組織変化と考えられていたが、最近、炎症機転と線維化の機序 は独立しているのではないかとの仮説が提示されており、今回の結果は、これを支持する結果 と考えられた。今後、肺の急性炎症と線維化の機序を更に明らかにすることにより、特発性肺 線維症などの肺の線維化疾患の発症機序解明ならびに治療法の確立にっながる可能性があり、

更なる研究が期待される。

  審査にあたり、副査丸藤教授より、1)肺におけるMIFの上昇時期と抗MIF抗体の急性炎症 抑制時期、2)抗MIF抗体の効果が内因性ステ口イド作用の増強を介している可能性、3)急性肺 傷害に対する抗サイトカイン療法の可能性についての質問があり、副査西村教授より11 MIF の肺の急性炎症と線維化への関与の相異の機序、2)肺線維化に関わる種々のメディェーターの 作用、3) BLM投与後のマウス死亡の原因についての質問があった。主査上出教授からは、1)肺 の急性炎症と線維化それぞれに関与する細胞、ヌディェーター、2) BAL液中総蛋白濃度と好中 球遊走に対する抗MIF抗体の効果の相異、3)BLM肺傷害・線維症モデル作成におけるBLM投 与法についての質問があった。申請者はこれらの質問に対して、自験データと文献を引用して 概ね適切な解答を行った。

  審査員一同は、本研究がMIFの急性期肺傷害への関与を証明する一方で、それに引き続いて 起こる肺線維化への関与がないことを初めて明らかにした研究として高く評価し、大学院課程 における研鑽や取得単位なども併せ申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有 すると判定した。

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