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EI を取り入れた新しい英語授業の試み

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岡山大学環境理工学部研究報告 6巻,第1号,pp.107‑118,2001年2月

TOEI C を取 り入れた新 しい英語授業の試み

諸川 重剛* 神崎 謙一* 荻野 勝'

ACa s eSt udyonHowt oTe a c hEngl i s ha tUni ve r s i t yAdopt l ngTOEl C shi ge t a keMOROKAWA' ,Ke n‑ i c hiKANZAKI 'a ndMa s a r uOGI NO'

(ReceivedOctober31

,2 0 0 0)

WetriedanexperimenttOSeeWhetherornotitwasposslbletoteachEnglishconsideringthe hslngemphasisonTOEIC. Eachofthethreeofuswasil一Chargeoffivelessonsoutoffifteen.

Onetaughtasectioninlistentnglnalanguagelaboratory,anothertaughtasectioningrammarand vocabulary,thethirdtaughtasectioninreading. Therewasnoexam aHheendofthesemester,but mini‑TOEIC testswere adlllinistered,and taking the TOEIC wasmandatory. Studentswere evaluatedonboththeirlllini‑testsandtheirTOEICscores.

Studentevaluationsrenectedapositiveattitudetowardthecourse. Moststudentsfavoredthe standardofTOEIC asatestofcourseevaluation. Althoughwerealizethereareaspectstobe improved(i.e.,srudents')jsteningability,class‑timeefncl'ency),WeShouldcontinuetodeveJop EnglishabilityfbcusingontheintemationallyestablishedmediulTl,TOEIC.

KeyworゐITESOIJatlLnハ,erL"ty teaChlngEng/tshad()p/lng 7O

E I

C,team teachLng,eXPe/.LmentaJ

PrOgram

1 英語授 業に新 プログラム を導 入す るに至 る経 緯

1.1大学 を取 り巻 く最近の状況

近 年,英語教 育が議 論 の的 とな ってい る。 「中高 あ る いは大学 と, 6年 ない し10勺:‑r;Ht,英語 を学 んでい るの に英語が話せ ない」,「TOEFLで は 口本人の成績 は最 下 位 に近い」な どの英語教 育に対す る批 判や ,その解決策 と して小淵 内閣時代 に提唱 され た 「英語の第2公 用語論

をめ ぐる論争な ど,英語教 育あるいは 英語その ものの意 義 に関す る議論が さま ざまな メデ ィアを通 じて盛 ん に行 われ てい る。平成12年 り12 1日には,文部大臣が 「英 語指導方法等改 善の推 進 に関す る懇談会」 を組織 し, 6 月30日にはその審議経過 報告=uLLiされ たo

大学の英語教 育に関 しては,す でに平成10年10月 26日に出 された大学審議 会答Lll「2 1世紀の大学 像 と 今 後の改革方策 について‑ 蔓完争的環境 の 中で個性 が輝

く大学 」の中で 「外 国語教 育の 充実や海外留学 の推 進等を進 める と同時 に,我 が国の歴 史や 文化‑の理 解, 国際 社会の直面す る重 要課題 ‑の認識 を深 めた り,討論 ,

口頭 による意 見発表や 報告,プ レゼ ンテー シ ョン等 の訓 練 を通 じて 自 らの 主張 を明確 に表現す る能 力を育成 す る +岡山大学環境理工学部

107

な ど,国際 稚台で活躍 で きる人材 の養成 を図 ることが重 要で ある」 と記 され ,特 に運 用 力,つ ま り外国語 を聞 き 言銅 ‑能 ノ)の養成 に力点 をお くことが強調 されてい る0 1.2岡山大学での英語教育

教養 鮎廃 IL二(平成 6年)以 前は,英語 の授 業内容は各 教官 に任せ られ てお り,授 業担 当教官 が,学生 に とって 最 善 と考える内容 を,や は り学 /A:̲に とって最 善 と考 える 方法で行 っていたo Lか し,授 業内容 について個 人 レベ ルで J.i;‑し合 うことは あ って t,教11ーllTH二で議 論す る機 会は な く,授 業ア ンケー トも公 式 には導入 され ていなか った ので,や や もすれ ば独 善的 な授 業にW(1るき らい もあった。

教養 部時 代の カ リキュラムでは,学 生 は英語 を週2回 (】回 90分) 2年間履 修す る ことにな っていたが,大学 設 置基準 の大綱化 と教養 部廃 山 ・新学 部創 設 に伴 い,英 語教官が減少す る中で,必修 科 目と しての英語 の時間数 は従来の4分の1,ない しは 半減 した。 その よ うな厳 し い状況下で,大学 周辺 か らの 安:ilIJ=‑や 社会のニー ズを考慮 しつ つ,英語の授 業 を改 善 しよ うとい う動 きが あ り,岡 山大学 の教養教 育の英語 に携 わ る教官 の集団 と各学 部 と で, どの よ うな英 語教 育が望 ま しいか とい う議論が な さ れ た。 そ して少 ない時間で よ り大 きな効果 を生み出す た めに,平成 12年度 よ り,莱.言行の 二種類の授 業,英語 A (必修),英語 B (選 択 ) の うち英語 A にお いては,杏

(2)

1 0 8

岡山大学環境理工学部研究報告,6(1)2001年

学 部 の要望 を聞 いた上 で授 業 を実施 す る こ とにな った。

そ の方針 の もとに,環境 理 工学部 に所 属す る英語3教官 (諸川 ・神 崎 ・荻野) は,英 語 の運用 能 力 を向上 させ る た めに,TOEICを導 入 した英 語教 育 を行 う計 画 につ いて 各学 科 と話 し合 い,環境 数理 ・デザ イ ン ・物 質 の3学 科 で新 プ ログラム を試 み る こ とが決 め られ た。

1.3TOEJCの概要

2 1世紀 を 目前 に控 えて グ ローバ ル化 と ⅠT革命 が進 む 中, ビジネ スの どの分野 にお い て も共通 言語 と しての 英語 が重 要視 され るよ うにな って きた。 特 に, コ ミュニ ケー シ ョンの 手段 と して の能 力 が 問 わ れ , こ こ数 年 , TOEICの点 数 で新 入社 員 を採 用 した り,昇進 の要件 とす る企 業 が 増 え て きて い る。 TOEIC (TestorEngHsh fわr InternationalCommunication)は,国 際 的 な コ ミュニ ケー

シ ョンの た めに,英語 を どの く らい使 え るか を評 価 す る 試 験 で あ る。ア メ リカのETS(EducationalTestingService) が開発 し,世界 の約50カ国 で実施 され, 1998年 に は140万人以 上 が受 験 した。 日本 で も昨年 一年 間 で約 80万人 の受験 者 が あ った。TOEICの特 徴 は,(丑世 界共 通 の国際 コ ミュニ ケー シ ョン英語能 力テ ス トで あ る,② 個 人 の能 力 レベ ル に合 わせ た 目標 点 が設 定 で きる,③ 英 語 に よる コ ミュニ ケー シ ョン能 力 を公 平 に評価 す る,④ 英語 に よる コ ミュニ ケー シ ョン能 力が総 合的 に評価 で き る,⑤ 毎 回 のテ ス トに よって評価 基 準 が変動 す る こ とが ない, といわれ て い る。

試験 時間 は2時 間で, リスニ ン グが100問 で4 5分 , 残 りの75分が リーデ ィン グ とな ってお り, こち らも1

00問 で あ るC リス二 王 グ部 門 は, パー トⅠの 「写真描 写」 が20間,パー ト

「応 答」 30間,パ ー トⅢ 「会 話」 30問,パ ー トⅣ 「説 明 文」 20問, リーデ ィン グ 部 門は, パー ト

V

「空所 補充」 4 0問 ,パー ト

「誤 文 訂 正」 20問,パー トⅦ 「速 読 ・読解 」 4 0問 か ら構 成 され て い る。 配 点 は,各 々の部 門が495点 なので ,満 点990か ら5点刻 み にな ってい る。

TOEICの得 点 はTOEFL,英検 と比較 した場 合,お よそ 以 下の よ うな対応 が あ る。

TOEIC 300/‑395 400‑495 500′‑590 595′‑650 TOEFL 400′‑433 435‑468 470.‑501 503.‑522 英検 3級 2級 2級 準1級

受験 者 の得 点 の平均 は, 平成9年度 の 資料 で は,公 開 テ ス トで580点,団体特別 受験 で4 77点 で あ る。

TOEICの点 数 とコ ミュニ ケー シ ョン能 力 レベ ル との 相 関 関係 で は, 220‑ 4 70は 「通 常会話 で最低 限 の コ ミュニ ケー シ ョンが 出 来 る」,4 70‑ 730は 「日常 生活 の ニ ー ズを充足 し, 限定 され た範 囲 内で は業務 上の コ ミュニ ケー シ ョンが可能 」,730‑ 860で は 「どの よ うな状 況 で も適 切 な意志 の疎 通 が 出来 る素 地 を備 えて

い る」 と判 断 され る。

TOEIC公 開 テ ス トの 実施 は年7回 だ が,その他 に団体 特別受 験 制度 (IP,InstitutionalProgram)が あ り, 団体 の 都 合 に合 わせ て随 時行 われ て い る。 大学 生協 が実施 して い るカ レッジTOEICは1Pの一 つ で あ る。TOEIC本部 は 公 開テ ス トとIPは同等 の もの と して い る。大学 に とって は,カ レッジTOEICの 方が授 業 の 一部 と して活用 しやす い な どの メ リッ トが あ り,岡 山大学 で はTOEIC公 開テ ス トとカ レッジ TOEICが 同 じ レベ ル の試 験 で あ る こ とを 認 め,生協 を通 じて カ レッジTOEICを利 用 して い る。

2 新 プ ロ グ ラ ム の 計 画 と実 施

2.1授 業計 画

2.1.1新 プ ログ ラム の対象

環境 数 理 ,デ ザ イ ン,物 質 の3学科 に所 属す る一, 二 年 次 生 に対 し, それ ぞれ 英 語 A の 1週 間 1コマ (90分) でTOEICを取 り入れ た授 業 を行 うこ とにな ったOなお必 修 科 目 と して の英語 は,環 境 理 工学部 の場 合 は2年 間 に 渡 ってその 1週 間 1コマ のみ で あ るC

2.1.2授 業の 目標

TOEICにお い て600点 を取 れ る英 語 能 力 を養 成 す る こ とを 目標 に置 いた。これ はTOEICの試 験 対策 をす る とい うこ とでは な く∴rOEICを一 つ の指標 と して総 合的 な英語 の コ ミュニ ケー シ ョン能 力 を向 上 させ る とい う意 味 で あ る0 600点 とい う点数 は一つ の 目安 であ り,学 生 と して も具体 的 な数 字 を与 え られ た ほ うが取 り組 みや す いので は ないか と考 えた。

2.13授 業形 態

従 来 の よ うな1教 官 が 同 じク ラ スに 対 して 前期15 回 ,後期15回 を担 当す るの で はな く,授 業 内容 を 「リ スニ ン グ

「文法語

「読解 」 の3分 野 に分 け,各 教官 が3分野 の どれ か一つ を中心 に前期5回ず つ担 当 し, ク ラス を入れ 替 えて教 えて い く方法 を採 用 した。 テ ィー ム テ ィー チ ン グの 方 が1教官 が1クラス15回 を担 当す る よ りも,各 々の分野 に集 中 して教 え る こ とが 出来,また, 成 績 評価 とい う点 を含 め て, 3教官 が1クラスを教 える よ りも授 業効果 に偏 りが出 に く くな るで あ ろ う とい う判 断 で あ る。 諸 川 が文法 語秦 ,神 崎 が リスニ ン グ, 荻野 が 読解 を担 当す る こ とにな った。

2.1.4ク ラス編 成

お お よそ環境 数 理20名 ,デ ザ イン50名 ,物 質40 名 なの で ,デ ザ イ ンの 一部 を環境 数理 の クラスに組 み 入 れ て,約40名 で1クラス を編成 す る こ とに した。 二年 次生 も同様 で あ る。

2.1.5ス ケ ジュー ル

以 下 に二年 次 の或 る ク ラスの授 業 日程 を示す。 他 の ク ラスお よび 一年 次 も,担 当教官 の順序 が変わ る だけで基 本 的 に これ と同様 で あ るe

(3)

諸川 重刷 ら /TOEICを取 り入れた新 しい英語授 業 の試み

文法 一語嚢(諸川) 4/ 14 ガ イダ ン ス .授業 21 ミニテ ス ト .授業 28 授 業

5/ 12 ミテス ト.授業 19 授業

=i‑,.、…16 、 ミ手テヌ=.ト,̲授 業 ,/23本 華 業 亮

読解

(荻野) 30 授業 ‑

7/ 7 ミニテス ト.授業 7/ 8 カ レッジ TOEIC 14 授業

21 ミニテス ト.授業 28 授業 .ア ンケー ト 2.1.6教材

テ キス トは一年次,二年次生 ともに,神崎 クラスで リ スニ ング用 に LTSteTIUp

I

「リスニ ング ・パ ワー ア ップ講 座」KimberlyForsythe.成 毛信 男著 (三修社) を使 用O 諸川 クラス,荻野 クラスで はテ キス トは用 いず ,プ リン

トを使用す ることに した。

2.1.7成績評価

二年次生 は,前期後期 の 日程 の中で,それ ぞれ 1回 は カ レッジTOEICない しは公 開テス トを受験 し,そ の結果 と授 業時 に行 うミニテ ス トや授業 の取 り組 み な どを総合 的 に考慮 して成績評価 す る。 期末テ ス トは ミニテ ス トや

TOEICで代用 し,行 わ ないC‑年次生 には,後期か らカ レッジTOEICを義務づ け るOシラバ スには,あ る程度 の 願望 を込 めて,TOEICでの4 50点程度 を単位 認 定の最 低基準に したい と書 き添えた。

2.2授業の実施

2.2.1学生へのガイダンス

平成12年度 開講 直前 の環 境 理 工学 部各 学 科 で の ガ イダンスにおいて,新 プ ログラムでの英語Aの授業 につ いて資料 を配布 し,学生 に対 し説 明 を行 ったD そ こでは 英語の運用能力 を高 めるた めに TOEIC向けの授 業 を行 い,前期後期 各15回の うち, 3人の教官 が5回ず つ を 受 け持つ こと, 5遇 の うちの2回は ミニテ ス トを実施す ること,‑年 次生 は12月のカ レッジTOEIC,二年次生 は7月 と12月 のカ レッジ TOEICを受験 す るこ とな ど を伝 えた。

2.2.2授業

文法語嚢 : ‑,二年次生 とも,TOEICの文法問題 に しば しば出題 され る,時制 ,仮 定法,havesomethingdone に関す る教材 を配布 し,文法項 目の解説 と,宿題 で ある Exercisesの答 え合わせ を行 った。また ミニテス トに関 し ては,次週の答案 返却時 に一通 りの正解 を述 べ,PartV,

Ⅵの文法語嚢の部分 を説明 した。

リスニ ング : 学 生が授 業時間外 に も練習 を行 える よ うcDが添付 され てい るテ キス トを使用 したO テキス ト の中でCDに収録 され てい る部分 は学 生の 自習課題 と し, 授 業では,そ の課題 を聞 き直 して解答 の確認 を行 った後 に, LL装置 (二年 次生)や テープ レコー ダー (‑年 次 生) な どを使 用 して 自習課題 をベ ー ス とした発展的 ,応 用的な リスニ ング演習 を行 ったO

読解 : 基礎 力の 向上 を 目標 と した訳読 中心の授 業 を 行 った。TOEICの試験 問題 に慣 れ る とい うことも考 え,

ミニテ ス トに出て きた長文 の英文で,教材 として適 当な もの を選 び使用 したO 週一 回の授 業だ けでは足 りないの で,それ以外 に英 文 を配布 して和訳 を宿題 としたO最 も 効率の良い英語学 習法 と して,一度授 業で使用 した り自 分で読んだ英文 を,週 に一度 は読み返す とい うことを紹 介 して,その実践 を学生に促 した。

2.2.3ミニテス ト

TOEIC用 の問題 か ら小 間 単位 で ピ ックア ップ して問 題 を作成 した。90分 の授 業の 中で行 うので,試験時間 を 1回約40分か ら50分 と して,正規 の2時間分の問題 を それ ぞれ のセ クシ ョン毎 に3分の1に縮 小 した。パー ト

Ⅰ6問,パー トⅡ 8間 ,パー トⅢ 8間,パ ー トⅣ 4‑ 6 間,パー トV 13間,パー ト1TT7問,パー トⅥ112‑ 1 6問,計58‑ 64問 と した。 初回か ら4回までは問題 形式 に慣 れ させ る とい う目的で1回 を50分で実施 し,5 回 目か らは 45分 に短縮 した。 ‑年次生 と二年次生 では 別 々の問題 を使用 した。 3人 の教官 がそれ ぞれ のクラス の答案 を11点で採点 して翌週 に返却 した。

ミニテス トの平均点は以下の よ うであった。

一年次生

第 1回 2回 3回 4回 5回 4/25日 5/9 5/30 6/I3 7/4 26/60点 23/58 28/62 34/63 30/61

(990点満点 に換算 した得点) 二年次生

第 】回 2回 3回 4回 5回 4/2]日 5/12 6/2 6/16 7/7 29/58点 30/60 27/63 27/61 31/64

(990満点 に換算 した得点)

6回 合計 7/18

28/62 169/366 457/990 6回 合計

7/21

28/62 172/368 463/990

ミニテス トとカ レッジTOEICの点数 を比較 した場合, ミニテ ス トの方が平均 点が20点程 高 くな っているが,

TOEICに慣 れ させ るた めに,120分 の時間 を, ミニテ ス トでは20分前後長 く設 定 したか らと思われ る。

2.2.4カ レッジTOEIC

7月8日 (土曜 日)10時 か ら12時 まで岡 山大学一般 教育棟 の教室 を利 用 してカ レッジTOEICを実施 した03

教室 を試 験場 に使 用 し,それ ぞれ1名 の教官が監督 に 当 た ったo 再履修者4名 を除 き,二年次生 12 8孝.の うち 1I3名 が受験 したO 欠席 は一度 も授 業 に出席 していな

109

(4)

110 岡山大学環境理工学部研究報告,6(1)2001年

い者 t)含 めて15名G 平均点 は433,札 妓高J仁は65 5点,

最低

点は250点であった。

IiF次生 は受験 を義務付 け られ ていなか ったが9名が 受験 した。一年次生の平均 点 は444点,最 高点は49

5点,最低点は350点であった。

また 当 日は都合が悪 く,前 もって 6月 7日のカ レッジ TOEICを受験 した者 が2g.あった。得 点は36O点 と3

35点であった。

6月 7日, 7月 8 日の試験 を と もに受 け られ なか った 者 ,再度受験 を希望す る者 のために,岡 山大学 が8月9

日に行 った カ レッジ TOEICi,前期成績 評価 の判 定資料 と した。 二年次生 では15名 が受験 し,平均点 は374 点,最 高点は455点,最低点 は255点 であ った。 ち なみ に,そo?回 のカ レッジTOEIC全体 の平均点 は434 点であった。

2.2.5成績評価

一年次生 は,カ レッジTOEICの受験 を義務づ けていな いので, 平常授 業時 にお け る6回 の ミニテ ス トの合 計点 を990点満 点 に直 した後,優500点,可350点 と い う基準 に合 うよ うに100点満 点に換 算 した。 良は結 果的 に425点 になった。カ レッジTOEICを受験 した者 のTOEICの得点 は,いずれ も ミニテス トを990点満点 に換 算 した点 よ りも低 か ったので, ミニテ ス トの方の点 数 を採用 した。上記の処理 の結果 を,優80点,良70, 可60とい う大学 の基準 に 当ては める と,優19名 ,良 58名 ,可34名 ,不可14名 となったO ミニテ ス トを 一度 も受験 していない学生 は この数字 に含 まれ てい ない。

また ミニテス トの欠席 が1回の者に限 り,受験 した5回 の平均点 を欠席 したテ ス トの得点 とみ な して成績 を修正

した。

二年次生の場合は, 6回の ミニテ ス トの合 計点 を 9 9 0点満点 に換 算 し,それ とカ レッジTOEICの得 点 を単純 平均 したOカ レッジTOEICを複 数回受験 した者 は一番高 い得点 を用いた。 その点数に‑年次生の場合 と同 じ処理 を施 した結果 ,優21名 , 良50名, 可44名 ,不 可7 4.となった。 巾履修者や , ミニテ ス トない しは カ レッジ TOEICを全 く受験 していない者 は数に含 まれて いない。

ミニテ ス トの 欠席 が l回の者 に限 り, これ t)一年次生の ケース と同 じよ うに扱 った0

2.2.6外部検定試卓 による単位認定

既 に岡 山大 学 評議 会 にお い て 決 定 され て い る外 部 検 定試験による単位認定基準,

TOEIC 586点以上 英語A 4単位 730点以上 英語A 8単位

に従 って,7月8日に行われ た カ レッジTOEICで586 点以 上729点以下の成績 で あった二年次生4名 が,莱 語 A4単位の認定 を申請 し,承認 された。

3 学 生 の英語学 習 に対す る意識 と新 プ ログ ラム の評価

3.1調査の概要

TOEICを導 入 した新 英 語学 習 プ ログラム が学 生 に と って ど うい う意義 を もち,学 生は どの よ うに新 プ ログラ ムを受 け止 めたのか を調べ るため,半期が終わ った時点 で受講生に対 してアンケー ト調査を実施 した。

調査 は,‑年次生 は平成12年7月25日,二年次生 は7月28日の,いずれ も前期最終週 の授 業時 間内 に出 席者全員 に対 して行 った。 ア ンケー トは選択肢型 の18 間か ら構成 され ,二年 次生 には前年度 までの授 業 との比 較 に関す る問 を2間追加 したO 回答 は無記名 で,説明文 中に 「このア ンケー トは皆 さんの英語学習 についての意 識や新 プ ログラムに対す る反 応 を調査 し,今後の授 業改 善 に役 立て るための ものですC 回答 内容 は成績 評価 とは い っ さい関係 あ りませ んので率直 に回答 して下 さい」 と の指示を入れ た。

回答数は,

‑年次生: 1Ol 二年次生: 103 であった。

アンケー トにお いては,① 学生 の英語お よび英語教 育 全般 に対す る意識 ,②学生 が大学 の英語教 育に期待 して い る もの,③TOEICを導入 した新 しい英語授 業に対す る 評価 ,の三つを中心課題 と して間 を設定 した。

3.2調査結果 と分析

問1.学校の 「教科」 と しての英語 は好 きですか。

(一年次生)

:'

̲

:t ;I‑ラ どちらともい

えない 26ヽ

(二年次生) どちらかとい

えば嫌い 18%

どちらかとい えば嫌い

23%

:'1‑t二̲==:i::‑̲

28%

どちらかとい えば好き

2 2 ヽ

どちらかとい えば好き25%

(5)

諸 川 重剛 ら /TOEICを取 り入れた新 しい英語授 業の試 み

学校 教 育が学 生 の英 語 に対す る意 識 に 与・え る影 響 を測 るため,あえて 「教科 と して」 と限定 して間 を設定 した。 ‑年次生,二年次生 ともに 「好 き」傾 向 と 「嫌」傾 向がほぼ括抗 して い る。理 科 系の学 部である ことを考 える と,思 った ほ ど英語 ‑の嫌悪 感がない ととらえることもで きるか もしれ ない。

2 .

国際 的な 「コ ミュニケー シ ョンの手段 」と しての 英語に関心はあ りますか。

(一年次生) どちらかと

いえばない ない どちらとも

いえない 9ヽ

どちらとも いえない

14

どちら いえば 34%

(二年次生) どちらかと いえばない

1% ない し

/′ 1%

間1との対比 を見 るた めに英語 に対す る一般的 な 関心 を問 うた。 「あ る」「どち らか とい えば ある」が 合わせて8割 を超 え,学生 の英語 に対す る関心 の高 さを示 してい る。 その傾 向が 二年 次生 にお いてなお 高いのは,大学 での授 業 な どを通 じて英語 の必要性 をよ り強 く感 じるよ うにな った結果 だ と推 測 され る。

問3.自分の英語の能 力を ど う評価 して いますか。主観 的評価 を答 えて下 さい。

(一年次生)

やや優れて いる

Te j %52% 劣っている

21ヽ

やや劣っ いる

28

「優 れ て い る」 と回 答 した 者 は ゼ ロで あ っ た。

「劣 って い る」「やや劣 ってい る」を合わせ る と約 半 数 にな るが,通常 こ うい う回答 にはやや否 定的 なバ イアスがかか るので,その分 を考慮す る と, まず大 学生の平均的な回答 と考 え られ る。

問4.あなたの英語 の能 力 を 「読 む

「書 く

「聞 く

「話 す」の四つの技能別に 自己評価 して下 さい。

「読む」能力(一年次生)

劣っている 優れている やや劣っ

いる 18㌧

=%i %f や優れて

いる 23%

「書く」能力(一年次生)

やや摩れて 劣っている いる

10% 14%

やや劣って いる

33

e )E3f

「聞く」能力(一年次生)

劣っている

やや優れて いる

‑ ‑̲̲‑I

16ヽ

111

(6)

112

「話す」能力(一年次生)

劣ってい 36%

やや優れて

38%

1gq%Rb

岡山大学環境理 工学部研究報告, 6(1)2001

「読む

」>

「書 く

」>

「聞 く

」>

「話す 」 とい う 明 らかな序列 が見て取れ るD 「聞 く」「話す 」能 力の 欠如が学 生に も自覚 され てい る。 教 え る側 は不 足 し ている能力の向上に意 を注 ぐ必要がある。

問5.あなたの行 っていた高校 で は三年生の時 に英語の 授業は週 に何時間あ りま したか。

(一年次生) 2時間以下

3%

1

6時間以上 3時間 ⊥ .8%

4時FB 29

%

(二年次生)

6時間以上

5時間以上 と答 えた学生が 半数 を 占め る。 現在 , 環境理工学部の一一年次生は週 に1コマ しか英語 の授 業が な く,高校の時の学習時 間 との落差が著 しい。

また,全 体 と して‑年次生 は二年次生 よ り時間数が 少な くな ってお り,高校で の英語の授 業時間 も減少

しつつあることが窺われ る。

問6.あなたが これ か ら生 きてい く中で英語の語学 力の 必要性は どの くらいあると感 じていますか。

(一年次生)

5%

(二年次生)

/

JO%

nl.49

●40%

英 語 第2公 用 語 論 まで議 論 され る よ うな状 況 の 中で,学 生 も語学力 の必要性 を痛切 に感 じてい るO この意識 を ど う学 習意欲 にす くい取 ってい くかが教 える側 の課題 である。

問7.大学 での英語教 育の 目的 は何 だ と思 いますか。そ れ ぞれ の項 目につ いて, どれ くらい適切 か を答 え て下 さい。

1.専門分野の勉強のために必要な語学力をつけ る(一年次生)

(二年次生)

(7)

緒川 重剛 ら /TOEIC を取 り入れた新 しい英語授 業の試 み

2社会人になった時に仕事の上で必要となる語 学力をつける(一年次生)

(ニ年次生)

3.日常生活や海外旅行での外国人とのコミュ ニケーションのための語学力をつける

(一年次生)

15 ヽ, .

: L

i ‑

⊂】31% 29%

(二年次生) t8%

■26%

?%58 '

□30

■25%

32%

4̲言葉を通じて,海外の文化,社会事情,生活様 式.ものの見方などを学ぶ(‑年次生)

(二年次生)

二32g 5 :

5.文学作品などを読んで教養を深める (一年次生)

■5%

コ33

「専門 分 野 の 勉 強 の た め に必 要 な語 学 力 をつ け る

「社会人 にな った時 に仕 事 の 上で必要 とな る語 学力 をつ け る」の二項 が高 い値 を示 した。 前者 は英 語論 文や学術 書 を読む能 力,英語 で研 究論 文 を書 く 能 力が 中心 とな るだ ろ う。後者 は,読み書 きに加 え, 会話 の能 力が必須で あ るD 旧来の教養英語がお もに 行 っていた 「文学 作品 な どを読んで教養 を深 め る」 は,不適 切で あ る とい う評価 が適 切 を上回 ってい る。

問8.あなたは英語の授 業に どの よ うな姿 勢 での ぞんで いますか。

(一年次生)

113

(8)

114 岡山大学 環境理工学部研究報告,6(1)2001

教 師 が 教 室 で感 じて い る雰 囲 気 か ら考 え る と思 いが けな いほ ど積 極的 な回答 とい えるか も しれ な い。

問6に も現れ た社会情 勢の変 化 を強 く感 じ取 って い るので あ ろ う。 一 , 二年次 の回答 の比較 か らは,そ の意欲 が後退 してい くところが見て取れ る。

問9.大学 の‑.二 年次 にお いて英語 の授 業時間 は週 に どの くらい必要 だ と思 いますか。

(一年次生) 4コマ以上 必要ない

3%

=

J

=̲I L=

3%

(二年次生)

2コマ 以 上 と回答 した学 生 が6割 を超 えて い る。

二年次で は 3コマ , 4コマ が必要 と考 え る学 生 も多 い。 現状 の 1コマ では時 間 不 足だ とい うこ とは学 生

自身 も感 じてい る。

問10.この授 業 を受講 す るまで にTOEICを知 って い ま したか。

(一年次生)

知らなかっ た 35%

受けたこと

がある 名前も内容

0% /も知っていた

(二年次生) 知らなかっ

5

名前は聞い 嘉 畠誤よく知らな/

/

かっ

56%

1 4%

名前は聞い たことがある が内容はよ く知らなかっ

51%

受けたこと がある

2 名前も内容

も知ってい た 37

TOEICの認 知度 を調 べ た。一 ,二年 次 で明 らか な 差 が生 じてい る。大学 入学 後 にTOEICに関す る情報 に接す る機 会が増 えるので あろ う

問11.英語 の授 業にTOEICを導 入す る こ とを ど う思 い ます か 。大 学 に お け る英 語教 育 の あ り方 とい う概 点か ら見 た客観的な評価 を答 えて下 さい。

(一年次生)

どちらかとい えば良い

37%

(二年次生) 良くない どちらかとい 9%

えば良くな い 10%

どちらともい えない

17

b

E2L%'

どちらかとい えば良い

32%

(9)

諸川 重剛 ら /TOEICを取 り入れた新 しい英語授業の試み

か な り肯定的 に受 け止 め られ てい る。 「大学 にお ける英語教 育の あ り方 とい う観点」 とい う限定 を付 けたが,TOEICは,間 7で高い値 を示 した 「社 会 人 にな った時 に仕 事 の 上 で 必 要 とな る語 学 力 をつ け る」 とい う目標 に合致 しているといえる。

問 12. この授業 は 「実用的 な英語運用能 力の 向上」 と い う点か ら見て効果があ りま したか。

(‑年次生)

ほとんどな かった

34ヽ

ほとんど(

かった

37

非常にあっ

1ヽ かなりあっ

;: 二t ∴ 至

かなりあっ た

6

PLあった 53%

「少 しあった」が過 半数 を占めてい る0 15コマ とい う少 ない時間 を考 える とやむ を得 ない結果 か も しれ ないが, よ り効果的 な授 業内容の模 索 が必要で あろ う。

問13.この授 業は 「TOEICの得 点力の 向上 」 とい う点 か ら見て効果があ りま したか。

(一年次生)

非常にあっ

51b=%,なりあっ i/ i ::‑: ほとん

かっ 19%

少しあった 51ヽ

かった

23

ほとんどな ー'‑'Ti= (二年次生)

非常にあっ

56%

\かなりあった 18ヽ

問 12の回答 と較 べ る とかな り評価 が高 くな って い る。 ミニテ ス トを中心 と した受験対策授 業の色彩 が強 か ったか らで あろ うo これ は これ で喜ぶべ きこ とか も しれ ないが ,本来 は前間の 「実用的 な英 語運 用能 力の向上」とい う効果 を狙 うべ きで ある。TOEIC の得点はその成果 の一つの表現 に過 ぎないのだか ら。

問 14.この授 業 は 「文法詰責

「リス二 ング

」r

読解

とい う三 つの 分野 に分 けて行 い ま したが, この形 式 と,一人の教 官が総 合 的 な内容 を担 当す るの と 較べて, どち らが よ り効果的だ と思いますか。

(‑年次生)

(二年次生)

■5(分野別授 業の 方が効果的)

E34

■3

2

■ 1(総合的授 業の 方が効果的)

5(分別授業の

果的)

■3

コ2

■1(総 合的授 業の 方が効果的)

分野別授 業への支持 が 多 く,テ ィー ムテ ィーチ ン グはあ る程度 成功 した と考 えて よいだ ろ う。 二年次 の方が若 干支持 が高いのは,大学 で総 合的 な英語授 業を受 けた経験があるか らだ とt)考え られ るO 問 15.この授 業で は ミニテス トを6回行 いま したが,

ミニテ ス トの 回 数 は どの くらいが適 切 だ と思 いま すか。

115

(10)

116

(一年次生)

岡山大学環境理工学部研究報告,6(1)2001年

(二年次生)

これ も思 いが けな く肯 定的 な回答 が多か った。イ ンターナ シ ョナル な基準 で 自分の能力 を測れ るメ リ ッ トは大 きいので あろ う。 また理科系の学生は数量 的 な能力 の評価や数値 目標 な どに抵抗 が少 ない傾 向 があることも考 え られ る。

問17.TOEICの よ うな絶対基準 で成績評価 が行われ る の と,授 業内容 に対す る理解 度 で評価 が行われ る の と較べ る と,語学 力の 向上 とい う点か ら見 た場 合 どち らが よ り効果的だ と思いますか。

(‑年次生)

・ 't

学 生 が テ ス トの 多 さに 閉 口 して い る こ とを予測 していたが,意外 に も頻繁 なテス トに肯定的 な回答 が多か った。この授 業 をTOEIC受験 対策 と受 け止 め

るか否か とい うあた りも回答 を分 けた要素か も しれ ロ9 ない。

問16.TOEICでは語学 力が明確 な数値で表現 され ます が. この ことをどう感 じま したか。

(一年次生)

(二年次生)

l‑= r ‑

=‑

■5(自分の客観的な 能力が把握しやす くて良い)

4

■3

日2

41(受葺莫生のように 点数に追われるよ うで良くない)

■5(自分の客観的な 能力が把握しやす くて良い)

⊂】4

■ 3

コ2

■1(受験生のように 点数に追われるよ うで良くない)

31

コ20%

(二年次生)

lt =

■5 (

絶対基準による 評価の方が効果 的)

4

■ 3

2

■1(授 業内容の理解 度による評価の方 が効果的)

●5(絶対基準による 評価の方が効果 的 )

⊂14

■ 3

口2

■1(授 業内容の理 解度による評価の 方が効果的)

‑年次 と二年次で明 らかな違 いが生 じたO ‑年次 生の回答 は賛否相 半ば してい るが,二年次生では絶 対評 価 ‑の支持 が強 い。 二年次生 は大学 での暖味 な 成績 評価 基準や教官 ご との偏 りを経験 してい るか ら

と考え られ る

問18.TOEICの よ うな絶対基準 で成績 評価 が行われ る ことは. あなたに とって好ま しいですか。

(‑年次生)

好ましい

1% どちらかとい えば好まし

い 21ヽ

(11)

諸川 重刷 ら /TOEICを取り入れた粁しい英語授業の試み

(二年次生) 好ましい 好ましくない 13%

14ヽ どちらかとい えば好ましく

ない 21

S

どちらかとい えば好まし

16

どちらともい えない

36%

問 17で客観的 な意見 を聞いたの に対 して, ここ では利害 も含 んだ好悪 を問 うてみ た。 一, 二年次 と も 「好 ま しくない」傾 向が優 勢であ るO問17の回答 と合 わせ て受 け止 める と,絶 対評価 は学力向上 に効 果が あるか も しれ ないが,そのた めに単位 を落 と し た りす るのは困 る, とい うのが学生の真情だろ う。

問19.昨年 までの英語の授業 とTOEICを中心に した新 プログ ラム に よる英語の授 業 を較 べ る と. どち ら が実用 的 な英語能 力の 向上 に効 果 が あ る と思 いま すか。(二年次生のみ)

・.9%Di b L33%

■5(新プログラムに よる授業の方が効 果的)

4

■3

コ2

■1(従来の授業の 方が効果的) 肯定的な回答 が7苦り近 くを 占めた。学 生が昨年 ど んな授 業 を受 けたのか分か らない と正 しい判断 はで きないか もしれ ないが, まず ,新 プ ログラムは成功 裏にスター トした と考えて よいであろ う。

問 20.昨年 までの英語 の授 業 と新 プログラムに よる英 語 の授 業 を較べ る と. あなた は どち らが好 きです か。 (二年次生のみ)

:

.3 '.269%%

口14%

閏 18と同様 ,効果 とは別 に好悪 を尋ね た。 問19 の回答 よ りやや後退す るが ,それ で もなお新 プ ログ ラムの方 を好む学 生が 多数 を占めてい る。 と もす る と無味 乾燥 にな りが ちな授 業形態 なので, なお学生 の関心 を引きつける努力が必要であろ う。

4 新 プ ログ ラム の 効 果 と意 義

TOEICを授 業 に導 入 す る こ とで プ ラス に な る点 が3 つ考え られ る。 まず 第 1に,英 語学 習 に対す る新 しい視 点 を学生 に与 える こ とであ る。 大学入学以前, ほ とん ど の学生は受験勉強 を通 して訳 読中心 の学 習 を して きてい る。 そのため,入学時 には英語の勉 強 ‑訳 読 と思い込ん でい る者 が多いが,TOEICを取 り入れ た授 業 にお いて, 国際的 な コ ミュニ ケー シ ョン能 力を身 につ ける ことの重 要性 を意識 し,それ が英語 を勉強す る新 しい動機 とな り, 外 国 人 との意志疎 通, あるいは海外 の情 報 を素早 く入手 す るために英語 に取 り組 む 姿勢が生 まれ て くる。 この意 味 で,TOEICの点数 自体が授 業の 目標 にな るのではな く, あ くまで も英語 の運用能力 を高 め るた めに学習 し,その 結果がTOEICの得点 に表れ る とい う姿勢が重 要であ る。

第2に,成績 評価 の公 平性 であ る。 大学 の授 業では一 般的 に,教員 が 自 らの責任 で 自由に評価 基準 を定めて成 績 を出 して きた。 何パーセ ン トは 「優 」何パーセ ン トは

「良」 とい うよ うに相 対評価 を した り, あ る到 達 目標 を 定め,それ に応 じて絶 対評 価 をす る者 もいた。試験 のみ ではな く授 業態度 な どを考慮 す る場合 もあ るo Lか し, TOEIC とい う科学 的 な研 究 に裏付 け られ た世 界共通基 tlf二に此づいて成績 評価 を行 えば,客観性 と公 平 さが期待 で きる。 これ に対 して はい ろい ろな意 見が あ るか も しれ ないが,従来 の,やや もすれ ば悉意的 で暖味 にな りがち な評価基準に比べれ ば,一歩前進 といえるだろ う。

第 3に,授 業 内容や 教育方法 の改 善が 挙げ られ るo従 来は教育効果 がは っ き りと表 われ に くか ったが,毎学期 TOEICのス コア‑が出 るので,ス コア‑ の平均 が落 ちた

合は,教 え る側 は どこに問題 が あったのか,その対策 を考えな けれ ばな らない。 一 方,学生 は 自分の真 の実 力 が数字 と して表れ るの で,本 当に身 につ く授 業 を求 め る よ うになるであろ う。

,問題 点 もい くつ か挙げ られ るO(かこの新 プ ログ ラム とは直接 的 には関係 ないが,学生 のア ンケー トに も あ った通 り, 高校 の頃 ,遡 5時間以 上英語の授 業 を受 け ていたの に,現 在 は一週 に1コマ・90分のみで ある とい うこ と。 多 くの学 生 は2コマ以 上の授 業 を望んでい る。

②TOEICを取 り入れ た この新 プ ログラムで は,コ ミュニ ケー シ ョン能 力の向上は望 め るか もしれ ないが,その一 方で,学 生が希 望 してい る,専門分野 の論 文 を読 んだ り, 苦い た りす る英語能 力を どの よ うにつ け るか, とい う課 題 が あ る。 この間題 も英語 の授業時間 の不 足か ら生 じて い る ともい える。③ 学 /i:̲が 苦手 と してい る,話す ・聞 く

117

(12)

118 岡山大学環境理工学部研究報告,6(1)2001

力 を高 めるた めには, 15rLilの5恒は リスニ ングに 当て るだけでは充分 とはい えない。 文法語桑,読解 を中心 と した授 業の中に も リスニ ン グの要素 を組み込む ことが必 要で あろ う。④ ミニテ ス ト,解答解説 とい う形 式の授 業 は単調 にな りが ちであ る。 学生 に時 々刺激 を与 えるため には,以 前に行われ ていた英語 を適 して教 養 を深 め るよ

うな内容 も大切であろ う。

TOEICを導入 した新 英 語教 育プ ログラム は 半期 が終 わ ったに過 ぎず ,総爪 的な評価 を行 うのは時期 尚早 であ ろ う。 このプ ログラムで2年間授 業を受 けた学 生が2年 後 に どの くらい英語の運用能 力 を向上 させ てい るか を測 って,初 めて第1段階 の評価 がで きる ともいえ る。 しか し,今回 の学生 ア ンケー トに現れ た反 応 は概 ね好評 であ り, これ か らの試行錯誤の 土台は確認 で きた と考 えてい る。 今後 も,絶 えず授 業の形式や 内容 に検 討 を加 え,檎 に応 じて学生か らのフ ィー ドバ ックを取 り入れ なが ら, 所期の 目的が実現 で きるよ う, このプ ログラムの改 善に 取 り組んでい きたい。

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