地球惑星科学関連学会 2004 年合同大会 特別公開セッション
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講 演 要 旨
(
附:「地学教育」セッション講演要旨)
2004 年5月9日(
日)
幕張メッセ 国際会議場
序
昨年の地球惑星科学関連学会合同大会において、特別公開セッション「地学教育の昨日・今日・明日− 地球惑星科学は理科・地学離れを救えるか?−」が、高校における地学履修者の長年に渡る減少問題を直 接的な契機として、そして次世代に我々の研究成果を適正に伝えていくための方法を議論することを目的 として開催されました。解決に当たらなければならない問題は、極めて広範なテーマを内包していますが、 このセッションを通じて多くの研究者・教育者が共通の問題意識を有していることが改めて認識されまし た。あえて疎漏の危険を犯して要約すると、以下の 4 項目を上げることができます。 1.「地学」は講義中心の暗記科目であるという印象を与えている。地球・惑星科学独自の方法論に則った 「地学」の体系化が必要である。 2.地学を専門とする教員が、小・中・高ともに不足している。専門教員の養成を図らなければならない。 3.将来のカリキュラムの中での地学のありかたを議論する必要がある。 4.入試制度における「地学」の現状と問題点を、具体的に把握する必要がある。 これらの問題を継続的に検討するために、コンビーナを世話人として「地学教育」委員会が合同大会運 営機構の下に作られました。現在は、学会推薦の委員が 16 学会、41 名、個人参加の委員が 5 名、うち世 話人 3 名の計46 名で活動しています。諸般の制約にも関わらず、インターネット・メイルによる意見交換 を通じて、「地学」問題への持続的なアプローチが試みられています。本特別公開セッションの企画の成立 過程においても、「地学教育」委員会ML での議論が大きな影響を持ったことを付記させていただきます。 さて、2004 年合同大会公開セッションのテーマは「新しい地学教育の試み−地球惑星科学から「高校地 学」へ−」です。ここでは、上記の項目を踏まえて、地球惑星科学の研究者が高校「地学」に、どんな魅 力的な成果を提供することができるのかを問います。言うならば、「新しい人たち」への地球惑星科学の贈 り物です。研究成果を教材化することは、専門誌に投稿する論文を執筆するのとは違った難しさがありま す。講演を聴いたり、本冊子を読まれた方の中には、その内容に教材としての不完全さを感じられること もあろうかと予想されます。実際、一つの教材が教材として定着するには、少なくとも10 年間の試行錯誤 が必要です。それにも関わらず、多くの学会に所属する研究者・教育者によるこのような取り組みは、「地 学」の現代化へと向かう潮流の一つの端緒と成り得ると信じています。聴講された皆様からの忌憚無いご 意見を頂戴したいと思います。 昨年 11 月に企画を発表すると同時に、関係各学会に向けて講演募集を行いました。上述のように、困難 な作業が予想されるにも関わらず、7 学会からの応募がありました。末筆ですが、応募していただいた学 会関係者の皆様、ならびに今回は応募を見送られましたが、応募を検討していただいた学会関係者の皆様 にコンビーナとして感謝申し上げます。昨年同様、熱のこもった講演と活発な議論によって、今日の集ま りが有意義なものになることをコンビーナ一同、心から願っています。 コンビーナ 中井 仁(大阪府立茨木高等学校,文責) 根本泰雄(大阪市立大学大学院理学研究科) 大村善治(京都大学生存圏研究所)目 次
序 ........................................................................................i 目次 ......................................................................................1 プログラム 特別公開セッション「新しい地学教育の試み−地球惑星科学から「高校地学」へ−」 .............2 レギュラーセッション「地学教育」 ........................................................2 特別公開セッション「新しい地学教育の試み」講演要旨 林 信太郎°@秋田大学教育文化学部,吉本充宏@東京大学地震研究所(日本火山学会) 「火山現象の理解に向けて-モデル実験の効用-」 .........................................5 松本 剛°@琉球大学理学部,中尾 茂@東京大学地震研究所(日本測地学会) 「GPS で見る地殻変動とプレートの動き」 ..............................................10 鈴木文二°@埼玉県立三郷工業技術高等学校,大西浩次@長野工業高等専門学校(日本惑星科学会) 「惑星科学の新展開は「すばる」から」 ...............................................20 地球電磁気・地球惑星圏学会高校地学教育ワーキング・グループ,中井仁°@大阪府立茨木高等学校, 荻島智子@目白学園中学高等学校,森尻理恵@産業技術総合研究所(地球電磁気・地球惑星圏学会) 「太陽-地球系の新しい視点−変動する太陽環境の中の地球」 .............................26 林 慶一°@甲南大学理工学部(日本地学教育学会) 「地学教材の特性と開発の視点」 .....................................................42 中井睦美°@大東文化大学,久津間 文隆@川越初雁高等学校(日本地質学会) 「「高校地学」の再編成と地質分野」 .................................................53 芝川明義°@大阪府立狭山高等学校(日本地質学会) 「理科総合B実習帳を作成して−地学の生き残りを賭けて−」 ..........................61 岡本義雄°@大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎(日本地震学会) 「モデルを意識した地学教材,とくに地震分野」 .......................................64 レギュラーセッション「地学教育」講演要旨 一般講演要旨 (J035-001∼J035-011, J035-P001∼J035-P008) .............................79−88プログラム
********************** 特別公開セッション ********************** A067 『新しい地学教育の試み−地球惑星科学から「高校地学」へ−』 09:00-09:10 大会会長・コンビーナ挨拶 09:10-09:50 『火山現象の理解に向けて-モデル実験の効用』 日本火山学会/林信太郎(秋田大学) 09:50-10:30 『GPS で見る地殻変動とプレートの動き』 日本測地学会/松本剛(琉球大学) 10:40-11:20 『惑星科学の新展開は「すばる」から』日本惑星科学会/鈴木文二(埼玉・三郷工業技術高校) 11:20-12:00 『太陽-地球系の新しい視点−変動する太陽環境の中の地球』 地球電磁気・地球惑星圏学会/中井仁(大阪府立茨木高等学校) 12:00-13:10 休憩 13:10-13:50 『地学教材の特性と開発の視点』 日本地学教育学会/林慶一(甲南大学) 13:50-14:10 『「高校地学」の再編成と,他の理科科目では得られない独自性について』 日本地質学会/中井睦美(大東文化大学) 14:10-14:30 『「理科総合 B 実習帳を作成して」−地学の生き残りを賭けて−』 日本地質学会/芝川明義 (大阪府立狭山高等学校) 14:40-15:20 『モデルを意識した地学教材,とくに地震分野』 日本地震学会/岡本義雄(大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎) 15:20-16:00 総合討論************************ レギュラーセッション ************************
J035
『地学教育』[
口頭講演]
16:10 - 16:15 挨拶 16:15 - 16:26 J035-001 『科学する心に灯る宇宙クイズのその場教育と総合的な学習の時間の結合』 渡辺 勇三 16:26 - 16:37 J035-002 『教育大-公共天文台-県教育センター-教員のネットワークで行う新たな天文教育の試み』 高田 淑子,長島 康雄,伊藤 芳春,佐々木 佳恵,松下 真人,斎藤 正晴 16:37 - 16:48 J035-003 『国際宇宙ステーションを活用した 21 世紀型理科教育』 川上 紳一 16:48 - 16:59 J035-004 『地震防災力向上のための中学生を対象とした教育支援システムの試作』 森岡 寛,江翠川 三郎 16:59 - 17:10 J035-005 『水の状態変化を理解するための Web 教材開発 ― 分子動力学シミュレーションを利用して 』 赤松 直,川上 紳一,河村 雄行 17:10 - 17:21 J035-006 『滋賀県内高校生の地震に関する意識調査』 中島 健 17:21 - 17:31 休憩 17:31 - 17:42 J035-007 『大学の教職理科課程における地学関連科目の内容』 河野 忠 臣 17:42 - 17:53 J035-008 『環境問題に対する大学生の意識について』 杉 憲子 17:53 - 18:04 J035-009 『工業大学で地学教育は必要か? −フィジー諸島での自然体験実習の試み』 萩 谷 宏 18:04 - 18:15 J035-010 『ミュージアムにおける発見学習∼日本科学未来館の火星イベントを通じて∼』 新 井 真 由 美 18:15 - 18:26 J035-011 『統合国際深海掘削計画(IODP)の普及・教育活動』 IODP 普及広報教育検討グループ[
ポスター講演]
18:26-19:30 ポスター講演コアタイム J035-P001 『新設科目「理科総合 B」を実施して』 芝川 明義 J035-P002 『スペクトル概念を育む地学教育 − 科学基礎概念習得から見た地学の役割 −』 南島 正重 J035-P003 『高校生の地震に対する意識調査および地域による相違点』 荒井 賢一,数越 達也 J035-P004 『高等学校科目「地学」選択者の減少は大学入試が元凶なのか?』 根本 泰雄 J035-P005 『学生の意識でみた地震と噴火の予知と減災』 岡田 弘 J035-P006 『第4回地震火山こどもサマースクール「活火山富士のひみつ」』 小山 真人,鍵山 恒臣,中川 和之,橋本 学,第4回地震火山こどもサマースクール実行委員会 J035-P007 『地学的でない地学教育 ―桜島をテーマにした実践例―』 福島 大輔 J035-P008 『博物館の地球科学教育におけるインターネット活用の意義』 平田 大二,山下 浩之,新井田 秀一,小出 良幸新しい地学教育の試み - 日本火山学会
火山現象の理解に向けて-モデル実験の効用
Educational tool for understanding volcanic phenomena -Utility of analog model simulation
林 信太郎゜(秋田大学教育文化学部),吉本充宏(東京大学地震研究所) 要約:火山現象の理解のためにはモデル実験が 有効である.モデル実験には,1)火山現象の疑 似体験ができ,火山現象を直感的に理解できる, 2)観察・考察の対象とすることができる,3) 強い印象を残すことができる,という効用があ る.特に 2)について検討するために,二つの 実験について,その概要を紹介する.ポリエチ レングリコールを用いた溶岩流の地形の観察は, 供給率というパラメータを変化させることに よって,どのようにポリエチレングリコールの 形状が変化するかを読み取ることができる.こ れらの形状を天然の溶岩流と比較することに よって溶岩流の表面地形や形状と噴出率との関 係を導くことが可能である.チョコレートとコ コアを使ったカルデラ実験は,火山体の形状や マグマだまりの形状を変えることで,カルデラ の形態がどのように変化するかを観察すること が可能である.両実験とも,生徒の自由な発想 に基づくパラメータの変更が可能であり,火山 現象の理解と,生徒の思考力や柔軟性を高める こと,の 2 点で教育効果が高いと考えられる. 1.はじめに 火山現象はダイナミックで驚異に満ちている. また,火山現象は災害や火山のもたらす恩恵を 通じて,自然環境の一部として人々の生活とつ ながっている.現象そのもののおもしろさや生 活への密着度が高いことから,火山分野は,生 徒の関心をひきやすく,地学の中でも比較的教 えやすい分野と考えられる. しかし,火山分野には覚えるべき言葉が多く, 授業に工夫をこなさなければ,暗記に終わって しまい,生徒につまらないという印象だけを残 す恐れもある.では,どのようにすれば生き生 きとした授業を行うことが出来るのだろうか? 私たちは,主に二つの方策を考えている.第一 の方策としてはできるだけ噴火映像を見せるこ とである.第二の方策としてはモデル実験を使 い,体験的に理解を深めることである. 第一の点はほぼ自明と考えられる.噴火映像 を見ることにより,生徒は火山噴火のダイナ ミックでリアルなイメージを形成することがで きる.もちろん,実体験ほどのリアリティはな いが言葉では伝えられない迫力を示すことが出 来ることも事実である.溶岩・火砕流・泥流な どの基本的な災害要因については映像による学 習が必要と考える. 本講演の主要な論点である第二の点について これ以降述べていきたい. 2.モデル実験の効用 筆者らは火山現象を再現するためのモデル実 験をいくつか開発中で,その一部は教育現場で の実践的な検証段階にある.これらの開発経験 や実践経験を総括してみるとモデル実験の効用 としては次の点をあげることができる.具体的 な実験例については,3? 4 章で述べる. 1)火山現象の疑似体験ができ,火山現象を直 感的に理解できる. 2)観察・考察の対象とすることができる. 3)強い印象を残すことができる. 著者の一人(SH)はチョコレートマグマとコ コアミニチュア火山による火山性地殻変動のシ ミュレーションシステムを考案し,中学校(秋 田市内,近隣に活火山はない)において使用し た.今回はその際の生徒の反応や感想を元に上 記の 3 点について述べていきたい. <モデル実験での火山現象の直感的理解と 疑似体験> 今回の実践の中で,ビデオ映像で溶岩の流れ を見せるよりもモデル実験の方が直感的な理解 を得やすいらしいことに気がついた.著者の一 人(SH)は,実験を始める前に溶岩流の映像を 見せ,それで十分な理解が得られたと思ってい た.次の時間にチョコレート実験を行ったが, 調整したチョコレートの粘性が低すぎて,ココ アの山から溶岩が流れ出し,結果的に溶岩の流 動を見せることになった.当初のねらいとは異 なった実験になったが,意外にも「チョコがマ
グマになり,ながれていて,このようになる, (略)こともよくわかりました.」「チョコレー トを使った実験では,マグマの流れが,よく分 かりました.」との感想があり,溶岩の流れにつ いて理解が深まったことがわかる.このような ごく単純なモデル実験でもビデオ映像を補完し, 子供達に「わかった」と思わせる役割を持ちう るらしい. また,実際に体験することが難しい火山現象 でも,モデル実験の設計次第でリアルな疑似体 験が可能である. 「本当の火山をみてるような・・・」「チョコ レートを入れたとたんにココアがくずれ,チョ コレートがドロドロと出てきました.まるで本 物のようでした.」とリアルさを強調する感想が 見られた.「チョコレートで噴火実験は実際と同 じような噴火を見ることができたし」「火山の噴 火するしゅん間がゆっくりとわかりました.」と の感想は,モデル実験であることを忘れて,実 際の噴火と混同するほどリアルな疑似体験で あったことを示している.このようにモデル実 験にはリアルなイメージを喚起する効果がある. <思考力や観察力を養うためのモデル実験> 「チョコレートは実験で上の方からでてくる と思っていたのに,横から出てきたのでおどろ いた.」「4 時間目のじっけんでは下からいれる チョコがどのようにでてくるのか思わずドキド キしてしまいました.」以上の感想から生徒達は あらかじめ推論を行い,結果と比較して驚きを 感じていることがわかる.モデル実験は,割れ 目の発生の過程を調べるなど詳細な観察が可能 で,さらにまた,自分たちでパラメータを変化 させることができるので探求的な実験も行える. このようにモデル実験は地学的な思考力や観察 力を養うために有効である. <印象に残るモデル実験> モデル実験の効用として最後にあげたいのは, モデル実験が印象に残ることである.「とても勉 強になったし,楽しかったです.」「とても楽し くできてよかったです」と実験の楽しさを強調 する意見が多かった.楽しい記憶を鍵として火 山現象に対する理解が長期的に保たれる効果が あるかも知れない.また,手に触れることがで きるため火山を身近に感じることができる効果 も見逃せない. 以上のように,モデル実験には様々な効用が ある.特に,思考力や観察力を養う効果につい て次章以後,2 例の実験をあげて検討していく. 3.モデル実験の例(その 1)ポリエチレング リコールを用いた溶岩流の地形の観察(吉本 充宏) 火山の噴出物は多様な形態を示す.これらは マグマの化学組成,粘性,噴出率,噴火様式な ど様々な要素が重なり合って作られている.噴 火現象として最も連想しやすい溶岩流を見てみ ると,同じような化学組成をしていても異なる 表面形態を示すものがある.たとえば水底へ比 較的静かに噴出した場合,第 1 図に示されるよ うな枕状溶岩が形成される.しかし同じ玄武岩 質の溶岩でも水底に比べ冷却率が低く噴出率が 高い場合には第 2 図に示したように縄状や溶岩 堤防といった地形を作り出している.このよう な形態はどのような要素によって支配されてい 第 1 図 海底に堆積した枕状溶岩.なめらか表面を もっている. (http://atlas.geo.cornell.edu/education/instructor/volcanoes/ pillow.html から引用) 第 2 図 ハワイの溶岩.表面が縄目のようによじれた 地形や流れの両端には小さな溶岩堤防がみら れる(USGS,HVO の HP より引用).
るのだろうか.一般にこれらの溶岩流の形態は, 粘性,冷却率,噴出率,結晶度などの違いによ るものであることが明らかにされている.しか し,これらの要素をすべて考慮して溶岩流の形 態を理解することは容易なことではない. ここでは,溶岩流と同じような物理的性質を 持つものを使ったモデル実験から溶岩流の多様 性を生み出している要素の一つである噴出率が どのように関与しているのか理解するため,ポ リエチレングリコールを用いて様々な溶岩流の 地形を再現する実験を紹介する.ポリエチレン グリコールは,これまで溶岩流の表面地形や流 動メカニズムを理解するためによく用いられて きた実験である(たとえば Gregg and Fink,1995 や Fink and Griffiths,1992 など).今回紹介 する実験は,東京大学地震研究所の一般公開で 大学院生らの企画によって一般市民を相手に行 われたものである.当初,実験は小学生,中学 生,高校生を対象に予定していたが,実際には 中学や高校の理科の先生で教材にと熱心に記録, 観察されていた方も大勢いた. 実験材料としてポリエチレングリコール 600ml,注射器,シリコンチューブ,発泡スチロー ルの水槽,板,氷水,食紅,温度計を準備する. 実験手法は,水槽中に傾斜角 6 度前後のスロー プを作成し,水温を 5 度程度に保つ.注射器に シリコンチューブを付け,注射器から食紅で着 色したポリエチレングリコールをスロープ上に 流す(第 3 図).注射器を押す力によって供給率 を調整する.供給率の違いによるポリエチレン グリコールの形状を観察する. 実験の結果,供給率を毎秒 0.25ml に設定した 場合,表面がなめらかでずんぐりとした形状に 成長した(第 4 図).一方,供給率を毎秒 2.0ml にした場合には,しわが発達したり,流れの両 側に土手が形成されるのが観察できる(第 5 図). また途中,食紅の色を変化させると,トンネル が形成され,ポリエチレングリコールが先端部 まで冷却されないため,より遠くに流れる様子 が観察される. これらの形状は天然の溶岩と類似するものが ある.供給率を低く維持した場合の形状は枕状 溶岩やローブ状溶岩といった地形に類似する. また供給率を高く維持した場合の形状は縄状溶 岩や溶岩堤防といった地形に類似する.このよ うな様々な条件で作成したポリエチレングリ コールの模擬溶岩流の形態と天然の溶岩流の形 態を比較することによって溶岩流の形態に噴出 率(供給率)が密接に関わっていることが観察・ 理解することができる.また実際に流れる溶岩 第 3 図 実験の模式図.水中につけたシリコンチュー ブ内でポリエチレングリコールが固化しないよ うに工夫する. 第 4 図 低い供給率(毎秒 0.25ml)を維持した場合,表面 がなめらかでずんぐりとした形状に成長した. 第 5 図 高い供給率(毎秒 2.0ml)を維持した場合,流れ の両端に堤防が形成し,流れの表面には多数に しわが観察される.
流の映像を見ることによってさらに理解が深ま ると考えられる. この実験は手に入りやすい材料で,溶岩流の 流動のメカニズムを直感的に理解することので きるものであり,また自分たちで注射器の押す 力を変えることによって供給率というパラメー タを簡単に変化させ,ポリエチレングリコール の形状の違いを読み取ることができるという特 徴を持つ.またこれらの形状は天然の溶岩流と 比較することによって溶岩流の表面地形や形状 と噴出率との関係を導くことが可能である.ま たなぜ噴出率によって形状が変化するのかとい うことを考えていく上で噴出率,温度,粘性と いった噴火における重要なパラメータの関係の 理解が深まると考える.このような実験は一見 単純に見えるが,火山を理解する上でよい教材 であると考えている. 4.モデル実験の例(その 2)チョコレートと ココアによるカルデラ実験 林(2003)は,チョコレートとココアによるク リプトドーム実験を開発しその教材としての可 能性について述べた.ここでは,この実験のシ ステムを利用して作成した,カルデラシミュ レーション実験を紹介する.実験のシステムは, クリプトドーム実験とほぼ同じである.1)アク リル板に穴をあけ,ここにマグマだまりの容器 となるアルミホイルの筒を,アクリル板に密着 させて置き,ティッシュ等で穴をふさぐ.2)マ グマのアナログとなる生チョコレートを調整し, アルミホイルの筒の中に入れる.この時,生チョ コレートの粘性が十分低くなるように調整を行 う.3)システム全体に急いでココアの粉を振り かけて火山体を作る. 4)穴をふさいでいた ティッシュを取り去り,チョコレートを流出さ せる.カルデラ形成の様子をビデオ等で記録し, 観察する. 以上の実験の結果できた模擬カルデラ(以後 カルデラと略称)は,三宅島の 2000 年噴火で形 成された火口と類似している.カルデラの形成 については,三宅島 2000 年噴火の際に詳しい観 察が行われた.しかし,陥没がある程度進行し てから現象が発見されたため,陥没の初期の状 況は観察されていない.模擬実験はかなりリア ルに陥没の結果を再現でき,リアルな疑似体験 ができるものとなっている.この実験ももちろ んアナログ実験であり,火山体の強度や均質性, サイズが異なっており,この疑似体験が実現象 と同じであるという保証はない.しかし,実験 の結果として出来たカルデラの形状は,三日月 型のブロックが火口縁に取り残されるなどの点 で良く類似している. また,この実験はパラメータを変更すること で様々な実験ができる.例えば,第 6 図に示し たように,円形の断面を持つマグマだまりを火 山体の斜面下に作る実験を行うと,火山体の傾 斜方向に伸張した楕円形のカルデラが形成され る.これは,秋田駒ヶ岳の南カルデラとよく似 ている.割れ目系をよく観察すると,沈降に取 り残された火山体上方のブロックと沈降を続け るマグマだまり直上のブロックの間に顕著な段 差(第 6 図 d 中の矢印)が生じている.秋田駒ヶ 岳では,この部分に後カルデラ中央火口丘が配 列し,カルデラ形状も実験と類似している. また,秋田大学教育文化学部で開設されてい る基礎地学実験ではこの実験を教材として取り 入れた.学生はマグマだまりの形状を変えて行 う実験を自ら考え出し,マグマだまりの形状と カルデラ形状の関係について考察を行っていた. 例えば,水平断面形状がハート形のマグマだま りでシミュレーションを行うと,マグマだまり の深さが十分に深ければ,カルデラ形状は円形 に近くなるという興味深い結果が得られている. このようにこの実験は,生徒の自由な発想に 基づいて様々なパラメータの変更が可能であり, 生徒の思考力や柔軟性を高める可能性がある. 第 6 図 斜面におけるカルデラ形成のモデル実験 斜面でのカルデラ形成実験.秋田駒ヶ岳南部カ ルデラとよく似た構造を作ることが出来る.a: 実験開始直後.まだ表面に変化は現れていない. b:前の図の 2.03 秒後.赤で示した領域全体で表 面が変形し沈降が始まる.c:沈降域の一部に断 層が現れ陥没が始まる.沈降はブロックに集中し 他の部分は変形しない.d:沈降するブロックが さらに分裂する.山体上部のブロックは取り残さ れ沈降部分との間に段差が出来る.
5.最後に 筆者らは,この他にも多数の火山現象学習用 のモデル実験を開発した.今回の講演ではこれ らをできるだけ多く紹介したい.また,今回の 合同学会のポスターセッションでは,毛利・林 によりココア火山とチョコレートマグマを使用 した,クリプトドーム実験を実演付きで紹介す る.見学・参加して頂ければ幸いである.なお, 本研究に当たっては茨城大学理学部の藤縄昭彦 博士に秋田駒ヶ岳のカルデラの構造についてご 教示いただいた.秋田大学教育文化学部の毛利 春治技官には,一連の研究の共同研究者として 本稿に関わる内容についてもご議論いただいた. また,秋田大学教育文化学部 4 年次の俵山祥一 氏には実験の一部を卒業論文の一環として行っ て頂いた.さらに東京大学地震研究所の一般公 開に携わった大学院生の方々には実験の手法, 効果,反響など教えていただいた.以上の方々 に深く感謝する. 文献
Fink, J. H. and Griffiths, R. W., 1992, A laboratory analog study of the surface morphology of lava flows extruded from point and line sources. J.Volcanol.Geotherm. Res., 54, 19-32.
Gregg, T. K. P. and Fink, J. H., 1995, Quantification of submarine lava-flow morphology through analog experiments. Geology, 23, 73-76. 林 信太郎(2003)チョコレートマグマで作るクリプトドー ム,地球惑星関連合同学会,J068-005 2003 年 5 月 27 日,幕張メッセ. 林 信太郎,高橋健一,浦野弘(2002)学校教育の中の火 山防災教育ー秋田大学教育文化学部附属小学校にお け る 授 業 実 践 例 ( 演 旨 ) ,日 本 火 山 学 会 講 演 予 稿 集,2002,2,105,(日本火山学会). —————————————————— 林 信太郎:[email protected] 吉本充宏:[email protected]
新しい地学教育の試み - 日本測地学会
GPS で見る地殻変動とプレートの動き
松本 剛
゜(琉球大学理学部)
,中尾 茂(東京大学地震研究所)
要約: 我が国でGPSを用いた基線長変動観測研究が 開始されてから10年以上が経過し、現在は国土 交通省国土地理院が日本全国に電子基準点を 構築し、業務として国土の地殻変動モニタリン グを行うに至っている。これら電子基準点デー タの示す地殻変動・プレート運動は、データ取 得から推論を経てモデル形成に至る過程を明 快に示すことが可能であり、地震・地殻変動・ プレート運動などの基礎を学ぶ高等学校の地 学科目に於いて、教材として選定するに相応し い。本稿では、高等学校で教えられる地球の変 動とプレートテクトニクスの内容を整理し、そ の履修過程でGPS観測を副教材として取上げる ことの意義とともに、副教材案を提示する。 1.序 地学(=宇宙地球科学)は一種の応用科学で あり、物理学・化学、或いは一部生物学などの 基礎理論を応用して宇宙・地球に起こる自然現 象を解明する科学である。従って、まずはこれ ら自然現象を科学的な手法を以って観察・観 測・計測し、その結果をもとに基礎科学の理論 を当てはめて推論し、自然現象のメカニズム、 原動力、当然の帰結としてこの様な自然現象の 生起する過程を紐解いて行くことが、本来の方 法であると言える。しかしながら、対象は宇 宙・地球全体を扱うこと、或いはこれら観測に は特殊な機械装置を使用することが多く、全て の生徒が屋外のフィールドワークを行って基 礎データを取得すると云うわけにはいかない。 その様なわけで、高等学校で地学を学ぶ際には これらの本来の手順をスキップして、まずは知 識から入ると云う方法を取らざるを得ないの が実情である。このような問題点を打開するた めには、本来の観察・観測・計測の実体験が不 可能であっても、それに近い環境を教室で再現 して「擬似体験」することにより、データ取得 からその整理・処理・解析、その結果を考察し た上でモデル化、新たな仮説の設定と云う過程 を通して、科学の方法を学ぶ機会を提供する必 要がある。近年はインターネットの普及によっ て、居ながらにして多くの情報を引き出すこと が出来る。国公立調査研究機関が業務として 行った観測の成果は原則として公開しなけれ ばならず、またどの機関も、業務内容の周知や 最新の成果の普及のためにインターネットを 活用しており、また、頻繁に見学会を開催する など、「教育・啓蒙」(education and public outreach)は今や洋の東西を問わずこれら調査 研究機関の業務の中でも比重が高くなりつつ ある。この意味で、工夫次第ではインターネッ トを活用した調査観測の「擬似体験」も学習の 中に取入れることが可能となって来ている。 2.高校地学におけるプレートの概念の取扱 高等学校の理科のうち地学関連科目に於い ては、プレートテクトニクスが扱われる。以下、 高等学校学習指導要領に示されたプレートテ クトニクス関連分野を列挙する。 理科基礎 「プレートテクトニクス説の成立」:モデル実 験やコンピュータシミュレーションなどを通 して、大西洋中央海嶺の発見が契機となり地球 表層の運動がプレートの動きで説明できるよ うになるまでの過程を平易に扱い、地殻や地表 に見られる地学現象がそれによって説明でき るようになったことにも触れる。 理科総合B 「地球の変動」:プレートの動きによる世界の 大山脈の形成などの大地の変動について理解 させる。プレートの動きによる大地の変動を平 易に扱う。その際、世界の大山脈の形成など典 型的な事例を取り上げ、それに関連して、褶曲 や断層、不整合にも触れる。プレートの移動の 原因については深入りしない。 地学I 「地球の内部構造と構成物質」:地球表層の形 成と活動を中心に平易に扱う。プレートの概念 も扱い、マントル内部の運動にも簡単に触れる。 構成物質については、岩石を中心に扱い、鉱物 については主要なものにとどめる。「火山と地震」:地震及び火山活動をプレート の運動と関連させて扱うこと。地球内部のエネ ルギー源については深入りしない。 地学 II ・プレートの動きと地殻の変化 「プレートの動き」:海洋プレートの生成・移 動・消滅を中心に扱う。 「大地形の形成」:プレート境界の種類と大地 形の関係、大陸地殻の成長を中心に扱う。 ・日本列島の変遷 「島弧としての日本列島」:日本列島の地質構 造や火山・地震に見られる特徴を、日本付近の プレート境界と関連させて扱う。その際、地殻 熱流量にも触れる。 この様に、高等学校で教えられる地学では、 プレートの概念、またその原動力としてのマン トル内部の運動、更に、地震・火山活動とプレー ト運動との関連性が扱われる。また、地学では、 プレートの動きや地殻の変化を観察・実験など を通して探究し、現在の地球の変動の様子、地 球の進化や日本列島の変遷を理解させ、地球を 動的に捉えられる様方向付けをすること、特に、 日本付近のプレート境界と関連させて扱うこ と(現高等学校学習指導要領)が求められてい る。 また、特に地学 II ではプレートテクトニク スが内容の根底にあり、全指導課程を通じてプ レートの動きや地殻の変化を観察、実験などを 通して探究し、現在の地球の変動の様子、地球 の進化や日本列島の変遷を理解させ、地球を動 的にとらえることができるようにすることが 求められている。すなわち、固体地球の現象を プレートテクトニクスによって統一的に説明 する様な内容・体系となっている。 プレートの概念の確立は取りも直さず現代 地球科学の歴史そのものである。大陸の海岸線 の類似から着想された仮説が海洋観測によっ て得られた様々な証拠に基づいて次第に認知 され、また観測精度の向上によって体系立った 理論となっていったものである。プレート運動 の原動力とされるマントル対流についても、最 近の全地球地震波トモグラフィーとそれに基 づく数値シミュレーションなどによってほぼ 確からしいと認知されるに至っている。しかし ながら、これら「証拠」とされる海洋プレート 上の大洋中央海嶺・海溝・ホットスポットなど の特徴的な地形、海洋プレート上に現れる地磁 気正負異常による地球磁場反転史などは、あく までも過去のプレート運動史を示す間接的な 証拠に留まるものである。現在のプレート運動 とされている動きは、これら過去のプレート運 動史をもとに推定・外挿されたものに過ぎない。 日本列島などで起こっている地震・火山現象の 原動力となる現在の地球表面のダイナミック な動きの具体的なイメージを掴み、これら諸現 象の理解を深めるためには、現在の地球表面の 運動を直接観測し、その観測データに基づいて 地殻変動やプレート運動の絶対量を推論する 方法を学ぶ必要がある。このための手法として、 GPS(汎地球測位システム)、VLBI(超長基線干 渉測位法)、音響干渉測位法による海底基線長 観測などの研究が進められているが、中でも GPS は今や最も簡便にプレート運動を知ること の出来るシステムとして広く普及し、世界中で 同一基準・同一精度により継続観測が展開され ている。 本稿では、GPS によるプレート運動の直接観 測を高校地学での学習内容として採用するこ とを提案する。 3.GPS(汎地球測位システム) GPS は、高度約 20000km の軌道上に配備され た複数の人工衛星及びその追跡・制御のための 地上局ネットワークから成る電波航法システ ムである。1973 年に米国防総省によって開発が 開始され、1993 年 12 月に正式に運用開始とな り、地球上のどの地点でも天候や時間帯に関係 なく、位置・速度・時間についての正確な情報 が提供されるに至った。衛星配置のイメージを 図 1 に、GPS の諸元を表 1 に、それぞれ示す。 図1:GPS衛星軌道のイメージ図(M. Rothacher, 1999, つくばGPS国際シンポジウム初心者向講義資料より)。
衛星個数 4∼6 個×6 軌道面 28 衛星稼動中 (2004 年 3 月 10 日現在) 衛星設計寿命 7.5 年 軌道半径 26,561km 周回周期 12 恒星時間(約 11 時間 58 分) 軌道傾斜角 55 度 送信電力 L1: C/A コード: 約 26W P(Y)コード: 約 13W L2: P(Y)コード: 約 4W 搬送波周波数 L1: 1,575.42MHz (10.23MHz×154) L2: 1,227.6MHz (10.23MHz×120) 測距信号 C/A コード: L1 波で送信, 民生用に開放 P(Y)コード: L1, L2 で送信, 軍用 地上受信精度 (仰角 5 度以上) L1: C/A コード: > -160 dBW P(Y)コード: > -163 dBW L2: P(Y)コード: > -166 dBW 単独測位精度 C/A コード: 約 100m (SA 時) 約 10m (SA 解除後) P(Y)コード: <1m 表 1:GPS の諸元(電子通信学会 WWW をもとに一部内容更 新)。 軌道傾斜角 55°の 6 軌道を 60°ずつの間隔 で配置し、各軌道上に 4∼6 個の衛星を配備し ている。これら衛星から発せられる電波を受信 して衛星からの距離(実際には電波到達時間に 光速度を乗じて得られる擬似距離)を求め、更 に衛星電波に含まれる位置情報・軌道情報をも とに、地球上での位置(緯度・経度・高度)を 求めるシステムである。衛星は時刻制御のため、 1ナノ秒(10-9秒)の精度の原子時計(セシウ ム・ルビジウムなどの標準周波数発信装置)を 搭載しているが、それに比べて受信機の時計は 精度が悪いので、通常は 4 衛星以上からの電波 を受信し、それによって 3 次元位置及び時計の ずれを求める。2004 年 3 月現在、28 衛星が稼 動中であり、これにより、常時 6∼10 衛星を同 時に捉えることが出来る。地球重力ポテンシャ ルの影響により、各衛星の詳細な軌道要素は 時々刻々変化するが、それについては、米コロ ラドスプリングスにある制御基地とその他世 界中に 4 箇所ある追跡基地(ハワイ・アセンショ ン・ディエゴガルシア・クエゼリン)で常時衛 星を追尾し、その結果を解析して各衛星の軌道 を再決定し、衛星電波の内容のうちの almanac, ephemeris の部分を更新している。これらは GPS 衛星電波を通じて受信機に入力されるため、 「放送暦」と呼ばれているが、あくまでも予測 値である。航海用としてはこれで充分であるが、 精密測位のためには実際の衛星暦による再計 算が必要であり、そのためには GPS 衛星の追跡 によって正確な衛星暦を後日決定し、これを用 いなければならない。その衛星暦の再決定の サ ー ビ ス を 行 っ て い る の が 米 航 空 宇 宙 局 (NASA) の下部組織である International GPS Service (IGS)であり、全世界の 365 箇所の衛 星追跡センター(2004 年 3 月現在)での測定結 果をもとに、「精密暦」を公開している。 元来は航海用・航空機用測位のために開発さ れたシステムであるが、現在はカーナビゲー ション装置、GPS 付携帯電話などを通して、一 般にも普及しつつある。また、高精度の原子時 計を搭載していることから、受信信号を精密な 時計として使用することも出来る(例えば移動 観測用地震計の時刻合わせなど)。 GPS が現代地球科学に果たした役割は大きい。 単独測位であっても、旧来の電波航法装置と比 較すれば格段の測位精度の向上を果たしてお り、ほぼ時期を同じくしたマルチナロービーム 音響測深機の普及と相俟って、信頼性の高い精 密海底地形図の作成が可能となり、海洋底地球 科学は革命的な進展を果たした。海洋プレート 生成域に当たる大洋中央海嶺の拡大軸が数十 km∼100km 程度のセグメント構造をなし、セグ メント間の断層も、トランスフォーム断層のみ ならず non-transform discontinuity (NTD)な どの形態も見られること、或いは、大陸・島弧 の周辺に発達する凹地の中には円形の急斜面 に縁取られ、大規模な海底地辷りの痕跡を示す ものがあることなどの重要な成果が次々と出 されている。また、潜水調査船の活躍によって、 海底熱水活動や光合成によらない特異な生態 系を構成する「化学合成生物群集」などが発見 され、またこれらの地点の長期モニタリングな ども行われているが、これらについても、潜航 調査中の基準となるべき母船の位置が不確か では到底達成し得ないことであり、数十m以内 の精度で(当時)測位可能な GPS の普及に負う ところが大きい。 この様な使途の他、衛星からの搬送波の位相 差を複数地点で観測することにより、これら地 点間の基線長が cm オーダーの精度で測定可能 であることが、運用開始当時より注目されてい た。本邦では 1990 年頃より、東京大学地震研 究所や建設省(現国土交通省)国土地理院など
が中心となって、簡便且つ精密な地殻変動観測 への応用に関する研究が併せて進められてい た。 図 2:GPS 大学連合による西太平洋 GPS 連続観測網(WING) による 1995 年7月から 1996 年 10 月に掛けての観測 結果(小竹・加藤・中尾・他,1998 による)。ユー ラシアプレートに対する相対変位とその 95%信頼区 間で示される。 東京大学地震研究所は「GPS 大学連合」を組 織し、地球物理分野の教育・研究を行う全国大 学の協力を得て、日本国内の地殻変動観測キャ ンペーンや国際共同研究などによる西太平洋 GPS 連続観測(WING)、伊豆半島稠密観測などを 展開した。図 2 はそのうちの WING の一環とし て 1994∼1995 年の間実施された環フィリピン 海観測により求められた各測点の変位ベクト ル(ユーラシアプレートを基準とする)で ある。 一方、国土地理院は国土測量業務のための測 器の性能評価と測定データの品質向上、各種測 量の基準点の管理、広域地殻変動モニタリング の目的で GPS による基線長観測を行って来た。 併せて、日本国内の GPS 関連の研究者の横断 的な情報交換の場でもある「GPS-JAPAN」グルー プも発足し、或いは、日本測地学会講演会での 地殻変動セッションで GPS 関連の発表が徐々に 増加し始めたのもこの頃である。測器メーカー の方もそれに合せて性能向上と機器のダウン サイジング、データ取得ソフト・処理ソフトの 改良を重ねた結果、今や陸上での測量(公共測 量・一般測量)や建設現場でも GPS が活用され るに至っている。 4.国土地理院による全国電子基準点 国土交通省国土地理院は、日本全国に約 25km 間隔で「電子基準点」を設置しており、その点 数は現在 1000 点を越えている(図 3)。これら 観測データは国土地理院本院に集積され、直ち に解析が行われて、各基準点間の基線長変動、 相対的な変位が求められる。また、各基準点間 の基線長変化グラフ、過去 1 年間の変動のベク トル図などの形でこれら観測データが可視化 されている。また、地震などのイベントがあっ た直後には震源付近の観測点のデータを示し、 併せて地震に伴う地殻変動量の評価結果を求 めている。これら生データ及び解析結果はイン ターネットを通じて公開されている。この様に、 世界にも類を見ない密な測量の結果、東北日本 のプレート収斂域に面した三陸地方での歪、沖 縄トラフの拡大、フィリピン海プレート・ユー ラシアプレート間相対運動などが明瞭に示さ れている。 図 3:国土地理院による全国電子基準点の分布。 5.高等学校地学のための教材の提案 上記電子基準点データは、現在のプレートの ダイナミックな運動、及びその地震・火山・地 殻変動などとの関連性を学ぶ高校地学の教材 として相応しい内容である。電子基準点の実 データを用いて、データ取得からモデル形成に
至る道筋を示すカリキュラム「GPS で見る地殻 変動とプレートの動き」を以下に提案する。記 載方法は、学習指導要領に倣った文体となって いる。 「GPS で見る地殻変動とプレートの動き」 (1)GPS の原理 GPS の基本原理、最低 4 衛星からの受信電波 により、世界中至る処で同じ条件で位置が求め られること、カーナビゲーション装置や携帯電 話などに応用され、既に広く一般社会に普及し ていることを学ぶ。 (2)GPS による地殻変動観測 近接した複数の観測点で同じ GPS 衛星からの 電波を同時に受信することによって、より精密 な測位を行うことができること、また、GPS 衛 星からの信号の搬送波の位相差を測定するこ とによって、地点間の基線長が高精度に求めら れること、またこれを長期間観測することに よって、基線長の時間変動を求めることができ、 これがとりも直さず地殻変動の直接測定であ ることを学ぶ。 (3)GPS 観測による基線長変動 特定の地域に於いて、その中に含まれる代表 的な複数の基準点間に於いて、(2)の原理に よって観測された過去 1 年間の基線長変動のグ ラフを例として提示し、変動値を読取る。それ らのデータをもとに、基準点間の基線長変動値 を把握し、その地域差、周辺海域の特徴的な地 形との位置関係などを考察する。併せて、これ ら基線長変動に基づき、各地点の過去 1 年間の 位置変化が求められることを理解する。 (4)地殻変動・プレート運動による位置変化 地殻変動・プレート運動により、陸地が絶え ず変形を受けており、その結果、地球上におけ る各地点の位置を表す緯度・経度も変化してい ることを理解する。また、このことが複数の基 線長解析によって得られることを理解すると ともに、代表的な複数の基準点について、基線 長解析処理後変換された各地点の位置変化 データを示し、その大きさを把握する。 (5)現在の地殻変動とプレート運動 (4)で示された位置変化データをもとに、 ベクトル図(特定の地点を基準として他地点が どの方向にどれだけの速さで運動しているか) を描かせ、変動の特徴を読み取らせる。またそ の結果を考察し、海溝・トラフなど周辺海域の 特徴的な地形との位置関係、深発地震分布との 関係などの考察を行う。 6.教材例 以下、本節は、高等学校地学で扱われる副教 材を意図した体裁とする。 * * * * 「GPS で見る地殻変動とプレートの動き」 (1)GPS の原理 GPS は、高度約 20,000km を飛行する人工衛星 からの電波を受信することによって精密な位 置を求めるための航法システムである。人工衛 星の位置はあらかじめ予報されているので、受 信機は人工衛星から受信点までの距離(正確に は電波到達時間に光速度を乗じて得られる擬 似距離)を計算し、それをもとにして受信点の 位置が求められる。位置には、緯度・経度・高 度の 3 要素が含まれるが、受信機の時計は人工 衛星に搭載された時計ほどには正確ではない ので、受信機の時計の進み遅れも未知数と扱い、 計 4 個の未知数を求めなければならない。この ため、位置の計算には 4 個以上の衛星からの電 波を同時に受信することになる。航海用や航空 機用としてだけではなく、陸上を含めて世界中 至る処で同じ条件で位置が求められることか ら、カーナビゲーション装置や携帯電話などに 応用され、現在では広く一般社会に普及してい る。 (2)GPS による地殻変動観測 衛星から地上に到達する電波は、電離層や大 気の影響を受ける。しかし、近接した複数の地 点で、同じ GPS 衛星からの電波を同時に受信す れば、衛星或いは大気の状態による共通の誤差 要因を除去することができ、より精密な測位を 行うことができる。また、GPS 衛星からの信号 の搬送波を複数地点で受信し、その位相差、す なわち、1 波長のうちのどの部分を受信したか を各地点で測定することによって、地点間の直 距離(基線長)を精度良く求められることがで きる。またこれを長期間観測することによって、 基線長の時間変動を求めることができ、地殻変 動を直接に、しかも簡便な方法で測定すること ができる。 (3)GPS 観測による基線長変動
国土交通省国土地理院は、日本全国に約 25km 間隔で「電子基準点」を設置しており、その点 数は現在 1000 点を越えている。ここでは、常 時 GPS 連続観測が行われている。 図Ⅰ:GPS 観測の行われている 3 基準点(与論=YORON, 知念=TINEN, 南大東=MINAMIDAITOH)の位置関係。 そのうち、図Ⅰに示す、与論(YORON)・知念 (TINEN)・南大東(MINAMIDAITOH)の 3 基準点に ついて、そのうちの 2 地点ずつを選んで、1 年 間の基線長の変動を測定した結果を図Ⅱ∼Ⅳ に示す。図Ⅱは 2003 年 2 月から 2004 年 2 月ま での間に南西諸島の南大東・与論間で観測され た基線長変動をプロットしたものである。また、 図Ⅲは、同時期に、同じく南西諸島の知念(沖 縄島南部)・与論間で観測された基線長変動を プロットしたものである。また、図Ⅳは、同時 期に、知念・南大東間で観測された基線長変動 をプロットしたものである。これらのグラフか ら、それぞれの 2 基準点ずつの 1 年間の平均的 な基線長の変動値(1 年当りの伸縮の長さ)を 読取ってみよう。 これらの図より、南大東・与論間は過去 1 年 の間に約 8.5cm 短くなっていることが読み取れ る。また、知念・南大東間についても 1 年間に 約 7.6cm 短くなっている。これに対して、知念・ 与論間の過去 1 年間の距離変化は約 0.2cm であ り、前の 2 例に比べて極端に小さい。 図Ⅱ:2003 年 2 月から 2004 年 2 月にかけての南大東 ∼与論基準点間の基線長変動(国土地理院による)。 図Ⅲ:2003 年 2 月から 2004 年 2 月にかけての知念∼ 与論基準点間の基線長変動(国土地理院による)。 図Ⅳ:2003 年 2 月から 2004 年 2 月にかけての知念∼ 南大東基準点間の基線長変動(国土地理院による)。
与論・知念は同じ琉球島弧に属しており、こ のデータは島弧内の隣同士の島の間の相対運 動が僅少であることを示している。変形がゼロ でないことは、局所的な地殻変動があることに よるとも見られなくはないが、測定精度やデー タのばらつきを考慮すると、この様に結論付け るためには更に長期間の観測が必要であろう。 これに対して、与論・知念の属する琉球島弧 と南大東島との間には、明らかな相対運動があ り、しかもその運動が定常的であることが、こ のデータから示される。琉球島弧と南大東島と の間には、南西諸島海溝があり、この海溝を挟 んで両側は異なった動きをしていることが推 論される。これまでの地球科学の知識では、南 西諸島海溝の西側に当る琉球島弧の下で活発 な地震活動が起こっていることや、琉球島弧の 西側で火山・熱水活動が起こっていることなど は、琉球列島の属するユーラシアプレートの下 に、南大東島の属するフィリピン海プレートが 沈み込んでいることに端を発する現象である とされているが、GPS の観測結果はまさに両プ レート間の収束が現在も尚起こっていること を示していることになる。南大東・琉球列島間 の観測データは、日本周辺では数少ないプレー ト収束境界の直接観測の可能な基線である。 (4)地殻変動・プレート運動による位置変化 (3)で示されたように、大地は地殻変動・ プレート運動により、絶えず変形を受けており、 その結果、地球上の座標に当る各地点の緯度・ 経度も絶えず変化していることになる。しかし その変化は極めて小さい。10cm の南北方向の変 化は緯度の 0.003 秒となるため、通常は各地点 の緯度・経度の値そのものを年々書き換えるこ とはない。しかし、各地点の緯度・経度方向の 変化量は、(3)で示されたような複数の基線 長解析の積み重ねによって求めることができ る。国土地理院では、このような全電子基準点 の過去 1 年間の緯度・経度方向の変位を計算し、 公開している。表Ⅰには、同じく南西諸島域の 複数の基準点について、GPS 基線長観測から求 められた位置変化を示す。各地点とも、年間数 cm の水平変位が観測されている。同時に、鉛直 変位も求めることができるが、年間変位は 1cm 以下のところがほとんどである。 緯度 経度 東西変位 南北変位 鉛直変位 基準点番号 基準点名 (°) (°) (m) (m) (m) 950494 NAZE 28.3991 129.4890 0.0266 -0.0335 -0.0007 950495 YORON 27.0322 128.4323 0.0334 -0.0362 -0.0082 950497 MINAMIDAITOH 25.8312 131.2278 -0.0350 0.0189 -0.0107 960737 KUNIGAMI 26.8593 128.2484 0.0362 -0.0373 -0.0108 950499 YONAGUNI 24.4542 122.9428 0.0396 -0.0835 0.0043 960745 TINEN 26.1686 127.8262 0.0364 -0.0407 -0.0074 960747 IRABU 24.8280 125.1710 0.0364 -0.0437 -0.0073 960751 HATERUMAJIMA 24.0615 123.7958 0.0461 -0.0601 -0.0041 表Ⅰ:2003 年 2 月 15 日∼2003 年 2 月 24 日、及び、2004 年 2 月 13 日∼2004 年 2 月 22 日の電子基準点観測 をもとにした各基準点の年間変動量(国土地理院による)。東向・北向・上向をそれぞれ正とする。 (5)現在の地殻変動とプレート運動 今度は表Ⅰのデータをもとにして、各基準点 が 1 年間にそれぞれどれ程変位したかを理解す るために、ベクトル図を描いてみることにしよ う。ベクトル図は通常は、域内の基準点の中か ら 1 点を選び、これを不動と仮定して、各点の この点に対する変位をベクトルすなわち大き さと方向を示す矢印で表現する。ここでは琉球 島弧に属する与論基準点を不動点として、これ に対する相対変位を求め、その結果を適当な長 さを基準として(例えば、緯度 1 度に相当する 長さを 10cm/年として)、図Ⅴの白地図に記入 してみよう。 例えば、南大東については、東西方向の相対 変位は、- 0.0350 - 0.0334= - 0.0684 (m)、 南北方向の相対変位は、0.0189 - ( - 0.0362 ) = 0.0551 (m)であるから、変位ベクトルは大き さ 8.78cm、方位 141°(東を 0 度とし、反時計 回りに計測)となる。この様にして、表Ⅰに挙 げた基準点の全てについて、与論基準点を不動 点と仮定した変位ベクトルを示したものが、図 Ⅵである。琉球列島上の名瀬・知念についても、
図Ⅴ:表 1 に対応した基準点を示した白地図。 与論に対する相対変位はあるが、その量は年間 1cm に満たない。宮古列島の伊良部についても 同様、相対変位は年間 1cm 以下である。一方、 八重山諸島の与那国、波照間については、南向 きの相対変位が卓越し、与那国については年間 4.8cm、波照間にも年間 2.7cm の相対変位が見 られる。 図Ⅵ:各電子基準点の年間水平変位量を表わすベクトル図。 このベクトル図の描画結果を考察するため、 周辺の海底地形を図中に重ねてみることにす る(図Ⅶ)。南大東島と与論島との間には南西 諸島海溝があり、南大東島の属するフィリピン 海プレートはここで与論島の属するユーラシ アプレートの下に沈みこんでいる。南大東基準 点での変位ベクトルは、この様な、フィリピン 海プレートとユーラシアプレートとの相対運 動を表わしている。 これに対して、与那国・波照間両基準点につ いては、これらの点の北側に位置する沖縄トラ フとの関係を考える必要がある。沖縄トラフは 琉球列島に沿って台湾島東方より九州西方ま で分布している舟状海盆であり、その凹地内の 微地形を見ると、東西方向の地溝(グラーベン) が雁行配列している。これは、この地域でフィ リピン海プレートとユーラシアプレートとの 相対運動を補償する様な中国大陸縁辺が分裂
を起こす運動が生起したことに伴い発達した 地形である。中でも、八重山列島の北側でトラ フの凹地の幅が最大となっており、水深もトラ フの中ではこのあたりで最も深く、約 2200mで ある。このことから、現在もこのような中国大 陸縁辺の分裂・拡大が続いているものと考える ことができる。隣の宮古列島に属する伊良部基 準点ではこれほどの大きさの変動は見られな いことから、伊良部から名瀬までの間は、局所 的な変動はあるものの、現在のところは大きい 断層運動などは起こっていないことになる。 * * * * 図Ⅶ:各電子基準点の年間水平変位量を表わすベクトル図に海底地形図を重ねたもの。 7.課題研究への展開 GPS 観測データに基づくプレート運動・地殻変 動の理解については、本稿で副教材として提示さ れたものの他、国土地理院のホームページ上で公 開されているデータのうち、学校周辺の基準点の データを取得し、これを用いて変位ベクトルを求 めて付近のプレート境界、活断層との因果関係を 考察することも有効である。この実習を通して、 海底の拡大、プレートの沈み込みなどのダイナ ミックな運動が遠方で起こっている現象ではな く、それがもとで各自の住む大地が緩やかではあ るが確実に移動していることを実感出来ると云 う効果が期待される。 また、地学 II では「課題研究」が必修と定め られており、「地学についての発展的、継続的な 課題を設定し、観察、実験などを通して研究を行 い、地学的に探究する方法や問題解決の能力を身 に付けさせる」ため、地学 I・II で扱われた内容 から特定の地学的事象を選び、これに関する研究、 また、自然環境に関する地学的調査を指導するこ ととなっている。ここでは、適当な課題を設けて、 適切な時期に研究を行うこととし、創意ある研究 報告書の作成や研究発表を行わせること、研究を 行うに当たっては、課題や仮説の設定、実験の計 画、情報の収集、野外観察、調査、数的処理(統 計処理・定量的な扱い)、分類、データの解釈、 推論など探究の方法を習得させること、その際、
解決すべき課題についての情報の収集・検索、結 果の集計・処理などに、適宜コンピュータなどを 活用させることなど、地学研究の手法に関するト レーニングも兼ねた内容となっている(高等学校 学習指導要領より)。 この様な「課題研究」として、GPS 観測データ をもとに、更に進んだ学習を行うことも、プレー ト運動・地殻変動に関する理解を深めるために重 要である。この場合は、例えば過去 1 年以内に大 規模な地震の発生した地域を選び、その周辺の基 準点での GPS 観測データを取得し、地震前後でど の様な基線長変動が起こったかなどを求め、変動 過程を考察すると云ったことも、課題として加え ると、より効果的である。 謝辞: 本稿をまとめるに当っては、国土交通省国土地理院による 電子基準点観測データを使用させて頂いた。また、日本測地 学会評議会、特に、国土地理院に所属する評議員からは、貴 重な意見や助言を頂いた。地球惑星科学関連学会 2004 年合 同大会特別公開セッション「新しい地学教育の試み-地球惑 星科学から「高校地学」へ-」の世話人の方々には、本件発 表の機会を提供して頂いた。これら関係各位に謝意を表する 次第である。 参照資料: http://gps.faa.gov/ http://www.gsi.go.jp/CRUST/ http://wwweprc.eri.u-tokyo.ac.jp/GPS/ http://www.ieice.or.jp/jpn/books/kaishikiji/199912/19991201.html http://bg66.soc.i.kyoto-u.ac.jp/forestgps/ ftp://ftp.unibe.ch/aiub/papers/gpstut99.ps 小竹美子・加藤照之・中尾 茂・他,西太平洋 GPS 連続観測 網データの解析について(その1), 測地学会誌,44, 1-19, 1998. 小竹美子,GPSデータ解析に基づく西太平洋のテクトニクス の研究,東京大学地震研究所彙報, 75,229-334, 2000. 尚、本稿で使用した図の一部は、GMT (Wessel, P., and W. H. F. Smith, 1991, Free Software helps Map and Display Data, EOS Trans. AGU, 72, 441, 445-446, 1991)によって 描画された。海底地形データは Sandwell らによる水深値(人 工衛星アルティメトリと観測船による測深とに基づく , Sandwell, D. T., and W. H. F. Smith, Marine gravity anomaly from Geosat and ERS 1 satellite altimetry, J. Geophys. Res., 102, 10039-10054, 1997)を使用した。GMT は http://gmt.soest.hawaii.edu/gmt_mirrors.html より、また Smith らの海底地形データは http://topex.ucsd.edu/marine_topo/mar_topo.html より、それぞれ入手可能であるが、これらを利用して得られ た成果物には上記文献を引用することが求められている。詳 細は上記サイトを参照のこと。 —————————————————— 松本 剛:[email protected] 中尾 茂:[email protected]
新しい地学教育の試み − 日本惑星科学会