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50教材にはこのようなものが比較的多いが,これら

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は物理教育の中に入れても違和感はあまり無いよ うにも見える. 

 

(2)データ教材の利用と開発の視点 

上記のように,データ教材の欠点は一面的な データから偏った概念を生じる危険性が高いこと にあるので,利用と開発に当たってはこの点に留 意しなければならない.具体的には,目前の教材 から一度離れて,事象そのものを多面的に見て,

偏りの少ない概念を形成するには他にどのような 見方が必要か,それには,どのような教材が必要 かを検討する必要がある.その方法としては,別 の見方を提供できる異なる種類のデータを加える ことや,別の見方につながる映像やモデルなどの 他の教材と組み合わせることなどが考えられる. 

ここで例に挙げた地震については,岩石破壊実 験の映像や,コンニャクによるモデル実験などを 組み合わせるのが効果的である.ちなみに,日本 地震学会がこれらを含めた教育用ビデオを作成し,

広く配布したことは他の専門学会にとっても教育 への貢献の方法として参考になる. 

 

4.中間的な性格の教材 

地学教材を実物教材以外にモデル教材,データ 教材と分類し,それぞれの代表的なものを表 1,2 に示したが,実際にはこれら三者の中間的な性格 を持つ教材も多い.図 5 はこれらを三角ダイヤグ ラム上に示したものである. 

このダイヤグラムの中に各教材を位置付けるこ とで,教材の特性が明瞭となる.そして,中間的 な教材には両極の教材の利点がともに含まれてお り,それらを補完的に用いることでよりすぐれた 教材に改善することが可能となる.また,逆に両 極の教材の限界や欠点も併せ持っていることにな り,実際に教育現場で利用されることになった場 合の不都合をある程度予見することもできる.こ の予見に基づいて,誤概念の形成や偏った見方が 生じるのを防止するための事前の対策を考えるこ とも可能となる. 

たとえば,近年増えてきたコンピュータを用い たシミュレーション教材は,様々なデータを与え てコンピュータの中に作られたモデルを動かすも のが多く,それは本論で主に議論したモデル教材 とデータ教材の中間的なものと見なされる.これ は,モデル教材の時間・空間スケールを縮小した り,視覚的にとらえやすくすることで,事象の本 質的な部分を把握し易くするという利点と,デー タ教材の直接の収集が難しい質の高い情報を,各 方面から大量に収集・保管して,比較的手軽に利 用できるという利点の両方を併せ持っている.し かし,モデル教材のモデルに取り込めなかった要 素が誤概念を作り出したり,データ教材の一面的 な見方が偏った概念を作り出すという欠点も併せ 持っている.コンピュータシミュレーションの場 合は,主要な要素のみでモデルを構築し,副次的 な要素は無視することが多い.しかし,現実には 副次的と見られている要素が時として大きく全体 をかえてしまう瞬間もある. 

一般に教材の評価は,従来はその教材に関する 高い専門的知識・能力を持った研究者・教師でな ければ難しかった.しかし,図 5 の三角ダイヤグ ラムの中に位置づけることによってはるかに容易 になると考えられる.なお,この図を利用するた めには,実物教材の利点と欠点も議論しておく必 要があるので,最後にこの点を若干補足しておく. 

実物はそれ自体には誤りや偏りは含まれていな いし(これらは人の頭の中に生じるので),どんな 実物教材

データ教材 モデル教材

太陽直径 人工斑晶 の測定

アイソスタシー モデル実験 シミュレ

ーション 岩石標本 ビデオ映像

気象衛星 赤外画像

大気循環回 転水槽実験 空中写真 堆積実験

図 5  実物教材・データ教材・モデル教材の中間 的な性格の教材の位置づけ

扱い方も許されるということなどが利点である.

しかし,生徒・児童を実物に対峙させてみると,

それだけではほとんど誰も何もできない.地学の 実物はあまりにも複雑で,どのような点に注目し,

何から取りかかればよいのか,どのように取り組 めばよいのかが分からないからである.したがっ て,実物を扱う場合は予め効果的な調べ方(研究 方法)を,その原理とともに充分教えて理解させ ておく必要がある.たとえば,化石を調べる場合 に,機能形態学の研究方法を教えることは有益と 考えられるが,実際にそれが高校生に対しても十 分可能であり,大きな効果が上がっていることが 明らかにされている(林,1991;海野ほか,1993). また,地層の野外観察でも,教師の側に実物を前 にした時の自信がないことが,野外に実際に出か けることをためらわせているという報告もある

(宮下,1999)が,東京学芸大学付属研究会理科 部会世田谷地区(1995)が,小学校・中学校・高 等学校の各レベルでの地層の調べ方とそれを支え る知識・理論の必要性とその具体的な例を示して いる.現在の小・中学校理科の教科書観察実験の 一般的な展開法となっている,調べ方も教えずに 考えてみよう,調べてみようというやり方では,

せっかくの実物を教材としてもそこから科学の本 当の面白さも内容も理論もほとんど学ぶことはで きない.これは,子供にとっても,研究者と同じ ように観察が理論に支えられているからである. 

 

おわりに 

地学教育創成期に見られた専門研究者の積極的 な関わり(坪井,1961;小林,1962;藤本,1962;

日本地学教育学会,1964;渡部,1967;竹内,1970 など)が,本合同大会や学校科目「地学」関連学 会協議会などに見られるように現在再び見られる ようになってきている.これを発展・継続させて,

教育制度面・学術面での具体的な成果にまで持っ ていくことが大切である.そのためには地学の内 部での多様性は面白さの源でもあり生かしていか なければならないが,外に対しては地学としての

統一性がどうしてもある程度は必要である.本論 はそのような統一性をより強固にしていくために,

分野を超えて共有できる理念の議論と教材の共通 性の議論を提供したものである. 

また,専門の研究者が地学教育に関わる形態は,

従来は多くの場合小・中・高校の教育内容・方法 への間接的関与にとどまり,直接担当している大 学・大学院の地学教育に関してはあまり積極的で はなかった.これは,日本地学教育学会の「地学 教育」誌を見ると,大学教員の著者は 1/3 程度で,

2003 年の 15 論文中大学レベルの教育に関するも のは 2 論文だけであることからも言える.しかし,

高等教育がより普及し大学の数の多い米国では,

地学教育の雑誌である Journal of Geoscience  Education 誌に掲載されている論文の著者の大多 数が大学の教員であり,論文のほぼ半数は大学の 学部・大学院レベルでの地学教育に関するカリ キュラム開発や教材開発・評価法などに関するも のである.このような日米の違いは,日本では高 等学校以下の教員がより積極的に研究を行ってい るからでもあるが,日本の大学では科学研究のみ で教育面での研究があまりされていないからとい う見方も可能である.しかし,学問の高度化と,

大学の大衆化の中で,研究とともにこれからは教 育も重視しなければならなくなるのは,米国の大 学の先例でも明らかであろう. 

 

参考:地学教育学会「地学教育」誌への投稿については学会 の Web サイト http://www.soc.nii.ac.jp/jsese/ を参照. 

 

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慶一:[email protected]

           

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