日本化学工業の戦後展開『(IV) 85
日掛化学工業の戦後展開(IV)
一Eヨ本イヒ学:1二業史序説一一
下 野 克 己
!.問題の所在
2,戦後日本資:本主義と化学工業
3.化学工業の特質と戦後日本化学工業史の諸問題…・・(第4巻第3・4合併号)
4.戦後化学工業の産業構造的展開と企業動向 (1)戦後日本化学工業の概観
② 化学肥料工業の復興と発ee ・i…(第5巻第3・4合併号)
〔3)有機合成化学工業の成長・…・・(第7巻第3・4合併号)
(4)右油化学工業の確立とその影響
(5)現代化学工業の構造と諸矛盾・・…・(本号)
4.戦後化学工業の産業構造的展開と企業動向
(4)石油化学工業の確立とその影響
前稿(皿)の表3・表4から,戦後日本化学工業の第3期・第4期の概況 を整理してみよう。昭和35年の化学工業生産額は9,179億円であったが,40 年はそのL7倍の1兆6,009億円となり,45年は更に2.0倍した3兆1,814億円 に達した。 『化学工業統計年報』によると,化学工業製品の平均価格は35年 に対して40年が87.6・40年に対して45年が84.6と順調に低下しており,生産 量ではより急速な増加となった。
次に業種別生産額構成比をみると,35年の化学肥料16.8%・合成樹脂11.7
%・油脂製品9.4%・有機薬品8.1%・無機薬品7.2%・石油化学製品6.2%・
塗料6.2%の順から,40年の石油化学製品18.3%・合成樹脂13.7%・化学肥 料12.6%・油脂製品8.6%・無機薬品7.3%・有機薬品5.9%・塗料5.5%の順
に,そして45年の石油化学製品32.6%(5業種に含まれるものの合計で特 一86一
86
み
掲)を別格として合成樹脂26.0%・有機薬品13,1%・環式中間物と合成染料 9.6%・無機薬品7.9%・油脂製品と界面活性剤6.7%・化学肥料6.5%・塗料 5.2%の順へと変っている。急速な成長をしている※印業種と停滞傾向の顕 著な化学肥料・油脂製品との対比で明白なように,この期の化学工業には大 ワさな変化が起っておりそれは構造的変革と称しうるものであった。36年の84
%から47年の79%へと大凡その生産額中の80%を占め℃いる合成樹脂・合成 繊維原料・合成ゴムの有機合成高分子石油化学製品3品目を中心としつつも 合成洗剤・合成樹脂塗料・有機薬品・環式中間物・芳香族製品・アンモニア 誘導品等々,多様な分野に進出した石油化学製品は,30年代半以後45年迄常 に25%をこえる対前年比生産額増を示し,全化学製品中で占める比率を35年 の6.9%から40年の22.896・45年の36.4%へと急速に拡大してきた。35年の 53.9%から40年の61.7%・45年の72.5%へという有機化学工業系生産額比率 図3 石油化学工業と従来化学工業の競合製品
融天然ガスー水素,メタン ア・モニア 水 素一砥コークス 一酸化炭素一コークス 青化ソーダー三豊イソーダ
砒天然ガ・一一一一一一一一カーバイド
石 油一一→・エチレン アルコーノレ 多逢 酵
石
エチレンオキサイド アルコール
油一プロピレン
石油→レブチレン
石油一り雰質饗榊
〔石油化学工業〕
イソプロパノール ァルコール イソプロ
パノール
キュメン フ ェ ノ 一 ル
縦一二==亙蝶・テ院エ・チ・・一・一・・ i・
ア鷹参.一 r
発
フ タノ 一一一♪レ
発 ベンゾール←石
ブタノール<←発 を由
オ ク タ ノール ブタノール
ベ ン ゾ 一 ル
ト ノレ オ 一 )レ
キ シ ロ 一 ル
酵炭ド骨脂酵
タールー石 庚
〔既存工業〕
出所)東洋経済新報社『商品大辞典』566ページ。
一86一
日本化学工業の戦後展開(卿) 87 の増加も,専らこの石油化学製品に負っているといえよう。
ところで石油化学製品は,図3のように多くの従来化学製品と競合した。
30年前半における有機合成化学工業の成長は,旧稿(皿)の図1・図2で示 したようなそれまでの無機・有機の業種系列をむしろ豊富化・総合化するよ うな方向で進み,化学肥料工業の合理化と石油化学工業の育成はそれを補強 する役割を果たしていた。それに対しこの30年代後半と40年代前半の石油化 学工業の急成長は,ナフサを基軸とする石油化学コンビナートを中心に新た な業種系列を形成し,大幅な増産とコストダウンによって化学工業全体を統 一するかのような動向をみせたが,他方においてこの競合に敗れた従来化学 工業を衰退せしめ,石炭・石灰石・硫化鉱・農林産物・動植物油脂・水力発 電等を基軸とする業種系列を殆んど破壊し守ろうとしていた。40年代半迄に は食塩電解工業のような直接競合することの少ない業種も含めた化学工業の 再編成がほぼ完了した状態となったといってもよかろう。 ・ ここでは前稿(III)で述べた時期区分を少し修正し,構造転換の第二段階 を30年代後半から40年代前半迄とする。そしてまず石油化学工業の確立過程 を,次にその従来化学工業との競合過程を,最後に40年前期(39年下期)と 45年前期(44年下期)での決算にみられる大手化学企業の状態を検討してい
く。
〔石油化学工業の確立過程〕 ①大型化・総合化の過程 石油化学コンビ ナートの生産規模はナフサ(分解)センターの生産規模で左右され,ナフサ センターの生産規模はその主要製品たるエチレンの年産能力で示される。前 稿(皿)や図4であきらかなように,石油化学工業第1期計画における適正 生産規模はエチレン2万t程度となっていたが,早くも34年12月の通産省の
「石油化学における開銀融資の必要性について」では,欧米に比して著しく 小規模でエチレン価格75〜90円/Kgも割高であると指摘された。第2期計画 に入るとともに36年11月の「化学工業に関する懇談の総括」によれば,エチ
一87一
88
図4第1期計画完成時の三井石油化学岩国コンセナートのフローシート
ナフサ 改質油
/\︑
興亜石油
工鷲τ=:雛罪墜
ユ.2万t
プロピレン
1.4万t 0.」2万t
エチレングリコール 0.96万t
プロピレングリコール(三井化学大牟田)
クメンー
x繋盟、
芳香族ガソリン
B・B留分⇒合成ゴム
ユ万t (日本合成ゴム四日市)
分解生成油→石油樹脂
0.7万tベンゼン トルエン ユ.ユ6万t
キシレン 一噌パラキシレンー憾テレフタル酸
芳厄前 ・…万・ 2・ユ・万・
0.72万t 溶剤(ヘキサン)
0.84万t
(ペトロジン)0.42万t
注)昭和36年3月岩国大竹工場第2期計画建設開始の直前の 公称年産能力
出所)石油化学協会「石油化学工業』,
その亡ききとりによる。
レン価格40円台を目標とするためには4〜6万t台が適当とされている。そ して38年8月の産業構造調査会化学工業部会では10万t台になり,さらに40 年1月の石油化学協調懇談会(官民協調のため前年12月目設置された)では lO万tであって同時に20万t迄増設余地があることが必要とされた。ついに 42年6月の石油化学協調懇談会では, 「欧米諸国の動向,ここ数年間の技術 進歩・市場の拡大等の要因を」念頭において30万t以上とされ,それに基づ いた強力な調整と指導がなされた。大型化した石油化学工業の象徴たるエチ
レン30万tプラントは47年6月には9,基270万tとなり全エチレン公称生産 能力の56%を占めることになった。
四日市地区の三菱油化でみると,34年に2.2万t・36年に6万t・40年に 10万t・43年に20万tプラントを完成しピーク時の公称能力は38.2万tとな
った。水島地区では化成水島が40年に6万t・43年に10万tプラントを完成 した後,旭化成グループによる山陽石油化学との共同・輪番投資として45年 に水島エチレン・47年に山陽エチレンで30万tプラントを完成し,ピーク時 一88一
1 oo
I
図5菱油化四日市コンビナートのフローシート 大協石油四日市〜専 ︹ナフサ︺
昭和四日市石油
/
メタン
・か性ソーダ Fツプガス
21,8 エタン
・グ)レタミン酸ソーダ (味の素)
(自家翻)
エチレン 36
コンビナート新大協和石油化宇
・塩素ガス
野塩電解〕
壷 ・水素ガス (三菱モンサント化成)
ユ0.82
ABS樹月旨 2.4 .(
AS樹脂 0.36 発泡ポリエチレン2.4 ポリスチレン ユ.5 .−
(韮童淡∫fヒ学・高砂) 1一一潴■塩ビポリマーく鐘渕イヒ斗を・フヒ阪)
ノ 1 3.36
一 t一
/
・=二塩化エチレンー哨・塩ビモノマー一噌叫塩ビポリマー 6.3
高 圧 法 ポリエチレン
PP留分
ユ5。5 中低圧法 ポワエテレン 3
・合成エタノール5万ke 〔日本エタノール)
一 一一一一一・一・ 一・ )二塩化エチレンー7一一一塩ビモソマ』一一一う塩ビポリマー 一
ノ 一 エチレングリコール
3 1 一一一一t .!
22 S.1
酸化エチレン
〔重油〕
エチレンベンゼン スチレンモノマー
.EPTi
日本イーピーラノぐ一)
ポリプロピレン 10.5 アクリル酸エステル.
、 、
、
へ
, u 、 \ 、 ポリスチレ7.】.4 、 へ
(大日本インキ・『傑)、、
20.5
へき・
、、
サ曾 二fk 9kレン1:鞭
・ABS樹脂 2.4成ン
(東レ・名古屋)
ABS樹脂0.6 一一戸一一一冒一一こ二う隣AS樹且旨 O.3
、 _ _一
BB留分
2.es
噌 脚 一 彌 殉 噂 働 一 一 、 r 一 一 一 「 一 ■ 一
丁キソガス
一酸化炭素 水 素
発泡ポリスチレン4,2 {油化バーディッシュ》
じ ディスバーション隠
。オクタノール Z.64
一一一魂」、ABS樹E旨しg AS樹且旨 0,6 {ダイセル・堺)
・iブタノールO.76 (三菱化成)
・過酸化水烈三菱瓦斯化学)
(日本合成ゴム)
ブタジエンゴム2.5 一一一一一一一一一一一一.一一
・ABS樹脂5
.SBR 25.5
・nブタノール 2.7
LPG
19 ・ブタジエン軸一隔 9.5 新大協和石油fヒ学
コンビナート
アルキルベンゼン
(日本ブタノール}
・iプタノ.一ルe.3
ベンゼン ,
SBRラテックス3.3 一陶■一一■一同幅rBRラテックス2.4 (武田薬品・摘水)
19.6 〔プロピレン テトラマー]
4,7
・エチルベンゼン L6
・パラキシレン 一一一一ウ・テレフタル酸一一 一一や・DMT
2 6.79 8,1
〔クラレ言由化}
層石油樹脂 1
(束邦石油嶺脂)
●ノニルフェノール
・ポリエチレングリコール
・非イオン界面活性剤 {四日市合成}3.6
,グリコーノレエーテJレ O.6
分解油
43
トルエン 4.7 キシレン 4.9 抽出残油 分解重質油
一一一一k曙D酸化プロピレン2.5 (旭硝子・淀川)
ヒ
プロピレングリコール L2 エピクロルヒドリン i
〔ビスフェノールA〕 エポキシ樹脂 2
窒 素 ( 白 家}i与巽 ︶ 空気
&素(自家消費)
重質油 5.2
1自家燃料) (自家燃料)
出所)三菱油化会社案内パンフレッF・「石油化学エ業の現状」
「化学経済」昭和46年崖月号と49年ユユ月号その他きぎと診による。
一一一一一,ポリエステル繊維 (クラレ玉島)
詰)YL印M±三菱油化が製造するもの。・印は四日市コンeナート内で製造するもの 点線で結んだところは遠隔地で製造するもの。数字1ま年産能力万し.
田身訣韓H懸θ蠕黙湖認︵宅︶
。。n
90
には公称能力76万tの結合コンビナートが出来た。この大型化の具体例をみ ると,30万tプラントが一挙に全能力を発揮しているのに対し,それ以前の プラントでは2段階位で能力の増強がされている。先発ナフサセンター企業 の30万tプラントは第1コンビナート内での増設ではなく等2コンビナート で実現しているが,後発ナフサセンター企業の多数は当初からのコンビナe=一・
トで実現した。そして石油危機以後不況の深刻化により現在は,図5のよう に多数のコンビナートでは小規模の第1エチレンプラント等を停止させた操 業体制にある。
・この大型化は同時に総合化を伴っていた。ナフサの化学工業利用率はエチ レンが35年92%→40年95%→45年99%,PP留分が23%→72%→91%, BB 留分が76%→7Q%→97%,分解油が16%→58%→8Q%となっており,先行し ていたエチレンに他の留分が追いついてナフサ全体でも49%→7396→91%と・
急速に高まってきた。石油化学工業の出発時点から最大の比重を占めている ポリエチレンの生産額が全石油化学製品中で占める比率をみると,33年29%
→35年20%→40年18%→45年13%→46〜49年11%台となっている。 「石油化 学工業10年史』や『石油化学工業の現状』に基づくこれらの数量と図4・図
5を参照するならば,大型化した石油化学コンビナートにおいて労働対象の フU一シートがほぼ総合的に完成されていることがあきらかであろう。
②コンビナート体制の完成 前稿(皿)のように第!期計画では,様々な特 徴をもったフローーシートとなっていたが,これは一面ではコンビナートとし ての未完成さの現われであった。その後の大型化・総合化の過程を経た40年 代後半になると,岩国大竹地区の三井石油化学の低圧法ポリエチレンや水島 地区の山陽石油化学のベンゼンというように各コンビナート毎にいくつかの 特徴的な誘導品はあるが,大凡IG地区に散在する17のナフサセンター企業を 中心とするコンビナ・一一トのフロ ・一シートはそれほど決定的な差異はなくな った。例えば水島地区の三菱化成でみると,ナフサ190万tの各留分年産比 率は,エチレン46万t・25〜30%,フ。ロピレン28.5万t・15〜18%,プロパン 一90一
− ・一ぬ潜
日本化学工業の戦後展開(IV) 91 図6 三菱化成石油化学コンビナートの工場・プラント配置
A 三菱化成グループ工場配置図
語製 煙
麟購噛
簸陶
繋
ノ
. 蝿γ 毘痕 細鰺
● アニ ンア穐耀 解
●尽■ 葬 ら・雲鐘麟
騨
Vソ 呼松港 轟荷
タソ・﹃V
響
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訴口鵬 麟
雛 暁ト動藤ジ
野 照
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箆ト貨矯・旭 プ
r
グ
ザ化
鯉.︑τ.
●
バ洋 リ
奨
葺〜所)
岡山県「水島のあゆみ』290ページ むよびききとりによる。
呼松水路
一91一
2 9
B 三菱瓦斯化学グループ工場配置図
事務所
」
O OOOO﹁ドー
屡
蓼..
□欝
匿
9礒ブタ
・ホルマリン
接着剤
区]国圏
・可塑剤
轍L
凸
野
入出荷のデリバリ一八ンク ロ 一凸_r____」
・フマル酸
匝レン樹脂
團[]圏戦陣
Eコ磁呼
物
構内作業・入出粧運輸
専用錯壁
出所)三菱瓦斯化学水島工 場パンフレット及び ききとりによるo
1.4万t・1%位,BB留分202万t・10%位tt分解油44.3万t・20〜25%,
オフガス35.9万t・20%位,燃料油6.5万t・数%,その他C5留分等といわ れ,.市況等で若千の変動はあるが図5と大差はないといえよう。
このフローシートはコンビナートを構成する工場・プラントを結びつけて いるが,その配置は図6の例のようになっている。ここではナフサセンター 及び多数の誘導品合成部門の三菱化成グループの工場・プラントと,キシレ
ン誘導品部門の三菱瓦斯化学グループの工場・プラントとに別れているが,
両者はパイプを通したキシレンの流れで結びついている。各工場・フ。ラント で使用される電気・水・蒸気等は,それぞれのグループ内の用役センターか ら集中的に供給されており,労働対象の流れだけでなく動力・用役によっても 結合している。石油化学コンビナートにおける工場・プラントは,坂本和一
・下谷政雄両氏の業績を利用しつつ表現してみると,「垂直的・段階的に相 関連した異種工場の結合によって成立つ結合体としての工場結合体」=連続 生産部門結合段階のコンビナートと, 「同一段階にある異種工場の,したが って横断的な結合体としての工場群」一廃物・副産物有効利用段階の「コン ビナート」を,重層的に結合した結合工場群=原料総合利用段階のコン.ビナ 一92一
日本化学工業の戦後展開(IV) 93 一ト形態を構成しているといえよう。さらに現在ではいくつかの地区で,ナ フサセンターの共有や誘導品のパイプによる融通で結びついtc結合コンビナ ート化もみられる。
このような結合工場・プラント群=有機的統一体化しつつある結合装置体 系をなしているコンビナートの労働手段は,しかしそれを制御・運転するた めの機構迄が一つに集中化されているわけではない。それは各工場・プラン ト毎に設置されており,そのための作業組織が別々に作られているし,それ が別々の企業・資本により管理されてい る場合が多い。ここでは二つのプラ
ントの例をみておく。
ナフサのスチームクラッキング方式によるルーマス法めエチレン30万tプ ラントでは,ユ3気圧位の蒸気で希釈しつつ管状炉式の分解炉に送り込んだ原 料ナフサを810。C強に熱して各留分に分解し,炉出口の冷却装置で120。C位 に急冷する。重質油・ガソリンを分離した後,ガス処理を行ない,精留して 各留分を取出す。その装置体系の概様は図7Aのようであるが,ここでは16 基のナフサ分解炉(反応によって生じたカーボンを掃除するため1基は切替 用であるが)とエチレン塔外10数本の塔からなる!系列の精製分離塔類が中 心となっている。いわば単純協業形式にある分解炉での反応は一種のブラッ クボックス状態で行なわれているといわれ,通常は炉出口温度を調べて炉に 送り込む燃料油・ガスの流量を調節し制御するという方法がとられている。
1つのチューブコイルに付属する制御のための計器の装備は図7Bのように なっているが,このプラントの分解炉ではチューブコイルの数は4つづっで ある。分解炉をばじめとする各装置類の制御・運転は,計器類が集中されて 配列してある計器室で行なわれる。このナフサセンターの計器室には,それ ぞれ多数の計器・ランプ・ボタンが配列された22の計器盤が並んでいる。主 なものは8つのナフサ分解炉関係計器盤(つまり2基分が1つになってい る)と7つの精製分離設備関係計器盤であり,その前後に4つのプロセス分 析関係計器盤・1つの高圧蒸気関係計器盤・1つの可燃性ガス検知機計器盤 一93一
﹁匪︷翫轟
ナフサ分解炉・ エタン分解炉 f晶一」←闇雪一胃一†一軸 一 一一r一 鰍
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c3LPαプロピレン
出所)化学工学協会編『化学プロセス集成』485ページ 逡
図7B 熱分解炉
Ol,R
響
IDF噸plc
;= 1 1 N> 1 V (ChR 冷却 装置 蒸留塔へ RC
FRC 鉛1 燃料力
出所)計測自動制御学会編
『改訂自動制御便覧』1227ページ
置類と作業組織は図8の例のようなものがあるが,
れておりその制御・運転は計器室で集中的に行なわれる。
が計器室で計器類を監視して3時間毎に記帳すること,
残りの10%位が1直に2〜3回現場を巡回する等の肉体労働を含んだ作業で 図8 スチレンモノマー製造設備等
t一一一一一一一一丁一r一一一一一Me−1 r一一 一一H−n一一一一一一1
−L一一一一 一v 一.H一 一 一
ベンゼン 反応器
d
N N
1
エチレン
沈降器
億
﹁一1
6⁝護
L−t
オペレーター!入
エチルベンゼン塔 一1−1︵ポリエチルベンゼン塔︐
日本化学工業の戦後展開(IV) 、95
がある。4組3交替で24時間連続操業 を行なっているが,1組は14〜!3名位 の男子作業員で構成されている。作業 の主な内容は,計器類をみて記帳する こと,分解炉の切替,分析のためのサ ンフ。ル抽出,2時間毎のプラント内の パトロール等である。コンピューター は主にデータ収集のために使われてい るという。
スチレンモノマープラントの主な装 各装置はやはり計装化さ 作業内容は80%位 10%位が分析作業,
くレ.︑.n﹁喝﹂乃凶プメ 脱永素.反応器
分購
「甜.
1 粗スチレン
1
(・・キ・鵬美粥〕一座・・レ・・月働素躍)i
ベンゼントルオール塔
2人
一1一人エチルベンゼン塔﹇ー スチレン精華塔
備製工程)
!人
トルオール︶
スチレンモノマー
職長!人
一一
¥…《4組・交師ち1…
係長
ILI所)装貿類の図は『旭ダウの展望』を利用。 f1:業組織はききとりによる。
一95一
96
あるといわれている。
作業組織をやや一般化すると図9のようになり,職長が班長や担当と呼ば れたりしているが他のコンビナートでも大体類似したものになっている。生 産管理面からは職長のレベルアップに力が注がれ,安全教育や装置体系に対 する基礎的訓練,「格上げ」による意識向上策等がなされる。プnセスオート メーション化の進んだ石油化学コンビナートでは,直接労働対象に働きかけ る手作業のような肉体労働は殆んど基幹労働者から排除されているが,多数 の計器・ランプ・ボタンに対して注意と緊張を払うことを必要とする「軽労 働」が中心となり,見学者には一般に暇なように思えるかもしれないが,そ こでの神経的疲労の蓄積は軽視できないものとなっている。基幹労働者・技 術者的補助労働者・肉体労働者的単純労働者・管理事務労働者と区分してコ ンビナートにおける作業者の配置をみておくと,基幹労働者にあたる製造部 に属する3交替作業者は全体の半分位迄しかいないこと,多数の動力・施設
・技術部関係の作業者がいること,荷造・運搬・清掃等の単純労働を中心に 下請作業者がみられること,近年環境保安部関係の作業者が配置されている
こと,管理事務労働者も含めて主要な関連誘導品企業に中核的企業からの派 遣作業者が多数みられること等が注目される。
ナフサセンターを中心に石油化学コンビナートの主要な部分を統轄する 中核的企業の管理組織は,図10A・Bの例のようなものと考えられるが,水 図9 現場作業組織
製造係長
目指数名(常昼勤)
現場スタッフ・安全対策
i職長1入
i・
チーフオペレーターユ人 ,
(5−6年の撒)オペ.一一ー5エi オペレーターli惣
職長 ㌧…4組3交替の1組・一…一・……一一一一一・:
.掃、 出所)ききとりによる。
−96一
ll餐じ=多=灘
.オペレータ} 心1
−︵書︒暴︶ ︵副所長︶11﹂︵Y事業所長︶
NE社YG社 NR社 YB社NB社 KY社
闘連6社 派遣 約400名
図10A 事業所長付)
総務部一[灘註
脚{纂理諜
一難
…艦1
管理部
製造第1部 (Y工場)
製造第2部
(1く工場)
製造第3部
日本化学工業の戦後展開(IV) 9ワ M油化Y事業所の部課係組織
工 務
エチレン課一一[=
ポリエチレン課一一一{=
酸化エチレン課
4糸tL 3交替勤務 者約1ユ00名
整備係 検査係 工作係 整備係 検査係 工作係 整備係
言 卜器係
電機係 整備係 計器係 電機係
唖■♂キ温 1 言果
施設部
技術第1課 技術第2課 技術第3課
エンジニアリンググループ 共通グループ (課長)
E
(課長)
(課長〉
安全課
芳香族第2課一一「[=
動 力 課 試 験 課
技術部
環境部
ユニ務 エチレン画
一ポリエチレン課}一[=
ポリプロピレン課
エポキシ課 芳香族第1課 芳香族第2課 動 力 試 験 課
課」≡勇雛 難
第2係 酸化エチレン係 スチレン係 !ミンゼン第工係 ベンゼン第2係 動力第1係
一
動力第2係 動力第3係
、、」≡講
9チレン係 毅無
一E難瑳
エポキシ係 スチレンベンゼン係 アルキルベンゼン係
・果一一モ織
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灘禦墜醍得_灘転員
i 〈1−3人〉 理 く4一・10人>
i 孫長の下に班長はく1−3人置×4組属して i むりそれに常昼勤の班長がく1一一2人〉つい i ている。
i 出所)ききとりによるD
工部堺H話撫
工務第2課 水処理係
瓦駒堅果モ難二選
漁網2課一=灘アクリル酸エステル課[誠 酸化エチレン課 酸化エチレン係
芳香族課 スチレン係 高級アルコール課一高級アル認一ル係
,,,ρ… ,■ 働酬■ 髄隅
一97一
98
工
事轟部モ
業翻モ
製造第1部 350名 4直3交替
ユ,765竃 場一=目 〔95名〕
長
図10B M化成M工場組織図
総務課
勤 労課
経理課
碁ン霧や評(原料の受入・保管,製品の管理・出荷(睦運・海運の管理)をする。)原料運輸・液体ガス・固体肥料・
ポリエチレンのグループ エチレン課
アンモニア課
尿 素課
オクタノール課 アルファオレフィン課
工務.室
アルデヒド課 ニトリル課 芳香当課 有機酸課 溶 剤 課 工 務室
ポリエチレン第1課(中低圧法)
モ
ポリエチレン第2課(高圧法)
工務,室
(各
サ造部課はそれぞれ本社の有機事業部・合成事業部・樹脂事業部・農材事業部に属する︶
樹脂技術部(製造等3部と結びついて製品開発・技術開発をする) 10Q名 VCM部(塩ビモノマーを製造するR社訓1工場に休職派遣)
動加課(蒸気ボイラー一2基でつくった高圧蒸気で発電機 4基(20万kwH)のタービンをまわしその後で各プラントに送る。)
[
動力2課(C電力から受電したものを変電して各プラントにまわす〉
動力3課 工務室
施設部ユ50名(土建・機械・電気・計装の設計と保全)
技術部200名(一般の技術開発・分折業務)4直3交替 管理部ユ銘(生産計画・管理)
.、。名L婆全協幽保安瀞労獺
出所うききとりに;よる。
一98一
日本化学工業の戦後展開(IV) 99 島地区の山陽石油化学・大分地区の昭和油化・五井地区の丸善石油化学コン
ビナート等のように中核的企業が明確でない場合には,コンビナート構成企 業の統一的運営のための共同機関が必須のものとなっている。山陽石油化学
コンビナートの主要な部門は旭化成グループ6社が統轄しているが,この6 社間では生産活動・人事事項・環境間題の調整のみならず,従業員の福利厚 生関係活動や労働組合まで一体化している。
コンビナートを企業結合と規定する理論もあるが,現代日本の石油化学コ ンビナートでも構成企業が10数社となっている例が多く,資本間結合も顕著 にみられる。それは,下谷氏の指摘されるように彪大な建設資金・多様な生 産技術・多種大量の生産物等を要因とするが,特にコンビナートが大型化・
総合化するのに伴って参加企業が増大しており,外国企業=資本も加わって かなり複雑な構成となっている。水島地区でその具体例をみておこう。ここ では三菱化成・三菱瓦斯化学グループと旭化成グルr一一プに大別できる。三菱 化成グループが7社・三菱瓦斯化学グループが7社・旭化成グループが14社
・共有のナフサセンター企業が2社であり,それらを通した資本結合関係は 図11のようになっている。
このような生産体制の整備によって石油化学コンビナートは,多様な石油 図11水島地区の石油化学コンビナートにおける資本出資系統
A
@ Q・w
40% 山陽石 油化学
荒 産 山 陽
緩エチレン
I
50堵 ぢ◎Q角
林学
三 化 成 業
諺ジ
68. 2%
菱 日1
︑ 合学
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%陶
日 本 カーバイド
水 島エチ・・ 鳶工oo%
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一99一
100
B
豊 年 製 油
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エイ・ジイ インタナシ ョナル
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水 島 アロマ
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三菱瓦斯化学
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水島石
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大.鹿 振 興
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大日本インキ
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コンテ不ン タルオイル
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49山
山 陽 エチレン
25. 5 OA
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陽学 化 油山石
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チ バ ガイギー
水 島 オキシトン 130%
出所)各社案内パンフレット・有価証券報告書総覧 およびききとりによる。昭和49年頃の状態
化学製品の大幅な増産とコストダウン(例えば35年→40年→45年の生産量と lKg当り平均単価の推移をみると,ポリエチレンは41千t・313円→396千t・
一100一
日本化学工業の戦後展開(W) 101
・155円→1,305千t・113円で,テレフタル酸は25千t・299円→78千t・198 円→258千t・146円である)を可能にしたが,それは次にみるように,従来 化学工業に対して大きな影響を与えつつ進んだのであった。
〔従来化学工業との競合〕 ①石油化学製品の急増と石油化学化の進展
(表21〜25参照) 「石油化学工業の現状』で49年の石油化学製品の国内需要 実績をみると,合成樹脂53.9%・合成繊維19.O%・合成ゴム9.8%・塗料3.4
%・合成洗剤と界面活性剤2.4%・その他11.5%となっており,有機合成高 分子製品が圧倒的な比率を占めている。
最大の比率を占めている合成樹脂では,高圧法ポリエチレン・中低圧法ポ リエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・塩化ビニルの生産量も多く広 汎な用途を有する5樹脂が,全て石油化学系として合成樹脂生産量の主要 部分を占めている。非石油化学系が中心的位置にあった30年代半迄はむしろ 工業用・産業用需要が先行していたが,安価に大衆消費財を飾ることのでき
表21 合成樹脂生産量の動向
ポリエチレン ポリスチレン ポリプロピレ
ン
そ の 他 石油化学系小 計
非石油化学系
樹脂合計
昭和35年
生醐比率 千t 41 22
0
10 73 460
%8402一14一86
6231 !00
37年 生産量比率
千t143 43
2,5
29 217 565 782.S
%
18
5.5
0.3 4 28 72 IOO
40年 生産量比率
千t 396
±25.5
5フ.5
157 736
ワワ2
1,508
%
26 8 4
9.5
48 2 5 IOO
41年
生際比率 千t556
200 100 204 1,060 828
±,888
%2911511
56 44 100
43年 46年
生輯比率生馴比率
千t 857 383 291 457 1,988 1,294 3,281
%2612
9 14 61 39 IOO
千t
1,340 695 627 1,283 3,945 944 4,878.B
% 27.5
14 ユ3 26L 8工 19 100 註)「非石油化学系」の中には「アセチレン系塩化ビニル」を含み「塗料原料・合成 繊維原料・酢酸繊維素」を含んでいない。 r石油化学工業の現状』昭和44・45・4フ 年版と該当のr化学工業統計年報」より作成。
一工Ol一
102
表22 繊維需要量:の動向
合成繊維
人絹・スフ
天然繊維 繊維合計
昭和35年
数量睡
千t160 334 736 1,230
% 13 27 60
!00
37年
数量弊
千t228 311 725 1,263.S
%
18 25 57 100
40年
数量陣
千t 412 295 764
1,46!
% 28 20 52 100
43年
剰脾
千t
・ 685
376 784 1,844
% 37 20
42.5
100
44年 46年
夏比鞠量陣
千t
ワワ3.5
372 753
!,899
%412040
100 千t
l,073 338 819.5 2,230.5
%48正37
100 註)「糸量ベース」で需要は輸出も含む。「合成繊維」はアセテート(44年1.フ%・
46年1.6%)も含む。通産省繊維局の調査による。 r石油化学工業の現状』昭和44 ・45・47年版と該当のr繊維統計年報』より作成。
る包装物・容器・部分品用需要を中心に生産の急増したポリエチレンとポリ スチレンの主導によって41年に非石油化学系を凌いだ石油化学系が,その後 のポリプPtピレンの著しい伸長と塩化ビニルの石油化学化によって決定的な 較差をつけている。40年迄生産量が第1位であった塩化ビニルは,硬質のパ イプと板や軟質のフィルムシート等を需要の中心にしている点は変っていな いが,40年代前半にその原料・製造方式がカーバイドアセチレン法から二塩 化エチレン法に転換した。これは非石油化学系の比率を急速に縮小させると
とあに,カーバイド工業に対して致命的打撃を与えた。
30年代前半迄の合成繊維で中心的位置にあったナイロンはタール系芳香族
・ビニロンやアセテートはカーバイドアセチレンを原料としていた。しかし 30年代後半から40年代前半にかけて,当初から:石油化学系芳香族を原料とし ていたポリエステルが急成長を続け,アクリル・ナイロン・ビニロン・アセ テートも次々に石油化学系原料に転換していった。こうして合成繊維は急速 に成長する石油化学工業を基盤として,需要量において44年には天然繊推を
・48年には天然繊維と再生繊維の合計をも凌いだ。化学工業内部では,硫酸 eか性ソーダ・二硫化炭素の停滞とテレフタル酸・カプロラクタム・アクリ ロニトリル等の合成繊維原料の急増がみられる。
一102一
日本化学工業の戦後展開(rv) 103 34年に国産が開始された合成ゴムも,30年代後半以後の石油化学工業の急 成長により,41年には天然ゴムの消費量を凌いでいる。『また油性塗料の停滞 と合成樹脂塗料の征覇は,前稿(皿:)でみたように30年代前半であったが,
油脂製品の洗濯石鹸と石油化学製品の家庭用合成洗剤との競合も30年代に激 しく展開され,34年置ピークに減少を続ける洗濯石鹸を37年置合成洗剤が凌 いでいった。
こうして石油化学製品の急増は,競合する非石油化学系樹脂・天然繊維や 再生繊維・天然ゴム・油脂製品等を圧迫しつつ,石油化学製品を基盤とする り
合成樹脂製品加工業・合成繊維製造加工業・合成ゴム製品加工業の化学工業 関連製品加工業を成長させていったが,化学工業内部においては塩化ビニル でみられたような,たとえ以前と同様な需要分野に対して同一製品が供給さ
表23新ゴム消費量の動向
合成ゴム 天然ゴム
新ゴム合計
昭和34年
数量影
響t 35
16工
196
%
18 82 100
37年
数等比率
千tIO6 193 299
%
35.6 64.5
!00
40年
数量睡
千t
lフ5.5 201.5 377
%
4フ
53
100 4!年
数副四
千t222 216 438
%51
49 100
46年
数等比率
千t525 295 820
%64 36 100 註)合成ゴムの国産開始は34年,日本ゴム工業会調べ。 『日本ゴム工業史』第三巻及 び『石油化学工業の現状』昭和48年版より作成。
表24 家庭用洗浄剤生産量の動向
家庭用合成洗剤 洗 濯 石 鹸
洗浄剤合計
昭和34年 生産副同率
千t 48
302 350
%
14 86 100
36年 37年 40年 46年
生州降生蝋比轄酬比率生州}比率
千t
P50.5
@213
髪59ユoo
千tP89 H71
%
T2.5 S7.5
P00 千tR34
@76
%81.5
P8.5
?盾
曽 364
360.5 4ユ0
一
註)洗濯石鹸は34年がピーク,該当のr化学工業統計年報』より作成。
一 103 一
千t
64フ
33 681
%95 6
ユ00
104
れていてもその生産過程において原料・製造方式・装置体系・工場立地等が 従来化学工業から石油化学工業に全く転換するという事態を進行させたので
ある。これは特に基礎的・中間原料的な化学製品に顕著にみられた。
そもそもタール方式のみでは自給が不可能乃至困難であったキシロールや トルオールの早さは論外とすると,石油化学方式への転換はまず30年代中葉 から後期に発酵工業製品のアセトン・オクタノール・ブタノールに,次に30 年代後半から40年代前期にカーバイドアセチレン製品のアクリロニトリル・
酢酸・アセトアルデヒドに急激に起り,この結果これらを製造する発酵工業 やカーバイド工業は大きな打撃を受けた。芳香族におけるベンゾールのター ル方式から石油化学方式への転換と,アンモニアの石炭原料方式や永電解方 式から石油化学方式への転換は,30年代後半から40年代前半にやや緩やかに 進展した。このほか40年代に入るとエチルアルコールにおいても発酵方式か
ら石油化学方式への移行が進んだ。
有機合成高分子製品を主導にした基礎的・中間原料的化学製品におけるこ うした石油化学化の進展は,従来化学生産方式による石炭化学工業・カーバ イド工業・油脂製品工業・発酵工業等に対して強い影響を与えた。
②従来化学工業の動向 発酵法によるアセトン・ブタノール・オクタノーール は40年に姿を消してしまい,40年二半の嘉酵工業の主な製品はパルプ廃液や 糖蜜によるエチルアルコールに狭められてしまい,有機薬品の業種で微々た る存在にな・ってしまった。油脂製品および界面活性剤の業種では,家庭用合 成洗剤と界面活性剤(46年の生産額の58%);を中心に石油化学製品が支配的 となり,石鹸・硬化油・脂肪酸・グリセリンの油脂製品の生産量は微増して いるものの,40年代半になると合成グリセリン・合成脂肪酸の生産が始まり 従来化学工業としての油脂製品の主要分野は浴用石鹸と硬化油に狭められつ つあった。
カーバイドを原料とするアセチレン誘導品は,前回(皿)のように塩化ビ ニル・酢ビモノマー・ポバール・酢酸・オクタノール等30年代半の有機合成
一一一一 104 一