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総合的な学習における子どもの課題作りについての研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)総合的な学習における子どもの課題作りについての研究 キーワード:総合的な学習,課題作り,問題解決学習,子どもによるマネジメント,マネジメント能力 発達・社会システム専攻 山下 1.目次 序 章 研究の目的と意義. 浩徳. 徒自身の問題でもある。 総合的な学習の中では,子ども自らこれまで身につけ. 第1節 本研究の課題意識. てきた知識や技能を総動員し,他の学習者やGTと協力. 第2節 先行研究の分析. しながら,主体的に問題解決をしなければならない。い. 第3節 研究の目的. わばマネジメントの能力が必要になってきたと考えられ. 第4節 研究の内容と方法. る。しかし,総合的な学習が始まって間もないために,. 第1章 子どもによるマネジメントに関する基礎理論. 総合的な学習における課題作りの在り方や,子どもが問. 第1節 子どもによるマネジメントの必要性. 題解決の主体者としてどのようなマネジメントを行えば. 第2節 子どもによるマネジメントの定義. よいのか明らかにはなっていない。そもそも,マネジメ. 第3節 子どものマネジメント能力の分析. ントは教師が行うものであり(特に管理職) ,子どもに. 第4節 総合的な学習におけるマネジメントサイクル. よるマネジメントはこれまで想定されてこなかった。. 第2章 マネジメント能力育成における教師の意識分析. そこで,本研究においては,総合的な学習における課. 第1節 調査の対象と枠組み. 題作りに焦点をあて,子どもによるマネジメントの役割. 第2節 マネジメント能力育成における教師の意識の. を実証的に明らかにすることを目的とした。. 分析結果 第3章 課題作りにおけるマネジメントの分析. 【研究の目的】 総合的な学習の課題作りにおいて,児童生徒によ. 第1節 課題作りにおける子どものマネジメント. るマネジメントの役割と重要性について実証的に明. 第2節 学習における子どものマネジメントの実際1. らかにする。. ∼A小学校5学年「やってみよう米作り」の事例∼. 研究にあたっては,まず子どもによるマネジメントの. 第3節 学習における子どものマネジメントの実際2. 理論的な枠組みを明らかにするために,子どもによるマ. ∼F小学校5学年「健康のひみつをさぐろう」の事. ネジメントの定義や子どものマネジメント能力,マネジ. 例∼. メントサイクルについて検討を行う。. 終 章 研究のまとめ 第1節 総合的な学習における課題作りについて 第2節 研究の課題. 次に,教師の意識調査及び分析を行い,子どものマネ ジメント能力の重要性や育成の状況を明らかにする。 さらに,授業の分析を通して,課題作りにおける子ど もによるマネジメントの働きを明らかにする。. 2.論文の概要 序章 研究の目的と意義 本研究の課題意識は, 「総合的な学習の時間」の学習 上の課題からきたものである。総合的な学習の時間が平. 1章 子どもによるマネジメントに関する基礎理論 この章では,次の4点からマネジメントにかかわる基 礎理論について考察をおこなった。. 成14年度から完全実施となり,各学校においてはその. (1) 子どもによるマネジメントの必要性. 対応に追われている。既に平成11年度から試行を行っ. (2) 子どもによるマネジメントの定義. た地域では,「学習課題の設定」と「評価活動の工夫」. (3) 子どものマネジメント能力の分析とその分類. が総合的な学習の時間の学習上の主要な課題となってい. (4) 総合的な学習におけるマネジメントサイクル. る。これらの課題の解決は,教師側だけの問題ではない。. まず,(1)のマネジメントの必要性については,総合. 「自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判. 的な学習のねらいや総合的な学習における問題解決の特. 断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てるこ. 徴から考察した。総合的な学習における問題解決は教科. と。」をねらいとする総合的な学習においては,児童生. 学習における問題解決と違って,決まった解答があるわ.

(2) けではない。また,問題解決の手順を一つ一つ指導され. ⑦学校の施設や設備を活用する力(実践). ない。つまり総合的な学習においては,子どもは今もっ. ⑧地域の施設や文化財を活用していく力(実践). ている力で問題を解決するしかない。そのため,解決に. ⑨学習時間や場所,資料などを適切に管理する力(実践). あたっては,自分が問題事象について知っていることや. 【終末段階】. 心情的なかかわり,技術的にできることを明らかにして. ①仮説や予想と結果を対応させて論を構成する力 (実践). 行く必要がある。そして,その中で使える要素を取捨選. ②得られた結果を絵図,表,グラフなどに整理し,表現. 択し,問題を解決していくための戦略を組み立てていか なければならない。ここに子どもによるマネジメントの 必要性があると考える。 (2)の子どもによるマネジメントの定義については,. する力(実践) ③見いだした結果や決まり,感想などを話し合い共有化 する力(調整) ④新たな疑問や問題を見いだす力(企画). これまでのマネジメントの使われ方や定義を参考にして. ⑤自己の活動状況を評価する力(評価). 検討した。総合的な学習の問題解決という機能面に着目. ⑥他の学習者の活動状況を評価する力(評価). して,次のようにマネジメントを定義づけた。 【子どもによるマネジメントの定義】 総合的な学習における子どものマネジメント能力. さらにこれらの能力について,マネジメントの対象や 特徴からの検討を行った。その結果次の2つのマネジメ ント能力の系列を見いだした。. とは,問題を解決するために,これまで学習してき. ①対象の問題解決にかかわるマネジメント能力の系列. た教科の知識や技能,自己の心情,ともに学ぶ学習. (総合的な学習の時間のねらい「自ら課題を見付け,自. 者,支援者などの諸条件を整理し,組織化して問題. ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解. 解決をはかる力である。. 決する資質や能力を育てること。 」につながる系列). (3)のマネジメント能力の分析においては,総合的な. ②自己の学び方にかかわるマネジメント能力の系列. 学習の時間の基本的な学習形態を問題解決学習とし,問. (総合的な学習の時間のねらい「学び方やものの考え方. 題解決の学習過程にそって必要な能力の分析を行った。. を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に. ここでは,岡東壽隆氏の「経営的力量の形成」を参考に. 取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができ. して,企画能力,経営実践能力,評価能力,調整能力の. るようにすること。 」につながる系列). 4観点から次の21の能力を明らかにした。. (4)総合的な学習におけるマネジメントサイクルにつ. 【導入段階】. いては,P(計画)−D(実施)−S(評価)サイクル. ①問題事象とであい潜在化されている課題に気づく力. の循環の長さやP→D→Sの順序について考察した。. (企画) ②問題についての仮説や解決の予想をする力(企画). マネジメントサイクルの長さについては,次の3つを 考えた。. ③問題の解決方法を考える力(企画). ①1年間を単位としたサイクル. ④共通や類似の問題を持つ学習者とグループを形成する. ②1単元を単位としたサイクル. 力(企画). ③活動のまとまりや1時間を単位としたサイクル. ⑤グループや学習集団の中で役割を分担する力(企画). それぞれについては,次のような特徴が見られる。. ⑥課題や解決の見通しが適切か評価する力(評価). ①1年間を単位としたサイクルでは,1年間を通して. 【展開段階】. P−D−Sが位置づく。1年の始めには,年間の全体像. ①自分の仮説や解決方法に従って活動する力(実践). を見通すオリエンテーション的な単元がP(計画)とし. ②資料や観察を行い情報を収集する力(実践). てある。また1年の終わりには,自分の年間の成長を評. ③得られた情報や結果を分析し,正しい結果か評価する. 価するような単元がS(評価)としてある。1年間の計. 力(評価) ④必要に応じて仮説や解決方法を見直し,再度情報を集 める力(実践) ⑤教師やGT,地域の人と対応したり一緒に活動したり する力(調整) ⑥集団でのコミュニケーションを活発にし,よりよい決 定を作り出す力(調整). 画では,教師主導のマネジメントが多いと考えられるた め,特に子どもと教師の連携が重要になる。 ②1単元を単位としたサイクルでは,総合的な学習の 学習過程の導入段階−展開段階−終末段階に対応して, P−D−Sが位置づく。単元の始めには,課題や課題解 決を見通す時間がP(計画)としてある。また単元の終 わりには,自分の成長を評価したり,新たな課題を見い.

(3) だす時間がS(評価)としてある。単元レベルではP− D−Sをすべて子どもが行うことが大切である。教師が. で効果的なものにする上で効果があると考える。 ③D→P→S又はD→S→Pでは, 始めに実践がある。. 計画し,子どもが実施し,教師が評価するのであれば,. このパターンも目標設定について自由度がある場合に考. 子どもの意欲や主体性は育たない。子どもがP(計画) ,. えられる。S(評価)ではなくD(実施)が前に来るの. D(実施) ,S(評価)を自分で管理し,問題解決を自. は,初めて体験するなどの理由である程度情報を求めて. 分で進めることに総合的な学習の意味がある。1単元は. 試行が必要だからである。そのため,このパターンは問. 1つの課題追究であり,子どもがマネジメントするには. 題解決能力が未発達で学習経験の少ない,小学校の総合. 適切な長さのサイクルだと考えられる。. 的な学習に見られやすいと考える。中学や高校では,実. ③活動のまとまりや1時間を単位としたサイクルで は,1つの活動の中にP−D−Sが位置づく。例えば導. 践からではなく日常気にしている課題や,テーマに関し たデーターの分析から問題を立てることができる。. 入段階の「課題作りの活動」の中に,問題解決に適した 方法を探るD(実施)や問題解決の活動計画を立てるP. 2章 マネジメント能力育成における教師の意識分析. (計画) ,活動計画がうまくいきそうか見直すS(評価). この章では,子どものマネジメント能力の必要性や育. が位置付く。ここでのS(評価)は活動を進めるか戻す. 成の状況について明らかにするために,教師への調査を. かの重要な役割をもつ。もし,課題作りの計画がうまく. 行った。そのために,教師からみた子どものマネジメン. いかないと判断すれば,もう一度はじめにかえってやり. ト能力の重要性及び,指導の実践度について意識調査し. 直す。逆にうまくいっていると判断すれば学習が次に進. その分析を行った。. むことになる。活動のまとまりレベルのマネジメントで. 調査にあたっては,平成11年度から総合的な学習の. は,子ども自らが判断し活動を進めないことには学習が. 試行を行い,総合的な学習の主旨の理解や教育条件の整. 進行しないため,子どものマネジメント能力がより重要. 備が進んでいる地域の学校を選んだ。これは,子どもが. になる。. 主体的に問題解決を行うためにマネジメントが必要にな. P−D−Sの順序については,次の3つが考えられる。. るのであり,教師主体の学習では子どものマネジメント. ①P(計画)→D(実施)→S(評価). の余地がないからである。実際には,選定地区の各小学. ②S(評価)→P(計画)→D(実施). 校の研究主任と,A小学校(小規模校,経験年数はバラ. ③D(実施)→P(計画)→S(評価)又はD→S→ P. ンスがとれている,農業地域)B小学校(小規模校,経. これらを目標との関係で考察すると, 次の特徴がある。. 験年数はベテランが多い,農業地域)C小学校(大規模. ①P→D→Sは基本的なパターンである。このパター. 校,経験年数は若年者が多い,新興住宅地)を選んだ。. ンでは,P(計画)の前にすでに「目標」が存在すると. 経験年数には差があるがいずれも総合的な学習への理解. 考えられる。達成すべき目的がはっきり決まっているか. は高い。. らこそ,そのための計画が必要となってくる。また,長. 調査の分析にあたっては次の点から行った。. い単位や大きな組織を動かす場合にも,後で簡単に計画. ・子どものマネジメント能力の重要度の認識から. の変更がきかないため,始めにきちんとした計画が必要. ・子どものマネジメント能力の指導の実践度から. になる。そのため,このパターンは目標がはっきり決ま. ・重要度と実践度の差から. っていたり,年間サイクルのような長い単位であったり. ・企画−実践−評価−調整の能力別観点から. する場合にもっとも有効だと考える。. ・2つのマネジメント系列別観点から. ②S→P→Dでは,始めに評価があり,計画し,実践. その結果,次のことが明らかになった。. を行う。 「目標」との関係では,目標がまだ決まってい. ①子どものマネジメント能力は教師からも総合的な学. なかったり目標の大枠だけ決まっていたりして,目標設. 習において必要な能力と見なされていること。傾向とし. 定について自由度がある場合にこのパターンが考えられ. ては総合的な学習の時間のねらいとの関連が強く,子ど. る。学習者としての子どもは,自分が今わかっているこ. もの主体性が高いと考えられる能力が重要視されてい. と,まだわからないことを明確にし,わからないことを. る。. 課題として学習を始める。つまり,S(評価)が前に来. ②子どものマネジメント能力は,教師が重要だと思う. るのは継続性があったり目標の方向性が決まっていたり. よりは,実際には子どもに身に付いていないと見なされ. して,目標が現状の評価から導き出されるからである。. ていること。傾向としては「情報の集め方,調べ方,ま. このパターンは,目標を設定しP(計画)をより具体的. とめ方,報告や発表・討論の仕方などの学び方」にかか.

(4) わる技能的なことが実践度が高く,評価に関することが 低いこと。 ③マネジメント能力の中でも評価にかかわる能力が, 必要にもかかわらず,もっとも身に付いていないと見な されていること。 ④教師は 「自己の学び方にかかわるマネジメント能力」. 切であること。 ④課題作りの評価を行うことで,課題解決への見通し がより明確で,現実的なものになること。 ⑤子どもによるマネジメントを進めるには,教師は子 どもの主体性を尊重する態度が必要なこと。 ⑥課題作りのマネジメントでは,比較による連関性の. より「対象の問題解決にかかわるマネジメント能力」を. 把握や意見の尊重による協働性の向上などの教師の支援. 重視していること。. が有効であること。. 3章 課題作りにおけるマネジメントの分析. 終章 研究のまとめ. この章では次の仮説をたて,授業分析を通して,課題. 終章においては,総合的な学習における子どもの課題. 作りにおける子どもによるマネジメントの働きを明らか. 作りについて明らかになったことを整理するとともに,. にした。. 研究上の課題を明らかにした。特に課題については次の. 【仮説】. 2点が上げられる。. 総合的な学習における課題作りにおいて,子どもに. 1つ目は,総合的な学習における課題の類型化を行う. よるマネジメントがうまく機能したときに,良い課. ことである。課題や解決の見通しは先行経験と問題事象. 題設定ができるであろう。. との比較から生まれると予想した。ところがそれだけで. そのために,まず①よい課題の成立条件や②課題作り. はなく,今の自分と理想の自分との比較から課題が生ま. の場面ごとのマネジメントを仮定して,授業観察の視点. れたり,GTの情報と問題事象の比較から見通しが生ま. を明らかにした。. れたりした。課題作りに働くマネジメント能力は変わら. ①よい課題の成立条件については, 「子どもと問題の. ないが,課題のタイプにおいては,比較し連関性を持た. かかわりからくる意欲」や「結果の見通し」 「方法の見. せるものが変わってくると考えられる。そこで,先行経. 通し」がある時に良い課題と仮定した。. 験と対象の比較からは知的な課題を,今の自分と理想の. ②場面ごとのマネジメントについては,基本的にD (実 践)→S(評価)をマネジメントサイクルとした。また,. 自分の比較からは自己実現的な課題を生み出すなど,課 題の類型化とそのマネジメントの分析が必要である。. 子どもと他の子どもやGTとの協働性が見られたり,先. 2つ目は,課題作りのマネジメントにおいて,評価の. 行経験と問題事象との比較を行い類推や適用などの連関. 位置づけを見直すことである。課題作りの小さな場面ご. 性が見いだされたときにマネジメントがうまく機能した. とにD(実践)とS(評価)を位置づけたが,授業観察. と仮定した。. では子どもが評価を行っているかどうか,外面からは観. 授業事例には,A小学校第5学年「やってみよう米作. 察できなかった。しかし教師が意図的に評価させた場面. り」とF小学校第5学年「健康のひみつをさぐろう」を. では,問題解決の見通しがより具体的で現実的なものに. 取り上げた。この2つの事例を取り上げた理由は,いず. なっていた。このことから考えると,マネジメントサイ. れも課題作りが成功している事例と判断したからであ. クルに評価をきちんと位置づけることは大切である。問. る。また,数年の実践がありカリキュラムとしても確立. 題はどこにどのように位置づけ,子どもに意識させるか. している。. ということである。ポートフォリオなど主体的に自己評. 2つの授業分析からは次のことが明らかになった。. 価を行った例をさらに分析する必要がある。. ①課題に気づく場面のマネジメントにおいては,目標 像と現実の自分の比較から課題に気づくことができるこ. 3.主要引用文献. と。. (1) 岡東壽隆「経営的力量の形成」岸本幸次郎・久高喜. ②学級のめあての設定や決定場面のマネジメントにお いては,集団のコミュニケーションを活発にする能力と 協働性が大切なこと。 ③問題解決の結果の予想や方法の見通しには,先行経. 行編著『教師の力量形成』ぎょうせい,1986年 (2) 文部省『小学校学習指導要領解説総則編』東京書籍, 1999年 (3)中留武昭編著『総合的な学習の時間−カリキュラム. 験やGTの情報などのもとになる事象が必要であるこ. マネジメントの創造−』日本教育総合研究所,. と。さらに,目前の問題解決との連関性を図ることが大. 2001年.

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参照

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