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論文内容の要旨Combinatorial CRISPR/Cas9ApproachtoElucidatea Far-Upstream Enhancer Complex for Tissue-Specific Sox9 Expression

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Academic year: 2021

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論 文 内 容 の 要 旨

Combinatorial CRISPR/Cas9 Approach to Elucidate a Far-Upstream Enhancer Complex for

Tissue-Specific Sox9 Expression

CRISPR/Cas9 を用いた軟骨発生に必須の転写因子 Sox9

の組織特異的エンハンサーを含んだ転写複合体の解明

日本医科大学大学院医学研究科 整形外科学分野 大学院生 田畑 祐輔

Developmental Cell, 46 (6), (2018)掲載

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2 内容要旨

軟骨細胞の分化や発生に必須の役割を持つ転写因子としてSOX9 (SRY-box9) が挙げられる。SOX9 伝 子 も し く は そ の 周辺 の 突 然 変 異に よ り 先 天性 骨 軟 骨 形 成 異 常 症 (Campomelic Dysplasia; CD, Acampomelic Campomelic Dysplasia; ACD)を引き起こすことが知られており、患者の遺伝子解析などか SOX9上流約1Mbまでの遺伝子間領域においていくつかのエンハンサー領域が報告されている。しか しながらSOX9遺伝子とその上流遺伝子KCNJ2の間には約2Mbという非常に巨大な遺伝子間領域が存 在しており、エンハンサー領域がこの中に散在性に存在していること、またそれら複数のエンハンサーが 協調して SOX9 の発現を制御しているという事実に加え、体系的にエンハンサー領域や上流遺伝子を同 定する手法に関しても困難な点が多く、現在でも完全には解明されていない。そのため、今回の研究目的 として、体系的に SOX9 を活性化させる軟骨特異的エンハンサー領域やSOX9自体を制御する転写因子 を同定することで、軟骨におけるSOX9の転写制御システムを明らかにしたいと考えた。

方法として、まず近年報告された遺伝子改変を可能とするCRISPR (clustered regularly interspaced short palindromic repeats) /Cas system を用いて、 Sox9 のプロモーター領域近傍に設計した guide RNA (gRNA) deactivated Cas9 (dCas9) をレトロウイルスによりマウスの初代肋軟骨細胞に対し遺 伝子導入後、クロマチン免疫沈降法 (ChIP)を施行した。その結果、Sox9上流約1Mbの領域 (RCSE) 強いピークを認めることを突き止めた。この RCSE 領域は種の保存性を満たしており、ヒストンのエン ハンサーマーカーであるH3K27acH3K4me1でのChIPにおいても有意なピークを認めた。

このRCSE領域の機能を評価するために、転写抑制複合体であるSIN3Aを含んだdCas9RCSE 域に結合させたところ、肋軟骨細胞において Sox9 の発現が有意に低下し、C3H10T1/2 細胞を用いた軟 骨分化では、Sox9 発現が低下し軟骨分化が抑制された。そして肋軟骨細胞を用いた 3C (Chromosome conformation capture)を施行した結果、1Mbも離れたSox9プロモーターとRCSE領域のアソシエーシ ョンを確認し得た。さらにこのRCSESox9プロモーターを発現させたLacZ-トランスジェニックマウ スを作成・解析した結果、肋軟骨特異的な染色パターンを認めた。さらには RCSE 領域を欠失させたノ ックアウトマウスを作成し骨格標本にて解析したところ、肋軟骨を含んだ胸郭のみの低形成・狭小化を認 めた。さらに切片を作成し解析した結果、大腿骨では差を認めない一方、ノックアウトマウスの肋軟骨の みで増殖軟骨細胞層の減少、肥大軟骨細胞層の増大を認め、今回の RCSE 領域が肋軟骨特異的エンハン サーであることが強く示唆された。

最後に、このRCSE領域近傍にgRNAを設計し、同様の手法でdCas9を結合させChIP-MSを施行し 同定した全ての転写因子をsiRNAでスクリーニングした結果、Sox9自体の発現を制御する転写因子とし Stat3 (Signal transducer and activator of transcription 3)を同定し得た。軟骨細胞のセルラインであ ATDC5を用いたルシフェラーゼアッセイでは、Sox9プロモーターとRCSE領域の存在下でStat3 導入すると活性が有意に上昇した。さらにはStat3抗体を用いたChIPではSox9プロモーター、RCSE 共に有意なピークを認め、肋軟骨細胞を用いた免疫染色では核の濃染を確認し得た。そして C3H10T1/2 細胞を用いた軟骨分化でshRNAを用いStat3を抑制した結果、分化に伴いSox9の発現が低下し、有意 に軟骨細胞分化が抑制された。最後にStat3のコンディショナルノックアウトマウスを作成し解析したと ころ、全身の骨格低形成、また明らかな骨化の遅延を認め、Stat3RCSE領域を介してSox9の発現を 制御していることを突き止めた。

今後、我々の結果がCDACDの診断につながり、さらには同様の手法を用いることで未知のエンハ ンサー領域を同定出来る可能性がある。

参照

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