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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 歯 学 )    鵜 山 真 紀

学 位 論 文 題 名

Regulation of osteoblastic differentiation by the     I  ●

    proteasomelnhibitorborteZOmlb

(プロテアソームインヒビターBortezomibによる骨芽細胞分化の制御)

学位論文内容の要旨

  ユヒ キチ ンー ブ口 テア ソー ムシ ステ ムは、ボリユピキチン化された標的夕ン バ ク質 をATP依 存的 に分解 する シス テム であ り、 細胞 周期 の制 御、 免疫応答な ど 様々 な生 命活 動に 重要 な役 割を 果た している。このシステムの一連の反応に は 、ユ ビキ チン 活性 化酵 素(El)、 ユピ キチ ン結 合酵 素(E2)、 ユビ キチンリガ ー ゼ(E3)の3つ の 酵 素 が 関与 し て い る 。 な か で も 、 ユ ピキ チン リガ ーゼ(E3) は ヒト では 約1000種 類報 告さ れて おり 、選択的に標的夕ンバク質を認識すると 考 えら れて いる 。ポ リユ ビキ チン 化さ れた 標的 夕ンバ ク質 は26Sプ 口テアソー ムヘと運搬され、分解される。

  近年 、こ のシ ステ ムが 骨代 謝に も深 く関わっていることを示唆する報告があ る 。骨 量は 、骨 芽細 胞に よる 骨形 成と 破骨細胞による骨吸収のバランスによっ て調節されている。骨芽細胞の分化と機能は、調節因子であるbone morphogenetic proteins (BMPs)やWnt、シグナル伝達分子であるSmadやp‑catenin、転写因子で あ るRunx2やATF4に よって 制御 され てい る。Wnt/p‑cateninシグナルは骨代謝に 関 与し てい るこ とが 報告 され てお り、Wntシグナルが存在しない時、p‑catenin はglycogen synthase kinase (GSK) ‑3pによるりン酸化を受けてユピキチンープ口 テ ア ソ ー ム シ ス テ ム に よ り 分 解 さ れ る 。BMPの シ グ ナ ル分 子で あるSmadのユ ビ キチ ンリ ガー ゼ(E3)で あるSmurflの ノックアウトマウスでは骨量が増加し、

過 剰発 現さ せた マウ スで は骨 量が 減少 したと報告されている。また、骨芽細胞 分 化 に 必 須 の 転 写 因 子 で あ るRunx2の ユ ビ キ チ ン リ ガ ーゼ (E3)で あるShn3 の ノッ クア ウト マウ スで も骨 芽細 胞の 活性が増加し、骨量が増加したと報告さ れている。

  ユビ キチ ン― プ口 テア ソー ムシ ステ ムは様々な疾患の創薬のための標的にな る と考 えら れて いる 。現 在臨 床で 唯一 使用されているプ口テアソームインヒビ タ ーBonezomib(Bzb)は 多発 性骨 髄腫 に有効な治療薬として認可されている。

多 発性 骨髄 腫は骨欠損を特徴とする形質細胞の悪性腫瘍であり、BZb投与患者で は 血清 中の オス テオ カル シン 発現 が誘 導され、骨芽細胞数が増加することが報 告されている。さらに、Bzbを投与した正常マウスにおしゝても骨量の増加が認め

‑ 407

(2)

られた。Bzbは、がん細胞のアポトーシスを誘導すると共に骨量を増加させるこ とから、骨芽細胞分化を誘導する可能性が考えられるが、その詳細な機構は明 らかではない。本研究では、プ□テアソームインヒピターの細胞分化に対する 効果及び骨芽細胞分化に関与する種々のシグナル分子に対する影響について検 討を行い、これらの骨芽細胞分化誘導の機構を解明することを目的とした。

  今回用いたC2C12細胞は未分化な間葉系細胞で、BMP2存在下では骨芽細胞 に分化し、低増殖培地で培養すると筋管細胞に分化することが知られている。

C2C12細胞培 養系を用いてプ□テアソームインヒピターであるBortezomib、 Epoxomicm、MG‐132、Lactacystmをそれぞれ加え培養し、骨芽細胞及び筋分化 に関連する 分化マーカーのmRNA発現をR11PCRやrealItinlePCRを用いて調べ た。Bzbはオステオ カルシンやALPrnRNA発 現を誘導した。一方、BZbは筋分 化に 関 連し た マー カ ーで あ るmyogenmやMCKmRNA発現を抑 制し、筋管 細胞 の形成を抑制した。近年、miRNA発現も細胞分化に関連していることが報告さ れている。rnjR一34bはWnt/p→catenmシグナルやBMPシグナルにより発現が誘導 されるが、Bzbはこれらと同様にmiR・34b発現を誘導した。一方、rnjR1206は C2C12細胞を含む骨格筋にのみ発現し、筋分化に伴って発現が増加することが 知られているが、BZbはmiR・206発現を抑制した。

  さらに、骨 代謝に重要 な役割を果 たしているp−catenin/Wntシグナルや BMP/SImdシグナル、骨芽細胞分化に関わるシグナル分子であるR.unX2やATF4 へのBZbの関与についてルシフェラーゼレポーターアッセイにより検討した。

Bzbは、SnladやB−catenm応答レポーターの転写活性は促進せず、BMP2やWnt の標的遺伝子である、Id、0PGや凡气NKLmRNA発現も誘導しなかった。一方、

Bzbはオステオカルシンプ口モーターへの転写を活性化し、オステオカルシンプ 口モーター のRlmx2やATF4結合部位を変異させたコンストラクトを用いた解 析から、R.unx2結合部位の変異によってBzbによる転写活性化が失われた。BZb のR.unx2への関与について、ク口マチン免疫沈降法(ChIP)及びWestemblot によりさらに検討した。Bzbで処理した細胞ではRunx2抗体によってオステオ カルシン遺 伝子のRunx2結合部位が免疫沈降され、BZbによってRunx2のタン バクレベルの増加が認められた。しかし、BZbによりR.unX2mRNA発現は誘導 されなかった。

  本研究により、プ口テアソームインヒピターBzbは筋分化を抑制し、R.unx2の ユピキチンープ口テアソームシステムによる分解を抑制することにより、骨芽 細胞分化を誘導する機構が考えられた。

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(3)

学位論文審査の要旨 主査 副査

副査

教授 教授 教授

川浪 田村 鈴木

学 位 論 文 題 名

雅光 正人 邦明

Regulation of osteoblastic differentiation by the     ●  ●

    proteasomelnhibitorborteZOmlb

(プ ロテ アソ ーム イン ヒビ ターBortezomibによ る骨 芽細胞分化の制御)

  審 査 は 、 主 査 お よ び 副 査 が 一 堂 に 会 し 、 論 文 提 出 者 が 論 文 内 容 の 要 旨 を 説 明 し な が ら 、 そ の 内 容 に つ い て 審 査 担 当 者 が 口 頭 試 問 を 行 っ た 。 学 位 申 請 者 か ら は 以 下 の 内 容 の 論 述 が な さ れ た 。

  ユ ビ キ チ ン ― プ 口 テ ア ソ ー ム シ ス テ ム は 、 ポ リ ユ ピ キ チ ン 化 さ れ た 標 的 夕 ン バ ク 質 をATP依 存 的 に 分 解 す る シ ス テ ム で あ り 、 様 々 な 生 命 活 動 に 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る 。 こ の シ ス テ ム の 一 連 の 反 応 に は 、 ユ ピ キ チ ン 化 酵 素(El) 、 ユ ピ キ チ ン 結 合 酵 素(E2)、 ユ ビ キ チ ン リ ガ ー ゼ(E3)の3つ の 酵 素 が 関 与 し て お り 、 ポ リ ユ ビ キ チ ン 化 さ れ た 標 的 夕 ン パ ク 質 は26Sプ 口 テ ア ソ ー ム と 運 搬 さ れ て 分 解 さ れ る 。 近 年 、 こ の シ ス テ ム が 骨 代 謝 に も 深 く 関 わ っ て い る こ と を 示 唆 す る 報 告 が あ る 。 現 在 、 臨 床 で 唯 一 使 用 さ れ て い る プ 口 テ ア ソ ー ム イ ン ヒ ビ タ ーBortezomib(Bzb) は 多 発 性 骨 髄 腫 に 有 効 な 治 療 薬 と し て 認 可 さ れ て い る 。BZb は 、 が ん 細 胞 の ア ポ ト ー シ ス を 誘 導 す る と 共 に 骨 量 を 増 加 さ せ る 報 告 が あ り 、 骨 芽 細 胞 分 化 を 誘 導 す る 可 能 性 が 考 え ら れ る が 、 そ の 詳 細 な 機 構 は 明 ら か で は な い 。 本 研 究 で は 、 プ 口 テ ア ソ ー ム イ ン ヒ ピ タ ー の 細 胞 分 化 に 対 す る 効 果 及 び 骨 芽 細 胞 分 化 に 関 与 す る 種 々 の シ グ ナ ル 分 子 に 対 す る 影 響 に つ い て 検 討 を 行 い 、 こ れ ら の 骨 芽 細 胞 分 化 誘 導 の 機 構 を 解 明 す る こ と を 目 的 と し た 。   C2C12細 胞 培 養 系 を 用 い て プ 口 テ ア ソ ー ム イ ン ヒ ピ タ ー で あ るBoneZomib、 Epoxomicm、MG‐132も し く はLactacystmを そ れ ぞ れ 加 え 培 養 し 、 骨 芽 細 胞 及 び 筋 分 化 に 関 連 す る 分 化 マ ー カ ー のmRNA発 現 をR11PCRやreal一tinlePCRを 用 い て 調 べ た 。BZbは オ ス テ オ カ ル シ ン やALPmRNA発 現 を 誘 導 し た 。 一 方 、Bzb は 筋 分 化 に 関 連 し た マ ー カ ー で あ るmyogeninやMCKmRNA発 現 を 抑 制 し 、 筋 管 細 胞 の 形 成 を 抑 制 し た 。 ま た 、 近 年 、miRNA発 現 も 細 胞 分 化 に 関 連 し て い る

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(4)

こと が報 告され てい る。Bzbは筋 分化 に関連 するmiR‑206発現を抑制し、骨芽細 胞分 化に 関連す るmiR‑34b発 現を 誘導 した。 さら に骨 芽細 胞分 化に 関わ るシ グ ナ ル 分子 で あ るRunx2、Smad、p‑cateninやATF4への 関与 につ いて ルシフ ェラ ーゼ レポ 一夕ー アッ セイ によ り検 討し た。Bzbは 、Smadやp‑catenin応答レポー タ ー の 転 写 活 性 は 促 進 せ ず 、BMP2やWntの 標 的 遺 伝 子 のmRNA発 現 も 誘 導 し なか った 。一方 、Bzbはオステオカルシンプ口モーターへの転写を活性化した。

オ ス テオ カ ル シ ン プ □ モ ー タ ー のRunx2やATF4結 合 部 位 を 変 異さ せたコ ンス ト ラ クト を 用 い た 解 析 か ら 、Runx2結 合部位 の変 異に よっ てBzbに よる転 写活 性 化 が失 わ れ た 。BzbのRunx2への 関与 につ いて 、ク 口マ チン 免疫 沈降法 及び Westem blotに より さら・に検討した。Bzbで処理した細胞ではRunx2抗体によっ てオ ステ オカル シン 遺伝 子のRunx2結 合部位 が免 疫沈降され、R.unX2のタンバ クレ ベル の増加 が認 めら れた 。

  本 研究 により 、プ 口テ アソ ーム イン ヒピ ターBzbは筋分化を抑制し、Runx2の ユビ キチ ン―プ 口テ アソ ーム シス テム によ る分 解を抑制することにより、骨芽 細胞 分化 を誘導 する 機構 が考 えら れた 。

  各 審査 委員か らの 主な 質疑 項目 は、 以下 であ る。

1.ユ ピキ チン ープ 口テ アソ ーム シス テムに おけ る創 薬の ター ゲッ トに ついて 2.Bzbに よる筋 分化 抑制 につ いて

3.20Sプ 口 テ ア ソ ー ム のpsサブ ュニ ット と各種 プ□ テア ソー ムイ ンヒ ピタ ー     の関 連性に つい て

4.ユ ピキ チン リガ ーゼ(E3)の多 様性 と選択 性に つい て 5.Bzbの 多発性 骨髄 腫に 対す る作 用に つい て

6.miRNAについ て 7.Idの役 割に つい て

8.オ ステ オカ ルシ ンの 機能 につ いて 9.ク □マ チン 免疫 沈降 法の 原理 につ いて

  申 請者 からは いず れの 質問 に対 して も適 切かつ明快な回答が得られ、研究の 立 案 と進 行 、 結 果 の 解 析 に つい て十 分な 能カを 有し てい ると 考え られ た。 .

  本 論文は 、BzbがRunx2のユ ビキ チン ―プ □テ アソ ーム シス テムに よる 分解 を抑 制す ること によ り、 骨芽細胞分化を誘導する機構を明らかにした点が評価 され 、こ の業績 は今 後の 生命科学の研究の発展や創薬に大きく寄与するものと 考え られ た。ま た、 試問 の結果より学位申請者は十分な学識を有していること が認 めら れた。 従っ て、 学位申請者は博士(歯学)の学位を授与されるにふさ わし いと 認めら れた 。

―410―

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