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Attribution theoryの展望 (2) : その公理論的展 開に向けて

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Attribution theoryの展望 (2) : その公理論的展 開に向けて

その他のタイトル Review of Attribution Theory (2)

著者 広田 君美, 藤沢 等

雑誌名 関西大学社会学部紀要

9

1

ページ 73‑97

発行年 1978‑01‑31

URL http://hdl.handle.net/10112/00022924

(2)

Attribution theoryの 展 望 (2) ー一その公理論的展開に向けて一一

広 田 君 美 ・ 藤 沢

1.  は じ め に

new look psychologyとして社会的認知の分野から始じまった社会心理学における認知の問題 は,対象の持つ物理的特性と知覚者の個体的要因や知覚者をとりまく社会的,文化的要因が対象 の属性認知に影響を及ぼすことを明らかにした。 その後, Osgood,  C.E.  et al.  (1957)の研究 に代表されるように, 認知要素は単独に存在するのではなく, 他の認知要素と繋がって一定の 構造を有していることが明らかになり, この認知構造の解明に力が注がれた。 その結果, 認知 構造の安定性が注目されて, Heider,F.  (1958),  Newcomb, T.M.  (1959),  Osgood,  C.E. 

Tannenbaum, P.H.  (1955),  Festinger, L. (1957)などの認知的均衡化の過程に関する研究へと 発展してきたことはよく知られている。特に Festingerの認知的不協和理論(cognitivedisson ance theory)は多くの事象を数少い法則によって説明,予測できたため,認知論は社会心理学の 中心的課題となってきた。

しかし,このような認知システムの動態的過程の研究へと進んできた認知論の流れから, attri butionが問題として取りあげられねばならない必然性はほとんどないに等しいと思われる。な ぜなら, attributiontheoryは,他者の行動からその原因となる特性を推論するという過程を取 り扱っており,その意味で一種の対人認知であると考えられるからである。 ABである」と いう命題の推論が attributiontheoryの課題であるとするなら, それは単なる認知要素間の結 びつけであり構造化に他ならない。従って,できるだけ結合性の高い認知要素が構造化の対象と なるだろうと考えられる。確率論的機能主義が attributiontheoryの基盤となっていると言わ れるゆえんである。

そこで, attributiontheoryに新らしい意味づけを与えるために,前回の広田・西川 (1977) の展望が過去の研究例を照介したことから,今回は attributionに関する研究が社会心理学にお ける認知研究とどのように係り合い,今後どのような方向へ attribution研究が進むかについて の展望を試みることにする。

そのために本論文では,まず,

2.  attribution theoryの概括

‑73‑

(3)

を行い,現在までのattribution研究の流れを全体的視野でとらえ, Heiderに始じまる研究が どのような研究主題の下に,主にどのような人々によって発展され, どのような取り扱いをされ てきたかを概観し, attributiontheoryが他の認知研究,特に認知均衡論とどのように係ってい るかを述べる。その後, attributiontheoryを含めた認知研究全体がどのような関係として把握 できるかを,

3.  attributionの公理論的展開

で明らかにする。ここでは従来の attributiontheoryの枠を出て,人間の認知行動が大きく 三つの attributionprocessによって組み立てられることを述べる。そして,この公理論的展開 によって,社会心理学の他の領域に対して,どのような貢献が可能となるかについて

4.  attributionと他の領域との関連

において述べることにする。なお,諸理論における専門用語については,必要としないかぎり 脚注に説明を加えるにとどめるが,詳しくは前回の広田・西川の展望を参照願いたい。

2.  Attribution theoryの 概 括

attribution theoryの研究主題と主な研究者がどのように関連づけられるかを,おおよその年 代順に Fig.1.  にまとめた。しかし,研究は多岐にわたっており, attributiontheoryという言 葉でまとめることさえ困難になりつつある。

研究の発端である Heiderは研究主題として,

i)因果関係の帰属 (causalattribution)  ii)責任の帰属 (responsibilityattribution)  iii)動機の帰属 (motivationattribution) 

を取りあげた。そこでこの分類に従って研究の流れを概観しよう。

2‑1 因果関係の帰属の流れ

因果関係の帰属は attribution研究の主流となり, Jones,E.E. Davis, K.E. (1965)の結合 推測理論 (correspondenceinfference theory) Kelley,R.H. (1967)の帰属理論 (attribu tion theory)へと発展して行った。 Heiderは結果に至る原因として個人的因果関係1>(person al  causality)と非個人的因果関係2>(impersonal causality)とを考え,次式を提示した。

ff personal force 

/'...... 

(trying, power, ff environmental force)  '....../ 

can 

1)  行為者が意図的にとった行動についての因果関係であり,行動の原因が行為者の内的な力となるもの。

2)  行為者が統制することのできない環境の力によって引き起される結果についての因果関係のこと。

‑ 7 4 ‑

(4)

Moliv•Liou attribution  (Hekler, 1958) Succ臼•failure  attribution  (Werner, 1970)  vs. force  ,. .... attnoution  (Heide,, 1958) Attitude attribution  Oones Hanis, 1967) 

75

nrtnn,ereduction  (Worchel Ando:eol'¥74) Social power  attribution  (Thibaut l?i仔~"".1955) A. N. 0. V. A,  Causal attribution  (Kelley, 1967)  Reepon,ibility attribution  (Heider, 1958) 

Responsibility  attribution  (Shaw, Sulser, I組) Attribution of  arousal  (← ho,hto,, 1964)  serial  attributions 

Inequity reduction  (Waister, 1966)  Prior豆圧IRncy Post attribution  Power attribution  (Schopler Layton, 1972) 

Attribution theory IT.)~ (2) ︵沢田・穎芽︶

Fig. 1: 帰属理論の史的展望

(5)

これは結果Xが努力 (trying)や個人の力 (power)から成る個人的力 (personalforce)と環 境的力 (envirorunentalforce)との機能的関数関係にあることを示し, 「できる (can)」とは環 境の力と個人の力との拮抗関係上の言葉であることを言い表わしている。

そこで Heiderは,結果から原因を推論するにあたって,個人的因果関係には同一究極性 (e quifinality)が,そして非個人的因果関係には複数究極性 (multifinality)が特徴的に現われる

ことを主張した。すなわち,個人が意図的に行った行動であれば,どのような様式であろうと,

いつ行われようと,何らかの仕方で同一の結果が生じる(同一究極性)はずであり,環境的力に よる結果は,その状況に特徴的に現われることから,場所や時間が違えば結果も相違する(複数 究極性)はずだと考えた (Table.1. を参照)。

Heiderの因果関係の帰属についての考えは,そのまま JonesDavisに受け継がれ,結合 推測理論となった。彼らは "Fromacts to dispositions "という題名にも見られるように,行 動→意図 (intention)→先有傾向 (disposition)という推論過程を取り扱った。行為者が考え得 る可能な行動群からなぜ特定の行動をとるに至ったのか,それが彼の意図によるものなのか, いうことが彼らの主題であった。従って, どのような変数が,ある行動を意図的だと推論させる のかが問題となる。そこで彼らは,

i)非共通効果a>(noncommon effect)が少ければ少いほど,

ii)社会的望ましさ4>(social desirability)が低ければ低いほど,

iii)快楽的関連性5>(hedonic relevance)が大きければ大きいほど,

iv)個人性s> (personalism)が増加すればするほど行動と意図との結合性n (correspondence)  が高まると考えた。 (Table. 2. を参照)

Heiderの基本的な考えは,同一究極性などに見られるように,多くの現象(行動や状況など)

から最も特徴的に現われる因果関係を帰納 (convergence)する過程を研究することにある。こ のことから, Kelley,H.H. (1972)は単に対人認知としての attributionにとどまらず,原因と 結果の結びつきがどのような場合に明確になるかを考え,この結びつきが高いと思われる程度と して主観的妥当性 (subjectivevalidity)を測度とした。 Kelleyのattributiontheoryはまさ に現象として現われた行動,あるいは行動群からそれに特徴的な属性を帰納してゆく過程をとら えている点で興味深い。帰納過程であることから, Kelleyはまず当該の現象が何度か鍼察された

3)  行動の背景にある多くの効果の源泉(条件)の中で,他の行動と比較して突出している効果を生みだ すもののこと

4)  ここでの社会的望ましさは単に社会的に望ましい行動だけを指すのみではなく,いわゆる,社会的に みて一般的な基準的行動をも含めた概念である。

5)  これは観察者 (attributor)がその行動によって受ける価値的側面との関連性であり,これには posi

tive relevanceとnegativerelevanceがある。

6)  観察者の存在によって行動の変化する程度。すなわち,銀察者がいることによってのみ生じると考え られる行動であればそれだけ推論が正確になる。

7)  彼らは行動から意図,あるいは先有傾向を推論できる程度として結合性という測度を用いている。

76‑

(6)

Attribution theoryの展望(2)(広田・藤沢)

ものか, あるいは一度きりの観察によるものかを問題にする。すなわち, 現象(結果)一属性

(原因となるもの)の結合がたび重なる観察下で共変関係 (covariablerelation)を持つのか,

それとも一回の観察下で何らかの配列関係 (configurationalrelation)を持つのかによって帰納 の仕方が相違する。 JonesDavisは目的が対人認知に向けられていたため,共変関係よりも配 列関係に注目していた。 Table 3でもわかるように,配列関係では2つの原因が共に存在し,そ の原因が十分条件的に行動と結びついているか,あるいは必要条件的に行動と結びついているか によって推論の方向が異る。原因Ax原因Bで示される配列関係に対して,共変関係における帰 属は,時間 (time) x事柄 (entity)X (person)からなる3次元立方体の中で生起した結果 の分布から推論されることになる見 Kelleyは主観的妥当性を高める 4つの規準9)を示し, これ らの規準がどのように満されているかによって帰属される対象が違うことを示した。ここで注目 すべきことは Table 3に示すように,意図と状況のどちらもが同じ規準のみによっていること であり, JonesとDavisが結合推測理論において,帰属の時点のみならず,その背景として過去 の経験をも考慮した理由であると考えられる。

因果関係の帰属は JonesDavisゃKelleyによって一応の完成をみたが,その後これらの 理論の実験的検証と共に Weiner,B. (1970)は成功一失敗の帰属に関連して原因の次元を明らか にした。 (Table 4を参照)これらの原因はKelleyの帰属対象と対応している。しかし,研究の 主題は次第に理論より応用にすすみ,態度の帰属や成功一失敗の帰属や責任の帰属へと移ってい った。 Jones,E.E. Harris, V.A. (1967)の態度の帰属は,意図的であると推論された行動は行 為者の真の態度によるものであり,意図的であると考え難い行動は行為者の態度を表わしていな いと考えることで成立している。

2‑2 責任の帰属の流れ

責任の帰属は Heiderがとりあげたものであるが,彼は発達段階によって帰属の仕方に相違の あることに注目していた。 HeiderはTable5に示してある5つの発達段階による特徴的な責任 の帰属を明らかにした10)。この責任帰属の発達段階説は Shaw,M.E. Sulzer, J.L.  (1964)に よって検証され, Fishbein,M. Ajzen, I.  (1973)Table5のごとく,行動の起る文脈によ っても帰属の仕方が相違すると考えられると述べている。

このような責任の帰属の方向は,行為者がどれほど状況にコミットしていたかと同時にどれほ ど意図的であると推論されたかによるものである。 Waister,E. (1966)は意図性を規定する社会 的望ましさを変数にした実験で事故がきびしいものであるほど責任が行為者に帰属されることを

8)  この考えが Kelleyの言う ANOVAであり,統計学的推論と同様であることを示している。

9)  詳しくは広田・西川による前回の展望あるいは, Table3を参照されたい。

10)  各帰属の内容は広田・西川 (1977)の展望に詳しい。

(7)

Table 1 : Heiderの因果性の帰属

ご式1同一究極性 1複数究極性

pe:̲:;ionI。 ̲

impersonal 

causation 

Table 2 : JonesDavisの結合推測理論

二!翡賃]さ 1非共通効果情塁誓 1個 人 性 慶晶賃 i 1

I I 1 I

状他

Table 3:  Kelleyの 帰 属 理 論

二次元 十 分 条 件 必 要 条 件

Cause A  割り増し原理 impersonal  こ 因 Cause A Cause B  割り引き原理 Iimpersonal  > 結 果 成 立

Cause B 

=personal force+impersonal force  結果不成立 有(無) I無(有)

三次元

1

~~~1 意図 1 状況 能 力

1

対 象

Time distinctive 

consistency 

Entity over time  ocovnesr ismteondce 

Person 

concensus 

Oは起り得る。 Xは起らない。

Table 4: 

̲ ̲  

自己の安定的努力

1

自己の不安定的努

自己の能力 疲労,ふん囲気,自己の技能の変動

他者の安定的努力 他者の能力

課題の困難度 Weinerの 原 因 次 元 他者の不安定的努

疲労,ふん囲気他者の技能の変動

Table 5 : Fishbeinらの責任帰属レベル

゜゜゜゜

Commision 

゜゜ ゜

Fore see ability 

゜ ゜ ゜

Justification  Intentionality 

゜゜

‑ 7 8 ‑

(8)

Attribution theoryの展望(2)(広田・藤沢)

明らかにした。

2‑3 動機の帰属の流れ

Heiderのもう一つの帰属研究である動機の帰属は,後の意図した方向に進まず, Atkinson,J.  M. (1964)の動機論と Rotter,J.B.  (1966)の統制志向の流れから Weiner,B. et al (1970)に

よって因果関係の帰属の中へ持ち込まれた。 Weinerらは達成動機の高い者と低い者とでは成功 ー失敗の帰属に違いを生じることを発見し,高達成動機群はそれ以外の者と比べ成功や失敗を努 力に帰属することを報告している。

Heiderの意図した動機の帰属は,喜び (pleasure),希望 (desire),恐れ (fear),努力 (ex ertion)などによって,行為者と達成目標(object)との関係を推論しようとするものであった。

すなわち,行為者が喜びや恐れを表明した時には,行為者と達成目標とが結合(contact)してい ることを示し,恐れは結合しながらも行為者が目標を失うだろうと考えていることを暗示する。

これに対して,希望や努力の表明は行為者と達成目標とが分離 (separation)していることを推 論させる。 Fig.2はこれらの関係を示したものである。

Person 

Object 

Positive 

P‑X  relation 

2‑4 その他の帰属の流れ

~Pleasure Contact

↑ ' ‑ ‑ ‑

Separation 

Contact 

Fig. 2 : Heiderの動機の帰属 Belief 

losing 

Belief that  can cause 

Fear 

Hope 

Exertion 

さて, Heiderに始じまる帰属理論とは流れを異にする2つの帰属理論がある。その1つは Bern, D.J.  (1965, 1967, 1972)の自己知覚理論 (selfperception  theory)であり,他の1つは Schacter, S. Jerome, E.S.  (1962)の情緒の錯誤帰属 (missattribution)の研究に始じまり,

Ross, L. et al  (1969)の帰属療法 (attributiontherapy)へと発展した流れである。これらは 共に自己帰属w (self attribution)を取り扱っており,後に述べる,他者帰属 (otherattribu

11)  自己帰属とは自分自身の行動からその原因となるものを推論する過程のことであり,観察者=行為者 の場合を指す。これと対応する形で観察者が行為者でなく,第三者である帰属を他者帰属と呼ぶ。

‑79‑

(9)

tion)と自己帰属の相違という問題へと発展する源となった研究の流れである。

Bernの自己知覚理論12)の基本的な考えは,「個人は自らの態度や情動やその他の内的状態を,

自らの顕在的行動や,その行動が生じた環境を観察することから推測することによって部分的に 知る (know)"のである」ということである。この考えは,たとえ自分自身の内的状態であっ ても,それを知るには,外に現われた自分の行動やその状況を基準にしなければ判断ができない のだということを言い表わしている。個人は通常内的状態に関する情報と外的環境に関する情報 を持つと思われるが, Bernによれば, もし「内的手がかりが弱く,あやふやであったり,言い表 しがたいものであるかぎり,個人は第三者的観察者 (other attributor)と機能的に同じ位置に 立たされることになる」と述べている。つまり, もし自分の心臓の鼓動や体温の上昇などがあや ふやで分らなかったとしたら,自分が興奮しているかどうかは自分の行った行動を振り返ってみ ること以外はなく,そのことによる推論は自分の行動を見ていた他者の推論と同じ結果に導びか れるだろうということである。

Bernの自己知覚理論に影響を与えたSchacterらの実験は,一貫して情緒の錯誤帰属を問題と している。 Schacterらの考えは,個人が自らの情動を知るのは,自分自身の情緒的反応からであ るということである。従って虚偽の心撼音や説明文を被験者にフィードバックすることによって,

被験者自身が誤った自己帰属をしてしまうことを明らかにした。つまり,興奮するはずもないビ クミン剤を欽んでも,早く,大きい心臓の音を自分の心撼音だと言って聞かされれば,自分は興 奮しているのだと誤解するのである。このような錯誤帰属を利用して Rossらは心理療法への道

を開いたのである。

2‑5 自己帰属と他者帰属の相違に注目する流れ

Johnson, T.J. et. al. (1964)は被験者に教師をさせ,成績の良い学生と悪い学生という条件の 下で学生の成績に対する原因の推論を行わせた。その後,他者の学生に対する評価を知らせ,今 一度成績の良し悪しという条件の下で原因の推論を行わせた。結果は成績の良い条件では教師の 内的原因に,成績の悪い条件では外的原因にそれぞれ帰属したが,二度目の帰属では他者の学生 に対する好意的評価に影響され,成績の悪い条件の学生に対する評価が好意的に変化した。この 実験は自己帰属としての教師の帰属が他者帰属としての評価文に影響されることを示した。その 意味では明確な自己帰属と他者帰属の相違を明らかにしたものではないが,この実験によって自 己帰属が防衛的になりやすいことが発見された。

自己帰属と他者帰属の相違は,行為者にとって都合の良い帰属と観察者にとって都合の良い帰 属とが違うという方向から Shaver,K.G.  (1970)Stephan,W.G. (1975)の研究へと進む方向 と,行為者と観察者では入手できる情報や注目する情報が異ることから帰属の仕方が相違するの

12)  自己知覚という用語は自己帰属とほとんど同義である。

‑80‑

(10)

Attribution theoryの展望(Z)(広田・藤沢)

だという Duval,S. & Wicklund, R.A. (1973) Nisbett,R.E. & Valins, S. (1971)の研究 へと進む方向とがある。これらの研究の契機となった Bernの考えは, i)部内者 (insider)と部 外者 (outsider)の相違,すなわち,部外者である観察者は部内者である行為者の内的情報を知 ることはできないので,例えば行為者が「一生懸命試みた」ということを言葉に出さなければ観 察者には解らないこともある, ii)既知者 (intimate)と未知者 (stranger)の相違,すなわち,

既知者である行為者は自分の過去の行動や経験を知っているが,未知者である観察者は当該の行 動しか知らないので,先有傾向を基準にした帰属ができない, iii)自己 (self)と他者 (other) の相違,自己である行為者は行為の結果が自尊心を傷つけないよう防衛的になるのに対して,他 者である観察者は大きく自我関与していない限り防衛的になる必要はない, iv)行為者 (actor)

と観察者 (observer)の相違,すなわち, Jones,E.E. & Nisbett, R.E. (1971)が示唆するよう に,行為者は行動よりも周囲の状況に注目するが,観察者は状況よりも行動に注目することから 帰属に関連した対象が相違するということであった。このうち, (iii)の相違が防衛的帰属ta>(di fensive attribution)の研究へと発展したと考えられる。

2‑6媒介過程としての帰属への収倣

attribution theoryの70年代初期に至る理論的系譜を簡単ではあるが概観してきた。これま での研究の流れは,いわば帰属理論の理論的精密化とその検証に研究主題があった。しかし,帰 属理論が他者帰属にとどまらず,自己帰属にまでおよび,達成動機や態度,あるいは責任の帰属 といった応用的側面を含むようになって, 1つの重要な問題に直面することになった。それは帰 属が媒介過程として作用するか,ということである。すなわち,行動の原因を帰属する際に,そ の帰属によって認知構造の安定化を計ることがあるのか,という問題である。

媒介過程としての帰属の着想は Heiderに始じまると思われる。Heiderにとって attribution P‑0‑Xrelationは対人的相互作用の認知的基礎理論として重要な位置を占めている。

帰属理論は観察者 (attributor,P)が相手 (actor,0)の行動 (effect,X)の原因を推論する 過程についての0Xとの結合形成 (unitformation)

関する理論である。もし行為Xが行為者 0の内的意図性に よるものであると観察者Pが帰属すれば 0‑Xはボジティ プ ユニットとなり,逆に行為Xが外的環境によると帰属 すれば0‑Xは無関係となり,外的圧力に服従したと帰属 すれば 0‑Xはネガティプユニットとなる。そこで,

/ 

ふ/\

  ' "

(pDLx)  Fig 3: インバランスの例 13)  Shaver, K. G. (1970)は事故の責任の帰属研究において, 観察者が自分も同様の事故を起すかも知

れないと思えば責任の帰属において防衛的になり,原因を外的状況に帰属しようとしたという事実を指 して防衛的帰属とした。

‑81‑

Fig. 1:  帰属理論の史的展望

参照

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