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集中川−シュタインドル理論の展開・−−

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(1)

第36巻第1号   

競争産業における技術革新と企業  

集中川−シュタインドル理論の展開・−−  

稲 毛 満 春  

−ヱ∂−−−   18  

は し が き  

この論文ほ,J.SteindlがMaiurit.y and Siagnaiionin AILCerican Ca♪一   友一妄α/さざ∽,1952(宮崎義一・,笹原昭五,鮎沢成男訳『アメリカ資本主義の成熟と   停滞』)において展開した企業集中の理論をいっそう−・般的な観点から再定式  

化したものである。まず欝1節でほ彼の理論が要約されている。これは第2節   でおこなわれるわれわれ自身のモデル分析にたいして,イントロダクレヨンと  

してこの役割をはたすであろう。そして最後の第8節では,われわれの分析が暗   示しているところの産業構造変動の長期理論の概要がのべられて:いる。  

(1)  

Ⅰ シュ.タインドルの集中理論   

1.1 費用格差と限界企業 シュタインドルほ,まず同一・産業内部にみられ   る顕著な企業規模別費用格差準・注目し,「その大きさはおそらく多くの経済学   着たちが想像している以上のものである」として−,その重要性を強調する。そ   して∴ イギリス紅ついてほロスタスの実証研究を援用し,またアメリカについ   てほ.1939年 

らかに.した。   

異なった企菜の間の費用および売上利潤の棉差が大きな役割を果している以  

(1)本節で要約したレ、ユタインドルの集中理論ほ,彼の前掲署のうちとくに第4章費用   格差の遷変性,第5葦叫・産業内部における競争の形態,および第九茸全体としての経   済における資金の内部蓄積,という3つの葺から関連のある議論をぬきだして,わた  

くしなりに体系的に整理したものである。なお香川大学商業短期大学部の山本および    磯列の両氏ともったレ,。.タインドルの「前掲書」研究会ほわたくしのいっそうの研究   の原動力であった。両氏にあつくお礼を申しあげたい。   

(2)

競争産業における技術革新と企業集中   −ヱ9−  

19  

上,この事実を十・分に考慮した費用・価格理論が展開されなければならないの   は当然である。シ′ユタインドルはリカアドクに・よって定式化された古典的な差   額地代論を−・般産業に.通風することによって,近代化された差銀地代論のかた  

ちでこの問題を分析しようとするのである。  

リカアドクの理論で重要な役割を演じる概念は「限界生産者」であるが,そ   れほ1)もっとも高い費用を負担し,2)みずからほ剰余をもたず,その価格は   費用にひとしい,という2つの条件をみたす生産者のことである。このような   条件のもとでほ,すべての剰余ほ費用格差に・よって説明できる。もちろん,そ  の「限界」ほ変数であって,どの生産者が限界生産者となるかは需要の大きさ   に.よって.決定されるということがその理論の核心である。またこのような費用   格差ほ良質の土地不足のために恒常的に存在するものと仮定されてこいるが,平   均的な費用水準ほ,技術進歩に.よって.,少なくとも長期的には変化しうること   も認められて.いる。   

農業にかんする苗輿的差額地代論を産業に適用しようとするばあいには,こ   の最後の点がとくに強調されなけれほならない。一・般産業のほあいに・は,とく   紅「限界」が変化しやすく,また平均費用だけでなく費用格差も変りやすいか  

らである。しかしここでもまた,費用格差そのものの存在ほ恒常的な性格のも   のである。レユタインドルはこの理由として大資本の相対的不足をあげる。な   ぜならば′,そのことによってはじめて,ある限られた数の企業のみがもっとも   生産性の高い生産方法を利用することができ,他方そのようなもっとも優れた   生産方法とならんでつね紅生産性の低い生産方法がその産業内部で利用されて   いることを説明できるからである。しかしながら,豊鏡な土地の不足がけっし   て不変でないのと同様に,大資本の不足もけっして不変でほない。大資本は数   に.おいても規模に.おいても増大しうるし,また技術革新の進行にともなってニ,  

費用格差の利益をえる機会も変化していく。したがって,現実の「限界」は分   析の出発点であるよりも,ある意味で結果となるような複雑な過程がみられる   わけであるが,巨大資本紅有利な費用格差が存在するという事実ほいぜんとし   てのこるのである。   

(3)

20   

第36巻 第1号  

ー2クー  

こ.のように.,古典的差額地代論を産業匿適用して,利潤を企業間の費用格差  

から生ずる剰余であると説明しようとするならば,産業のばあい限界生産者を   どのように規定すべきであるかが重要となってくる。シュタインドルは,そ   れを「 平均的には純利潤がゼロであり,まさしくその産業での最小企業である  

という条件を・みたす集団である」と定義し,またこ.れを「正博利潤の生産者」  

ないし「正常利潤の企業」となづけている。平均的に純利潤ゼロとは,好況と   不況の年を平均してこみれば,企業ほ企業家が雇用主として手に入れる給料には   ば相当するて.いどの報酬を獲得するだけであって,自己資本にたいする報酬は   なんらえ.られないような状態である。このような企業ほ,小資本でもって∴発足   し営業していけるような小企業が多数存在していて,おたがいに生死のさかい   で生存競争をしているような産業にほつね軋存在するであろう。このような条  

件のもとではノ,その産業に・おける純利潤をすべて差額地代紅類同的なものとし   て:とり扱かうことが可龍となるのである。   

もちろん,「正常利潤の企業」の規模ほ競争圧力の程度に依存する。たとえ   ば競争圧力が非常紅強くて.,通常の意味での小企共がすべて:淘汰されたのち紅   おいてもなおかつ競争圧力が激烈であったとすれば,中規模の企業が「 正常利   潤の企業」となるであろう。他方,競争圧力がかなり弱いときには,最小規模   の企業でさえもプラスの純利潤をえることになるであろう。それでは,その産   業内部の競争圧力を決定するものほなんであろうか。  

1.2 競争と集中の動態過程 上述のように,レユタインドルは差額地代論   的に慮業利潤の形成を説明しようとするわけであるが,産業のばあいとくに強   調せられたのほ競争圧力紅よる■「限界」の変動,またしたがって膚業利潤の変   動である。現実に.みられる競争ほ.,  すべて需要拡大,資本蓄積,および技術進   歩が進行する動態過程に.おける競争であって,そこにほ資本主義的競争の基本   的特徴である優勝劣敗のメカニズムが作用する。したがって,それらの分析の   ためにほ,われわれは静態分析の和田に.とどまることなく,動態分析を採用し   なければならないであろう。レ.ユタインドルほ,以下で述べられるように,利   潤の形成と変動の動態過程を分析することによって,価格・欝用構造と資本蓄   

(4)

21   競争産菜における技術革新と企業集中   ー2J・−  

積の相互依存的関係を明らか紅することに成功した。このことほ,理論的にみ    ても,価格理論と成長理論との結合という観点からいって,非常に喜要な貢献    であると考えられる。   

さて−1産業における価格・費用構造と資本蓄蔵の相互依存的関係の分析に.あ   た、つて,ミ/ユタインドルはまずつぎのような仮定をもうける。   

1)この産業における「限界企業」は,上述のような平均的純利潤ゼロの小   企業であり,しかも多数の小企業が存在しているので各企其の産出高がその産   業の総意出高中犯しめる割合ほノはとんと無視できる。  

、2)最低規模からより大なる規模へ企其の階層が移行するにつれて,大睨模   生産の経済に・よって粕売上利潤が増大する。   

∂)限界企共より大きい阻売上利潤,またしたがってより大きい純売上利瀞   をえる企業ほ,その資本蓄積過程において費用削減純な技術革新を採用す 

4)上述の「革新企業」はただ自分自身の産業のみ紅投資する。   

5)革新企業の企業家資本−すなわち株式会社組はのばあいほ株式資本と   留保分の和,個人企業のばあいは企業家の私、l勺資本・Ⅶの増加は,その企業の   投資を誘発する。この企業家資本の増加は,通常,利潤の1部分を貯蓄の形態  

で企業内に留保すること紅よって生じるが,この過程を内部蓄積とよぶ。企業  

家資本の増加ほ・また増資のかたちで外部資金を導入することによっても可能で  

あるが,簡単化のためこ.こでほその可胎性を鰯祝する。   

6)一限界企業 こおいてほ平均杓純利瀾がゼロであるので内部蓄積は行なわれ  

ない。また外部資金の借入も因経であるので個々の企業の拡張甘存在しない。  

l  

しかしながら,集団としての限界企其の治産出苗は,流入と流出紅よる企業数   の増減をつうじて一変化することができる。  

7)市場の成長ほ産業全体ここ対してあたえられ,既ノk]数であると仮定する。   

以上の諸仮定は,結局のところ産業内の諸企業をそ・れぞれの諸粂附こよって   特徴づけられた2っのグループ,すなわち革新的企業グループと限界企業グル  

−プに分類すること℃なる。問題は,このような革新企業の売上利潤こよって   決定される内部漬債率が非常こ大であって,全体としての妥其の拡張率以上こ   

(5)

第36巻 第1号  

・−22 一  

革新企業の拡張がおしすすめられたと」すれば,とのような鵜呆が生じるかと.い   うことである。   

革新企業ほまえよりも相対的に大きいマ」−ケッ トレェアを確保する紅ちが   いない。しかしそ・のためには特別の販売努力が必要である。販売努力ほ価格の   引き下げ(仙格競争),生産費の増大(品質競争),広嘗宣伝費などの販売費の  

増大(販売競争)とし、う形をとった犠性であると定義するこ.とができる  。した   がって,それは全体産業の販売高増加率にたいする革新企業の期待販売高増大  

率め関数であるといってよい。なぜならば,それらの大企業が市場の相対的分   け前を増大させようとすればするほど,販売努力をい\っそう増大させることが   必要と.なってくるからである。しかしながら,革新的企業の拡張率はかれらの   内部蓄積率に,また内部蓄積率はかれらの売上利潤に依存している。したがっ  

て,産業全体の拡張率が与え.られているほあい,革新企業の費用節約的技術革   新の採用虹よって売上利潤が増加すれば,内部蓄積の増加につづいてこれらの   企業の販売努力が増大するであろう。しかし,販売努力は売上利潤の減少を意   味するから,最初の売上利潤の増大ほ販売努力をこよって一部分的;こは打ち消され   る傾向があるということができる。そしてこれは,増大した草森企其の拡張率   がしだいに引き下げられていくことを意味している。   

つぎに.レユタインドルほ,革新企巣の内部蓄積率がある−・定の限界水準を超   えるときにみられる特別の事態として,絶対的集中を考察する。ここに,ある  

−・定の限界水準とほ,シ.ユ.タインドルによると,革新的企其の「最大可能成長   率」のことであり,また最大可能成長率とほ「産業の拡張率をあたえられたも   のとすると,その他の企其のこ.れ以上は縮小不可能という絶対的分け前と両立   し得る概念」であると定義される。限界企業のこれ以上ほ縮小不可能と、いう絶   対的分け前というのは,いわば限界企業グルーニブの最低生存水準のこと.であっ   て,大企業の進出によ?でそれ以上限界企業グル十プの販考高水準が低下する   と,どれかの限界企業は倒産し限界企業数が減少しほじめるような販売高水準   のらとであると解される。したがって,絶対的集中と・は,要するに現存の限界   企業が淘汰され,かれらの数が減少していくことである。そしてこのような集   

(6)

l−ごJ・−一  

競争産米における技術革新と企業集中   

23  

中は,もちろん,革新企業のマ−ケット・レェア拡大のための販売努力の圧力   によってもたらされる。限界企業ほ費用最高で純利潤がなく,また外部資金の   調達も困難であるため,革新企業に追従して同様の新生産方法を導入できない   からである。なおこ.こで考えられている淘汰と」ほ長期的なものであって−,景気   循環の不況期に.生じてつぎの好況期に.ふたたび以前の状態に・復帰するような,  

−・時的淘汰ではないことが注意されなけれほならない。   

最後に,このような限界企業の淘汰の過程が終ると,新らしい均衡に到達す   る。均衡に.おいてほ,革新企業グル−プの成長率ほ産業全体の成長率に等しく   なけれほならない。もほや,追加的な販売努力はおこなわれず,価格・費用関   係,すなわち売上利潤はそのような成島率に適合した内部蓄韻率をもたらす水   準に落着くことになるであろう。  

1.5 モデルによる分析 上述の議論はつぎのような相互依存的関係として   要約されうるであろう。革新企業による費用節約的新生産方法の採用−−>売上   利潤の増大→内部蓄積率の増大→革新企業の産出高成長率の増大→販売   努力による限界企業の淘汰→売上利潤の減少→内部蓄積率の低下一→  

→新しい均衡(集中過程の終了)。シュタインドルほ,これらの過程に・いっそ   う厳密な説明を与え.るために,若干のモデルに・よる分析をおこなっている。  

1.5.1企業集中の基本方程式 いま資本資産の存在高をZ,企業者資本な   いし自己資本をC,能力産出高(生産能力を完全に使用したときの年間産出高)  

を〝,現実産出高ないし販売高を5,また外部資本ないし他人資本を∂としよ   う。まず,企業の自己資本把たいする資本資産の割合は資金調達力比率(tbe・・  

geaI血gIatio),g■,となづけられる。   

g=÷(=1十÷)あるいほZ=gC  

また能力産出高にたいする資本資産の比率は資本集約度,々,である。   

烏=あるいはガ=z  

(1)  

(2)  

さらに,能力産出高紅たいする現実産出高の比率は能力利用度,捉,である。   

(7)

第36巻 節1ぢ   24  

ー ごJ−一  

〝=あるいぼ5ニ〝ガ   (8)  

これらの式を結合すれば,つぎのような現実産出高ないし販売高の決定関係式   がえられるであろう。  

5芯〟一gc   (4)  

(4)式の関係ほ,各変数がたとえ.変化したとしてもいぜんと・してたもたれるか  

ら,つぎのように書くことができる。  

1   

(1+点)=(1+α′)「汀肩「 

(1ヰg′)(1+α)   (5)  

キだし,貿は販売高の拡大率,〝′ほ能力利用度の変化率,ゐ′ほ資本集約度の変  

化率,g′は資金調達力比率の変化率,またαは自己資本の増加率,すなわち   内部蓄積率である。変化率と変化率の積ほ鰯視できるぐらい小さいので,(5)  

式ほつぎの式によって近似できる。  

屈二祝′−ゐ′・一g′+α  

(5)′  

(5)ないし(5)′式は,絶対的集中が進行しないという意味で均衡を仮定するな   らば,1産業全体紅ついて適用することができる。しかしながら,絶対的集中   が進行しつつあって,企業淘汰がそうと.うの期間にわたっておこなわれてきて   いると.きには,点をその期間の終り紅残存している企業の拡張率であると規定   しなければならない。残存企業の販売高の増加ほ産菜全体の販売高増加と淘汰   された企業の販売高との和であるから,つぎの式がえられる。  

(1」一点)=(1」一・雇)(1十C)   (6)  

ただし∴だは残席企其の拡張率,酌ま慮英全体の拡張率,またCほその産業の  

〈2)  

販売高にたいする淘汰された企巣の販売高の割合である。変化率の積な無視す  

(2)レーユタインドルiこよって導出せられた(6)式にほ若干の周題がある。(6)式ほカツ    コをはずすと,点=斎+(+あという関係である。これほおそらくつぎのようにして:導    き出されたものであろう。いま∠侶とdS′・をそれぞれ産業全体と残存企其の販売高増    加分,また45ざを淘汰された企業の販売高とすれば,∠S7=d5+・∠Sざである。両辺を    前期の産業全体の販売高5で割ってさらに整理をくわえれば,つぎのよう紅なる0   

」 

一字♀+量一(1十告)=【告+蓋−+瑠巧票㌻  

= 

=忍+c十月c   

(8)

25  

競争産業首こおける技術革新と企業集中   ・,ご5−  

ると,  

忍=点」−C   (6、)′  

がえられる。最後に,(6)′と・(5)′とを結合すれば,つぎのような産業全体の   成長率と残存企業の内部蓄積率とのあいだの関係式をえることができる。  

忍=〆十gしゐ′・−・汗α   7)  

われわれは,シュタインドルのこの式を企業集中の基本方程式となづけようと   思う。  

1.5.2 技術革新と企業集中 さてわれわれほ,上述の(7)式にもとづい   て−,技術革新と企業集中の関係を分析することができる。ミ/ユ.タインドルによ   れほ,1産業の「均衡成長」とは絶対的集中が進行しないということ,すなわ   ちCニ0のことである。われわれほ,その産業がまず出発点に‥おいてほ,意図  

された能力利用度,資金調達力比率,および資本集約度をすべで不変にたもら   ながら,このような均衡成長をとげていたものと想定しよう。すなわち,出発   点においては,内部蓄積率αほ産業全体の成長率膏に等しいと仮定しよう。  

そしていま革新企業による費用削減的新生産方法の採用が内部蓄積率の増大を   もたらし,α>京となったとすればどうなるであろうか。このばあい,(7)式  

したがって,レコ.タインドルが「その産米の販売高にたいする淘汰された企業の販売   高の割合」と定義したCはd58/(5+∠5)のことであるから,正確紅は「今期の産業   全体としての販売高虹たいする今期に淘汰された企業の販売高の割合」であると解さ   なけれはならい。また忍ほ∠S7/5であるから,これは前期の産業全体として:の販売高   にたいする今期の終りに残存している企業の今期の販売高増加分の割合」であると解   することができる。したがって巨だほ今期の終りに残存しでいる企兼の販売高増加率   を正確にあらわしていない。なぜならSすなわち前期の産業全体の販売高のうちに   ほ,今期において一掬汰されることに.なった企業の販売高部分もふくまれているからで   ある。点は残存企業自体ゐ拡張率として,正確紅はdS7/(5−∠5g)としで定義されな   ければならないほづである。そうすると,   

丘ニ=一=(一上 

ー告票纂ぜ告)/(ト一字)  

=(京十C′)/(1−C′)  

ただし,C′は∠5sノ5である。したがってこれから,(1+忍)=(1+句/(1−C′)あるい   は(1+忍〉(1−Cり=(1」頂)がえられ,これがシュ.タインドルの(6)式に対応する。し   かしながら,うえの式において変化率の積の項を無視すると,属=妻巾′となり,ン.ユ   タインドルの(6)′式と類同約な関係式をえることができる。   

(9)

第36巻 第1号   

26  

−−26 − 

からつざの関係式がえられる。   

■ 

J′ α一房=C・−〟′・−g′十鳥′>0   (8)  

すなわち内部蓄積率の増加分ほ,限界企菓の淘汰(c>0),能力利用度の低下  

(〝′く0),資金調達力比率の低下(g′■く0),もしくほ資本集約度の上昇(ゐ′二>0)  

のいずれか,あるいほそれらのコンビネ−ジョンによって吸収されなければな   らないの■である。〟,g,および烏の変化の程度が大きいはど,Cの増大,すな   わら限界企業の淘汰の程度は小さいであろう。   

しかしながら,ほたして〝,g,およびゐのこのような相殺的な効果を期待   することができるであろうか。まず資本集約度の上昇についてほこの可能性を   ただち軋承認しないわけにほいかない。しかし実際上,めだった変動はみられ   ない。つぎに.,資金調達力比率の低下であるが,これほ追加的資金が借金を返   済するためにもちいられるかあるいは債券投資に.もちいられることに.よってお  

きるであろう。こうしたことが生じるかいなかほ,新投資の堺益性およびそれ   に.閑適した危険の程度に依存している。新投資の利潤率が低下するならば資金  

調達力比率も低下するであろう 

。しかしながら,いま考察んている状況ほ,革   新企業が技摘草新を遂行することに.よって費用を節減しつつあるばあいであっ  

て,利潤率の低下を思慮することは無理である。したがって,資金調達力比率   はすくなくとも不変に.たもたれ,内部蓄蔵の増加紅比例して投資が増大するで  

あろう。   

かくして,資本集約度の上昇はたとえあったとしても非洛に」\さく,また資   金訝速力比率も塊在のばあいすくなくとも低下しないと想定することが妥当で  

あるとするならば,内部蓄積率の増大ほ結局のところ能力利用度の低下か限界   企菜の淘汰湛.よる企業集中のいずれかによって吸収されなければならない。能  

力利用度の低 ̄F■ほありうることである。すなわち,革新的企弟がマ・−  ダット・  

シェア増大のためにおこなう価格,品質,および葺伝競争の重圧ほ,残余の企   業とくに.限界企業に.加わっセくる。しかしその圧力にたいして,これらの企業   は消極的忍耐というかたちで反応する。抵抗力が強いはど,革新企業は能力利   用度の意図せざる低下を経験するであろう。このほあいにほ,かならずしも絶   

(10)

歳事慮業における抜捕革新と企業集中   ーー ヱ7−=  

27  

対的集中が生じるわけでほなくて,あったとしても徐々にしかおこなわれない   であろう。反対に.,企業間紅十分な費用格差が存在し,限界企業の抵抗力か弱   いときにほ,結局それらほ排除されて,革新的企業の能力利用度ほ一一・時的低〉F■  

をこうむるだけで,やがて意図された利用水準に復帰することができるであろ   う。 ここ∴でほ産業内部に十分な費用格差が存在しているものと仮定しているか   ら,利用度ほ不変軋たもたれ,革新企菜の技術革新ほ企菜集中をもたらすこと   になるのである。しかしながら,前述のように.,それに.ともなう販売努力は売   上利潤を,またしたがって内部蓄積率αを引きさげ,ふたたび点=αの均衡成   長径路に復帰するのである。   

シュタインドルほ,このような利用度一−・定のもとで,産出高のなかに.しめる   売上利潤あるいほ純利潤の分け前が,その産業へ投資するのに・ちょうど適した   資金を供給するような大きさに決定されるという緒論を,「驚くべき結論であ  

る」として強調している。この点は,最近カルドアに.よって積極的に展開され   つつあるところのいわゆる「ケインズ派分配理論」と基調をおなじくするもの   である。しかしながら,カルドアがマグロ分析の範囲庭・とどまっているのに・反   して,ミ/ユタインドルのアプローチが問題を競争七資本蓄積の相互依存関係の   なかで,すなわちミクロとマクロの交渉しあうなかで,とらえている点を重視   すべきであると思う。  

1.5.5 内部蓄積率の決定 これまでの議論でほ内部蓄蔵率が売上利潤に.依  

存するものと想定されてきたが,明確な関係式ほ与えられなかった。モデルを   いっそう完全なものとするためにほ,内部蓄積率の決定関係を定式化すること   が必要である。ジーコタインドルは,これを全体としての経済に.おける資金の内   部蓄硫を取り扱かった餞所で展開しているが,1産業のばあいにかんしても類   同的に適用できるであろう。   

いま企業の純利潤をⅤであるとしよう。企糞の株主への配当ほ企其の消費,  

また内部蓄積,dC,は貯蓄と考えられるから,つぎのような企業の消費関数を   想定することができる。  

ダ=AヰÅⅤ   (9)   

(11)

第36巻 第1号  

ー・・・・2β…   28  

ただし,Aは基礎消費(配当)であり,またスほ限界消費(配当)性向である。  

したがって,貯蓄関数ほ,  

∠C=Ⅴ一−ダ=・−・A・十(トス)Ⅴ  

(10)  

両辺を企業家資本,C,で割ると,つぎのような内部蓄積率,α,の決定関係式   がえられる。  

α=(♪−α)(1一人)  

(11)  

ただし,♪は企業家資本にたいする(支払利子を控除した)純利潤,すなわち   純利潤率,αほ企共家資本をこたいする基礎消費(配当)の割合である。   

つぎに,純利潤額は柏利潤額から支払利子額を差し引いたものであるから,  

純利潤率は総資本資産にたいする粗利潤の割合,すなこわち粗利潤率,β,と支   払債務利子率,㌢・,および資金調達力比率,g,によって一決超される。すなわ  

ち,  

♪=g(β−・㌢う一十γ  

(12)   

さらに,粗利潤率を決定するものはなんであろうか。粗利潤,β,は販売額   から主要費用,∬。,と共通費用,∬e,を控除したものである。  

β=S一方廿・−∬¢   (13)  

主費費用(賃金費用十原材料費用)はもちろん販売高紅比痢するものと考える   ぺきであり,また共通費用が資本存在高に比例するものとすれば,つぎの式が   えられる。  

∬圭当れSおよぴ■ ノ㍍=私Z    したがって,粗利潤率ほ,   

β=蔓−=(1−−〝毎)÷−−・・∽¢  

で与えられる。またさきはどの定義から,  

5ゐ     Z‥〝  

であるから,(15)式はつぎのよう紅書き改められる。  

β=旦=−α一肌k 

(14)  

(15)  

(16)  

(17)   

(12)

競争塵巣紅おける技術革新と企菜集中  

29    −29−−  

レユタインドルはさらに粗売上利潤(11−桝む)が利用度の関数であることを考   慮し,(17)式をつぎのような利潤関数に−一・般化している。  

g=E(〟,ゑ)  

(18)  

かくして,(11)式紅(12)式と(18)式とを代入することに.よって,つぎのような   内部蓄積率の−−・般的な決定関係式がえ.られるのである。  

α=(g岬(〝,ゐ)一−γ〕十γ一α〉(1・−ス)  

(19)   

この最後の(19)式によって決定されたαは,(7)式の基本式において産業全   体の成長率忍と比較される。.そしてとの大小関係がふたたびもとの利潤関数に  

′影響を与えること軋よって−,内部蓄積率が修正をうけるのである。内部蓄積率   の決定式は,このような調整のメカニズムを説明するのに役立つであろう。   

以上,シュタインドルの技術等新にともなう企業集中の理論を考察してきた   が,そのモデルに.よる分析にほかならずしも成功しているとは思えない。まず   第1に,革新企業のおこなう投資の生産力効果が明確に考慮されていないため   に,その成長率屈の決定機構の統一・的な把鹿に.失敗している。もちろん,(17)  

ないし(18)式の利潤関数には幾本琴約度が導入されている。そしてこ・れは,最   近の用語での資本係数あるいは資本・産出高比率とおなじものであるから,投   資の生産力効果を考慮しているよう紅みえ.る。しかしこのばあい資本集約度ほ   利潤率を決定する1要因として事後的に使用されて.いるのであって,利痛が内   部蓄積されること軋よって投資を生み,さらに・この投資が(限界)資本集約度   なし、し限界資本係数をつうじて生産能力を増大せしめるというように,事前的   に億用されているわけではないのである。革新企芙の成長率の決定メカニズム   を統一・的に把握するためには,  このような将来にむかっての投資の生産力効果   という考え方を導入する方がいっそう適切であると思われる。算2には,レ.ユ   タインドルの利潤関数についでである。前述のように.,革新企業の成長率が産   業全体の成長率をこえ.るとき紅は,販売努力に声って蕎上利潤が低下するであ   ろう。想定された競争的産業紅おける競争手段としてとく、に膚要なのは価格競   争である。しかしながら,レユタインドルの利潤関数において総売上利潤軸  

(1一〝わ)であって,価格変数枚明示的に導入せられていない。また・一・般化され  

(13)

欝36巻 筋1号  

−・∂0・−  

30  

た利潤関数においては,価格・費用構造はまったく消去されてしまっている。  

売上利潤の調整過程をいっそ・う明らかにするためには,価格変数を明示的に考  

(3)  

慮すべきであると考える。以【F,これらの点を中心として,レコダインドル・  

モデルの再定式化を試みることにしよ・う。  

Ⅱ シュタインドル・モデルの再定式化  

2.1 革新企業の成長基本方程式 ジュタインドル・モデルの再定式化にあ   ってもうけられる諸仮定ほ,1.2のはじめにのべたものとまったくおなじであ   る。しかしながら,われわれは問題をいっそう−・般的なかたちで分析するため   に,その産業の諸企業を正の純利潤をえて技術革新を遂行する革新企業グルーー   プと平均的に.純利潤ゼロの限界企業グルー・プの2っに偲っきりとわける。そし  

て∴主導的部門である革新企業の行動を中心として分析をすすめることに.しよ   う。レ,ユタインドルの諸仮定は,すでにそのさいのぺたように,このような2   大区分を可能紅するものであった。しかしながら,モデルの方程式において彼   が用いた区分は,残存企業と淘汰された企業というように,集中の進行過程を   中心とした分類であって,革新企業と限界企業という基本的グループのあいだ   の成長過程における諸関係を−・般的に問題とするにほかならずしも適切である  

とは思えない。   

まずわれわれの革新企業の成長率の決定要因を明らかに・することならはじめ   よう。いま革新企其の資本存在高をZ,資本の潜在的生産性,すなわち資本存   在高にたいする完全能力産出高の比率(シュタインドルの資本集約度の逆数)  

を打とする。また革新企業ほある程度の意図された過剰能力をもつものと想定   して−,意図された能力利用度を〝(く1)としよう。そうすると,これらの積は  

(3)経済成長理論と価格理論の結合という問題ほ,最近のわたくしの研究の1つの蛋要   な課題であった。たとえば,拙稿「交易条件の変動と経済成長の長期波動一篠原命    題の理論的1研究」(大泉行雄博士還暦記念論文集,『経済政策の現代的課題』,近刊,   

所収),および「不均等技術進歩と植民地農産物の移入効果一篠原命題の理論的1  

・研究・続論」(香川大学経済論叢,第35巻第3号,1962年8月)を参照せよ。以下で   おこなうレ.ユ.タインドル・モデルの輯定式化は,したがって,分析方法の点ではこれ   らの研究の延長線上にある。   

(14)

競争産米における技術革新と企業集中  

31   

・−βヱー 

所与のZiこたいする適正産出高0の大きさを決定するであろう。すなわち,  

0=〟α・Z   (20)  

ただし,0は,価格変数を明示的に.モデルに導入できるよう隠するために.,正  

●● 確紅は適正実質産出高(以下たんに.産出最とよぶ)であると定義する。資本存  

在高の増加,dZ,すなわち投資,∫,は,〟と♂を不変と仮定すれば次式のご   とく産出堅を増加させるであろう。  

dO=〟グJ  

(21)   

さて,投暫のための資金は内部蓄積と外部資金の導入に.よって供給される。  

外部資金の導入ほ,もしもそ・れが増資のかたちをとるならば,企業家の自己資   本の増加となるであろう。しかし簡単化のため紅,増資(新株発行)という径   路を無視することに.し,外部資金の導入はすぺて他人資本の増加となり,また  

自己資本の増加は内部蓄嶺のみによっておこなわれるものと仮定する。したが   

って,  

′=∠β十dC  

(22)  

ただし,dβは外部食金の借入敬すなわち嘩人資本の増加であり,またdCは   内部蓄積すなわち自己資本の増加である。さら濫,カレツキ一に・したがって,  

外部資金の借入能力は内部蓄積常比例すると考えよう。  

Aβ=βdC  

(28)  

ただし,βは限界的な自己資本と外部資本との比である。(28)式を(光)式ぬ代   入すると,  

J=(1十β)dC   (飢)  

がえられる。(1十β)ほ(′/∠C)ニ(AZ/』C)であるから,ち一ようどレ,ユタイン   ドルの資金調達力比率女=(Z/C)の限界値となっている。すなわち,(ト十β)  

ほ.限界資金訝速力比率である。   

つぎに,内部蓄積であるが,これは前節の(10)式に.おいそ純利潤,Ⅴ,の関   数として与えられている。しかしわれわれは簡単化のために,基礎消費,A,  

を無視することに.しよう。すなわち,  

dC=(トス)Ⅴ   (25)   

(15)

第36巻 第1号   32  

・−32−  

純利潤は風利潤,E,から利子費用を控除したものであるから,利子率を㌢と   すると,  

l差=β−・㌢β  

(26)  

に.よって定義される。さら軋粗利潤ほ,前節の(i3)式のごとく,販売高から主   要費用と共通費用を控除したものとして一定蒸されるが,われわれほ価格,♪,  

を明示的に導入して−,販売高を♪×■0とあらわす。またシュタインドルの主要   費用と販売高との比例係数,畝・,のかわりに,主要費用と産出量との比例係数   を鞠であらわそう。共通費用については,レユタインドルと同様に,資本存   在高に此例する卑のと考え・るが 

にする。したがって,粗利潤は,  

E=き0一一一別ひ0・−∽lZニ(♪−∽。)0・−∽(Z  

(27)  

となる。そこで,(25)式に(26)式と(27)式を代入すると,次耳がえられる。  

』C崇(1−ス)〔(♪−〝毎)0−∽。Z−−−7β〕  

(28)  

かくして,(21)式に.(24)式と(28)式を代入すれば,  

』つ=瑚灯(1・+β)て1−ス)〔 (♪一−7 護)0・−−,乃。Z・一岬〕  

(鯛)  

がえられることに.なる。そして−,上式の両辺を産出鼠,∂,で割り,革新企業   の実質成長率∠0′/0をGzであらわす・ことに.すれば,次式がえられる。  

C仰(1十β)(トス=♪・⊥∽〜♪ト芝−㌃−〕 

(80)  

ただし,gはレユタインドルの(平均)資金調達力比率である。いま簡単化の   ため紅,この平均比率が前払のべた限界比率(1十β)に等しいものと仮定する  

ことにしよう。  

(81)  

g==(ト十β)  

そうすると,上の式はつぎのように変形される。  

G〜=(1+β)(1一人)〔(♪・−∽甘)〝J一椚。−   

(32)  

われわれほこの式を革新企業の成長基本方程式となづけようと思う。   

2.2 相対的集中と絶対的集中 このよう忙して決定される革新企業の成長   率,G石,と産業全体の所与の成長率,百,および限界企業の成長率,G例,と   

(16)

−・∫∫・−  

競争産米における技術革新と企業集中    33  

のあいだには,つぎのような関係が存在する。  

召=G勅十Gのも(トび〜)   (83)  

た申し,以〜は革新企業の産出量が産業総産出鼻償おいてしめる割合である0   限界企業は平均的に純利潤ゼロであり,また外部資金の借入能力もな・いと仮定  

したから,個々の限界企業の成長率はゼロである。しかしながら,限界・企業グ   ル十ブ全体の成長率は,小規模企業の創業あるいは倒産に・よって変化すること   ができる。すなわち,限界企業の出生率が死亡率よりも大であれほ成長率はプ   ラスとなり,反対のばあいにほマイナスとなるのである。(83)式を変形すれほ   次式がえられる。   

G別=Gz一  

この式から,つぎのことがわかる。   

(i)Gl=百 のとき,G,n=Gl   

(ii)Gl>百 のとき,Gm<Gl   

(iii)Gl<百 のとき,G肋>Gl  

(84)  

(i)のはあいは革新企業および限界企業のマーーケッ トン‡アは不変㌧(ii)のば   あいは革新企業のレェアが増大,また(iii)のばあいは限界企菜のシェアが増大   すること鱒・な・る。そして,前述のように,G仇=0のとき,限界企業の出生率と   死亡率とはひとしく,限界企業の絶対的な総産出高水準放不変である。われわ   れは,その死亡率が出生率よりも大であって,G物<0となり,限界企業の産出   高水準が絶対的紅低 ̄Fしつつあるとき,絶対的集中が存在するとよぶことにし   たい。他方,G仇>0であるが,G仇・くG〜であるような・ばあい,すなわち限界企   業の産出畳水準は上昇しているにもかかわらずその市場の相対的分け前が低下  

しているようなばあいには,相対的集中が存在するとよぶことにする。いま,  

(34)式において,G仇コ0とおいて解くと,  

G戸   α柁  

(35)   

をえる。したがって,われわれほつぎのようなばあい絶対的集中が起るという   ことができる。   

(17)

第36巻帯1号  

cz>・一 あるいほG叫>百  

(dz  

34   

ー ∫・才 一   

(36)  

な.お,いま1つ注意すべきことがある。すなわち,(36)式に.おける叫バ息不   変にとどまりえない。なぜなら,ひZは革新企業の前期のマーーケッ†・シェアで  

あって,色相=(0〜/0)であることを考慮して時間≠で微分すると,  

(7研   一一面−=り机(G〜−一首)   (87)  

をえる。G>石であれ闇㍉花ほ増大していくのであるから,たとえ初期におい   ては相対的集中に.とどまっていて■も,Gと否の開差が維持されるかぎり0〜が   上昇し,やがて上の(36)式が成立するにい在って絶対的集中に転化することが  

できるのである。   

2.5 革新企業の技術進歩 革新企実の技術進歩ほ,われわれの基本力程式   において,とくに.平均主要費用,桝甘,の低下をもたらすものとして特徴づける   ことができる。しかしながら,∽ひの低下は,同時に・資本の生産性,♂,あるい   はその逆数であるシュタインドルの資本集約度,ゐ,に.なんらかの影響をもた   らすかもしれない。そこで∽℃の低下が,1)グの上昇をもたらサーはあいを資本   節約的技術進歩,2)Jの低下をも東らす甘£あいを資本使用的技術進歩,また、  

8)打が不変にとどまるばあいを中立的技術進歩となづけて区別することにしよ   う。いずれのぼあいにも,技術革新が採用されるためには,すくなくとも初期   時点に.おいて一利潤率,とくに牒屯利潤率,の増大が可能でなければならない。ま   ずその条件を明らかにしよう。   

われわれのモデルに.おいて利潤率はつぎのように定義される。まず自己資本   利潤率ないし純利潤率,P,は純利潤,Ⅴ,の自己資本,Z−β,にたいする比   率であるから,(26)式より次式をえる。  

P=β(1十βトーγβ  

(38)  

ただしβは,総資本利潤率ないし粗利潤率であって,阻利潤,y,の総資本,  

Z,にたいする比率であるから,(27)式より次式をえる。  

♂=(♪・−〝ち)αグーー∽。  

したがって,  

(39)   

(18)

競争産業におけ名妓術革新と企業集中   l一35 一一−  

35  

P=〔(♪一一・軌轟押−∽。〕(1十β)−㌢β  

(40)  

である。そこで他の条件をかわらないものとして,技術進歩に.もとづく祝とげ   の変化が純利潤率に与える影響をもとめることにしよう。うえの式を時間才で    微分すると,  

=(1+β)〝〔(♪一軒α・■〕  

(41)  

がえられる。さて,d研か/d才ほつねに.負であるから,ゐ/dfが正またはゼロで   あるところの資本節約的ないし中立的技術進歩のはあいほ利潤率がつねに増大   する。しかし巌イ離が負であるところの資本使用的技術進歩のぼあいに偲,つ  

ぎの条件がみたされていなけれほ利潤率は増大しない。  

く   (7  

(42)  

すなわち,資本の生産性の低下ほ,主要費用の節約率とげおよび♪一−∽抄のもと   の水準とによって決定される,ある限度内に.とどまらなければならないのであ   る。   

つぎに,このような技術進歩が革新企業の成長率に.与える効果をみよう。す   ぐわかるように.,まえに.のべた成長基本方程式(32)は,うえの利潤率にかんす   る(38)およぴ(39)式を考慮すると,つぎのように.変形される。  

G‡=(1…ス)p  

(32)′  

すなわち,それは企業の限界貯蓄性向と純利潤率との積である。したがって,  

初期純利潤率の増大を意味する技術進歩は,同時に革新企業の初期成長率を引   き上げることになるであろう。   

2・4 技術進歩と企業集中 以上のような革新企業の技術進歩が限界企業に.  

およぼす影響を分析するために・,革新企業はこれまで「均衡成長」をとげてせ   た,すなわちG〜ニ百であったと仮定しよう。いまある時点で革新企業に新技   術の採用があったとすれば,前述のようにGるが増大してC〜>百となるであろ  

う。しかしながら,シーユ.タインドルによって強調されたように.,増大した供給   能力をマーケット・シェアの拡大というかたちで十分に利用するためには,価   

(19)

第36巻 第1号   

36  

ーー36−叫  

格の引き下げないし宣伝費その他の販売費瀾の増加による販売努力が必要であ  

る。われわれは企兼が比較的多数存在する競争的産業を問題にしているのであ   るから,非価格競争をひとまず無視して,販売努力はもっばら価格競争に・よっ   ておこなわれるものと想定しよう。前節でもふれたように,シュタインドルは  

「販売努力は‥全体として−の産業の販売高増加率にたいする大企業の期待販  

売高増大率の函数である」と考えた。価格変数を明示的に導入して・いるわれわ   れのモデルに.おいては,これはつぎのように定式化できるであろう。  

d(♪・−〝‰)  

(43)  

=./■(Gz一石),ただし Gz≧G   

d才  

(β−・沼び)は価格と主要費用との差であって,粕売上利潤と定義することができ   る。したがって・この関数は,販売努力による粕売上利潤の低下のて−いどはGzが  

百をどのていど超過するか紅依存しているということをしめしている○主要費  

用の大きさは販売努力とは無関係であるから,粗売上利潤の変化とはこのばあ   い価格の変化だけを意味している。G石≧百にかんして上述の関数を定義したの   は,反対のばあいに偲かならずしも同じ関数が通用できないこと,すなわち租  

売上利潤の変動の非対称性の存在を強調するためである0   

簡_単化のために,(48)式をつぎの1次式鞋よって近似することにしよう。  

旦(吐  = 

ゐ(Gz一−百)   (卿  

ただしゐは必要な革新企業の販売努力のでいどをあらわす係数であって,限界   企業の抵抗力が強ければ大きく,また弱けれぼ小であろう○われわれはこの関  

●●●●●●  

数を販売努力関数となづけたい0   

さて・,いま技術革新によって−押わが∽;に低下し,またα がF′に変化したと   考えよう。この変化はたとえそれが資本使用的であってぴ■の低下をともなった  

としても,(42)式の条件をみたしていなけれはならないから,前述のように革   新企其の初期成長率G;は増大する。すなわち,  

G;=(1十β)(1−ス)〔(♪−∽ニ)弥〆⊥一別↓一7賢二〕>百  

(44)  

この増大したG;は販売努力によってそれ以後どのような変化をしめすであろ   

(20)

競争産米における技術革新と企共集中  

37    一− 37・−  

うか。成長基本方程式を時間才で微分すると,  

dG石_′‥エ,、ハ ■つ、_._′d(♪−椚,ク) =ニグ′  

…㌃(1ヰβ)(1ス)〝   dg  

(45)  

をえる。これに販売努力関数を代入すれば次式がえられる。  

旦乾 

=(1」−β)(1・Wス)〝♂′カ(Cる−・筍      df  

(46)  

これは1階の線型微分方程式である。したがって,その−・般解はつぎのとおり   である。  

Gzじ(G;一一句〆1悌(トス)視びて九£十否  

(47)  

そして,われわれのばあいゐは負であると想定されているから,こノの式はG    が初期値G;からしだいに低下して,ついにもとの百に収欽することを意味し   て−いる。したがって,われわれほ阻売上利潤がマーケット・レ‡.アの拡大に・か   んして弾力的であるかぎり,革新企業の均衡成長径路は上方への帝離にかんし  

て安定的であるとのぺることができるのである。   

均衡成長経路に.おける純利潤率,すなわち均衡純利潤率について一名してお   こう。(82)′式からすぐわかるように,純利潤率は成長率の関琴として次式で   あらわすことができノる。  

pニ   G〜  

7二㌃  

(48)  

したがって百が不変であるかぎり,技術革新の前後をとわず,均衡成長径路に   おける純利潤率は,  

(49)  

であって,不変である。すなわち,技術革新に・よって増大した純利瀾率は,マ   ーケット・レェアの拡大過程においてしだいに低下していき・,やがてもとの水   準に復帰するのである。   

このような串新企米の成長率の均衡化渦梓がまさに」唄界企業の相対的ないし   絶対的集中を意味することはいうまでもない。.2・2で明らかにしたようFこ,  

G〜>否の開聞中はとうぜんにGヱ>G仇である。そ・してGz=百となるに小たっ   てほじめて残存限界企共の成長率G恥もCとひとしくなり,集中過程が止むの   

(21)

第36巻 第1号   38  

ー3β −  

である。   

2.5 産業成長率の変動効果 これまでの分析は,所与の産業成長率6の   もとで,技術進歩に.よって均衡成長率から上方へ帝離せしめられた革新企業の   成長率が,限界企業の淘汰をともないながらいかに・してもとの均衡成長径路に   復帰するかを明らかにするものであった。しかしながら,均衡成長径路からの   確離は技術進歩のみによっておこるものではない。それは産業成長率否の変動   によってもひきおこされるのである。   

まず産業成長率が百から百へ低下したほ率いを考えてみよ・う。技術進歩の   ほあいとおなじように.,革新企業はそ・れまで均衡成長をとげてきて,G〜=でで   あったとすれは,低下した百のもとではG >戸の状態が出執するであろう。  

新規の販売努力がおこなわれないかぎり,革新企業の生産能力の増加は低下し   た産業需要増加にたいして相対的に過剰となり,絶力利用度ほ低下する。しか   

しながら,価格の切り下げに.よって限界企業を淘汰し,マノー・ク  ット・シェアを   拡大しはじめるやいなや,能力利用度はふたたびもとの適正水準に・引き上げら  

れるであろう。   

このような調整過程自体の性格は,発生の原因を異にするとはいえ,技術進 /  

歩のばあいとまったく同一・である。しかし新しい均衡成長率はG〜=百であっ    て,まえよりも低い。またしたがってニ,新しい均衡純利潤率も,限界貯蓄性向  

、がかわらないかぎり,まえよりも低くなっている。産業成長率不変のもとでの  

、′技術進歩が,すくなくともまえと同一・水準の純利潤率を確保しながらマ」−ケッ   ト・ミ/ェアを拡大することを可能に・したのとくらべて,まさに対照的である。   

つぎに,産業成長率がでから召′′へと上昇し牢ばあいを考えてみよう。革新    企業は,まず能力利用度を適正な水準以上にひきあげて,急速に拡大した需要    を獲得しようとつとめるであろう。しかし産業成長率の上界が−哨的なもので    ないならば,治療は革新企業の生産能力の増加ほ全休の需要増加においつけな   いで,Gz<百′という状況が発生1するであろう。そして価格が上昇しはじめる。   

価格の連続的上昇は新規の限界企其の大塩の流入をよびおこし,葦新企業の能   

力利用度はもとの水準に復帰する。しかしながら,上昇していく血路は革新企   

(22)

競争産巣における技術華新と企業集中   ・−ご;9 −−  

39  

共にいっそうの内部蓄積をおこなうことを可能に・し,その成長率は上昇してい   くょそ・してやがてGz三石′′となる紅いたって,調整過程は止むのごある。いう   までもなく,そのとき達成される新しい均衡利潤率は産業成長率上昇のてこいど  

に比例して−上昇せしめられているであろう。   

このことを分析的に.あらわせは,つぎのよう紅なる。いまG〜<百′という状   況が発生したとき,産業全体の需給成長率を均等化させるためには,限界企業   の成長率が上昇しなければならない。それがどのて:いどのものであればよいか  

は,(34)式から明らかなごとく,  

(Gz一石1′)  

(50)  

G隅ニGz−   

1−(tり   

に.よって一決定される。とうぜんに.G肌>Gzとなるから,革新企業のマ・−ケット・  

シ.ェアは低下し,また限界企業のそれほ増大する。G例の上昇ほ大量の限界企業   の新たな流入を意味するが,そのために・は上式できめられるG例をもたらすの   に.ちょうど十分なだけイ面格が上昇しなけれほならない。すなわら価格の上昇   率,またしたがって革新企業の阻売上利潤の上昇率はG〜・−・伊の関数である。  

●●●  

われわれはこのような関係を,販売努力関数と頬同的に.,つざのような・限界企  

●●●●●  

業誘発関数のかたちで定式化することに・しよう。  

d(♪・一打毎)  

=智(G〜一戸′)ただし Gz≦訂′  

(51)  

d才  

冴は必要な価格上昇のていどをあらわす係数であって,限界企業の産業への流   入が比較的容易であれば小であり,また比較的困難であれほ大である。   

うえの式をもちいてGの時間的径路をもとめると,次式がえられる。  

Gz=計−(戸′岬L筍e祝♂(1岬(トス)ポ  

(52)  

百′」百ほ新らしい均衡成長率からの初期の下方への帝離であるから,冴く0で   あるかぎり,それはしだいに.減少していき,やがてG戸訝′に.到達するであ   ろう。すなわち,粗売上利潤が弾力的であろかぎり,革新企業の均衡成長径路   は下方への帝離に.たいしても安定的なのである。  

Ⅲ 結語 的覚書   

(23)

鐸36巻 魔1皆  

40   

輪40−−  

前節で∴おこなった分析は,シユ.タインドルの企業集中理論を・その特別なケ・−  

スとしてふくむような,いっそう−・般化された産業構造変動の長期理論を暗示   している。すなわち,任意の産業に.おける集中と分散によって特徴づけられた   構造変動は,技術進歩とその産業紅たいする需要成長率の変動パタ・−・ンとによ  

って規定されるであろ・う。   

いま経済成長過程における産業成長率に長期波動が存在するものと仮定しよ   う。産業別産出高の長期的趨勢紅かんする経験的研究は,多くのほあいそれが   ロジスティック・か−プあるいはそ・の連鎖のかたちをとることをしめして:いる  

から,低い成長率〜高い成長率w低い成長率という成長率の長期波動を想   定することはかならずしも非現実的ではない。成長率が急速に・⊥昇していく最   初の局面においては価格は上昇傾向をたどり,限界企業ないし小企業の乱立を   誘発するであろう。なぜならば革新企業の技術進歩がたとえ連続的紅・おこなわ   れたとしてこも,−・般にGるくGとなる可能性が強いからである。このばあいには   革新企発の利潤率も上昇傾向をたどるであろう。   

他方,成長率の上昇局面が終って,下降局面碇庵じ,G古さ6となるやいな   や,革新企菜がおこなう鱒剰能力解消のための販売努力は価格を低下させ,限   界企共はその圧力にたえかねて淘汰されて:いぐであろう。それにともなって,  

革新企巣の利潤率は低下してこいく。しかしながら,利潤率の低下傾向ほ革新企   業における強力な技術進歩を誘発するに・ちがいない。そのために・,限界企菜紅   あたえられる圧力はますます強大なものとなり,絶対的集中過程が進行する。  

そして−技術革新紅よる利潤率引き上げ作用は,販売努力に.よって打ち消される   とは.いえ,すくなくとも従前どおりの利潤率を革新企業軋確保させるととにな   るであろう。   

ふたたび産業成長率が新らしい上昇および下降の局面にほいるならば,形式   的にほまえと同じ過程をくりかえ.すかもしれない。しかしながら,われわれは   そこに非可逆的要因の存在することに注意しなければならない。すなわち,第  

1の波動盲こおける産業成長率の低下と技術革新がもたらした企業集中ほ革新企   業の規模を増大させ,限界企其の数を減少させている。すなわち,その産業ほ   

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