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(1)

行政主導によるメタン発酵施設の事例調査

遠 藤 は る奈 *・中村 修 * *・力 武 真 理 子 * * *

ACa s eS t ud yo nMe t ha neFe r me nt a t i o nPl a nt sI nt r od uc e d byAd mi ni s t r a t i o ns

Har unaEN D

0

,0s a muNAKA M URAa ndMa r i koRI KI TAKE

Abs t r a c t

Me t ha nef e r m e n t a t i o ni sap r oc e s so fbi oc he mi c a lc o nve r s i o nt ha tde c o mpos e va r i o uso r ga ni cma t t e ri nt obi o ga s a ndd i ge s t e ds l ur r y.Thes l ur r yl Sr i c hi nf e r t i l i z e rc o mpo ne n t ,S oi ti sus e da saf e r t i l i z e ro rl i q ui dc o mpos ti ns o me C a s e s .

I nr e c e ntye a r s , l a r ge ‑ s c a l eMe t ha neFe ‑ e nt a t i o nPl a 山st ha ti nt r od uc e db ya d mi 血s t r a t i o nsa r ei nc r e a s mg. Weha ve c o nd uc t e df l e l dr e s e a rc ho nt hr e epl a nt s ;Na n t a nc i t y ( Kyo t opr e f . ) ,Ya ma gac i t y ( Ku ma mo t opr e f

.

) ,Oo kit o wn ( Fuk uo kapr e f . ) . Thea i moft hi spa pe ri st oi nt r o d uc et he s et h r e ec a s e sa nds ug ge s tt ha tpr o bl e ms .

Tr o ug ht hec a s es t ud ywec o nc l udet ha t" Soc i a lTe c l mo l o g y"( e . g. e d uc a t ec i t i z e nsa ndf a rme r s , l oc a lpr od uc t i o nf o r l oc a lc o ns umpt i o n)i sne c e s s a r yt op r o mo t eaBi o‑ r e c yc l i ngPo l i c y. I ti saur g e n tt a s kt oe s t a bl i s ho ft he s eme t ho ds .

Ke yWo r ds : me t ha nef e r me n t a t i o n, bi o ga s , di ge s t e ds l ur r y ,s o c i a lt e c l mo l o

g y

, Bi o‑ r e c yc l i ng

1.は じめに

わが国にお ける廃棄物発生量の うち、約 6 割 を家 畜糞尿や厨芥類 な どの有機性廃棄物 が 占めてい ると 推 定 されてい る 1 )。 平成 1 4 年 に閣議決 定 されたバイ オマス ・ ニ ッポン総合戦略 を契機 として、有機性廃棄 物 は 「 廃棄物系バイオマ ス 」 として位置づ け られ、

再生可能かつ豊富な資源 としてその価値 が見直 され つつある

「 メタン発酵 」 は有機性廃棄物 の利用技術 のひ と つ として注 目されてい るもので、有機性廃棄物 を微

☆ 長崎 大学 大学院生産科学研 究科 博 士後期課程

東 女 長崎 大学 大学院生産科学研 究科

*** NPO 法人地域循環研 究所

受領年月 日 2007 ( 平成 1 9)年 1 0 月 31日 受理年月 日 2008 ( 平成 20)年 3 月 5日

生物 に よ り分解す る過程 で 「 バイオガス」 を発 生 さ せ 、エネル ギー として利 用す る技術である。「 消化液」

と呼 ばれ る発酵残享 査は液状堆肥 あるいは脱水後 に固 形堆肥 として農地 に施用で きることか ら、近年 では、

有機物 の地域内循環 を実現す るコア施設 として行政 主導で導入す る事例 が見 られ るよ うになってい る。

筆者 らは、平成 1 7 年 か ら 1 8 年 にかけて行政主導 でメタン発酵施設 を導入 した事例 を調査 した ( 現場 視察及び担 当者 ヒア リング)。本稿 ではその調査結果 をま とめ、メタン発酵施設の抱 える課題 を整理す る。

2. メタ ン発 酵施設 につ いて 2 ‑ 1 . メタ ン発 酵 の原 理

メタン発酵 は、有機物 が酸素のない条件 で微生物

の活動 に よ り分解 され 、最終的にメタンと二酸化炭

素 を生成す る反応 である 2)。 メタン発酵 は、雑 多な

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遠藤 はる奈 ・中村 修 ・力武 真理子

微生物 の集 団によ り進行す る反応 であるため、同一 プラン トで家畜糞尿や し尿、下水汚泥、厨芥類 な ど 多様 な廃棄物 を同時に処理す ることができる。

メタン発酵の反応 プロセスの概要 を図 1 に示す。

メタン発酵の初期段階では、加水分解微生物の活動 によ り、多糖類は単糖 に、タンパ ク質はア ミノ酸 に、

脂質は脂肪酸や グ リセ リンに分解 され る。次 に、酸 発酵微生物 によ りこれ ら高分子有機物か ら低分子有 機酸や水素が発生す る

この過程 を酸発酵 と呼ぶ。

最後 に、酸発酵で生 じた酢酸や水素か らメタンと二 酸化炭素が生成 され る。 この反応 は絶対嫌気条件下 でメタン生成微生物 の働 きによって進行す る。

この最終過程で、メタンと二酸化炭素を主成分 と す るバイオガスが発生す る。バイオガスは、一般 に メタンが約 60% 、二酸化炭素が約 40% であ り、この 他 に微量の硫化水素等 を含む

バイオガスは、脱硫 後にボイ ラーで燃焼 し、蒸気の熱 を発酵槽 の加温 に 利用す るほか、ガスエ ンジンやガス ター ビンの燃料 として発電 に供 し施設電力を賄 うな どの利用方法が 実用化 されている。 また、発酵後 には消化液 と呼ば れ る液状の残i 査が生 じる

わが国においては、消化 液 を二次処理後に公共用水域に排水す ることが多い が、欧州では液状肥料 として農地還元す ることが一 般的である3 )。最近では、 日本で も周辺に農地が多 い地域 のい くつかの施設 において消化液の農地還元

が試み られている。

メ タ ン発酵 は、発 酵槽 温度 に よ り高温発酵 ( 約 55℃) と中温発酵 ( 約 35 ℃ ) とに分 け られ る。それ ぞれの特徴 を表 1に示す。高温発酵は中温発酵 に比 べて有機物分解能力が高 く衛生的で、バイオガスの 生成量が多い とい うメ リッ トがある一方、発酵槽 内 の環境制御 が難 しい ことな どか ら、現状では中温発 酵のほ うが多 く採用 されてい る。 なお、基質の有機 物濃度 によって乾式 タイプ ( 有機物濃度 20‑40%) と湿式 タイプ ( 有機物濃度 1 0 % 以下)に分 け られ る こともある。

図 1 メタン発酵 プロセスの概要

出典 :バイオマスハ ン ドブ ック 2)

表 1 高温発酵 と中温発酵の比較

高温発 酵 中温発酵

衛生面 ○ △

衛生面の確保 とい う面で有利○ 衛生面の確保 とい う面では高温に比べ不利○ただ し、 ある程度の滞留時間の確保や、殺菌槽 を併用すれば 問題 ない○

エネル ギー利用 △ ○

加 温に必要な熱量が多 くな り、中温発酵に比べ不利○ 加温に必要な熱量が高温に比べ少 な く有利○

運転管理 △ ○

出典 :バイオマスエネル ギー導入ガイ ドブ ック第 2版 4)

‑26‑

(3)

2‑ 2. メタ ン発酵 施設 の普 及 状 況

メタン発酵 の技術その ものは古 くか ら知 られ てお り、家畜糞尿 の処理技術 として用い られて きたが、その規模 は個別農家 ごとの小 さな もの であった。 わが国で最初 に大規模 なメタン発酵 施設 が建設 されたのは、平成 1 0 年 、京都府 八木 町 ( 現在 の南丹市、詳細 は後述)の家畜糞尿 と おか らを混合処理す る施設であった。 これ を契 機 にメタン発酵施設‑の社会的関心 が高ま り、

北海道 の牧場 を中心 に施設が導入 され るよ うに なった。 メタン発酵施設 が北海道 に集 中的 に導 入 され たのは、消化液 を散布 できる農地が十分

に確保 で きるためであった

5)。

一般廃棄物 を対象 とした施設 は、平成 1 2 年以 降に し尿 、浄化槽汚泥 と生 ごみ を混合処理す る 施設 がい くつか建設 されてい る。 これ には、平 成 9 年 に汚泥再生処理セ ンターの整備 が国庫補 助事業 となった ことが関連 してい る と推察で き る

その後 は京都 市や横須賀市な どにおいて国 の実証事業が行 われてお り、 平成 1 5 年 には北海 道 内の 3 地域 にて家庭及び事業所 が排 出す る生 ごみ を分別 回収 し、ガス化発電 を行 う施設 が建 設 された。表 2 に 自治体 の主導で導入 されたメ

タン発酵施設の一覧 を示す。

表 2 行政主導によるメタン発酵施設 の導入事例

設置場所 設置主体 対象廃棄物 規模 実施 時期

京都府 八木 町農業公社 家畜ふん、おか ら、排 乳 46t / da y H1 0. 3‑

京都府 京都市 ホテル厨芥、古紙、勇定枝 3t / da y Hll . 6 ‑終了 新潟県 上越 地域行政組合 生 ごみ、 し尿 、浄化槽 汚泥 44t / da y H1 2. 3‑

長野県 下伊那郡西部衛生施設組合 生 ごみ、 し尿 、浄化槽 汚泥 1 0. 2t / day H12. 4‑

新潟 県 東蒲原郡広域衛生組合 生 ごみ、 し尿 、下水汚泥な ど 6. 5t / day H1 2./ 一 一 鹿児 島県 屋久町 家畜ふん、古紙、生 ごみ 0. 7t / day H13. 1/ ‑ 奈 良県 生駒市 生 ごみ、 し尿 、浄化槽 汚泥 1 2. 3t / day H13. 3‑

山梨 県 山梨 県畜産試験場 家畜ふん、生 ごみ 1 . 2t / day H13. 7‑

鹿児 島県 串間市 生 ごみ、 し尿汚泥 4. 1 t / da y H13.‑

北海道 湧別町 牛ふ ん尿 な ど H13.‑

北海道 別海 町 牛ふん尿 、排乳、生 ごみ H13.〜

長崎県 上五島地域広域市町村圏組合 生 ごみ、 し尿汚泥 6. 2t / day H1 4. 3‑

神奈川 県 横須賀市 生 ごみ 2t / day H1 4. 1 0‑

宮城 県 白石市 生 ごみ 3t / day H15. 2〜

奈 良県 案 良市 生 ごみ、 し尿汚泥 l l . 7t / da y H15. 3/ ‑ 千葉県 千葉市 食 品廃棄物 30t / da y H15 . 4‑ ‑ 富山県 富山市 生 ごみ、勢定枝 24. 4t / day H15A〜

北海道 中空知衛生施設組合 生 ごみ 22t / da y H15 . 4′ ‑ 北海道 北空知衛生センター施設組合 生 ごみ 1 6t / da y H15. 4〜

北海道 砂川地 区保健衛生組合 生 ごみ 55t / da y H15. 8‑

熊本県 山鹿 市 家畜ふん、生ごみ、集落排水汚泥 77t / da y H1 6. 8‑

大分県 日田市 家畜ふん、生ごみ、集落排水汚泥 49t / da y H1 8 . 4‑

出典 :バイオガスの技術 とシステム 5) ほか

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遠藤 はる奈 ・中村 修 ・力武 真理子

2‑ 3. メタン発酵 プラ ン トの普及見通 し 以上見てきた よ うに、わが国にお けるメタン 発酵施設の普及は北海道 を中心 とす る家畜糞尿 処理施設 としての導入 には じま り、近年では市 町村 あるいは衛生事業を 目的 とす る一部事務組 合 に よって、生 ごみや し尿、浄化槽汚泥、下水 道汚泥の利活用施設 として導入 され る事例 が増

えて きている

平成 1 3年 に施行 された食 品 リサイクル法で は、食品廃棄物の再生利用方法のひ とつ として メタン発酵が指定 されてお り、今後 は食品製造 加工業や外食産業 な どの大規模事業者 において 導入事例が増加 してい くことが予測 され る。

また、市町村が主体 となって導入 され る事例 も増加す ると考え られ る。筆者 らが これまでに 公表 された 「 バイオマスタウン構想」註1の記載 内容 を分析 した結果、メタン発酵 は堆肥化 に次 いで多 くの構想書の中で導入が検討 されていた ( 分析対象 とした 52 の構想書の うち 20 の構想 書に記載 あ り) 6) 。

この よ うに、メタン発酵施設 は有機性廃棄物 の利活用技術 として注 目を集 めてお り、今後 は 全 国的に導入が拡大 してい くもの と考え られ る。

3. メタ ン発酵施設 の事例調査

ここでは、筆者 らが調査 したメタン発酵施設 の うち、行政の主導で導入 された 3 箇所の事例 についてまとめる。

3‑ 1.京都府南丹市 ( 旧八木町) ( 丑施設概要

施設名称 :南丹市八木バイオエ コロジーセ ン ター

所在地 :京都府 南丹市八木町

処理能力 : 乳牛糞尿 40 t/d ay 、おか ら1 0t /d ay、

管理排水 5. 6t /d ay、豚糞尿 8. 8t /d a y、わ ら ・ おが くず 0. 8t /d a y、

‑ 28‑

変 換 量 :バ イ オ ガ ス 3 02 9 N m3 /、発 電 量 5 058k W h/d ay、熱利用 3 0552 MJ/d a y( 温水 とし て)、堆肥 2 3.7t /d a y、液肥 1 0t /d ay

運転 開始 :平成 9 年

②導入の背景

事業着手のきっかけは、平成 4 年 に旧八木 町 内の畜産農家か ら家畜糞尿処理施設 として堆肥 化セ ンター建設の要望が出 された ことであった。

これ以降、家畜糞尿処理 に関す る対策 を検討す る過程で、オ ランダ、ベルギー、デ ンマー ク等

‑の視察がお こなわれ、 このなかで有機性廃棄 物 の有効活用技術 としてのバイオガスシステム が注 目され るよ うになった。 さらに、町の総合 振興計画では 「自然 を守 り、安心 ・安全で地球 にや さしい町づ く り」が 目標 とされていた こと か ら、家畜糞尿の衛生的な処理 によって周辺 の 環境保全 を図ろ うとす る方 向で検討が進 め られ、

エネル ギー回収 と残液の堆肥化が可能なメタン 発酵技術が採用 され ることとなった。

③事業の概要

バイオエ コロジーセ ンターは、国内初の大規 模 メタン発酵施設 として平成 9 年 か ら稼動 して いる。家畜糞尿の処理が主な 目的であるが、処 理委託費収入 を増やすために食 品加工業者 か ら おか らを受 け入れている。セ ンターには最初 に 建設 された中温発酵槽 と、平成 1 3 年 に増設 され た高温発酵槽 の 2 つの発酵槽 がある

消化液 は 脱水機 に送 られ、脱水ケーキ と脱水 ろ液 に分離 され る。脱水 ケーキはセ ンター内の堆肥舎 にて 約 3ケ月かけて堆肥化 し、農家や家庭菜園向け に販売 されている。堆肥 は農家間の 口コミによ って広 まってお り、年度 ごとの変動 はあるもの の売れ行 きは概ね好調である。施設の運転管理 は八木町農業公社 が、堆肥の販売 は農協がお こ なっている。

脱水 ろ液 はほぼ全量が膜分離方式 による浄化

処理後、河川放流 してい るが、近年 になって高

(5)

温発酵槽 の消化液 を液肥 として利用す る試みが 始まっている。現在 は液肥‑の施用効果を確認 す る実証試験の段階であ り、水稲や トマ ト、 ト

ウガラシな どの野菜の栽培実験を行 っている。

一般農家‑向けた販売 も開始 されているが、未 だ普及 には至 っていない。

④導入の効果

周辺 の畜産農家 に とっては、バイオエ コロジ ーセ ンターを利用できることで家畜糞尿の適正 な処理 が確実に行 われ ることになった。家畜糞 尿の 自家処理 にかかる時間的負担 と金銭的負担 が軽減 された ことで、経営の規模 を拡大す るこ とができた畜産農家 もあった。平成 1 3 年の増設 工事 は、畜産農家の経営拡大 によって糞尿の受 入量が増大 したためであった。畜産業由来の汚 染 を未然 に防止す ることで周辺住民の暮 らす環 境 を保全す る とい う事業 目的は達成 されてい る。

⑤課題

消化液 を河川放流す るために必要 な薬剤購入 費や 、施設の老朽化 に伴 って発生す る修繕費が 大 きな負担 となってい る。畜産農家か らの処理 委託費 と堆肥の販売益が主な収入源 であるが、

これだけでは運転経費 を賄 うことができず恒常 的な赤字経営の状態が続いている。赤字分 は八 木町 ( 現在 は南丹市) よ り毎年 1 000万円か ら 20 00 万円の補助 を受 けこれ を補填 している。処 理委託費 を値上げす ることは畜産農家の経営状 態か ら見て困難であ り、消化液の液肥化 を進 め ることで河川放流量を減 らし、薬剤費を削減す ることで対応 を図ろ うとしているが、耕種農家 に とって使い慣れていない液肥 は受 け入れ られ にくく、普及 しに くいのが現状である。液肥 の 施用方法 を早急に確 立 し、耕種農家のなかで も 発想 が柔軟な若い世代 を中心に液肥利用を進 め てい くことが課題 となってい る。

3‑2. 熊本県山鹿市 ( 旧鹿本町)

①施設概要

施設名称 :山鹿市バイオマスセ ンター 所在地 :熊本県山鹿 市鹿本町高橋

処理能 力 :乳牛糞 尿 52. 4t /d a y、 肉牛 糞尿 ll . 3t /d ay、 豚 糞 尿 1 0. 4t /d ay、 生 ご み 3t/d ay 、農業集落排水汚泥 ( 年 間) 730t / ye a r 変換量 :バイオガス 1 1 82 N m3 / d a y、発電量 2 4 94k Ⅵ1 /d ay 、熱利用 3 37 0 Mc al / ho ur ( 温水 と して)、堆肥 43 8 0t /ye a r 、液肥 1 733 6t /ye a r 運転開始 :平成 1 6 年

②導入の背景

本事業 は合併前の旧鹿本町区を主な対象 とし た ものである

鹿本町がバイオマスセ ンターの 建設 に踏み切った最大の理 由は、家畜排湛物法 の完全施行 を控 えていたにも拘 らず、家畜糞尿 の適正処理が進 まないことであった。完全 に発 酵 していない堆肥や生ふんを野積みにす ること で悪臭が発生 した り、周辺の土壌や地下水 が汚 染 された りす るな ど、畜産農家 と周辺住民 との 問に トラブルが発生す ることもあった。 しか し 畜産農家が良質な堆肥 を製造 して も、耕種農家 に売 り込むことは困難であった。そ こで、町が 家畜糞尿 を一元的に処理す ることで、畜産農家 と耕種農 家を仲介 し、衛生の保持 と環境保全型 農業の振興 を両立 させ よ うとい う考 えか ら、施 設の建設 を決定 した。

③事業の概要

施設の計画か ら現在の管理 までを担 当 してい るのは、農政部局である産業振興課であ り、バ イオマスセ ンターが当初 か ら農業振興のための 施設 として位置づ けられていたことがわかる

搬入 されてきた家畜糞尿 は固液分離 され、固 形分 は堆肥舎 に、液分は生 ごみ と集落排水汚泥 とともにメタン発酵槽 に送 られ液肥化 され る。

バイオマスセ ンターは、堆肥 と液肥の 2 つの有

機肥料 を製造 ・供給す る施設 として稼動 してい

る。堆肥 と液肥の販売は農協が担 っている。以

前 よ り環境保全型農業が推進 されていたことも

あ り、有機栽培 ・低農薬栽培 に関す る独 自の認

(6)

遠藤 は る奈 ・中村 修 ・力武 真理子

証制度 を設 けてい る。有機 J A S 認 証 よ りもわか りやす い制度 で消費者 ‑ の PRを強 めるこ とで、

堆肥や液肥の利用 を促進 しよ うとす るもので あ る。認証 を受 けた農 産物 はバイオマ スセ ンター 近 くに立地す る直売所 で も扱 われ てい る。

さ らに山鹿市では、農家 だ けでな く一般住 民 に もメ リッ トがあ る仕組み とな る よ う、生 ごみ と農 業集落排水汚泥 もあわせ て処理 してい る

この こ とで可燃 ごみ と汚泥処理費用 を削減 し、

市の財政負担 を軽減 しよ うとす る ものである

④導入 の効果

旧鹿本 町の担 当者 は、施設 の建設 の際に以後 2 5 年 間の維持管理 費 をメー カー に提 出 させ 、で きる限 りランニ ング コス トを抑 える方式 を検討 した とい う。 また、事業系生 ごみ の受入手数料 を 1 k g あた り 1 0 円 と高 めに設定 ( 家畜糞尿 の場 合 は 1 tあた り 3 0 0 円か ら 4 0 0 円)す るこ とで収 入 を増や してい る。 この よ うな工夫 によって、

年 間で約 3 0 0 万 円の コス トメ リッ トを生み 出 し てい る

また、以前 は家畜糞尿 の野積 み な どに関す る 苦情 が役場 に頻繁 に寄せ られ ていたが、セ ンタ ー の稼動後 はほ とん どな くなった。 このほか、

耕種農 家では環境保全型農業 を意識す るよ うに な り、住民の間で は ごみ減量 を意識す るよ うに な るな ど、地域全体 で環境保 全‑ の認識 が高 ま った こ とも大 きな効果 とい える。

⑤課題

事業 を継続 してい くために、製造 された堆肥 や液肥 が耕種農 家 に よ り利用 され ることが必須 であ るが、特 にメ タン消化液 の液肥 は一般 に普 及 した肥料で はな く、衛生的でない、肥効 が悪 い な どの固定観念 か ら受 け入れ られ に くい。 環 境保 全型農業‑の移行 を 目指 した営農指導 を強 化 し、農 家の意識 高揚 を図 るこ とで堆肥や液肥 の安 定 した需要 を生み 出す こ とが今後の課題 と なってい る

さ らに、堆肥や液肥 を利用 して栽培 した農 作

物 を、慣行栽培 の作物 と差別化 して販 売す るた めの戦略 を検討す る ことも、大 きなテーマ とな ってい る。

3‑3. 福 岡県大木 町 ( 丑施設概要

施設名称 :おお き循環セ ンター くるるん 所在 地 :福 岡県三瀦郡大木 町横 溝

処理能力 :し尿 7 t / d ay、浄化槽 汚泥 3 0 t / d a y ( 濃縮後 5 t / d a y ) 、生 ごみ 3 . 8t / d a y

変 換 量 :バ イ オ ガ ス 4 7 6 N m3 / d ay、発 電 量 7 5 2 k W h / d ay、熱利 用 1 4 4 2 MJ / d a y ( 温水 として)、

液肥 6 0 0 0 t / y e a r

運転 開始 :平成 1 8 年 1 1月

②導入 の背景

大木 町がメタン発酵 プ ラン トの導入 を決 めた 背景 には、最終処分地の逼迫 と財政上の負 担 か ら焼却 ごみの減量 が必要 であった こ と、 し尿及 び浄化槽汚泥 の海洋 投棄禁止措置 ‑ の対応 に迫 られ ていた こ とな どがある。 さらに、 ク リー ク で発 生す る水草が腐敗す るこ とで、農業用水路 が富栄養化 、汚染す るこ とも大 きな課題 で あっ た。 ごみが発 生す るだけ 自治体 が処理 し、財政 負担 は増大す る一方 とい う状況 を転換す る方法 を検討 した際、多様 な有機性廃棄物 を合 わせ て 処理す ることがで き、エネル ギー と液状肥料 を 得 るこ とがで きるメ タン発酵 プ ラン トに着 目し、

導入 に踏み切 った。

③事業 の概要

大木 町では、消化 液 は全量 を液肥 として農 地 還元す ることに してお り、排水 のための浄化設 備 は設 置 して い な い。 液 肥 の 生 産 量 は 年 間 6 0 0 0 k L を想 定 してお り、水稲 に 3 5 0 0 k L 、裏作 ( 麦)に 2 5 0 0 k L を施肥す る計画 である。液肥 を 利用 して栽培 した作物 は、学校給食 の食材 や直 売所 の商品 として販 売 し町民 が 口にす るこ とで、

有機 物 の循環 を実現す ることを 目指 してい る。

さらに本事例 で興 味深 いのは、循環セ ンター

‑ 30‑

(7)

の立地である。循環セ ンター は、町の中心部で 中学校 に隣接す る位置 に建設 されている。 この ことは、大木 町が循環セ ンターを 「 循環のまち づ く りの拠点施設 」 と位置づ けてい ることを強 く表 している。つ ま り、迷惑施設 といわれ る廃 棄物処理施設ではな く、 循環型社会や環境学習、

農作物の地産池消を体現す る町のシンボル とし て住民に親 しまれ る施設 を 目指 しているために、

あえて町の中心部 に建設 したのである。すでに 施設 内には環境学習室や資料展示室が整備 され、

開館 時間内であれ ば誰で も利用す ることができ るよ うになってい る。 さらに、現在 は施設 に隣 接す る農産物直売所や交流広場 な どの整備 が進

め られている註 2。

④導入の効果

生 ごみの分別回収 によ り、焼却 ごみの処理委 託費が年 間約 2000 万円削減 され、し尿の海洋投 棄費用の年間約 6300万円もそのまま削減 され るため、 ごみ収集費用や人件費 を含 む運転経費 とプラン ト建設の償却費 を合わせて も年間で約 870 万円のコス トメ リッ トが生 じてい る註 3 。ま た、循環セ ンター を題材 に した小学校社会科の 授業カ リキュラムが作 られ、 平成 20 年か らは継 続 した環境教育が行われ よ うとしてい る。

⑤課題

液肥の利用 については、平成 1 9 年 か ら3 年 間 は農家 との試験研究 とい う形式で開始す る。本 事業が成立す るためには、液肥が適正に利用 さ れ ることが不可欠であ り、利用農家 を組織化す るとともに利用技術 を確 立す ることが最大の課 題である

3‑4. 事例の整理

表 3 に各施設の概要を整理す る。廃棄物の受 入料金や、堆肥 ・液肥の販売額 をみ ると、価格 設定に大 きな差があ り、施設の収支構造が大 き

く異なることが分かる。

また、施設の運転効率 を示す 「 投入単位 あた りバイオガス発生量」 と 「 ガス単位 あた り発電 量」をみ ると、ガス単位 あた り発電量にはあま り差がないのに対 して、投入単位 あた りガス量 には大 きな開きがある。 これは発酵方式 による 違い ( 京丹後市 と山鹿市は主に家畜糞尿 を基質 としてい るが、京丹後市には高温発酵方式の発 酵槽 も備 え られてい る) と、投入原料 による違 い ( 山鹿市 と大木町は ともに中温発酵方式だが、

投入原料 の性質は大 きく違 う)の両方が作用 し てい ると考 え られ る。 この よ うに、発酵方式や 投入原料の性質な ど、前提 となる条件 の違いが あま りに大 きいため、施設の稼働状況 を運転効 率のみで評価す ることは難 しい。

次 に、投入単位 あた りランニ ングコス トに着

目す ると、ここにも大 きな差があることが分か

る 。 施設のイニシャル コス ト・ランニングコス

トにはスケールメ リッ トが働 き、施設規模 が大

きいほ ど低 コス トになることは一般的に指摘 さ

れているが、年間の処理量 と投入原料がほぼ同

じである京丹後市 と山鹿 市で 24 倍 もの差があ

ることは注 目に値す る。 この費用効率の差が何

に起因す るものかについては、次節 にて詳 しく

検討す る

(8)

遠藤 はる奈 ・中村 修 ・力武 真理子

表 3 各施設の概要

京都府京 丹後 市 熊本 県 山鹿 市 福 岡県大木 町 施 設名 南丹市八木ハヾ イ オ エコ ロ シ 寸 ‑セ ン タ ー 山鹿市バイオマスセンター おおき循環セン タ ーくるるん

運転 開始年 平成 9 年 平成 1 6 年 平成 1 8 年

運営 主体 八木町農 業公 社 市直営 町 直営

処理対象 ( 年 間量 ※ 1) 乳 牛糞尿 1 2, 000t 乳 牛糞尿 1 5, 7 20t し尿 2, l oot

( 肉牛糞尿 3, 750t ) ( 肉牛 糞尿 3, 390t ) 濃縮 浄化槽 汚泥 1 , 500t

豚 糞尿 お か ら わ ら .おが くず 管理廃 水 2, 3, 640t 000t 1 , 680t 240t 豚 糞尿 集 落排 水汚泥 生 ごみ 900t 3, 1 20t 730t 生 ごみ 1 , 1 40t

受入価 板 ( ※ 2) 乳牛糞尿 豚 糞尿 肉牛糞尿 7 お か ら 7, 1 1 5, , 665. 000円/ , 000. 5 0 0 . 5, 660 3 250円/ , 5 t 0 0 円/ 円/ 頭 頭 頭 家畜糞尿 ( 事業系生 ごみ 家畜糞尿 要水分調整) 300 1 0 円/ , 0 4 0 t 00円 0 円 / / t t 事 業系生 ごみ 3, 000円/ t バ イ オガス発 生 量 3, 029 N m3 / da y 1, 1 82 N m3 / da y 476 N m3 / day 投入 単位 あた りガ ス量 35. 2 Nm3 / t x3 1 7. 3 N m 3 / t 30. lN m3 / t 発 電量 5, 058kW h / da y 2, 494k W h/ da y 752kW1 1 / day ガ ス単位 あた り発 電 量 . 1 . 7 kW h /N m3 2. 1kW h /N m3. 1 . 8 kW h /N m3 電気 .温水利 用 施設内利用 .下水処理場‑供給 施 設 内利用 施設 内利用

消化 液 の取扱 堆肥化 、河川放 流 液肥化 液肥化

堆肥年 間製造 量 71 1 f )t 4380t

Ot

販 売価 格 6, 000 円/ 七 、1 70円/ 20L 3, 500 円/ t. 5, 000円/ t ※ 4

液肥年 間製 造 量 デー タな し 1 , 733t 6, 000t

販 売価 格 1

,0

0 0円/t 500 円/ t 250円/ t

堆肥 .液肥 の利 用者組 織 な し あ り あ り ( 準備 中)

堆肥 .液肥利用農 作物 の

販 売促進対策 な し ‑ 直売所 、認 証制度 あ り 直売所、レストラン ( あ り ( 準備 中) 施設併設) イ ニ シ ャル コス ト 3, 087, 969 千円 1, 027, 000 千円 81 9, 31 0 千円

うち国庫補助 金 974 , 41 2 千円 51 3, 500 千円 409, 655 千円

補 助制度 小規模零細地域営農確立促進対策事業 農林漁業 同和対策 事業 バ イ オマ ス利 活用 バ イオマ スの環 づ く り 環境保 全型 畜産確 立対策事業

源循環

畜 産 確 立 対 策 事 業 フ ロ ンテ ィア整備 事 業 交

付 金

投入単位あた りイ ニ シャ ル コ スト ※ 5 72. 6 千円/ t 25. 1 千円/ t 86 . 4千円/ t ラ ンニ ング コス ト※ 6 71 0, 000 千円 1 0, 000 千円 42, 000 千円

※ 1 施設稼働 日数 を年 間 300 日と仮 定 して投 入 日量 に積 算。 ( ) 内 の数 字 は直接堆 肥化 ライ ン直接 投入 分

※2京 丹後 市 で は、家 畜糞尿 の年 間 の受入価格 を家 畜 の成 育段 階 に あわせ 2段 階 に設定 してい る

※ 3 投入原 料 の ほか 、排 水処理施 設 引抜汚泥 20. 8t / d もあわせ て投入 され てい る

※ 4 肉牛糞堆肥 は 3500 円/ t 、乳牛糞堆肥 は 5000円/ t

※ 5 国庫補助金 額 を除い たイ ニシ ャル コス トを年 間投入 量 ( 堆肥化 ライ ン直接 投入 分含 む) で除 した もの

‑ 32‑

(9)

※ 6 減価償却費 を除 く運転経費

4. メタ ン発酵施設 の課 題 に関す る考察 図 2 に、一般的によく用い られ ているメタ ン発酵施設 を核 に した地域内資源循環の概念 を 示す。 メタン発酵施設の運営に関わ る検討課題 は、①施設の運転技術 に関わる課題 、②堆肥化 ・ 液肥化技術 に関わる課題 、③堆肥 ・液肥の農業 利用促進 に関わる課題 、④農作物 の地域内消費 促進 に関わる課題 、⑤廃棄物 の収集運搬に関わ

る課題 の 5 つに整理す ることができる

図 2 メタ ン発酵施設 を核 と した資源循環の概念

表 3に、各施設 にお ける 5 つの課題‑の対応 状況 をま とめる。南丹市のバイオエ コロジーセ ンターでは、消化液 を浄化処理 し河川放流す る ための薬剤購入費の負担が施設の経営を圧迫 し てい る。その対応策 として、消化液 を浄化処理 せず に液肥 として販売す る試みが始 まってい る が、メタン消化液 の利用 は農家に とってはな じ みがな く、需要は伸び 悩んでいる

しか しなが ら、液肥 の需要拡大 を 目指 した広報活動 も積極 的には行 われていない。すなわち、図 2 に示す ところの③及び④ の部分についての検討 ・対応 が欠如 してい る。

ここに、従来のメタン発酵施設運営 に係 るひ とつの課題 をみ ることができる。つ ま り、家畜 糞尿 を主 とす る廃棄物対策を優先す るため、地 域 との関わ り方、 と りわけ堆肥 あるいは液肥 の

利用者である農家 との関係づ くりが不十分なま まに施設 が設計 ・施工 されてきた とい う点であ る。 これまで、メタン発酵施設は、発酵残i 査と して必ず発生す る消化液 を 「 廃棄物」 とみな し て浄化処理 をす ることを前提 とした施設 として 建設 されてきた といえる。( 丑及び② に該 当す る、

施設の処理効率や堆肥の品質 を向上 させ る工夫 が重ね られてきた一方で、堆肥や液肥の利用 を 促進す るための③や④ に該 当す る部分の検討 は ほ とん どな されて こなかった。 このため、特 に 液肥利用 に関す るノウハ ウが蓄積 されてお らず、

この ことが液肥利用の拡大を阻んでいると考 え られ る。

これ に対 して、消化液 をすべて利用す ること を前提 として建設 されたのが、山鹿 市 と大木町 の施設である。両施設では液肥 を用いた栽培試 験 を重ね、 施用技術 の確 立を図ってきた。また、

液肥 あるいは堆肥 を用いて栽培 された農作物 を 直売所で販売 した り、学校給食‑の供給が計画 された りと、農作物 の販売促進策 も検討 されて い る。山鹿 市では独 自の認証基準を設 け、堆肥 ・ 液肥利用 を中心 とした有機農業を推進 してい る。

さらに、南丹市 と施設の ランニングコス トを比 較す ると、両施設 とも施設全体で も処理量単位 あた りで もかな り低 く抑 え られてい ることがわ か る。両施設のケースでは、③及び④の部分 に ついて対策 をとることで運転 に係 るコス トを低 減 し、地域 内での有機性資源 の循環 を成立 させ

よ うとしている註 4。

表 4 各事例 における課題の対応状況

L F ② ③ ④ ⑤

南丹市 ○ △ △ × ○

山鹿市 ○ ○ ○ ○ ○

大木町 ○ ○ ○ △ ○

※ 「 O 」:課題 ‑ の対応策 が とられ て きた

「 △ 」:課題 に対 し何 らかの対策 を準備 してい る

「 × 」:課題‑ の対応 が不十分 で ある

(10)

遠藤 はる奈 ・中村 修 ・力武 真理子

5. おわ りに

本稿 では、南丹市、山鹿 市、大木町のメタン 発酵施設の視察結果 をま とめ、それぞれが抱 え る課題 と対応策について比較検討 した。 ここか らい えることは、施設そのものの運転技術だ け でな く、堆肥 ・液肥 の利用や農家 ・住民 との関 係づ くりな どの 「 社会技術」 との組み合わせ に よる制度設計が重要であるとい うことである

もちろん、周辺 に農地が少ない地域において は、消化液をすべて農業利用す る とい う制度 は 不適 当であろ う。む しろこの よ うな地域では、

エネルギー回収 とその利用 を重視 して消化液 の 発生量を抑 えるとい う工夫が必要である註

5 。

いずれに して も、地域特性 に合わせた施設 の 導入 がな され るべ きであ り、そのためには施設 と地域 との関わ り方 を一体的に捉 えた制度設計 が必要である。 山鹿 市や大木 町の事例は、施設 と地域 とをつな ぐ 「 社会技術」の重要性 を示 し てい る。 ここでの 「 社会技術」 とは、具体的に は次の よ うな ものを指す。

( ∋生 ごみ分別や資源循環‑の理解醸成 な ど、住 民 の啓発

②農家の理解醸成や組織化 な ど、液肥 ・堆肥等 の 利活用体制の構築

③農産物の利用拡大、地産地消の枠組み作 り これ らは、メタン発酵施設 を中心 とす る有機 性廃棄物の循環事業 に深 く関連す る課題 を解決 す るための技術である。循環事業の現場では、

これ らの具体的手法が求め られている。 しか し なが ら、従来 はそれ らが技術 として認識 され る ことはな く、 ノウハ ウの共有化 ・確 立が行 われ て こなかった。つ ま り、住民啓発や地産地消の システムづ くりな どは担 当者 の創意工夫や努力 に頼 るべ きもの として扱 われてきたのである。

その結果 として 「 循環は難 しい」 とい う認識 が 広 ま り、 この ことが循環事業の普及 を阻害 して いる と考 え られ る。

資源循環型の社会 システムの構築が喫急の課

題 であることは明 白である。そのシステムに欠 かす ことのできない ノウハ ウを 「 社会技術 」 と

して捉 えなお し、その手法を確立す ることが急 がれ る

補注

[ 1 】「 バイオマスタウン構想」 は、地域 内にお けるバ イオマスの利活用 を促進す るために市町村が策定 す る計画書であ り、平成 1 7 年か ら農林水産省 が窓 口となって全国の市町村か ら募集 ・公表 してい る。

国は平成 22 年 までに300 市町村がバイオマスタウ ン ( 広 く地域 の関係者が連携 して、廃棄物系バイ オマスを炭素量換算で 90%以上又 は未利用バイオ マスを炭素量換算で 40%以上利活用す るシステム があ り、バイオマスの安定的かつ適正な利活用 が 行 われてい るか今後行 われ ることが見込まれ る地 域) となることを 目標 に掲げてい る

今回は平成 1 7 年 2 月の第 1 回公表か ら平成 1 8 年 5 月の第 1 3 回公表分までの 52市町村 の構想書 を対象 に分析 を行 った。

[ 2] 大木町は循環セ ンターの整備 を二期 に分 けて計画 してい る

これまで にメタン発酵槽や管理棟 を含 む第一期工事 は完了 し、現在 は第二期工事 として 施設 に隣接す る郷土料理館や直売所 な どの建設 が 進 め られてい る

【 3 1 循環セ ンターの建設費は約 1 1億 円であ り、うち半 額 に国の補助 をあててい る。 よって償却期間を 25 年 と仮定す ると年間の償却費 は 21. 6百万円。生 ご み収集や液肥散布経費を含む運転経費 は 57. 7 百万 円である。

[ 4] 山鹿 市 と大木町では一般家庭 の生 ごみ も処理対象 としてお り、住民の負担感 が少 な くかつ適正な分 別 が行 われやすい 「 パ ケツーコンテナ方式」が採 用 され てい る。本方式 を採用す るまで、両ケース ともに住民 と協働 した実証試験 を重ねてお り、 こ の点では図 2 に示す⑤段階における課題‑の対応 にも力が注がれていた といえる

‑ 34‑

(11)

[ 5 】 大分県 日田市では平成 1 8 年か らメタン発酵プラ ン トが稼動 してい る

日田市では堆肥の需要が多 くない こと、施設周辺 に液肥施用 に適す る農地が 少 ない ことか ら、エネル ギー回収 を重視 し消化液 の発生 を極力抑 える設計 とし、有機 物濃度が高い 状態で原料 を投入す る工夫がな されてい る。

参考文献

1 ) 環境省 、平成 1 8 年版循環型社会 白書 、pp4 4、2006 午

2) ( 社)日本エネル ギー学会編、バイオマスハ ン ドブ ッ ク 、pp1 5 2‑ 1 53、2 002 年

3 ) ( 社) 日本エネル ギー学会編、前掲書 、pp2 03 4) 独 立行政法人新エネル ギー ・産業技術 開発機構 、 バイオマ スエネル ギー導入 ガイ ドブ ック第 2 版 、 pp1 29、2 005 年

5) 有機 系廃棄物資源循環 システム研 究会編、バイオ ガスの技術 とシステム 、pp1 2 2、2 006 年

6) 遠藤 はる奈 、有機性一般廃棄物 を対象 とした循環

政策 の成 立要件 に関す る研 究 ( 長崎大学修 士論文)

pp26‑ 27、2007 年

参照

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