客 席 541席 工 期 平成19年10月〜平成21年8月 施 主 堺市 設計監理 佐藤・彩設計共同体 (㈱佐藤総合計画・㈱彩建築事 務所JV) 建築施工 栗本・町田建設工事共同企業体 空調施工 新菱・初芝・共栄建設工事共同 企業体 衛生施工 精研・美和建設工事共同企業体 電気施工 中電工・旭日・有吉建設工事共 同企業体 舞台機構 三晃工業㈱ 舞台音響 日本ビクター㈱ 舞台照明 ㈱サンエレック 昇 降 機 日本エレベーター製造㈱
1.はじめに
本物件は,堺市と旧美原町が合併したことを受け,老 朽化した美原区役所(旧町役場)と美原公民館を併合し, 庁舎,生涯学習施設,文化ホールの複合施設として計画 された。堺(海:泉州)と美原(山:南河内)の豊かな歴史 と文化が融合する,文化交流の場として平成21年11月に オープンした。 文化ホール(541席)と,併設するリハーサル室,音楽 室(2室)は,騒音基準NC-25のほか,各室間の遮音性 能を求められている。 空調設備は,公共施設として省エネルギーを設計コン セプトとしている。ホール,エントランスホールなどの 大空間では居住域空調により,快適性,立ち上がり時間 の短縮,省エネルギーをはかっている。また,熱源設備 に空気熱源氷蓄熱スクリューヒートポンプを採用し,ラ ンニングコストの低減に努めているほか,随所に省エネ ルギーの手法を採用している。(写真-1・2・3)2.建築概要
建物名称 美原複合シビック施設 所 在 地 大阪府堺市美原区黒山 施設用途 庁舎,生涯学習施設,文化ホール 構 造 RC,一部SRC造 階 数 地下1階,地上6階 建築面積 4,398㎡ 延床面積 9,446㎡ ■キーワード/複合施設・省エネルギー・氷蓄熱・吹出口 新菱冷熱工業㈱ 大阪支社 技術3部 技術1課松 尾 誠 志
「美原(みはら)複合シビック施設」の
空調導入事例
写真-1 全景写真 写真-2 ホール客席 写真-3 リハーサル室内部吸収式冷温水発生器→スクリューヒートポンプの順に運 転する。氷蓄熱槽内部のコイル表面に蓄氷し,水槽内部 の水温を0℃になるまで蓄熱する。(写真-5) 夜間(22:00 〜 8:00) 製氷運転 昼間(8:00 〜 22:00) 1.スクリューヒートポンプ(解氷運転) 2.吸収式冷温水発生器 3.スクリューヒートポンプ(空気熱源) 写真-4 スクリューヒートポンプ CHH 2 EXT CT 1 EV 1 CHH 1 CHP 5 CHP 4 HEX 1 R 1 R 2 CDP 2 CDP 1 CHP 2 CHP 1 CHP3 CHP 6 HEX2 EXT 2 1 庁舎系統 生涯学習・多目的ホール系統 庁舎系統 生涯学習・多目的ホール系統 F F BFV-1 BFV-4 BFV-5 BFV-3 BFV-2 F HEX−1 RG RL CH CH CH CHR CHR CHR CHR CH RG RL CHR CH CH CH TEW1 TEW1
TEW2 TEW2 TEW2
TEW1 TEW1 TEW1 TEW1 TEW1 TC1 TEW1 TEW1 ピーク負荷 冷房 290RT 暖房 210RT バイパス弁 (16℃/42℃) (18℃/38℃) (7℃/50℃) (12℃/45℃) バキュームブレーカ (32.0℃) 氷蓄熱槽 (590USRT・h) 氷蓄熱 208kW×10h 中温水 229kW×5.5h (4℃/31.2℃)
TEW2 TEW2 TEW2 (32.0℃) (37.5℃) スクリューヒートポンプ (80USRT) 冷房 0∼4℃ 暖房 15∼35℃ (9℃/37℃) (7℃/50℃) (12℃/45℃) 床暖房設備 共用系統 共用系統 (37.5℃) 解氷/中温水蓄熱 解氷/中温水蓄熱 吸収式冷温水発生器 (150USRT) CDR CD CHR E CH 自動エアー抜き 図-1 熱源まわりフロー
3-2-2 冬期 夜間電力で,氷蓄熱槽に中温水(35℃)を蓄熱し,昼間 は,スクリューヒートポンプ(中温水熱源)→吸収式冷温 水発生器→スクリューヒートポンプ(空気熱源)の順で運 転する。 夜間(22:00 〜 8:00) 中温水蓄熱運転 昼間(8:00 〜 22:00) 1.スクリューヒートポンプ(中温水運転) 2.吸収式冷温水発生器 3.スクリューヒートポンプ(空気熱源)
4.空調設備
4-1 空調設備概要 ホールは,空調機による単一ダクト方式。椅子下から の吹き出しにより,居住域空調と立ち上がり時間の短縮 をはかっている。幕揺れ対策として,吸込口を舞台前面 と後面の切り替えとしている。客席前面には,冷気対策 として電気式床暖房(三菱電線)を採用している(写真- 6)。2層吹き抜けのホワイエも,床吹き出しによる居 住域空調とし,省エネルギー化をはかっている。 5階まで吹き抜けのエントランスホールには,床冷暖 房システム(インターセントラル)を採用している(写真 -7)。埋設冷温水配管で床面の冷暖房を行うと同時に, 床吹出口より空調することにより,吹き抜け空間の快適 性を追求している。また,吹き抜け上部の自然換気窓を, 室内外の温度差により自動で開閉させ,有効に自然換気 できるようにしている。(図-2)(写真-8) 生涯学習施設は,使用時間帯が異なるので各階各ゾー ンに空調機を設置。楽屋など使用状況が著しく異なる ゾーンは,パッケージエアコン+全熱交換型換気扇。庁 舎は,外調機+ファンコイルとしている。 写真-5 氷蓄熱槽内部(コイル表面に蓄氷) 写真-7 風の広場 冷暖房システム(施工中,床コンクリート打設前) 写真-6 電気式床暖房(客席前部)(施工中,床コンクリート打設前) 消火水槽へ 自然換気窓 自動で開閉 室内外の温度差により開閉し, 効果的に自然換気を行う 降雨時, 強風時, 閉館時は強制閉 吹き抜け上部(約30m)6階 ガラリより吸い込み エントランスホール 風の広場 床吹出口 床面を冷暖房 (1階床) 緊急 排水 RA OA ACC−2 SA CHP−6 16℃/42℃ 8℃/50℃ 15℃/40℃CHR CH 地下1階熱源機械室 地下1階受水槽消火ポンプ室 HEX−2 18℃/38℃CHR CH 図-2 風の広場 床冷暖房システム 簡易フロー図当建物は,平成21年11月3日に無事オープンしました。 庁舎機能だけでなく,生涯学習施設として,連日夜10時 までさまざまな方が集い,美原区民の文化交流の場とし て,地域に根付きつつあります。 施工にあたっては,施主,設計事務所,関係各位の皆 さまのご協力をいただいたことを,厚く御礼申しあげま す。 4-2 ホールの温度分布の検証 541席中225席の椅子下に均一に配置した吹出口から給 気し,客席後方上部および舞台前部から吸い込む配置に なっていたが,構造躯体の形状の問題で,後ろ3列に吹 出口を設置することができなかった(図-3)。このため, 客席後方に空気溜まりができてしまい,空調の効きが悪 くなることが懸念されたため,温度気流シミュレーショ ンを実施したが同様の結果が出た。客席後部壁面に吸込 口,後部天井面に吹出口を配置し,再度シミュレーショ ンを実施した。その結果,客席後部の空気溜まりが解消 され,良好な結果を得られた。この改善策で施工した結 果,実際の試運転でも良好な結果を得ることができた。 対策前後のモデルとシミュレーション結果を図-4に示 す。 4-3 椅子下吹出器具の気流検証 椅子下からの吹き出しであるため,気流によりドラフ トを感じ,観客に不快感を与える恐れがある。このため, モックアップを製作し気流実験を行った。 器具は,空研の床吹出器具SKF-E型で,設計風量は 80㎥ /h(写真-9)。既製品は気流が後方に出るように, 写真-8 風の広場吹き抜け上部(最上部に自然換気窓) 写真-9 椅子下吹出口器具
客席天井 RA 客席天井 SA フライギャラリー 舞台 RA 30m 27m 30m 19m 30m 27m 舞台 SA 舞台床 RA 舞台側面 RA 舞台側面 RA 人体 客席床 SA フライギャラリー 舞台 RA 舞台 SA 客席床 SA 温度 (℃) 風速 (m/s) 温度 (℃) 客席 545 席 舞台 客席 545 席 舞台 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 0.0 0..1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.91 .0 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 空気溜り 計算モデル全体 モデル平面 温度分布(B 断面) 風速分布(B 断面) 温度分布(B 断面) 客席床吹出口 モデル平面 計算モデル断面 計算モデル全体 対策後 対策前 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 0.00 .1 0.20 .3 0.40 .5 0.60 .7 0.80 .9 1.0 図-4 シミュレーション結果
80 70 (dB) パンチング遮へい型 SKF−E 350×200 φ150 N C曲 線 60 NC65 NC60 NC55 NC50 NC45 NC40 NC35 NC30 NC25 NC20 NC15 50 40 30 20 10 63 125 250 500 1,000 2,000 4,000 8,000 音圧レベル オクターブバンド中心周波数 (Hz) 70 (dB) 全面パンチング型 SKF−E 350×200 φ150 N C曲 線 60 NC65 NC60 NC55 NC50 NC45 NC40 NC35 NC30 NC25 NC20 NC15 50 40 30 20 10 63 125 250 500 1,000 2,000 4,000 8,000 音圧レベル オクターブバンド中心周波数 (Hz) 80 上段が温 度, 下段が風速となる。 上段が温度 ,下 段が風速となる。 【風速・温度分布】 パンチング遮へい型 A 断面 冷房時吹出温度 20℃ 風 量:80m 3/h 吹出温度:20.2℃ 室内温度:26.4℃ 【風速・温度分布】 全面パンチング 型A 断面 冷房時吹出温度 20℃ 風 量:80m 3/h 吹出温度:20.0℃ 室内温度:25.9℃ 24.5 24.7 0.07 0.04 24.1 24.5 0.04 0.05 23.7 24.1 0.04 23.2 0.01 23.4 0.04 24.4 0.05 24.8 0 24.8 0.05 24.3 0.06 25.4 0.12 24.6 0.05 24.7 0.62 25.5 0.08 25.3 0.04 25.3 0.06 24.1 0.05 23.4 0.11 22.5 0.12 20.8 0.17 24.1 0.01 24.3 0.01 23.5 0 24.3 0 24.7 0 24.9 0 26.7 0 27.1 0 24.1 0.03 25.1 0.03 25.1 0.03 25.5 0.01 24.3 0.01 25.8 0.01 26 0.01 25 0.01 20.5 0.17 23.4 0.22 22.5 0.2 20.8 0.2 20.5 0.2 21.4 0.25 20.7 0.21 23.7 0.08 25.2 0.05 25.5 0.09 24.6 0.32 25.2 0.09 24.3 0.49 24.7 0.32 25.1 0.18 25.4 0.21 26 0.17 25 0.09 0.03 SA SA 63 80 風量 (m 3/h) 125 250 500 1,000 2,000 4,000 8,000 A スケール dB(A) 17.3 22.4 15 16.6 18.5 10.8 10 未満 10 未満 20.8 《設定室内条件》 1. 室内全表面積 2. 平均吸音率 3. 音源と受音点との距離 4. 指向性係数 5. 室定数 S=200m 2 α=0.2 γ=1.5m Q=2 R=50m 2 63 80 風量 (m 3/h) 125 250 500 1,00 02 ,000 4,000 8,000 A スケール dB(A) 10 未満 10 未満 10 未満 10 未満 10 未満 10 未満 10 未満 10 未満 15 未満 《設定室内条件》 1. 室内全表面積 2. 平均吸音率 3. 音源と受音点との距離 4. 指向性計数 5. 室定数 S=200m 2 α=0.2 γ=1.5m Q=2 R=50m 2 周波数レンジ (Hz) 周波数レンジ (Hz) 対策後 対策前 図-5 椅子の実験結果