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植物の抽だい抑制化合物に関する生物有機化学的研究

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2018 年 2 月 8 日

植物の抽だい抑制化合物に関する生物有機化学的研究

応用生物科学専攻 生命分子化学講座 生物有機化学 荻原毅

1. 研究背景・目的

ダイコン(Raphanus sativus)などの冬型一年草の多くは,冬季の低温条件と春季の 長日条件により花芽を誘導する。この生物現象は抽だいと呼称されている。春蒔きのダ イコン,ニンジン(Daucus carota)等は栄養成長期間中に抽だいが生じると食用とな らない。これを抑制する技術は高品位の作物生産を実現するために重要である。ダイコ ン 葉 か ら 単 離 さ れ た (2S)-2,3-dihydroxypropyl (7Z,10Z,13Z)-hexadeca-7,10,13- trienoate (1)は,抽だい抑制活性を持つことが報告されている。しかし,その詳細 な作用機構は明らかとされていない。そこで,抽だいへの関与が報告されているジベレ リン (GA) とジャスモン酸 (JA) に対する化合物1の生理作用を検証した。実験植物 にシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を用い,植物ホルモンの内生量変化,合成・

代謝関連遺伝子及び誘導遺伝子の発現量変化を測定し,化合物1の抽だい抑制能に関し て検討を加えた。

2. 方法

化合物1を処理した播種後 5 日間経過したシロイヌナズナの芽生えを用意し,内生量 測定用のサンプルは前精製を経た後に UPLC-MS/MS を用いて分析を行った。遺伝子発現 解析用のサンプルは全 mRNA を抽出した後に cDNA を合成し,qRT-PCR 解析に供した。

3. 結果と考察

化合物1によって GA 合成・代謝関連遺伝子の中でも,GA の不活化酵素をコードする 遺伝子の発現量が約 3 倍上昇していることが示された。続いて GA の類縁体の内生量分 析を行ったところ,GA 合成・代謝経路において更に上流に位置する酵素が関与してい ることが考えられた。それら酵素の遺伝子発現解析を行ったところ当該の遺伝子の発現 量が減少しており,GA 生合成量そのものに関与していることが示された。また,JA シ グナル伝達経路において,JA 応答に関与する遺伝子PDF1.2 の化合物1による発現解析 を行ったところ, 有意な差は見られず,JA 類の内生量も同様に有意な差は見られなか った。

4. まとめ

化合物 1は JA に関わる経路を介することなく,GA 生合成の上流に位置する酵素を 抑制すると同時に不活化酵素を活性化し,活性型 GA を減らすことで,抽だいを抑制し ていることが示唆された。

参照

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