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3. 考察 3.1 本薬の使用範囲を投与前の血糖値で規定する必要性について 糖尿病の重症度について 2 型糖尿病において, 血糖コントロール指標が悪化している ( 例えば HbA 1C が高値 ), 罹病期間が長い, すでに血糖降下剤による治療が開始されている場合などは, そうでない患者

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(1)

3. 考察

3.1 本薬の使用範囲を投与前の血糖値で規定する必要性について

3.1.1 糖尿病の重症度について

2

型糖尿病において,血糖コントロール指標が悪化している(例えば

HbA

1C が高値),罹病 期間が長い,すでに血糖降下剤による治療が開始されている場合などは,そうでない患者に比 較して一般に重症であると考えられる。また,空腹時インスリン値が高い場合はインスリン抵 抗性の程度が高いと考えられる。しかしながら,これらのうち

1

つの要素から糖尿病重症度を 一概に判断することはできず,患者によってこれらがどのように組み合わさっているかが複雑 に関係する。例えば,薬物未治療例において,しばしば血糖コントロール状況がかなり悪化し ている例が見受けられるが,このような患者は薬物治療を開始することで速やかに良好な血糖 コントロールが得られる。すなわち,糖尿病の病期を血糖値から一概に断定することは困難で ある。一般的な

2

型糖尿病の自然歴を考えた場合は,食後血糖のみが高く,空腹時血糖や

HbA

1C が高くない患者は早期の患者であると考えられるが,薬物未治療の早期の患者であって も暴飲暴食(特に清涼飲料水の多飲など)によって糖尿病が一時的に悪化して,HbA1C

10%

以上の患者も存在する。このような患者は,食事療法及び運動療法の徹底や短期間のインスリ ン治療で糖毒性を解除して,その後に本薬のような短時間作用型のインスリン分泌促進薬を使 用することで,血糖コントロールが良好に維持される場合がある。すなわち,同じ

HbA

1C

10%

以上の高値であっても,薬物未治療の患者と,SU 剤のような強力な血糖降下剤を長期間使用 していているにもかかわらず,HbA1C

10%以上を呈している患者の薬剤反応は全く異なると

考えられる。

これらのことより,薬剤の選択を考える上で糖尿病の病期を最もよく表しているのは,図ト

- 55に示すように,その患者の血糖コントロール(少なくとも糖尿病治療ガイドでコントロー

ル「可」とされる

HbA

1C

8%未満)に必要な治療が何であるかが重要であると考える。すなわ

ち,適切な血糖コントロールのために,「食事・運動療法のみで血糖コントロールが可能なの か,薬物治療が必要なのか」,「どのような種類・強さの薬物が必要なのか」,「単剤でよいのか,

併用が必要なのか」,「用量は通常用量なのか,最大用量が必要なのか」といった観点で,糖尿 病患者の病期が分類される。

糖尿病の病期 糖尿病の病期 糖尿病の病期 糖尿病の病期 食事療法

食事療法 食事療法 食事療法 運動療法 運動療法 運動療法 運動療法

単剤治療 単剤治療単剤治療 単剤治療

SD

単剤治療 単剤治療単剤治療 単剤治療

MD

併用療法 併用療法 併用療法 併用療法 SD + MD

併用療法 併用療法 併用療法 併用療法 MD + MD

インスリン インスリン インスリン インスリン

治療 治療 治療 治療 又は又は

又は又は 併用療法併用療法併用療法併用療法 SD + SD

SD : Sub maximal dosage of OHA MD : Maximal dosage of OHA

図ト - 55 糖尿病の病期と治療の変遷 早期

早期早期

早期 後期後期後期後期

(2)

3.1.2 空腹時血糖の高い患者に対する本薬の使用について

ボグリボースを対照とした本薬の第

III

相検証試験において,投与前空腹時血糖値による層 別解析を実施している。その結果,投与開始時空腹時血糖値

170 mg/dL

以上の空腹時血糖値の 高い患者群においても,食後過血糖の改善効果は空腹時血糖値が低い層と同様に得られている

(図ト

- 56

)。

120 160 200 240 280 320 360

~140 mg/dL (n=12)

140~170 mg/dL (n=36)

170mg/dL~

(n=44) 投与開始時の空腹時血糖値

食後血糖2時間値(mg/dL)

0週 最終

図ト

- 56

食後血糖

2

時間値の投与前後の変化(投与開始時の空腹時血糖値別)

この時の空腹時血糖値の推移は図ト

- 57

に示した通りであり,本薬の空腹時血糖低下作用は 投与前の空腹時血糖が高いほど強い結果になっている。すなわち,投与前の空腹時血糖値が低 い患者では空腹時血糖値にはあまり影響を与えず,投与前の空腹時血糖値が高い患者の空腹時 血糖値は下げるという成績が得られている。また,個々の症例についても,表ト

- 214

に示す ように,空腹時血糖の高い患者においても良好な血糖コントロールが得られている。

本薬は食後の初期インスリン分泌を速やかに促進し,従来の

SU

剤が作用する基礎インスリ ン分泌に対する作用は認められないことから,空腹時血糖値を下げる機序としては,食後過血 糖の抑制により糖代謝が改善され,糖毒性が軽減されることが考えられる。

(3)

-30 -20 -10 0 10 20 30

FPG変化量(mg/dL

~140mg/dL (n=14)

140~

170mg/dL (n=41) 170mg/dL~

(n=45)

0週 4週 8週 12週 最終評価時 評価時期

平均値+SD 1標本t検定

*:p<0.05

投与開始時の 空腹時血糖

*

*

*

*

* *

図ト - 57 空腹時血糖値変化量の推移(投与開始時の空腹時血糖値別)

表ト

- 214

III

相検証試験(

KAD-320

)で空腹時血糖値の低下が大きかった症例

空腹時血糖値 HbA1C

薬剤番号 薬物治療歴

有無 開始前 最終時 変化量 開始前 最終時

なし 180 133 47 8.3 7.5

あり 181 145 36 6.9 5.7

なし 179 129 50 7.1 5.4

なし 193 158 35 7.2 7.0

なし 188 155 33 7.4 6.0

なし 168 129 39 7.4 6.1

なし 163 130 33 6.6 6.0

なし 191 134 57 7.8 6.7

なし 196 128 68 8.1 6.0

D12 なし 169 139 30 8.0 7.3

※本薬群において空腹時血糖値低下量30 mg/dL以上かつ最終時の空腹時血糖値160 mg/dL未満かつ最 終時のHbA1C 8%未満の症例を抽出

以上より,空腹時血糖値の高い患者においても食後過血糖の改善は確認されており,さらに 空腹時血糖値の改善も認められていることから,食後過血糖を呈する早期の患者においては,

空腹時血糖値が高い患者でも本薬を使用する意義はあるものと考えている。

III

相検証試験における投与開始前の空腹時血糖値が

170 mg/dL

以上の患者群は,

SD

が大 きく,本薬によって空腹時血糖値が改善しない例も含まれていることから,これら改善がみら れない患者群を明確にするために,最終観察時の

FPG

変化量を便宜的に,以下の

3

段階に分 類して,背景因子別の検討を行った(表ト

- 215

)。

(4)

1)

効果++(投与前より

20 mg/dL

以上の低下)

2)

効果+(投与前より

20 mg/dL

未満の低下)

3)

悪化(投与前より上昇)

その結果,空腹時血糖の低下した患者の割合は,「効果++」で

37.8%及び「効果+」で 26.7%

であり,64.5%の症例で空腹時血糖値の改善が認められた。また,本試験の対象患者は約

80%

が血糖降下剤の未治療例であり,さらに治験前の近い時期に

SU

剤の前治療歴を持つ症例は対 象より除外したことから,これらの症例の多くは膵β細胞の機能が比較的保持され,血糖降下 剤が奏効しやすい糖尿病治療歴が早期の患者群であり,このような患者は空腹時血糖が高値で あっても本薬投与により改善が得られたと考えられる。しかしその一方で,一部の症例で空腹 時血糖値の悪化が認められたことから,その背景について検討したが,いずれにおいても背景 因子との明確な関連は認められず,本薬投与後に空腹時血糖値が悪化する患者を,背景因子か ら事前に特定することはできなかった。なお,空腹時血糖は来院直前の患者の生活によって大 きく影響されることから,最終的な血糖コントロールは

HbA

1Cで評価することが適切と考えら れる。本試験においても空腹時血糖の悪化がみられた患者の多くは

HbA

1Cの悪化は認められな かったことから,空腹時血糖の悪化は患者の一時的な血糖コントロールの不良に基づく可能性 も高いと考えられ,このことからも臨床現場における本薬の投与対象とすべき患者を,空腹時 血糖のみから明確にすることは困難であると考えられた。

表ト

- 215 KAD-320

試験の投与開始前空腹時血糖値

170 mg/dL

以上の層におけ

る空腹時血糖値改善の効果判定と背景因子別の集計

被験者背景 効果++ 効果+ 悪化

全例 17(37.8%) 12(26.7%) 16(35.6%) 45 男性 1751.5% 824.2% 824.2% 33 性別 女性 0(0.0%) 4(33.3%) 8(66.7%) 12 65歳未満 1233.3% 1233.3% 1233.3% 36 年齢 65歳以上 555.6% 00.0% 444.4% 9

なし 13(36.1%) 11(30.6%) 12(33.3%) 36 薬物

治療歴 あり 444.4% 111.1% 444.4% 9 5年未満 741.2% 317.6% 741.2% 17 5年~10年未満 333.3% 444.4% 222.2% 9 罹病

期間 10年以上 6(33.3%) 5(27.8%) 7(38.9%) 18 25 kg/m2未満 1038.5% 623.1% 1038.5% 26 BMI 25 kg/m2以上 736.8% 631.6% 631.6% 19 7%未満 1(14.3%) 4(57.1%) 2(28.6%) 7 7%~8%未満 7(43.8%) 4(25.0%) 5(31.3%) 16 8%9%未満 327.3% 327.3% 545.5% 11 開始時

HbA1C

9%以上 6(54.5%) 1(9.1%) 4(36.4%) 11 230 mg/dL未満 1(7.7%) 4(30.8%) 8(61.5%) 13

230 mg/dL~260 mg/dL未満 550.0% 330.0% 220.0% 10 開始時

PPG 2hr

(5)

以上より,罹病期間が長く,かつ

SU

剤を長期間使用したような患者では本薬の効果は期待 しにくいと考えられるが,糖尿病治療歴が早期の患者,具体的には,「薬物治療を開始する患 者」又は「食後血糖改善剤のみで治療しているような患者」においては,空腹時血糖値が高い 症例でも本薬の効果は十分に期待できると考えられ,SU 剤の前に本薬の使用を試みる価値が あると思われる。SU 剤は空腹時血糖の低下作用は大きいものの,食後過血糖を抑制する効果 は期待しにくいことから,食後過血糖の改善が不十分な場合に増量すると,空腹時又は食前の 低血糖が生ずる危険性がある。

近年,2 型糖尿病患者が若年化し,患者の平均余命が延長している状況で,経口血糖降下剤 の効果を長期間保持して,インスリン注射に移行させないためには,糖尿病治療歴が早期の段 階から空腹時血糖値の低下だけに目を向けて

SU

剤を安易に使用することなく,短時間作用型 のインスリン分泌促進薬を適切に使い分けて,SU 剤のような膵 β 細胞へ大きな負荷をかける 薬剤の使用開始を可能な限り遅らせることが今後は必要であると考えられる。

これらことから,本薬で血糖コントロールが十分に可能な患者は,空腹時血糖値が高くても 最初から

SU

剤を使用せず,膵β 細胞への負荷が小さく,インスリン分泌を生理的な状態に近 づける,本薬のような短時間作用型のインスリン分泌促進薬を使用することが今後の新しい

2

型糖尿病の薬物治療であると考えられる。

3.1.3 HbA

1Cの高値の患者に対する本薬の使用について

HbA

1C

1%

でも低下させることが,糖尿病性細小血管合併症(網膜症,腎症,神経障害)

のリスクを下げるために有用であることは,

DCCT, UKPDS, Kumamoto Study

という大規模臨床 試験によって,東西を問わず認知されている5)8)。さらに,

British Medical Journal

に掲載され た

UKPDS

の解析(

UKPDS 35

9))においても,

HbA

1Cの高低にかかわらず

HbA

1C

1%

低下す ることで,細小血管合併症の発症(網膜症,腎症,神経障害)を

37%,

心筋梗塞発症を

14%

減 少し,糖尿病に関連した死亡も

21%

減少することが報告されている。これらのことより,糖尿 病治療の目標である合併症リスクの低下という観点で見た場合,

HbA

1C の高い患者においても,

HbA

1C

1%

低下することは臨床的に意義があると考えられる。

HbA

1Cの高値の患者に対する本薬の有効性を明らかにするために,

KAD-311

試験(添付資料 ト

-17

)において,本薬の有効例と無効例を分類し,背景因子別に集計を行った。有効性に関 しては,投与

28

週時における

HbA

1C変化量(∆=投与

28

週後-投与開始時)を便宜的に効果

++

(∆≦-

1.0%

),効果

+

(-

0.9%

≦∆≦-

0.3%

),不変(-

0.2%

≦∆≦

0.2%

),悪化(

0.3%

∆)の

4

段階に分類した。

その結果,「悪化」の症例についてはいずれの背景因子においてもほぼ同様であり(表ト

- 216

),本薬が明らかに無効と考えられる背景因子は見出せなかった。一方,有効であった症例 については,投与前値が高いほど

HbA

1Cの低下量は大きく,

28

週時における

HbA

1C変化量の 分布を投与開始時の

HbA

1C別に集計すると,投与開始時

HbA

1C

9%

以上の症例の変化量は,

2.0%

以上が

37.7%

であり,-

1.0%

以上では

75.4%

であることから(表ト

- 217

),

HbA

1Cが高 い症例においても,本薬の治療効果は得られており,臨床的意義は十分にあると考えられた。

(6)

表ト - 216 長期投与試験における効果判定と背景因子別の集計

被験者背景 効果++ 効果+ 不変 悪化

全例 11837.0% 13442.0% 4112.9% 268.2% 319*

男性 71(33.5%) 94(44.3%) 29(13.7%) 18(8.5%) 212 性別 女性 4743.9% 4037.4% 1211.2% 87.5% 107 65歳未満 9138.9% 9440.2% 3213.7% 177.3% 234 年齢 65歳以上 27(31.8%) 40(47.1%) 9(10.6%) 9(10.6%) 85 なし 5538.5% 6042.0% 2114.7% 74.9% 143 薬物

治療歴 あり 6335.8% 7442.1% 2011.4% 1910.8% 176 5年未満 45(36.9%) 48(39.3%) 18(14.8%) 11(9.0%) 122 5年~10年未満 4437.9% 5547.4% 119.5% 65.2% 116 罹病

期間 10年以上 2936.3% 3138.8% 1113.8% 911.3% 80 25 kg/m2未満 77(36.5%) 92(43.6%) 28(13.3%) 14(6.6%) 211 BMI 25 kg/m2以上 41(38.3%) 42(39.3%) 13(12.2%) 11(10.3%) 107 7%未満 1116.9% 4366.2% 710.8% 46.2% 65 7%8%未満 2922.0% 6750.8% 2518.9% 118.3% 132 8%~9%未満 32(52.5%) 14(23.0%) 7(11.5%) 8(13.1%) 61 開始時

HbA1C

9%以上 4675.4% 1016.4% 23.3% 34.9% 61 140 mg/dL未満 1537.5% 1640.0% 512.5% 410.0% 40

140 mg/dL170 mg/dL未満 27(23.7%) 63(55.3%) 18(15.8%) 6(5.3%) 114

開始時

FPG 170 mg/dL以上 74(46.3%) 53(33.1%) 17(10.6%) 16(10.0%) 160 5 µU/mL未満 5940.4% 6343.2% 1510.3% 96.2% 146

5 µU/mL~15 µU/mL未満 45(32.1%) 62(44.3%) 20(14.3%) 13(9.3%) 140

開始時

IRI 15 µU/mL以上 12(44.4%) 6(22.2%) 5(18.5%) 4(14.8%) 27

*:投与開始時及び28週時のHbA1Cが評価可能な症例数

表ト - 217 長期投与試験における投与開始時

HbA

1C別の

HbA

1C変化量の分布 HbA1C変化量

投与開始時

HbA1C 例数*

2.0%以上 1.9~-1.0% 0.9±0.0% +0.1%以上 7%未満 65 0(0.0%) 11(16.9%) 49(75.4%) 5(7.7%)

7%以上8%未満 132 0(0.0%) 29(22.0%) 86(65.2%) 17(12.9%)

8%以上9%未満 61 58.2% 2744.3% 1829.5% 1118.0% 9%以上 61 2337.7% 2337.7% 1219.7% 34.9%

*:投与開始時及び28週時のHbA1Cが評価可能な症例数

HbA

1Cの前値が高値の患者に対する薬物治療については,患者の背景を考慮して適切な薬剤 を選択する必要があり,最初は食事療法と運動療法を徹底し,治療歴が早期である薬物未治療 例であれば,本薬のような食後過血糖を改善して糖毒性を改善することで血糖コントロール可 能な場合もあり,その後に

SU

剤の治療,さらには併用など,適切な治療法を選択することが 必要と考える。換言すれば,高血糖を呈する患者の背景を考慮せずに,最初から

SU

剤を安易 に使用することは低血糖症状を招く可能性があることから,

SU

剤の功罪を考慮して治療法を 選択する必要があり,最初から

SU

剤を使用せず,膵 β細胞への負荷が小さく,インスリン分 泌を生理的な状態に近づける,本薬のような短時間作用型のインスリン分泌促進薬を使用して

(7)

3.1.4 糖尿病の重症度で本剤の使用範囲を規定する必要性について

これらの検討より,空腹時血糖値又は

HbA

1C値を用いて,投与前に本薬の投与対象を規定す ることは一般には困難と考えられ,本薬投与の是非に関しては,糖尿病の治療歴,罹病期間な ど患者の背景情報を主治医が十分に考慮して,適格性を判断することが必要であると考える。

以上より,添付文書中の重要な基本的注意事項に以下のように規定し,無効例に本薬を漫然 と投与しないことで,適正な患者にのみ本薬の投与が継続されるように注意喚起を行うことと する。

添付文書(案)「重要な基本的注意」より抜粋

(2)

本剤投与中は,血糖を定期的に検査するとともに,経過を十分に観察し,本剤を

2

3

ヵ 月投与しても効果が不十分な場合には,より適切と考えられる治療への変更を考慮する こと。

(3)

投与の継続中に,投与の必要がなくなる場合や,減量する必要がある場合があり,また 患者の不養生,感染症の合併等により効果がなくなったり,不十分となる場合があるの で,食事摂取量,血糖値,感染症の有無等に留意のうえ,常に投与継続の可否,投与量,

薬剤の選択等に注意すること。

(8)

3.2

増量について

本薬の長期投与試験(添付資料ト

-17,

治験実施計画書番号

KAD-311

)は,臨床推奨用量で

ある

1

10 mg

を初回投与量として,血糖コントロールが安定する投与

12

週後時点の

HbA

1C

を評価して,

HbA

1Cが目標値に到達せず,かつ安全性に問題がない場合は,

1

20 mg

に増量 して投与を継続することとした。本試験のデザインは,糖尿病患者の血糖値と低血糖を観察し ながら,血糖降下剤を漸増して使用するという,糖尿病治療の基本原則に基づいて計画された。

本薬の

1

20 mg

への増量の臨床的意義をより明確にするために,長期投与試験の

20 mg

への

増量例について再解析を行った。

3.2.1 増量時の有効性について

治験薬投与前の

HbA

1C

8%未満と 8%以上の 2

つに区分し,16週時の

HbA

1Cの変化量から

「改善」,「不変」,「悪化」を表ト - 218のように定義し,さらに

28

週時の効果から

Responder,

Non-responder

を表ト - 219のように定義して解析を行った。

表ト - 218

16

週時の効果判定の定義

16週時の効果判定 定義

8%未満 投与開始前からのHbA1Cの変化量が0.5%以上低下した症例 改善

8%以上 投与開始前からのHbA1Cの変化量が1.0%以上低下した症例 不変 改善でも悪化でもない場合

悪化 投与開始前のHbA1C値より上昇した場合

表ト - 219

28

週時での効果判定の定義

28週時の効果判定 定義

8%未満 投与開始前からのHbA1Cの変化量が0.5%以上低下した症例 Responder

8%以上 投与開始前からのHbA1Cの変化量が1.0%以上低下した症例 Non-responder 上記Responder以外の症例

上記の定義にしたがって分類すると増量例は,表ト - 220に示すように

10

グループに分類さ れた。なお,16週時には改善を認めていたが,28週時点では

Non-responder

であった症例(改 善-Non-responder 群)が,投与前

HbA

1C

8%未満の層で 1

例(症例番号 ,16 週時:

-0.9,28 週時:-0.1),投与前

HbA

1C

8%以上の層で 1

例(症例番号 ,16 週時:

-1.0,28 週時:-0.2)に認められたが,このような推移を示した症例はこの

2

症例のみであ り,最終的に

Non-responder

であることから,不変-Non-responder群(グループ

4

または

9)

に組入れて集計した。

(9)

表ト - 220 増量例の分類,並びに症例数

投与前HbA1C グループ 症例数 投与16週後

(増量前)

投与28週後

(増量12週後)

1 3 改善 2 13 不変 3 4 悪化

Responder

4 10 不変

8%未満

5 14 悪化 Non-responder

6 25 改善 7 16 不変

8 4 悪化

Responder

9 16 不変

8%以上

10 17 悪化 Non-responder

また,グループごとの平均値の推移を投与前の

HbA

1C別に図ト

- 58

8%

未満)及び図ト

- 59

8%

以上)に示した。なお,比較検討のため,参考として増量が必要なかった症例(

10 mg

維持群)についても合わせて推移を示した。

以上の再解析の結果,投与前の

HbA

1C値が

8%

未満,

8%

以上にかかわらず,以下のことが認 められている。

1) 16

週時が「改善」の症例(

Responder

:グループ

1

6

16

週時が「改善」であった症例は

10 mg

で効果が認められた症例であり,

16

週までの

HbA

1C

の低下は

10 mg

維持群と類似しているが,

20 mg

に増量することで,さらなる効果が得られた

症例である。すなわち,

10 mg

維持群の

HbA

1Cの低下は,

16

週以降は緩やかな推移に移行した のに対して,

16

週時が「改善」であった症例においては,増量によって

HbA

1Cのさらなる低下 が認められた。

2) 16

週時が「不変」の症例(

Responder

:グループ

2

7 Non-responder

:グループ

4

9

16

週時が「不変」であった症例に関しては,

20 mg

に増量することで増量効果を認める

Responder

と,増量効果を認めない

Non-responder

が,ほぼ

1

1

の割合で認められている。

16

週時までの

HbA

1Cの変化量の推移では,

Responder

Non-responder

も同様な推移を示している

が,

Responder

では増量により

HbA

1Cのさらなる低下が認められている。

3) 16

週時が「悪化」の症例(

Responder

:グループ

3

8 Non-responder

:グループ

5

10

16

週時が「悪化」であった症例に関しては,

20 mg

に増量することで増量効果を認める

Responder

が少数例ではあるが存在しているが,約

80%

の症例においては,増量しても改善効

果は認められなかった。

以上より,本薬の臨床推奨用量である

10 mg

から投与を開始し,必要に応じて

20 mg

に漸増 した本試験において,グループ

1

及び

6

の症例では,

10 mg

において効果が認められ,

20 mg

に増量することで,

HbA

1Cの更なる低下が認められた。特に,投与前

HbA

1C

8%

以上の患者

25

例においては,投与開始

16

週時の

HbA

1Cの変化量(平均値)は-

1.58%

であったが,

20 mg

(10)

に増量後の投与開始

28

週時には-2.50%まで低下していた。一方,グループ

2, 3, 7

及び

8

の症

例では

10 mg

では効果が認められず,20 mgに増量することで増量効果が得られた。これら増

量前には効果が認められなかった症例においても,投与前

HbA

1C

8%未満では 41.5%(17

/41 例),8%以上では

37.7%(20

例/53 例)の症例で増量効果が認められたことは,糖尿病 患者の血糖値を観察しながら使用する糖尿病治療薬の基本原則から考えて,本薬の

20 mg

への 増量は糖尿病治療において意義はあるものと考えられる。

糖尿病治療においては早期から厳格な血糖管理が必要であることが,近年の大規模臨床試験 結果などから提唱されているが,従来の

SU

剤では,早期の患者において低血糖を誘発せずに 厳格な血糖管理を行うことは容易ではない。今回の解析では,投与前値が

8%以上の高い層の

みではなく,8%未満の低い層においても増量効果が認められていることから,投与前値が

HbA

1C

8%未満の患者においても,10 mg

では効果不十分な患者においては,安全性を確認し

ながら

20 mg

に増量することによって,低血糖症状を発現せずに血糖値を治療目標に近づける

ことから,本薬の増量意義は大きいものと考えられる。

(11)

- 1 .5 - 1 .5 - 1 .5 - 1 .5 - 1 .0 - 1 .0 - 1 .0 - 1 .0 - 0 .5 - 0 .5 - 0 .5 - 0 .5 0 .00 .0 0 .00 .0 0 .5 0 .5 0 .5 0 .5 1 .0 1 .0 1 .0 1 .0

0 00

0 4444 8888 1 21 21 21 2 W e e kW e e kW e e kW e e k 1 61 61 61 6 2 02 02 02 0 2 42 42 42 4 2 82 82 82 8

HbA1C化量(%)HbA1C化量(%)HbA1C化量(%)HbA1C化量(%)

グルー プ1:改善-R es ponder(n=3)

グルー プ1:改善-R es ponder(n=3)

グルー プ1:改善-R es ponder(n=3)

グルー プ1:改善-R es ponder(n=3)

グルー プ2:不変-R es ponder(n=13)

グルー プ2:不変-R es ponder(n=13)

グルー プ2:不変-R es ponder(n=13)

グルー プ2:不変-R es ponder(n=13)

グルー プ3:悪化-R es ponder(n=4)

グルー プ3:悪化-R es ponder(n=4)

グルー プ3:悪化-R es ponder(n=4)

グルー プ3:悪化-R es ponder(n=4)

グルー プ4:不変-N on-res ponder(n=10)

グルー プ4:不変-N on-res ponder(n=10)

グルー プ4:不変-N on-res ponder(n=10)

グルー プ4:不変-N on-res ponder(n=10)

グルー プ5:悪化-N on-res ponder(n=14)

グルー プ5:悪化-N on-res ponder(n=14)

グルー プ5:悪化-N on-res ponder(n=14)

グルー プ5:悪化-N on-res ponder(n=14)

10mg維持群(n=142)

10mg維持群(n=142)

10mg維持群(n=142)

10mg維持群(n=142)

増量

図ト - 58

HbA

1C変化量の推移(投与開始前

HbA

1C

8%未満)

- 3 . 0 - 3 . 0 - 3 . 0 - 3 . 0 - 2 . 0 - 2 . 0 - 2 . 0 - 2 . 0 - 1 . 0 - 1 . 0 - 1 . 0 - 1 . 0 0 . 0 0 . 0 0 . 0 0 . 0 1 . 0 1 . 0 1 . 0 1 . 0 2 . 0 2 . 0 2 . 0 2 . 0

000

0 4444 8888 1 21 21 21 2 W e e kW e e kW e e kW e e k 1 61 61 61 6 2 02 02 02 0 2 42 42 42 4 2 82 82 82 8

HbA1C化量(%)HbA1C化量(%)HbA1C化量(%)HbA1C化量(%)

グルー プ6:改善-R es ponder(n=25)

グルー プグルー プ6:改善6:改善-R es ponder(n=25)-R es ponder(n=25)

グルー プ6:改善-R es ponder(n=25)

グルー プ7:不変-R es ponder(n=16)

グルー プグルー プ7:不変7:不変-R es ponder(n=16)-R es ponder(n=16)

グルー プ7:不変-R es ponder(n=16)

グルー プ8:悪化-R es ponder(n=4)

グルー プグルー プ8:悪化8:悪化-R es ponder(n=4)-R es ponder(n=4)

グルー プ8:悪化-R es ponder(n=4)

グルー プ9:不変-N on-res ponder(n=16)

グルー プグルー プ9:不変9:不変-N on-res ponder(n=16)-N on-res ponder(n=16)

グルー プ9:不変-N on-res ponder(n=16)

グルー プ10:悪化-N on-res ponder(n=17)

グルー プグルー プ1010:悪化:悪化-N on-res ponder(-N on-res ponder(n=17)n=17)

グルー プ10:悪化-N on-res ponder(n=17)

10mg維持群(n=48)

10mg10mg維持群(n=48)維持群(n=48)

10mg維持群(n=48)

増量

図ト - 59

HbA

1C変化量の推移(投与開始前

HbA

1C

8%以上)

(12)

次に,前述した投与前

HbA

1C以外の因子で

20 mg

への増量効果がある症例を事前に予測する ことが可能であるかを検討した。先の解析で投与開始前

HbA

1C

8%未満及び 8%以上のいずれに

おいても,増量前の

HbA

1C 推移が「不変」又は「悪化」の被験者は,増量後「Responder」と

Non-responder」に 分かれ るこ とが明ら かになっ たこ とか ら, これら Responder

Non-

responder

との間で背景因子などに相違があるかを検討するために,各区分における

Responder

Non-responder

の背景因子を比較し,表ト - 221~表ト - 224にそれぞれ示した。

その結果,区分により明らかな相違が認められた背景因子はなく,

Responder

Non-

responder

との間で背景因子などに違いはないことから,患者背景から本薬の増量効果を予測

することは困難であると考えられた。

表ト - 221 増量効果の背景因子別集計(投与開始前

HbA

1C

8%未満,増量前不変)

被験者背景 グループ2 不変-Responder

グループ4

不変-Non-responder Fisher 直接確率計算法

全例 1356.5% 1043.5% 23

男性 10(58.8%) 7(41.2%) 17

性別 女性 350.0% 350.0% 6 p=1.000

なし 872.7% 327.3% 11

運動療法 あり 5(41.7%) 7(58.3%) 12 p=0.213

65歳未満 1058.8% 741.2% 17

年齢 65歳以上 350.0% 350.0% 6 p=1.000

なし 4(50.0%) 4(50.0%) 8

薬物治療歴

あり 9(60.0%) 6(40.0%) 15 p=0.685 なし 853.3% 746.7% 15

直近24週以内の

薬物治療歴 あり 5(62.5%) 3(37.5%) 8 p=1.000 5年未満 6(60.0%) 4(40.0%) 10

510年未満 675.0% 225.0% 8 罹病期間

10年以上 120.0% 480.0% 5

p=0.190 25 kg/m2未満 10(66.7%) 5(33.3%) 15

BMI 25 kg/m2以上 337.5% 562.5% 8 p=0.221 140 mg/dL未満 00.0% 1100.0% 1

140~170 mg/dL未満 7(50.0%) 7(50.0%) 14

開始時FPG

170 mg/dL以上 6(75.0%) 2(25.0%) 8

p=0.280 5 µU/mL未満 866.7% 433.3% 12

5~15 µU/mL未満 342.9% 457.1% 7

開始時IRI

15 µU/mL以上 2(50.0%) 2(50.0%) 4

p=0.542

(13)

表ト - 222 増量効果の背景因子別集計(投与開始前

HbA

1C

8%未満,増量前悪化)

被験者背景 グループ3 悪化-Responder

グループ5

悪化-Non-responder Fisher 直接確率計算法

全例 4(22.2%) 14(77.8%) 18

男性 19.1% 1090.9% 11

性別 女性 3(42.9%) 4(57.1%) 7 p=0.245

なし 0(0.0%) 8(100.0%) 8

運動療法

あり 440.0% 660.0% 10 p=0.091 65歳未満 2(20.0%) 8(80.0%) 10

年齢 65歳以上 2(25.0%) 6(75.0%) 8 p=1.000

なし 233.3% 466.7% 6 薬物治療歴

あり 2(16.7%) 10(83.3%) 12 p=0.568

なし 2(20.0%) 8(80.0%) 10

直近24週以内の

薬物治療歴 あり 225.0% 675.0% 8 p=1.000 5年未満 116.7% 583.3% 6

5~10年未満 2(40.0%) 3(60.0%) 5 罹病期間※1

10年以上 116.7% 583.3% 6

p=0.621 25 kg/m2未満 216.7% 1083.3% 12

BMI 25 kg/m2以上 233.3% 466.7% 6 p=0.568 140 mg/dL未満 0(0.0%) 2(100.0%) 2

140~170 mg/dL未満 00.0% 2100.0% 2

開始時FPG

170 mg/dL以上 428.6% 1071.4% 14

p=1.000 5 µU/mL未満 0(0.0%) 2(100.0%) 2

5~15 µU/mL未満 321.4% 1178.6% 14

開始時IRI

15 µU/mL以上 150.0% 150.0% 2

p=0.672

※1:不明1例は除外。

表ト - 223 増量効果の背景因子別集計(投与開始前

HbA

1C

8%以上,増量前不変)

被験者背景 グループ7 不変-Responder

グループ9

不変-Non-responder Fisher 直接確率計算法 全例 16(50.0%) 16(50.0%) 32

男性 1157.9% 842.1% 19

性別 女性 538.5% 861.5% 13 p=0.472

なし 10(52.6%) 9(47.4%) 19 運動療法

あり 646.2% 753.8% 13 p=1.000 65歳未満 1450.0% 1450.0% 28

年齢 65歳以上 2(50.0%) 2(50.0%) 4 p=1.000

なし 763.6% 436.4% 11 薬物治療歴

あり 942.9% 1257.1% 21 p=0.457

なし 9(56.3%) 7(43.8%) 16

直近24週以内の

薬物治療歴 あり 743.8% 956.3% 16 p=0.724 5年未満 646.2% 753.8% 13

5~10年未満 6(46.2%) 7(53.8%) 13 罹病期間

10年以上 4(66.7%) 2(33.3%) 6

p=0.804 25 kg/m2未満 945.0% 1155.0% 20

BMI 25 kg/m2以上 758.3% 541.7% 12 p=0.716 140 mg/dL未満 1(100.0%) 0(0.0%) 1

140~170 mg/dL未満 120.0% 480.0% 5

開始時FPG※1

170 mg/dL以上 1352.0% 1248.0% 25

p=0.332 5 µU/mL未満 7(46.7%) 8(53.3%) 15

5~15 µU/mL未満 7(50.0%) 7(50.0%) 14

開始時IRI※1

15 µU/mL以上 150.0% 150.0% 2

p=1.000

※1:不明1例は除外。

(14)

表ト - 224 増量効果の背景因子別集計(投与開始前

HbA

1C

8%以上,増量前悪化)

被験者背景 グループ8 悪化-Responder

グループ10

悪化-Non-responder Fisher 直接確率計算法

全例 419.0% 1781.0% 21

男性 1(7.7%) 12(92.3%) 13

性別 女性 337.5% 562.5% 8 p=0.252

なし 111.1% 888.9% 9

運動療法 あり 3(25.0%) 9(75.0%) 12 p=0.603

65歳未満 316.7% 1583.3% 18

年齢 65歳以上 133.3% 266.7% 3 p=0.488

なし 0(0.0%) 2(100.0%) 2

薬物治療歴

あり 4(21.1%) 15(78.9%) 19 p=1.000 なし 00.0% 2100.0% 2

直近24週以内の

薬物治療歴 あり 4(21.1%) 15(78.9%) 19 p=1.000 5年未満 0(0.0%) 6(100.0%) 6

510年未満 436.4% 763.6% 11 罹病期間

10年以上 00.0% 4100.0% 4

p=0.189 25 kg/m2未満 1(9.1%) 10(90.9%) 11

BMI 25 kg/m2以上 330.0% 770.0% 10 p=0.310 140 mg/dL未満 00.0% 00.0% 0

140~170 mg/dL未満 0(0.0%) 0(0.0%) 0

開始時FPG

170 mg/dL以上 4(19.1%) 17(81.0%) 21

5 µU/mL未満 00.0% 8100.0% 8

5~15 µU/mL未満 436.4% 763.6% 11

開始時IRI

15 µU/mL以上 0(0.0%) 2(100.0%) 2

p=0.169

(15)

3.2.2 増量時の安全性について

増量時の安全性について,長期投与試験における最終投与量別の副作用及び有害事象の発現 率を添付資料ト

-17

から抜粋し,表ト

- 225

~表ト

- 227

に示した。いずれの発現率も最終投与

10 mg

及び

20 mg

でほぼ同様であり,特に,増量の際に問題となる低血糖症状の発現率は,

20 mg

に増量しても増加することはなかった。このことから,

20 mg

に増量しても,安全性に

関しては特に問題はないものと考えられた。

表ト - 225 副作用及び有害事象(臨床症状)の発現率 種類 最終

投与量 例数 発現 例数

発現率

% 発現率の両側95%信頼区間 10 mg 217 49 22.6 17.2 28.7 副作用 20 mg 129 37 28.7 21.1 ~ 37.3 10 mg 217 163 75.1 68.8 80.7 有害事象 20 mg 129 98 76.0 67.7 83.1

表ト - 226 副作用及び有害事象(低血糖症状)の発現率

種類 最終

投与量 例数 発現 例数

発現率

(%) 発現率の両側95%信頼区間 10 mg 217 17 7.8 4.6 ~ 12.2 副作用 20 mg 129 8 6.2 2.7 11.9 10 mg 217 17 7.8 4.6 12.2 有害事象 20 mg 129 9 7.0 3.2 12.8

表ト - 227 副作用及び有害事象(臨床検査値)の発現率

種類 最終

投与量 例数 発現 例数

発現率

(%) 発現率の両側95%信頼区間 判定不能 例数

10 mg 215 48 22.3 16.9 28.5 2

副作用 20 mg 129 29 22.5 15.6 30.7 0

10 mg 215 116 54.0 47.0 60.8 2

有害事象 20 mg 129 69 53.5 44.5 62.3 0

3.2.3 適正使用の情報提供と市販後の対策について

これらの検討より,本薬投与

16

週時の

HbA

1Cに対する改善効果が「不変」または「悪化」であ

っても,

20 mg

に増量することで増量効果が認められる症例が存在し,さらに

20 mg

へ増量後

の安全性は

10 mg

とほぼ同様であったことから,本薬の

20 mg

への増量は糖尿病治療において 意義があるものと考えられる。しかしながら,

16

週時が「悪化」の症例においては,増量効果 が得られる頻度は高くないことから,このような患者で増量したまま漫然と投与の継続が行わ れないように,添付文書の重要な基本的注意に以下の事項を記載して適正使用の情報提供を徹 底することが必要と考える。さらに,

20 mg

へ増量された症例の有効性と安全性については,

市販後調査の使用成績調査において別途調査する予定である。

(16)

2.

重要な基本的注意

(2)本剤投与中は,血糖を定期的に検査するとともに,経過を十分に観察し,本剤を

2~3

ヵ月投与しても効果が不十分な場合には,より適切と考えられる治療への変更を考慮す ること。

(3)投与の継続中に,投与の必要がなくなる場合や,減量する必要がある場合があり,また 患者の不養生,感染症の合併等により効果がなくなったり,不十分となる場合があるの で,食事摂取量,血糖値,感染症の有無等に留意のうえ,常に投与継続の可否,投与量,

薬剤の選択等に注意すること。

(17)

3.3

他剤との併用について

2

型糖尿病はインスリン分泌の低下とインスリン抵抗性の増大が組み合わさって高血糖を呈 し,その病態は個々の患者によって様々である。したがって,最初に食事療法及び運動療法を 実施後,十分な血糖降下作用が得られない場合は単剤の経口血糖降下剤による薬物治療から開 始され,それでも良好な血糖コントロールが得られない場合には作用機序の異なる血糖降下剤 の併用療法が行われる。本薬とα-GI剤,

SU

剤及びインスリン抵抗性改善剤との併用について の考え方を以下に示す。

1)

α-GI剤との併用について

本薬及び α-GI 剤の単剤治療に適した患者は

2

型糖尿病の早期の患者であると考えられるが,

様々な大規模臨床試験結果5)8)より,最近では,早期から厳格な血糖コントロールが必要とさ れている。α-GI剤は本薬と同様に食後過血糖を抑制する薬剤だが,その作用機序は本薬とは異 なり,小腸粘膜に存在する二糖類分解酵素(α-グルコシダーゼ)の作用を阻害し,腸管におけ る糖の分解を抑制することで糖吸収を遅らせる薬剤である。一方,本薬の作用機序は食後の初 期インスリン分泌を促進することで食後過血糖を抑制する。このことから,本薬と作用機序が 異なる α-GI 剤を併用することで,単剤と比較してより厳格な血糖コントロール(特に食後血 糖)が得られる可能性が考えられる。また,類薬のナテグリニドは α-GI 剤との併用療法の効 能を有しており,実際の医療現場における単剤と併用の割合は

7:3

程度の割合で,α-GI剤との 併用療法が行われている。

以上より,本薬と α-GI 剤は併用する臨床的意義があるものと考え,現在,申請者は本薬と α-GI剤との併用療法の を実施しており,単剤治療の承認取得後,速やかに効能追加の申請 を行う予定である。

2) SU

剤との併用について

最近,ナテグリニドと

SU

剤の作用特性の相違に着目し,夕食後に

SU

剤を追加して空腹時 血糖を改善し,日中はナテグリニドを使用して食後血糖を改善するという,タイムシェアリン グによる併用療法に関する報告が発表されていることから10)12),同じ作用点を介する薬剤の 組み合わせでも,併用方法を工夫することで有効な治療法の

1

つになる可能性も考えられる。

しかしながら,これらの併用効果については今後の課題であり,本薬は

SU

剤と同じ膵β細胞 の

SU

レセプターを介して作用することから,本薬と

SU

剤を併用する場合には,相加作用が 得られない可能性がある。また,類薬であるナテグリニドは,

SU

剤との併用によってもイン スリンの相加的な分泌増加は認められないことから,使用上の注意に併用しない旨の記述が盛 り込まれている(ナテグリニド調査報告書:平成

11

2

22

日参照)。これらのことから,

類薬のナテグリニドと同様に,添付文書(案)の重要な基本的注意の項に以下のように記載を 行った。

2

.重要な基本的注意

(4)

本剤は,速やかなインスリン分泌促進作用を有する。その作用点はスルホニル尿素系製 剤と同じであり,スルホニル尿素系製剤との相加・相乗の臨床効果及び安全性が確認さ

(18)

れていないので,スルホニル尿素系製剤とは併用しないこと〔「薬効薬理」の項参照〕

3)

インスリン抵抗性改善剤との併用について

インスリン抵抗性改善剤としては,チアゾリジン誘導体(塩酸ピオグリタゾン)及びビグア ナイド剤(塩酸メトフォルミンなど)が医療現場で使用されているが,いずれの薬剤も本薬の 作用機序(初期インスリン分泌促進)とは異なることから,これらの薬剤と併用することで

2

型糖尿病の成因であるインスリン分泌不足とインスリン抵抗性の両面を改善できる可能性があ り,有効性面において相加又は相乗効果が期待できると考える。

類薬であるナテグリニドの欧米における治験では,肝におけるインスリン抵抗性を改善する とされる塩酸メトフォルミンとの併用で併用効果が確認されており,適応として承認されてい る。また,欧米ですでに発売済みのレパグリニド(本薬やナテグリニドと同様に速効性・短時 間作用型インスリン分泌促進剤)はチアゾリジン誘導体との併用適応も取得している。

以上より,本薬についても,インスリン抵抗性改善剤との併用は十分に期待できると考えら れることから,今後海外データなどを評価した上で,本適応を追加する予定である。

(19)

3.4

臨床試験における評価項目について

2

型糖尿病患者を対象とした,本薬の後期第

II

相試験以降の臨床試験における評価項目の変 遷の経緯を以下に示した。

後期第

II

相試験

(1)

KAD-202

),後期第

II

相試験

(2)

KAD-211

),後期第

II

相試験

(3)

KAD-204

),第

III

相検証試験(

KAD-320

)の有効性に関する試験目的,主要評価項目を表ト

- 228

に示した。

表ト - 228 試験目的と主要評価項目の関係

試験名・デザイン 試験目的 主要評価項目

後期第II相試験(1)KAD-202 DBT

12週間投与 2.5, 5, 10mg/回

月~

臨床推奨用量を二重盲検 法により比較検討する

食後血糖2時間値

(副次:食後血糖値,食後血糖値-AUC,

空腹時血糖,HbA1C,血中インスリン 値,血中インスリン値-AUC)

後期第II相試験(2)(KAD-211)

DBT:クロスオーバー法 単回投与

プラセボ,10, 20, 40 mg/

月~

単回経口投与時の食後血 糖抑制効果の用量反応性 を二重盲検クロスオーバ ー比較試験法により検討 する

食後血糖値AUC0-3hr

(副次:食後血糖値,血中インスリン 値,血中C-ペプチド値,血中インスリ

ン値-AUC0-3hr,血中C-ペプチド値-AUC0-

3hr 後期第II相試験(3)KAD-204

DBT 12週間投与

プラセボ,5, 10, 20 mg/回

月~

HbA1C変化量を主要評価 項目として用量反応性を 二重盲検並行群間比較試 験法により検討する

HbA1C変化量

(副次:HbA1C改善率,空腹時血糖,グ リコアルブミン,1,5-アンヒドログルシ トール)

III相検証試験(KAD-320)

DBT 12週間投与

プラセボ,10 mg/回,ボグリボース 0.2 mg/回

月~

HbA1Cを主要評価項目と して,二重盲検比較法に より,KAD-1229のボグ リボースに対する非劣性 及びプラセボに対する優 越性を検証する

HbA1C変化量

(副次:HbA1C改善率,HbA1C目標達成 率,空腹時血糖,グリコアルブミン,食 後血糖2時間値,食後血糖1時間値,食

後血糖値AUC0-2hrの変化量)

12

週間投与で実施した後期第

II

相試験(1)(KAD-202)では,本薬の特徴である食後過血糖 改善効果を考慮し,食後血糖

2

時間値を主要評価項目として設定し,HbA1Cを副次評価項目と 設定した。本治験では

1

2.5 mg,5 mg,10 mg

の用量を用いたが,食後血糖

2

時間値及び

HbA

1Cはいずれも

10 mg

で最大の改善効果が認められた(428~452頁参照)。

また,食後血糖抑制効果の用量反応性の検討を目的とした,入院患者における

4

用量(4 ス テップ)の単回投与によるクロスオーバー試験(後期第

II

相試験(2),KAD-211)は,1ステッ プに

7

ポイントの血糖値を経時的に測定することから,主要評価項目は時間も考慮した変数が 望ましいと考え,食後血糖

AUC

を設定した。本治験ではプラセボ,本薬

10 mg,20 mg,40 mg

を用いて実施されたが,食後過血糖の改善効果は

10 mg

でプラトーに達することが確認さ れた(453~459頁参照)。

以上より,単回投与でのクロスオーバー法による用量反応試験(KAD-211 試験)が終了し た時点で,本薬の食後過血糖改善効果は

5 mg

より

10 mg

で優っており(後期第

II

相試験(1),

KAD-202),10 mg

でプラトーに達することが確認された(後期第

II

相試験(2),KAD-211)。こ

れらのことから,食後血糖値を主要評価項目とした場合は臨床推奨用量が

10 mg

であることが 確認された。

(20)

しかしながら,KAD-211 試験終了当時の最新の知見として,UKPDS6)7)などの大規模臨床 試験により,糖尿病治療の目的である細小血管合併症の発症抑制と相関する血糖コントロール 指標は

HbA

1Cであることが明らかにされた。このことから,HbA1Cを主要評価項目として有効 性を評価しないと用量反応性試験が完結しないと判断し,治験相談の助言(医機治発第 号,

平成 年 月 日 参照)も参考にし,HbA1Cを主要評価項目として,10 mg を越える用量での 用量反応性を検討するために,プラセボを対照とし,本薬

1

5 mg,10 mg,20 mg

の用量を 用いた

12

週間投与による用量反応試験(後期第

II

相試験(3),KAD-204)を実施した。

本治験では,5 mg以上の用量でプラセボに比較して

HbA

1Cの有意な改善が認められ,10 mg 以上で

HbA

1C改善効果はほぼ同等であり,本薬の臨床推奨用量としては

1

10 mg

が妥当であ ると判断された。

なお,以下の理由により,本薬の食後過血糖の改善効果は単回投与(KAD-211 試験)時の 反応の繰り返しであると考え,KAD-204試験においては食後血糖値を測定しなかった。

(1) KAD-204

試験では食後血糖値を測定していないが,本薬は速効性・短時間作用型のイン

スリン分泌促進薬であり,1 回投与時のインスリン分泌促進作用は投与後

3

時間以内に 消失する(457頁参照)。

(2)

本薬を

7

日間反復投与した場合の開始時と終了時の薬物動態はほぼ同様であったことか ら,本薬に蓄積性はほとんどなく(358 頁参照),本薬は反復投与においても短時間作用 型の体内動態を示した。

(3)

同一用量である

10 mg

で比較した場合,12週間投与の

KAD-202

試験と単回投与の

KAD- 211

試験でほぼ同様な反応曲線が得られた(図ト - 60)。

投与開始時 投与終了時 Dunnettの多重比較法

#:α=0.05水準で有意

血糖値(mg/dl)

投与後時間(分)  

140 160 180 200 220 240 260 280 300 320 340

0 30 60 90 120

投与後時間(分)

血糖値(mg/dL

プラセボ ミチグリニド 10mg

左は添付資料概要436頁より転載,右は添付資料概要457頁の図ト-23を改変。

図ト - 60

KAD-202(左)と KAD-211(右)試験の食後血糖推移

III

相検証試験(KAD-320)については,ボグリボースに対する非劣性及びプラセボに対

参照

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