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論 文 審 査 の 要 旨

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Academic year: 2021

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別紙1

論 文 審 査 の 要 旨

報告番号 甲 ・乙 3063 多保 学

論文審査担当者

主査 中村 雅典 副査 山本 松男 副査 鈴木 規元

(論文審査の要旨)

学位申請論文「Structural and mechanical properties of the transparent dentin region in the tooth root」について、上記の主査1名、副査2名が個別に審査を行った。

象牙質における加齢変化は顕著であり、特に歯根象牙質における加齢に伴う透明象牙質の形 成は良く知られているところではあるが、透明象牙質の強度に関する情報は少ない。本研究で は、強度試験を行い、加齢に伴う透明象牙質の形成が象牙質の強度に与える影響について解析 した。比較検討のため、ヒトの透明象牙質ならびに透明象牙質を有さない牛歯を用いて解析を 行った。その結果、引張り強さは、ヒト透明象牙質は牛歯よりも有意に低い値を示した。ミネ ラル量は透明象牙質で有意に高かった。また、同一ヒト歯根象牙質において、硬さと弾性率は 透明象牙質が不透明象牙質より高い値を示した。以上の結果から、透明象牙質形成に伴い、象 牙質のミネラル量、引張り強さ、硬さおよび弾性率が変化することが示された。

本論文の審査において、副査の山本委員および鈴木委員から多くの質問があり、その一 部とそれらに対する回答を以下に示す。

山本 委員の質問 とそれらに 対する回答 :

1. 人歯の根尖部の強度を評価する際に、牛歯を使用する妥当性について。

(人歯と牛歯では接着強さに統計的な有意差はないこと、哺乳動物の歯牙の成分は顕著な違い がないことが明らかにされており、ISO では、人歯の代替材料として牛歯の使用を示唆してい る。そのため、強度評価において、牛歯を使用することは妥当であると考えられる)

2. 象牙質の強度が異方性を示す理由は何か。

(象牙質の強度において、引張試験等はコラーゲンが、硬さ試験等はハイドロキシアパタイト が影響することが現在までに明らかになっており、象牙質強度は、コラーゲンおよびハイドロ キシアパタイトの歯質内の方向に支配されるため、象牙質の強度は異方性を示す。)

3. 加齢変化の定義について。

(人において、50歳以上が老化のターニングポイントになるという既報から、50歳以 上の

(主査が記載)

(2)

人歯を加齢歯として実験に供した。さらに、人歯歯根部において、目視にて透明に変化してい る部分を透明象牙質とし、加齢変化の起きている部位とした。)

鈴木 委員の質問 とそれらに 対する回答 : 1. 透明象牙質の構造や成立機序について。

(透明象牙質は,象牙細管の内腔における二次的な石灰化物の沈着により,象牙細管と象牙質 基質との光線屈折率の差異が減少し,透明度が上昇することにより出現するといわれている.)

2. ミネラル密度の定義法について

(マイクロCTにより、歯を非破壊の状態にて撮影し、様々な密度のハイドロキシアパタイト から成る基準片と比較することにより、ミネラル密度を求めた。)

3. 人歯の管間象牙質において、歯頸部と根尖部の強度を微小硬さおよび弾性率測 定により比較しているが、引張試験で比較するどうなるか 。

(歯頸部と根尖部の強度を引張試験にて比較することは、試験片の大きさから不可能である が、石灰化度が高いと硬さおよび弾性率は高いが、引張強さは弱い。そのため、根尖部の方が 歯頸部と比較して、引張強さは低いと考えられる。)

4. 歯根根尖部から透明象牙質から生じる理由は何か。

(透明象牙質は、歯髄の退行変性が影響を与えていると考えられており、そのため、根尖部 か ら生じると考えられるが、詳細については様々な説があり、不明である。)

中村 委員の質問 とそれらに 対する回答 :

1. 今回の結果をどのように臨床に応用するか。

(現在,歯科材料の開発は若年齢の人歯または牛歯を用いて行われているが,加齢歯を対象に 材料開発を行った際には,若年歯対象に開発した歯科材料とは成分等で異なる可能性が示唆さ れ,そのために,高齢者に対する最適な治療方法,術式が異なる可能性が示唆された。)

主査の中村委員は、両副査の質問に対する回答の妥当性を確認するとともに、本論文の主 張をさらに確認する為に上記の質問をしたところ、明解かつ適切な回答が得られた。

以上の審査結果から、本論文を博士(歯学)の学位授与に値するものと判断した。

(主査が記載)

参照

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