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キーワード:四電極法,電気抵抗,配合推定,単位水量,ポリマーセメントモルタル

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(1)

論文 電気抵抗に影響を及ぼす配合条件の検討および断面修復材の練混ぜ 時の単位水量の管理方法の提案

三坂 岳広

*1

・伊代田 岳史

*2

要旨:鉄筋コンクリート構造物の補修・補強には,断面修復材が広く使用されている。この断面修復材はプ レミックス製品の材料と水を現場で練混ぜて作製する方法が一般的であり,単位水量は断面修復材の品質に 大きく影響する。しかし,練混ぜられた断面修復材の単位水量を管理する方法が確立されていない。本研究 では,四電極法による電気抵抗に着目し,モルタルの配合条件が電気抵抗に及ぼす影響について検討し,そ の結果を用いて,断面修復材に加えられた単位水量を管理する方法を提案する。結果として電気抵抗はモル タルの単位水量と高い相関があり,断面修復材に加えられた単位水量を推定できることが明らかとなった。

キーワード:四電極法,電気抵抗,配合推定,単位水量,ポリマーセメントモルタル

1.

はじめに

高度経済成長期に建設された多くの鉄筋コンクリー ト構造物が老朽化し建設後

50

年以上を経過する構造物 の割合が増加している。これらコンクリート構造物の劣 化の補修および補強には,断面修復材が多く用いられて いる

1

。この断面修復材の多くは,現場で規定量の水を 加えて練混ぜるだけで製造されるプレミックス製品のポ リマーセメントモルタルである。

断面修復材による補修および補強後に断面修復部が 要求性能を満たすためには,製造時に適切な単位水量で 練混ぜを行うことが重要である。実際の現場では断面修 復材の流動性や粘性等の作業性が重視され,作業員,施 工環境,施工条件によって断面修復材に加えられる単位 水量が異なる。この単位水量の変化が各断面修復材で定 められている範囲内に収める必要がある。また,施工管 理者は既に練混ぜられた断面修復材の単位水量を確認す ることは難しい。そのため、管理においては断面修復材 の風袋の数量で断面修復材の使用量しか管理できていな い。これらの現状を考慮すると断面修復材に加えられた 単位水量を簡易に確認できる手法の確立が必要である。

電気化学的測定は,コンクリートの含水率や鋼材の腐 食性の評価に広く用いられている

2

。筆者らは図-1 に示 す四電極法による電気抵抗に着目し研究を行ってきた。

既往の研究

3,4,5

より,若材齢のコンクリートの電気抵抗 はセメントの溶解反応や水和反応による水の消費に影響 を受け,Ca

2+

の濃度や結合水率等と相関があることが明 らかとなっている。また,硬化後のコンクリートの電気 抵抗は,含水率と相関があることが明らかとなっている。

これらを考慮すると電気抵抗はコンクリート中の単位水 量やイオンを評価していると予測される。しかし,コン

クリートの配合条件が電気抵抗に及ぼす影響は明らかに されていない。

本研究の目的は,電気抵抗に影響を及ぼすモルタルの 配合条件を明らかにし,断面修復材として用いられるポ リマーセメントモルタルに加えられた単位水量を推定す る方法を提案することである。本研究ではモルタルの配 合条件が電気抵抗に及ぼす影響について確認する「配合 条件の検討実験」と,その結果から加える水を変化させ たポリマーセメントモルタル系断面修復材を作製し,ポ リマーセメントモルタルの単位水量を推定する「単位水 量の推定実験」の

2

つの実験を行った。

図-1 直流四電極法の概略

*1

芝浦工業大学大学院 理工学研究科地域環境システム専攻

(正会員)

*2

芝浦工業大学 工学部土木工学科 教授 博士(工学) (正会員)

表-1 電気抵抗の計測条件(配合条件の検討)

要因 水準

計測方法 直流四電極法 印加電圧 1V(パルス波)

電極間隔 20mm 電極直径 φ2.6mm 通電深さ 20mm 電極の種類 ステンレスの針金

2mm 通電

深さ 電極間隔:a

コンクリート部 電極

通電部分

絶縁部分

a a

型枠部 V

I

コンクリート工学年次論文集,Vol.40,No.1,2018

(2)

表-2 使用材料

2.

配合条件の検討

2.1

実験概要

配合条件の検討はセメント,水,細骨材の量を変化さ せたモルタルを用いて電気抵抗の測定を行った。 表-2 に モルタルの使用材料を示す。また, 図-2 にモルタルの配 合と体積割合を示す。図中の

C_S/W6.0

は一般的な

1:3

モルタルの配合であり,セメント:水:細骨材が

1

0.5:

3

の質量比となっている。この配合を基準に他の配合を 決定した。例として

C_S/W4.0

は,単位セメント量を基 準と同一とし,S/W を

4.0

とした配合を示している。ま た,S/C_W0.45 の配合は

S/C

を基準と同一とし,単位水 量の質量比を一般的なモルタルの水の質量比

0.5

から

0.45

に変化させた配合を示している。

S/C_W

の系で標準 配合の単位水量を

100%とした場合の水の変化割合は,

90~120%となる。

モルタルは使用材料の温度を

20℃とし,恒温恒湿室内

(温度

20±1℃,湿度60±5%)で練混ぜや電気抵抗の測

定を行った。

電気抵抗を計測した試験体の概略を図-3 に示す。供試 体の寸法は

60×60×120mm

とし,側面の型枠に電極を 設置した後にモルタルを打込むことで,モルタル内部の 電気抵抗を測定した。計測時間は,接水から

2

時間まで とし,計測間隔を

5

分間隔とした。各計測結果は

1

回の ものである。 表-1 に電気抵抗の計測条件を示す。印加電

図-3 電気抵抗測定試験体の概略

圧は

1Vとした。また,試料の電気分解や帯電現象を防

止するためにパルス波を使用している。また,電極には 絶縁体で表面を覆ったステンレスの針金を使用している。

2.2

実験結果

図-4 に一例として単位セメント量が一定で

S/W

を変 化させたモルタルの電気抵抗の測定結果を示す。経過時 間は接水からの時間となっている。各配合の電気抵抗は 時間の進行にともなって減少している。また,経過時間

100

分以降で電気抵抗が増加傾向を示しているものもあ る。この傾向は既往の研究

2

と同様の傾向であり,接水

図-4 電気抵抗の測定結果(C:一定,S/W:変化)

材料 詳細

C:セメント 普通ポルトランドセメント,

密度3.16g/cm3,比表面積3330㎝2/g

S:細骨材 混合砂,表乾密度2.62g/cm3

W:水 水道水

60 60

120

30 30

20 30

30 20 20

モルタル 型枠 電極

単位:

mm

0.10 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20

0 30 60 90 120 150

電気抵抗(kΩ)

経過時間(分)

C_S/W4.0 C_S/W4.5 C_S/W5.0 C_S/W5.5 C_S/W6.0

C W S W/C S/C S/W

C_S/W4.0 510 332 1328 65.11 2.60 4.0 C_S/W4.5 510 309 1389 60.53 2.72 4.5 C_S/W5.0 510 288 1442 56.56 2.83 5.0 C_S/W5.5 510 271 1488 53.08 2.92 5.5 C_S/W6.0 510 255 1529 50.00 3.00 6.0 W_S/C3.25 479 255 1555 53.26 3.25 6.1 W_S/C3.50 451 255 1578 56.53 3.50 6.2 W_S/C3.75 426 255 1599 59.79 3.75 6.3 S/C_W0.45 527 229 1582 43.51 3.00 6.9 S/C_W0.55 492 280 1477 56.95 3.00 5.3 S/C_W0.60 475 306 1425 64.41 3.00 4.7 W/C_S2.55 546 273 1453 50.00 2.66 5.3 W/C_S2.70 581 291 1377 50.00 2.37 4.7 W/C_S2.85 617 309 1300 50.00 2.11 4.2

配合の名称 配合(g/L) 配合条件

図-2 モルタルの配合と体積割合(配合条件の検討)

(3)

後の電気抵抗の減少は,セメントから

Ca2+

等が溶出する ことにより電気が流れやすくなることに起因していると 考えられ,

100

分以降の電気抵抗の増加は,水和反応に よる水の消費に影響を受けるとされている。接水から

30

分までの電気抵抗の減少は,

C_S/W4.5

で大きくなってい

るが,

30~100

分までの電気抵抗は,

S/W

の増加に伴っ

て大きくなる傾向が得られた。

図-5 に電気抵抗と

S/W

の関係を示す。使用した電気 抵抗の値は

100

分とした。100 分を選択した理由として は,既往の研究

2

より電気抵抗が最小値を示す時間がコ ンダクションカロリーメータによって計測される発熱速 度の小さい第

2

段階(誘導期)にあたり,セメントの溶 解反応がほぼ終了し,発熱速度の大きくなる第

3

段階(加 速期)の前と考えられ,比較的に安定した電気抵抗の結 果が得られると考えたためである。図から電気抵抗と

S/W

の間に相関関係が認められた。従って,計測される 電気抵抗は

S/W

に影響を受け,つまり配合条件の単位細 骨材量と単位水量に影響を受けると考えられる。

図-6 に単位水量を一定とし,S/C を変化させたモルタ ルの電気抵抗と

S/C

の関係を示す。図から

S/C

が変化し ても電気抵抗に大きな変化は認められなかった。一方で,

単位水量が一定ならば

S/C

が変化しても計測される電気 抵抗に大きな影響が無いと考えられる。これは,細骨材 とセメントが基本的に電気を通しにくい材料であること に起因していると考えられる。

図-7 に

S/C

を一定とし,

W

を変化させたモルタルの電 気抵抗と

W

の関係を示す。図から負の相関が確認された。

したがって,電気抵抗は導体である水の単位水量に強く 影響を受けると考えられる。

図-8 に

W/C

を一定とし,単位細骨材量を変化させた モルタルの電気抵抗と単位細骨材量の関係を示す。図か ら細骨材量が増加することで抵抗が増加していることか ら,電気を通しにくい細骨材の量は電気抵抗に影響する と考えられる。しかし, 図-6 の単位水量を一定とし,

S/C

を変化させたモルタルの電気抵抗と

S/C

の関係では,細 骨材の量が変化しても電気抵抗は大きく変化しなかった。

これは,電気抵抗が

W/C

の単位セメント量ではなく,単 位水量の変化を評価しているためと考えられる。

表-3 に配合条件と電気抵抗の関係を示す。表からも単 位水量と単位細骨材量が電気抵抗に相関があり,特に単

表-3 配合条件と電気抵抗の関係

図-5 電気抵抗と S/W の関係(C:一定,S/W:変化)

図-6 電気抵抗と S/C の関係(W:一定,S/C:変化)

図-7 電気抵抗と W の関係(S/C:一定,W:変化)

図-8 電気抵抗と S の関係(W/C:一定,S:変化)

一定 変化

S/W S/W減少 一定 増加 減少 減少

S/C S/C減少 増加 一定 減少 一定

S/C W W減少 増加 減少 増加 増加

W/C S S減少 増加 増加 減少 減少

配合条件 電気抵抗

仮定条件 単位量

0.09 0.10 0.11 0.12 0.13 0.14 0.15 0.16 0.17 0.18

2.9 3.1 3.3 3.5 3.7 3.9

電気抵抗(kΩ)

S/C W:一定量

経過時間:100分 0.09

0.10 0.11 0.12 0.13 0.14 0.15 0.16 0.17 0.18

3 4 5 6 7 8

電気抵抗(kΩ)

S/W C:一定量

経過時間:100分

0.09 0.10 0.11 0.12 0.13 0.14 0.15 0.16 0.17 0.18

200 220 240 260 280 300 320

電気抵抗(kΩ)

単位水量W(kg/m3) S/C:一定 経過時間:100

0.09 0.10 0.11 0.12 0.13 0.14 0.15 0.16 0.17 0.18

1250 1300 1350 1400 1450 1500 1550

電気抵抗(kΩ)

単位細骨材量S(kg/m3) W/C:一定

経過時間:100

(4)

位水量と電気抵抗に関係があることがわかる。

図-9 に

W/C

と電気抵抗の関係を示す。図から

W/C

と 電気抵抗の相関が無いと考えられる。S/W を変化させた 場合には,電気抵抗と

S/W

に相関が認められたが,W/C を変化させた場合には,電気抵抗にあたえる影響が小さ い。したがって,単位セメント量が電気抵抗に及ぼす影 響は小さいと考えられる。

先ほどの図-5 および図-7 に全て

の配合の結果をプロットしたものを図-10 および図 -11 に示す。全ての配合の電気抵抗は単位水量と

S/W

で 整理をすると良い相関を得ることができた。

経過時間

100

分の電気抵抗を目的変数とし,単位セメ ント量,単位水量,単位砂量を説明変数として有意水準

5%で重回帰分析を行った。その結果,補正 R2

0.82

となり,重回帰式が実測値を

82%説明することとなり,

良い精度が確認された。 表-4 に重回帰分析結果の係数を 示す。電気抵抗に与える影響を示す係数は,単位水量,

単位細骨材量,単位セメント量の順に小さくなり,特に 単位水量の影響が大きいことが統計的にも明らかとなっ た。

図-12 にモルタル中の電気の流れ方のイメージを示す。

これまでの結果から電気抵抗はモルタル内の電気を通し やすい水と電気を通しにくい細骨材量に影響を受けると 考えられる。したがって,S/W の大きい配合では細骨材 量が多いため,電気が通りにくくなることによって電気 抵抗が大きくなった。

既往の研究

3,4)

で電気抵抗は水和反応による自由水の 減少や養生による含水率の変化を評価しているとされて いる。本研究の結果からフレッシュコンクリートの単位 水量についても評価できると考えられる。

以上の結果から電気抵抗は単位細骨材量,単位水量,

S/W

に影響を受け,特に単位水量と

S/W

で良い相関が認 められる。したがって,モルタルの配合における単位水 量を評価できる可能性がある。電気抵抗を用いてポリマ ーセメントモルタルの断面修復材に加えられた単位水量 を推定できる可能性がある。

3.

単位水量の推定実験

3.1

実験概要

表-5 に断面修復材の配合を示す。断面修復材には一般的 なポリマーセメント系断面修復材の

A

B

C

3

種類 とし,それぞれ防腐系,普通耐火系,早強耐火系のもの を用いた。練混ぜ方法は,JIS A 1171 ポリマーセメント モルタルの試験方法に準拠した。単位水量は標準配合の

100%を基準とし,90~150%まで変化させた。90%以下の

単位水量では同様の練混ぜ方法により均一なポリマーセ メントモルタルを作製することが難しかった。

図-9 電気抵抗と W/C の関係

図-10 電気抵抗と S/W の関係

図-11 電気抵抗と単位水量の関係 表-4 重回帰分析の係数

図-12 S/W と電気の流れ方のイメージ

C W S

係数 0.519 1.641 0.627

0.09

0.10 0.11 0.12 0.13 0.14 0.15 0.16 0.17 0.18

40 45 50 55 60 65 70

電気抵抗(kΩ)

W/C 経過時間:100分

電気 抵抗

セメント S/W

e e

e e

電子

y = -0.0006x + 0.2939 R² = 0.7956 0.09

0.10 0.11 0.12 0.13 0.14 0.15 0.16 0.17 0.18

200 250 300 350

電気抵抗(kΩ)

単位水量W(kg/m3)

S/C一定 W変化 その他の配合 経過時間:100分 y = 0.0186x + 0.0388

R² = 0.8278 0.09

0.10 0.11 0.12 0.13 0.14 0.15 0.16 0.17 0.18

3 4 5 6 7 8

電気抵抗(kΩ)

S/W

C一定 S/W変化 その他の配合 経過時間:100分

(5)

図-13 単位水量推定の測定方法の概略

ポリマーセメントモルタルの断面修復材は,プレミッ クス製品に現場で水を加えて作製する。したがって,現 場では単位水量や

W/C

の異なる断面修復材が製造され る。「配合条件の検討」の配合条件で考えると

S/C

が一 定で単位水量が変化する系と同様の変化となる。

図-13 に単位水量推定の測定方法の概略を示す。練混 ぜ直後のポリマーセメント系断面修復材に図のように電 極固定板を設置することで電極を内部に埋め込んだ。電 極の間隔および通電深さは

30mm

とし,その他の電気抵 抗の計測条件は配合条件の検討と同様の計測条件とした。

試験項目は電気抵抗の測定と圧縮強度試験とし,圧縮強 度試験の試験方法は

JIS A 1171:ポリマーセメントモル

タルの試験方法に準拠した。また,圧縮強度試験の試験 材齢は

7

日とした。

3.2

実験結果(単位水量の推定実験)

図-14 に単位水量が圧縮強度に及ぼす影響を示す。図 から各断面修復材の圧縮強度は,単位水量が増加するほ ど低下する傾向を示した。いずれの断面修復材において も単位水量を

120%にすると圧縮強度は 75~77%に低下

し,単位水量を

140%

にすると

47

66%

まで低下する。

このことからも断面修復材に加えられる単位水量が実構 造物の強度や耐久性に及ぼす影響は大きいと考えられ,

加えられる単位水量の管理が重要ということがわかる。

図-15 に各ポリマーセメント系断面修復材の電気抵抗 と単位水量の関係を示す。また,電気抵抗の計測は,実

際の現場で単位水量を推定することを目的としているの 図-16 圧縮強度と単位水量の関係 表-5 断面修復材の配合

図-14 単位水量が圧縮強度に及ぼす影響

0.05 0.10 0.15 0.20 0.25

80 100 120 140 160

電気抵抗(kΩ)

標準配合の水量を100%とした水の割合(%)

A B C

練り混ぜ直後 0

10 20 30 40 50 60 70

80 100 120 140 160

圧縮強度(N/mm2)

標準配合の水量を100%とした水の割合(%)

A B C

計測装置 電極

ポ リ マ ー セ メ ン ト モルタル 電極固定板

図-15 電気抵抗と単位水量の関係

材料 水 材料 水 材料 水

90 308 90 224 90 237

100 342 100 271 100 263

110 376 110 298 110 289

120 410 120 325 120 316

130 445 130 352 130 342

140 479 140 379 140 368

150 513 150 407 150 395

1750

種類 単位量(g/L)

種類 単位量(g/L)

C

水材料比 (%) 水材料比

(%) 単位量(g/L)

A 1820 B 1750

水材料比 種類 (%)

y = 0.4706x - 37.564 R² = 0.906 y = 0.4838x - 6.6616

R² = 0.5702 y = 0.4739x + 0.1255

R² = 0.778

0 10 20 30 40 50 60 70

60 80 100 120 140 160

圧縮強度(N/mm2)

練混ぜ直後の電気抵抗値(Ω)

A B C

(6)

で,練混ぜ直後とした。図から単位水量が

100~140%の

間では,単位水量の増加に伴って電気抵抗が減少する傾 向が得られた。B で単位水量を

90%とした場合に電気抵

抗が大きな値を示した原因として,ポリマーセメントモ ルタルのフレッシュ性状が挙げられる。これは,硬練り のために練り上がったポリマーセメントモルタル内部に 気泡が多く巻き込まれ、この気泡が電気を通しにくいた めに電気抵抗が大きくなった可能性がある。電気抵抗の 計測前にポリマーセメントモルタルを締固め,余分な気 泡を抜く等の対策で計測値が安定する可能性が考えられ る。また,A および

C

において水の割合が

150%の場合

に電気抵抗が大きくなっている。この原因として単位水 量が大きくなり,

W/C

が小さくなることによる材料分離 の影響が挙げられる。材料分離によって密度の大きい構 成材料であるセメント,細骨材,ポリマーが沈降した部 分で電気抵抗を測定した場合,電気抵抗が大きくなった ことが考えられる。

以上から単位水量が

100~140%の間ならば電気抵抗の

測定によりポリマーセメント系断面修復材に添加された 単位水量を推定できる可能性が示された。

図-16 に材齢

7

日の圧縮強度と電気抵抗の関係を示す。

既往の研究

6

より脱型時の電気抵抗と圧縮強度,脱型時 の電気抵抗と材齢

28

日および材齢

91

日の圧縮強度に相 関関係が認められたが,練混ぜ直後の電気抵抗と材齢

7

日の圧縮強度にも相関関係が認められた。また,各断面 修復材で電気抵抗と圧縮強度の関係が異なることから,

断面修復材の材料ごとに電気抵抗と単位水量の関係を明 らかにしておく必要があると考えられる。断面修復材ご とに電気抵抗と単位水量の関係が異なる原因としては,

断面修復材に入っている細骨材の量が異なること,ポリ マーの添加量が異なることなどが考えられる。

4.

おわりに

直流四電極法により計測される電気抵抗は,モルタル の配合条件に影響を受け,特に単位水量に強く影響を受 ける。また,練混ぜ直後のポリマーセメントモルタルの 電気抵抗を計測することで,ポリマーセメントモルタル の単位水量を推定できる可能性が示された。得られた結 果を以下に記載する。

(1)

計測される電気抵抗はモルタルの配合条件である

W/C,S/W

および単位水量に影響を受け,特に単位水 量に強く影響を受ける。

(2)

モルタルの単位水量が一定ならば

S/C

が変化しても 計測される電気抵抗に大きな影響を与えない。

(3)

断面修復材の単位水量が規定量に対して

100~140%

の範囲ならば,電気抵抗の測定により単位水量を推 定できる可能性がある。

(4)

ポリマーセメント系断面修復材の練混ぜ直後の電気 抵抗と材齢

7

日の圧縮強度に相関関係が認められた。

また,この関係は各断面修復材で電気抵抗と圧縮強 度の関係が異なる。

謝辞

本研究は(株)コンステックの佐藤大輔氏,元芝浦工 業大学の寺尾涼氏に助力を得た。ここに厚くお礼申し上 げます。

参考文献

1)

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三坂岳広,太田真帆,伊代田岳史:まだ固まらない コンクリートの水和反応が直流四電極法で計測さ れる電気抵抗に与える影響,コンクリート工学年次 論文集,Vol.39,No.1,pp.505-510,2017.7

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三坂岳広,伊代田岳史:電気抵抗を用いた各種養生 方法による養生効果評価手法の提案,アップグレー ド論文報告集,第

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三坂岳広,太田真帆,伊代田岳史:直流四電極法に

より計測される電気抵抗に影響を及ぼす測定方法 および計測条件の検討,コンクリート工学年次論文 集,Vol.37,No.1,pp.1297-1302,2015.7.7

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