好気的変敗の程度が異なるとうもろこしサイレージ の飼料価値
その他(別言語等)
のタイトル
Nutritive value of corn silage at different stages of aerobic deterioration
著者 松岡 栄, 板垣 隆, 浜田 美紀, 高橋 潤一, 藤田
裕
雑誌名 帯広畜産大学学術研究報告. 第I部
巻 13
号 3
ページ 161‑166
発行年 1983‑11‑30
URL http://id.nii.ac.jp/1588/00002151/
帯人研軌13(1983):161〜166.
16】好気的変敗の程度が異なる とうもろこしサイレージの飼料価値
松岡 栄*・板垣 隆*・浜田美紀*
高橋潤一*■藤田 裕*
(受理:1983年3月25日)
NutritiveValueoTCornSilageatDifferentStages of A(汀Objc DeLerioration
SakaeMATSIJOKA,TakashiIT^GAKT,MikiHAMADA JuIlichiTAKAIIASIIIand HiroshiFuJITA
摘 要
とう‡−ろ乙しサイレージの飼料価値か好気的変敗によりどの程度低下するかを検討するため に.サイロから取り山Lたサイレージを9,10,11日間屋外に堆積放置し,その飼料価値を取 り山L直後のもの(対照)と比較した。消化試軌窒素川納試験はメン羊4頭を用いて実施L た。その結果は次のとおりである。1)堆積したサイレージは放置後3−4日日頃から発熱し 始め,9,軋1】日間放置したものの品温が3げCを越えた日数ほ,それぞれ2,4,6R問で あった。2)サイレージの化学成う)は,変敗により N川.WSCが減少し,机繊維.ADF,
NDF,リグニンが増加し,化学的品質では.pHが上昇し,乳酸含量が減少したが,その割合 は必ずLも堆積放置日数に対応しなかった。3)すべての成分の消化率において∴変傲サイレ
」ジと対照との間に統計的有意薫ほなかったけ>0,05)れ変放により NFEの消化率が低 下しノ,粗繊維,ADF.NDFの消イヒ率が高くなる傾l毎がみられた。4)変数サイレージの養分 含量は対照とあまりかわらなかったれ11口問放置したサイレージにおいて,放置中にDCP,
TI)N,DEがそれぞれ8.8.9.7.11.9%損失した。5)雫茶事積ヰくについてみると,変放サイ レージ給与時と対照との間に有意差はなかったれ1相聞放置したサイレージを給与Lた時に かなり低い値を示Lた。6)第一胃内惟抑ま,変敗サイレジ給与時と対照との問に人きな羞 はなかった。
サイレージ在家畜に給与するとき■ナイUを開封L.な ければ在ら一ないが,こ¢)とき空気にさらされた表面底
部分から発熱Lだすことがある。また,給与するため にサイロから取り出Lて堆積しておいても発熱するこ とがある。これは,や気か侵入することに上り,好気
件のカビや酵母などが残存する養分を利用Lて急激に 培地するためであり.このとき熱が発生するのであ る1)。これは,一般にサイレージの好気的変欺と呼ば れている現象で,最近,その発生が増人1ノており,大 きな問題となっているZ・3〉。
■ 帯広畜産入学家畜生産料学科家畜栄養学教室
* LaboratoryofAnimaユNuLrition,I)叩FIL、LTTIPnl〔一rATlimalScience,ObihiroLIr)jv甘Si一}y【〕f■AgricuL t=丁.E r)(】Vpte■iT rVMediciTle,Obihiro,Hokkaido.Jap且[].
23
松岡 栄ら
16望
オータ種去勢軋このうち2頭はルーメンフィステル 装着.平均体重741【g)を用い,4×4のラテン方略法 により,消化試験および窒素出納試験を実施し,さら に第一胃内性状の測定も行った。
消化試験および窒素出納試験は全糞尿採取法により
行い,予備期7日間,糞尿採取期5日簡とした。また.
第一胃内容液は.糞尿採取斯に引き続き2日間,ルー メンフィステルを適して採取した。
サイレージは.室温で解凍した後,午前8時と午後 4時の1日2臥2.5kgずつ給与した。
分析方法
サイレージの可溶性炭水化物(WSC)はアンスロン 法6〉により,リグニンはA工)Fを72%硫酸で処理する 方法7)によ1て分析Lた.その他については前報5】と 同様の方法で行った。
結 果
サイレージの堆積放置中の温度変化は第1図のとお りである。堆積したサイレージは,すべて放置3〜4 日後に発熱し始め,8日過ぎには約439Cに達した。
しかし,この臥341Cに達してから,わずかではある が,いったん温度が低下したもの,また,320Cに達し てから温度ヒ昇が一時停滞したものなど,堆積により 温度変化の推移は異なっていた。
これまで,著者らは好気的変放がサイレージの飼料
価値に与える影響について一連の試験項〉を実施して
きた中本実額では,前報5)に引き続き,とうもろこし
サイレージを用いてト好気的変戯の程度と飼料価値の
低下割合について検討した。
材料および方法 サイレージの漁製
1鍋0年10月3日に本学付属農協産のデントコ㌧一ン
(責熟期)を細切(10mm)し,約3.7トンを角型タ ワーサイロに詰め込んだ。これを翌年の5月9日にす
べて取り出した。取り出したサイレージを四つに分軋 一つは塵ちに冷凍保存(−180C)し,これを対照サイ
レージとLた亘他の三つは,別々に木枠内に堆積し.
屋外にそれぞれ9,几11日間放達した。放置後.全 体をよく混食してから冷凍保摩した。以降.これちを それぞれ餅nlO⊃.11工トサイレ←ジと呼ぶ。危お.
サイレージの堆積量はそれぞれ約450.450,釘Okgで
点った伊
サイレージの堆徳政層中の温度威化ほ,隔測温度計 検出端子を堆積の中央部に埋め込み,自動温床記録計
を用いて測定した。
試験設計
ヒ記四つのサイレージ忙ついて.メソ半4頭(サフ
0 3
∴一. こニ■しこ﹂⁚︼︑
け∂yS keptlrlthヒ(叩抑
Pig.1.Ch且哨eSiJltemperatureUfElil且ge8StaCkedir)thenpPnairafter beirlgremりVedrrom′silo.
・・‥・9D−Sila留ら−1UD−Silagel一一−−11工)−Silage・
IfiS
好気的変赦サイレージの飼料価値 丁且ble].Chemiealcompositionandchemicalq皿1ityof扇1ages
Silages8I
9工)
10D
Chemica]composition(%)
Drymatter Crudeprotein CrlJdefat Crudefiber N−frel∋eXtraCt Crt】de ash ADF NI)F Lignin
l㌔rSC
Ener郎7(kcal/g)
Chemi(:alquality pH
Organjcacids(%)
Lacti(1且Cid Acetic aeid ProplOnicacid ButyrlCaeid VBN/Total−N(%)
2 一hu ハhU 2 0 7 3 2 0 6 1 1 8 2 7 5 6 4 5 5 5.・5
4 2 5 3 5 2
2 丘U 6 2 3 ∩∂ qV nU 3 2 qU 2 8 2 6 6 6 2 2 5 6.・4
4 2 5 3 5 2
﹁ロ 3 ﹁つ 5 5 2 RU qリ 9 ︵U 7 2 8 2 7 5 8 3 4 4 5.﹂
4 ワー ↑hU 3 5 ∩∠
9 ウ︼ 4 1 ワ山 nd 7 2 5 6 0U
. 51 8 2 5 8 6 1 2 4 7・
4 つ一 ﹁∂ 3 5 2
3.78 4.36 4.30 4.31
4.52 2.53 2.66 2.59
2.60 1.9i 2.34 2.74
trace trace trace trace trace
tr已CetraCe traCe
l.2 0.6 0.6 0.7
印
9Ⅰ),101〕andllD are the silageb
r】
d
y
窒素出納試験の陪乗は第4表のとおりである。サイ レージの給与量は同じであり.すべてのサイレージに おいてほとんど残飼がなかったため,粗蛋白質含蛍の 遠いに対応して,摂取窒素量は異なっていた。窒素蓄 積率についてみると.変放サイレージ給与時と対照と の間に有意差はなかった(P>0.05)が,】1Dサイレ ージ給与時にかなり低い値を示Lた。
第一胃内性状は第5表のとおりである。表中の値札 サイレージ給与虚礼給与後1,2ij.4,5,7時間眉
の計7回の測是値の*均で示した。すべての測定値に おいて.処理間に大きな差はなかった。
考 察
サイレージの好気的変敗の結果として,物質の消耗.
pHの上昇∴温度の上昇が起こることが知られており,
これらを変敗の指標とすることができる8)。本実験で Remarks:1.a)〔7isthesilagetak
from siユr】(conとrOl).
which were stackedi from silo r〔汀9,10an 2.Eachvalueis r)n且dr サイレージの化学成分と化学的品質は第1表のとお
りである。変敗により.NFE,1\FSCが減少し,粗雑 維,ADF.NI肌リグニンが増加した¢化学的品質 ではt変故によりpHがと昇し,乳酸含量が減少した。
サイレージの消化率と養分含量は第2表のとおりで ある。すべての成分の消化率において,対照サイレージ
と変放サイレージの間に統計的有意差はなかった(P>
0.05)が,変欺により.NFEの消化率が低下し,粗 徽軋ADF,NI)Fの消化率が高くなる傾向がみられ た。養分含量では,DC王〕,TI〕N.DEともにサイレ ージ間に大きな差はなかった。
l=ヨ間堆積放置Lたサイレージについては,堆横し た重畳と放置後の看畢を測定し,放副■の差分の損失 量を計算した。その結果は築3表のとおりである。
pcp.TI〕N、DEの損失量を堆検量の割合で示すと,
それぞれ8.a.9.7.11.9%であった。
25
184 松岡 乗ら
Dig電5tiもil軸cQ浦ide氾tSandnuもrientco山entsoft九esil郷S
で且bl¢乱
Silag拙aJ
StaIldard errOI
C gD lOD ll工)
Di耶飢iもHitycoefたcieTlと(即
Drv matter 6 6 5 7 6 6 ごU ﹁∂ ■hけ nD 5 1 ウリ 1 9 3 川b 9
T▲ 5 A.6−=D 2 ﹁∂ l ︵U62.8 62.8 ±1−20 65.2 65.1 ±1.18 52.2 4g.5 ±8.48 75.8 75−4 ±1.03 5飢1 61.6 ±1.94 69.6 68▲6 ±0.95 64.1 63.4 ±1.御 54.4 56.7 ±1.70 57.1 5乳7 ±1.郡
Of官aれicrn′att町 65,8
Crudepr()teiT】
Cru、de一息t Crude fiber N−ft、だeeXtraCt Ener官y ADF NDF
Nutrler】t印可印t DCP,%Ⅰ〕M TI〕N,%迫M
り〃 l 1 8 氏U 2 8
5 右∵乱﹁ 月 ︻トリ 7 4 五隠州 ︵﹁U 心nU 一ハT 4■ 3. .8′hU ︻ソ︼
DE.山王cal/kgDM 2.96 Remarks:1.a)S陀footnoteinTablel.
2・No、Sign主fic乳nt dif托r8れCein di卵StibiIitie6amO叩the
Sil喝e説
恥ble3− Losse5ロゼDM,DCP,TロNandl)円ofthes軸gednringthe ll−day島erobicexposureperiod
A B A息
Silage DM DCP TDN DE
酢Okg 819kg 51 kg
190▲5kg 】73.6kg 16.9kg
8・Okg 7.3k首 0.7kg
121▲3kg lO9・5kg ll・8kg
563.7Mca1 496.5M亡・a1 67.2Mcal Aistheamdu机im】nediaとeユy且ft¢rSta〔:kingir】theopeTlair EIstbeamむuntaft¢rthや1ト血ystacl蛋ingi¶伽openair
T油1包も N血ug印balanceinsheepredonsilag蕗
Si紳iric且れCeOf
difr這㌻¢n餌
betⅣeen Siユ旦那昏
Sil郎狩S8】
standard
C 9口 10工) 11工I 仁けt■Or
Ⅳintake(富/day)
Ninfeces(g/d叩)
Ninurine(g/day)
Ndigested(g/day)
N re血ned(g/d且y)
点弓鮎ofirltake as%Drdige畠もed
14.4 14.9 7.0 7.3 5.0 5.5 7.4 7.7 2.4 2.1 16.4 14.3 32▲0 27_8
15.2 ユ4.4 7.8 7.3 5.8 5.6 7.9 7_1 2.2 1.6 14.2 10;8 27.Ⅰ 21.8
±0・Ul
川1】>9D>C,11Ⅰ〕岬
±D.∩9 土U.26
±0.08 91〕,川D>11D*岬.1n口>C凛
±0.26
⊥1.80 十3,47
R色m畠rks:1.a)S恍foのtnOtei11Taも1el
2・鵜Si印ifiG計h亡白tPく8.05.椚Signirjc且mtatPく0.01.
165
好気的変放サイレージの飼料価値
Table5.Characteristicsoftherumcncor)tentSOfsheepfedonsilages
Sll且酢SきI
C 9D
lO工) 11工)6.77 6.77
6.朗6.76
6.3 6.2 6.4 7.2
7.5 7.4 7.3 7.9
63.0 62,7
6ヨ.264.6 Z2.1 20.9 21.8
21.わ14.9 16.3 15.0 14.4 pH
Ammonla−N(mgノ100ml)
T(】talVFA(mM/100ml)
Molar%ofindividualVFAs Acetic acid
f)ropiol】icacid ButyrlCaCid
Remarks:1.a)SeefoロtnOtein「11ab181・
2.Each val11eis the mean of seven det9rminations(jus土
beforfeeding且ndatl.2,3,4,5aTld7hafterfeeding)・
測定Lなかったが,部位による温度の遠いが予測され る川ので,この点も考慮しなければならないであろう。
サイレージの消化率については,前々報4〉において,
変改により乾軌有機物,粗蛋白免租繊維,NFI∃,
エネルギーの消化率が低下し(Pく0,05),前報5jでほ,
粗蛋白質の消化率が低下し(P<0.05),NアEとエネル ギーの消化率も同様な傾向を示した。Lかし,本実験 では,変故により有意に低下した成分ヰまなく,NFEに おいてのみその傾向があった。これとは反対に,変改 により組織維,ADF,NDpの消化率が高くなる傾向
がみられた。変傲により消化率が高まったとする成分 については,これまで組織維1引とA工)F5)が報告され
ている。
窒素蓄積率についてみると,処理間に有意差はなか ったれ対照に比べ11D一サイレージ給与時にかなり 低い値を示し.変敗による窒素利用率の低下がうかが われた。これは前報4・5〉の結果と一致する。
サイレtジは変故によりその化学成分,発酵品質が 変化する8)ので,変改したサイレージを給与すると,
第一胃内性状に影響を与えることが予想される。しか し,この点について検討した報告は少ないい㌔本尖
験では,すべての測定値において,変放したサイレー ジ給与時の値と対照との閤に大き札差はみられず,本
実験の程度の変放では第一胃内性状に大きな影響を与
えナ封、ちのと思われた。
一般に,変放はサイレージの養分含量を低下させる ものと考えられていが)が∴本実験でほ,11日間堆積 放置したものでも.轟分含量は対照とあまりかわらな かった。しかL,サイレージの堆積激直前後の重量差
27 −
は,サイレージの品温測定が比較的簡単なことから,
サイレージの温度L昇を変敗の指標とし.とくに3()OC を越えた日数に着日した。ちなみに.9,10.11D−サ イレージの30pCを越えた日数はそれぞれ2,4.6口 間であった。
一一般に,サイレージは温度(品乱外気温)の高い ときに変敗が起こりやすく,低いときには起こりにく い町㌔OIIYAMAら町軋サイレージを小型容器(直 径30。m,深さ27cm)に詰めて放置した実験におい て.外気温が10dc以下のときは変炊が起きなかった と報告している。本実験では.5月上旬にサイレージ をサイロから取り出した。このとき,サイロの中央部
はまだ凍結していた。取り出したサイレージ全体を均 一に混ぜてから,屋外に堆積放眉Lたが.このときの
サイレージの品温は7〜9つCであった。また,放置後 4E】問の平均外気温は7.烏DCと低かった。このような 温度条件のもとでも,すべての堆積において故意後3
〜4口日頃からサイレージの発熱がみられた。
0Ⅰ珊AMAら川,lll下・山崎12〉は,変敗が進むにっ れてpHが上昇し,乳酸およぴWSC含量は減少し たと報告している。本実験においても,変敗によるpl王 の上昇.乳酸およぴⅥFSC含量の減少はみられたが,
その割合はサイレージの堆積放置日数,換言すればサ
イレージの発熱期間の良さに対応しなかった。本実験 でほ,サイレージの変敗の程度をサイレージの発動期
間の長さ.とくに30PCを越えてからの口数と関連ず
けたが,乙り他に展高温度,累積温度も変放の程度に
影響を与える要田であることが指摘されている1ヨ)。ま
た,本実験では,堆積の中央部の一ケ所しか温度を
Ⅰ8¢