函数解析学
0.1
始めに
これから函数解析学の入門的な話をします. 内容は次のとうりです. 第1部 Hilbert 空間論 (1) 定義, 閉部分空間, 直交分解 (2) 完全正規直交系, 抽象 Fourier 級数, Schmidt の直交化法 (3) 強収束, 弱収束, 弱コンパクト性 (4) 有界線形作用素, Riesz の定理, 共役作用素 (5) コンパクト作用素, Fredholm の交代定理 (6) コンパクト自己共役作用素, Hilbert-Schmidt の展開定理 第2部 Banach 空間論 Hahan-Banach の定理, 一様有界性の原理, 閉グラフ定理 · · · 函数なんて古めかしい漢字ね. ださいわ! · · · 本見てみたら2本棒と小さい字の文章ばっかりであまり式がなかったけど, 何やるのかな? · · · 具体的な計算なしで一般的なことが分かるらしいけど, 俺, 抽象的なこと言われると机上の空論 みたいで好かんねん. 函数解析とは何か, ということを知るには, 多少歴史的な経緯を頭に入れておくのがよいでしょう. か の Riemann は Riemann 面 上に与えられた特異性をもつ解析関数を構成するのに Dirichlet の原 理を用いたのですが· · · · · · いきなり Riemann 面なんて言われても困るんですけど. そうでした. Riemann 面では難しいから, もっと簡単な例で説明しましょう. Dirichlet の原理 Rn の中に有界領域 Ω をとって次の問題を考えます. −∆u = 0 in Ω u = f on ∂Ω ここで f は与えられた函数です. これを Dirichlet の問題といいます. これを解くのに次のように 考えます. S ={v ∈ C2(Ω); v|∂Ω= f} とおき I(v) = 1 2 Ω|∇v| 2dx という汎関数を考えます. Dirichlet の原理とは infv∈SI(v) を与える v が答えというものです. じつは Dirichlet 以前からこういう考えがあったらしいのですが, 今日では Dirichlet の原理という言い方が定着しています. · · · 汎関数って何でしょう? 言い忘れました. 函数を変数とする函数を汎関数という習慣があります. · · · 函数の函数! 大仰なものを考えるんやな. 汎関数を考えるのも函数解析の特徴です. それはともかく, 問題は infv∈SI(v) を与える v が存在するとは限らない ということを Weierstrass が指摘したことです. このため Riemann の唱えた代数函数論はその基礎 が怪しくなったのですが, H. A. Schwarz や C. Neumann らの工夫によって Dirichlet の原理によら ない Dirichlet 問題の解法が発見され, 代数函数論が完成したのです. さらに Hilbert が弱収束の概 念を提唱し, Dirichlet の原理そのものも救われることになったのです. 函数解析学の発展にとって重要なのは Fredholm の線形積分方程式論です. Fredholm は上の Dirichlet 問題を境界上の積分方程式に書き換え, 無限次元の行列式を考えることによって解きまし た. これは Schmidt や Hilbert らによって無限数列空間上の解析学(今日の l2-理論)へと発展させ られました. · · · 無限次元の線形代数というのがあるのか! 函数解析学の発展のもう一つの大きな動機は量子力学です. J. von Neumann は量子力学の数学的基 礎 という本を著して今日のような Hilbert 空間論を完成させました. それ以前は無限次元行列だっ たのです. さらに S. Banach は Th´eorie des op´erations lin´eaires という本で今日の Banach 空
間論の基礎を築きました. これらは 1900 年から 1930 年くらいまでのことです. · · · そうすると函数解析学そのものはもう完成しているのかな? 非常に難しい未解決問題も残っています. また, 作用素不等式や場の量子論との関係で理論的研究も 続いています. 同時に広い範囲に応用されています. それは線形代数が今日, 数学のいろいろな分野 で用いられていることをみれば納得できるでしょう. · · · どんな本を読めばいいのかな. 最近は本も安くないしな. 函数解析学は記述の仕方が定着しており, 良書が多数あります. どれでもいいですから熟読して下さ い. 特にあげるとすれば 加藤敏夫 位相解析(共立 1966) は最近復刻版が出ましたが, 初学者むけに懇切丁寧に書かれた名著です. アヒエゼール· グラーズマン ヒルベルト空間論 も推奨に値いします.
0.2 Hilbert
空間の定義
何事も滑り出しが肝心です. Hilbert 空間論の最初はたいてい
内積→ norm → Cauchy − Schwarz → 三角不等式 → 距離空間 という具合に進みます.
0.2.1 内積
Hilbert 空間というのは大体, 無限次元ユークリッド空間と思えばいいのです. そこでまず有限次 元の場合を思い出しましょう. Cn z, w に対して (z, w) = n i=1 ziwi とおけば, 次の性質をもつ. (1) (z, z)≥ 0, (z, z) = 0 ⇐⇒ z = 0 (2) (z, w) = (w, z) (3) (αz + βz, w) = α(z, w) + β(z, w), ∀α, β ∈ C そこで一般に C 上のベクトル空間H の任意の元 u, v に対して複素数 (u, v) を対応させる方法が あり, 上の性質をもつときに内積 (inner product) という. そして u =(u, u) を u∈ H のノルム (norm) という.演習 (1) (u, αv + βv) = α(u, v) + β(u, v) (2) (u, v) = 1
4
u + v 2− u − v 2+ i u + iv 2− i u − iv 2
補題 2.1 (1) u ≥ 0, u = 0 ⇐⇒ u = 0. (2) αu = |α| u , ∀α ∈ C.
(3) (Cauchy-Schwarz の不等式)|(u, v)| ≤ u · v . (4) (三角不等式) u + v ≤ u + v .
証明. (3) t∈ R, u, v ∈ H に対して tu + v 2= t2 u 2+ 2Re (u, v) + v 2≥ 0 だから |Re (u, v)| ≤
u · v . (u, v) = reiθ として u の代わりに e−iθu を考えればよい. ♦
演習 (1) d(u, v) = u − v とおけば, d( , ) は距離の公理をみたすことを示せ. (2)|(u, v)| = u · v となるのはどのような場合か? (3) u + v = u + v となるのはどのような場合か? 内積から導かれるノルムに関して完備 (complete) であるとき, i.e. um− un → 0 (m, n → ∞) =⇒ ∃u ∈ H s.t. un− u → 0 のときH を Hilbert 空間という.
0.2.2 例
例 2.2.1 l2 (スモールエルツー). l2={x = (x1, x2,· · ·); xn ∈ C, ∞ n=1 |xn|2<∞} 内積は (x, y) =∞n=1xnyn で定義する. |xnyn| ≤ 1 2(|xn| 2+|yn|2) だから, 和は絶対収束する. 完備 性を示す. x(i), i = 1, 2,· · · を l2のコーシー列とする. |x(i) n − x(j)n | ≤ ∞ k=1 |x(i)k − x(j)k |2 = x(i)− x(j) 各 n に対して xn, i = 1, 2,· · ·, は C のコーシー列. よって ∃xns.t. x(i)n → xn. よって x = (x1, x2,· · ·) とすれば lim i→∞ ∞ n=1 |x(i) n − xn|2= lim i→∞ x (i)− x 2= 0 · · · 最後の部分が怪しいな. 無限和と極限を交換しているぞ. そうでした. ここは次のように論ずるべきところです. まず x(i), i = 1, 2,· · · が H のコーシー列だから x(i) , i = 1, 2, · · · は R のコーシー列(これはどのような Hilbert 空間でも成り立つ. ) したがって特に∃M > 0 s.t. x(i) < M ∀i. そこで任意に m を固定して m n=1 |x(i) n |2≤ ∞ n=1 |x(i) n |2≤ M2 に注意し, 次に m→ ∞ として x ∈ l2. ∀ > 0 ∃N s.t. x(i)− x(j) < ∀i, j > N であるから任意に m を固定して i, j > N のとき m n=1 |x(i) n − x(j)n |2≤ x(i)− x(j) 2≤ 2 が成り立つ. ここで j→ ∞ として m n=1 |x(i) n − xn|2≤ 2 ∀m, m→ ∞ として x(i)− x ≤ ∀i > N. · · · 任意に m を固定して, というあたりがこつかな. 例 2.2.2 L2(Ω). これは単にエルツーオメガと呼ぶ. ラージエルツーとはあまりいわない. Rn の領 域 Ω に対して L2(Ω) = f ; Ω|f(x)| 2dx <∞ 内積は (f, g) = Ω f (x)g(x)dx Ω|f(x)g(x)|dx ≤ 1 2( Ω|f(x)| 2dx + Ω|g(x)| 2dx) だから積分は絶対収束する.
0.2.3 直交分解
内積があると我々の世界(ユークリッド空間)に対する直観をそのまま移行できます. 内積→ 直交分解 → ユークリッド構造 が第2の流れです. 以下H を Hilbert 空間とします. 中線定理 u + v 2+ u − v 2= 2( u 2+ v 2) 演習 何故, 中線定理と呼ぶのか?定理 2.2 Let S be a closed subspace ofH. Then for any u ∈ H, there exists a unique v ∈ S such that u − v = inf w∈S u − w · · · 絵を描いてみればあきらかのような気がするけどな. 絵をかくというのはユークリッド空間の直観をはたらかせているということです. H の部分集合 A に対して A⊥={u ∈ H; (u, v) = 0 ∀v ∈ A} を A の直交補空間 (orthogonal complement) という. 補題 2.3 A⊥ is a closed subspace. 演習H = L2(0, 1), A ={f ∈ H; f(x) = 0 0 < x < 1/2} のとき A⊥ は何か? さて函数解析学の最初の重要な定理が出てきました.
定理 2.4(直交分解) Let M be a closed subspace ofH. Then for any u ∈ H, there exist unique
v∈ M and w ∈ M⊥ such that u = v + w. このことを通常 H = M ⊕ M⊥ とかく. · · · ⊕ は線形代数では直和の意味だったんですけど. 函数解析では断りなしに⊕ を直交分解の意味に使うことがありますので注意して下さい. 定理 2.2 の略証 (存在)d = infw∈S u − w とおく. ∃wn∈ S s.t. u − wn → 0. 中線定理より wm− wn 2= 2 wm− u 2+ 2 wn− u 2− 2(wm+ wn 2 − u) 2 だから (wm+ wn)/2− u ≥ d. これより wm− wn 2≤ 2( wm− u 2+ wn− u 2)− 4d2 だか ら lim supm,n→∞ wm− wn ≤ 2(d2+ d2)− 4d2= 0. よって{wn} は Cauchy 列で S は closed だ から∃v ∈ S s.t. wn− u → 0.
(一意性) 2つの v, vがあったとすると中線定理より v− v 2 = 2 v− u 2+ 2 v− u 2− 2(v+ v 2 − u) 2 ≤ 2d2+ 2d2− 4d2= 0 定理 2.4 の略証. (分解の一意性)u = v1+ w1 = u2 + w2, v1, v2 ∈ M, w1, w2 ∈ M⊥ なら v1− v2= w2− w1. 一般に u∈ M ∩ M⊥=⇒ u = 0 (分解の可能性) u に対して d = u − v = infh∈M u − h となる v ∈ M をとる. w = u − v とお く. ∀h ∈ M, ∀λ ∈ R に対して v + λh ∈ M より d2≤ u − (v + λh) 2 = w − λh 2 = w 2− 2λRe(w, h) + λ2 h 2 = d2− 2λRe(w, h) + λ2 h 2 であるから λ2 h 2− 2λRe(w, h) ≥ 0 ∀λ ∈ R. これより Re(w, h) = 0. h のかわりに ih を考えて上 と同じことをすれば Im(w, h) = 0. これより (w, h) = 0∀h ∈ M だから w ∈ M⊥
0.3
完全正規直交系
3.1 例. ここでやることの意味を理解するには次のことを思い出せば十分です. Cn の例. ei= (0,· · · , 0,1, 0,i · · · , 0), 1 ≤ i ≤ n, とすれば (ei, ej) = δij, かつ Cn ∀z は z =ni=1ziei と展開される. Fourier 級数. H = L2(−π, π), ϕn(x) = √1 2πe inx , n∈ Z, とすると (ϕm, ϕn) = δmn f ∈ L2(−π, π) に対して ˆ fn = (f, ϕn) =√1 2π π −πf (x)e −inxdx を f の Fourier 係数という. 定理 3.1 SN =Nn=−Nfˆnϕn とおくと f − SN = π −π|f(x) − SN(x)| 2dx 1/2→ 0 as N → ∞ 注意. 上のことを通常 f =∞n=−∞fˆnϕn と書く. · · · Fourier 級数は 1, 2 年でやったんやけど L2なんてあんまり詳しくいわなかったな. Fourier 級数がもとの函数にどんな位相で収束するかは本当は難しい問題です. 1, 2 年のうちではこ こは詳しくはできないので,何はともあれどんな函数も三角函数で展開できる,
という粗い理解しかできないだろうと思います. 実は以下でみるように L2の枠組みでの話しの方が
簡単でわかり易いのです.
3.2 抽象 Fourier 級数論. Hilbert 空間H の部分集合 {ϕn}∞n=1が orthonormal system (O.N.S.) とは ⇐⇒ (ϕm, ϕn) = δmn ∀m, n. 演習{ϕn}∞n=1が O.N.S. =⇒ {ϕn}∞n=1は一次独立 定理 3.2 (Bessel の不等式){ϕn}∞n=1を O.N.S. とし f ∈ H に対して ˆfn = (f, ϕn) とおけば ∞ n=1 | ˆfn|2≤ f 2. 証明. f − N n=1 ˆ fnϕn 2= f 2− N n=1 | ˆfn|2 に注意. ♦ O.N.S.{ϕn}∞n=1 が complete (完全)とは ⇐⇒ f − N n=1 ˆ fnϕn 2→ 0 as N → ∞ ∀f ∈ H このことを f =∞n=1fˆnϕn とかく. 定理 3.3 O.N.S.{ϕn}∞n=1に対して以下は同値. (1){ϕn}∞n=1は complete (2) (Parseval の等式) f 2=∞n=1| ˆfn|2. (3) (f, ϕn) = 0∀n =⇒ f = 0 (4) ϕn の有限一次結合全体はH で dense 証明. (1)⇐⇒ (2) は定理 3.2 の証明から. (1) =⇒ (3) は明らか. (3) =⇒ (1) の証明 SN =Nn=1fˆnϕn とおくと Sm− Sn 2= m i=n ˆ fnϕn 2= n i=m | ˆfn|2 だから{Sn} は Cauchy 列. よって ∃g ∈ H s.t. Sn− g → 0. ところが (f − g, ϕn) = 0 ∀n が分 かるから (3) より f− g = 0. よって f − Sn → 0. (1) =⇒ (4) は明らか. (4) =⇒ (1) を示す. 次の補題を使う. 補題 3.4 任意の αn∈ C と任意の N ≥ 0 に対して f − N n=1 αnϕn 2= f − N n=1 ˆ fnϕn 2+ N n=1 | ˆfn− αn|2
この補題は L2(−π, π) の例で言えば, ある函数 f(x) を三角函数で近似したとき, その平均2乗誤差 が一番小さくなるのは係数が Fourier 係数の場合であることを意味しています. 演習 {ϕn} を O.N.S. とするとき以下は同値. (1) {ϕn} は complete (2) (f, ϕn) = (g, ϕn)∀n =⇒ f = g (3) (f, g) = ∞ n=1 ˆ fnˆgn, ∀f, g ∈ H
Complete Orthnormal System を C.O.N.S. と略称することがあります. 演習 Weierstrass の多項式近似定理を用いて三角函数系の完全性を示せ.
(略解)Step 1. C([0, π]) の元は 1, cos x, cos 2x,· · · の一次結合で一様近似できる.
(u(x)∈ C([0, π]) に対して v(y) = u(arccos y) ∈ C([−1, 1]) だから v(y) は y = cos x の多項式で 一様近似される. cosnx = 1 2n−1 cos nx + n 1 cos(n− 1)x + · · · に注意する.)
Step 2. C0((0, π)) の元は sin x, sin 2x,· · · の一次結合で一様近似できる. (u∈ C0((0, π)) に対して v(x) = u(x)/ sin x∈ C([0, π]) だから |v(x) − k=1 naksin x| < と一様近似できる. よって |u(x) − k=1 naksin x cos kx| < と一様近似できるから,
2 sin x cos kx = sin(k + 1)x− sin(k − 1)x を使う.)
Step 3. u∈ C([−π, π]), u(−π) = u(π) ならば u(x) は einx で一様近似できる. Step 4. einx/√2π(n∈ Z) は L2((−π, π)) で完備. · · · あのな, おれ Lebesgue 積分っていわれるととたんに頭の中が真っ白になるねん. . . . そもそも C0((0, π)) なんてのを説明なしに使うのけしからんわ. Lebesgue 積分を復習するのは手間がかかるので, 講義ではなるべくあっさりすませたいと思うので すが, この辺があいまいなためにだんだんこぼれ落ちて行く, というのが実情でしょう. I = (0, 1) 上 の Lebesgue 積分のことを少し復習しましょう. Lebesgue 積分のこつは, まず階段函数で考えるということです. (こう限定してしまうと本当はい ろいろ問題が出てくるのですが, 最初はこうした方がいいはずです.) 例えば f (x)∈ L2(I) に対して 1 0 |ϕn(x)− f(x)| 2dx→ 0 となる階段函数の列{ϕn(x)} が存在します. これは基本知識として認めてよいでしょう. そこで次 の補題を考えます.
補題 f ∈ L2(I) と > 0 に対して f − g L2(I) < をみたす g∈ L2(I) でしかも 0 と 1 の近くで常
に 0 であるようなものが存在する.
(略証)∀ > 0 ∃step function ϕ s.t. f − ϕ < . そこで ϕ を 0 と 1 のそばで 0 とおく. 定義 C0(I) とは f ∈ C(I) で supp f が I のコンパクト集合であるようなものの全体である. I = (0, 1) という開区間のときにはその中のコンパクト集合 K というのは I に含まれる有界閉集合
ですから, ある δ > 0 が存在し, K⊂ (δ, 1 − δ) となります. ですから f ∈ C0((0, 1)) なら f は 0 と 1 の近くで 0 になっています.
さて Lebesgue 積分で是非覚えておかなくてはいけないのは, Friedrichs の molifier (軟化子) と呼ばれる次のような函数です.(これも必ずしも Friedrichs の専売特許とは言い切れないように思 うのですが)
ρ(x)∈ C0∞(R),
Rρ(x)dx = 1
ただし区間 I に対して C0(I) = C0(I)∩ C∞(I). R 上の函数 f に対して
ρ∗ f(x) = R ρ(x− y)f(y)dy, ρ(x) = 1 ρ( x ) とおく. つぎの定理は非常によくつかいます. 定理 (1) f ∈ Lp(R) なら ρ∗ f ∈ LP(R)∩ C∞(R) かつ ρ∗ f → f in Lp(R). (2) supp f⊂ (a, b) なら supp ρ∗ f ⊂ (a − , b + )
· · · Lebesgue 積分の講義の最後の方で出てきたような気がするんやけど, このころにはダウンして たな. これだけはよく復習しておいて下さい. 3.3 Schmidt の直交化法. Hilbert 空間H の部分集合 {fn}∞n=1 が一次独立とする. このとき次のよ うなベクトルの列{ϕn} が存在する. (1){ϕn} は O. N. S. (2)∀n に対して f1,· · · , fn が生成する部分空間と ϕ1,· · · , ϕn が生成する部分空間は等しい. · · · 無限集合が一次独立というのは何かな? その中から任意に有限個のベクトルをとってくると一次独立になっている, ということです. (Schmidt の直交化の証明) ϕ1= f1/ f1 とおく. ϕ2を作るには ψ2= f2+ aϕ1とし (ψ2, ϕ1) = 0 となうように a を決め, ϕ2= ψ2/ ψ2 とする. 一般には ψn = fn−n−1k=1(fn, ϕk)ϕk, ϕn= ψn/ ψn とおけばよい. Hilbert 空間H が可分 (separable) とは H の中に可算個の元からなる稠密な集合が存在するこ と. i.e. ∃f1, f2,· · · ∈ H s.t. ∀u ∈ H, ∀ > 0, ∃n s.t. u − fn < . 定理 3.5 可分な Hilbert 空間には可算個の元からなる C.O.N.S が存在する.
(証明)H は可分だから ∃{fn} dense in H. このとき {fn} の部分集合 {gn} で {gn} は一次独立, しかも gn たちのの一次結合全体はH の中で dense となるものが存在する.
演習 これを示せ.
第
4
話 種々の例
4.1 l2 (スモールエルツー). l2={x = (x1, x2,· · ·); xn ∈ C, ∞ n=1 |xn|2<∞} 内積は (x, y) = ∞ n=1 xnyn で定義する. |xnyn| ≤ 1 2(|xn| 2+|yn|2) だから, 和は絶対収束する. 完備性を示す. x(i), i = 1, 2,· · · を l2 のコーシー列とする. |x(i) n − x(j)n | ≤ ∞ k=1 |x(i)k − x(j)k |2 = x(i)− x(j) 各 n に対して xn, i = 1, 2,· · ·, は C のコーシー列. よって ∃xns.t. x(i)n → xn. よって x = (x1, x2,· · ·) とすれば lim i→∞ ∞ n=1 |x(i) n − xn|2= lim i→∞ x (i)− x 2= 0 · · · 最後の部分が怪しいな. 無限和と極限を交換しているぞ. そうでした. ここは次のように論ずるべきところです. まず x(i), i = 1, 2,· · · が H のコーシー列だから x(i) , i = 1, 2, · · · は R のコーシー列 (これはどのような Hilbert 空間でも成り立つ. ) したがって特に∃M > 0 s.t. x(i) < M ∀i. そこで任意に
m を固定して m n=1 |x(i) n |2≤ ∞ n=1 |x(i) n |2≤ M2 に注意し, 次に m→ ∞ として x ∈ l2. ∀ > 0 ∃N s.t. x(i)− x(j) < ∀i, j > N であるから任意に m を固定して i, j > N のとき m n=1 |x(i) n − x(j)n |2≤ x(i)− x(j) 2≤ 2 が成り立つ. ここで j→ ∞ として m n=1 |x(i) n − xn|2≤ 2 ∀m, m→ ∞ として x(i)− x ≤ ∀i > N. · · · 任意に m を固定して, というあたりがこつかな. l2の C.O.N.S. の例として (1, 0,· · ·), (0, 1, 0, · · ·), · · · 4.2 L2(Ω). これは単にエルツーオメガと呼ぶ. ラージエルツーとはあまりいわない. Rn の領域 Ω に対して L2(Ω) = f ; Ω|f(x)| 2dx <∞
内積は (f, g) = Ωf (x)g(x)dx Ω|f(x)g(x)|dx ≤ 1 2( Ω|f(x)| 2dx + Ω|g(x)| 2dx) だから積分は絶対収束する. 4.2.1 Legendre の多 項式 L2((−1, 1)) で 2n + 1 2 Pn(x), Pn(x) = 1 2nn! d dx n (x2− 1)n, n = 0, 1, 2,· · · 4.2.2 Hermite の多項式 L2((−∞, ∞) で (2nn!)−1/2π−1/4Hn(x)e−x2/2, Hn(x) = (−1)nex2 d dx n e−x2, n = 0, 1, 2,· · · 4.3.3 Laguerre の多項式 L2((0,∞) で (n!)−1Ln(x)e−x2/2, Ln(x) = ex2 d dx n (xne−x2), n = 0, 1, 2,· · ·
4.3 Hilbert space of analytic functions. C の領域 D をとり
H2(D) ={f(z) : analytic inD, D|f(x + iy)| 2dxdy <∞} とおく. H2(D) f, g に対して (f, g) = Df (x + iy)g(x + iy)dxdy とする. 完備性の証明に次の補題を用いる. 補題 f (z) が|z − z0| < R で analytic なら |f(z0)|2≤ 1 πR2 |z−z0|<R |f(z)|2dxdy 特に D ={|z| < 1} のとき n + 1 π z n ∞ n=0 は C.O.N.S.
第
5
話 強収束と弱収束
Hilbert 空間 H の元 f1, f2,· · · に対して fn− f → 0 (n → ∞) のとき fn は f に強収束する (strong convergence) という. fn → f in H と書く. ∀g ∈ H に対して (fn, g) → (f, g) (n → ∞) のとき fn は f に弱収束する (weak convergence) という. 書き方は決まってはいないが, 例えば fn → f weakly in H とでもしておけば間違いないであろう. · · · 弱い収束だなんてなんだか頼りないわ. これは実は強力な概念なのです. 補題 弱収束極限は一意的.補題 fn→ f weakly in H =⇒ f ≤ lim inf fn . 証明. |(fn, f )| ≤ fn · f で下極限をとる. 弱収束は無限次元のときに意味のある概念です. 演習問題 (1) fn→ f in H =⇒ fn→ f weakly. (2) CN においては fn→ f weakly =⇒ fn→ f in Cn. 無限次元のときには弱収束から強収束はでて来ません. 補題 無限次元 Hilbert 空間H の中に O. N. S. {ϕn} をとれば ϕn→ 0 weakly. しかし ϕn は H に おいては強収束しない. 証明. Bessel の不等式から弱収束が分かる. m= n のとき ϕm− ϕn 2= 2 だから強収束はしない. 定理 Hilbert 空間H の中に単位球 S をとると S が コンパクト⇐⇒ dim H < ∞. しかし弱コンパクトという概念を考えると, それは無限次元でも通用する. 定理H を可分な Hilbert 空間とすれば, H の有界集合は弱コンパクトである. すなわち H の部分集 合 S がある M > 0 に対して f < M, ∀f ∈ S をみたせば S の中に点列 f1, f2,· · · とある g ∈ H が存在し, fn→ g weakly. 証明. {ϕn} を H の C.O.N.S. とする. 集合 {(f, ϕ1); f ∈ S} は C の中の有界集合だから, 収束する 部分列{(fn, ϕ1); n = 1, 2,· · ·} が存在する. 数列 {(fn, ϕ2); n = 1, 2,· · ·} は C の有界集合だから収 束する部分列が存在する. それを (fn2(1), ϕ2), (fn2(2), ϕ2), (fn2(3), ϕ2), · · · ; n2(1) < n2(2) < n2(3)→ ∞ と書く. 以下同様にして k を定めるごとに部分列 fnk(l) (l = 1, 2,· · ·) を選んで {(fnk(l), ϕk)}∞l=1 が収束するようにできる. gk = fnk(k) とおけば∀n に対して (gk, ϕn), k = 1, 2,· · · , は収束する. こ れから∀f ∈ H に対して {gk, f )} が Cauchy 列であることが分かる. (なぜなら f =∞n=1αnϕn と 展開し SN =Nn=1αnϕn とおけば ∀ > 0, ∃N s.t. f − SN < . (gk, f )− (gl, f ) = (gk, SN)− (gl, SN) + (gk, f− SN)− (gl, f− SN) とすれば |(gk, f )− (gl, f )| ≤ |(gl, SN)− (gl, SN)| + 2M となるから) そこで T (f ) = limn→∞(f, gn) とする. T (f ) は f に関して linear で |T (f)| ≤ M f である. 後に述べる Riesz の定理により ∃g ∈ H s.t. (f.g) = T (f) ∀f ∈ H となる. これは (f, g) = limn→∞(f, gn)∀f ∈ H を意味する.
第
6
話 有界線形作用素
Cn における有界線形作用素とは n× n 行列のこと. 演習問題 A = (aij) を n× n 行列とするとき |Ax| ≤ ⎛ ⎝n i,j=1 |aij|2 ⎞ ⎠ 1/2 |x|, ∀x ∈ Cn 以下H1,H2 を Hilbert 空間とし, · 1, · 2 をそのノルムとする. 定義H1 からH2 への map T が bounded linear operator であるとはT (αf + βg) = αT (f ) + βT (g), ∀f, g ∈ H1, ∀α, β ∈ C, ∃M > 0 s.t. T (f) 2≤ M f 1, ∀f ∈ H1 が成り立つこと. 注意 Linear operator に対しては T (f ) のかわりに T f と書く. 補題 T :H1→ H2 が linear operator であるとき T が conti.⇐⇒ ∃M > 0 s.t. T f 2≤ M f 1, ∀f ∈ H1 右辺が成り立つとき T を有界 (bounded) という. 証明. =⇒ T が bounded でないとすると ∀N ∃fN ∈ H1 s.t. fN 1 = 1, T fN 2 > N . gN = fN/ T fN 2とおくと gN → 0, T gN 2= 1. 矛盾. ♦
記号 B(H1;H2) =H1 からH2 への bounded linear operator 全体 (L(H1;H2) と書くこともあ る). T, S∈ B(H1;H2), α, β∈ C に対して (αT + βS)(f ) = αT f + βSf, ∀f ∈ H1 と定義すれば B(H1;H2) は linear space 定義 T ∈ B(H1;H2) に対して supf1=1 T f 2 を T のノルムといい T と書く. 以下 · 1, · 2の 1, 2 等を省略する. 補題 T = sup f≤1 T f = supf=0 T f f = inf{M; T f ≤ M f , ∀f ∈ H1}. 例 (掛け算作用素, multiplication operator)
H1=H2= L2(Ω), a(x)∈ L∞(Ω), (Af )(x) = a(x)f (x), ∀f ∈ L2(Ω) のとき =⇒ A ∈ B(L2(Ω); L2(Ω)), A = ess.supx∈Ω|a(x)|.
例 (積分作用素, integral operator) H1=H2= L2(Ω), (Af )(x) =
Ωa(x, y)f (y)dy, ∀f ∈ L 2(Ω)
ただし
sup x∈Ω
Ω|a(x, y)|dy = M1<∞, supy∈Ω
Ω|a(x, y)|dx = M2<∞
=⇒ A ∈ B(L2(Ω); L2(Ω)), A ≤M1M2
H から C への有界線形作用素を特に bounded linear functional という. H∗= B(H; C) = bounded linear functional 全体
定理 (Riesz)∀T ∈ H∗ に対して g∈ H が唯一つ存在し T f = (f, g), ∀f ∈ H. しかも T = g . Proof. (g の uniqueness) (f, g1) = (f, g2)∀f ∈ H なら g1= g2. (g の存在)T = 0 なら g = 0 ととればよいから T = 0 とする. N = {f ∈ H; T f = 0} とする. N は closed である. H = N ⊕ N⊥ と直交分解する. Claim dim N⊥= 1. (N⊥= {0} だから ∃f0∈ N⊥ s.t. f0= 0. ∀f ∈ H に対して f −T fT f0f0∈ N だから f = f − T f T f0f0 + T f T f0f0∈ N + N ⊥ となり N⊥ のどんな元も f0の定数倍.) よって f1 = f0/ f0 とおけば ∀f ∈ H は f = f + (f, f1)f1, f ∈ N と書ける. よって T f = (f.f1)T f1. g = T f1f1 ととれば∀f ∈ H に対して T f = (f, g). ( T = g の proof). |T f| = |(f, g)| ≤ f · g より T ≤ g . |T g| = |(g, g)| = g 2 より |T g| g = g . よって T ≥ g . (証明終わり) 作用素の収束 H1,H2 : Hilbert 空間, Tn, T ∈ B(H1;H2), n = 1, 2,· · · Tn→ T in norm ⇐⇒ Tn− T → 0, Tn→ T strongly ⇐⇒ Tnf− T f → 0 ∀f ∈ H1, Tn → T weakly ⇐⇒ (Tnf, g)→ (T f, g) ∀f, g ∈ H1. 補題 ノルム収束 =⇒ 強収束 =⇒ 弱収束 例 Tn ∈ B(l2; l2) を Tn(x1, x2,· · ·) = (xn, xn+1,· · ·) と define. Tn → 0 strongly である. もしも Tn→ T in norm なら T = 0 のはずである. しかるに Tn = 1 だから Tnは作用素ノルムでは収束 しない.
例 H = L2(R1), (Tnf )(x) = f (x− n) とすると Tn→ 0 weakly (f, g ともにコンパクト台のと き (Tnf, g)→ 0 を示せ). 一方 Tnf = f であり, Tn は強収束しない. 共役作用素 (adjoint operator) S, T ∈ B(H; H) とする. 定義 S = T∗⇐⇒ (T f, g) = (f, Sg) ∀f, g ∈ H このとき S を T の共役作用素という. 補題 f ∈ H に対して f = sup g=1|(f, g)| 補題 (1) (T∗)∗= T (2) T∗ = T 証明 (2) T∗ = sup f=1 T ∗f = sup f=g=1|(T ∗f, g)| = sup f=g=1|(f, T g)| = T ♦ 例 H = L2(Ω), (Af )(x) =
Ωa(x, y)f (y)dy
sup x∈Ω
Ω|a(x, y)|dy < ∞, supy∈Ω Ω|a(x, y)|dx < ∞ =⇒ (A∗f )(x) = Ωa(y, x)f (y)dy
第
7
話 コンパクト作用素
補題 (復習) fn∈ H, supn fn < ∞ =⇒ ∃{fni} subsequence s.t. fni→ f weakly
上の補題の逆が重要である. 補題 fn∈ H, fn→ f weakly =⇒ supn fn < ∞ 証明 f = 0 としてよい. supn fn = ∞ とする. 必要なら部分列をとり fn → ∞ としてよい. Claim ∃{fnj} subsequence s.t. fnj ≥ 1, |(fni, fnj)| ≤ 4−i if j > i, fni fnj ≤ 4−j if j > i (n1>> 1 ととって fni ≥ 1 (∀i) となるようにする. (fn1, fn)→ 0, fn → ∞ より ∃n2> n1 s.t. |(fn1, fn2) < 4−1, fn1 fn2 ≤ 4 −2. 以下同様.) g =∞j=12jfnj/ fnj 2とおく. 無限和は強収束する. ⎛ ⎝∞ j=1 2j fnj fnj 2 ≤∞ j=1 2j fni fnj 2 · 1 fni ≤ 1 fn1 ∞ j=1 2j× 4−j <∞ ⎞ ⎠
(g, fni) = 2i+ j=i 2j(fnj, fni) fnj 2 1≤ j ≤ i − 1 のとき |(fni, fnj)| fnj 2 ≤ |(fni, fnj)| ≤ 4−j j≥ i + 1 のとき |(fni, fnj)| fnj 2 ≤ fni fnj ≤ 4 −j よって|(g, fni)| ≥ 2i− j=i2j4−j ≥ 2i− ∞ j=12−j → ∞ (i → ∞). 矛盾 ♦ K∈ B(H; H) とする. K が compact operator⇐⇒ fn ≤ M ∀n ≥ 1 =⇒ ∃fni subsequence s.t.{Kfni} is convergent in H 即ち K は有界集合を相対コンパクト集合に写す. 演習問題 K∈ B(Cn; Cn) なら K はコンパクト作用素 定理 K が compact operator⇐⇒ fn→ 0 weakly =⇒ Kfn→ 0 strongly
証明. =⇒ fn → 0 weakly とする. Lemma から supn fn < ∞ だから ∃fni subsequence s.t.
Kfni → g in H. このとき g = 0 である. ((Kfni, h) = (fni, K∗h) で ni → ∞ として (g, h) = 0).
従って{fn} の任意の部分列 {fn} に対して適当な (部分)部分列 {fn} をとれば Kfn → 0 だか
ら部分列をとらなくても Kfn → 0
⇐= supn fn < ∞ とする. Lemma より ∃fni subsuquence s.t. fni → f weakly. よって K(fni−
f )→ 0 だから Kfni は強収束する. 重要な例 (Hilbert-Schmidt 型作用素) H = L2(Ω) (Kf )(x) = ΩK(x, y)f (y)dy, Ω×Ω|K(x, y)|
2dxdy <∞ =⇒ K は compact operator
証明. Φ(x) =Ω|K(x, y)|2dy とおくと Φ(x)∈ L1(Ω). fn→ 0 weakly とすると fn ≤ M (∀n ≥ 1) である. |(Kfn)(x)|2≤ |K(x, y)|2dy |f(y)|2dy≤ MΦ(x) だから x ∈ Ω を固定して gx(y) = K(x, y) とおくと gx ∈ L2(Ω) かつ Kfn = (fn, gx) より Kfn(x)→ 0 a.e. Lebesgue の定理から |Kfn(x)|2dx→ 0 定理 (1) Kn (n = 1, 2,· · ·) が compact, Kn− K → 0 =⇒ K も compact (2) K1, K2 が compact =⇒ αK1+ βK2, α, β ∈ C, も compact (3) K が compact, T が有界 =⇒ T K, KT も compact (4) K が compcat =⇒ K∗ も compact 証明. (1) fn→ 0 weakly とする. Kfn ≤ Kfn− Kpfn + Kpfn ≤ K − Kp fn + Kpfn ≤ M K − Kp + Kpfn
より lim supn→∞ Kfn ≤ M K − Kp → 0 (p → ∞)
(4) fn → 0 weakly なら K∗fn 2 = (fn, KK∗fn) より K∗fn 2 ≤ M KK∗fn → 0 (KK∗ は compact).
コンパクト作用素に関する閉値域の定理 以下 H = Hilbert space, K = compact とする. Null(A) ={u ∈ H; Au = 0}, Ran(A) = {Au; u ∈ H}
補題 (1) dim Null(1− K) < ∞ (2) Ran(1− K) は closed
証明. (1) f ∈ Null(1 − K) なら f = Kf. よって S = {f; f = 1, f ∈ Null(1 − A)} とすれば,
S = K(S). K は compact 作用素だから K(S) は compact set. よって S は compact set だから
dim Null(1− K) < ∞.
(2) V = Null(1− K) とおく. V は closed である. H = V ⊕ V⊥ と直交分解する. Claim ∃C > 0 such that f ≤ C (1 − K)f ∀f ∈ V⊥.
(成り立たないとすると∃fn∈ V⊥such that fn = 1, (1−K)fn → 0. すると ∃fni (subsequence)
s.t. Kfni → g. (1 − K)fni → 0 より fni → g だから Kfni → Kg. よって Kg = g だから g ∈ V .
一方 fni ∈ V⊥, fni → g より g ∈ V⊥. 従って g∈ V ∩ V⊥ より g = 0. よって fni → 0 となるが,
これは fni = 1 に矛盾.)
Ran (1− K) が closed であることを示す. fn ∈ Ran (1 − K) とし fn = (1− K)gn とする. gn ∈ V⊥ としてよい. Claim より gn− gm ≤ C (1 − K)(gn− gm) = C fn− fm → 0 だから gn → g. よって fn = (1− K)gn→ (1 − K)g.
補題 1− K が onto =⇒ 1 − K が 1 : 1
証明. T = 1− K とおく. T = 1 to 1 とする. Mn = {f ∈ H; Tnf = 0} とおく. Mn は closed subspace. M0 = {0} ⊂ M1 ⊂ M2 ⊂ · · · Mn ⊂ · · ·. T が 1 to 1 でないことより ∃f1 = 0
s.t. T f1 = 0 i.e. f1 ∈ M0, f1 ∈ M1. T は onto だから∃f2 s.t. f1 = T f2 i.e. f2 ∈ M1,
T2f2 = T f1 = 0. f2 ∈ M2. 以下同様にして ∃fn s.t. fn ∈ Mn−1, fn ∈ Mn. よって ∀n に対 して Mn は Mn+1 の真部分集合. Mn, Mn+1 は closed だから Mn+1 = Mn⊕ Mn⊥, ただし ⊥ は Mn+1の中での直交補空間. よって ∃ϕn+1∈ Mn+1 s.t. ϕn+1⊥ Mn, ϕn+1 = 1. Kϕn− Kϕm= (1− T )ϕn− (1 − T )ϕm = ϕn− (T ϕn+ ϕm− T ϕm). n > m のとき T ϕn+ ϕm− T ϕm ∈ Mn−1 である. ( Tn−1(T ϕn+ ϕm− T ϕm) = Tnϕn+ Tn−m−1Tmϕm− Tn−mTmϕm = 0). これより Kϕm− Kϕn 2= ϕn 2+ T ϕn+ ϕm− T ϕm 2≥ 1 だから {Kϕn} は収束する部分列を含まない. 補題 1− K が 1 to 1 =⇒ 1 − K が onto 証明. 一般に有界作用素 T に対して Ran T が dense⇐⇒ T∗が 1 to 1 (証明は後回し). T = 1− K は 1 to 1 =⇒ Ran T は dense. T∗= 1− K∗ で K∗は compact. よって Ran T∗ は closed だから Ran T∗=H. T∗ は 1 to 1 だから Ran T は dense かつ closed. よって Ran T =H.
補題 (1) T が有界なら
(2) K が compact なら Ran (1− K) = (Null (1 − K)∗)⊥
証明. (1) (T f, g) = (f, T∗g) より g ⊥ Ran T ⇐⇒ (f, T∗g) = 0 ∀f ⇐⇒ g ∈ Null T∗. よって (Ran T )∗= Null T∗. これより ((Ran T )⊥)⊥ = (Null T∗)⊥.
補題 一般にH の subspace (closed とは限らぬ) に対して (1) S⊥=S⊥ (2) (S⊥)⊥= S 証明. (1) exercise. (2) S が closed の場合に示せばよい. H = S ⊕ S⊥ だから x⊥ S⊥⇐⇒ x ∈ S を 示せばよい. =⇒ は x = x1+ x2, x1∈ S, x2∈ S⊥ とすると 0 = (x, x2) = (x2, x2) だから x2= 0. ⇐= は x ∈ S なら (x, y) = 0 ∀y ∈ S⊥ より x⊥ S⊥.
Fredholm の交代定理 K を compact operator とし方程式 (1− K)u = f を考える.
Case 1 : 1− K が 1 to 1 のとき 1 − K は onto. よって方程式は一意可解
Case 2 : 1− K が 1 to 1 でないとき Ran (1 − K) = Null (1 − K∗))⊥ だから f⊥ Null (1 − K∗) の とき方程式は解ける.
第
8
話 コンパクト自己共役作用素
直交射影 Hilbert spaceH の中に closed subspce V をとり H = V ⊕ V⊥ と直交分解する. すなわ ち任意の f ∈ H に対して g ∈ V と h ∈ V⊥ が唯一つ存在し, f = g + h と書ける. 写像 f → g を V への orthogonal projection といい, g = P f と書く. 補題 (1) P ≤ 1 (2) P2= P (3) P∗= P (4) (P f, f )≥ 0 ∀f ∈ H 証明. (1) P f 2+ h 2 = f 2. (2) P f = g = g + 0 ∈ V + V⊥ だから P2f = P g = g = P f . (3) f = f1+ f2 ∈ V + V⊥, g = g1+ g2 ∈ V + V⊥ とすると (P f, g) = (P f, g1) = (P f, P g), (f, P g) = (f1, P g) = (P f, P g). (4) (P f, f ) = (P2f, f ) = (P f, P f )≥ 0. 自己共役 T∈ B(H; H) が自己共役 (self-adjoint) とは T∗= T であること. 例 H = L2(Ω) で A が a(x, y) を積分核にもつ積分作用素のとき A が自己共役⇐⇒ a(x, y) = a(y, x) T ∈ B(H; H) に対して T f = λf, 0 = f ∈ H, λ ∈ C が成り立つとき λ を T の固有値, f を固有 ベクトルという. 定理 K をコンパクト自己共役とするとき (1) K の固有値はすべて実数. 相異なる固有値に対する固有ベクトルは互いに直交する. (2) 0 でない固有値に対応する固有空間は有限次元. (3) 固有値の集積点は(もし存在しても)0 のみ.
証明. (2) Vλ={f; Kf = λf} とおく. dim Vλ=∞ とする. Vλの中に O.N.S.{ϕn} をとる. ϕn→ 0 weakly で K はコンパクトだから Kϕn → 0. 一方 Kϕn = |λ| = 0. (4) λ1, λ2,· · · を固有値とし λn→ λ = 0 とする. ϕn を λn に対する固有ベクトルとすれば{ϕn} は O.N.S. そこで (3) と同じ ように論ずる. 演習問題 A が有界自己共役で (Af, f ) = 0∀f ∈ H なら A = 0. Hint (A(f + g), f + g) を考えよ.
A が有界自己共役で A= 0 なら supf=1(Af, f ) > 0 または inff=1(Af, f ) < 0 である. 補題 K = コンパクト自己共役で sup f=1(Kf, f ) > 0, かつ ∃f0∈ H s.t. f0 = 1, (Kf0, f0) = supf=1(Kf, f ) =⇒ f0⊥ g =⇒ Kf0⊥ g 証明. g= (f0+ g)/1 + 2 g 2とおく. g= 1 であり (Kg, g) = (Kf0, f0) + 2Re(Kf0, g) + O(2) となる. Re(Kf0, g)= 0 とすれば を適当にとって K(g, g) > (Kf0, f0) とできるから矛盾. よって (Kf0, g) = 0 である. g のかわりに e−iθg, (Kf0, g) = eiθ|(Kf0, g)| ととって (Kf0, g) = 0 と なる. 補題 上の補題と同じ仮定, かつ∃f0 s.t. f0 = 1, (Kf0, f0) = supf=1(Kf, f ) ならば f0 は K の 固有ベクトル 証明. M = {tf0; t ∈ C} とおく. M は1次元. f0 ⊥ M⊥ =⇒ Kf0 ⊥ M⊥ =⇒ Kf0 ∈ M =⇒ Kf0= αf, ∃α ∈ C. 固有値, 固有ベクトルの構成 K をコンパクト自己共役とする. S1= supf=1|(Kf, f)| (S1= 0 と 仮定) とおくと ∃fn s.t. fn = 1, |(Kfn, fn)| → S1. このとき∃{fn} (部分列) s.t. fn → ϕ1 weakly. よって Kfn → Kϕ1 strongly だから S1 = |(Kϕ1, ϕ1)| である. ϕ1 = 1 である. ( ϕ1 ≤ lim inf fn = 1 である. もし ϕ1 < 1 とすると g = ϕ1/ ϕ1 とおけば g = 1 で |(Kg, g)| = |(Kϕ1, ϕ1)|/ ϕ 2= S1/ ϕ1 2> S1で矛盾). |(Kϕ1, ϕ1)| = supf=1|(Kf, f)| 故 ϕ1は K の固有ベクトル. Aϕ1= λ1ϕ1 とすると|λ1| = |(Aϕ1, ϕ1)| = S1. 固有値 |λ1| ≥ |λ2| ≥ · · · ≥ |λn| と固有ベクトル ϕ1, ϕ2,· · · , ϕn が構成されたとする. Mn を ϕ1,· · · , ϕn で生成される空間とする. Mn は K-不変である (i.e. f ∈ Mn =⇒ Kf ∈ Mn). H = Mn⊕ Mn⊥ と直交分解すれば Mn⊥ も K-不変. Mn⊥ 上で上と同じ議論をして K の固有値 λn+1と固 有ベクトル ϕn+1を作る. (Case 1) ある m に対して (Kf, f ) = 0∀f ∈ Mm⊥ のとき. Kf = 0∀f ∈ Mm⊥. (Case 2) Case 1 以外のとき無限個の λn, ϕn が得られる. |λ1| ≥ |λ2| ≥ · · · , λn = 0 である. M を ϕ1, ϕ2,· · · で張られる部分空間の closure とする. M⊥ = ∩∞n=1Mn⊥ である. f ∈ M⊥ のと き f ∈ Mn⊥ だから |(Kf, f)| ≤ |λn| f 2 である. ここで λn → 0 である (ϕn → 0 weakly より |λn| = |(Kϕn, ϕn)| → 0). よって M⊥ 上で (Kf, f ) = 0 であることより Kf = 0, f∈ M⊥.
定理 (Hilbert-Schmidt の展開定理) K がコンパクト自己共役なら固有値 λn, 固有ベクトル ϕn, ϕn = 1 が存在し, f = n (f, ϕn)ϕn, ∀f ∈ (Null K)⊥, Kf = n λn(f, ϕn)ϕn ∀f ∈ H.
第
9
話 線形積分方程式
L =− d 2 dx2 + q(x), q(x)∈ C(I), I = [0, 1] q(x) > 0 on I とする. 境界値問題(L− λ)u = f on I, u(0) = u(1) = 0 を解きたい. Green 関数 次のような ϕ1, ϕ2をとる : Lϕ1= Lϕ2= 0 on I, ϕ1(0) = 0, ϕ1(0) = 1, ϕ2(1) = 0, ϕ2(1) = 1 補題 ϕ1, ϕ2は一次独立. 証明. ϕ1= cϕ2 なら ϕ1(0) = ϕ1(1) = 0 だから 0 = 1 0 (−ϕ 1+ qϕ1) ϕ1dx = 1 0 |ϕ 1|2+ q|ϕ1|2dx よって w := ϕ1(x)ϕ2(x)− ϕ1(x)ϕ2(x) = Const.= 0. G(x, y) = −1 wϕ2(x)ϕ1(y) x > y −1 wϕ1(x)ϕ2(y) x < y を L の Green 関数という.
性質 (1) G(x, y)∈ C(I × I), G(0, y) = G(1, y) = 0 0 < ∀y < 1.
(2) G(x, y) = G(y, x) real-valued (3) x= y のとき − ∂2 ∂x2 + q(x) G(x, y) = 0 (4) Gx(x, y) = ∂ ∂xG(x, y) とおくと Gx(x + 0, x)− Gx(x− 0, x) = −1 ∀0 < x < 1 補題 (Gf )(x) = 1 0 G(x, y)f (y)dy
(L− λ)u = f, u(0) = u(1) = 0 に左から G をかけて
(1− λG)u = Gf
G は Hilbert-Schmidt 型だから Hilbert-Schmidt の展開定理が使える.
演習問題 f ∈ C(I) のとき (1 − λG)u = Gf の解は (L − λ)u = f, u(0) = u(1) = 0 をみたすこと を示せ.
レポート問題
1 Hn を Hilbert 空間としその内積を ( , )n ノルムを · n とする. H = {f = (f1, f2,· · ·); fn ∈ H , ∞n=1 fn 2<∞} とし H f.g に対して (f, g) =∞n=1(fn, gn)n とすればH は Hilbert 空間 であることを示せ. 2 A が有界自己共役で (Af, f ) = 0∀f ∈ H なら A = 0 3 Hilbert 空間の任意の有限次元部分空間は closed 4 fn→ f in H ⇐⇒ fn→ f weakly in H, fn → f 5 (Af )(x) = 10 a(x, y)f (y)dy, f ∈ L
2(I), I = (0, 1) |a(x, y)| ≤ C|x − y|−α (1) 0 < α < 1 のとき A は L2(I) 上有界 (2) < α < 1/2 のとき A は Hilbert-Schmidt (3) 0 < α < 1 のとき A はコンパクト 6 H を Hilbert 空間とし V をその中の閉部分空間とする. P を V への直交射影とするとき P がコンパクト⇐⇒ dim V < ∞
7 H を Hilbert 空間とし K をその中の closed convex set とするとき任意の f ∈ H に対して
f − g = infh∈K f − h を満たす g ∈ K がただ一つ存在する. 8 L2(Ω) において積分作用素
(Af )(x) =
Ωa(x, y)f (y)dy
を考える. ある関数 ρ(x, y) > 0 が存在し sup
x∈Ω
Ω|a(x, y)|ρ(x, y)dy ≤ M < ∞, supy∈Ω
Ω|a(x, y)|ρ(x, y)
−1dx≤ M<∞
9 L2(0, a) において積分作用素
(Af )(x) = 1
x
x
0 f (y)dy
は有界であることを示せ. (Hint. 8 で a(x, y) = (x/y)1/2ととれ.)
第
10
話
Banach
空間論
定義 X を R または C 上のベクトル空間とする. 次の性質をもつ函数 · : X → R を X のノル ム (norm) という. (1) x ≥ 0 ∀x ∈ X. (2) x = 0 ⇐⇒ x = 0. (3) αx = |α| x ∀α ∈ C or R, ∀x ∈ X. (4) x + y ≤ x + y . ノルムが定義されている空間をノルム空間という. 例 Ω を Rn のコンパクト集合, C(Ω) = Ω 上の連続函数全体, とし f = sup x∈Ω|f(x)| 例 Ω を Rn の可測集合とし 1≤ p < ∞ に対して Lp(Ω) ={f(x) : Ω|f(x)| pdx <∞}, f Lp(Ω)= Ω|f(x)| pdx 1/p . p =∞ のときは L∞(Ω) ={f(x) : Ω 上の有界可測函数 }, f L∞(Ω)= ess supx∈Ω|f(x)|. 例 1≤ p < ∞ のとき lp={x = (x1, x2,· · ·); xn ∈ C, ∞ n=1 |xn|p<∞}, x = ∞ n=1 |xn|p 1/p . p =∞ のときは l∞={x = (x1, x2,· · ·); xn∈ C, sup n |xn| < ∞}, x = supn |xn|.ノルム空間 X が complete であるとき X を Banach 空間という. i.e.
xn− xm → 0 (m, n → ∞) =⇒ ∃x ∈ X s.t. xn− x → 0 演習問題 上に上げた例はみな Banach 空間である.
X, Y を Banach 空間とし A を X から Y への線形作用素とする. A が有界作用素 (bounded
operator) であるとは
が成り立つことで sup x=0 Ax x を A のノルムといい, A と書く. 記号 B(X; Y ) を X から Y への有界作用素全体とする. 補題 B(X; Y ) はノルム空間である. i.e. 作用素のノルムに関して次が成り立つ. (1) A ≥ 0 ∀A ∈ B(X; Y ) (2) A = 0 ⇐⇒ A = 0 (3) αA = |α| A α ∈ C, A ∈ B(X; Y ) (4) A + B ≤ A + B 定理 X がノルム空間, Y が Banach 空間のとき, B(X; Y ) は Banach 空間. 証明. Completeness を示す. An ∈ B(X; Y ), An− Am → 0 (m, n → ∞) とする. ∀x ∈ X に対 して{Anx} は Y での Cauchy 列である. Y は完備だから ∃y ∈ Y s.t. Anx− y → 0. このよう な y は x に対して唯一つ定まる. x→ y という map は linear. この作用素を A と書く. i.e. Ax = s-lim Anx. An− Am → 0 より { An は Cauchy 列だから有界. これより A ∈ B(X; Y ) である.
∀ > 0 ∃N s.t. Am− An < , ∀m, n > N. よって Amx− Anx ≤ x , ∀m, n > N. m → ∞ と して Ax − Anx ≤ x , ∀n > N. これより A − An ≤ , ∀n > N. ♦
共役空間 (dual space) B(X; C) を X の dual space (共役区間)といい, X∗ と書く. (X が実ベ クトル空間のときは X∗= B(X; R)). X∗ の元 = X から C への連続線形写像, を連続線形汎函数 (continuous linear functional) という. X∗も Banach 空間.
Hilbert 空間H に対しては次の意味で H∗ とH は同型 (Riesz の定理). y ∈ H に対して fy∈ H∗ を fy(x) = (x, y), ∀x ∈ H によって定義すればH y → fy∈ H∗ は1対1, onto, 等距離. ( fy = y ) 一般の Banach 空間に対してはこうはならない. 例 1≤ p < ∞ のとき p1+1q = 1 とすれば (lp)∗ と lq が次の意味で同型. lq y = (y1, y2,· · ·) に対 して fy(x) = ∞ n=1 , x = (x1, x2,· · ·) ∈ lp とすれば y→ fy は lq から (lp)∗ への1対1, onto, 等距離写像. ( fy = y lq) 証明. 数列に関する H¨older の不等式 n |xnyn| ≤ n |xn|p 1/p n |yn|q 1/q を用いれば fy が lp上の連続線形汎函数であることが分かる.
fy = y lq の証明. fy ≤ y lq は明らか. fy ≥ y lq を示す. p = 1, q = ∞ のと
きは y l∞ = supn|yn| より ∀ > 0, ∃n s.t. |yn| > y l∞ − . zn = (0,· · · , 0, 1, 0, · · ·) とお くと |fy(zn)| = |yn| > yn l∞ − , zn l1 = 1. よって fy > y l∞ − . は任意だから
fy ≥ y l∞. 1 < p <∞, 1 < q < ∞ のとき, yk =|yk|eiθk, zk =|yk|q−1e−iθk, z = (z1, z2,· · ·) と
おくとn|zn|p =n|yn|(q−1)p <∞ であるから z ∈ lp かつ z plp = y qlq が分かる. これより
fy(z) =nyn|yn|q−1e−iθn =n|yn|q= y qlq = y lq z lp. よって fy ≥ y lq.
∀f ∈ (lp)∗ はある y ∈ lq に対して f = fy となること. e
n = (0,· · · , 0, 1, 0, · · ·) とおく.
yn = f (en), y = (y1, y2,· · ·) とおく. y ∈ lq をいう. p = 1, q = ∞ のときは |yn| = |f(en)| ≤
f en l1 = f より y ∈ l∞. 1 < p <∞, 1 < q < ∞ のときは yn =|yn|eiθn, zn=|yn|q−1e−iθn,
z(n)= (z1, z2,· · · , zn, 0,· · ·) とおく. f(z(n)) =k≤nzkf (ek) =k≤n|yk|q−1e−iθkyk=k≤n|yk|q だから k≤n|yk|q ≤ f z(n) lp. z(n) lp = k≤n|zk|p = k≤n|yk|p(q−1) より z(n) lp = (k≤n|yk|q)1/p. よって (k≤n|yk|q)1−1/p≤ f . n → ∞ として∞k=1|yk|q <∞. f = fy を示す. lp x = (x1, x2,· · ·) に対して x(n) = k≤nxkek とおく. f (x(n)) = k≤nxkf (ek) =k≤nxkyk= fy(x(n)) で n→ ∞ として x(n)→ x in lp. 定理 Rn⊃ Ω を可測集合, 1 ≤ p < ∞ なら (Lp(Ω))∗ Lq(Ω), 1 p+ 1 q = 1 証明は略す. Hahn-Banachの定理のための助走 H を Hilbert 空間, S をその部分空間とする. S 上で定義さ れた連続線形汎函数 f をH 全体に拡張できるか? O.K. f は S 上に unique に拡張できる. H = S ⊕ (S)⊥ と直交分解してH = x = y + z, y ∈ S, z ∈ (S)⊥ に対して F (x) = f (y) と定義すればよい. Banach space のときはどうか?
第
11
話
Hahn-Banach
の定理
定理 11.1 (Hahn-Banach) X = real vector space, p : X→ R functional s.t.
p(x + y)≤ p(x) + p(y), p(αx) = αp(x), ∀x, y ∈ X, ∀α ≥ 0. Y = X の subspace, f : Y → R linear functional
f (x)≤ p(x) ∀x ∈ Y. =⇒ ∃F : X → R linear functional s.t. F (x) = f (x), ∀x ∈ Y, F (x) ≤ p(x), ∀x ∈ X. 証明. (一次元拡張) Y = X とする. z ∈ X \ Y を一つ固定. Y1={x = y + αz; y ∈ Y, α ∈ R} とお く. Y ⊂ Y1⊂ X. f1(x) = f (y) + αc x = y + αz∈ Y1 (c はあとで決める定数)とおく. f1 : Y1→ R linear functional で f1(x) = f (x) if x ∈ Y である. f1(x)≤ p(x) ∀x ∈ Y1となるように c を定めたい. x = y + αz, f1(x) = f (y) + αc≤ p(y + αz)
⇐⇒ αc ≤ p(y + αz) − f(y) ∀y ∈ Y ∀α ∈ R (1) =⇒ c ≤ p(y/α + z) − f(y/α) ∀y ∈ Y ∀α > 0
⇐⇒ c ≤ inf
一方
αc≤ p(y + αz) − f(y) ∀y ∈ Y ∀α ∈ R
=⇒ −c ≤ p(−y/α − z) − f(−y/α) ∀y ∈ Y ∀α < 0
⇐⇒ c ≥ sup
y∈Y{f(y) − p(y − z)} (3) (1)⇐⇒ (2) かつ (3) である.
∃c satisfying (2) and (3) ⇐⇒ sup
y∈Y{f(y) − p(y − z)} ≤ infy∈Y{p(y + z) − f(y)}
⇐⇒ f(y) − p(y − z) ≤ p(y+ z)− f(y) ∀y, y∈ Y
⇐⇒ f(y) + f(y)≤ p(y+ z) + p(y− z) ∀y, y∈ Y. (4) (4) は成り立つ. 何故なら
f (y) + f (y) = f (y + y)≤ p(y + y) = p(y− z + y+ z)≤ p(y − z) + p(y+ z).
(X 全体への拡張). Zorn の Lemma による. A をつぎのような対 (g, Z) の全体とする : Z は X の subpspace, Z ⊃ Y , g : Z → R linear functional, ただし g(y) = f(y) if y ∈ Y , g(x) ≤ p(x) ∀x ∈ Z.
A (g, Z), (g, Z) に対して (g, Z)≤ (g, Z)⇐⇒ Z ⊂ Z, g(z) = g(z) if z∈ Z. と定義する. 問題 A は半順序集合であることを示せ. A (f, Y ) だから A = ∅ である. A1 を A の全順序部分集合とする. A1 は上界をもつ. (Z0 = ∪(g,Z)∈A1Z とおく. Z0は X の subspace であることを示す. Z0 x1, x2, x1∈ Z1, x2∈ Z2とする. A1 は全順序部分集合だから Z1⊂ Z2 としてよい. x1, x2∈ Z2 だから x1+ x2∈ Z2 である. 定数倍 を含むことは明らか) Z0 z に対して ∃(g, Z) ∈ A1 s.t. z∈ Z. そこで h(z) = g(z) と define する. well-defined であ る. (∃(g1, Z1),∃(g2, Z2)∈ A1 s.t. z ∈ Z1, z ∈ Z2 とする. (g1, Z1)≤ (g2, Z2) としてよい. このと き定義により g1(z) = g2(z)). h(z) は linear である. (z1, z2∈ Z0 とする. ∃(g1, Z1),∃(g2, Z2)∈ A1 s.t. z1∈ Z1, z2∈ Z2である. (g1, Z1)≤ (g2, Z2) としてよい. このとき g1(z1+ z2) = g1(z1) + g1(z2) だから h(z1+ z2) = h(z1) + h(z2). 定数倍の方は明らか). 問題 (h, Z0) はA1 の上界である. Zorn の Lemma によりA は極大元 (F, X) をもつ. X = X である. (X= X なら F を X より 1次元高い空間に拡張できる. これは F が極大であることに反する). 証明終わり.
定理 11.2 (Hahn-Banach の complex vector space version)
X = vector space over C. p : X → R functional s.t.
p(x)≥ 0, p(x + y) ≤ p(x) + p(y) ∀x, y ∈ X, p(αx) =|α|p(x), ∀α ∈ C ∀x ∈ X. Y = X の subspace, f : Y → C linear functional s.t.
=⇒ ∃F : X → C linear functional s.t.
F (y) = f (y) ∀y ∈ Y, |F (x)| ≤ p(x) ∀x ∈ X.
証明. X は real vector space とみなせる. それを XR と書く. Y は real vector space XR の real vector subspace とみなせる. それを YRと書く. g(y) = Re f (y), y∈ YRとおく. g : YR→ R linear functional で g(y)≤ |f(y)| ≤ p(y) ∀y ∈ YR. Hahn-Banach より∃G : XR→ R linear functional で
G(x)≤ p(x) x ∈ XR, G(y) = g(y) y∈ YR. F (x) = G(x)− iG(ix) とおく. y ∈ Y なら
F (y) = G(y)− iG(iy) = g(y) − ig(iy) = Re f(y) − iRe f(iy) = Re f(y) + iIm f(iy) = f(y)
ただしここで
Im f (y) =−Re (if(y)) = −Re f(iy) を用いた.
問題 F は real linear 即ち
F (x1+ x2) = F (x1) + F (x2), F (αx) = αF (x) α∈ R
であることを示せ.
F (ix) = G(ix)− iG(−x) = G(ix) + iG(x) = iF (x)
より a, b∈ R に対して
F ((a + ib)x) = F (ax + ibx) = F (ax) + F (ibx) = aF (x) + ibF (x) = (a + ib)F (x)
だから F は complex linear である. F (x) =|F (x)|eiθ とおく. |F (x)| = e−iθF (x) = F (e−iθx). 一
方 F (e−iθx) = G(e−iθx)− iG(ie−iθx) である. G は real linear で左辺は real だから F (e−iθx) = G(e−iθx)≤ p(e−iθx) = p(x)
よって|F (x)| ≤ p(x), ∀x ∈ X. 証明終わり. 応用例
定理 11.3 X = normed space, Y = X の subspace, f0: Y → C の bounded linear functional
=⇒ ∃f ∈ X∗ s.t.
f (y) = f0(y) ∀y ∈ Y, f = f0 = sup
0=y∈Y |f0(y)| y 証明 Complex Hahn-Banach で p(x) = f0 x とおけ. ♦ 定理 11.4 X = normed space =⇒ ∀0 = x ∈ X ∃f ∈ X∗ s.t. f (x) = x , f = 1. 証明. 定理 11. 3 で Y ={αx; α ∈ C}, f0(αx) = α x とする. ♦ 系 11.5 x, y∈ X, x = y =⇒ ∃f ∈ X∗ s.t. f (x)= f(y). 問題 これを示せ. 定理 11.6 ∀x ∈ X に対して次が成り立つ. x = sup f∈X∗,f≤1|f(x)| =f∈Xsup∗,f=1|f(x)| = sup0=f∈X∗ |f(x)| f
証明. 最初の等号を示す. f なら |f(x)| ≤ f x ≤ x だから x ≥ supf∈X∗,f≤1|f(x)|. 一
方, 定理 11.4 より∃f ∈ Xasts.t. f = 1, f(x) = x . よって x ≤ supf∈X∗,f≤1|f(x)|. ♦
第
12
話
Baire
の
Category
定理とその応用
定理 (Baire) X = complete metric space, Xn(n = 1, 2,· · ·) X の closed set, X =∞n=1Xn =⇒ ある Xn は内点をもつ. i.e. ∃n0,∃x ∈ Xn0,∃r > 0 s.t. {y ∈ X; |y − x| < r} ⊂ Xn0. 証明. 成り立たないとすると∃Bn(n = 1, 2,· · ·) open ball of radius ρn > 0 s.t.
B1⊃ B2⊃ · · · , Bn∩ Xn =∅, ρn ≤ 1/n.
(X1 は open ball を含まないから X1 = X. よって ∃x1 ∈ X1C. X1C は open だから∃r1 > 0 s.t. {y; |y − x1| < r1} ⊂ X1C. B1 = {y; |y − x1| < ρ1}, ρ1 = min{1, ρ1/2} とおけば B1∩ X1 = ∅. B1 ⊃ B2 ⊃ · · · ⊃ Bn が構成できたとする. Xn+1 は open ball を含まないから Xn+1 ⊃ Bn. i.e.
Bn∩Xn+1C = ∅. よって ∃xn+1∈ Bn∩Xn+1C . Bn∩Xn+1C は open だから∃rn+1> 0 s.t. {y; |y−xn+1| <
rn+1} ⊂ Bn∩ Xn+1C . そこで ρn+1= min{1/(n + 1), rn+1/2}, Bn+1={y; |y − xn+1| < ρn+1} とお くと, Bn+1⊂ Bn, Bn+1∩ Xn+1=∅, ρn+1≤ 1/(n + 1).) Bn の中心 xn は Cauchy 列をなす. (m > n なら Bm ⊂ Bn ={y; |y − xn| < ρn}, |xm− xn| ≤ ρn≤ 1/n → 0 as n → ∞.) X は complete だから∃ limn→∞xn = x in X. m > n なら xm ∈ Bm⊂ Bn. m→ ∞ として x∈ Bn. Bn∩ Xn =∅ より x ∈ Xn,∀n. X =∞n=1Xn だから矛盾. ♦
定理 (一様有界性の原理) X Banach space, Y normed space, Tn∈ B(X; Y ), n = 1, 2, · · ·, sup
n Tnx < ∞, ∀x ∈ X =⇒ supn Tn < ∞
証明. Xn ={x ∈ X; supk Tkx ≤ n} とおく. X = ∪nXn であり, Xn は closed である. (xi ∈
Xn, xi → x とする. Tkxi ≤ n, ∀k, i だから i → ∞ として Tkx ≤ n. よって supk Tkx ≤
n.) Baire の Category 定理より ∃n0,∃x0 ∈ Xn0,∃r > 0 s.t. {y; y − x0 < r} ⊂ Xn0. i.e. y − x0 < r =⇒ supk Tky ≤ n0. z < r のとき Tkz = Tk(x0+ z)− Tkx0 として Tkz ≤
Tk(x0+ z) + Tkx0 ≤ 2n0. よって z < 1 なら Tkz ≤ 2n0/r. これより supk Tk ≤ 2n0/r. ♦
系 X, Y Banach spaces, Tn∈ B(X; Y ), n = 1, 2, · · ·. ∀x ∈ X に対して Tnx は Y の中で収束する.
=⇒ T x = limn→∞Tnx とおけば T ∈ B(X; Y ).
定理 X, Y, Z Banach spaces, Tn ∈ B(X; Y ), Sn∈ B(Y ; Z), n = 1, 2, · · ·, Tn→ T strongly, Sn → S strongly =⇒ SnTn→ ST strongly. 証明. 一様有界性の原理より supn Tn < ∞, supn Sn < ∞ である. このとき ∀x ∈ X に対して y = T x とおけば SnTnx− ST x ≤ Sn(Tn− T x) + (Sn− S)T x ≤ C Tnx− T x + Sny− Sy . ここで n→ ∞ とすればよい. ♦ 応用 1≤ p ≤ ∞. f は Rn⊃ Ω 上の可測函数. fg ∈ Lp(Ω), ∀g ∈ Lp(Ω) =⇒ f ∈ L∞(Ω).