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── 世界の教育現場での問題意識 ──

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Academic year: 2021

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研究者と図書館

 コミュニティ・エンゲージメント(以下、CEと 略記する)が必要とされる状況について、視野を 少し拡大し世界の教育現場を見渡してみる。する と、社会の課題を如何なる視点から理解するかと いう立場の違いを超えて、学校教育と現代社会、

特に地域社会の要求との間に隔絶が存在している のではないかという問題意識が世界共通に生じて きているように見える。現代の大学教育の在り方 について、最初に本格的にそうした問題提起がな されたのは、1990年代のアメリカでのことであっ た。それを反映してカーネギー大学分類にCE概念 が初めて登場したのは、2005年のことである。そ して、今やアメリカでは、CE概念は、大学と地域 社会との関係の深度を示す概念として、大学評価 の基準を与える原理にまでなりつつある。

 ここで日本の中央教育審議会の表現を援用する なら、知識基盤社会を可能にする理論的専門知と 実践的経験知の相互作用がCE概念の意味するも のである。その前提に、現代社会の発展を支える のは、絶えずイノベーションを繰り返す知識であ り、そのイノベーションを可能にするのは、実践 との絶えざる相互作用である、というプラグマ ティックな認識論が在ることは明白である。

 知識基盤社会の概念が今後の世界に於ける社会 の在り方の根本を示すとされる限りで、CE概念が 今後の大学教育を支える主要な柱の一つとなるで あろうことは容易に理解される。果たして同概念 は今や世界各国の大学教育の中にその確固たる位 置を占めつつある。その点でアメリカが最も先行 していることは言う迄もないが、ここでは、本学 のCEプログラムに大きな影響力を与えてきたと 同時に今後も益々に与えることになるであろうマ レーシア科学大学でのCEへの取組について、その 基本的な考え方に絞って、簡潔に紹介してみる。

 同大学のCEは、現在、Vice ChancellorのAsma Ismail教授の主導の下で発展途上にあるが、そこ には次の様な明確な問題意識が貫かれている。即

ち、先ず何よりも、世界の変化が単に量的に速い というだけではなく、寧ろ質的に「破壊的」です らあり、大学教育がそうした急激な変化への対応 を迫られている、という強い危機意識が根底にあ る。抑々、同大学の教育研究全体は、現代の大学 が、技術や経済システムの面でグローバルな規模 で進行する破壊的変化に対応できるものでなけれ ばならない、という強い課題認識に支えられてい る。そして、CEも、そうした文脈の中に位置づけ られている。即ち、グローバルな構造変化に晒さ れている地域社会が直面する困難な諸問題に対し て大学の専門知を活かすために大学と地域社会と を結合するための通路となる、という役割がCEに 期待されているのである。当然、そこでは、参加 する学生や教員に、地域社会のローカルな問題を グローバルな視点から考察し分析することが要求 されることは勿論、現場での社会的な実践の中で 具体的な解決策を提案することが求められる。そ の意味で、CEは、破壊的なまでの社会的変化を 生き抜く知識と知恵を地域社会の人々に提供する 必要性を大学人に教える実践的教育の場であると 共に、従来往々にして閉鎖的であった大学を社会 へと開く社会貢献の場でもある、と言い得る。正 に、理論的専門知と実践的経験知の相互作用の場 がCEなのである。しかも注目すべきは、大学の 社会的な在り方を模索する企てに於いて相乗効 果を生むようなアジア発のグローバルな組織をつ くる上でリーダーシップをとろうとする意欲が認 められる点である。詰まり、本学も参加している APUCEN(Asia-Pacific University-Community Engagement Network)の創設である。我々は、

アジアの時代の到来を、CEを通して実感すること ができる、とも言える。

 はやせ あきら

(前コミュニティ・エンゲージメントセンター長 哲学)

早瀬 明

── 世界の教育現場での問題意識 ──

コミュニティ・エンゲージメント ②

参照

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