学校教育における問題点の実態 : 教育の現場における教師の問題意識の調査から
19
0
0
全文
(2) . 第8巻 第2号. 北海道学芸大学紀要(第一部). 昭和32年12月. 学 級 教 育 にお ける 問 題 点 の 実 態 --教育の現場における教師の問題意識の調査から-- 坂. 東. 義. 教. 北海道学芸大学函館分校教育心理学研究室. Yoshi i BANDO: nor. The ActuaI State of the Point at lssue. in the C1assroom Educat ion , Problem‐Consciousness 一キー 【Frorn a Research on Teachers. in the ActuaI Spot of Education. l は. じ. め. に. 学校教育の実践は、 今日一般に、 学級を単位と して一人の担任教師が五十名前後の児童・生徒を i 指導す る形で行われている。 これを仮りに学級教育 C1assroom Educat on と 呼 ぶ と す れ ば、 こ の 学級教育こそ現場における教育実践活動 の母体をなすものである、 と言うことができよう。 何故な ら、 学習指導・健康指導・生活指導・進学、 職業指導及 び家庭教育の指導などのあらゆる教育実践 活動が、 所謂 学級経営管理を通じて、 この学級教育 において行われているからである。. 研究目的. この調 査研究では、 日々実際の教育活動に携っている教師 ー特に小学校と中学校の教師--の 問題意識を調査することによって、 現場に おける教育実践活動の母体と しての学級教育で今日切実 な 問 題 と な っ て い る こ と を 明 ら か に す る こ と、 こ れ が こ の 調 査 研 究 の 目 的 で あ る。. 従来の研究の立場 この種の従来の調 査研究 は、 教師の精神衛生上の 問題と して、 すなわち教師の不適応の研究に関 連するところの、 教師の悩 みの問題と して取上 げられ、 実態調 査 が試みられて来たようである。 し. たがって、 従来の研究の焦点 は、 教師はどのような問題について悩んでいるかを調べ ることによっ て、 教師の不適応の--特にフラス トレーショ ンの原因を研究することにあったようである。 しか. し、 筆者のこの調査のねらいは、 端的に言って、 学級教育におけ る問題点を把握することにある。 それは同 時に、 教師の悩みの問題点の把握に一脈通ずるところがないではない。 しか し、 この調 査 研究の目的は、 元来教師の悩みの調査研究にあるのではなく、 教育実践活動の母体とも言うべ き学. 級教育を経営管理 してい る現場 の教師が, その解決を迫られているところの現場におけ る切実な問 題の実態の把握にあるのであって、 前者とは明らかに性格を異にする。. 調査研究の必要性. 学級教育におけ る問題点の実態を知 ることは、 次の三つの立場の人々にとって必要なものであろ うo. その 1 学級教育 に おける問題点の調査資料は、 教員養 成大学 に おける教職科 目担当指導教官に. とって必要な参考資料であろう。 同時に、 それは教師志望学生にとっても必要な資料 であろう。 1- -11.
(3) . 坂. 東. 義. 教. 教師志 望の学生は、 やがて数年後には、 教師と して教育の実際活動、 すなわち学級教育に携 わる. ことにな るわけであ るが、 彼等がやがて当面 しなければならぬ問題を予め知ること、 あるいは、 大. 学で講義を受けることは極めて有意義なことである。 大学の講義は 往々に して理論的に片寄 り過ぎ. 抽象論に終 りがちのものである。 確かに一方において理論面を講義することは重要であ り、 必要で あろうが、 他方、 教育の現場の問題に直接取組み、 その問題解決の形で講義をする必要が大学には あるのではなかろぅか。 特に、 限られた授業時間数で、 教育専門家と しての知識、 技能を学生に 修 得させねばならぬ今日、 すべ ての教育内容 (すなわち、 理想的な教育 課程と しての全範囲というこ. と) を講 義することは不可能である。 したがって、 現場の数多くの問題のおのおのに、 それぞれ 適 切なウェイ トをかけて、 重点的に講義を する必要が起ってく るわけであるが、 そうするには現場の. 切実な問題の実態の把握が先ず必要となってくるのである。 要 するに、 教師志望の学生がやがて教育の実際に携わるときに当面する問題を予 め認識させるた. めにも、 また、 それらの問題の解決法を指導するためにも、 更には、 少い授業時間に何にウェイ ト をかけて授業を すればよいかの課題を解決するためにも、 現場におけ る問題の実態把握は必要であ ろ う。 そ の 2 学級教育における問題点の調 査資料は、 教育心理学の実践的体系を樹立 しようと する研 究者 にとっては 基礎資料と して必要なものであろう。. 現代の教育心理学は、 心理学の応用の段階を既に経て、 今日ではそれ自身の独自の体系を整えつ つある。 しかし、 今日の教育心理学は、 坂本一郎氏 も指摘 されているが、 学者の理論的要求に 基づ いて体系づけられた理 論的なものである。 したがって、 現場の教師の求める実践的な体系とは必ず. しも一致 していないものなのである。 すなわち、 今日既成の教育心理学 体系は学者の要求に応ずる ものと しては、 既に殆どその体系を整えることができたと言えよう が、 この体系は必ず しも教育の. 現場の要求に応ずるものとは言い難いものなのである。 したが って、 理論的体系のほ ぼ完成 した今 日の教育心理学は、 今後の課題と して、 実践的体系をも整える必要があるのではあるまいか。 も し そう .だと してこれを仮 りに、 応用教育心理学と呼べ ば、 応用 教育心理学の体系の樹立は、 教育の現 場における問題点 から出発すべ きであろう。 ここに、 この調査研究の必要性が存ず る。 そ の 3 学級教育 におけ る問題点の調査資料は、 学級を 経営する教師にとって 管理の合理化の 、 ための資 料と して必要であろう。 また、 学校を 指導する委員会にとっても学校指導方針の確立のた. めの資料と して必要なものとなるであろう。. 教育の 現場におけ る教師といえども、 問題意識をもとうと しない場合は、 問題も意識されること なく遇 して しまうものであり、 問題点の深い認識も行われ ずにその日暮 し式の御都合主義に陥り易. い。 この調 査資料は、 逆に、 現場の教師へ問題を投 げかけ る役割をするであろう。 そ して、 教師へ、 現場における問題の認識を促すことであろう。 教育実践の進 歩は、 問題を意 識 し、 その解決への努 力によって行われ る筈である。 したがって、 実践活動の 前進のためには教師は現実の、 あるいは将 来起るべ き諸問題について理解を深め、 予 め 問題解決 に備えるべ きである。 学級教育におけ る問題. 点を予 め知っておれば、 その問題の発生に対する事前の処置も可能であろう し、 また 問題点のそ 、 れぞれの問題性と してのウェイ トを知っておれば、 どの問題 に、 より多くの努力を払うべ きかの心 構えも出来る筈で あ る。 これ らの、 現場の問題に対 する理解、 事前の処置の態度、 努力の配分の気構 えなどを有すること は、 学級経営の管理の合理化のた めには無論のこと、 教師の精神衛生--問題点の自覚 による不適 応の予防--のた めにも必要なことであろう。 12- -1.
(4) . . 学級教育における問題点の実態. ところで、 各学級の問題は、 同時にそれらの学級の属 する学校の主要な問題を構成すると考え ら れる。 学校を指導 する立場にある教育委員会は学校指導方針を決定する際は、 客観的資料に 基づく べ きである。 その場合の 一 つの 基礎資料と して 現場におけ る問題点を 明らかに した この調 査 資料. は、 最も直接的な意義を有するであろう し、 したがって直接的な指導方針を示すことができ るであ ろう。 このよ うに、 学級教育における問題点の把握は、 指導管理にとって有効なものとなるであろ うo 11 調. 査. 方. 法. 1 調 査対象 主と して函館市内と、 一部は郡部の小学校、 中学校、 高等学校及び幼稚園、 盲ろう学校などの教 師を調査の対象と した。 その内訳は次の第 1表の通りである。 1. 第1表. j ・ ノ. 学 校 配 布. の 分. 開 講 座. の 分. 公 」 ・ ノ. 計. 学. 校. 中. 学 校. 34. 37. 20. 8. 54. 高. 45. 校. 幼. 稚. 園. 盲. ず. ろ. う. 枝. 小. 計. O. O. O. 60. 19. 10. 3. 71. 19. 10. 3. 131. 〔第1表の註〕 この調査 は質問紙を配布 して記入を依頼 したわけであるが、 表中の 「学校配布の 分」 というのは、 函館市内の小学校 (中島、 千代岱及び高森の各校)、 中学校 (松川、 中央の各校) へ直接 依頼した分のこと であり、「公開講座の分」とは、 大学公開講座の授業に参加 した先生方に記 入を 依 頼 した 分 の こ と で あ る。. 2 調査時期 と回答率 調査は 2回にわたって行われた。 すなわち、 学校配布の分は昭和31年12月 中旬、 も う一つの公. 開講座の分は、 昭和 32年 1月 11 日に調査を実施 した。 回答率 は、 極めて不良であった。 公開講座の分は、 義務づけて回答を願 ったので全部 回収された. 6%であり、 中学校の回答率は 2 9%で、 極め 5 が、 各学校への 依頼の分は、 小学校の 回答率 は29 . . て不良であつた。 3 調査法 (質問紙法) f r ee or open answer) の 形 調査に用いられた質問紙は、 次に示 してあるように、 自由回答法 ( 式のものを用 いた。. 調査に用いた自由回答形式質問紙. 1 ) 問題の大小をとわず、日頃「ど 〔お願い〕 教育実践に日夜御精励、 御苦心なさって居 ,〔御記入のしかた〕 ( られますことに対 しまして、 われわれは心より敬意 … う した らよ い の だろ う か」 と、 そ の解 決 に 悩 ん で 居 を表して居ります。 つきま しては、 今回、 先生の貴 i られます問題を、 下記の諸項目の該当するところへ 重なる教育実践の御体験から、 日頃当面 して居られ … 御記入下さい。 2 ) できるだけ具体的にお書き下さい。(論述形式は ます現場の切実 な諸問題につきまして、 御教示をた 1 ( 御自由ですが。 ) ま わ りた く、 こ こ に お 願 い 申 上 げま す。 3 1 ( ) 項目全部をお書き下さらなくともよ ろ し い で ;. ド 繁り 耀. 綴む ). す。. 0 瀧 露評題 1 -113-. t.
(5) . 坂. 東. 義. 教. ○健康指導に関する問題. ○家庭教育に関する問題. ○学級 (学校) 事務に関する問題. (狭義の) ○学級経営に関する問題. ○その他の問題. ○職業指導及び進学指導に関する問題(中学校の場合). 御年齢( )歳 性別( ) 御担任学年( ) 年. 学校別鱒嬢〔 一方を消して下さい 〕〈芯唖 学尊大 炉裏分墓〉. 4 整理の仕方 調査 して得られ る回答は、 すべ て自由記述であるから、 所謂 Aftercoding しな け れ ば 計数 化 で. き な い。 した が っ て、 計 数 化 す る た め に は、 分 類 カ テ ゴリ ← を 必 要 と す る わ け で あ る。 しか し、 こ. れは既成のものがないので、 筆者は一つの試 みと して、 現場から提出される問題を予想 し、 今日一 応、 学級教育の体系と してまとめられている文献を参照 して、 次の第 2表の ごとき問題分類カ テ ゴ リ ーを 作 っ た。. 第2表 問題分類カテゴリー (試案) 1 学習指導 1 ( ) 学習指導計画 各科の学習指導計画. 評価技術 評価記録 掲示と展示. 習慣形成指導 道徳教育 教科タト活動の計画、 組織. 教育課 程の吟 味. 学習指導案 2 ( ) 学習指導 学習指導技術 各科の指導 学習活動 問題解決学習 系統学習 グ ルー プ学 習. 一斉指導. 虹 健康指導 健康指導技術 健康指導計画 健康管理設備 学級衛生 安全教育 身体虚弱、 欠陥児の指導. 児童会 (生徒会) 1 1 学級経営管理 奉仕活動 学級教育計画 クラブ活動 学級経営案 児童集会 (生徒集会) 学級行事・学校行事 対人関係 学級環境の構成 環境関係 (教室の整備・管理) マス・コミと不良文化財 施設と設備. 皿 性格指導. 遊びの指導. 個 別指導. 性格形成指導. 学業不振児の指導 学業優秀児の指導 家庭学習 視聴覚教育. 社会的不適応児 異常環境児 性格不良児 精神薄弱児. 図書館教育. 3 ( ) 学習評価. 学 級 会 (ホ ー ム ルー ム). 母親学級 学級懇談会 通信簿・家庭通信. 枝タト生 活 指 導. 家庭教育指導 家庭と学級教育 地域社会と学級教育 社会教育と学校. V. 家庭訪問. W 生活指導. 学級 編 成. 学級事務及び諸会合 校 内 o校タ ト教育研究活動 1 唖 進学・職業指導 (中学・高校の場合) 進学指導 職業 指導. PTAと学級活動. 調査資料の計数化 (度数表化) は、 自由記述の形式で記入された回答を熟読 し、 上記の問題分類 カテ ゴリ ←に該当する記述内 容を 一 つ一 つ見 出 し、 それぞれにア ンダ← ライ ンを す るこ と と、 同 時. にそれぞれを一枚一枚カー ドに写 し、 このように して、 問題事項を一個一個枚挙数 (計数) と して 数えあ げるという方式で計数化を行った。 但 し、 この場合、 集められた回答の記述内容はすべ て上 記の分類カテ ゴリ←に該当 したわけではなく、 僅かではあるがカテ ゴリ ←に入らない問題も回答の -114-.
(6) . 学級教育における問題点の実態. なかにはあった。 また、 二つのカテ ゴリ ーに属 するといった性質の問題の記述もあったが、 これら の場合には、 その問題の記述内容の前後の文意、 文脈から推 して、 適宜妥当と思われ るカテ ゴリー に 数 え あ げる こ と にL た。. 次に、 調査結果を示 してみよう 1 1 1 調. 査. 結. 果. ここでは、 調査結果に関Lて、 先ず小学校、 次に中学校、 それから高等学校及びその他の順に、 資料の整理結果を示 しながら若干の考察を加えて記述 している。 そ して、 例えば、 小学校の部では、 はじめに、 問題の概観として、 小学校の学級教育における問. 題点に関する概括的な記述を試 みており、 次に、 問題の内容として、 これらの概観せられた諸問題 の内訳について、 細部にわた る記述を試み ている。 問題点の細部の記述に 際しては、 現場の諸問題. を具象的に記述したいという意 図から、 教師自身の記述した生のままの記述例 を、 随所に挿入して あ る。. 1 小学校の部 A. 問題の概観. t e r coding して得た 集計結果を 示すと 次の通り 回収 した質問紙 (自由記述形式) の回答を、 Af で あ る。. 第3表は、 学級教育における教師の教育 実践領域別問題度数表である。 この第 3表を図表化した. ものが第1図と第 2 図であ る。. 第i図は、 学級教育における教師の教育実践領域別問題. 度 数 図 表 で あ る。. (度数). 第3表 習. 指. 導. 第 2図は、 学級教育における教師の教育実践領域別問題. 学. 健. 康. 指. 導. 性. 格. 指. 導. 先ず、 第3表 から判ることは、54名の調査対象の教師か. 生. 活. 指. 導. の割 合 の 図 表 で あ る。. 80. 家 庭 教 育 指 導 学 級 経 営 管 理. 70. (計). (%). 82. 2n9X U. 36. 1n7ソ ム. 27. ^5u リ. 39. 1ヘ7ベ U. 34. 1◆9I. 66. 2Q2U. 284. 99 9 ,. 但し調査対象教員数 N=54. ^0 6 50 40十. 性格指導. 一0 5. 家庭 教育. . . 20. 学習精 導 . 健康指導. ′0. /27%. 看. 警. 蔓. 喜. 憂. 指. 指. 指. 指. 教. 導. 導. 導. 鼻. 音. 学級経. 並 営. 営管. 生活措導 /37%. 学級経営管理 . 理. 第 2 図. 第1 図 -115-.
(7) . 坂. 東. 義. 教. ら284個の問題があげられたことである。 したがって、1人 当り約 5 個の問題が指摘 されたことに 27個}。 これは 中学校の平 均約4個、 高校の平均約2個 (後述 資料参 /54=5 なる (正確には、 284 .. 照) の何れよりも多く、 このことは、 小学校の教師が最も問題意識を有 していることを示している。 第 1 図から判ることは、先ず第一に、教師の教育実践領域 によって問題度数の異なることである。. この図表を見ると、 学習指導と学級経営管理とに 問題が集中している。 このことは、 小学校で学習 指導と 学級経営管理とが 教師の教育実践活動の 主要な部分を占める ものであること、 を示してい る。 他の健康指導、 性格指導、 生活指導及 び家庭教育などは、 何れも、 学習指導や学級経営管理の 問題度数の半数を占めているに過ぎない。 度数の最高、 最低の点から観ると、 学習指導の問題度数. が最高を示しており、 最低は性格指導となってい る。 性格指導に問題度数が少いのは、 問題児の数 そのものが少いということにもよるであろうが、 性格形成指導それ自身への教師の関心がいまだ低 調 で あ る こ と に も よ るの で は あ る ま い か。. 次に、 学級教育 に おける教師の教育実践領域別に見 られ る問題の割合はどうなっているかについ. て 観 て み よ う。 そ れ に は、 第 2 図 を 見 て 戴 け ば よ い。. 第 2図から判ることは、 先ず、 学習指導と学級経営管理との問題が、 全体の五割を 占めてい ると. いうことである。 次は、 生活指導、 健康指導及び家庭教育が10%代のほ ぼ 同 じ位の割合で 問題を 示 していることが判る。 これら三つの問題は学習指導などに比 べて意外 に問題度数が少いが、 何故. であろうか。 これ らの三領域の教育は、 決 して学習指導に劣 らぬ重要な指導領域であるのに、 問題 度数が少いのである。 それは、 これら三 つの指導領域が教師の指導実践に際してあまり重さをおか. れていないことによるの ではあるまいか。 学習指導などに比 べ指導上比重があまりかけられてい な いため問題意識も少く、 したがって問題度数も少いという結果が現われて来たのではあ るまいか。 一般 に、 特定の指導領域において、 問題度数が高いということは、 それだけその領域に教師が 問. 題意 識を抱いていることであり、 問題意識の多くもたれる指導領域ほ ど、 それだけその領域に現場. で教師の力が注がれていると考えられよう。 このように考えてくると、 小学校 に おけ る教育の現場 では、 学習指導と学級経 営管理との領域 に最も力が注がれているということが、 この調査結果から 判 るの であ る。 同時に、 生活指導、 健康指導、 家庭教育及 び性格指導 などの領域に対する教師の力. の入れ方は、 学習指導や学級経営管理よ りも弱いということになるであろう。 B 問題の内容分析. t ここでは、 上述 した問題の概観の、 細部についての調査結果を、 Af e r coding の カ テ ゴリ ト の 項目順序にした がって、 記述 している。 なお、 〈 〉 内の数値は、 その問題 (を述 べている命題) に属 する問題度数を示す。 また、《 》 内の数値は、 その下位に属 するいくつかの く 〉 内数値の小計を意味してい る。 〔 1〕 学習指導上の問題 (A) 学習指導計画に関する問題 《 1秒 1) 各 教 科 の カ リ キ ュ ラム の う ち、 社 会 科 と 算 数 料 の カ リ キ ュ ラム に 問 題 が あ る。 く7〉 (. 社 会 科 の カ リ キ ュ ラム 内 容 は 盛 沢 山 で あ る た め 「指 導 を す る の に ム リ を 生 ず る」 こ と、 した が っ. て 「理論的には立派だが実際指導上問題がある」 ことが指摘 されていた。 そして 「社会科カリ キュ ラムは再検討の 必 要がある」 との主張も行われていた。. 算数料のカリキュ ラムについても 「要求が多過ぎる」 と記されていた。 したがって、 これによっ て指導すると 「なかなか 学習進度がはかどらない」 という。「カリキュ ラムの水準と 児童の実力と の間に ズ レがあるた め指導に困難を感 じている」 という訴 えもあつた。 -116-.
(8) . 学級教育における問題点の実態. 「理科のカリ キュ ラムは、 どうも思わしくない」 という記述も一人の教師から見出された。 ) 一 般 に カ リ キ ュ ラ ム は 「盛 り沢 山」 す ぎ る し、 困 難 度 も 「大 人 に で き な い もの」 ま で あ り、 E2. 「系統的な知識」が得られないし、それによって指導すると種々の 「抵抗を感ずる」 など、 カリキ ュ ラム に は 今 日、 か か る 幾 多 の 問 題 が残 さ れ て い る。 〈4〉. 記述例 1. 教育計画が拙劣 なのであろうと自己反省 していますが、 単にそれだけでなく、 カ リ キュ ラム自体 が、 いわゆ る盛 り沢山で余 りに多くの指導を要求するあまり、 時間的余裕がなく、 とかく指導が広 く浅くな る。 したがって児童の基礎的理解を 経ない で次に移行するから学習の進度と児童の実力が 31歳、 男、 6年担任) 併行しない。( 記述例 2. 私 の 学 校 で は、 昨 年 の 四 月 に カ リ キ ュ ラ ム が 出 来 上 つ た が、 こ の カ リ キ ュ ラム は、 ノ リ と ハ サ ミ に よ る 教 科 書 中 心 の カ リ キ ュ ラ ム で あ る。 と こ ろ が、 こ の カ リ キ ュ ラ ム を 用 い て 指 導 して い る う ち. にいろいろな指導 についての抵抗を感 じるのである。 その1は知識偏重の学習になりやすいこと、 その 2教材が多すぎるので教科 書のみに追われ、 問題解決学習が困 難であり、 能力もあまり伸びな いこ と、 そ の 3 学 習 活 動 刀 範 囲 が制 限 さ れ る こ と、 な ど であ る が … … 中 略 … … カ リ キ ュ ラ ム を どの. ように活用 したらよいかは、 今の私の問題であ る。 (2 6 歳、 男、3年担任). 上記の例1は、 カリキ ュ ラムの内容過剰について問題を指摘 しているし、 列 2 で は、 あ る教 師 の. 現場における生のままの問題意識 が端的に表現されている。. ◎ 現在使用 されているカリキュ ラムには、「地域社会性が盛り込まれていない」 し、「独 自性を 有していない」 などの問題がある。〈2 〉. 言うまでもなく、 今日の教育課程は、 地域社会の発展やその 課題の実現 に寄 与することのできる 社会人を形成するように構成され、 地域社会の必要を充たして行かなければならない。 それには、 当然、 地域社会性が盛り込まれていなければならぬし、 独自性も 必然的にそなわっていなければな. らぬ筈である。 カリ キュ ラムが当然具有すべ き本質的条件に欠けている点に問題があるというわけ で あ る。. 4 ) その他の問題として、「現在の教科書は 内容は立派だが 盛り沢山であるため、 却 って筋が通 ( っておらず、 基礎学力 が培われない」 との教科書に対する 問題の提起や、 「新 しい カリキュ ラムや. 新しい指導法は一体、 これでよいのか」 という疑問も出ている。〈2 〉 (B) 学習指 導に関する問題 《 55 》. ( 1 ) 学習指導法の一般的な基礎技術上の 問題として、 授業時間中の児童の統率の仕方が問題とな. って い る。 く5>. 例え ば、 ①授業中に私語の多い児童はどのように扱うべきか、 とか、 ②聞く態度も悪く、 あきや すい児童をどう扱ったらよいか、 など、 あるいは③時間中にさわぎ出す子供の扱い方はいかにすべ きか、 ④静かなる教育をすべ きか否か、 ⑤絶対に叱らぬ方針をとつているためクラスは乱れ勝ちに. なるが、 これでよいのか、 などの切実な問題を現場の教師は訴えている。 次に一 つの記述例 をあげておこう。. 記述例 3. 子供 は動的なものですから自発性を重ん じて作業をやらせており、 私自身大して騒々しいと思い ませんが、 父兄会の時など、 ちっとも落着さがない、 行儀が悪いといわれます。 たま には、 隣の教 室の先生からやかましいと小言もいわれます。 私はこのままやっている中に、 次第に児童は自主的 7- -11.
(9) . 坂. 東. 義. 教. によくなると思っていますが、 静かな授業が出来るように撲 けてい った方がよいでしょうか。. (39 歳、 女、 1 年 担 任). 記述例 4 子供を絶対に しからない方針でやつているのですが、 圧力を加えて指導 していると思われる学級. と比較 した場合どうしても学級の中がみだれているという感 じがもた れ、 自分では他人の事を気 に しな い つも り で や つ て い て も、 な か な か そ う は い か な い こ と が 多 い。 (30 歳、 女、 2 年 担 任). 〉 ) 学習指導上の各教科に関する問題と しては、 多種多様のこと が問題となつている。〈7 ( 2 問題が解 ②算数では応用 ていることなど 国語では読書能力の不足 書字能力に劣っ 例えば、 ① 、 、. けないこと、 ③社 ・会では、 指導上の資料の 不足、 ④図工では特に工作のための設備の不備、 など、 その他⑤各教科の 基礎学力はどのようにしたら培われるか (教頭の立場から)、 ⑥ワー ク・ブックは. いかに利用 すべ きか、 それから、 特殊な問題であるが、 ⑦女教師であるため、 体育の実技指導の場 合、 男子のマ ッ ト、 野球などの指 導ができないので困つている、 などの問題があ げられていた。. (扮 特に郡部の学校に おいては、 複式学級の授業の仕方はいかにあるべ きかという問題が切実な. 問 題 と な つ て い る。 く1〉. この問題は、 郡部に 勤務 している教師の一人から寄せられた回答で、 た った一つ しかこの問題に ふれた回答はなかったが、 非常に重要な問題であると思う。 参考までに、 次に、 この記述例を示 し て お き た い。. 記述例 5 複式授業ですが、 一つの学年を 授業している間に、 いかに 他の 学年の 子供達に 学 習させるべき か。 プリ ントや板書で問題を出して独習させているが、 低学年なので目をはなすことができない。. 自学自習の授業にどうしてもなつて しまうが、 私がこれから試みようとしていることは、 共通した も の を 全 学 年 に 取 入 れ て い く こ と で あ る。 しか し、 一 年 と 三 年 の へ だ た りを ど のよ う に バ ラ ンス を. 35歳女、1・2・3年担任) 取つていったらよいか問題である……後略。 ( 〉 4 ) 二部 授業に よる種々の弊害が問題となつている。〈4 (. 四名の教師から問題とせられていたが、 内 二名は、 ①授業時間が不足すること、 その他、 ②学習 効果が上らないこと、 更に学力低下を来た すとの訴えもあつた。. 5 ) 個人差 (或は能力差) が大きく指導上困難をきた してお り、 かかる学力差や知能差の甚だ し (. い 場 合、 い か に 指 導 して い っ た ら ょ い か、 と い う こ と が 問 題 と な っ て い る。 く9〉. 記述例 6 個人差の問題ですが、5年あたりから 自主的な意欲 で学習するものと勉強嫌いの子供との間に非 て行く場合、 どのような方 常な成績の差が出てきました。 これらに対 して個人差に応 じた 指導をし、 法で指導したらよいか、 また、 これにつきものの劣等感をもたせずに指導 していくには特にどうす ・後 略。 (24 歳、 女、 5 年 担 任) れ ば よ い か・…・. 6 ) この個人差の問題に直接関連の深い問題として、 能力別編成による指導の問題があ る。 次の (. が、 こ れ で あ る。. 〉 6 ) 能力別編成はいかに行うべ きかということが問題となっている。〈8 ( こ の グ ル ー ピ ン グ に よ る 指 導 で 問 題 と な っ て い る こ と は、 ① 技 術 的 に どの よ う に した ら よ い か 判 ら な い こ と と、 も う 一 つ は ② 実 際 に こ の 方 法 を 実 施 して い て も、 自 信 が も て な い、 と い う こ と が 問 題 点 と な つ て い るo. ) 「学級の人員があまりに多過 ぎるため個別指導が困難」 なことと、「授業時間中の特殊児童に ( 7 18- -1.
(10) . 学級教育における問題点の実態. 8〉 対する個別指導はいかに行ったらよいか」 ということとが、 個別指導上の問題になつている。〈 ここで特殊児 童というのは、 ①学業不振児、 ②知能発達遅滞児、 及び③優秀児のことである。. 〔註〕 知能遅滞児の問題は、 性格指導の項目に整理すべきであったが、 一応、 学習指導上手数がかかり個別指導を しなければならぬ子供の問題と して この項目に分類した。. ) 家庭学習 に関する 指導上の問題として、「宿題を出すべ きか否か、 出した場合の 能率的処理 8 ( はいかに行ったらょいか」 とか、 あるいは 「宿題を出さない方針をとつているが、 父兄が出してく. れと言う、 こんな場合 どうすれば ょいか」 などの宿題の問題、 もう一つは、 「家庭教師をつけさせ て よい も の か ど う か」 と い う こ と な ど が 問 題 と な つ て い る。 く4〉. 〔註〕 この問題は、 元来家庭教育の項目に整理すべき問題であったが、 学習の問題であるので、 敢えて、 この学習 指導の項目に整理した次第である。. 9 ( ) 恵まれない家庭環境 (特に経済状態) のために学習効果も望みようがないという問題も起っ て い る。 く5>. この種の問題提起は五名の教師から行われた に過 ぎないが、 実際は、 いかなる学級にも、 このよ. うな事情下におかれている児童が相当数在籍しているであろう。. 五氏は、 めいめいに、「家庭環境が悪いた め学習効果を期待することができない」 とか、「経済状 態が悪いため学用品の不揃いの児童が学級に 少くない」 などの切実な訴えをされている。 また、「中. 流以下の家庭の 学業不振児の指導 治療は 困難である」 と言っている。「貧困家 庭の児童は学用品は おろか、 教科書さえ持っていない」 と言う。 これらの 問題はどう処理すればよいのだろうか。 まさ に、 切実 な問題である。. 10 ( ) 学習指導のための研究時間の不足や 授業時間そのものの 不足をきた しているという問題が. 3〉 ある。〈 「各教科の学習指 導要領の 内容全体に 通じたい が、 それには 相当の研究時間を 必要とするであろ う。 容易にこの 時間を得られないので 苦しんでいる」 という。 また、「授業時数が少いので 思 うよ うに進めず、 短時間 に能率的な学習指導をするのにはどうしたらよいか」 ともいっている。 {”) 「放送教育を行 っているが、 効果が少しも見られない」 ということに疑問がもたれている。 〈1〉. 視聴覚教育の問題 にふれた教師は一名 しかいなかったが、 ここに示された疑問は、 今日の放送教. 育に関 する手厳しい批判でもあるまいか。 (C). 12 》 学習評価に関する問題 《. 1 ( ) 評価技術上の問題として、 一般に 「改訂された児童指導要録は改悪されたところもあ り研究 の余 地あ り」 とするものや、「変った新 しい 評価法の理解がいまだ充分でなく 実際の評価に困難 を. 感じている」 というもの、 また、「学年 に 多数の学級があり、 各学級の 平均 レベ ルが 同じでないか. ら相対評価には矛盾を感ずる」 とか、 「所見と評定との関係が つかめずに 困っている」 などの種々 〉 の疑問、 未理解、 矛盾、 困難などが問題となっている。〈4 下記の例 7でも判る通り、 新 しく改訂された評価法に対する教師の理解には、 いまだ混乱が見ら. れ る よ う で あ る。 こ の こ と は 広 く 一 般 的 に 言 い う る こ と で は な い だ ろ う か。 仮 りに そ う で な く と も、. 今日の評価法に対する正しく深い理解は教師に期待できないのではあるまいか。 何故なら、 新 しい 評価法の原理は必ずしも筋の通ったものではないからである。 ところで、 混乱した理解を、 明らか に 次の記述例にわれわれは見出すことができよう。. 記述例 7. 新 しく出来た学習の記録の欄は、 評定欄と所見欄と二つに別れ所見の評価が評定とは全然関係な -119-.
(11) . 坂. 東. 義. 教. いと言うが、 所見欄にはOXを記入し、 これを算数式にプラスし、 割って評定となるのか あ る 一 つの所見の欄にウェイ トをおいて評価するのか、 この点がはつきりしない。( 27歳、 男、 5年担任) ) 評価が充分 に行い得ないこと、 また、 いかにすれ ば能率的な評価が行いうるかなどのことが { 2. 問 題 と な つ て い る。 く8〉. 評価の困難 性や能率化に関する問題は、 いろいろの形で提出 されたが、 それらは次の通りである。. 例えば、 「時間不足で評 価が、 特に作文の評価が充分に 行い得ない」 という。 また、 「新 しい評価法 の研究も大変だが、 特に観察記録が大変だ」 とか、 「学期 末の評価の 能率化の 具体的方法は 如何に. すれ ばよいか」 とも記されていた。「テス ト後の処理が なかなか はかどらぬこと」、 「考査や採点の. 能率的方法」、 「成績品の処理の時間が足 りない」 などの能率的な処理の問題に悩んでいる。 は) 展 示 は い かに する べ き か と い う こ と が 問 題 と され て い る。 〈 1〉. 展示は評価後に行われる関係上、 この評価の項に入れておいたが、 むしろ、 これは学級経営の問 題かも知れない。 しかし、 何れにせよ、 この問題は 一名の教師からしか 提起されなかったが、 「展. 示物は全員のをするべきか、 優秀だけのを していれ ばよいのか、 あるいは展示は作品だけすればよ いのか、 また、 展示の 仕方は 一般 にどのように するのがよいのか」 などの 疑問が 投 げかけられて いた。 われわれと しても、 手軽に日頃展示を行つているだけに、 問題の壁に突き当ら ざるを得ない の で あ る。. 〔2〕 健康指導上の問題 《 36 》 1 ) 学級 に おける健康指導上まず具体的に問題となることに、 「不衛生な児童の多い」ことと「粗 (. 暴 で怪我をするものが多い」 こととがある。く6 〉. 学級衛生と安全教育とは何れも健康指導上最も重要な問題である。 現実の学級には、 この衛生と 安全に背反する児童がいるということと、 これらの児童をいかに指導 したらよいかということと が. 当面の問題となっている。 記述には、 「不衛生な児童が多い」 ・ンケチや手拭を もつてこれない 児童が多い (経済的理由 、 「ノ によ り)」、「クラスで手ふきを用意 しても、 すぐに 真黒になり、 切れてしまう」 などの 衛生上の切. 実な訴えが行われていた。 また、 安 全教育の問題では、「粗暴で ケガをする ものが多い」 、 「特 に、 体育の時間に 危いことを す る 子 が、 ク ラス に 5 名 程 い て、 手 を 焼 い て い る」 な どの こ と が 問 題 と な っ て い た。. 記 述例 8 地域的な事情 (特に経済的理由により) 手洗いやはなをかむ等を指導 しても、 ハ ンケチ、 手拭い. を 持 つこ と の でき な い 者 が 多L (。 そ の た め に 冬 季 は、 ひ び、 赤 ぎ れ に な る も の も 多 く、50 名 以 上 の. 児童数では、 二三枚のクラス用の手ふきを用意 しても、 すぐにまつ黒になり、 切れてしまう……以 6歳、 女、1年担任) 下略。 (2 2 ) 衛生と安 全の教育は、 知識指導は行い得ても実践力を身につけさせる指導 が行い難いという ( 点に問題がある。く4〉 「知識指導は行い得ても 実践指導が 伴わない」 ということである。 また、 「口 で指導 するのが関の. 山」 だという。「実に衛生思想が低い、 どのように指導すべきか」 とか、 「安全の習慣をいかに指導 したらよいか」 な どの指導法 に関 する問題が現場では 問題となっている。. 3 を行なおうとする場合、 指導 計画を立て る際に既に多くの問題 がある。〈5 〉 ) 健康指導. { 例えば、「学校自体、 健康教育に関心がうすい」 ということや、「別に教科書があるわけでもなく、. そのための時間もないし、 したがって指導も徹底を欠く」 というのである。 また 「ばくぜんとして -120-.
(12) . 学級教育における問題点の実態 い て、 つ か み ど こ ろ が な い」 と い う こ と も 指 導 計 画 上 の 困 難 性 を も た ら して い るよ う で あ る r健 o. 康指導の特設時間 を作ったらよいのではないか」 とか 「健康教育と体育指導と理科教育でダヴルが. 統一するのに悩む」 などの指導 計画上の意見や悩 みも、 記述の中に見られた。. 4 ) 一般 に、 健康指導は家庭との協力が得難いところに問題がある 〈11〉 ( 。 「家 庭の理解が乏しい」 こと、 「家庭では 関心をも って いない し まとま った考え方や方針をもっ 、 ていない」 こと、 また 「家庭の協力が乏しい」 こと、 「家 庭においては健康のしつけ が行われ ない」 ことなど、 家 庭の無関心、 理解の欠如、 非協力 がこの方面の指導の難 件を な して い る と 言 え よ う 。 「父兄の無関心のため、 学校の 指導の効果 が あがらぬ」 ということや 「健康生活の習慣づけを行 っ ても、 家庭生活で 却ってこわされていく」 という結果に 終っている 要するに 「学校で理想 を教 。 、 えても家庭に帰ると、 もとのも〈 あみとなる」 のであるから、 「健康指導の 父兄の協力を 求め る必 要がある」 わけであるが、 「どのように 家 庭の協力を求めたら ょいか」 に 実際上の 問題がある と 、 考えられる。 5 ) 健康指導上施設の不備や予算的裏付けのないことなども問題となっている 〈7 ( 。 > 例えばも 「養護学 級の施設、 設備の必要」 が叫ばれている。 大きな学校で児童数の多い学 校では 、 虚弱児童の数も当然多いのであるから、 健康指導上必然的に起 ってくる問題であろう だが 小さ 。 、 い学校でも 一般的に問題と なっていることは、 「健康指導のための設備の不備」 「設備の不備 によ 、 る指導の不徹底」、「特に治療設備の不備による必要な治療の困 難」 などの問題 が起っている その 。 他、「老朽校舎 に伴う危険」 の問題や 「屋内運動場が いまだ建 築されていないので 体育もできず - 、 健康増進もはかれない」 などの問題も あ げられていた。 なお、「予算的 裏付けがない」 こと は 何 、 といっても重要な問題であろう。 6 ( ) その他、 健康管理の技術上のことも問題となっている。〈 3〉 先ず、 「身体検査の結果はどのように利用 すべ きか」 というの があった また 「養護学級の児童 。 、 の心理的扱い方の問題」 や 「虚弱児童の指導の具 体的方法の問題」 など 何れも 現実にこれらの 、 、 児童を真塾に指導しようとするならば、 極めて困難な問題であろう。 次に、 記述例を掲 げ、 現場の切実感を味わってみたい。. 記述例 9. 養護学級を受持っておりますが、 児童は自分が弱いから養 護学級に入ったと思っている なぜ体 。 育は健康になるた めに必要なのにやらないかと言う。 勿論、 回数を少く時間を考慮 していますが 、 健康指導をしていて身体が弱い先入観 (潜在意識) を植えつけているように思われ 心理的に どの 、 よ う に 扱 っ た ら よ い も の か に 悩 ん で い ま す。 (39 歳 女 1 年 担 任) 、 、. 記述例IQ. 虚弱児童に対し衛生面、 休憩面、 栄養面について個々別々に指導しなければならぬのに 時間的 、 にできず、 一斉指導に終ってしまっていて、 個別的にみてやれないので悩んでいます 。 24歳、 女、5 年担任) (. 〔3 〕 性格指導上の問題 《 27 》. 性格形成に関する指導は、 広義には、 生活指導 に属するものとして取扱うの が一般的であり妥当 であろうが、 臨床心理学的領域にこの性格形成指導の問題がそのまま属 するという見地から 敢え 、 て、 ここでは、 性格指導の問題を、 生活指 導の 問題から 一応切り離 して 別個に整理する ことにし た。. なお、 特殊児童のうちの知能発達遅滞児 の問題 は 学業不振児 (学習困難児) の問題と特 に密接 、 21- -1.
(13) . 坂. 東. 義. 教. な関連のあることと、 現場の教師の問題のと り上 げ方に倣った こととによ り、 既述の学習指導の問 題の中の個別指 導の問題に含めてあることも、 ここに併せてことわつておきたい。. 1 ) 性格形成の指導は 無論のこと、 特に、 性格異常児 の 治療指導は 甚だ困難である とされてい (. る。く4〉 「性格指 導の必要なことは痛感 しておりながら殆どこの方面に手をつけることができない有様であ る」 というのが現場 の実態である。. 性格の形成及 び治療の指導の困難な理由は、 ① 「いかに指導してよ いか判らない」 こと、 ② 「学 級の児童数 のあまりに多いことが手伝って徹底を欠く」 ことなどが主な理由とされていた。 ある教師は、 次のように、 性格指導の困難性・問題点を訴えていた。. 記述例 10. 現在も 過去も 同様であると思 うが、 性格異常児が 普 通児と 一諸 に 学校生活をしていると言 う事 は、 色々 な面においてマイ ナスとなついる。 これらの問題児を指導 しながら一般普通児を指導する. ことは現在の教育現状 から考え大変困難な仕事 である。 ……中略……問題児の指導と普通正常児の 指導と同じ教 室内で行われているために教育 全般が低下してしまう。 これが大き な悩みとなってい. 27歳、 男、 5年担任) る。 ( 8 〉 ) 反社会的児童をいかに指 導したらよいかということが問題となっている。〈 ( 2 童をなぐる たらに反抗する児童 低学年の児 」 「頭脳 がよくて反抗的な子供」 、「 、 「や 、 たかろ・ゆす. る子」 、 「粗暴であ ばれまわる子」 などの所謂、 反社会的、 反抗的児童に対 す 、 「あまの じやくな子」 る具体 的な指導はどうすればよい のか、 いかに取扱うべ きかということが問題となっている。 特に これらの 「反抗児童の叱 り方に自信がも てず苦労をしている」 という。 次に、 反抗するのとば逆の消極的な児 童の問題も悩みの種とされている。 〉 3 ) 非社会 的 (自閉的で消極的な) 児童をいかに指導 したらよいかが問題となっている。〈6 ( 」 子 極的な子 」 子 自我を殺してしまっている 「非常に消 友達と遊ばない子 」 「 「 」 「物を言わない 、 、 、. などの自閉的傾向の強い子供の指導をどのように行えばょいかが問題となっている。. 4 ( ) その他、 種々の類型の問題児についても、 いかに取扱ったらよいかということが問題とされ. て い る。 く6〉. 例え ば、 「学校ざらいの子」 、「落着さがない子」 、「うそ 、 「依存心が強く、 自分で何もできない子」 」 た 感情の動揺のは げしい子 などの取扱 「 を言う子」 、 、 「母の急死により、 すっかり性格の変っ 児」 い方が問題とされていた。. 3> (協 その他、 特殊児童に関係のある一般的問題についても諸種の言及が行われていた。〈 例え ば、 「精神薄弱児施設が乏しい」 という問題、 「児童相談所との連絡、 交通が充分 でない」 と. いうこと、 特に、 「よい子供とはどんな子供か」 判らなくなってしまう という懐疑的な 問題も提起 さ れ て い た。. 以上、 特殊児に関する問題点を指摘 して来たが、 次に、 現場の教師から寄せられた問題児の記述 例をあ げ、 いかに性格形成指導に教師は苦心 しているかを明らかにしてみよう。 記述例 11. 学校嫌いで長欠 している児童。 最近、 金物が相当に高価に買いとられている影響から、 毎日のよ うに鉄 ク ズを拾うために欠席する。 両親はあるが、 共稼ぎのため子供をよくみてやっていない。 子. 供 は、 こ う して 鉄 ク ズ 拾 い を して い る 間 は、 ま だ よ か っ た が、 遂 に は 盗 ん で 売 る と い う よ う に な り、. それが最近では、 グループ組織をもつようになって、 この子は第二学期は全 然学校にでてきていな 2- -12.
(14) . 学級教育における問題点の実態. い。 そのグルー プは大体中学生が主で、 これらの生徒は学校に行っていない。 私がその子の家に訪 ねて行っても誰もいないの でどうにも手の施 しょうがない。 その子を相談所に二回程つれていった. が、 すぐに逃げ出してしまうといった子供。 そんな時でも教師はでかけていって補導すればよいの だろうが、 授業中であるからできないことだ し、 一人の子供のために他の五十名の子供に自習をさ せておくわけにもいかない。 父兄に連絡 しても全く無関心である。 このような実例の子供を担任 し て い る 私 は、 今 一 体 ど う す れ ばよ い の かo (40 歳、 男、 6 年 担 任). 記述例12 感情的に動揺のはげしい子。 子供がなかった相当の年齢 (五十歳前後) の叔父叔母に養育されて いる子。 経済的には上位であるが、 膜はやかましいら しい。 この子の問題性質を言うと、 学校 に お. いて極端に親切だった り極端に乱暴 した りする。 教師 には人なつこい反面、 一年生ら しからぬ反抗 を示す。 この子をどう指導したらょいか。 もう一人の子について。 素質的には兄弟を知っているの で悪くないと思 っているが、 この子は、 決 してお友達と交わらず、 無口である。 学習も生活態度も. 為くれている。 見たところ身体の発育も充分である。 この子の原因を母親と共に相談 して調べて み. た が は っ き り しな い。 こ ん な と き ど う 指 導 すれ ば よ い の だ ろ う か。. また、 父母共稼ぎで家に 帰っても夜おそくなるまで一人き りの子供 がいる。 この子の指導 はどう 34歳、 女、 1年担任) すればよいだろうか。 ( 〔 4〕 生活指導 上の問題 《 39》 1 ) 学級教育におけ る 生活指導は、 「一般に 徹底し難く、 消極的な指導しか行われ得ない」 とこ (. ろに問題があ る。〈6>. この問題に関して、 現場の教師は、 次のような 問題点を 指摘 している。 すなわち、 「生活指導そ のものの研究を、 時間不足のため 行うことができない」 こと、「生活指導は 実際問題として個別的. に指導できない」 こと、 また、 「学校自体にも 学級にも 指導方針がいまだ立 てられずにいる」 こと などである。 その他、 「生活指導の時間を設けて筋を通したい」 との意見や、 「小中校の生活指導面 の連絡の必要がある」 などの強調も行われていた。. ( 2 ) 特に、 教科外活動の 指導では、 児童の 規則無視の 傾向と、 教科外活動の 効果的な計画、 組 9〉 織、 運営などの技術とが問題となっている。く. 「反省会できめた規則を守らない」 、「規則を無視する」 、「学級o学校の規則を平気で破る」 、 「観念 的で実践力に乏しい」 などの、 児童の規則無視の傾向に対し教師は問題を感 じている。 そして、「き. まりを守らせるにはどのように指導するか」 に当惑 している。 また、「利己的な児童の導き方」 、「個 人の自由と集団的統制との釣合いの問題」 など、 更には 「節度ある生活態度の指導を しているが効 果 あ ら し め る に は ど う すれ ば よ い か」 な ど の こ と が 問 題 と さ れ て い る。. また、 「児童会が建 設的に営まれるには、 どうしたらよいか」 といったような計画・運営上のこと. (る。 も、 大 き な 問 題 点 と な っ てL. 3 ) 対人関係の指導で、 男女児童間の対立をいかに取扱ったらょいか、 ということが問題となつ (. て い る。 く6〉. 男女児童間の対立について、 「男子と女子と 一緒 に作業をすることを 極度に嫌うよ うになって来 5年) という記述や、「諸問題の解決に当って 男女間に対抗意識が強く そのため解決が為くれ た」( る」(6 年) と い う の や、 あ る い は、 「男 女 の 対 立 が 最 近 多 く な っ て き て、 ど う 処 置 して よ い か 困 っ. 5年) という訴えの記述が行われていたぐ ている」( また別に、 「性教育についても 考えねばならない」 という問題も 提起されているし、 変った問題 23- -1.
(15) . 坂. 東. 義. 教. としては、 「私の クラスには、 女子の リー ダーが 二人いるの みで、 男子にリ← ダー格の 児童がいな 5年担任、 女教師、 36歳) というのがあっ いため、 指導上、 色々と 支障を来た して 困って いる」( た。 そ の 他、 「リ ー ダ ー の 扱 い 方 を ど う す べ き か」 と い う こと も 問 題 と な っ て い た。 「学 級 の 運 営に. あた り、 リトダーを固 定せずにやってみたが、 どうしても、 学業成績のよい者 に遠慮をしてか消極 的 に な つ て しま う。 リ ー ダ ー と な る べ き 児 童 の 指 導 に つ い て 種 々考 え て い る」 と い う の も あ った。. 4 ) 家 庭の無関心や放任などの非協力性ということと、 家庭環境の悪さからくる影響とが、 生活 (. 指導上最も問題となっている。〈17 >. 先ず第一に、 例えば 「言葉づかいの指導をしても、 家庭に帰ればだめになってしまう」 し、 一般 に 「生活指導をしても家庭へ帰ると逆戻り」 してしまうということ、 これが先ず悩みの種となって. いる。 そして、 「父兄の放任」 的な態度や、「無関心な家庭が多い」 ことを何とかしなけれ ,ばならぬ と考えられている。 しかし、 生活のために、 「忙しい父兄に どうして積極的に なってもらうか」 の 問題はぎ少しも解決されて いないのである。 特に、「両親の共稼ぎにより、 父兄と接することが全く. できない」 場合、 「家庭教育 の放任を どうすべきか」 ということなどは、 全く手の 施 しようもない. 問題である。 また、 「両親の不和と 家庭の貧困とが、 明らかにその子の不良化を 生 じさせていることが判って いるが、 どこまでその家庭に立入ったらょいか」 などの問題は、 極 めて深刻な教師の悩 みとなって い る。. 「家庭生活の指導の必要性を痛感 しているが、 とうてい力が及 ばない」 こと に悩み を抱いている教. 師は今日少くないであろう。 家庭の指導もさることながら、 環境の悪さから来る影響 にも現場の教 師は問題を感 じている。 例えば、 「俗悪な 環境のため、 不良の使う言葉を 用いるものがいる」 とい. うの や、 「昼間は両親が不在であり、 しかも 近所の不良中学生から 悪影響をうける」 とい う記述 が. 行われていた。 このように、 「環境の悪いことから来る 影響のために 指導が困 難 である」 ことが現 場では重大な問題となっているo ところで、 上述の悪環境の問題解決に実際取組もうとする教師も、 今度は 「地域社会 と学校と ど のように協 力すべきか」 という問題に突当ってしまっている。 次に、 生活指導に関する記述例を示 し、 現場の教師の問題意識 にふれてみようと思う。 記述例 13. 生活指導では、 家庭環境による本人の影響について、 一番悩まされることが多い。 中でも、 複雑 な家庭事情から両親の別居 等による子どもへの無関心さ、 そして六年にもなれ ば相当にそうした 暗. い面が性格の上にも表 われてくるので、 これを他の子どもらと別個に慰 め種々な面 に気を配 っては. やるが欠席もし勝ちになり、 悪にひかれ易い点の見受けられることである。 クラス に 二人の長欠児 がいたが、 登校するといって家を出たまま登校しない子と、 弟の世話を し食事の 仕度を男の子であ りながら母がわりにやって、 父の帰 りを待つ子、 と である。 これらの親は、 受 持 が案ずる程関心を. 持ってくれない。 こうした家庭の子ども を真直ぐに育て、 卒業させてやりたい。 それに対する幾多 の障害を乗越えようと努力 して来た が、 後三学期の僅 かの期間無事に終え、 中学に送 りたいと念願. している。 現在二人を長欠か ら救い通学させているが、 中学へ行ってからの、 たえない担任のびご を必要と するこれらの子供のことを思うと、 家庭生活環境のいかに大切であるかを、 しみじみと思 47歳、 女、 6年担任) う。 ( 5 ) 校外生活の実態が把 え難いことも問題となっている。〈1〉 (. 一人の教師からの 問題の提起ではあ るが、 見逃がし難い 問題点の指摘である。「校外での児童の 24- -1.
(16) . 学級教育における問題点の実態. 生活実体が殆どつかめない」 ことは、 種々の当然な理由に 基づくものであろうが、 しかし、 このま まで過すことの許されることではない。 それは指導上 の片手おちを意味している。 今日、 校外生活 指導は極めて必要である。 校外での児童の生活実体を把握すること は、 校外生活の指導以前の問題 と して、 一 層 必 要 で あ ろ う。. 〔5〕 家庭教育に関する問題 《 34 》 1 ) 家 庭教育に関 しては、 一般的問題として、 両親教育の行われ難い ことが問題となっている。 ( 〈5〉. 第一、 「家庭教育のあ り方を父兄に指導する形をもち得ない」 こと が問題となっている。 次の例がそれを如実に物語つている。 記述例 14 現在のところ、 殆 ど家 庭教育のあり方を父兄に指導する形をもち得ない。 父兄は生活の多忙に追 われ、 それだけで精一杯のようであ る。 かかる現状から立ち上 り、 子供の生活に関心を向けるた め には、 父 兄が生活に余 裕をもつ必 ,要 がのぞまれるのであるが、 殆 ど不可能なことである。 だからせ めて子供達の生活に 関心を示すことに父兄を導くことが精一杯であ ると思いながらも、 努力しよう としても、 父兄会に出席する親は 少く、 特に問題の子の親ほど殆ど来校しないし、 訪問しても不 在 である。 これでは家 庭指導をする形すらもてない……以下略。 ( 29歳、 男、 5年担任) 同じよ うな記述が 他の教師からも行われていた。 すなわち、 「家庭教育の指導が できないで困 っ. ている」 と か、 「父兄は教育に関心をもつだけ.経済的余裕がないことが 根本的な問題である」 とい. うのや、 「家庭教育を どのように父兄に したらよいか」 というような 疑問を投 げかけている記述も 見られた。 2 ( ) 家 庭や両親の教育への関心 が低いということが、 最も数 多く問題となっている。〈 13〉. 父兄の教育への無関心や放任は、 生活指導の項目でも、 最も数多く問題とされていたが、 この家 庭教育 の項目でも、 次の如き表現で. 問題点が指摘 されていた。 「殆どの家庭が教育 に 無関心である」 、 「教育への関心がうすい」 、 「家庭は協力的でない」 、 「何でも. 学校でやってくれと考えている父兄が多い」 、 「家庭教育を しようともせず、 学校まかせである」 な ど であ る。. また、 関心の低い原因を 指摘 して、「経済的に多忙のために 家 庭の教育的関心が低い」 というの や、 分析的に、 「中 程度以下の家庭が教育 に対して無関心で非協的だ」 とい うのがあった。 「教育に関心のない家 庭と、 いかにして学校は結びついたらょいか」 、 「学校教育と家庭教育はいか. に融合すべきか」 ということが、 家庭教育の指導の根本問題のようである。. 「家庭 でも勉強するように しつけてもらうに は、 教師は具体的に どのようにすればよいのか」 とい. う切迫した問題提起も見出されていた。 ◎. 家庭でのしつけが充分行われていないことに、 教師は問題を感 じている。〈9>. 一般的に言って、 「学習に 熱心でも、 しつけの面では、 その割 に 力を入れぬ家庭が多い」 という ところに問題があると言えよう。「しつけをも 学校まかせに している 家庭が多い」 とも記述されて. いた。 また、 「言葉、 あいさつ、 清潔などのしつけが 家庭では行われていない」 という。 特殊な 問 題としては、「貧困 家庭の子は、 金銭や品物に対する 善悪の判断力が乏しい」 という問題の 指摘も. 行われていた。「道徳に対する考え方が乏しいし、 この方面のしつけが 多 く行われていない 家庭が ある」 た め、 これらの家庭の 子供の指導に、 教師は抵抗を感 じている。 その他、 経済的にも生活環境的にも恵まれない状態にある家庭について、 ある教師は 「多くを望 -125-.
(17) . 坂. 東. 義. 教. む こと が で き な い」 と 言 い、 「この よ う な 家 庭 の 子 の しつ け は、 一 体 ど う す れ ばよ い の か」 と、 切. 実な悩みを訴えられていた。 4 ) 家 庭教育について は、 以上に述べた事項の外に、 特殊な問題として、 次のような諸種の事項 ( が問題とされていた。く7 〉 すなわち、 「入学前のしつけが行われていない」 という問題、 或は、 「家 庭教師について、 教師と してどのような 考え方をなすべきか」 という問 題、 つまり、 「家庭教師によつて 詰め込まれている. た めと思われるが、 もう これは習った という態度で、 (その実は、 少しも判っていないのに) 学校 では真面目に やろうとしない子供の 扱い方に困っている」 という問題、「あまり子供に熱心過 ぎる 親」 の問題、 同じような問題であるが、 「親が勉強を 強制するため、 ますます勉強を きらうように なって しまった 子供」の問題、また、これ に 類するものに、「親の虚栄心から稽古ごとに、 無理に通わ. せている」 という問題などの、親子関係の問題が、家庭教育に関 して、教師の問題意識となっている。 家庭教育上の問題として、 「良い子の友達と 遊 ぼうとせず、 悪い友達とばかり 遊 ぼうとする子を. どうして指導 したらよいか」 という、 いわゆる遊びの指導上のことが問題となつて いた。 この問題. は、 問題と しても興味深いものと思われたので、 次に、 この記述例 を掲 げて みたい。. 記述例 15 父兄会で相談された問題であるが、 男子で知能は中の上位、 成績は 4位の児 童、 家の近所に性 格 も行動も思 わ しくない子供 がいて、 この子と遊ばせたくないのだが、 親がと めればかくれてでも遊 び た が る。 従 っ て、 良 い こ と を お ぼえ ず、 親 の お どろ く よ う な こ と を 言 っ た り した りす る。 こ の 子. を良い子にするには、 どうしたらよいか。 級の中の良い子が遊びにきていて親もよろこんで遊ばせ ているのに、 その近所の子がさいそくにくると、 良い子の友達をおいていって しまうので、 級のよ. い子も最近は遊びに来なくなった。 良い子の友達と遊 ぼうとせず、 悪い友達とばかり遊 ぼうとする 2 5歳、 女、 1年担任) 子をどうして指導 したらよいか、 父兄に指導できなくて困っている。 ( 6 》 〔S 〕 学級経営管理上の問題 《6 ここで述べようとする学級経営管理上の問題--特に会計事務に関する問題は、 学習指導上 の問. 題と共に、 教師の学級教育活動における二大問題をなすものの一つである。 以下、 集計結果、 必然 的に生 じて来たカテ ゴリ←の順序に従って記述 してみようと思う。 その前に、 端的ではあるが、 学 級経営管理上の問題点を概括してみると、 まず、 学級事務があまりに多いことが問題となっている。 特 に、 金銭徴収の多いこと、 それに伴う徴収上 の諸問題、 更に、 会計事務の煩雑によ る種 々の支障 な どが鯛題と なっている。 次に、 諸会合の多いこと、 それからもう一つは、 教具や設備などの不備 並びに予算 の裏づけの欠如、 その他な どが、 学級経営管理上の主要な実際問題と なっている。. 1 ) 学級事務、特に金銭徴収や会計事務、その他の雑務が多過ぎることが問題となっている。〈18〉 ( 学級事務で多忙を極め、 会計事務に仕事の過重を感じてない教師はいないと言えよう。 寄せられ. た回答 には必ずこの問題が指摘されていた。 その表現の仕方は様々であったが、 要 するに 「学級事 務による多忙」 、 「事務的過重」 、 「金銭 徴収の多過 ぎる」 こと、 「雑務が多過 ぎる」 こと などの 記述 が行われていた。 次に記述例をあ げて参考に供 したいと思う。 記述例 16. 学級事務を大別 しますと、 児童指導のためのものと、 直接指導に関係のないものとがあ ります。 前者の事務は当然のことで、 何とも思っていませんが、 問題は、 後者の金集めなどの仕事です。 毎 日のようにあるから困 った ものです。 特に後者の事務は、 校内のと校外のとあり、 その係を一部引. 受けている私は、 事務過重のために、 自然指導力がそがれて しまい、 児童らにすまないと思ってい .-126-.
(18) . 学級教育における問題点の実態. ます。 この解決のためには、 何か大 きな力がなけれ ば出来ないと思ってますが、 こう した今日の社 52歳、 男、 5 年担任) 会機構は困 ったものです。(. 記述例 1ァ 高学年は授業時間数が多いので、 授業を終えて机に向 うの が2時半 から3時、 それから学級事務 を終え、 学校事務を処理すると 4時 ~5 時となり、 教材研究するとすれば6時頃でなければ帰宅で きない状 態であ る。 それでどうしたら手早くそれ等の事務を処理で きるか、 常に問題にしている。 (36 歳、 女、 5 年 担 任). 記述例 18 雑務が非常に多い。 ,しかし、 それが雑務とはいっても、 しなくても済ますことの出来るいわゆる 雑務ではなく、 それを しなければやは り明日に差つかえるとい つたもの で、 しないわけにはいかな 30歳、 女、 2年担任) い所のもので、 大事な教材研究時間がなくなる……後略。( 2 ( ) 特に、 金銭 徴収に際 して、 種々の問題に当面している。〈10〉 と、 特に朝の一時限に喰い込んでしまうこと。 次 例えば、 ①金銭徴収のた めに時間を損失するこ.. に、 ② 金銭 の 扱 い が 多 い た め に、 混 乱 して しま う こと が あ る こと。 そ れ か ら、 ⑧ 金 を 立 替 え る と、. 後になっ てもその金が集まらないこと。 ④納入が悪いこと、 未納の督促に手を焼いてい ること。 ⑤. どのように督促したらよいかという問題。 ⑥特に、 その場合、 生活困窮者への配慮に苦心すること、 金銭徴収の場合も、 配慮に苦心すること。 ⑦また、 低学年の児童の場合は、 間違いが起 り易く、 つ ま ら ぬ こ と で、 種 々 の 労力 を 浪 費 し易 い こ と。 父 兄 と の い ざ こ ざ な ど。. 十名の教師から、 金銭の取扱い上の問題点の指摘 が行われていたが、 これらを総合すると、 上 の ようなことが、 問題の結論として、 一応総括 し得る。 なお、 「父兄の教育費の負担をもっと軽く できないものか」 とか、 「貧困 家庭の児童への積極的な 援助を与える方法はないものか」 とかの種類の問題提起も行われていたことを附記しておきたい。 ん上は、 金銭の徴収に際して、 直接金銭の扱い上で問題と なっている事項をまとめたに すぎない が. 広い意味で、 学級事務o会計事務の繁雑のた めに一般に問題となっていることを次にまとめて み た。. 学級事務の繁雑のために種々の支障を来た しているという問題。く16〉 先ず、 第一に、 ①結論的に言えば、 「学級事務のために 学習指導への 教師の力がさかれる」 とい ◎. うことである。 教師の力の浪費もさることながら、 結果的には 「学習の進度も為くれて しまう」 こ. とが問題と されている。 次に、 もっと具体的には、 ②金銭事務が 多いため、 「教材研究の時間が足 りなくなる」 ということである。 教材研究に困難を招くことも問題であるが、 更に、 ③-時限がど う して も、 つ ぶ され て しま い 勝 ち で あ る こ と、 す な わ ち、 金 を 児 童 が 無 く した り、 間 違 い を 起 さ ぬ. うちに、 登校次第徴収する必 要があ るのだが、 一時 限に喰い込んでしまい、 その日の授業の冒頭に 金集めをやるため、 教室の基気 が ダラダラして しまうことが、 問題にされている。 ④一般 に、 金銭 事務のた めに、 評価の仕事 (ノ ト ト観察o作品の評価など) への力もそがれ勝ちである という。 更 には、 ⑤学校事務を受持っている場合のごときは、 学級事務と学校事務との重複のた め、 仕事が過 重となり、 両立も困難になってくることも、 問題となっている。 特殊な問題であるが、 一教頭から は、 「学級の数が多い学校ほど、 それが問題となっている が、 学級事務をまと める立場のものは、 学. 級事務の出あしが揃わぬた めに、 まとめに、 非常に困難と支障を来た している」 との問題指摘が行 われていた。 何れにせよ、 今日の教師は、 学級事務の 簡素化を迫られて いる といえよう。「どのようにLたら 7- -12.
(19) . 坂. 東. 義. 教. 学級事務は能率的に行われるか」 という問題は、 今日の小学校のすべての 教師の問題である。 4 ( ) 諸会合が多すぎることも、 問題と なっている。〈4 〉. 「金銭の扱いが多いが、 同時に、 いろいろの会合も多過ぎる」 ことが現場では問題とされている。 職員会議の外に、 やれ、 なんのかのと、 打合せ会や会合が行われることが教師にとって煩わしいも のの一 つとなっている。 諸会合が必ずしも児 童教育に関係があ るも のばかりでなく、 むしろ、 児童 の指導に 直接関係のないものが多いことに問題がある とされている。 ある教師は、 「会議は指導実. 践に関するものは殆どない」 といっている。 ことにも、 会合の能 率化、 簡素化の必要注が存すると 言 え よ う。. 5 ) 教具や設備の不備が問題となっている。く9〉 ( 「教具が少い」 こと、 例えば、 「紙芝居や幻燈が不足 してい る」 ということ、 「教具を思うように作. る こ と が、 多 忙 の た め に で き な い」 と い う こ と も 絡 ん で き て い る よ う で あ る。 「教 科 書 の 外 は、 わ. づかの掲示物で授業する外に方法はな い」 と いう結果に終って しまうことに、 教師は問題を感 じて. いる。 教 室内の設備が 充分でない点の指摘も 行われていた。 例えば、 「成績物の処理上、 整理戸棚 が、 必 要であるのに、 これがないために、 非能率化をふせぐことができず、 苦労している」 という がごときである。 児 童が粗暴のた め、教具や設備の破損することも、 一教師から訴えられ ていた。 (浅 学級経営に予算的裏付けの乏しいことも問題とされている。く3〉. 「予算のうらづけがない」 こと、 「経済的うらづけを必要とする」 ことなどである。「父兄の経済的 に力が弱い状 態では、 一体どうすればよいか」 が問題となつている。 6〉 } その他の問題。 く { 7 その他の問題として、 次に掲 げるような事項が問題とされていた。 ①学級の児 童数 が多すぎるこ. と。 ②学校行事の簡素化の必要の問題。 ③合理的な クラス編成の方法。 ④自分で自由 に学級経営が できないこと。 何故なら、 学年共通に行わなければならぬという申合わせがあるから。 ⑤学級を成 長発展させるには、 一体どのように経営を行えばよいのか判ら ない、 という問題。 ⑨校長の無理解 の問題などの、 六項 、目であった。 以上で、 小学校の部の記述を終わる。. 〔未完〕 19 57年6月 15 日) (. -128-.
(20)
関連したドキュメント
うことが出来ると思う。それは解釈問題は,文の前後の文脈から判浙して何んとか解決出 来るが,
(質問者 1) 同じく視覚の問題ですけど我々は脳の約 3 分の 1
現実感のもてる問題場面からスタートし,問題 場面を自らの考えや表現を用いて表し,教師の
ドリル教材 教材数:6 問題数:90 ひきざんのけいさん・けいさんれんしゅう ひきざんをつかうもんだいなどの問題を収録..
教育現場の抱える現代的な諸問題に応えます。 〔設立年〕 1950年.
英語の関学の伝統を継承するのが「子どもと英 語」です。初等教育における英語教育に対応でき
は,医師による生命に対する犯罪が問題である。医師の職責から派生する このような関係は,それ自体としては
おそらく︑中止未遂の法的性格の問題とかかわるであろう︒すなわち︑中止未遂の