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日本語 Ⅰ 日本語教育学入門

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東京外国語大学 『日本研 究教 育年 報16』 (2012.3)

(特集 「授業で

日本」 を教 える」)

日本語 Ⅰ 日本語教育学入門

一 日本語教育の世界 を通 して 「日本」を学ぶ一

高 野 愛 子

1.本授 業が め ざ した もの (授 業の 目的 )

1年生主専攻科 目 「日本語教育学入 門」は、Jl(日本人学生ト J2(留学生)合 同の授業 である0 日本課程 「1年生」の主専攻科 目で 「必修」、 日本語教育学 「入 門」、「日本入学生 ・ 留学生」「合 同」であるクラスで、何 を教 えれ ばいいのか、何 を学ぶべ きなのか、考 えをめ

ぐらしたOそ して、 「1年生 ・必修 ・入 門 ・留 目合 同」な らではの享受業 にす るべ く、「日本語 教育」 とい う世界 を、騰轍的に 「鳥の」で広 く、 日本語や 日本 、 日本語学習者 ・日本語 教師、 日本語教育 に関わ る領域 について、知 っておいた方 がいい こ とを中心 にす る とい う 考 えを柱 に したO その中で個 々の得意不得意 ・関心の有無 で さらに撤密 に 「虫の 目」で深

く学習 ・研 究 してい く分野 (例 えば文法 。音声 ・文学 ・事情 な ど)は、1年 生の他科 目や2 年生以降 に実現でき、 また具体的な教 え方 としての 「日本語教授 法」は 日本語教育志望 の

学生には必 ことではあるが関心のない学生 には不要であ り、 こち らもさらに深 く履 修 できる機会が2年次以降に用意 されていることを前提 として考 えたためである。

そ こで、いわゆる狭義 の 「日本語教授法」ではな く、 日本語教育 とい う分野 が 圧1本語 学 ・日本文学 ・日本事情 ・言語学 ・音声学」な どの知識 8考 え方全て を必要 とす るもので あ り、そ こにはいつ も学習者 ・教師 をは じめ とす る 「人」がいて多様性 があ る とい う考 え 方 。アプ ロ‑チでシラバスを組む ことに したO

本学 シラバ スに記載 した 目標 ・授業 内容 は、以下の通 りである。

1.目標 :日本語 教 育 の現 場 にお け る様 々 な事例 を通 して 、客観 的 に 日本 語 や 日本 に ついて考 えなが ら、 日本語教育の世界 についての理解 を深 める。

2.授業 内容 :日本語教育に関す る項 目 ・分野 について、現場 (学習者 ・教室活動 ・教材 な ど)の具体的な事例 を紹介す る。 また、外 国入学生 ・日本入学生の合 同グル‑プ によって、 日本語教科書の分析 ・発表 を行 う。

このシラバ スでのキ‑ ワ‑ ドは、 「日本語教育」 「日本語 」 「日本」 「現場」 「事例」 「客観 的」「具体的」「理解」「外国入学生 ・日本人学生合 同」である。その実践として、まず 、拠 り所 なる教科書 ・教材 としては、実際に使用 されてい る 日本語教科書 ・教材 、そ して 日本 語学習者 の作文や発表 な どの成果物 を用 いた。 さらに、現役 の 日本語学習者 ・日本 語教 師 に 触 れ て実感 ・体感 を もって学び理解 してほ しい と考え、本学留学生日本語教育セ ン タ‑

全 学 日本語 プ ログラム (以下、留 目セ ンタ‑JLPTUFS) との.合同活動、ゲスト講 師 の先 生

‑ 83‑

(2)

による特別講義 も企画 ・実現した。(日 本 語 教育関連の概論書 ・理論書は推薦図書 として紹 介 した。)

そ して、なによ りも教義で大事に したかったのは、Jl (日本人学生) とJ2 (留学生)の 直接 の対話である。 日本入学生に とっては留学生の経験 と考 えを直接知 ることによって、

そ して留学生に とっては、 日本人学生をは じめ とす る 日本人 (日本語母語話者)の生の 日 本語運用 ・感覚 ・考えを直接知 ることによって、互いに 「日本語 ・日本」を 「客観視」 し、

分析的に 「多角的な視点」で見て もらいたい とい う目的であった090分の授業の中で何回 か話 し合いの時間を設 け、互いの情報や意見を交換 した り、同 じ課題 に取 り組む等 、短 く て も必ず グループ活動 を取 り入れ るよ うに したo

この授業の枠組み ・詳細 ・特徴 については以下か ら具体的に述べ ることにす る。

2

,本授 業の特徴 (工夫 した点) (1)留日混合グルー プ ・座席指定

前述 したよ うに重視 していた留 日の直接の対話 を実現す るため、留 日混成 グループ と座 席 の指定を したO 自由にす るとどうして も同 じ国 ・親 しい者 同士が座 って しま うため、留 日間はもちろん、留学生同士でもイ ンフォメ‑シ ョン ・ギャ ップを利用 して互いの意見が 交換 できるよ う理解が深まるよ うに と考えたO留学生2名 + 日本入学生1名で3名 を基本 として15グループ、留学生 もできるだけ同 じ国が蛮な らない よ うに配慮 した。そ してその グループを 3‑4週間 ごとにグループ替 え ・席替えをお こなったo組み替 えを繰 り返 し後半 に近づ くと組み合わせ に限界が出てきて同 じ人 とグル‑プになって しまったことがあった のだが、J2学生の方か らできるだけ違 う人 と同 じグループに しては しい とい う声が伝わっ て くるな ど、学生たちに とって、 このグループ活動はお互いを知 る機会 になっていた よ う である。

日本入学生に とっては 「外国語 としての 日本語」を考 えることも初めて同様の段階であ り、それまでの 「国語

国語教育」か らの脱却、発想の転換 を図るために、留学生は最高 の先生である。彼 らが学んできた背景 ・困難 ・日本語能力、そ して、留学生 とい う立場で あること、問題意識等、彼 らか ら学ぶ ものは 日本人学生のみな らず筆者 自身 に とってもと て も大きい。 また、留学生に とっては、 自分たちが受 けてきた 日本語教育 を振 り返 ること によって、その学び方が客観的にみ られ るの と同時に、 自分が受 けてきた経験だけが 日本 語教育の全てではない とい うことを認識できるとい う利点があると考 えた。 しか し、もち ろん組み合わせ (学生同士の相性)や活動の内容 ・タイプによって、表 面上は うまくいっ てい るよ うに見えた ことが実は心情的に うま くできていなかった こともあった よ うである。

これ は最後に課題 として述べたいO

(2)体験型授業

本授業は先に述べ た よ うに理論 書の購読を して解説 を行 うとい うものではな く、 さま ざ

(3)

日本語 日本語教育学入 門

まな 日本語の教科書 ・教材 を教室に持参 し実際に手 に取って もらい、グル‑プ単位 でまわ した り初級の教科書については分析 ・発表 をお こない、 さらに学習者が実際に書いた漢字 クイズの答 えの観察、作文の添削、聴解 ・読解 の問題解答、発表 を視聴 、 とい うよ うに少 しで も学習者 ・教師の立場が実感 できるよ うな活動 を行 った。先に具体例 を示 しそ こか ら 得た ものが後になって理論書 ・専門書を読んだ ときに実感 をもって理解 できるよ うに と、

帰納的な手法 をとったのである。

また、本学留学生 日本語教育セ ンタ‑の全学 日本語プログラム (JLPTUFS) との合 同活 動 によって、 日本語学習 中の多国籍で初級‑上級までのクラスに参加 し共に活動す る とい

う、現場 ・体験 中心型の授業 を試みた。

以下か らは、これ らの教室活動の詳細を報告す る。

3.本授 業の鼓室活動 (授 業の 内容 と方法 )

具体的な教室活動は、大き く分 けて(1)概要解説、(2)教科書概観 ・分析、(3)留目セ ンター 全学 日本語プログラム (JLPTUFS)との合同活動、(4)ゲス ト講師による講義、の4つであ る。以下か ら、それぞれの具体的な活動内容 ・特徴 ・学生の反応 を、各活動別 に紹介 した い

(1)概要解説

日本語教育の分野で最低限知 っておいてほ しい基本的な用語や事象については、共通理 解 となるよ う、その項 目として、 「日本語学習者 の背景 ・学習動機 ・学習機 関

「日本語教 育用語 と国語教育用語の相違

「日本語教授法 (‑外国語教授法)の変遷 と特徴」 を取 り上 げたO

「日本語学習者 ・動機 ・機 関」に関す る資料 としては、外務省 ・文部科学省 ・国際交流 基金 (JF)・日本国際教育支援協会 (JEES)・日本学生支援機構 (JASSO)等のサイ トか ら最新の統計 ・データを用い、看護士 ・介護士の 日本語教育や在 日外国人 弓EL童等の話題3 については新聞記事やテ レビのニュースを用いた。一方的に説明す るのではな く、 レジュ メに空欄 を設 け、学生達 自身 に話 し合わせ た り推測 させた りす るよ うに努 めたO

「日本語教育用語 と国語教育用語の相違」については、例 えば 「あた らしい」 「み る/た べ る

「よみます」は どのよ うな用語で学んできたか とい うことを、それぞれ 「い ・な形容 詞 ‑形容詞 ・形容動」な どの品詞

「Ⅰ・I ・Ⅲグループ‑五段 ・一段 ・カ変サ変活用」

な どの動詞の分類、「ます形 ・て形‑連用形」な どの活用形、について、留 日の グループで 確認 し合 ったo互いにその用語 の違いに驚 き、イ ンパ ク トが強かったよ うである。 この活 動の際には、原沢伊都夫 (2010)『考えて、解 いて、学ぶ 日本語教育の文法』 (ス リーエ ーネ ッ トワー ク) を推奨 した。

「日本語教授法 (‑外国語教授法)の変遷 と特徴」については、大きな流れ と特徴 だけ で個 々の教授法について くわ しくは解説できていないのだが、国際交流基金 (2006)『日本

‑ 85‑

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語教授法 シ ソ‑ ズ第1巻 日本語教師の役割/ コ‑ スデザイ ン』(ひつ じ書房)、遠藤織枝編 (2011)『日本 語教育 を学ぶ [第二版]その歴 史か ら現場 まで』(三修社) に必要最低 限の 知識 ・

れが明解 に整理 され てお り、学 奨 した。 に れ は、実践で学んだ ことの整理 とさらに くわ しい知織 を得 るために、1 入門期 にふ さわ しい ものであると考 え られ る 教科書である。)

(2)教科書概観 ・分析

外国語 ・日本語教授法の概観 を した後、各種 日本語教科書 にあた って、 日本語 ・日本 に つ いての扱われ方の実際 を見 る活動 を行 った。 前期 は初級教科書、後期 は中上級 の総合教 科書 ・技能別教科書 を扱 ったO また、実際の教科書 を全て見 るには限界があったた め、主 要教科書の概要 と特徴が詳細 に記述 され てい る吉岡英幸編著 (2008)『徹底 ガイ ド 日本語 教材』 (凡入社) も併用 した。

【初級教科書の概観 と分析 】 a.青魚的教材

まず 、当時主流だった以下の "古典的教材"8点を概観 した。

② 『NIHONGONOHANASIKATA(HowToSpeakJapanese)』鈴木忍 ・阪田雪子 (国際 学友会) 1954〆1983

③ 『BEGINNINGJAPANESEpartl&2』EleanorHJorden (TUTTLE)1962

『Japanese:TheSpoken LangⅥage partl‑3』EleanorH.Jorden with MaTiNoda (KODANS托A)

④ 『にはん ごのきそ Ⅰ。ff 本冊 かん じかなま じり版

海外技術者研修 協会 1972

⑤ 『日本語 Ⅰ

・t I 』

国際学友会 日本語学校 (国際学友会)1977

㊨ 『日本語初歩』鈴木忍 ・川瀬生郎 (国際交流基金 ・凡人社)1981/1998

⑦ 『中国か らの帰国者 のための生活 日本語 Ⅰ・Ⅱ』文化庁文化部国語課 1983‑86

⑧ 『AnIntroductiontoModem Japanese』水谷修 書水谷信子 (TheJapanTimes)1989 現在 は使 われ ていない教科書について触れ たのは、教授法の流れを概観 でき実感 で きる か らであるC筆者 自身 も学生時代 に同 じ教科書 を実際に手に取 って見て説 明を受 けた とき に教授法の具現化 した もの として、その時代 の 日本 語教育 についての考 え方や実際 を印象 強 く実感 で きたため、同 じよ うに体感 して もらいたい と考 えた こ とによる。学生た ちに と って も同 じよ うなイ ンパ ク トがあった よ うであるo

ち.現在 よく使 われ ている教科書

現存で も使用頻度の高い以下の教科書 15点 (グループ数)を選び、各教材 をグループに 割 り当て、分析 ・発表活動 をお こなった。

(5)

日本語i 日本語教 育学入門

みんなの 日本語 初級

i

・Ⅱ( AOTS

海外技術者研修協会/ ス リ‑工‑ネ ッ トワー ク)

『 新文化

初級 日本語

Ⅲ (文化外国語専門学校)

『 S I TUATI ONALFUNCTI ONALJ AP ANESE

』 (筑波 ラング‑ ジグル‑プ/凡人社)

初級 日本語 新装版』 (東京外国語大学 留学生 日本 語 教 育 セ ンタ‑/凡人社)

⑤ 『実力 日本語 上 ・下』 (東京外 国語大学 留学生 日本語教育セ ンター/凡人社)

㊨ 『進学す る人のための 日本語 初級』 (日本学生支援機構 東京 日本

語教育セ

ンター)

⑦ 『初級 日本語 げん き

』卜 Ⅲ (

坂野永理他

/TheJ a p a nTi me s )

『 J AF

AN

ESEFORBUS YPEOPLE』I・

Ⅱ ・

Ⅲ ( AJ ALT

国際 日本語普及協会/講談 社イ ンターナ シ ョナル)

⑨ 『日本語5つの とび ら 初級編』1・2(立命館 アジア太平洋大学/凡人社)

⑩ 『新装版 はかせ 留学生の 日本語初級 45時間』1・2(東京 工業大学留学生セ ンター/

ス リーエ‑ネ ッ トワー ク)

⑪ 『にはん ご45時間/ にはん ごつ ぎの45時間』 (沢村 三恵子他/専門教育 出版)

⑫ 『は じめのいっぽ』 (春原憲一郎他/ ス リ‑エーネ ッ トワー ク)

⑬ 『E3本譜で ビジネ ス会話 初級編』 (日米会話学院/凡入社)

⑭ 『中日交流 標 準 日本語 初級』上 ・下 (人民教育 出版社/光村図書出版)

『 KUJ AP

シ リ‑ ズ 日本語』 (高麗大学校)

上記の教科書 は、主 に① ‑⑨予備教育 を主 目的 とす るもの、⑩‑⑲短期集 中型、⑬ ビジ ネ ス ・英語話者 向け、⑭ 中国語話者 向け、⑮韓 国語話 者向け、 とい う観 点で選 んだ02010 年度 には、児童向けの大蔵守久 『日本語学級』 (凡人社)、サバイバル型 の

J A

L アカデ ミー

『 NI HONGOBr e a k t hT O ug h

』 (アスク出版)、緒方 由希子他

『 NI HONGOFUN

&

EAS Y』

(アスク出版) も扱 ったが、 とて も斬新 であ るものの分析す る ときの対象 と して

は要素が

少 な く、2011年度 には短期集 中型 の参考 として分析対象 とは しなかった。

C.教科書分析 のポイ ン ト

上記 の教科書 を15グループ (留2十 日1)に割 り当て、構成 (全体 ・各課)、導入部分 (1‑2 課)、文型 の扱 われ方 (て形)、機能の扱 われ方 (敬語表現 *2011年度 は末習) について 注 目し、 グループで担 当者 を決 めて、毎週分析→発表 を繰 り返 した。分析 のた めには、以 下の要素 を共通項 目としてフォーマ ッ トに し、その ワー クシー トに記入す る形式 に した。

構成 (全体 ・各課) についての分析 のポイ ン トは、 「どんな学習者 向けか ・目的、全体の 構成 、導入部 、表記 、文法項 目 (文型)提出順 、シ ラバ スの タイプ、文法解説 の有無 ・文 法用語 、各課 の構成、練習 問題 の種類 ・畳、イ ラス ト・写真等 、周辺教材 ・資料、その他 ・ 気がついた こと」であるO

導入部分 (1‑2課) についての分析 のポイ ン トは、 1‑2課 に出て くるそれ ぞれ の 「文型 、 文法事項 、語秦 、場 面、機能 、会話文の特徴 、練習問題の種類 、教室活動 、何 がで きるよ

うになるか、工夫 してある ところ、問題点」である。

‑ 87‑

(6)

文型 の扱われ方 (て形) についての分析 のポイ ン トは、 「初 出の課、初出の文型 ・目的 ・ 例 文 ・場面 ・機能、動詞の種類 l‑IIIグル‑プ別 に リス トア ップ、練習の形式、教室活動、

て 形 を 含 む 文 型 を提 出順 に 初 出課 ・文型 ・例文 を リス トア ップ」である(,

機 能 の 扱 わ れ 方 (表現)についての分析 のポイ ン トは、敬語 (尊敬語 ・謙譲語 ・丁 寧語)とカジェアルな表現 (くだけた表現/友だちことば)の二つに分 け、それぞれの 「初 出の課 、初出の文型 ・目的 ・例文 ・場面 ・機能、動詞 の種類 I‑Ⅲグループ別 に リス トア ップ、提 出順 に文型 ・例文 を リス トア ップ」であるO とくに このテ‑マの ときには話 し方 の丁寧度 について 日本 にお ける人間関係 と言葉 の関係 が クロ‑ズア ップ され、 日ごろ苦労

してい る留学生たちに とって関心が集 まった ところである。

2010年度前期の課題 で初級 日本語教科書か ら見えてきた こ とについて述べて もらった と ころ、 「目的に よって内容 も構成 も難易度 も様 々な こ と

「発音 ア クセ ン トを扱 ってい るも のが少 ないこと

「です ・ます体 中心」に関す る指摘 が多 く、日本語学習者

目的の多様性、

音 声面の不足、文体の優先順位 について、現実や問題 点 をよ く理解 してい るこ とがわかっ た。 また、 自分が教 える と した ら学習者 だ とした ら、 どの教科書 を使 ってみ たいか とい う 質問では、『みんなの 日本語

『中 日交流 標準 日本語 初級』 が圧倒的に多 く、 しか も後者 につ いては中国語話者だけではな く韓国語話者 の留学生 に好評 だ った ことが興味深 いQ文

は な く、 実 際 に 日本での生活 で必要 な情報、文化やマナ‑な どが豊富に盛 り込 まれ ている点が よかった よ うである〔つ

発表の ときには ワ‑ クシ‑ 卜の フォーマ ッ トに したがって各 自が ワープ ロで レジュメを 作成 し、全員に配布 して教科書 をOHC(書画カメラ)で見せ なが ら説明を行 った。しか し、

90分 で15ダル ‑ プ ‑ 15種類 の教科書の説明は非常に慌 ただ しく、筆者 による解説 も十分 に で きなかった こ とが悔や まれ るが、多種 多様 な教科書 をい ろいろな角度 か ら見 られ 、各学 生た ち 自身 で気づいた ことも多かったので、多少 な りとも得 るものはあったのではないだ ろ うか。

【中上級 ・技能別教科書】

ここでは、扱 った教材 を列挙 しないが、以下の よ うな分野 について解説 を行 い実際の教 材や学習者 の成果物 を紹介 し、個別 ・グループ ごとに実践 ・話 し合 いな どの場 をもった。

① 中上級総合教科書 :初級教科書 との相違点 を中心 に概観 (一気 に難易度が上が る印象)

② 文字 ・表記 :学習者 の書 いた漢字 を観 察。手書 き ・フォ ン トの問題 、漢字圏 ・非漢字圏 によるそれぞれ の問題 点、許容範囲な どO漢字L%Jの学生が多いため、ふだん意識 しない 学習者の困難や指 導上の注意 な どに様 々な発見があった よ うであるO

③ 文章表現 :東京外 国語大学留学生 日本語教育セ ンタ‑ (2011)『JLPTUFS作文 コーパス

よ り100‑700レベルの学生が書いた作文 を抽 出 し、添削の体験 を行 ったo どの よ うな 観点で添削を行 うか グル‑プで も突 き合わせ をお こない、 さまざまな見 るべ き要素 ・項

目があることが確認 しあえたo どこまで直すか とい う課題 にも気づけたO

(7)

日本語 l E]本 譜 教 育 学 入 門

④ 口頭表現 :実際 に学習者 が発表 してい る映像 を見 なが ら、各母 語話者 による音声上の困 難、発表 にお ける問題点等 を確認 したO発 音アクセ ン トの 「正確 さ」の大切 さと共に (蕊 たはそれ以上 に)いかに話 の 「内容」であるかがわか る機会 に もなった。

⑤聴解 :さま ざまなタイプの教材 を聴 いた。 とくに型通 りのはっき りした発 音 ・話 し方 の ものではない、生に近 い 自然 な話 し方 の教材 『講義 を聞 く技術』(産能短期大学)・『LfVE fromTOXYO』 (ジャパ ンタイムズ) に注 目が集 まったO

読解 :

「日本語能力試験

「日本留学試験 」の読解や 「国語」 の問題 に代表 され るよ うな 一般的 な 「読解」 に対す る固定観念 を崩す ことをめ ざ した。速読 ・精読 な どの 目約 ・方 法 の違 いで内容やテ キス トタイプが変わって くることに も注 目した。

⑦ 日本事情 。日本文化 :単独 の授業だけではな く、これ まで見て きた初級教科書や 中上放 ・ 技能別 の教科書に もその内容 がち りばめ られてい る とい うこ とを確認 し、 どの よ うな項

目 ・現象が取 り上げ られてい るかな どに注 目したO

⑧異文化理解 :‑般的な意味での異文化理解だけでな く、ま さに教室 に居 なが らに して 日々 異文化 同士ゆえの衝突や誤解 が生 じてい る留学生 ・日本人学生の間の現実的な問題 に も 及ぶ 内容 となった。 グループ活動が もっ とも生か され 、一年 の 中で もっ とも反応 が よか ったテーマで もある。毎回後期 に実施 していたが、前期 の早い段階の方が よ り効果的か も しれ ない。

⑨視聴覚教材 :『ヤ ンさん と日本の人々』 (国際交流基金)、『こんな とき 日本語 で』 (日本テ レビ文化事業団)、『ェ リンが挑戦 !にはん ごで きますO』 (NHK/国際交流基金) な ど、

初級項 目や ス トラテジー を学ぶ映像教材や放送番組 を視聴 した。時代的に古 さを感 じる 面 もあるのだが、そのス ト‑ リー性 と文化紹介 な どは映像教材 な らではで、 とくに 「ヤ ンさん」 は国 ・時代 を越 えて評価が高い ことを実感 したO

⑩各種試験 :日本語能力試験 ・日本留学試験 ・ビジネス 日本語試験 な どの各 目的 とレベル 設定 ・実際の問題 を紹介、い くつか実践 した。

⑪ 日本語教育の周辺 :

日本語教育」 とい うと、 ど うして も 「日本 語教師」の仕事 しか思い 浮 かべ ない学生が多いため、決 してそ うではな く、 日本語教育 に関連す る さま ざまな仕 事 ・必要 とされ る研究領域 を紹介 した。

以上、 どの分野 も伝 えたい こと ・経験 してほ しい こ とが多す ぎ、時間不足 を感 じなが ら であったが、進化 し続 けてい る教材や実際の学習者 の作文 ・発表 の誤用や豊 かな内容 を通

して 「日本語」の特質 ・「日本」の姿を実感 できたのではないか と思 う。

( 3

)留学生 日本語教育セ ンター全学 日本語 プログラム

( J L P T u F S )

との合同活動

留 日セ ンター全学 日本語 プ ログラム

( J LPTUFS)

と連携 し、本授業の水曜

2

限に設 定 さ れ てい る授業 と合 同活動 を実施す るこ とがで きた。全学 日本語 プ ログラムで は初級 か ら超 級 まで 8レベルの クラス設定があるため、 さま ざまな学習段階の学習者 に接す ることがで

‑ 89‑

(8)

きる絶好の環境 であるO また、出身 国 も多様 に富んでい るため、韓国 ・中国が中心の留学 生 に とって も自分の国以夕樟)学習者 と触れ あ うことが初 めて とい う学生 もい るな ど、 日本 語学習 を別の視点で考 えられ る とて もよい機会 となった よ うであるD

この 日本課程 1年生&JLPTUFSの合 同活動は、2010年度 10月に双 方 とも初 めて試み、

在 まで以下のよ うに回数を重ねてい る。

2010年度 2011年度

レ/ヾ′レ 1〔)/27 l宝ll 2!2 5/18 6/8 1/18 100

(初級) 会話 会話

200

(初級) 会話 漢字 ,会話 会話 インタビユ‑

300

(中級) インタビュー (グルー‑i=:=1本で驚いたこ と)プ発衆 インタビュー 用 本で驚いたグル‑プこと)発 表(物 書飲み物)各 国 の食 べQ&A 400

(中級) クラス発 表(人 「̲7問題) HP(コンビニ)米 同調 査

上 記 の ように、最初は 300レベルの クラスで300の学生か ら日本入学生‑のイ ンタビュ

‑ 活 動 として試み、その後 クラス枠 を広 げ、100‑200‑300‑400‑600レベル の クラスに1年生 皆 目全員が参加 した。初級 レベルの 100‑200では、 自己紹介 と会話 (互い‑のイ ンタビュ

‑)が主な活動で、中級 レベル300ではグル‑プに分かれ て 用 木 に来て驚いたこと」「自 国の食べ物 ・飲み物J 「自国の社会問題 Jについての発表 を聴 いて コメン ト・討論、400で はクラス全体で 「各国の入 口問農勘 についての発表を 聴 いて コメン ト、600では 「自国の戦 後の社会変容」の発表 を間いた り、グル‑プに分か れ て 「草食男子」「女子 力」について討 論す る とい う活動 を行 った。 この全学 日本語 プロ グ ラムには筆者 も出講 し て複数 クラスを 担 当 してい ることもあ り、 コーデ ィネー ター と曜 「律uJ当の先生方 と相 談ながら、 回を重 ね るごとに規模が大 き くな り、内容 もテ‑マ も富んだ ものになって きているO

初級 クラスに参加 した留学生か らは、 「合 同活動は私 に とって新鮮 な体験だったG ある程 度 日本 語が上手 になってか らは初級 レベル の 日本 語学習者 と日本 語で話 した こ とがなかっ たので とても刺激 的だった」、 「まだ 日本語の学習歴 が 2ケ月程度の ことを考 えると、や は り"す ごい"と思わ ざるを得 なかった。自分が を〕本譜 を勉強 し始 めてた どた どしかった2年 前 の頃 を思い出 した

。J LC

の方 に負 けない よ う、そ して 日本語 を専攻 しているジャバ科の者 と して差 をつ け られ るよ う頑 張 らない と !と動機付 け られた、大 切なそ して楽 しい経験だ った」、 「日本語教育の現場 に入 ってみ る と、いつ もは 自分 に とって空気 の よ うな存在 であ る 日本語が違 うものに思 えて とて も面 白いO もっ と多 くの人 と話 してみ たい、 を]本譜 の授 業 の様子 を覗いてみたい、 と思 った」、 「みんなのテ‑マやそれ に対す るス ピ‑チ もお もし ろか った。私 も外 国人 として共感 で きる内容 もあった し、私 とは違 う目線 で 日本の文化 を

(9)

日本語 日本語 教 育学入 門

みたの もあった」また、日本入学生か らは 「自分たちは易 しい言葉 を使 ってい るつ も りで も向こ うは 「?」 とい う反応 を していることも多 く、理解 してもらうのが とて も難 しい と 感 じた」、 「違 った レベルのクラスを見ることが出来て本 当に良い経験 になった。普段留学 生が周 りにいると言 って も、みんな 日本語があま りに上手なので、やは り留 目セ ンタ‑の 人たちと話す時 とは感覚が全然適 う」、「400クラスのプ レゼ ンテ‑シ ョンでは、みな さん予 想以上に 日本語が上手で驚いた。 プ レゼ ンテ‑ シ ョンの内容はそれぞれの国の教育制度 に ついてだったが、それぞれの国や 日本 との制度の違 いが興味深 く、た くさんの発見があ り、

聞いていて とて も楽 しかった。冗談を交 えた り、大 きな身振 り手振 りで伝 えよ うと‑生懸 命言葉を選んでいる姿に関心 ・共感 し、 もっ ともっ と私たちに役 に立て ることがあれ ばお 手伝 い したい と思ったo また、私 を含 め 日本人 は伝 える能力が足 りない と改めて感 じた」

とい う感想があった。

このよ うな活動 を通 して、初級 レベルのクラスに参加 した学生は理解 事運用できる範囲 が限 られている中で 自分たち自身の語嚢 と文型 ・文法項 目の コン トロ‑ル に苦労 し、まだ 初級 なが らも熱心にコ ミュニケーシ ョンを とろ うとしている相 手留学生達の積極性 と日本 語力 に感心 していたO また、中上級以上のクラスになるとテ‑マが各学生の出身国の 「文 化」「制度」「社会問題」に関す ることが多 くな り、 「世界各」 と 「日本」を比較す るな ど

「日本」 を改めて意識 し考 える機会になっていた。 とくに 「日本 に来て驚いた こと」の際 には、ス トレー トに 「日本」 とい うものを 目の当た りに させ られた よ うであるoその よ う なことを普段意識 していない 1年生の 日本人に とってはもちろん、すっか り日本に慣れて 普通のことには驚かな くなっている 日本課程の留学生たちに とって も新鮮 だった との こと で、 「日本語」や 「日本」を意識化 し、客観的にを考 えることができたよ うである。

このよ うに、同 じ本学で学ぶ学生同士ではあるが、 レベル ・学習環境 の違 う学生間士の 交流 によって、双方共に さま ざまな視点を獲得できた と言 え、今後 も発展的に継続 させて いきたい と考 えている。

(4)ゲス ト講師による講義

さらに視点を広げるため、筆者では語 ることのできない分野である、海外 における 日本 語教育、 日本語教育に関わるさらに深い研究領域 を知 ることを 目的 とし、ゲス トの先生に 依頼 して講義 を行っていただいたO

「海外での 日本語教育」については、2010年度には青年海外 鮫力隊の隊員 としてケニア 赴任 の経験 をもつ長崎清美先生、中国福建省福州大学で教鞭 を取 ってい る 日本課程卒業生 の掛本繭子先生 (日本課程2008年卒 中院2010年率)、2011年度には国際交流基金のフィ リピン短期研修派遣か ら帰国 したばか りの相馬藤妙子先生 (日本課程2009年卒 ・院 2011 年卒、2011年9月 よ り中国福建省華僑大学講師)、メキシコ国立 自治大学外国語教育セ ンタ ーの長尾和子先生 (日本語学科1991年卒)に、現地での実例 ・経験 についてお話 をお願 い

した。

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(10)

以下は学生の感想 である。 「ネイテ ィブ とノンネイテ ィブの先生の比較が興味深かった」、

「正直、日本語教育に関 して考 えた事 はないo Lか し、ケニアの話 を聞いて、少 しなが ら 考 え方が変 わった。 日本語教育だけでな く、様 々な分野で 当てはまる話 だ と思 うが、必ず

しもネイテ ィブが、つ ま りベテ ランが ‑‑‑番 良い結果 を出せ る とは限 らない とい う事 だ。

グローバル化 して行 く中で、多文化多言語社会 において、現地化 が一番大事 だ と思 った」、

「今 まで韓国や 日本で 目に してきた 日本語教育の現場 は、 日本語教育の ご く一部 に過 ぎな い と気付 いた」、 「や は り日本の文化、最近ではサブカルチ ャーに興味 をもって 日本語 を学 ぼ うとしてい る人が増 えてい ることがわか った」な ど、海外 での事例 を知 ることを通 して 各国 と日本 を対比す るこ とによ り、 日本 を改めて見直す こ とになる機会 となった よ うであ る。 また、同 じ臼本課程 の先輩達 が学生時代か ら海外 で活躍す るまでの経緯や現地 な らで はのや りがいや困難 さを見聞き し、 とて もいい刺激 になっていた よ うであるO

日本語教育に関わる さらに深い研究領域 としては、「認知言語学の基礎」(2010年度)・「対 外 日本語 コミュニケ‑ シ ョン」(2011年

度)

について、本学留学生 日本語教 育セ ンターの荒 川洋 平先生に講義 をお願 い したO どち らも 「視点

「立場」 を変えてみ ることが重要 とな る もので、認知言語学では ことばの多義性 、対外 日本語 コ ミュニケー シ ョンでは 日本人が陥 りが ちな外 国人 との コ ミュニケ‑ シ ョンの失敗 について、具体的な事例 を挙 げなが らわか りやす く説明 していただいた。

とくに 「対外 日本 語 コ ミェニケ‑ シ ョン」において、留学生は、 「外国人の立場 として 日 本人の言動 に関す る事例 に共感」 し、「日本人の外国人に対す る態度 に傷っ き不愉快 な思い を していたが、 ど うして 日本人がその よ うな言動 を とるのかが理解 できた」 と、 日本 に来 てか ら不思議 ・不可解 に思 っていた 日本 での現象 ・日本人の対応 について理解 でき、 「人々 の考 えが違 ってい るのは どち らも間違 っているわけではな く、両方 の話 し手 の互いの理解 が必要だ」 とい う気づ き ・認識 を し、 さらに 「日本語 が うま くしゃべれ ない と圧力 を感 じ 気持 ちがかたかったが、 リラ ックス してがんば りたい。 心強 くなった」 とい うよ うな心理 面での効果 もあった よ うである。

‑方、 日本入学生は、 「この大学 に入 るまで、私はおそ らく日本語の話せ る外国の方 を会 話能力で判断 し、 子供扱 い型 で接 していた と思 う。彼 らにあわせ て 日本語の レベル を調節 しよ うと思 えば思 うほ ど、会話の 中身 の レベル まで変 えて しまっていた」 とい うよ うに 自 己を省み、 「これか らの 日本の社会 によ り重要になって くる問題 としてかな り身近な ものに 感 じた」、 「グローバル化 が叫ばれ てい る昨今 だか らこその問題 であ り、 これ か らます ま す重要視 され る分野であ ると感 じた」等 、 日本社会 に とって重要 な問題 である と認識 し、

相 手 ‑外 国人‑ の理解 が深 ま り、接 し方や 日本語での適切 な言い換 えの技法の必要性 を感 じた学生が多かった。 この よ うに、学生達 は留 日双方共、納得 ・共感 しなが ら自分 自身 を 振 り返 りつつ互い‑の理解 を深 め られた よ うである。

また、英語 の国際化 についての話題 か ら 「寛容」 とい う言葉 をキー ワー ドに、それでは 日本 とい う国は ど うだ ろ うか

日本語は ど うだ ろ うか、 ど うすべ きなのか と考 えるよ うに

(11)

日本語 Ⅰ 日本語 教 育学入 門

促 されたのだが、学生達の提 出 したコメン トシー トには、数 々の 「尊重」 とい う文字が見 て とれた。

4.おわ りに (今後の課題)

以上、本授業で取 り組んできた事例 を紹介 したo この授業は多 くの方の ご協力があった か らこそ成立できた ことが多々あ り、 この場 を借 りてお礼 を申 し上げたい。 また、 もちろ ん、学生達 自身の積極的な取 り組みがなければ成立 し得ない もので もあった。

毎回の授業終了後の コメン トシー トに書かれ ていた感想 ・希望は とて も真撃で率直なも のが多 く、いい反応 も悪い反応 も全て授業運営の糧 とな り、学生 とともに作 り上げた授業 であると思っているO

初 めに述べたよ うに、大事に していたのは留 日同士の直接 の対話で、それ によって相互 作用 ・相乗効果 を期待 していたのだが、必ず しも期待通 りに うま くいっていたわけではな く、まだまだ課題が多 く残 っていることを痛感 してい る。 こち らの意図 としては、互いの 言語感覚や考 え方や背景を伝 え合い学び合 うことによって、各 自の言語や 日本語 ・自分の 国や 日本 を客観的に見つめ直 してほ しい とい うことであったのだが、一部の

J 2

の留学生に とっては 自分たちの経験 を 日本人学生に伝 える活動が多いゆえに、 日本入学生のための授 業だ とい う思いをもつ者 もいた よ うである。 日本語教育 とい う点では、 どうして も留学生 達が もつ経験のほ うが絶対的に豊富であるため、彼 らの引き出 しを開けて 日本人学生 に見 せて もらうとい う構図になって しまいがちだったのだ とい う反省 と課題 が残 る。

さらに留・日で共通す るところでは、 日本語教育 に関心をもつ学生が多い一方で、 日本 語教育にはあま り関心がな く、 日本語教師にもな らないのに ど うして この授業 を ?とい う 動機付 けが低い学生が毎年確実にいるとい うことがある。 この授業が 1年生の主専攻必修 であるとい う位置づけか らも、や は りこの点が難 しい ところであった0

留学生 と日本人学生が共に学び合 う日本語学科ができて 2年 目に筆者が入学 した当初、

阪 田雪 子先生がおっ しゃった 「日本語学科 をつ くってい くのは皆 さんです」 とい う言葉が 学生時代か ら今 もず っ と心に残 っている。 日本語学科で育った筆者が この環境で得 られた 最大の収穫は、立場 を変 えて視点 を変えてみ ることの大切 さであった。授業 を通 じて学生 達 に伝 えたかった ことは、や は り、 日本語 ・日本 をその よ うな視点で見つ め直す ことがで きるよ うにとい うことだった よ うに思 うo 「日本語教育」 とい う分野は、その よ うな視点 を 養 える学問であるといえる。本学の 日本課程の よ うな独特 な環境 において留学生 ・日本人 学生が共に 「日本語 ・日本」を学べ ることの意義 を実感 し今 も幸福感 を抱いてい る筆者 と しては、後輩で もある学生たちにも同 じよ うに感 じて もらい、 この授業で学んだことを生 か して 日本課程をさらに育てていって もらいたい。

本授業 「日本語教育学入門」では、その文字通 り、まず は 日本語教育‑の世界の入 り口

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に立ち、のぞいてお も しろそ うだ と入 って もらい、その世界 を体感 して もらうことに専念 したo 日本語教育の世界が、 日本語 。日本に関す るさま ざまな分野の扉 に続いてい ること

伝 わっているかを考 えなが ら授業をお こなっていたのだが、ある留学生の 「日本語教育 の意義はただ相手をいい職業につ けた り、先生を養成す るばか りではな く、 日本語 を学ぶ ことによって、相手の価値観 を理解 し視野 を広げる意義があることがわかった」 とい う感 想 を読んだ ときには、心か ら喜びを感 じたQ しか し、まだ一年生の段階であるO入門のそ の先で、 日本語教育を専門 として志す学生たちには さらに深 く広 くその知識 と見識 を積み 上げてい くことを願 い、 日本語教育以外 の専門や職業に進む学生たちには、 この授業で学 んだ ことが どU)よ うな専門 ・世界で も関わ りがあることに気づいてそれ が役立つ 日が来 る よ う願 っているrJ

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