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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

乱流媒質によるマイクロ波映像レーダの解像度劣化 の評価とその対策に関する研究

藤崎, 清孝

Graduate School of Engineering, Kyushu University

https://doi.org/10.11501/3110818

出版情報:Kyushu University, 1995, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

① 

乱流媒質によるマイクロ波映像レーダの解像度劣化の 評価とその対策に関する研究

1  995 年 12 月

111

奇 清 孝

(4)

目 次

1 序 論 1 

l.1 本研究の意義と背景 ‑ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ー ・・・

l.2 本 研 究 の 概 要 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 4 

2 乱流媒質中の波動伝搬 6 

2.1  ランダム媒質 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 6  2.2  本 解 析 で 取 り 扱 う ラ ン ダ ム 媒 質 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 7  2.3  乱 流 媒 質 中 を 伝 搬 す る 波 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • ••

2.4  モーメント方程式.• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 9  2.4.1  同じ周波数の波によるモーメント方程式 • • • • • • • • • • • • "  10  2.4.2  周 波 数 の 異 な る 波 に よ る モ ー メ ン ト 方 程 式 .• • • • • • • • • • • •• 17  2.5  まとめ.• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 20 

3 ホロクラフィック再生像ヘ友ぼす影響の解析 21 

3.1  回 折 波 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 21  3.2  ホログラフィ • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 24  3.3  ホ ロ グ ラ ム に よ る 像 再 生 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • "  25  3.4  理想的に像再生可能なモデルに対する乱流媒質の影響.• • • • • • • • • •• 26  3.4.1  長 時 間 露 光 に よ る 再 生 像 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • "  26  3.4.2  短時間露光による再生像 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 30 

(5)

3.4.3  イ象強度の変動 36 

3

.4.4  数 値 例 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 40  3.5  実 関 口 レ ー ダ に よ る 平 均 再 生 像 に 及 ぼ す 乱 流 の 影 響 の 解 析 .• • • • • • •• 57  3.5.1  実 関 口 ホ ロ グ ラ フ イ ツ ク レ ー ダ に お け る 像 再 生 .• • • • • • • • • •• 57  3.5.2  空 間 フ ィ ル タ リ ン グ に よ る 像 解 像 度 の 改 善 .• • • • • • • • • • • •• 58  3.5.3  ダ ブ ル パ ス 効 果 が 及 ぼ す 影 響 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 59  3.5.4  数 値 例 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 61  3.6  ま と め .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 89 

4 パ ル ス 波 に 友 ぼ す 影 響 の 解 析 91 

4.1  パ ル ス 波 の 伝 搬 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 91  4.1.1 線 形 周 波 数 変 調 方 式 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 91  4.1.2 平 均 パ ル ス 強 度 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 93  4.1.3 数 値 例 .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 97  4.2  ま と め .• • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • •• 107 

5 結 論 108 

A ガ ウ ス ビ ー ム波 111 

B 電 離 層 乱 流 強 度 の 導 出 112 

C 乱 流 の 相 関 関 数 の 近 似 114 

謝 辞 115 

参 考 文 献 116 

‑ 11

(6)

第 1 章 序 論

1 . 1   本研究の意義と背景

航空機や人工衛星を用いたマイクロ波リモートセンシング技術は,地球環境や宇宙の状 態を昼夜を問わず¥気候に左右されずに観測するために必須の技術であり,この技術の開 発に関する様々な研究が行われてきた.

近年,宇宙技術の発達,電子計算機によるデータ処理能力や画像処理能力の大幅な向上 により,より細かなリモートセンシングを行うことが可能になった.アメリカでは,

1 9 7 2  

年にリモートセンシング用実験衛星

LANDSAT‑1

1 9 7 8

年に海洋観測衛星

SEASAT

など をはじめとする多数の人工衛星を使用しy 様々な実験や観測を行っている.日本において も資源探査を主目的とする ERS‑l(Earth Resources S atelli te‑l )という人工衛星を開発し,

資源探査のみでなく国土利用調査,農林漁業,環境保全,防災,沿岸域監視などに関して も有効利用しようとしている.

しかし,例えば地球観測の場合,大気乱流や電離層乱流,雨,霧などの避けることので きない不均質な媒質が地球とプラットホームの聞に存在し,この媒質中を伝搬する電磁波 にとって様々な悪影響を及ぼす.その影響として,誤り率の増加や像解像度の低下などが挙 げられる.技術の進歩により数多くの通信衛星や観測衛星が打ち上げられている現在,高 精度で高速な通信や高分解能が要求される観測などの実現のためには,これらの不均質乱 流媒質に対する精密な解析は,重要な課題である.

現在まで,このランダム媒質中の?皮切Jの伝搬に関しては,媒質中を波が伝搬することで 引き起こされる様々な現象がどのような機構によって生じ,どのような統計的性質を持っ ているかを理論的に明らかにするために,数多くの研究がなされている川1[2

  , ]

[3

  , ]

[4].こ の研究の中でも乱流媒質中の多重散乱理論に基づいて精度よくモーメント方程式が導出さ れた功績は大きい [5J.その結果,不均質乱流媒質中を通過する波の伝搬に対し,前方散乱

(7)

近似と近軸近似が適用可能な通常のランダム媒質に対し,ピーム波のモーメントなどの有 用な表現式が,立居場によって与えられている [6

, ]

[7

  , ]

[8

  , ]

[9].最近では,ランダム媒質に よる現象に関する研究は,媒質中に入射する波と散乱する波の確率的結合による後方散乱 強調効果などの現象に対する理論的解析 [10

, ]

[11

  , ]

[12

  , ]

[13]や離散的なランダム媒質を巨 視的に見たときの等価誘電率を求める問題などの研究が注目を集めている [14

, ]

[15

  , ]

[16].  一方,イメージングの分野では,光や電波を利用した信号処理技術に関する研究に注目 が置かれ,マイクロコンピュータの発展とともにホログラフイや合成開口レーダなどの映 像化技術が発展してきたい7

, ]

[18

  , ]

[19

  , ]

[20].これらの研究はp ターゲットの情報を含んだ 波動からいかにして多くの情報を取り出し,解像度の高い映像を得るかに注目し,解析さ れてきた.そして,媒質の影響を扱うとしても,その影響は受信信号に雑音が付加された ものとして取り扱われてきた.これに対しy 先に述べたランダム媒質中の波動伝搬の研究 の成果により,受信信号そのものに途中の媒質の影響を組み込むという,より実際的かっ 複雑な問題を解くことが可能となった.その結果,ランダム媒質のイメージングへの影響

に関する研究やその影響を抑圧するための研究も,広く行われるようになった.

最近では, Fanteにより任意の空間コヒーレンスを持つ光を用いてランダム位相スクリー ンの後方にある物体の平均再生像強度やその分散が評価されている [21].Sien11anらはマイ クロ波イメージングシステムに及ぼす離散的なランダム媒質の影響を実験的に研究した[22]. 具体的には,様々な密度を持つ薄いスタイロフォームを組み合わせて離散的なランダム媒質

を作成し,ランダム媒質による S/N比の減衰の具体的なデータを得ている.lVIavroidisら は,ターゲットへの入射波として単色平面波を用い,その散乱波が大気乱流中を通過した 後イメージ化される問題を考え,媒質が映像に与える影響について解析を行っている

[ 2 3 ]. 

Philpotは大気乱流の影響を避けるための方法として,放射伝達方程式(Radiative Transfer  Equation)を基に Derivati ve Ratio Algori thn1を提案している [24]. Glickらは,乱流によ

り劣化した画像の改善を図るため,短時間露光により連続的に画像を取得し その画像のフ レーム中の各々のピクセルの明るさの分布を基に画質を改善する方法を提案している [25].

一 勺 一

(8)

Shiらにより大気乱流の影響を受けた像の再生問題に対し,伝統的な SpeckleInterferometry  Techniqueを拡張することで,より優れたノイズ除去能力をもっフィルタが得られること が報告されている [26].また Bogaturovらは,ランダム媒質の影響により劣化した再生像 の品質を向上させるために,波が通過する空間を制限するフィルタを導入する方法を提案

し,解析及び実験を行っている [27],[28]. 

これらの研究は主に光によるイメージングの問題に対して解析や実験が行われている.一 方,人工衛星や航空機搭載型の合成関口レーダではy マイクロ波が主に使われている.マ イクロ波はF 光に比べて波長が長く,光が伝搬できない媒質中を伝搬可能であり,人間の 目では見えない不可視情報を画像処理技術の導入により可視化できる.さらに,時間や天 候による影響を受けずに観測を実現することが可能である.マイクロ波を用いた映像レー ダの高解像度化は重要な課題である.そのためには,大気乱流や電離層乱流による電波の 多重散乱を精密に把握した上でその影響を的確に算定しp それによって対策を考えること が必要である.そこで筆者らは,人工衛星や航空機搭載型のホログラマイツクレーダを仮 定し,この再生像に及ぼすランダム媒質の影響を不均質乱流媒質中の多重散乱理論を用い て解析し,定量的に評価してきた

[ 2 9 , ] [ 3 0   , ] [ 3 1   , ] [ 3 2 ] .

さらに,ランダム媒質の影響を低減 させるために,受信データの信号強度に重み付けを行う空間フィルタを提案し,その有効 性を示している

[ 3 3 ]

.このフィルタリングは,その波動収集がアレイアンテナなどで離散 的に行われるため,波動情報の操作が行いやすいという特徴を活かしたものである.また,

合成関口レーダなどのレンジ方向の映像化で用いられている線形周波数変調方式を用いた パルス波にランダム媒質が及ぼす影響に関しても評価している [34].これらの研究は,将 来合成開口レーダによる再生像とランダム媒質の関係を評価する際の基礎となる.

映像レーダの高解像度化の技術は,現在盛んに研究されている.今後,より解像度の高 いレーダシステムの開発のためには,ランダム媒質の影響を含んだ詳細な解析が避け られ なくなるものと思われる.

(9)

1 . 2   本研究の概要

以下,本研究の内容を各章ごとに要約して述べる.

2

章では,はじめにランダム媒質に関して概説し,ランダム媒質中を伝搬する波につ いて考える.次にランダム媒質中を伝搬する波がヲ

l

き起こす様々な現象を統計的に求める ために,不均質乱流媒質中の波の多重散乱理論を用いて導出されたモーメント方程式より 本論文の以下の解析で必要となるいくつかのモーメント解の導出を行う.

3

章では,ホログラフイツク映像レーダの再生像に乱流媒質が及ぼす影響について定量 的に解析し,その影響を低減するために空間フィルタリングの方法を提案する.はじめに 乱流媒質が存在しない場合には,イ象が完全に再生される理想的な問題を仮定し,乱流媒質 が再生像に及ぼす物理的な影響について評価する.次に実関口ホログラフイツク映像レーダ を想定し,乱流媒質が再生像に及ぼす影響を評価する.この際,乱流のモデルとして,ガ ウス型の乱流モデルと実際の大気乱流に近いといわれる Kolmogorov型の乱流モデルを用 いて解析し,双方の比較を行う.さらに受信データの強度に重み付けを行う空間フィルタ リングの方法を提案し,再生イ象を評価することで空間フィルタリングの有効性を検討する.

最後に,乱流媒質中の入射波と散乱波の確率的結合により生じるダブルパス効果(clou ble  passage ect)を考慮して解析を行い,ダブルパス効果が再生像に及ぼす影響などを評価 する.

第4章では,合成関口レーダなどのレンジ方向の映像化のために用いられているパルス 波を考え,このパルスへ及ぼす乱流媒質の影響について解析を行う.矩形パルスの場合に は,パルスの持つ帯域胞が広いために乱流媒質の影響を受けやすいことは,これまでの研 究により知られていた

[ 3 5 ] .

一方,実際のレーダシステムでは,分解能と探知距離を向上 させるために,線形周波数変調によりパルス圧縮を行い,パルス│胞が狭く,大きなピーク 電力を持つ受信パルスを得ている

[ 1 9 , ] [ 3 6 ] .

本解析では,この線形周波数変調方式を用い たパルス波に及ぼす電離層乱流の影響について検討する.

‑ 4 ‑

(10)

第5章では,本研究で得られた結果を各章ごとに要約し 今後に残された問題点につい て検討する.

(11)

第 2 章 乱流媒質中の波動伝搬

本章では,はじめにランダム媒質について概説し,ランダム媒質中を伝搬する波につい て考える.次にランダム媒質中を伝搬する波がヲ│き起こす様々な現象を統計的に求めるた めに,不均質乱流媒質中の波の多重散乱理論を用いて導出されたモーメント方程式より本 論文の以下の解析で必要となるいくつかのモーメント解の導出を行う.

2 . 1   ランダム媒質

ランダム媒質とは,媒質の特性を規定する定数が時間的,空間的に不規則に変動してい る媒質や位置y 配向などが不規則である多数の物体からなる媒質のことであり,その媒質 定数が空間的に連続関数であるか否かで,連続的ランダム媒質と離散的ランダム媒質に分 けられる.前者は通常乱流媒質と呼ばれ,大気乱流,電離層乱流p 海中の密度揺らぎなど がそれにあたる.他方,後者は雨,霧,非結晶体,混合体などに代表され粒状媒質と呼ば れる.ランダム媒質は,媒質定数の揺らぎ方によっても分類される.揺らぎが空間におい て一様(均質)であるとき,一様ランダム媒質または単にランダム媒質といい,そうでな いとき不均質ランダム媒質という.例えば,大気は表面温度一定の地面上の水平伝搬で、は 一様ランダム媒質であり,地球一衛星問のような垂直伝搬では不均質ランダム媒質である.

さらに,媒質の揺らぎが空間の方向によらないとき,揺らぎは等方的であるといい,そう でないとき異方的であるという.

電磁波の伝搬する空間に存在する媒質は,誘電率,透政率,導電率の 3つの定数により 特徴づけられる.これらの媒質定数がランダムに変動するとき,この媒質を伝搬する波は 振幅と位相に乱れを生じる.このため送受信点間に通常存在するランダム媒質は,通信や 探査の質に様々な形で影響を与える.

媒質の誘電率が揺らいでいる場合を考える.空間の位置を固定し,媒質定数の時間的変

‑6 ‑

(12)

化を見ると,ほとんどの場合それが変化するまでの時間は,波の通過時間に比べて十分に 長い場合が多い.そのようなランダム媒質中を波が次々と伝搬していくとすると,各波は それぞれの波に対応した媒質中を伝搬すると考えられる.このとき,各媒質はその媒質定 数が空間的に不均質でかつ不規則に変化している空間の関数ら

( T )

として見ることができ,

時間による媒質の変動は見本を変えることで取り扱う.ここで,Tは空間変数ベクトルを表 す.また,下添字 η は見本指数であり,それぞれの出現確率は同じ確率密度で表される.

実際の観測値 ε

( T , t )

は,時間平均によって次式のように統計的に処理される.

︐ バ

Uε 

f1

1一T 11

‑ m

l

AT  

T一 一

円 乙 (2.1 ) 

しかし,その平均時間内では媒質の確率的性質が変わらず,エルゴート的であると見なせ るとき,時間平均を集合平均によって置き換えることが可能となる

[ 3 7 ] .

すなわち,次式 を満たす.

(T))=ε(T, t)  (2.2) 

ここで, (‑)は集合平均を表す.

2 . 2   本解析で取り扱うランダム媒質

本論文で取り扱う乱流媒質は,損失がなく誘電率 εのみがランダムに揺らぎ,透磁率 μ, 導電率σは一定であると仮定する.このとき,媒質定数は次式で表される.

ε=ε

[1+何人z)], μ=μo , σ=0  (2.3) 

ここで,T=ix+jyとし, 1"  Jはそれぞれュ・,y方向の単位ベクトル,またε(6T,

z )

はz方 向に不均質で T 方向には一様な揺らぎを持つランダム関数で次式の成立を仮定する.

(何人 z))

( 2

.4 )  (2.5 )  (6ε(T 1,二1)た (T,2:'2))= B(Tl ‑T2, Z+, Z̲) 

(13)

但し,z+‑

L ‑ =Z1 ‑Z2であり(‑)は集合平均を表す 式(2.4)は 媒 質 の は モーメントで揺らぎの平均は零になることを示している.また,式(2.5)は媒質の2次モー メントで媒質の揺らぎに関する相関関係を表す.

さら に大気乱流及び電離層乱流媒質中のマイクロ波・ミリ波の伝搬に対し,次式の成立 を仮定する.

kf(z) 

> >  

1  B(O

, 

z

, 

0) 

< <  

(2.6) 

( 2 . 7 )  

ここで,k =ω

♂ F5

は自由空間中の波数, f(z)は乱流の広がりの大きさ(スケールサイ ズ), B(O

ム0)は局所的な乱流の強度を表す.この条件は乱流の変化が波長に比べて緩や かであることを示しており,この媒質中を伝搬する電磁波は,ほとんどその偏波に影響を 受けず,電磁波は前方に散乱を繰り返しながら伝搬すると見なせる.そ、の結果,本解析で はスカラ近似,前方散乱近似,近軸近似が有効となる.

以上の仮定は,光波に対する大気の揺らぎ,マイクロ波・ミリ波に対する大気乱流や電 離層乱流において近似的に成立する [4].

2 . 3   乱流媒質中を伝搬する波

図2.1に示すような空間を考える.自由空間中を伝搬してきた入射波 'Uillが乱流媒質へ入 射し,前方散乱により伝搬する.このとき,各領域で、波の満たす波動方程式は次式で与え

られる.

( マ

2

k2)u(r, z) = 0 Z

o

(領域 A)

( マ2+

2 [ 1+ 

Oε(r

, 

z)])u(r

, 

z) 

0 , ご>0 (領域 B)

(2.8)  (2.9) 

(14)

(A) Free Space 

(B) Turbulent Media 

ε=E

μ= σ=0 

ε=Eo [1+8ε(r )]  μ=

σ=0 

lncident Wave

z  y 

図 2.1:問題の座標系

領 域 Aから領域 Bに向かつて Uin(r,z)の波が入射するとき

, u ( r , 

z)は次の積分方程式の 解で与えられる.

U(η )  = 同n( 

,  z )   +  1 0

0 0  dz' 

d o(r‑r'

z‑z')2O

ε

(r'

z')u(

州 )

(2.10) 

ここで

Go( r

, 

z)は自由空間中のグリーン関数で,近軸領域では次式で与えられる.

EEEEBEtstaEEJ

¥1 11 11

2‑z 

η

/I ll l

¥ 

κ

.7 J 

ri ll

Da  

x e 

‑ 一 的

︑ ︑ 一 一

E︐ ︐

J

n u

 

G  (2.11) 

2.4  モーメント方程式

ランダム媒質中を伝搬する波の様々な振る舞いを解析するための 1つの方法にモーメン ト方程式を用いたものがある (5

, ]

(6].ここでは,本解析で必要となるモーメント方程式を 示し,解析に必要となるいくつかのモーメント解の導出を行う.

(15)

2 . 4 . 1   同じ周波数の波によるモーメント方程式

まず,周波数が同じ波によるモーメント方程式を示し,本解析で必要となる 1,2及び 4 次モーメントの導出を行う.

z一定面における媒質中の波

u ( r , z )

の任意次数のモーメントは次式で定義される.

111}/// 

4 'u v

 

u H

s u 

μ

日 日

IJ Il

¥ 

μ  ν 一 一

rf  

ル (2.12) 

ここで, *は複素共役を表しており, m=η=0の場合は除く.また

, u ( S O ,  z ) 

=

( t o , z ) 

= 1  とする.

乱流媒質が2.2で定めた条件を満足するとき,この媒質を phase‑changingscreenと呼ぶ 層の連続として扱う Uscinskiの方法[38]を用いて解析することが可能となる.その結果,

式(2.12)のモーメントは,次式で与えられるモーメント方程式の解となる

[ 6 ] .

[ ま 古 ( 主 マ L ‑ S ぇ ) ~ j (

μ

ー イ

j1![JLLI( 

= 一 山

Zdz

[ ( μ ‑ [ / 向 い j J ) + E D ( s m )

‑ S 主

D

( s m ーいーシ) ~主主 D ( t m ー い ー シ ) ] } ι

(z)

(2.13) 

ここで,

(0)N[~I~(O)

μ 

i\I[~~(z) = 

I I  

'Uin(Sm

Z) 

I I   u i n ( t

n,Z) 

D(r

, 

Z+

, 

Z̲) = 2[s(0

, 

Z+

, 

z

ー )‑

s(r

z+

z̲)] 

2一θ2+θ2

一 一 一

(2.14)  (2.15) 

である.また,次式の成立を仮定する.

B ( r , 

z+

, 

‑z̲) = 

B ( r , 

z+

, 

z̲)  PHU  J︑ ︐ BE

‑ ‑ ム

/SB

‑ 10  ‑

(16)

1次モーメント

式(2.12)において μ =1,ν=0とするとき, 1次のモーメント方程式は次式で与えら れる.

は ー ヤ

2̲ 

j k )   M

ここで、,

m = ‑ 2 1 ; B ト‑川

とおき,この両辺を T についてフーリエ変換を行う.

d r  ( ま ー や

2̲ 

j k )  M

lO

( r ,  z ) 仰 ( 一 戸 市 f z )

1¥110

川 叫 ( j

κ

r )

(2.18)  1

i!f1O

( r

, 

z )

T に関するフ一リエ変換をJIlI1

o ( 休 κ , z

け)とおくと式(ρ2.18幻)は次式になる.

t

1叩仇O

(2.1ω9) 

ここで, κこ らi+κy]

rこ れ + げ と お く と , 式(2.19)の左辺の第 2項は次式のように 変形される.

f

21¥11

仇 付

p(jκ

市一(必+〈)必

1

z )

(2.20) 

よって,式 (2.19)を整理すると

/ 九 ¥ 

¥ 万 三 ‑ ) 五 ‑

)1

¥!flO

( K ,

z) F(z)lì!f]州、~) οH)  F(z) 0のとき,モーメント li!flOκ(,Z)‑Uill(κ

z)より,式 (2.21)の解は次式となる.

l\~ IlO(町)=川村p ( 1 0 '  

F(::')

う の

(2.22) 

よって,フーリエ逆変換を施すことにより i次モーメントは次式となる.

同o(r

z) 'Uill(r

, 

z)

仰[引

z

dz" B (υ ‑ 4 f ) l ( 2 2 3 )  

(17)

2次モーメント

式(2.12)において μ =1,ν =  1とするとき, 2次のモーメント方程式は次式で与えら

れる.

は一生件でい ( Z )

J1;fl1(

[ ̲ ~21z 川s-tJ-jJ)l 問

ここで,次式の変数変換を行う.

十 一 2 J

S

一 マ

+ +  

T r

 

/﹃tilt/

lE t it ‑

? 一 二

s ‑ t

V v ‑ V‑ s‑Vt  2  さらに,

F ( T J = ‑ Z J z ω ( s  ‑ t , 

z

一 シ)

とおき,T+についてフーリエ変換を行うと式 (2.24)はp

かイトド

r+

r ̲ ]M

11(r+

川 仰 ( j

κ T+)

=  J 

dT

z)Nlll(

となる.ここで,Nlll(T+,T̲,z)のT+に関するフーリエ変換を 11111(κ,Tー,z)とおくとき,

式 (2.25)は次式のように書ける.

(

会 κ i + 玖 ̲ )

J'VJl1(K.z) 

F

川 必

ll( z) (2.26) 

ここで,次の変形を考える.

一般に, 微分関係

17 f(T+ZTO)

ニ 手

(17 (T

+

0 )

r'f(

〆)

TO. ¥1r'f(T') 

T' 

Z1

。 ・

(2.27)  (2.28) 

‑ 12  ‑

(18)

が成立するので,

κ Z 7 k  

一 一

とおくと,式(2.26)は次式のように変形できる.

oz  1'.1.<¥(κT+7κ 

z )  

¥ .  

~r 十三κ) 必11 ~κT 十三κZ

j‑‑U¥‑)‑ 'k‑‑)‑j  (2.29) 

M l l l z = u   = 

lV!l1 (κ?0)

lV!{~ (κ?0) よって,式(2.29)の解は次式となる.

さらに,

κ Z 7 K  

一 一

と変形し,これを上式に代入すると次式となる.

a︐ ︐

1i  

q

η

〆 ︐

tt︑ ︑

1Illlid 

α ︐ ︐

ES IE

︐ ︐/

κ Z

一 一

kz

/I ll i

¥  

F f

lJ o 

pt i

E

l 'a 'i L 

P x e 

¥1 11 1/  

Uκ 

Z7

h

一 式 . 程 民 方

/llt¥+JR 

A M

λ

= κ  

1 j Z 7 K  

J

T

? T  

κ

?  

/ 1 1 κ  

/lll¥

M

1

ti

γ ? ﹂

i¥lIl1

l z = u  

N1l1; (0)  (2.32) 

の解であり,次式を得る.

川町一ーが ) 0 =内

;1(1'¥; 

r

, 

z )  

(2.33) 

よって,lV!

l l   (

κ,̲

z )

は次式となる.

ル111(κ,r̲,z) 

=

ルI;!;(κ,rーヲz)

仰[~訂川 ω (r一一千υ ーレ)]

(2.34 ) 

(19)

この結果,

2

次モーメント A111( r + , r ‑, z)は,式(2.34)の逆フーリエ変換で与えられ,次 式となる.

A111(r+,r,ーz) (

(C)~

2π

)

¥2 

2  

d~κ'~

"""'11\''''' ,ーin(κ r ̲z) (Jκ r+) 

│ 九2 lz iZ / z ‑ zf zffl│ 

切 卜 I 

A4)0.  )0 

dz' I~ dz" D ¥.r ‑一 一‑ u f ‑ ‑z.̲, ‑ 2 ,‑/fi

(235) 

ここで,li1

{ i

li1

{ i

'Uin(S, i)u;n(t, z)のT+に関するフーリエ変換であり 次式を満たす.

必;:(吋ー

7

f か 川

(2.36) 

4次モーメント

現在,

4

次以上の高次モーメントに対する正確な解析解は得られておらず,近似解によ る解析が行われている.本節では μ=ν の場合の高次モーメントに対する近似解を与え,

最後に μ=ν=2の場合の4次モーメントを示す.

式(2.12)において μ=ν のとき,モーメント方程式は次式となる.

i

r

ll

ιι1Ellis‑ lljtf lJ

D九

U Z

同 町

ν

乞ヴャ

μ

⁝ J

L μu

F G 7  

f o

ト μ

一4

s

fl

JI

L

= 叫

ν

ム⁝

︐ ︐

f↓ 

RV

Jo

u一 ' 一 一 一

1JHl

4 m 7

2 h

一 す

マ す 一

一 成

2 h

マ 係

ν

日 明

1

一 以 式

. 3

3

一 命 日

D(sm一丸)D ( S m ‑ tm) 

+ 乞

{D(sm一丸)

D(sη ‑ tm)}  (2.38) 

η=0  >m

この式を式(2.37)に代入し,整理すると次式となる.

[:z ‑j

詰 ( 丸 一 九 ) ]

Mvv

二 五 ( 千 f o Z

dz' [D( Sm tm)+ 

(D(smtn) 

D(sn tm) ‑D(sm ‑sn)

一仇‑叶

ここで,

D(smーし)+D(Sn‑t7凡)‑D(sm ‑sn) ‑D(tm一九)

‑ 14  ‑

(20)

をテイラー展開することを考える.

まず,次式の変数変換を行う.

(sm‑tm=η 

Sn ‑tn r n 

, 

Sm+tm=TL 

Sn 

+  t η=Tf 

さらに

r~ ‑r;; 2r

r

+

r;; 2r + とおくと

D(sm

一九) + 

D(sn ‑tm) D(sm

一九)‑

D(tm

一九)

D(r+

(r~ r~))

D(r+ (r~ r~))

D(r一一 (r~r~)) ‑D(r̲ 

(r~ ‑r~)) (2.40) 

となる.この右辺を r+とにのまわりでテイラー展開を行うと次式を得る.

D( r 

(日 -r~))+D(r+ 一 (r~r~)) ‑D(r

ー一(は ‑

r~)) D(r

ー +

(r~ r~))

=2[D(r +) ‑D(r ̲)] 

+吃 ε

47 1

い円山μi)

{ [ ( (

T;) マ

V

¥7rr+)2+

1D

( 2 . 4 1 )  

この式の第 i項で近似し,さらに

マ乙=マ

S m

+

t m

, 

t

V一

2m

e u

マ 一

h

と変数変換を行うと式

( 2 . 3 9 )

は次式となる.

‑J

VL n ]

(Z)

ρ {Z , r. ̲ 

¥  ..  ~ .....  r;;t +r;;¥  n{r ‑r

=

‑¥ ¥ I 

=  ‑ '  

~ ) 0  

dz' 

(

)+22; lD( 2 D( m2η )) 

i¥lIvv(z)  (2.42) 

ここで,

TL

についてフーリエ変換を行う.

J . . .  J 

drt

川 会 j j 主 マ : h l

"exp

̲ j m u )

= f   J 

drt

Z J z d z f [ 川 )

+2 主 (D (γ~) ̲  (γ~))]}

M"" e

叩 ( 企 κm ) ( 2 . 4 3 )  

(21)

この結果,次式を得る.

[

+ j S κ m 叶 丸 山 )

=引

Z

d z '   [ D ( 口)

2

( D (r~ Y~)_D(r~ ; 叶 ισ

ここで,MI/I/1¥;[1/1/の

T a

に 関 す る フ ー リ エ 変 換 を 表 し て い る . 式(2.44)に式(2.27)を 適用すると, μ=ν の場合の高次モーメントは次式となる.

Mνν=

J d

κ1...

d

KI/

M

I/ν

叫しト吋 ( 2

.4

5 )  

¥1 11 11 1/  

κ Z二kz‑

/f il l

¥ 

u γ

u︐ バ

fj jo  

u︐ バ

fl

μ

一4 J

fI lJ 1E

Il

P A 

x e 

︽ 仏

‑ ‑

+ 2 主 ( D (r~ ~ r~ ̲  z  ~/J(K-m + κ η ) )  

イツ ‑ 7 ( い の ) ] } ロ

iA

/

¥1 ti t

/  

+m 

κ 

U Z

7 J

r ' ' '

' a a z a ‑ ‑ . ︑ ︑ ︑ ︑ P A 

x e 

nu 

A M   + ν  

1

α  pi t

+I  

r i ‑ ‑

一 一 J  

nu 

M U

本 論 文 で必要となる 4次モーメントは μ=ν=2のときであり,次式となる.

2

[ 2 7 7 z f d κ l J d κ 2 九 2

exp(j[ K

2

=叶引り1z十 (r~ 一千 り + r ( l ‑ 千サ

γ5 ーす(…))

2D 

( γ 5 一千

(κl

) ) ] }

(2.49) 

ぬ = J  d r t  d r t 的 以

p(j[κ1.

r t   +

κ2.

r t ] )  

(2.50) 

‑16  ‑

(22)

2 . 4 . 2   周波数の異なる波によるモーメント方程式

ここでは,周波数の異なる波によるモーメント方程式を示し,パルス波の伝搬に関する 解析で必要となる 2次モーメントの導出を行う.

z一定面における媒質中の波u(r

z)の任意次数のモーメントは次式で定義される.

11 Il l

q

L 

ω z 

A 'u u  

u H

ω z 

w u 

μ

日 日

// /{ 11 1 

μ  z  ω  α  一 一

︐ ︐

f︑ ︑ a︐ ︐ ︐ ︐

11 4  Fh υ 

n

〆 ︐

t

ここで,

ωα={ω1,ω3,' • • ,ω2μ‑1,ω2,ω4, • •• ,ω2ν} 

である.

2.4.1と同様 Uscinskiの phase‑changingscreenを用いて解析することにより,次式の周 波数の異なる波のモーメント方程式が得られる

[ 6 ] .

[ : z  ‑ j  ( 念式 v L ーな吋 ‑ j ( ト 土 μ か か ι ル」い

h

2ル いmル山「一→m

k

1

‑ 一 判 叫] JV~凡 ι 川叫 μμバ山山 Uパぷ ι(μ仏Z引?

=‑(jjvkth‑1

ー か 2 n r B j J )

+仕

k

2 m

lω ( s m ー い ー シ )

一 主 主

LK2711l九一jD

( s

‑ M ‑ H

‑拾い 4

l¥1[J.Lv(O

ωα)=iMJ;(O?ωα)

三 日

Uin(Sm

O

ω2m1)

r r  

'U~n

(t

n0

ω2η) 

ここで,ん =ωα

♂F5

であり,式(2.6)の仮定は,んe()

> >  

1に置き換えられる.

(23)

2次モーメント

式 (2.51)において μ =ν =1とするとき, 2次のモーメント方程式は次式で与えら れる.

j j 侍 ‑ 2 ) ーが l

k

Z ) ]

Ml1

( z

w)  (2.53) 

引ル州恥

z←)片=

μ j 江 a l 川 刈

Z

dM

z

z '

/

[ (   幻刊川+刊ぺた弓灼伊川~)抑叫川)汚ベ坤 B ベ咋(←いト O 仏仰い zト一 f ← シ 付 サ z z ' ' )

f

んい山 M

k2

B

(

η 7

r

z

7 ← シ 叫 サ z

z

'

/

/ )

A111(0

, 

ω α 

)=u

Lιlnバ(作s

O

ω l

け ) u

仏九in

μ ( t ,

O

, 

ω 2

リ )

ki = 

(ω0+ω i)~

ω0+ωt

ここで,次式の変数変換を行う.

;

T+二 一 一 一 ー ?

t

, 九1T ('1

M

, VS 

? 一 二 s‑t

(2.54)  ん =k1 ‑ k

この変換により式 (2.53)は次式となる.

+ j E z i d k d m h )

‑jkdC(r̲

z

G(TJ)=fpj=

1111111111J

¥1

11

11

1/

 

/2

M

/f

il

l

¥

 

β 

¥I t1 11 1/  

z fz2

U

/I

t1

11

1¥

 

β 

rt

al

li

ηf

h

一 一

¥ ︑ BI tt E1 1/ 7H  

JL一2

fill︑D 

式(2.55)を解くために,その解 i¥lIll(二 川α)1¥110i¥l

h .

とおく.ここで ,1¥10は乱流が存在し ないときのモーメントであり,既知関数である.ここでは球而波入射の場合を考えている.

la

ll

la

ll f l j

PH

¥11

11 11

〆 一 一

8

2

一2

q ru  

7N

 

/fli¥ 

J u  

' た /l it

k 

l一Z

.7J 

p al a

‑ B' a

z ‑‑ E

J

ρU  

4r u

ω一

f ‑ H

一2UZ1jπω

一 ハ リ

a

︐ ︑ ︑ ‑

U

一 一

u

︐ ︐

F

1 v  

A

F (2.56) 

‑ 18  ‑

(24)

なお,この式の導出には指数項に近軸近似を用いている.さ らに,未知関数 1¥1T}¥1fT iYfT1 }\If とおける • j¥IITlは次式のような既知関数である.

1

二 仰 [ 引

z

z'dz

(2.57) 

残った

M

は次式を満たすような未知関数となる.

l O K ; : 1  

z+35京\7~

:::"r 

マ ー +

F(z) 

11;f(

α )

O (2.58) 

U

1

α  

∞ p

t' '' InU

 

2

一 一

(2.59) 

これにより式 (2.55)を解くことは,式(2.58)を解くことに帰着された.この式を解くた めに,その解 }¥If(z

ωα)を次式のように仮定する.

exp[h(z

ωd) ]  J¥!f (z

ωα) 

g(z

ωd)  (2.60) 

これを式(2.58)に代入し,未知関数 h(z,ωd)とg(z,ωd)について式を導出する.

(2.61) 

HU

一 一

川 7

12一Z

1ん三市

qL

J

qt

弘一

円 の (2.62) 

式(2.61)を式(2.60)に代入して gを消去すると

イ =exp 

[川)7.~ ‑ 侍 f

(2.63) 

となり ,NIは未知関数 h(z,ωcl)によってのみ表されることになる.すなわち 2次モーメ ント方程式(2.53)を解くことは hについての方程式(2.62)を解くことに帰着される.

(25)

2 . 5   まとめ

本章では,ランダム媒質について概説し,ランダム媒質中を伝搬する波について考えた.

またランダム媒質中を伝搬する波がヲ

l

き起こす様々な現象を統計的に求めるために,不均 質乱流媒質中の波の多重散乱理論を用いて導出されたモーメント方程式を示し,本論文の 以下の解析で必要となるいくつかのモーメント解の導出を行った.

‑20  ‑

(26)

第 3 章 ホログラフィック再生像ヘ及ぼす影響の解析

本章では,マイクロ波を用いたホログラフイツク映像レーダを考え,この再生像に乱流媒 質が及ぼす影響について定量的に解析する.さらに,その影響を低減するために空間フィ ルタリングを導入することを検討する.はじめに,乱流媒質が存在しない場合には,イ象の 再生が完全に行われる理想的なホログラフイツク映像レーダを仮定し,乱流媒質が

2

種類 の平均再生像に及ぼす影響を評価する.つぎに実関口ホログラフイツク映像レーダを考え,

乱流媒質が平均再生像に及ぼす影響を評価する.この際,乱流媒質のモデルとしてガウス 型の乱流モデルだけでなく,実際の大気乱流に近いといわれる Kolmogorov型の乱流モデ ルも用いて解析する.さらに,受信データの強度に重み付けを行う空間フィルタリングの 方法を提案し,その平均再生像を評価する.最後に,乱流媒質中の入射波と散乱波の確率 的結合により生じるダブルパス効果を考慮し,平均再生像を評価する.これらの解析によ

り,本章で提案した空間フィルタリングの有効性を示す.

3 . 1   回折波

回折波は,映像レーダにおける重要な情報源である.解像度の高い映像を得るためには,

少しでも歪みの少ない回折波を得ることが重要となる.ここでは,図 3.1のような乱流媒質

に固まれた物体に入射した波Uinの回折波 uを考える.

回折波は,入射波が物体から反射あるいは透過することにより得られる波で,この波に は物体についての情報が含まれている.この回折淡を解析することで,物体に関する様々 な情報を得ることが可能となる.しかし,図3.1のようにランダム媒質に固まれた物体の場 合,入射波と回折波が共にこの媒質の影響を受けるため,物体に対する正M~ な情報は失わ れる.この不完全な情報を持つ回折波から情報を再生する方法については,後の単で議論 することとし,ここではランダム媒質の影響を受けた回折波の一般式を導出する.

図 3 . 2 のように物体面と回折面の座標系を定める.振幅透過率分布が f ( x , y ) なる物体に 対し,その後方より波 U i n ( X , y ) が垂直に入射するとき,回折面で得られる回折波は p フレ ネル・キルヒホッフの回折積分を用いて次式のように与えられる
図 3 . 1 7 :短時間露光平均再生像と分散
図 3 . 2 0 : 短 H 寺問露光平均再生像と分散
図 3 . 3 1 :重み関数 v V ( x )

参照

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