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3 . 6 まとめ
本章では,ホログラフィックに像再生を行うレーダを考え,このレーダの再生像に乱流 媒質が及ぼす影響について解析を行い,定量的に評価した.また,その解像度の改善を図
るために,空間フィルタの導入について検討した.
この解析の結果 以下のことが明らかになった.
1.像の再生が完全に行われる理想的な映像レーダを仮定した場合,長時間露光を用いた 再生像に対し,乱流媒質は一様な重みとして作用することが示された.
2 これに対し,短時間露光を用いた場合には,乱流媒質は復路のみ影響を及ぼすことが 示された.
長時間露光では,入射波の位相カf乱され広がった回折波を平均するためにコヒーレン ス強度が落ち,その結果,再生像強度の減衰につながる.一方,短時間露光では各々 の回折波より像を再生し,その再生像に対して平均を行う.このため,各々の再生像 は乱されるが,コヒーレンス強度は減衰しない.よって,これらの再生像を平均する ことにより,往路の乱流の影響は打ち消されるものと思われる.
3.再生像の比較を行った結果,短時間露光による方法は,長時間露光による方法と比べ て解像度が優れていることが示された.また,電離層乱流及び大気乱流の揺らぎによ る像強度の変動を数値解析により調べた結果,短時間露光による方法を用いた場合,
各々の再生像は大きく乱れていても,それらを平均することで十分よい解像度が得ら れることが示された.以上により,短時間露光による方法は,乱流の影響により乱さ れた像を再生するために迎した方法であることが明確になった.
4. 大気乱流の影響は電離層乱流の影響に比べて非常に小さく無視できることが示された• .J.次に有限な大きさのアンテナをもっ問題に対して解析を行い,乱流の相関がガウス
型と I¥ollnogorov型の乱流モデルに対して再生像を定量的に評価した.1くoltnogorov
型の乱流モデルを用いた場合,乱流媒質の影響は乱流強度とアウタースケールサイズ の大きさにより決まることが示された.またガウス型の乱流モデルと比較した結果,
再生像に及ぼす影響はそれ程大きな違いがないことが示された.これは,乱流媒質が 平均再生像に及ぼす大きさが,そのスペクトルの積分の大きさで決まってくるためで ある.
6.乱流媒質により影響を受けた短時間露光平均再生像の解像度を向上させることを目標 に,空間フィルタリングを導入することを検討した.任意の形をもっ重み関数を導入 し,定量的な解析を行った結果,単純にアンテナの中心から離れるにしたがって,重 みをつけて信号を受信した場合,その再生像を大き く歪ませることなく,像強度の最 大と最小の差を大きくすることが可能であることが示された.さらに,そのターゲツ
トの反射係数の差が小さい場合でも,高解像度化が可能であることが示された.
7.最後に,ダブルパス効果の影響を考慮し,短時間露光平均再生像を評価した.また 空間フィルタを導入し,この再生像を評価した.その結果,ダブルパス効果の影響に より,アンテナの中心付近で受信される信号の強度が増幅されるため,再生像の像強 度が幾分増幅されることが示された.また,このモデルに対し,空間フィルタを導入 した場合,先の結果と同様,大きな歪みを生じることなく像の強度分布の差を大き くできることが示された. しかし,この場合,ダブルパス効果の影響も含めて増幅さ れた.
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