九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
鋼の疲労強度に及ぼす非金属介在物の影響の定量的 評価に関する研究
鳥山, 寿之
https://doi.org/10.11501/3075520
出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
第三; 4 主註
4 市者 Eコ
J 1 S �有、 参事2去 Lζ よ る 持主f i争E宣言平イ面σ〉良野是豆 ,有、 と 高盃イ直f統言十に よ るプトそ王午勿 言平イ面
鋼のビ ツ カ ー ス硬さHvが400程度より低い場合Kは , 疲労強 度はHv �Cほぼ比例して上昇するので高い疲労強度を得るた
めに は硬度を上げればよい . しかし , Hvが400以上になると , 疲労 強度は単純にHv �C比例しない ( 1 ) (2) H vや静的強度の上昇の喜11 りには疲労強度は上昇しない ・ 最近では , ζ の原因は , 微小欠
陥や非金属介在物であるこ とが明らかにな っ ている . 微小欠陥 や介在物は高強度鋼の疲労強度のばらつきの原因にもなる . な
ぜぱらつくかといえば , 介在物の寸法や位置がぱらつくので
その影響の程度も異なるのである . 乙れらの現象は高強度鋼に 対する信頼性を落すものである
乙の問題の一番の解決方法は , 鋼を清浄にする乙とであると いわれてきたので , 製鋼技術者は清浄な鋼を製造するために努
力してきた . その結果 , 乙 ζ 2 0年間 , 日本の鋼の清浄度は著 しく改良された . 最近では酸素含有量が10ppm以下の鋼は珍し くなくな っ てきている . しかし , 鋼が清浄になるにしたが っ て l つの問題が起乙 っ てきた . それは , 清浄度を損11る 「ものとぎし
」の問題である . こ れまで , 清浄度を測る 「ものさし」として 利用されてきたものとし ては , ア メ リカのASTM法 , ,日ソビ エト
7 4
のGOST法 , ドイ ツのVDEh法 , フ ラ ン ス の 二 シ ユ ラ ン法 , 日本の JIS点算法やJSMA法なとがある .
ASTMi.去の基本は表4 ・ 1 のようなものである ( 3 ) ス ウ ェ ー デンの製鋼業界ではASTM法を批判し , 独自の提案(4 )を行 っ て いるが ,その基本はASTM法と類似である.
J 1 S法は図4 . 1 �C示すような方法である(5 ) J 1 S法は ,国際 的K通用する規格ではないので輸出に際しては , 外国の規格を 使用せきゆるをえない . J 1 S法の長所は測定者によ っ て結果があ まり違わない 乙とである . ま た , J 1 S法とASTM法には整合性が あるともいわれている(日). ASTM法 , GOST法 , ス ウ ェ ーデン法 などは基本の図と照合する方法なので個人差が出やすい . しか し , 最近では画像処理を取り入れ , 個人差が出るのを防ぐζと と迅速測定への努力がなされている (4) (7 )
最近指摘されているもうi つの問題点は , 乙れらの種 々 の清 浄度評価法による材質評価は必ずしも相互K整合性がない ζ と である 8) 乙れは , 鋼が清浄になり , 従来の多くの大型介在 物を対象とした 「ものさし」が極めて少数の微小介在物を含む 鋼に対して有効でなくな っ てきたためである .
しかし , 乙れまでの介在物評価法の決定的な欠点は何とい っ ても疲労強度との相関がないζとである(9) ( l 0 )
乙れは , 従
来の介在物評価法が疲労現象の詳細な観察結果にもとずいて提
案されたものではないからである . 荒木ら(l l ) 角田ら(l 2 )
最近の村上ら (l 3 ) ー ( l 5 )の詳細な実験 結果K よれ ば , 疲労強度 に最も有害なのは大きい介在物であり , 介在物の化学組成や数
7 5
5 j去しζ 4 M E
S T 表4 A
介在物評価の例 よ る
Heavy -ー・ーーー・・ーー・圃tiフ“つ'M1LTAIL
、J σコ
Type A
内/臼つ叫つ白つ-Mつ』司φ
2.3
type oxides charts.
々回+L r a hu C AU r a AU n a +ι qu hu みlu--aA w qu n o --EA 十、a
・s veer nu「-TA2-yrs teb e so tyC av・leap --e0 7i.hu
・ハ」
JA F且3
ss・do--
nor plu内d+LP』
.,A
enつ』E
P--/ yhig 守l+Ln国・1
a e-Dr ・yor
nv 手i
nvyd団
十』eso ite
mFL・-u・
lny nsuhυ
JiqM
Eagd U1ゐne
1&C・ln
免U +L
・'A..
eaa 円。rr+L a -D e n
o
pS
・lyne
弔i0・dr
・lea
・qu
・-eufs rhITfゐ・7且・3、dyesn +Lns
・1・
la+L
-e
1A
a
Ideer pヒJA--A
PFL1ιon yl--so +Lua--?l S+Las
n:
e u 0・ABel--
nrc
seoan upn
・11yy
C吊leee nu LULU-hu rl TiャiTI
1.3
Type D:gIObular ln the standaA Type D
Thin 今ノMフMフ“勺ムフMつ』
0.3 2.0 0.3
Heavy nuTinunu--nu 了ype C
Thin TLnunu--ゐnunu Heavy
-EE--Ea---Ea---E'a・・SEa--EE‘
1.0 Type B
Thin フMつ'uフMつ'Mつ臼つ白
2.0 Heavy
-E,‘,,Eゐ'EEゐ・EEE--Baa--'EA・
1.0 Thin
Specimen
内/Mマua斗FhJVFO
Average
,
"...-
,
lattice line
Typical example of fnspection field.
Ind:x
.o� cle�nliness d�n/
(
pxf}
xl00%n=Tota 1 number of la ttf ce points occupied by inclusions.
P2Number of la ttf ce points on the eyeg1ass fn ne inspection fieid.
f� !?tal
_nu�ber of irtspection fields The standard value of f is 60.
in Fig: ,the 1a ttice pof nts occupied by
.inclusions are A and B'.
図4
.
1 J 1 S点算法Kよる介在物評価の手順7 7
ハ
Inclusion
, 密度は本質的ではない . Ca系複合酸化物は硬質であるため 有害とされ てきたが , 第3章で示したようK硬質である乙 とか 有害なのではなく ( 1 6 ) 圧延などの塑性変形で変形したり微細 化しないので , 製品の最終段階で大型介在物として残留するた め有害なのである .
乙のような , 最近の研究成果を介在物評価に生かすには , 介 在物の数や形状ではなく , ある一定領域で最大の介在物がとの 程度の寸法かという乙 とを材質評価の有効な 「ものさし J にす る乙とを考えるべきである . 村上らはζ の考えに従 っ て , 極値 統計法による介在物評価法を提案してきた ( 1 3 ) ー ( 1 5 )
第4章では , まず , 第3章で使用した極めて清浄な2種類の 軸受鋼S U J 2をJ I S点算法で測定したときの問題点を指摘 する . そして , 乙 乙 で提案する極値統計法を採用すればJ I S 点算法の問題点が解消されるζ とを示す .
次�C , 第3章で使用した2種類のばね鋼S A E 9 2 5 4と2 種類の軸受鋼S U J 2の疲労試験結果を極値統計法により予測 した疲労限度の下限値と比較する . そして , 本法が , 疲労強度
推定や材料の品質管理Kも応用できる乙 とを明らかにする .
4 . 2 使用材料および実験方法
使用した材料は , 第3章で用いた材料と同一の2種類のばね 鋼S AE 9254 (N材とS材)と清浄度の高い2種類の軸受鋼
S U J 2 (清浄鋼と超清浄鋼)である . S AE 9254におけ
るN材は通常の材質を表し , S材は介在物軟質化処理の材質を
7 8
表す . また , S U J 2における清浄鋼は鋼中酸素量Oが8 p p m
の材質であり , 超清浄鋼は5 p p mの材質である .
J 1 S点算法の測定Kは , 2種類の軸受鋼を使用した . 表4 2 �C , 2種類の軸受鋼の J 1 S点算法による清浄度を示す 極値統計法による予測疲労限度の下限値と実験値の比較は 2種類のばね鋼SA E 9 2 5 4と2種類の軸受鋼S U J 2 �C つ いて行 った
こ こ で提案する介在物評価法は極値統計を利用したものであ
る ( 1 3 ) ー ( 1 5 ) 乙 の方法では , 主応力作用方向と垂直な面(圧
延方向に垂直な面)に ついて40箇所を無作為に選び , 画像処理 装置Kより検査基準面積50中の最大介在物寸法(投影面積の平 方根)rareamaxを読み取る . 具体的Kは , 負荷方法が回転曲げ である乙 とを考慮して試験片最小断面の表面層を測定対象K選
んだ . なお , 検査基準面積は , 2種類のばね鋼SA E 9 2 5 4 で50 = O. 0309mm2, 2種類の軸受鋼S U J 2で50 = 0.075mm2と した
4 . 3 J 1 S点算法と極値統計 ( 1 7 )による介在物評価の比較
図4 ・ 2 �C清浄鋼と超清浄鋼の検鏡写真を示す . 両者とも介 在物が極めて小さく数も少ないので , 顕微鏡で観察した印象で は優劣を判断できない . こ のような試料をJ 1 5点算法で測定す るととうなるであろうか
表4 ・ 3は両鋼の測定結果( 60視野)をまとめたものである . 最終結果は表4 ・ 2 �C示すようKわずかな差があるが , 表4
7 9
8 0
表4 ・ 2 J 1 S点算法による2種類の軸受鋼SUJ2(N)と SUJ2(H)の清浄度の測定結果
Materials Au %一口一れ
- nυ 一 ハU Normal grade, SUJ2(N)
、‘』FHn ,,EE、内ノ旬'iu nu 円\M
e AU 司dr oo tn co nn
8 1
と担」 必出」
Transverse section Longitudinal section (a) Normal grade.SUJ2(N)
♂と� 占と旦1
Transverse section Longi tudinal section (b) High grade,SUJ2(fI)
図4 ・ 2 2種類の軸受鋼SUJ2(N)とSU J 2 ( H ) �C含まれる介在物 の金属顕微鏡写真
表4 ・ 3 J 1 S点算法による2種類の軸受鋼SUJ2(N)と SUJ2(H)の清浄度の測定デー
タの詳細
Normal grade IIigh grnde NUl1Jber i nspcc t i of ons Nth tesl Nth test
2 3 2 3
Numbのr of Rrating poinls occlIPied hy inclusions
。 。 。 。 。
2 。 。 。 。 。
3 。 。 。 。
4 。 。 。 。 。 。
5 。 。 。 。 。 。
6 。 。 。 。 。
7 。 。 。 。 。
8 。 。 。 。 。
9 。 。 。 。 。
10 。 。 。 。 。
11 。 。 。 。 。 。
12 。 。 。 。 。
13 。 。 。 。 。 。
11 。 。 。 。 。
15 。 。 。 。 。
16 。 。 。 。 。 。
17 。 。 。 。 。
18 。 。 。 。 。
19 。 。 。 。 。 。
20 。 。 。 。 。
21 。 。 。 。 。 。
22 。 。 。 。 。 。
23 。 。 。 。 。 。
21 。 。 。 。 。 。
25 。 。 。 。 。 。
26 。 。 。 。 。 。
27 。 。 。 。 。 。
28 。 。 。 。 。 。
29 。 。 。 。 。
30 。 。 。 。 。 。
31 。 。 。 。 。
32 。 。 。 。 。 。
33 。 。 。 。 。 。
31 。 。 。 。
35 。 。 。 。 。
36 。 。 。 。 。
37 。 。 。 。 。 。
38 。 。 。 。 。
39 。 。 。 。 。 。
40 。 。 。 。
41 。 。 。 。
-12 。 。 。 。 。
-13 。 。 。 。
44 。 。 。 。 。 。
45 。 。 。 。 。 。
46 。 。 。 。 。 。
47 。 。 。 。 。 。
48 。 。 。 。 。 。
49 。 。 。 。 。 。
50 。 。 。 。 。 。
51 。 。 。 。 。 。
52 。 。 。 。 。
53 54 。。 。。 。。 。。 。。 。。
55 。 。 。 。 。 。
56 。 。 。 。 。
57 。 。 。 。 。 。
58 。 。 。 。 。
59 。 。 。 。 。
60 。 。 。 。 。
n 5 8 7 5 5 4
d 0.021 0.033 0.029 0.021 0.021 0.017
p 400
60
n=
!::1;
sl;::?
r of lattice points occupied by d= Index of cleanliness [ d= n/(pxf)xl00% ]p=Number o fla t ti ce po i n ts on the eye91a S51n inspection field.
f= Total number of i�spection fields The standard value òf f is 60.
8 2
8 3
. 3のデー タが示すように , こ のような材料のJ 1 S点算法清浄 度は 測定のたびに異なる値が得られる . また驚くべき乙とに 検査した視野のほぼ90%が評価点Oとな っ ている乙とである 乙れではJ 1 S点算法はもはや信頼性の ある評価法とはみな せな
• 、‘.
1V
これに対して , 乙のような清浄な鋼の清浄度を極値統計によ る介在物評価法を用いて測定するとどうなるかを以下に示す .
図4 ・ 3は , 4 ・ 2節で説明した手)1債に従 っ て求めた最大介 在物寸法rareamaxを極値確率紙K プ ロ ッ トしたものである . 検査視野数NはN二40である .rareamaxの分布は , ほぼ直線であ り極値統計に従 っ ていると考えてよい . 鋼中酸素量を8p p m (清 浄鋼)から5p p m (超清浄鋼)へ低減した乙とにより介在物のr areamaxが小さくな っ ている乙とが明確にな っ ている 乙のよ うな明確な差は, J 1 S点算法K よる表4 ・ 2と表4 ・ 3の 数値 からは示せない .
4 . 4 大きい体積中に存在しうる大きい介在物の推定とその 重要性
図4 ・ 3を見ると , 清浄鋼と超清浄鋼の40視野の検査基準面 積S 0中で観察される介在物のrareamaxの値は , それぞれ10 J.L m
および6 J.L m以下であり , 極めて清浄な鋼であるζ ともわかる . ζ の乙とは , 1本の試験片あるいは多数の試験片中の最大介在 物寸法rareamaxがそれぞれ10Jlm, 6Jlm以下であるζ とを意味す る訳ではない .
8 4
y
Fト' rat、 wb 、‘ts'' TI - 司EZEB // 可E'a'''''BE‘、 、‘.I'「r
T=1.37X106 for one specimen T=7.14X105 for one specimen
1 ßí99.99999sr5x1
07一- - 一一
・ ・・
・・
『f『''
pb rbrb
nunu nu
nunU
司a... ‘EE-- 噌2・a・ 句EE--唱・a-E
V八 Vハ
VA
内/』 Fhd
弓/」 一
一-
一 一
rhJQJ lll rDQd no nHad門叫J n『d門司J n『J ny qdQJ qdqd 門HJnHJ 門司JnHJ 門MJ QJ QJ QJny 円可d ・・
・門叶J n『J ・門司d 門司・4nHJ 門司.4nHJ
門司J 門司J 一 9
一 一 一
I l l l fhu 「J'
「hJ AH『
‘,EZ' 唱-aEa・司・・・・・
一一High grade
I (山n content
5ppm)Normal grade
(Oxygen content
8ppm)1
3以mmu・
一α
5
=r匂 一M7
So=O.075mm2
larea
max= 20.1ぃm
-2
nu 、 •• , nu --' nU 1EBE
20lï万Z
max lim30 40
図4 ・ 3 最大介在物寸法rareamaxの累積頻度分布 (清浄鋼SUJZ(N)と超清浄鋼SUJZ(H)の比較)
第3章の表3 4 �C示すように 破壊起点の介在物寸法は図 4 . 3の介在物寸法よりも大きいものがある ( 9) ( 1 0 )
乙のようK疲労強度推定のためには , 検査領域よりも大きい 体積中に存在するζとが予想、 きれる大寸法の介在物を推定しな ければならない . J 1 S点算法やASTM法なとに代表される従来の 介在物評価法は材質の清浄度の相対比較の 「ものきし」 を与え るだけで検査領域より大きい領域に存在する大寸法の介在物の 推定や疲労強度の推定には役立たない .
乙れに対して , 極値統計法による介在物評価法では材質の相 対比較だけでなく , 問題となる体積あるいは生産部品の数に応 じて存在しうる介在物のrareamaxが 推定可能な ので , 材料や 部品の品質管理Kも利用できるのである .
乙のζとを具体的に示すために , 以下では , 軸受鋼S U J 2
とばね鋼S A E 9 2 5 4に ついて極値統計法により推定した試 験片の危険体積V中に含まれる介在物のrareamaxと実際K試験 片の破壊の起点に現れた最大の介在物のrareaの比較を行う .
4 . 4 . 1 軸受鋼S U J 2
まず , 疲労破壊の起点となりうる危険体積Vを見積る . 破壊 起点とな った介在物で表面からの深さが最も深か ったのは清浄
鋼のNF (深さ=670J1m)である . そのときの介在物中心位置での公
称応力 σ ・は試験片の最小断面部表面の公称応力 σ oの83%であ る . そのため , 便宜上 , 試験片の σ oの80%が作用する領域を危 険体積v ( 1 8 )とみなしてVを計算す ればV� 274.5mm3である .
8 5
大きい体積V中の最大介在物を極値統計法で推定するには 基準のデー タを測定した検査基準体積V 0を定義し, VがV 0 �C比
べてどれだけ大きいかを示す再帰期間を計算しなければならな い. 乙 こ では, 村上らの乙れまでの研究結果に基づいて, 検査 基準体積V0は検査基準面積S 0 �C微小な厚きhをかけて定義する(
Vo=Soxh) (1 8) . 乙乙で, hは介在物検査で得られたrareamaxの 平均値をとるのが経験的に妥当であり (1 8 ) その値は清浄鋼で h=5.13J1m, 超清浄鋼でhご2 .66 J1 mである. 再帰期間T(T=NV/Vo)が 決まれば, 図4 3 �C示した矢印の手順にしたが って, 試験片 N本当りに含まれる乙とが予想、 されるrareamaxを求める乙とが で、 きる ( 1 4) (1 8 )
なお , 奈良井ら (1 9 )はE B法によりある体積中のA 1 2 0 3糸介 在物の寸法を測定し, 上述の極値統計法による推定値とほぼ一
致する乙とを検証している.
表4 ・ 4 は , 試験片N=l, 10, 100本当りの再帰期間T( N )を計 算して求めた試験片N=1,10,100本当りの介在物のrareamaxを 示している. 乙のようにして 推定した試験片N= 1ないし10本当 りの介在物のrareamaxは, 実際Lζ実験で試験片( 7本当り)の破
壊起点にな った介在物のrareaの最大値(第3章の表3 ・ 4 清浄鋼で18.0 J1 m , 超清浄鋼で20.1J1m)とよく対応している. な お , 実験値ではrareamaxの大小関係が逆転しているが, 差は
2 J1 mであり, 試験片本数を増やすと逆転関係はなくなるものと 考えられる
8 6
表4 ・ 4 試験片の本数と含まれるζ とが予想、 される最大介在
物寸法rareamaxの関係(軸受鋼 SU J 2 )
Materials Test volume Number of Return J area国‘x V(mm3) speClmens period T (μm)
7.1 4x1 05 20.1 Normal grade. 274.5 1 0 7.1 4x1 0ð 22.8 SUJ2(N)
1 00 7.1 4x1 0T 25.5
1 .37xlOe 1 7.5 High grade. 274.5 1 0 1.37x1 0T 20.0 SUJ2(H)
1 00 1 .37xl0ð 22.5
∞
『、l
4 4 2 ばね鋼S A E 9 2 5 4
図4 . 4は, 4 ・ 2節で示した手11慎に従 っ て, 圧延方向K垂 直な面の基準面積So (=0. 0309mm2)における顕微鏡検査から得ら れた最大介在物寸法rareamaxを極値確率紙に プロ ッ トしたも のである. rareamaxの分布はほぼ直線であり , 極値統計Lζ従 うと考えてよい . N本の試験片に含まれるrareamaxの値 は
試験片の危険体積Vを考慮する乙 とにより推定できる. 破壊起 点とな った介在物で表面からの深さ が最も深か ったのはN材のN
-6 (深さ21 5 Jl m )である. そのときの介在物中心位置での公称応力
σ は, 試験片の最小断面部表面の公称応力σ oの94%である.
著者らの経験Kよれば, 便宜上σ oの90%が作用する部分を危険 体積V �C選べばよい ( 1 8 ) それを計算するとV "'-i 8 9 . 8皿田3となる.
介在物検査基準体積V 0はS 0 �C微小な板厚hをかけた量として 定義する(Vo=So X h). hは村上らの研究結果験( 1 8 ) �C基づけば
, 介在物検査で得られたrareamaxの平均値を取ればよい . そ れに従うと, N材ではh= 4.96μ m, S材ではh= 4.15μ mである.
V 0の値が決まると, N本の試験片K対する再帰期間はT = NV / V 0で求められる . 表4 ・ 5 は, N材, S材の試験片N ご し10 , 1 0 0本に対する再帰期間T ( N )と , 含まれ乙 とが予想される最大介 在物のrareamaxの値をまとめたものである. N材およびS材の1 0本の試験片に含まれるζ とが予想、 される最大介在物のraream a xは, それぞれ, 29.2JlIDと17.6 Jl mであり , 実際に今回の疲労試 験( N材で10本, S材で9本使用)で破壊起点とな った介在物の 最大値ra r ea (第3章の表3 ・ 3, N材 26.6μ m,S材 17. 7μ m
8 8
8 9
y
F(%)丁=l/t I-F)
18rh.999998Hx107
90・一
v' nuF3 FT・nH
。」sm oi 唱lruvAO」ronv
no
•
srD nU
田-唱BET-
一
一
一 一
一 一
- ---EE--
-
- -
守r 'b phvpb pコ 'コF3 nu nu nunu nu nunU
噌・・・・ -EEE.‘EE-- -EE--噌E・E. ---
Vハ Vハ V〈
V〈 V〈
円ノι にd 勺ζ にd 門,ζ
一
一 一
一 一
一
- 一
E・E・-E・E・-E ・E・E・--E・E・-EEE・E・--EE・E・---E・E・-EEE・E・--EE・E・-且EE
r3 ny
no
rb nuJ
no
r3 ny qJ ny qJ
QJ nyqJ
ny ny qJ ny
ny
qJ ny
qJnyny
nwJ n可d
nwJ
門司J n『J
nwJn『d
n『J n可J
nwJn可J
・ ny ny
-
-
- ny ny
ny
qJ
- ny nynynyqJny qJ QJ nyny -qJ - 一
一4
・・E EE--E ・E・-E ・E・-- E・E・E・---B・E・---
7t ιu にJ Au,
1d つ乙
‘E・E ・---- -E・E・ 噌EE-- 噌EE-- 噌冒・・・
1トー
9 9 . 9 981-
5 x 1 0 "・ー----、、
----、、
lL
s; 10ー
ト、h�
T斗91-
11
81-
�
990995
1-2
x 1 0"1-
9 9 9 9 . 98
.
9 91- 1-
5 x 1 0 31-1 0 1,・-99 . 95
1-2
X 1 0 31
_;nclus;on(S)
softenednormal grade(N)
7トG'
99. 91
- 1 0 3・-c ω 99 08
1-
5 x 1 0 261-コ
亡アψ 99.5・-
5ト よ
<1J 99.0・-ムO
nH・TBFコnvnunH rしrlv'噌,,LZLVnHコuHup」TIns ρ』・可' O ,GnudいEnHa,tt ,nuF、】ρ」、ー'、‘,,,,M門,,at‘、
41ー 〉
0,--98 且ー
So =0.0309 mm2-p
3トヱ コ 2ト コ
u E95・ー
801ー
50・-
必五27 maX
=17.6いn1
必五:z max
=2 9.2 1101 o・ー
-2 0・10
nu 守E''
204日E max
11m 30 �O図4 4 最大介在物寸法r aream&廷の累積頻度分布
(通常材SAE9254(N)と介在物軟質化材SAE9254(S)の比較)
表4 ・ 5 試験片の本数と含まれるζ とが予想きれる最大介 在 物寸法rareamaxの関係(ばね鋼 SAE9254)
Materials Test volωle V
(mm3)
Mwn民r of Speclmens ReturnJ
arearna xper・iod了 (μm)
Normal
grade89.8 5.86x105 25.5
10 5.86x106 29.2
(N) 100 5.86xI07 32.9
Softened inclusion
(S) 89.8 100 10 7.00XI07 7.00xl05 7.00x106 15.6 19.7 17.6
むO
)と良く対応してい る .
4 . 5 疲労限度のばらつきの幅の下限値の予測と実験値 極値統計法による介在物評価法のもうl つの利点として , 推 定したrareamaxから多数の試験片の疲労限度のばらつきの幅 の下限値を推定できる乙 とを示す .
乙 乙 では , 具体例として , 回転曲げ疲労試験結果との比較を 示す . 疲労限度のばらつきの幅の下限値は , 大きい体積中に含 まれる介在物のrareama xで決まる .
平均応力=0 (応力比R= -1 )のときの多数の試験片の疲労限度の ばらつきの幅の下限値は , 最大介在物rareamaxが表面に接す るように存在している場合(第2章の図2 ・ 6 (b))を想定す ると , 次式により推定できる ( 1 4 )
σ ー= 1.41(Hv+120)/(rareamax)1/6 (2 ・ 6 ) ζ 乙 で , 諸量の単位と定義は式(2 ・ 1 ) "-' ( 2 ・ 3 )と同じ である
一方 , 基地組織の硬さに固有な疲労限度の上限値σーは経験
的K次式で求められるζ とが知られている ( 1 ) (2)
σ w U竺1.6Hv士o . 1 H v ( 4
(σ wu MPa, Hv kgf/mm2)
Hv豆400では市販の鋼K含まれる通常の介在物はあまり悪影 響を及ぼさないが , Hv> 400の鋼は一般に , 式( 4
られる疲労限度の上限値を達成できない .
1 )で与え 9 1
4 5 軸受鋼S U J 2
図4 5および図4 6は , 清浄鋼と超清浄鋼について , 試 験片1 0本および1 00本当りの介在物のrareamaxから予測した疲 労限度の下限値 σ いと回転曲げ疲労試験結果を比較したもので ある . 図中には , 式( 4 . 1 )で与えられる理想的な疲労限 度 σ w u (上限値)も示しである . 実験値のばらつきK対し予測し た疲労限度の下限値は妥当な値にな っ ている .
回転曲げ疲労における疲労限度の下限値は , 超清浄鋼と清浄 鋼の差は小さく ,前者が2 %高いだけである .
図4 ・ 3 �ζ示されるほと介在物寸法が小さくなれば , 回転曲 げ疲労強度はかなり改善される . しかし , それでもなお , 多く の試験片は理想的な疲労限度 σ ーには達していない .
図4 . 5と図4 ・ 6 �CはlOOOMPa程度の疲労強度を達成した 試験片もあるが , 乙 の値は設計には利用できない . 試験片本数 を増やせば , より高い疲労強度を示す試験片も得られるが , 多 くの試験片は上限値よりはるかに低い疲労強度しか示さない . したが っ て . チ ャ ン ビオンデー タは必ずしも材質評価として利
用できない . むし ろ , 下限値 σ υの比較が材質の優劣を決める と考えなければならない .
上限値 σ ーを達成可能な介在物のrareamaxは , 式(2 . 6 )
= 式(4 . 1 )とおいてrareamaxについて解けば見積るこ とが できる . 試験片の硬さがHv=750の場合についてrareamaxを見 積ると ,rareamax 二1 . 1 Il m になる . 式( 4 . 1 )がrareamax - 1 Il m程度まで有効かどうかは疑問であるので , 上限値 σ w uを達
9 2
9 3
The upper bound σωu =1.6Hv
L 一一一一
・
一一一
'‘
_ø -/fI
- ' 。 '
oO
1500 1400 1300 1200
(σLZ…)
1100ト 一一一一一一一一
1000
fracture
•
900 800 700 600 500
。
こパwmcuLμω
UコmF
(Normal grade) fracture
• fi sh-eye 400
4J
300
U o
not broken
Prediction equati on
σω乙=1.41(Hv+120)/(〆areαmax) 1/6 200
ハU ハU 4EE'
0 700
650 800
Hv 750
hardness V i
cJくers
図4 疲労限度の下限値の予測l値と実験値の比較 (清浄鋼SUJ2(N))
5
;l 圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃
�
璽苫� 園
1000
9 4
The Upper σωu =1.6Hv
一一
L
一一一一一一 圃 一 一一一一一一一一
声 声 園 ヲ匝
町bound 1500
1400 1300 1200 1100
(。仏一と)
。
口 園口
fracture
回
900 800 700 600 500
工パ戸OCULμω
ωコ白戸
.- fish-eye
400
(High grade)
Prediction equati on
%と= 1 . 41 (H
v+1 20) / (〆areαmax) 1/6 fracture
not broken
ロ
300 200 100
パVCL
700 0 650
800
Hv
750
hardness Vi
cJくers
図4 疲労限度の下限値の予測値と実験値の比較 (超清浄鋼SUJ2(H) )
6
成するための限界介在物寸法に ついては確実なこ とはいえない . しかし , 一応乙 の式から得られる値を目標とするKしても
現在の製鋼技術では , 顕微鏡検査の視野に比べてはるかに大き
い試験片や部材の危険体積中K含まれる介在物の.J areamaxを l
Jl m程度Kおさえる乙 とはまず不可能である . したが っ て , 現在
レ ベル以上の清浄度の改善は経済性や製品の個数 ,寸法を考慮 してなされるべきであろう .
4 . 5 . 2 ばね鋼S A E 9 2 5 4
図4 ・ 4および表4 ・ 5 から分かるように , s材の方がN材に 比べて最大介在物の寸法.Jareamaxが小きいため , 疲労限度の 下限値はS材の方が高い . 例えば , 1 0本の試験片の疲労限度の 下限値は , s材のほうが , N材K比べて約8 %上昇する .
図4 . 7と図4 . 8はそれぞれN材とS材の疲労限度の下限値
と実験結果の比較である . 図中には , 式(4 ・ 1 ) �ζよる疲労限
度の σ w U (上限値)も示し である . 両材質ともに破断 , 非破断 の試験片が , 疲労限度の上限値 σーと下限値 σ パの問にばらつ いて分布しており , 下限値の予測は妥当であるといえる
以上の結果から , 製鋼プロ セ スにおいて介在物を制御し , 材 質の品質管理や高強度鋼の疲労強度向上を達成するl つの方法 として , 介在物寸法.J areaの極値統計分布直線を参考Kするの が有効と思われる .
介在物寸法の分布はほぼ指数分布をする乙 とが知られている
が( 7) (2 0 ) ー (2 2 ) 極めて小さい寸法の介在物が多く存在しても
9 5
9 6
''--
/ /
洲ケ (幻/ 古川y
/ c
/
声 / /
声 /
/ /
声 /
/
厨 E周 百周
/ / / /
/ /
nu nu ハu nu fhv
「D
bzμmcωムパドω
口 口 '‘ • 口
口
口
The lower l imi t of fatigue s tref19th for N specimens
σωz=l .41 (Hv+120)/(�αreαmaxy/6
nu nU
可Eaa • fracture Jr Fish-eye fracture 口not broken
0 4 500 '600
Vickers hardness Hv 700
図4 ・ 7 疲労限度の下限値の予測値と実験値の比較
(通常材SAE9254 (N))
9 7
/ / /
.
AV/
帰
郷 ム ナ
。 / /
S / / / 声" 。 / / / / / / / / /
b
600
エ二+J cn
c
� 500
+J (/)
'r-
The lower l imi t of fatigue s treflgth for N specimens
。ωl=1.41 (Hv+120)/(1tωeαmax)1/6
•
fracture
_ Fish-eye fracture
o
not broken
0 40C 500 600 700
Vi c Jくers hardness Hv
図4 ・ 8 疲労限度の下限値の予測値と実験値の比較 (介在物軟質化材SAE9254(S) )
疲労強度には影響がない ( 9 ) 介在物の数が少なくても大寸法 の介在物がl個でも存在すれば
, その部分の疲労強度は低下す る . 乙のような理由から介在物寸法の極値統計デー タが意味を
持つのである . 以上の考察から明らかなように , 乙の点Lζ関し
て J 1 S点算法はもはや有効な 「ものさし Jあるいは指針とは ならないのである
また , 介在物の数や形状をカウ ン 卜する方法(2 3 ) )あるいは
A S T M法( 3 )なとの介在物評価法は , 介在物が疲労強度に及
ぼす影響を評価する方法としては
合理的でない乙とが , すでK 多くの研究で指摘されているとおりである( 9) ( 1 0) (2 4 )
4 . 6 まとめ
鋼の清浄度が改善され , 介在物を評価するために定められた 乙れまでの規格がもはや有効な 「ものきしJとしての役目を果 たさなくな った乙とは , 著者らが本論文で示すまでもなく , 現 場の技術者はすでに実感しているζとと思われる . しかし , ζ れまでの 「ものきし」が役に立たなくなればそれに代わるもの を作らなければならない . 本研究では , ζれまでの 「ものさし Jの 代表として J 1 S点算法をとりあげ , 乙れが , ð変素含有量 8ppmと5ppmの2種類の軸受鋼S U J 2 �C ついて有効な 「ものさ しJとならないζとを示すととも�C , J 1 S点算法に代わるも のとして極値統計法による方法を示した . 得られた結論は以下 のとおりである .
( 1 ) J 1 S点算法は極めて清浄な鋼の清浄度の差を評価する
9 8
方法としては適当でない .
( 2 ) J 1 S点算法やA S T M法など従来の介在物評価法は材 料の清浄度の相対比較として利用されてきたが , 検査領域より 広い面積や体積K含まれる乙 とが予想、される大寸法の介在物を 推定する情報を与えない .
( 3 )極値統計法による介在物評価法は基準領域における最大
介在物寸法の統計的分布を表すので , 極めて清浄な鋼の介在物 評価にも適用可能である . 介在物寸法として介在物の投影面積 の平方根./areaを定義すると最大介在物の値./areamaxは極値 統計に従う . 乙 の方法をO量が8ppmと5ppmの2種類のS U J 2 K適用した結果 , 両鋼の明確な差を示すζ とができた . なお
J I S点算法では差を明確にできなか った .
( 4 )ばね鋼 , 軸受鋼 , 工具鋼などの高強度鋼の疲労強度は介 在物の存在K著しく影響される . 乙 の影響の程度は試験片や部
品に含まれる介在物の./areamaxを推定する乙 とにより予測で きる . 実際�C 2種類の軸受鋼S U J 2と2種類のばね鋼S A E
9 2 5 4の疲労強度のばらつきの幅を , 極値統計Kよ って求め た./areamaxと村上らがさきに提案した疲労強度予測式で 予測 すると , 予測結果は実験結果とよく対応した .
( 5 )金属材料に含まれる介在物を皆無にしたり寸法を極めて
小さくしたりする乙 とは困難で経済的に問題があるが , 製鋼プ ロ セ スでは何らかの介在物制御の目標値が必要である . ./ area m a xの極値統計デー タはそのような目標値 , すなわち , 新しい
「ものさし」として利用できるであろう . また , 乙 のデー タを 9 9
l 回 ど との製鋼プロ セ ス で 採 取するようにすれ ば , 関係因子の
変更あるいは改善が迅速に行える .
100
101 第4章の参考文献
'hH ふーし
, .唱』A nu WH
ハU
s n 'k o r C
・l o
--
ふL
fA
r a E l
y
e +L A八
r
er-M川OC
「U O d
s n zq a n n a a g
e
-J
r s
-I
Aパ u t
r s 仏u cu ρ」
HU
r e m
'
U TA A八 円口 z
rL
O
干i
' H口
ハU 1i AU
, n uu
口
、l a o l i
--
【b e AU ふL ny
v
o a 1 2 0 t ( l w e
pし
rA rA ρ』
'
a p e s pu
rA
.,i
1lA e v a Rι ふL
rA 4L n e e M川 Ti 円\U M円
、‘.,,-Ea'A Jt、
( 2 )西島 敏 , 材料 , 29-316(1980), 24.
(3)ASTM Standard E45, Standard Practice for
、31』J唱aaAハU
114 門〈u e o e +L 1A nふ
n十i りv O
o
nb '
+L AU n r e a +L Au n n o a pし
- M O nH 戸\U みし
- 中l S 門\U HU A八
、『EaA
pu t
n 0
7』EAじK
e o Ehu ハU +L nD β0 1i n a
--u
+L n a n nu A八
・1A「』IL
m k/
r o e nud ふiν nwd e -
D JI
(4)S.Johansson, Scandinavian Journal of Metal1urgy,
19(1990), 79.
(5)JIS G0555-1977, 鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法
, (1977) [日本工業規格]
(6)A.Koyanagi and M. Kinoshi, ASTM STP 575(1975), 22.
(7)G.F.Vander Voort and R.K.Wilson,
ASTM Standardization News, May(1991), 28.
( 8 )子安 善郎 , 新日本製銭(株)室蘭技術研究部報告書
, (1991), (私信)
(9) J. Monnot, B. Her i t i e r and J.Y.Cogne,ASTM STP987(1988) 1 49 .
( 1 0 )足立 彰 , 荘司 英雄 , 桑原 絢夫 , 井上 義幸 ,
電気製鋼 , 4 6 -3 ( 1 975 ), 176.
( 1 1 )荒木 透 , 石 辺宜 , 佐川 竜平 , 鉄と鋼 , 57-13(1971),
2042.
( 1 2 )角田 方衛 , 内山 郁 , 荒木 透 , 鉄と鋼 , 57-2(1971),
335.
( 1 3 )村上 敬宜 , 児玉 昭太郎 , 小沼 静代 , 日本機械学会 論文集 , 54-500, A(1988), 688.
( 1 4 )村上 敬宜 , 宇宿 尚史 , 日本機械学会論文集 , 55-510,
A(1989), 213.
( 1 5 )村上 敬宜 , 川上 勝巳 , 斎藤 誠 , ばね論文集 ,35 (1990), 1.
( 1 6 )村上 敬宜 , 鉄と鋼 , 75-8(1989), 1267.
(17)E.J.Gumbel著 , 河田 龍夫 , 岩井 重久 , 加瀬 滋男訳 , 極値統計学(1 963 ) ,1, [広川書店] .
( 1 8 )村上 敬宜 , 金属疲労 : 微小欠陥と介在物の影響 , 第7章(1993),131, [養賢堂]
( 1 9 )奈良井 弘 , 阿部 力 , 古村 恭三郎 , 材料と プロ セ ス 4(1991), 1178.
102
第三; 5 主主 f統
I吾妻3
103 プトぞ王午勿てナ2去タラトヂff 0::>者盈イ直
言十 ァ タ f丈 ヲE貨店芝室岡σ〉授受 ヲ今
ス イ乍万支と 戸艮定度予佳支E
� σ〉 万乞、 FFJ
5 . 1 緒 百
第4章までに述べてきたように , 高強度鋼の疲労強度はその 静的強度から期待できるほど高くなく , ぱらつきが大きい原因 は , 高強度鋼の疲労破壊が多種多様な形状 , 寸法 , 位置を有す る非金属介在物や微小欠陥を起点としているためである . 乙 の ような高強度鋼の疲労強度特性は設計者にと って大変や っかい な問題であり , 許容応力の設定にあいまいな安全率を強いられ る原因とな っ ている .
第4章で詳しく考察したよう�C , 介在物を有する高強度鋼の 疲労限度の下限値は部材中の最大の介在物寸法rareamax を用 いて予測する乙 とができる . 第4章では , 最大介在物寸法rar戸
e a m a x の分布の推定に極値統計 ( 3 )を応用し , 高強度鋼の疲労 限度のばらつきの幅の上 - 下限値を推定する方法を提案した .
本章では構造物や機械要素に使用されている多種類の高強度 鋼について最大介在物寸法rareamaxの分布の極値統計デー タ
ベー スを作成し , rareamaxを尺度とした各材料の疲労強度特 性を比較検討する . また , 疲労限度の下限値推定法を荷重形式
別に分類標準化する . その実際の応用例として測定値にもと づ く具体的な計算手)1債の 説明を行い , 疲労試験 結果との比較によ
り本推定法の有効性を証明する.
5 . 2 最大介在物寸法..J areamaxの極値統計デ ー タベ ー ス ァー タベー ス 化した材料は , 自動車用ばね鋼3種( SUP9. SAE 9254(N) .SAE9254(S)) . 炭素鋼3種(S45C. 低炭素鋼(Carbon
s t ee 1 ( 1 ) . 中炭素鋼(Carbon steel (2)) . 軸受鋼2種( SUJ2(N ).SUJ2(H)) . 高速度工具鋼(S K H -5 1) . ス テ ン レ ス鋼3種 AMS5643.17-4PH,SUS630) , レ ール用鋼 , 圧延ロ ール用鋼の 1 4種類である .
ただし, 自動車用ばね鋼SAE9254(N)(通常材)とSAE9254(S) (介在物軟質化材)および軸受鋼SUJ2(N)(鋼中酸素量8 p p m )
とSUJ2(H)(鋼中酸素量5 p p m )は , 第3 ・ 4章で使用したもの と同ーの材質である .
表5 . 1 �C各材料の化学成分を示す . 介在物の測定方法は4 2節に示したものと同じである . まず , 試料から部材K作用 すると考えられる最大引張応力方向に垂直な面を切り出し検査
表面を2000番の紙やすりで研摩した後}";; フ研摩を行う .
次Lζ , 検査部分が重複しないように4 0箇所(圧延ロ ール用 鋼のみ2 0箇所)を選ぴ画像処理装置により検査基準面積S 0中 の最大介在物の面積の平方根..J areama xを読み取 った .
乙 乙 でSoの値と画像処理時の介在物のズーム率は ,SUP9.SAE9 254(N) .SAE9254(S) ,AMS5643, 17-4PHでO. 0309mm2 (ズーム率800 倍), SUJ2(N),SUJ2(H)で0.075mm2(ズーム率800倍). レ ール 用鋼で0.448mm2(スーム率300倍), 圧延ロ ール用鋼で254mm2(ズ
1 0 4
表5 . 1 各種材料の化学成分 wt( %)
Materials C Si 附1 P S Ni Cr Mo Cu W Ti Al N(ppm) O(ppm)
SUJ2 ( N) 0.99 0.23 0.34 0.014 0.014 0.02 1.45 0.01 ーーー 0.001 0.025 45 8
SUJ2 (H) 0.98 0.23 0.37 0.010 0.005 0.02 1.45 一一ー 0.01 一一ー 0.002 0.021 55 5
SAE9 254 (N) 0.52 1.43 0.71 0.023 0.008 一ーー 0.723 一一一 一ーー ー一ー 一一ー 10 10
SAE9 2 54 (S) 0.58 1 .4 7 0.69 0.014 0.003 ーー一 0.693 ーーー ーーー ーーー ーーー 20 20
制S5643 0.04 0.15 0.80 0.008 0.003 4.26 15.13 0.01 3.42 ーーー ー一ー 一ーー ー一ー
SUP 9 0.53 0.31 0.71 0.023 0.012 一ー一 0.67 ーーー 0.14 一ーー 一ーー 一ーー ーーー 一ーー
Roll steel 0.60 0.60 0.92 0.008 0.0002 0.33 5.22 0.43 ー一ー ーーー 一ーー ー一ー 一一ー ーーー
17-4PH 0.04 0.18 0.78 0.006 0.002 4.30 15.10 0.07 15.7 ーーー ーーー ー一一 一一一 ーーー
SKH- 51 0.81 0.31 0.29 0.018 0.002 ーーー 3.92 4.85 0.07 6.10 一一ー ーーー ーーー 一一ー
Rail steel 0.82 0.15 0.82 0.015 0.016 ーー一 ーーー ー一一 ーーー 一ーー ーーー 一一ー
S45C 0.43 0.21 0.74 0.027 0.043 0.10 0.57 ーーー 0.27 一ーー 0.002 一一一 ーーー
Carbon 0.18 0.26 l.28 0.018 0.028 0.08 0.12 0.05 0.24 ー一一 0.017 12.5 ーーー
stee 1 ( 1 )
SUS630 0.03 0.51・ 0.58 0.35 0.06 4.29 15.76 一ーー 3.33 一一ー ーーー ー一一
Carbon 0.28 0.45 l.40 0.028 0.015 0.04 0.05 0.03 0.005 13.5 ー-ー
tee 1 (2 )
。ω
ーム率400倍) . その他全て0.482mm2(ズーム率300倍)である .
図5 . 1 �C各材料につい てrareamaxの累積頻度分布を極値 確率紙K プロ ッ トしたものを示す . 各材料ともに分布直線の直 線性がよ くで ており . rareamaxは極値統計Lζ従うものと考え られる . 図5 ・ 1 �C示した 各材料のrareamaxの大きさの範囲 は各材料問で重な っ ているため , 通常行われる狭い範囲の鏡検 査結果では介在物寸法から見た材料問の優劣を正しく判定でき ないζ とになる . しかし , 極値統計による分布直線を利用すれ ば材料評価が客観的かつ定量的にできる乙 とが分かる .
5 ・ 3 最大介在物寸法rareamaxを尺度とした高強度鋼の 疲労限度の比較
図5 ・ 1 �C示したデー タベー スも検査基準面積Soが異なるデ ー タは直接比較ができないので , 危険にさらされる面積Sが同 じ値に対して rareamaxがどのような値を取るかを算出して比 較する必要がある . 図5 ・ 2は , 図5 ・ 1 においてS= S 0 Tの曲 線( T : 再帰期間)を用い てrareamaxを求めてSとの関係を整 理したものである . 図5 . 2におい て , 例えばCarbon steel (2 )とSUJ2(H)を比べた場合 , 危険面積に対するrareamaxの勾配 に関して後者は前者の1 / 3程度であり危険面積が増加するの に従い両者の差は大きくなる .
図5 . 3は , 図5 ・ 2と式( 2 6 )を用い て疲労限度の下 限値 σ ーを推定したものである . 縦軸はビ ッ カ ー ス硬さHv �C対 して無次元化した σ υ/( H v + 120 ) をと っ ている . 各材料ともに
106
107
y
9.95,
T
7卜99.9 1000
500
99.5卜 200
5
99.0 100
4
98 50
3 95 20
90
2
80
ιy
So=O.075mm2
50 1
。
1 -2
L0.1
。
10 20 30
d二二 max: (μm)
(a) SU J 2 (N)
図5 . 1 各極材料の最大介在物寸法rareamll.xの累積頻度 分布
108
y
7 rQQ
a1000 T
6
500
99.5 200
5
() (l Iì
100
4ト981 50
J 20
9 0
2 8 0
1
50 t- � So=O.075mm2
。 寸土 門ん 一
一
10 20 30
パ二二max (μm)
(b) SU J 2 (H)
1 0 9
y
.95
T7
�99.9 1000
500
5卜 99.5r- 200
99.0 100
4
� 98 50
3ト 95 20
2 90
80
1 2 So=O.0309mm2
。
1 -2し0.1
G10 20 30
�m日(μm)
(c) S AE 925 4 (N)
1 1 0
y
8
r'F(%)
T
7
199.9 1000
500
5
99.5 t- 200
100 50
2 20
9 0
2
80 1
50 t-
k::/So=O.0309mm2
。
1 -2
L0.1
。
10 20 30
�max(μm)
(d) S AE 925 4 (S)
-aSE- --EaA 1aA
y
9.95
7 ï 99.9 1000
T500 99.5J 200
5, 99.0 , 100
4ト981- 50
3 t- 95 2 90
80
50
。 I I竺、、,
So=O.0309mm2
. ...・、a
-2 L 0.1 1
10 20 30
。
パ二二max (μm)
( e ) A M S 5 6 4 3
112
y
8 r
F(%)
7ト99.9ト
T
1000
500
5 � 99・5 200
99.0 100
4 98
50
3 95 20
2 90 80 1
50
。
l 10 印 So=O.0309mm2
1 -2し0.1
。
10 20 30
パ二二 max (μm)
(f) s u P 9
y
8
rF(%)
7ト 99.9
5 卜 99.5
4 98ト
3 95ト
2 90
80 1
50
。
1 -2 L 0.1
。
1000 500
200 100 50
20 T
So=254mm2
10 20
d二二 max (μm)
(g) R o 1 1 s t e e 1
1 1 3
30
1 1 4
y
9.95
T 7 199 .9 1000
500
5r- 9.5, 200 99.0 100
4
98 50
3 95
2 90 80
50
。 Iß
10
・�ySo=O.0309mm2 1
一2 L 0.1
10 20 30
� rnax (μm)
(h) 1 7 - 4P H