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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

協調社会創発のための進化ゲームにおけるネット ワーク互恵に関する研究

岸本, 憲幸

https://doi.org/10.15017/1866335

出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

ηヤ 7し

(様式

3)

氏 名 ・ 岸 本 憲 幸

論 文 名 : 協 調 社 会 創 発 の た め の 進 化 ゲ ー ム に お け る ネ ッ ト ワ ー ク 互 恵 に 関 す る 研

区 分 : 甲

論 文 内 容 の 要 旨

環境問題は社会ジレンマとして数理モデル化することが可能であり社会ジレンマを寛解・解消す る互恵的協調関係がどのような契機で人聞社会システムにおいて進化するのかを論究することは,

今日的社会要請に照らして重要であるばかりでなく,社会物理学上も挑戦的な研究課題であると考 えられる.手

I

]己的個体の相互作用の中で協調的群行動の自己組織化をもたらす機構を解明すること が進化ゲーム理論研究の大きな目的とされている.進化ゲーム理論において, 2005 年に M.A.Now

は,社会ジレンマを解消・寛解するプロトコノレの数理構造は直接互恵,間接互恵,ネットワーク互恵,

群淘汰の 4つに類別され,これらは H a m i l t o n が 1 9 6 5 年発見,定式化した血縁淘汰が進化する条件 を表す不等式と同構造を有することを,数学的に証明した.

血縁淘汰を含む

5

つのプロトコノレの中にあって,最近の研究トレンドで特に関心が寄せられてい るのが,ネットワーク互恵である.生物学者たちは,高度な知性や情報処理機能を有しない生物種,

例えば社会性昆虫などであっても,協調的群行動が創発する機構を説明する鍵として,エージェン ト聞に空間構造による社会粘性を付加することでジレンマを寛解・解消させるネットワーク互恵が 拘わっているのではなし、かと考えている 囚人ジレンマ(P r i s o n e rsDilemma, PD )をテンプレート にして,ネットワーク互恵を強化する新たな付加機構を報告する研究は非常な活況を呈しており,

過去 1 0 年余の統計物理学,数理生物学分野における関連論文発表数は数千のオーダーに達する.ネ

y

トワーク互恵を組み込んだ PD ゲームを空間型囚人ジレン"' ( S p a t i a l ‑ P D  ;  SPD )とよび,その濫 腸は 1 9 9 2 年の Nowak&May の論考にある SPD では,協調(C o o p e r a t i o n ;C )か裏切り(De

c t i o n; 

D )かのバイナリー2 戦略を有するエージェントがトポロジーを仮定した空間上に配置され, PD で 規定されるゲームを隣人と行い,その利得に応じて隣人の戦略を模倣するとの一連のダイナミクス を解析する.これは,各エージェントがゲーム対戦相手と戦略適応相手とを限定することで,結果 的に,空間構造がエージェント聞の匿名性を減少させ, w e l l ‑ m i x e dな状況から社会粘性を増大させ

ることにより協調創発を可能にしている機構であると考えられている(T a n i m o t o;  2 0 1 4 ) .  

本研究では,如上の分野の研究経緯を踏まえ,ネットワーク互恵の力学的機序を明らかにするた

めに,空間型囚人ジレンマゲーム( SPD )に着目し,従来報じられているネットワーク互恵を担保

する機構とは異なる新たな強化機構(e n h a n c e m e n t )を提示し,数理的に解析することを目的として

(3)

いる.

第 1 章は序論として,本研究の背景,既往研究の包括的レヒ ューを提示するとともに,本論文の 構成について述べている.

2

章では,本研究の基礎となる進化ゲーム理論の基礎を整理し,とくに

Nowak

5

つの互恵機 構の一つであるネットワーク互恵の基礎について詳細に理論的背景を述べている

第 3章では,ゲームプレーヤーであるエージェントの知性を実装する場合に標準的に仮定される ニューラノレネットワークに注目し,連想記憶装置の想起特性の改善に関する研究を報じている

第 4 章では, SPD にフォーカスし, C か Dかのバイナリ一戦略系とは異なる,連続戦略(完全裏 切り,

D=O

と完全協調,

C=l

の中間の手を連続値(

E[O,l

])として許す戦略系),混合戦略(

C

D

かを確率的に繰り出す戦略系)に注目している.すなわち既往研究で明らかにされているチキン型 ジレンマの寛解に効果的な連続戦略,鹿狩り(

StagHunt ; SH

)型ジレンマの寛解に効果的な混合戦 略の特性を旨く取り入れる工夫として,バイナリ一戦略系と連続戦略系の特質を併せ持つ新たな戦 略系

ContinuousBinary

戦略系を構成し,一連の数値実験の結果,通常のネァトワーク互恵に比して 大きな

enhancement

が観察されることを論証している.

5

章では,初期に同数の協調者と裏切り者がランダムに配置されるカオスな状態から秩序が形 成されるダイナミクス途上で,バイナリ一戦略系,連続戦略,混合戦略系を相互に切り替えること で,従来のネットワーク互恵に比して大きな

enhancement

が得られるかを,数値実験的に検討して い る

6

章では,前章の戦略系の切り替えに加えて,戦略的適応時の隣人範囲を一般的に仮定される トポロジー上の第 l 近傍から第 2 近傍等へ拡大することで,ネットワーク互恵が更に強化されるか を,一連の数値実験により検討している.

7

章では本研究の総括結論を導くとともに,今後の研究展開についてまとめている.

参照

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