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Hv
550
hardness
500
Vickers
疲労限度の下限値の予測値と実験値の比較 (圧延ロ ール用鋼)
図5 2
( 4 . 1 )による疲労限度の上限値 σ w U
(4)(5)も示し である
予測した疲労限度の下限値は妥当な値とな っ ている .
ただし , 回転曲げ荷重の場合は応力勾配の影響で試験片内部 の作用応力は低下する . そのため , 応力の高い表面層で危険に さらされる面積Sを推定し, 疲労限度の下限値を求めても実用
上十分である
文献(9 )では乙 のようにして..Jareamaxを概算しており , その 結果は試験片N= 10,100本当りそれぞれ12. 5 (μ m) , 19. 0 (μ m ) である . 文献(9 )の便宜的方法は本研究の方法より厳密性に欠
けるが , 本研究の危険体積Vを用いた..Jareamaxの推定値との差 は小さしミ
式( 2 6 ) �Cよる疲労限度の下限値は , 文献(9 )の値に比 べて , N = 1 0で約10% , N= 100で約6%低めの値になる .
5 . 9 まとめ
各種高強度鋼の最大介在物寸法..Jareamax の極値統計デー タ ベー スを作成するとともに疲労限度の下限値を推定する方法を 標準化し , 次の結論を得た .
1 )実際の機械構造物 , 機械要素に使用されている高強度鋼 1 4種に含まれる最大介在物寸法..Jareamaxは極値統計分布に 従うζとが確認できた .
( 2 ) ..J areamaxの極値統計直線は介在物評価として J I S ,r2,
算法より合理的であり多くの情報量をも っ ている . また乙れは 冶金学的な見地から介在物寸法を制御する際の定量的な尺度
138
としても利用できる .
3 )各荷重別に疲労限度の下限値を推定する方法を分類し標 準化した . 乙れは , 介在物が疲労破壊の原因となるような高強 度鋼を使用するときの設計応力の設定に役立つものと考える .
( 4 )本研究の予測法により , 圧延ロ ール用鋼の回転曲げ疲労
限度の下限値を算出し実験結果と比較したと乙 ろ良好な結果を 得た .
1 3 9
140 第5章の参考文献
( 1 )村上 敬宜 , 児玉 昭太郎 , 小沼 静代 . 日本機械学会 論文集 , 54-500, A(1988 ), 688.
( 2 )村上 敬宜 , 字宿 尚史 , 日本機械学会論文集 55-509,
A(1989 ), 213.
(3 )E.J.Gumbel, "極値統計学\ 河田 龍夫 , ほか2名訳 , (1963 ),1 , 広川書 店 .
(4 )M.F.Garwood, H.H.Zurburg and M.A. Erickson,
'Interpretation of Tests and Correlation with
Service", (1951 ), 1, American Society for Metals.
( 5 )西島 敏 , 材 料 , 29-316(1980 ), 24.
( 6 )村上 敬宜 , 金属疲労 : 微小欠陥と介在物の影響 , (1993 ),233, [賢養堂]
( 7 )村上 敬宜 , 上村 硲二郎 , 川上 勝巳 , 日本機械学会 論文集 , 55-509, A(1989 ), 58.
( 8 )上村 裕二郎 , 村上 敬宜 , 日本機械学会論文集 , 56-521,A(1990 ), 162.
( 9 )大小森 義洋 , 北川 幾次郎 , 篠塚 啓吾 , 村上 敬宜 , 松田 健次 , 鳥山 寿之 , 鉄と鋼 , 77-3(1991 ), 438.
第三; 6 主童 '1'を -=:t::1:コ C::=J
本論文は , 高強度鋼の疲労強度に及ぼす介在物の影響を定量 的K評価できる手法を提案する乙とを目的とした . 疲労限度K 及ぼす介在物の力学的影響を正しく杷握するためには , 疲労限 度Kおける介在物と微小欠陥の力学的等価性の概念が極めて重 要である
ζ の概念に基づい て , 村上らが提案した微小欠陥に対する疲 労限度の子浪IJ式を , 介在物が疲労破壊の起点となる高強度鋼の 疲労問題に適用した . その結果 , 疲労限度を支配するのは , 介 在物の形状(応力集中係数の相違)や化学組成(硬質や軟質) ではなく , 基地組織のビ ッ カ ー ス硬さHvと介在物の投影面積の 平方根.J areaである乙とを実験的に証明した . また , 集合欠陥 集合介在物の疲労干渉問題を評価する具体的評価法を提案し
その有効性を示した .
つぎに , J I S点算法などの従来の介在物評価法は , 最近の 極めて清浄な鋼の材質の相違の判別ができない乙とや , 疲労強 度の推定K役に立たない 乙とを指摘した . 乙れに対して , 最大 介在物寸法.Jareamaxの極値統計分布K基づく介在物評価法を 適用すれば , J I S点算法の問題点が解消されるだけでなく , 疲労強度の推定にも役立つ乙とを明らかKした .
得られた結果は各章の終わりKまとめたが , それらを要約す ると以下のようになる .
1 4 1
( a )疲労強度に及ぼす微小欠陥 - 介在物の影響について
a - 1 )形状(応力集中係数の相違)の影響
1 )微小欠陥 - 介在物の応力集中係数の相違は , 疲労限度K 影響しない . そのために , 応力集中係数が著しく異なるが , 投 影面積の平方根r areaの等しい人工微小欠陥(き裂 連結穴
単独微小穴)を導入した マルエ ー ジ ン グ鋼試験片(H vニ510 の 疲労限度がほとんど同じ値となる乙 とを実験的に証明した .
疲労限度では , 介在物は微小欠陥や微小き裂と力学的に等価 であるため , 乙 の実験結果は微小欠陥や介在物が疲労限度に及 ぼす影響がr areaを用いて統一的に評価できる乙 とを示してい る
a - 2 )化学組成の影響
2 )介在物の化学組成は , 硬質介在物(C a糸介在物なと)か 軟質介在物(M n S系介在物など)かにより , 圧延等の塑成変形 における変形の度合いに影響を及ぼすので , 結果的には介在物 の寸法r a r e a �C影響する . そのため , 一見したとこ ろ疲労強度 K及ぼす影響として介在物の化学組成が注目されがちになるが
化学組成そのものは直接的影響因子ではない .
3 ) T i系介在物のように角ば った介在物の応力集中係数の大 きさは , 疲労限度K直接影響を及ぼさない . 乙 の理由は , (1 ) で述べたよう�C , 疲労限度では発生したき裂の停留条件が非破 断の条件となるため , 介在物と微小欠陥 - 微小き裂は力学的に 等価となるからである . 結局 , 疲労限度は介在物の代表寸法 r a r e a �C支配される .
142
a - 3 )集合欠陥 集合介在物の疲労干渉効果
( 4 )複数穴を有する試験片K関する疲労試験結果と2 つの近
接表面き裂に関する応力拡大係数の解析結果に基づいて微小欠 陥の疲労干渉効果の評価基準を示した . それは次のようになる í 2つの欠陥が近接して存在するときには両者の聞に小さい 方の欠陥が入る空間があれば干渉効果は小さく , 疲労限度評価 の点からは単独穴の効果を考えればよい . しかし , 両者の聞の 空間が狭く , 小さい方の欠陥が入らない程度であれば , その2 つの欠陥は初期から連結しているとしてrareaを評価すべきで ある . J
( 5 )提案した評価法を球状黒鉛鋳鉄中の黒鉛の干渉問題K応
用した . 干渉を考慮して推定した最大黒鉛寸法rareamaxと 疲 労限度の予測式を組み合わせて推定した疲労限度のばらつきの 下限値は回転曲げ疲労試験結果に対して妥当な値とな った . し たが って , 本評価法は集合介在物や集合欠陥を有する鋼の疲労 限度評価にも応用可能である .
( b )従来の介在物評価法の問題 点について
( 6 ) J 1 S点算法は極めて清浄な鋼の清浄度の差を評価する 方法としては適当ではない . その理由は , J 1 S点算法は比較
的大型の介在物の相対比較を行うために作成された規格である からである . 実際�C , J 1 S点算法では , 鋼中酸素量Oが8ppm と5ppmの2種類の極めて清浄な軸受鋼SU J 2の材質の差を明 らかKできなか った .
143
-・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「一←一
( 7 ) J 1 S点算法やAS T M法など従来の介在物評価法は材 料の清浄度の相対比較として利用されてきたが , 検査領域より 広い面積や体積に含まれる乙とが予想、 される大寸法の介在物を 推定する情報を与えない . 過去多くの研究で指摘されているよ うに , 鋼の良好な清浄度からは想像できない大寸法の介在物が 疲労破壊の起点になる原因は乙乙 にある .
( c )極値統計に基づく介在物評価法に ついて
( 8 )介在物寸法として介在物の投影面積の平方根rareaを定
義すると , 最大介在物寸法rareamaxは極値統計Lζ従う . 実際 に機械部品等に使用されている多種類の高強度鋼に含まれる介 在物に関して , そのrareamaxは極値統計K従う乙とが確認で きた . また , 乙れらの高強度鋼のrareamaxの極値統計分布を
デー タベー ス化した .
( 9 )極値統計法による介在物評価法は , 基準領域における最 大介在物寸法の統計的分布を表すので , 極めて清浄な鋼の介在 物評価Kも適用可能である . 乙 の方法を鋼中酸素量Oが8ppmと 5ppmの2種類の極めて清浄な軸受鋼に適用した結果 , 両鋼の明 確な差を示す乙とができた
( 1 0 )ばね鋼 , 軸受鋼などの高強度鋼の疲労強度は介在物の
存在に著しく影響される . また , その影響の程度は試験片や部 品の基準体積κ含まれる最大介在物寸法ra r e a m a x �C依存する
そのためrareamaxの推定に極値統計が利用できるのである 実際�C . 軸受鋼S U J 2 . ばね鋼SAE 925 4 . 圧延ロ
-144
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1 4 5
ル用鋼の疲労強度のばらつきの下限値を , 極値統計によ っ て求
めたr aream a xと疲労限度の予測式で子混IJすると , 予測結果は
実験結果とよく対応した .
( 1 1 )鉄鋼材料に含まれる介在物を皆無Kしたり , 寸法を極 めて小さくするζ とは困難で , 経済的に問題がある . しかしな がら , 鋼の疲労強度の改善を目指した製鋼プロ セ スでは , 何ら かの介在物制御の目標値が必要である . 最大介在物寸法r area -の極値統計分布デー タはその場合の目標値として利用でき る
( 1 2 )以上(8) - (1 1)の結論を総合して , 各荷重別�C 試験片の疲労強度のばらつきの下限値を推定する方法を分類 標準化した . 本法は , 介在物が疲労破壊の起点になる高強度鋼 を使用するときに , 合理的な設計応力を与える乙 とができると
考える
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本研究をまとめるにあたり . 終始暖かい御指導と御鞭援を賜 勺 た 九州大学工学部教授 村上敬宜博士に深甚なる感謝の意を表します .
また , 論文内杏に つい て御指導 . (卸肋言をいただいた九州大字 工学部教授 西谷弘1言博工 , 同工学部教授 徳永洋一博士 、 同工学部 教授 市丸和徳博士に厚く御礼甲しょげます .
本研究を遂行するよで使用した疲労試験片を製作していただいた 九州大学工学部技官 飯嶋正博氏に深く感謝いたします .
最後に , 本研究の実胞Kあたり多大な御協力をいただいた九十|、|
大学工学部助教授 野口博司博士 、 同工学部講師 栄 中博士 , 同工学部助手 小林正木氏 , 同工学部助手 尾田安司氏 , 同工学部 技官 中江 洋氏に感謝の意を表します .