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Academic year: 2021

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「情報がひらく新しい世界」刊行にあたって

21 世紀への入口を前にし,すべての人々に情報技術(IT)が求められる時代が到来した。ここにいた るまでに,インターネットの中で育ち,インターネットの上に「知」のありかを探す人々は増加してきた が,これからは一歩進み,ネットワーク・コミュニケーションの上に豊かな「知と人の輪」を構築してい く時代である。人間が社会から学びとり,社会に返していくものが文化であるとするなら,情報とコミュ ニケーションの技術力(ICT)は,情報社会の生活文化を支える力そのものである。ICT は情報社会にお いて人が身につけるべき基礎的な能力の一つとなりつつある。 これに対応して,わが国の教育も大きな転換点を迎えつつある。2003 年には,高等学校に教科『情報』 が新設され,本格的な情報教育が始まる。小中学校では,それに先んじて総合的学習の時間をはじめとし た情報の教育,教育の情報化が進む。これも社会の情報化が進んでいる証しだが,まだ,学校にも教員に も,また教員を養成する大学にも,個人の力としての IT / ICT は蓄積されていない。このままでは,次 世代の人材を育てる場所として機能しないおそれもある。シリーズ「情報がひらく新しい世界」を企画し たのは,このような理由からである。このシリーズでは,以下に挙げる新しい姿勢をわれわれ編集委員と 共有する各執筆者が「情報がひらく新しい世界」を解説する。 1. コンピュータ,ネットワーク,情報,情報社会という 4 分野について,バランスよく学べるように 配慮する。 2. 従来の生産技術や要素的な工業技術としての情報技術ではなく,情報社会に生きる個人の力として の ICT 能力を養う。 3. 情報の発生から受容までの過程を自然に理解できるように解説する。従来の情報処理では扱わな かった人の認知にも触れる。 4. 情報社会におけるコミュニケーションの重要さを個人のレベルから扱い,かつ社会の側からの視点 もあわせもつ。 5. 変化の著しい実装技術に惑わされることがないよう,基礎と基本に徹し,いつの日か学問になるで あろう情報学の科学的,文化的,社会的な基礎が確立されることを目指す。 6. 大学生から情報技術に関心を寄せる市民まで幅広い読者を想定し,平易さを心がける。同時に,高 校の情報科教員を目指す人も満足できるような内容にする。その目的のため,前提とする予備知 識・学力は高校卒業程度とし,特に数学などに特別な素養を求めないように留意する。 編集委員 武井惠雄(帝京大学教授・理学博士) 大岩 元(慶應義塾大学教授・理学博士)

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はじめに

本書『Java によるプログラミング入門 第 2 版』は,Java 言語の入門書ではありません。題 名をよく見てください。「(Java による)プログラミング入門」,つまりプログラミングをはじ めて学ぶのだけれど,その題材として Java 言語を使用している,という意味の題名に見えるで しょう? われわれの社会の将来のために,「情報社会に生きる個人の力」を育むことは最重要課題の 1 つです。そして,プログラミングを学び,その楽しさを知ることは,この目標への最短経路だ と考えます。そこさえ押さえておけば,各種の情報技術が詰まるところ何なのか,なぜ必要な のかといった理解は,あとからでもついてくるはずです。 本書では,この目標のために,Java でさまざまな種類のプログラムを作ってみせます。Java 言語のあらゆる機能を網羅するつもりはありません(それをやると,ぎゅうぎゅうに内容の詰 まった重たい本になってしまいますから)。その代わり,1 章ずつ確実にこなしていくことで, 各章で出てくる例題レベルのプログラムが自由に書けるようになることを目指しました。それ はつまり,現代におけるプログラミングがどんなものなのかを知ることでもありますし,現代 における標準レベルのプログラムが作れるようになることでもあります。 この目標を確実に達成するために,要所ごとに演習問題を入れました。先を急がずに,でき るだけたくさんの演習問題を自分でこなしてください。本書の文面を最後まで通読しただけで プログラミングができるようになるわけではありません。そうではなく,自力でプログラムを 10 行書いて動かせば 10 行分,100 行書いて動かせば 100 行分の実力がつきます。プログラミン グをマスターするというのは,そういうことです。このことは心しておいてください。 また,上で言語の機能を網羅しないと書きましたが,言語の機能の系統的な説明がないと納 得がいかないこともいろいろあります。そこで,各章末に「付録」を配して Java 言語の種々の 側面を取り上げて説明する,というスタイルをとりました。この部分はとりあえずはざっと眺 めておき,その側面についてきちんと学ぶ必要を感じたら,改めて熟読していただければと思 います。 本書は,大学などの授業で使用する場合に,初心者向けの最初のプログラミングの教科書と してだけでなく,入門が終わった後のもう少し進んだ内容(とりわけ「オブジェクト指向」)を 学ぶための教科書としても,使えるように考えました。 前者(初級)の場合は,第 1 章を一通り座学で学んだ後,第 2 章,第 3 章,第 4 章をゆっくり

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ii はじめに 扱うのがよいでしょう。各章ともおおむね前半と後半に分かれているので,1 回について 1 章の 半分ずつ進むことができます(さらに,内容を学ぶ回と演習の回を分けてもよいでしょう)。そ の後は時間の余裕に応じて,第 5 章∼第 10 章のそれぞれ前半を選択的に取り上げることができ ます。第 5 章以降の各章間の依存関係は,5 章 → 6 章 → 9 章,5 章 → 7 章 → 10 章,5 章 → 8 章となっているので,この順番にだけ注意すれば,あとは興味のある題材から選んでいくのが よいでしょう。 後者(中級)の場合は,第 1 章を学んだ後,第 2 章は Java 言語とグラフィクスに慣れるため の章,第 3 章は制御構造を復習するための章として,簡単に済ませることが考えられます(も ちろん,これらの内容に自信がない場合は,ゆっくり時間をかけて扱うのがよいでしょう)。そ して,第 4 章∼第 5 章が,オブジェクト指向を学ぶためにじっくり取り組むべき部分になりま す。ここで,さらに 2 つのアプローチがあります。 1 つは,例題で出てくる各種の材料のクラスは読んで理解するとしても,それらと同様のもの を自作するところまでは求めないで,それらを組み合わせて自分が思ったような絵や動きが作 れることに重点を置くものです。今日のオブジェクト指向では,そのようなレベルで作業する 場合も多くあります。本書では材料のクラスを読んで中身を理解しているため,それらのクラ スを組み合わせてスムーズに活用できます。 もう 1 つは,材料のクラスを理解したら,それと同レベルのものを自分で作れるようになる ことを目指すものです。このとき,自作のクラスがすでにあるクラス群とうまく組み合わさっ て動く様子を見ると,オブジェクト指向の威力が納得できるはずです。 どちらのアプローチにするかは,各章のどの演習問題を実際にやるかで選ぶことができます。 自分でやってみない演習問題でも,例解を読んで理解してから,そこにあるクラスを使ってみる という形で活用してください。無理にクラス作成にチャレンジしなくても,例題や例解にある クラスを組み合わせて使うだけで,それなりに面白いことができるように工夫したつもりです。 第 5 章については,後半の例題はそれなりに複雑なので,必要に応じて扱うのがよいでしょう。 どちらのアプローチでも,第 4 章と第 5 章の前半(抽象クラスの手前まで)が済んでいれば, 第 6 章∼第 10 章に進むことができます。依存関係については上で説明したとおりで,各章とも 前半と後半で分かれている点はこれまでと同じです。 この本の第 1 版が出てから,Java 言語もそこに備わる標準ライブラリも,だいぶ変化しまし た。また著者のほうでも,上で述べた目標(現代における標準レベルのプログラミングを学ぶ こと)にどうアプローチしたらハッピーなのか,新しくわかってきたことがいろいろありまし た。ですからこの第 2 版では,目標は第 1 版と同じですが,アプローチはいろいろ変えてあり ます。ぜひ,お楽しみください。 2010 年 12 月 著 者 

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