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金 井 洋 子

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Academic year: 2021

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中 学 校 に お け る 教 師 の メ ン タ ル ヘ ル ス

‑ 居 場 所 と の 関 連 ‑

学 校 教 育 専 攻 教 育 臨 床 コ ー ス 金 井 洋 子

【問題と目的】2001年度精神性疾患によって休 職した公立小中高校などの教員数は過去最多を 更新し I心の病」を抱える教員の姿が浮き彫り になった。教師の精神健康状態に職員室や教室 などの居場所(そこでの人間関係や教育活動も 含めての居場所)の有無がどう影響しているの かを調査・検討するものである。

【対象と方法】 A県B市内の中学校(中規模以 上)20校に勤務する教諭713名を対象に,無記 名,自記式の質問紙を配布し,留置調査法にて 施行した。回収率は74.1%であった。SPSSI0.0 rWmdowsを用いて統計処理した。質問項目

は,精神健康尺度(日本版 GHQ30, 以 下 GHQ3ω,宗像らによる仕事の志気低下尺度・

日頃の仕事への周りからの支持尺度・仕事上で の不快な人間関係尺度・相談者の有無とその対 象者・情緒的支援者保有尺度に加え,独自の質 問項目として居場所に関する質問と自由記述,

フェイスシートから構成した。

【結果】回答者528名(男性277名,女性251 名)のGHQ30合計点の平均は8.296.12(男 性 7.97::!::6.26,女性 8.645.95)であった。

GHQ30得点7以上を示す場合神経症・抑うつ 症圏内にあると推定される。この割合が全体で は53.8%(男性50.2%女性56.4%)であった。

年代別では男性20代61.8%,女性40代60.0%

が最も高かった。仕事の志気低下尺度では 30 代において最も志気が低下していた。日頃の仕

指導教官 北 添 紀 子

事への周りからの支持尺度は年齢とともに上昇 する傾向がみられた。仕事上での不快な人間関 係尺度では 30代の平均値が最も高かった。職 場の悩みを相談できる人がいると答えたのは 84.6% (男性77.4%,女性92.3%)で、あった。

相談相手としては同僚,家族,同職の友人が圧 倒的に多かった。情緒的支援者保有尺度では20 代の平均値が最も高かった。男性よりも女性が 情緒的支援者を多く保有していた。職場に自分 の居場所と思える場所があると答えた人は 91.9%であった。居場所の有無でGHQ30得点 7以上の割合をみると,居場所あり(男性 46.2%・女性 57.3%)よりも,居場所なし(男性 90.0%・女性71.4%)の方が高かった。居場所の 平均個数は1.96箇所であった。具体的な場所と しては職員室と教室が圧倒的に多かった。職員 室を居場所として選んでいない人のGHQ30得 点7以上の割合は男性66.3%・女性70.8%と高 かった。また,その他の場所を選んだ女性も 73.3%と高い割合を示した。居場所を選んだ理 由として多いものは職員室=事務処理ができる,

教室=生徒と一緒特別教室=自分の授業がで きる,準備室=自分だけのスペース,体育館ま たはグラウンド=生徒と一緒,自分の能力を発 揮で、きるであった。自分にとって職場における 居場所と思える場所に関する自由記述はカテゴ リ一分けし, I仕事のできる場JI同僚と共に=

職員室J I生徒と共に=教室J Iリラックスでき

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る場J

r

能力を発揮し,充実感が味わえる場」

「どこでも居場所,気持ちの持ちょうJ

r

部活 動J

r

その他」の 8種類に分類された。居場所 なしと回答した人や居場所の有無が未記入の人 の自由記述には一人になれる場所,職場では考 えられない,ないといった記述もみられた。

GHQ30を従属変数とし,他の尺度を独立変 数として重回帰分析(ステ、ソプワイズ法)をおこ なった結果,重相関係数R=.268 (F=39.88, 

p < . o

I),。が有意なものは仕事の志気低下尺度 (s =.402)・仕事上での不快な人間関係尺度(。

=.127)・職員室が居場所である(s=‑.103)  臨時採用教師(s=.092)であった。GHQ30の区 分点を617とし,居場所の有無とでが検定した 結果,男性は分布に偏りが認められたが,女性 は偏りが有意ではなかった。また,居場所の数 でみると男性は1箇所以上から,女性では3箇 所以上から分布に偏りが認められた。具体的に は職員室,教室,準備室,体育館またはグラウ ンドの4箇所で分布に偏りが認められた。

【考察】今回の調査では 53.8%の教師が神経 症・抑うつ症圏内におり,半数以上が重大なス トレス状況にあると考えられる。男性よりも女 性のGHQ30得点が高いという結果は先行研究 と同じで、あった。先行研究では相談できる体制 づくりやストレス耐性を身につけることの重要 性が指摘されている。支援者として管理職や同 僚が充分に機能し,さらに外部機関との連携や 協力がスムーズかつ柔軟に行なえ,そして悩ん でいる教師が自ら相談し,自分自身の健康を維 持できるようになることは,学校の教育活動全 体によい影響を与えるものと考えられる。

居場所に関して,男性は居場所があることで 精神健康状態を良好に保てるが,女性の精神健 康状態については単なる居場所の有無だけでは

説明しがたい。具体的な居場所やその数,そこ での人間関係が大きく影響するとともに,居場 所のもつ意味が男性と女性では違うのではない だろうか。男性はどこかー箇所居場所があるこ とやそこでの活動を通じて充実感ややりがいを 感じているが,女性はー箇所では充実惑を得ら れにくく,情緒的支援者の多さから考えても複 数の場所での相談や情報交換をして精神のバラ ンスをとっているのではないだろうか。

GHQ30得点7以上の割合が高い値を示してい る場所(車合湯室・休憩室・その他)が他と区切られ,

休養できるような意味合いの場所であることか ら,その居場所は疲れ果てた人がホッと一休み するような,精神健康状態の悪化を防ぐための シェルターのような機能を果たしているのでは ないだろうか。また職員室を居場所と感じら れるかどうかは精神健康状態に影響を与えるも のと考えられる。

居場所のとらえ方は個人によってさまざまで ある。しかし,学校全体として心理的な居場所と 物理的な居場所のバランスが調整されること,

特に職員室は自由に安心してコミュニケーショ ンできる場,自分を表現できる場,安心して人 との関係性をもてる場であることが教師のメン タルヘルスに重要だと考えられる。

【結語〕ストレスはその要因が複雑で、明らかに なりにくい。居場所はその要因であると示唆さ れる。これを機会に学校における居場所の心理 的・物理的な機能を見直していきたい。

学校全体が生徒にとっても教師にとっても居 場所である。現場の先生方からは「生徒や同僚 との活動を通してやりがいを感じている」とい う回答も多く寄せられた。学校での活動を通し て互いに成長していけることを願う。

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