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著者 本田 格, 下村 与治

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(1)

ヒドラジノー1,3,5‑トリアジン類のヒドラジノ基の 酸化的水素置換 I2,4‑ジアミノー6‑ヒドラジノー 1,3,5ートリアジンの酸化による2,4‑ジアミノイ ,3,5ートリアジンの合成

著者 本田 格, 下村 与治

雑誌名 福井大学工学部研究報告

巻 32

号 1

ページ 167‑173

発行年 1984‑03

URL http://hdl.handle.net/10098/4145

(2)

福井大学 工 学 部 研 究 報 告

32

巻 第

l

昭和

5 9

3

ヒドラジノー 1 , 3 , 5 ‑ トリアジン類の ヒドラジノ基の酸化的水素置換 I

2

4 ‑

ジアミノー

6 ‑

ヒドラジノー

1

3

5

ートリアジンの 酸化による

2

4 ‑

ジアミノイ,

3

5

ートリアジンの合成

本 田 格* 下 村 与 治 *

Oxidative Rep1acernent of the Hydrazino‑group  by Hydrogen in Hydrazino‑1 , 3 , 5‑triazines.  I .   Synthesis of  2 , 4‑Diamino‑1 , 3 , 5‑triazine by  Oxidation of 2 , 4‑Diarnino

6‑hydrazino‑1 , 3 , 5‑

r1az1ne.

工七

aru HONDA ,  Youji SHIMOMURA  ( Received Jan.  30 ,  1984  ) 

2 , 4‑Diarnino‑1 , 3 , 5‑

riazine [ 2 ]   was obtained in a 69

of yie1d by oxidation of 2 , 4‑diarnino‑6‑hydrazino‑1 , 3 , 5‑

riazine

[ 1 ] ,  using 1.5  times po

assiurnperoxodisu1fa

e and 4

i r n e s sodiurn hydroxide in rno1ar  ratios ,  and heating in aqueous  solution a

100

0

C for 5 r n i n .  

工七

was possib1e to use hydrogen  peroxide ,  brornine ,  or air as  oxidants ,  however ,  when the  oxida

ion was carried ou

by air b10wing

hrough the reac

ed solution

,七

he resu1t was more favorab1e on

he experirnent  at  60

0

C for 6 hrs.  The mechanisrn of oxidative  replacernen

of the hydrazino‑group by hydrogen was discussed. 

1 緒 雷

既報1)に述べたとおり,

2

, 

ジアミノ

1

, 

3

, 

5

ー ト リ ア ジ ン 類 に つ い て は , い ろ い ろ な 用 途 が 開 発 さ れ つ つ あ る が , そ の 合 成 法 に つ い て は , ま だ 確 立 さ れ た よ い 方 法 が な いO任意の置換基をも っ

2

4

ージアミノー

1

3

‑トリアジγ類の合成には,

2

4

, 

6

ートリクロロー

1

3

, 

5

ートリアジン (塩化シアヌル〉を出発原料として 2個 の ク ロ ロ 基 を 逐 次 適 当 な ア ミ ン 類 で 置 換 し た 後 , 最 後 の クロロ基を水素に置換する方法が最も合理的である。しかし,既報1)において,最後のグロロ基を

工業化学科

(3)

168 

水素に置換する段階について,過去に知られている方法を検討した結果,収率がよくない上に,生 成物の分離が必ずしも容易でなく,いずれも十分な成果を期待できなかったO

一 方 , ベ ン ゼ ン 環2) またはピリミジン環3)

1

, 

2

, 

4ートリアジン環

4) 及 び キ ノ リ ン 環5)等 の 含窒素複素環に結合しているヒドラジノ基は,酸化により水素に置換されることが知られているO

しかじ,このヒドラジノ基の酸化による水素置換反応は,

1

, 

3

, 

5

ートリアジン環については全く知 られていないO

そこで,本報告では,

2

, 

4ー ジ ア ミ ノ ‑6ーヒドラジノ 1

, 

3

, 

5ー ト リ ア ジ ン ( 1 

)の酸化によ る

2

4

ー ジ ア ミ ノ ‑1, 

3

, 

‑ ト リ ア ジ ン (

)の合成を検討し,この方法が(

)の合成にとって 比較的よい方法であることを知ったので報告するO

2

実 験 方 法

2 . 1  

紫外スペク卜)1,.測定

紫外スペクトル

(UV)

測 定 に は , 目 立 製

EPS‑3

型分光光度計を使用したO セルの厚さは

1 0 m m

であるO

2 . 2  

原料の合成及び性質

原料となる

2

4ージアミノ 6ー ヒ ド ラ ジ ノ ‑1

3

, 

5ニートリアジン( 1 

)を文献6)記 載 の 方 法 に 従って合成した

o m .   p .   2  7 0  ‑ . . . . ‑2  7  1  o c  

(分解

)0 UV( 2N

塩酸溶液),

Amax242nm(  e  9 . 9 1  x 

1 0

) 1 

A  2 4 0   nm  (ε8.57xl0

3

)0  2 . 3  

標 準 物 質 の 合 成 及 び 性 質

2

, 

4

ー ジ ア ミ ノ ‑

1

, 

3

, 

5

ー ト リ ア ジ ン (

)を文献7)記 載 の 方 法 に 従 っ て 合 成 し たo m. 

p .   310  . . . . . . . . 3 1 1

0

C(

分解

)oUV(IN

塩酸溶液),

A  ma

玄く

220nm

, 

A  230 nm  (  e  6 . 9 5  x 1 0

U V 

(水溶液),

A  max 2  5  9  nm  (  e  3 .   87 x 1  0

2

, 

4

, 

6

ートリアミノー

1

3

, 

5

ートリアジン(メラミ ン ) ( 

)を市販品の水からの再結晶により得た

o m.  p .   3 4  6  ‑ . . . . ‑348 o C  

(分解

)oUV(IN

塩 酸 溶 液),

Amax236nm

, 

A230nm(e1

.

07xI0

4

)0  2

4

ー ジ ア ミ ノ ‑

6

ーヒドロキシー

1

3

5‑

トリアジン(

)を文献8)記 載 の 方 法 に 従 っ て 合 成 し た

o m. P. 450

0

C

までに溶融せずo U 

V  (  0 . 5   N塩酸溶液),

max  229nm

, 

A  230nm (ε2.04XI0

4)0 

2 . 4  

反応生成物のイオン交換クロマトグラフ分離分析

内径

8.8m m

のガラス製円筒管に強酸性イオン交換樹脂

Amberite C  G

120(100メッシュ〉を 1 9  c m

の高さに充填しI

1  N

塩酸で再生,水洗して波長

230nm

に吸収のないことを確認した後,分 離分析に使用したO

溶離液として,まず

0 . 5N塩 酸 を 用 い て ( 4 

)のみを,ついで

1N塩 酸 を 用 い て (2 

)及び(3 

を,さらに

2N

塩 酸 を 用 い て (

)を溶離させたO 溶離液を1.6 

m l / m i n

の流速で流し,

1 0  m l

づ、つフ ラグションコレクターに分取し,

(4), (2)

及 び (

)については波長

230nm

,また(

)に ついては波長

240nm

における吸光度を測定し,定量したO

2 . 5  

イオン交換ク口マトグラフ分析を用いる低漉度溶液にお貯る酸化

( 1 

)約

7

時を精秤し,

5 0 m l

の脱イオン水に溶解し,その

1 0 m l

をとり,これに所定のモル比のベ ルオキソ二硫酸カリウムを含む水溶液1

0 m l

を加え,水酸化ナトリウム,または硫酸によって,

p H

を 所定値に調整した後,

100

0

C

に加熱,反応させたO 反 応 液 を 急 冷 後 , イ オ ン 交 換 ク ロ マ ト グ ラ フ 分

(4)

析 を 行 い , 溶 離 液 を 吸 光 定 量 し て , 反 応 生 成 物 の 含 有 率 を 求 め , そ れ か ら 収 率 を 計 算 し たo

2 . 6   (2)

を 取 得 す る た め の 高 温 度 溶 液 に お 廿 る 酸 化

( 2 

) 及 び そ の 他 の 生 成 物 を 取 得 す る 目 的 で 高 濃 度 溶 液 に お い て (

)を酸化する反応を

2

種 の 反 応 条 件 , す な わ ち , 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム を 添 加 せ ず , ベ ル オ キ ソ 二 硫 酸 カ リ ウ ム の 分 解 に よ っ て 生 成 す る 硫 酸 の た め に , 反 応 液 が 次 第 に 酸 性 に な っ て い く 条 件 , 及 び 反 応 液 に あ ら か じ め 水 酸 化 ナ

ト リ ウ ム を 添 加 し , 反 応 を 中 性 な い し ア ル カ リ 性 で 行 う 条 件 の 2種 に つ い て 検 討 し たo

2 . 7  

種 々 の 酸 化 剤 を 用 い る 酸 化

ペ ル オ キ ソ 二 硫 酸 カ リ ウ ム の ほ か に , 過 酸 化 水 素 , 過 マ ン ガ ン 酸 カ リ ウ ム , 臭 素 , ヘ キ サ シ ア ノ 鉄

(m)

酸 カ リ ウ ム , 酸 素 ガ ス , ま た は 空 気 を 用 い て (1 )の酸化を行い, (2)の 収 率 に 及 ぼ す 影響を検討した。

3

実 験 結 果

3 . 1  

イ オ ン 交 換 ク 口 マ ト ゲ ラ フ 分 離 分 析

原 料 (

)及び反応生成物

(2)...(4)

を ほ ぼ 等 量 含 有 し て い る 検 液 を 別 に 作 製 し , そ れ に よ って分離分析法を検討した結果,

2 .   4

に 記 載 し た 方 法 が 最 も 良 好 な 結 果 を 与 え た の で 採 用 し たo

すなわち, ( 

4 )  O .   263

時,

(2)  O .   254

昭, ( 

3 )  O .   259

略 , 及 び (

1  )  0 . 2 4 5

時 を 含 む 水 溶 液

40 

mlを

2 .4

に記載した方法で溶離した場合,

(4)

は 積 算 溶 離 液 量

O .2 . . . . . . .  O .   4  t  (  O .   28  e

に 最 高 濃度を示す。)の範囲で,

(2)

は同じく

O .4 . . . . . . .   O .   5 5   e  (  O .   4 7   t

に最高濃度を示す。), ( 

)は1.

‑‑‑‑1. 

7  e  ( 

1. 

42  e 

に 最 高 濃 度 を 示 す0), 及 び (

)は

1 .8  . . . . . . .   2 .   0  e  ( 

1. 

89 

f,に最高濃度を示す

J

の 範 囲で溶離された。回収率はそれぞれ,

(4) 100%

, 

(2 )97%

, 

(3 

)9Sro,及 び (

1 )  73%

で あった。

3 . 2  

低 農 度 溶 液 に お い て 酸 化 し イ オ ン 交 換 ク ロ マ ト グ ラ フ 分 離 分 析 を 用 い た 場 合 反 応 条 件 及 び 反 応 終 了 時 の 各 種 生 成 物 の 収 率 を ま と め て

Table 1

に示す。

3 . 3  

高 温 度 溶 液 に お い て 酸 化 し 生 成 物 を そ れ ぞ れ 単 離 し た 場 合

3 .   3 .   1 

水 酸 化 ナ ト リ ウ ム を 添 加 し な い 場 合

( 1 ) 

1. 

4 1  g

及 び ベ ル オ キ ソ 二 硫 酸 カ リ ウ ム

2 .7 0  g 

(モル比

1

)を水

70

mlに溶解し,これ を

8 0 . . . . . . .90"C

1

時 間 加 熱 , 反 応 さ せ た 。 反 応 液 を 冷 却 し , 沈 殿

(P

t)1.

00g

を得,さらにその

F

液 (

) を 中 和 し て 沈 殿 (

PZ) O .   1 9  g

と 炉 液 (

Fz 

)とを得たo

P

1, 及 び

P

2はともに

450" C

まで 溶 融 し な か っ たo

P

1, 

P

2,及び

Fz

のイオン交換クロマトグラフ分離分析から,

P

1の主成分は (

3 )  

であり ,

Pz

の 主 成 分 は (4 )であり,また,

Fz

に は (3 )及び(2 ) が ほ ぼ 等 量 含 ま れ て い る こ とがわかったが,

Fz

か ら (

) の み を 単 離 す る こ と は (

)と(

)との溶解度がほぼ等しいため,

不 可 能 で あ っ たo

P

Pz'

及 び

Fz

のそれぞれの成分別への変化率の統計は,

(2) 12%

, 

(3)  69 

% 及 び ( 4 ) 

1 2  

%であったO

3 .   3 .   2 

水 酸 化 ナ ト リ ウ ム を 添 加 し た 場 合

Tab

e1

中,

(2)

の 収 率 が 最 も 大 き く , か つ 分 離 を 困 難 に す る (

)が含まれない条件として,

Run 7

の 条 件 を , 高 濃 度 溶 液 の 場 合 に 適 用 し て (

1  J

の 酸 化 反 応 を 行 っ たO た だ し , 反 応 前 に 反 応 液の pHを

1 3

と す る の で は な く , 反 応 の 開 始 前 に 大 過 剰 の 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム を 加 え て お き , 反 応 終 了 後 に 反 応 液 の pHが

1 3

となるようにしたO

(5)

170 

Tab1e 1  Oxidation of  [1]  in the initia1 concentration  5x10‑ M at 100.C. 

Run  Mo1aral

nitia1 Reaction  Yie1d (も)bl ratio  pH  time(min)  [1]  [2 ]  [3]  [4] 

1  1: 1. 5  3  60 

38 

19 

2  7 

31  10  18 

3  11 

35  12  16 

4  13 

51 

14 

5cl  45  24 

18 

6  30 

52 

16 

7  5 

57 

13 

8  1:0.7  44  40  4  4 

9  1:  1 

58  5  7 

10  1:1.2  O  57  5  7 

11  1:  2 

53 

a)  [1]  KzSzO..  b)  Determined via ion exchange chromato‑

graphy and UV spectrophotometry.  c)  At 60.C. 

すなわち, ( 1  ) 1. 40 g,ベルオキソ二硫酸カリウム4.05g及び水酸化ナトリウム1.60 g(モル 比1:1.5:4)を水93mlに溶解し,これを5分間過熱還流し,反応させたO 反 応 液 を 急 冷 し , 無 色 針 状 結 晶 の (2 ),  ID. 

p .  

30 4 ...  30 6 

o C  (分解),

0.21g(収 率19%)を得た。また,冷却前の反応 液のJ 部をイオン交換クロマトグラフ分離分析した結果,それぞれの成分への変化率は, ( 2 ) 54 

%,  ( 3 ) 4 %, ( 4 ) 89'0であったO す な わ ち , 反 応 に よ り 生 成 し た (2 )の約

i

がほぼ純粋な

形 で 取 得 で き る こ と が わ か っ た 。 従 っ て , 反 応 時 に 加 え る 水 の 量 を 減 少 さ せ れ ば (2 )の取得量(

収率)を向上させることが期待できたので,この水の量を,試薬類を溶解させるのに必要な最低限 の38mlにした所, C 2 ) , ID. P. 31 0 ...  31 2 "C (分解)の収率は

6 9

9'0まで向上したO

3.  3.  3  添加する塩基の量及び種類の影響

3.  3.  2の実験における水酸化ナトリウムの量及び水酸化ナトリウム以外の塩基について, C 2 )  の収率に及ぼす影響を検討したO その結果をまとめて

Table2

に示すO

3 . 4  

酸 化 剤 の 種 類 の 影 響

各種の酸化剤,及び酸素ガスまたは空気による酸化の場合について,

C  2  J

の収率に及ぼす影響 を検討したO その結果をそれぞれ

Tab ユ e3

及 び

4

に示すO

Tab1e  2  Oxidation of  [1]  in the initia1  concentration  0.26 M at 100.C  for 5 min. 

Run  Mo1ara1 

Base  [2 ] 

ratio  M.p.  (.C)  Yie1d (%) 

12  1:1.5:2  NaOH  >450b1 

13  1:1.5:4  310‑312 (decompd.)  69  14  1:1.5:8  307‑310 (decompd.)  49  15  1:1.5:4  KOH  305‑307 (decompd.)  60  16  NH >450b1 

17  NHzNHz  258260c1 57d1 

a)  [1] :KzSzO. :Base.  b)  Unknown products.  c)  Recovered  [1]. 

d)  Recovery of  [1]. 

(6)

• Tab1e  3  Oxidation of  [1]  by various  oxidants  under  [l]:oxidant:NaOH=1:1.5:4  in molar ratio

, 

at  100.C  for 5 min. 

[2] 

Run  Oxidant  M.  p.  (.C)  Yie1d(も)

18  H202  308‑310 (decompd.)  13 

19  K拍'l0~ >450a) 

20  Br2bl  309‑311(decompd.)  40  21  K"Fe(CN)"  >450cl 

a)  Unknown product.  b)  [l]:Br2:NaOH=1:1.5:8 in mo1ar ratio. 

c)  This product may be  [4]  by UV spectrophotometric measure‑

ment. 

Tab1e  4  Oxidation of  [1]  by oxygen gas  (150  m1/min)  or  air  (700  m1/min)  under  [1]:NaOH=1:4  in mo1ar  ratio. 

Run  O id  t  Reaction  Reaction  [2] 

x~aan1: temp. (.C)  time (min)  M.p. (.C)  Yie1d(亀)

22  O2  100  15  265‑267al  57bl 

23  60  268‑270al  9bl,c) 

24  120  Odl 

25  80  310‑312 (decompd.)  47 

26  240  306‑308(decompd.)  31 

27  60  120  306‑310 (decompd.)  44 

28  180  309‑312 (decompd.)  53 

29  300  310‑312 (decompd.)  49 

30  40  308 310(decompd.)  44 

31  a~r 60  180  245‑248a1  37bl 

32  300  300‑303(decompd.)  42 

33  360  308‑311 (decompd.)  47 

34  420  304‑307 (decompd.)  43 

a)  Recovered  [1].  b)  Recovery of  [1].  c)n addition,  [4]  was yie1ded in 30毛.d)n addition, [4]  was yie1ded  in 55亀.

5 考 察

5 . 1   (1

】の酸化的水素置換による(

)の合成

ベンゼン環または他の含窒素複素環に結合したヒドラジノ基と同様に, 1, 3, 5ートリアジン環に 結合しているヒドラジノ基も酸化により水素に置換されることが, (1 )の酸化の結果, ( 2 )を 合成できたことによってわかったO

Table 1よりわかるとおり,目的とする(2 )の収率は,反応液のpHによって変化し,酸性な いし中性では低下するが,アルカリ性側では上昇した。他の含窒素複素環に結合したヒドラジノ基 の水素置換がほぼ中性付近で行われている点と比較して,この点は大きく相違していたo ( 1 

J

の 酸 化 の 場 合 , 中 性 付 近 で は (

3  J

が 副 生 し , こ の (

3  J

と (

)とは水に対する溶解度がほぼ同じ

(7)

1 7 2  

程度であり, C 

2  J

の単離を困難にするので,反応液の

p H

を1

3

とし C

3  J

の副生がほとんどないよ うな条件を選ぶ必要があったO しかし,つねに

C 4  J

が副生し,

C  2  J

の収率は

7 0 9

らを越すことは なかったO 反応に添加する塩基としては,水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのような強塩基 が適当であったO

酸化剤としては,一般にラジカル性の酸化剤が有効であり,薬剤酸化ではベルオキソ二硫酸カリ ウムが最も適していたが,分子状の酸素による酸化も可能であり,空気酸化によってもかなりの収 率 で C

J

を得るととができたO 薬剤酸化では,高温,短時間の反応の場合が適しており,一方,

空気酸化では,

6 0

o

C

, 

6

時間の反応の場合に最高の収率を挙げた。これは,反応液への酸素の溶解 が反応を律速していることによるものと考えられるO

既 報1)に見られるとおり,クロロ基のヨウ化水素酸による還元では

C 2  J

の収率が

2 0

%であり,

またメルカプト基の酸化的脱離による方法では

C

J

の収率が

3 4

%であるのにくらべると,本法で は C

2  J

の収率は

47

.......

69%

であり,本法が既報1)の方法よりすぐれていることがわかったO これは 反応が容易に進行することのほか,反応をアルカリ性側で行うため C

2  J

の単離が容易であること

にも関係があるものと考えられるO

5 . 2  

ヒドラジノ基の酸化的水素置換反応の反応機構

C 1 

J

のベルオキソ二硫酸カリウムによる酸化,または空気酸化において,反応初期に反応液は 赤樫色ないし赤紫色に着色し,時間の進行とともにその着色は減少していくことが認められたO し かし

J

ベルオキソ二硫酸カリウムによる酸化の場合,色の変化は非常に早く,解析が困難であった が,空気酸化の場合はかなり緩慢であり,紫外または可視吸収スベクトルを測定することが可能で あったO 空気酸化の場合,反応の進行とともに原料の

C 1  J

には認められない

290nm

に 肩 の , ま た

480nm

に幅広い吸収極大をもっふたつの吸収が現われたO そとで,この

290nm

及 び

480nmの

吸収の時間的変化を測定した結果を

Tab ユ 85

に示すO

Tab1e  5 Absorbance change with reaction time on oxidation  of  [1].  (Tab1e 4, Run  3134 ). 

Initia1 concn.λ Absorbance after the start of reaction  of  [1]  (M)  (nm)  0.5hr 1hr  2hr  3hr  4hr  5hr  6hr  7hr 

1.47x10‑S  290  0.05  0.08 0.15 0.17 0.13 0.10  0.09  0.08  2.78x10‑ 480  0.04 0.05 0.06  0.06  0.05  0.03  0.02  0.02 

Tab ユ 85の結果から,まず 480nm

の吸収が増大し,それにつれて

290nm

の吸収が増大し,

4 8 0   nm

の吸収は

2" ‑ '  3

時間後に最大となり,一方

290nm

の吸収は

3

時間後に最大となり,それ以後,

両者の吸収とも低下していることがわかるo

Tab184

Rnm3 1  " ‑ '  34

の結果からは,目的の

C 2  J 

の収率は

6

時間で最大となり,それ以後低下しているO この

480nm

及 び

290nmの 吸 収 の 消 長 と

( 2 

)の収率との聞には明らかに関連があると考えられ,まず

480nm

の吸収をもっ物質が生成し,

ついでこれが

290nm

の吸収をもっ物質に変化し,さらに(

2  J

に変化していくものと考えられる。

( 2  J

については,

2 .   3

で述べたとおり,

290nm

及 び

480nm

には全く吸収を示さない。

また,別報の

2

4ージアミノー 6ーチオセミカルパジドー 1

3

, 

5ートリアジンの酸化において生

成したラジカルがA

max  550nm

及 び

581nm

に吸収極大をもつことめと.

2

4 ‑ジ ア ミ ノ ‑6 

(8)

ェ ニ ル ヒ ド ラ ジ ノ ‑

1

3

トリアジンの酸化において生成したアゾ化合物が A

max 3 1 0  nm

に吸 収極大をもつことめとから類推すると, C 

)の酸化における

480nm

の吸収はラジカルによるもの

と,また

290nm

の吸収はアゾ化合物によるものと推定できるO

以上のことを考慮して,ヒドラジノ基の酸化的水素置換反応の反応機構を次のとおり推定したO

すなわち,まずアルカリ性水溶液中でのラジカル酸化剤によるヒドラジノ基の水素原子の引き技き により反応が開始され,ラジカルまたはラジカルアニオンを生成し,これに酸素分子の付加が続き,

さらに酸素付加ラジカルの分解によりアゾ化合物を生成するO このアゾ化合物は水酸イオンの攻撃 により窒素ガスを放出して分解しトリアジニルアニオンを生成し,このトリアジニルアニオンに水 が反応してトリアジン環に水素が置換されるものと考えたO

6

結 論

2

, 

4ー ジ ア ミ ノ ‑ 6

ーヒドラジノー

1

3

, 

5ートリアジン

C

)をアルカリ性水溶液中で酸化する ことにより,ヒドラジノ基を水素に置換することができ,

2

, 

4ージアミノー 1

3

, 

5ー ト リ ア ジ ン C 

2 )を合成することができた。この方法は,既報1)のクロロ基を還元して水素に置換する方法や メルカプト基を酸化して水素に置換する方法にくらべてI (2 

J

の収率が良好であり,また方法自 体も簡単なものであり,さらに酸化剤に空気を使用することも可能であり,工業的にも価値ある方 法と考えられるO 従って,入手の容易な

2

, ,4

6ートリグロロー 1

3

, 

5

ートリアジン(塩化シアヌル)

を出発原料とし,そのふたつのクロロ基を適当なアミンによって置換した後,残りのクロロ基をヒ ドラジノ基に変換し,さらに酸化的水素置換反応を行えば,利用価値の高い種々の

2

4 ‑

置換ジア ミノー

1

3

, 

5

ートリアジン誘導体を合成することが可能となったO 今後,このヒドラジノ基の酸化 的水素置換反応について詳細に検討して,種々の

2

4‑

置 換 ジ ア ミ ノ ‑

1

3

5ートリアジン誘導体

の合成を行う予定であるO

おわりに,本研究に協力いただいた当時の卒業研究学生の諸君に謝意を表しますO

文 献

1 )  

本 田 格 , 下 村 与 治 , 福 井 大 工 報 ,

31

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19  (1983)  2 )   H.  S

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D.  J.  Brown

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T.  C.  Lee

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Aust.  J .   Chem.

,  三♀,

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, 三ヱ,

73575j  (1967) 

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5 )   A.  A1bert

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era11

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593  (1969) 

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9 )  

本 田 格 , 定 政 信 夫 , 野 路 道 博 , 山 中 強 , 沢 崎 一 , 工 化 2 ! ,

1177 

(工

971)

(9)

1 7 4  

参照

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